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2006年9月29日 (金)

ネット時代で遅かれ早かれ無くなる建物編、第5回目は「役所」

【勝手にアドバイス 旬ネタ ネット時代で遅かれ早かれ無くなる建物編】

ネット時代で遅かれ早かれ無くなる建物編、第5回目は「役所」である。

インターネットの普及で、ベルリンの壁のように崩壊する建物・商売はどんどん増えるだろう。
今週の「勝手にアドバイス:旬ネタ編(旬のネタを連続テーマで書く)」は、ネット時代で遅かれ
早かれ無くなる建物を取り上げる。その「建物候補」は次の通り。***************************************************************************
・図書館: ネット情報、バーチャル書籍などをめぐる図書館の存在意義 → 終了
・証券取引所: 場立ちも消え、もはや建物だけが遺された。→ 本日
・新東京タワー: ネット時代に電波のバベルの塔は果たして着工できるのだろうか?→ 終了
・役所: 民営化、サービスの多くのネット化、それでも建物が必要だろうか?
・不動産屋: 事務所は必要だが、お店はバーチャル化 → 終了
・郵便ポスト: 必要なのはポストではなく「投函というサービス機能」
***************************************************************************

【パスポート電子申請の怪】
そもそもこのサービスは3年前に開始して、この10月に廃止するので、今さらいじめても仕方ない。しかし象徴的な事件である。

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①電子申請は全国すべてでやっていなかった。
関東地方では埼玉、栃木、群馬、茨城。東北以北は宮城県のみ(!)。東海・信越・北陸もゼロ。関西は和歌山県のみ、あとは岡山、香川、福岡、長崎、熊本、宮崎。合計12県でしか実施されていなかった。
②住民基本台帳カードとICカードリーダー
住民基本台帳の電子化参加自治体に住み、IC住基カードを持ち、そのカードの読み込みができるICカードリーダーと、もちろんパソコンが必要。
③導入3年で133件、1件あたり1600万円。
逆算すると開発費は21億2800万円となるが、経費が運営経費も含むなら、ソフトウエア開発投資は12県で10数億円だろう。

開発費が仮に10億円だとして、1県平均5~10ヶ所の申請所がある。全国で250ヶ所あるとして、平均1億円の事務所&人件費がかかっているとして、250億円。目標設定は、投資対効果。この運営経費の削減率/額であろう。

旅券発行数は旅券統計によると全国で360万件(2005年)。仮説として運営費250億円と、この数値を採用すると、一件あたりの発行コストは約7千円となる。7,000対16,000,000ではまるで計算ができない。電子申請なのだから、各県の何割か電子化すると直接コストがいくら引き下げられ、運用が本格化する2年度から「人員削減でいくらコストを引き下げる」という目標が(あれば)発表されていないのは、納税者への裏切りである

もちろん言うまでもなく、住基カード自体の発行さえ滞っている。言うまでもなくICカードリーダーが自宅にある人はよほどのマニアである。

お役所のつくるシステムで「これはお見事!」と喝采するシステムは記憶にのぼってこないが、ここまでのユーザー視点の欠如はたいへんなものである。このシステムを国の永久保存物に指定して、外務省のロビーに展示陳列すべきであろう。

【長崎方式】
自治体のIT化では長崎県が有名である。「e県ながさき戦略」を策定し、平成17年度~18年度を計画年度として、「ITの地産地消」をめざしている。地産地消とは「地元生産-地元消費」のことであるが、ITの分野では地域のIT産業の育成とともに、県民のIT識字率もアップさせ消費を促進しようという試み。

電子県庁システムについては次のものが稼動中。平成14年~15年度の2年間で、従来、大手IT企業に一括発注方式をしていたシステム開発を100件に分割発注して、地場企業による48件の受注をさせたという。大幅なコスト削減も実現されたという。

 ①電子申請システム
 ②地図情報及び交通機関の経路検索システム
 ③公共施設予約システム
 ④文書管理システム
 ⑤旅費計算等の庁内庶務システム

前田建設の社員という経歴の島村さんというSEがいるからこそ、といわれているが、彼が庁内の役人に手取り足取りで業務フローを書かせて、システム導入につなげたという苦労話がコンサルぽくて興味深い。また、岡山の情報ハイウェー構想にならうと、離島が多い長崎県ではコストが莫大になるので、警察の専用線を光ファイバーに改修してもらって、VPNで県のシステムを相乗りさせたという、アイデアもいい。

その長崎県の職員削減目標は、平成13年~18年4月までに全職員の6%にあたる320人削減を目標にかかげ、外部化とシステム化で292人を達成したそうである。民間企業の大ナタの人員削減に比べれば「たった」だが、6%でも立派なものである。
http://www.pref.nagasaki.jp/minaoshi/pdf/keikaku-jisseki.pdf

【市庁舎建築に費用対効果が問われることがあるのだろうか?】
ずいぶん前で恐縮だが、平成7年に竣工した静岡県伊東市市庁舎仕事で初めて訪れたときの衝撃が忘れられない。建物の断面は、土地柄を反映させて、「舟のかたち」をしているという。総費用は100億円。美術モニュメントも随所にあるのだ。

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伊東市の人口は7万5000人、竣工時からは5000人ほど増えている。ところが市税収入は竣工後の平成9年度の159億円をピークに、平成16年度は122億円まで低下している。地方交付金などを含めて歳入232億円の自治体である。一般企業で売上高100億円の企業が80億円の本社ビルを建てるだろうか?

その伊東市のインターネット対策もすごい。「インターネット市民募集」というサイト。インターネット市民の定義もよくわからないが、その市民にならないとホームページにも意見が書き込めないそうだ。恐ろしや、電子市役所。

【勝手にアドバイス】
退陣した首相にならって言えば、電子サービスもいろいろなら、自治体もいろいろ。悲惨なくらい職員を減らし、雑巾がけも職員がやる自治体もあれば、財政にメドが立たなくても豪華な舟に乗るところもある。

パスポート電子申請の怪を繰り返さずに電子化を進めるにはどうすればいいのか? 住民基本台帳情報はすでにデジタル化されている。なぜそれに参照許可の権限を与えて、外務省側でアクセスするということができなかったかが問題だろう。省壁の存在、ICチップカードの使用促進というメンツ、シンボル事業、などであろうか。

市民の視点に立てば豪華な庁舎より、サービスの自動化である。出張所は全廃して、申請業務をすべて電子化すべき。国の情報化にはEAとかむつかしい理屈も必要だろうが、長崎県をみればEAなんて思想がなくても6%は減らせるのである。

今日は以上です。アメブロから引っ越してまいりました。過去三ヶ月のバックナンバーはこちらから。http://ameblo.jp/marketing-brain/ではまた明日。Click on tomorrow! 

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