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2006年10月22日 (日)

本日私は、フラレ~ました♪_話題の資生堂のCMとその舞台裏。

告白もどきの出だしだが、中年男の告白がおもしろいわけない。このブログのテーマは告白ではなくAha!と言わせるマーケティングである。このCMとその舞台裏には、深い感動がある。

【勝手にアドバイスVol.59 本日私は、フラレ~ました♪_話題の資生堂のCMとその舞台裏。】
資生堂が8月28日、CMの日に放映したドラマ『メッセージ~伝説のCMディレクター杉山登志』にあわせて、企業広告CMとして制作した「新しい私になって」が今日の勝手にアドバイスのテーマ。

このCMはすばらしい。モデルのMAIKOの初々しさ、清楚な美しさ。そして、写真家上田義彦氏のCM制作舞台裏を記録した番組(NHKプロフェッショナル仕事の流儀 10月5日放送)にも感動してしまった。なかなか泣けなかったモデル、自分のやれることをやって仕事を完遂したカメラマン。ふたりともすばらしい仕事をした。

    Ph_maiko05 Maikoさん 所属事務所サイトから

【CMの流れ】

MAIKOが洗面台で顔を水でそそぐ横顔のシーンから。タオルで顔を二度、三度とぬぐう。白いタイルに反射した自然な光、やわらかい陽ざしに照らされたMAIKOの顔が鏡に写り、カメラはそれをじっと追う。涙は見えない。いやきっと水の中に流れたのだろう。

ちょうど、バックに流れる歌詞が「(お別れを言われた)だけどもあのとき、少しだけ、微笑んでくれたとような・・・」にさしかかる。それにあわせて、MAIKOもすこし微笑む。

画面は一瞬、みずみずしい青々とした、だけれどもたくさん水滴をつけた葉に。水滴が涙を暗示している。そしてMAIKOの顔にに画面がもどると、彼女の大きな眼から涙がこぼれそうになる。ふたたび洗面に顔をひたす。

場面は化粧台に変わり、スキンケアクリームを手にとり、だんだん表情に元気をとりもどす姿が描かれ、エンディングへ。

流れている歌詞(まだ題名がついていないというが心に残る旋律)とナレーションは次のとおり。 

  本日私は、フラレ~ました・・・わかっていました、無理なのだと。
 だけどもあのとき、少しだけ、微笑んでくれたとような気がしたから・・・
 こんなとき、いつも、涙を拭いてくれた母さんは今はいないから
 忘れます、忘れます、新しい私になって・・・忘れられると思います。
 新しい私になって


 (ナレーション)
 新しい自分に生まれかわったら、きっと、もっと美しい明日がやってくる。
 ・・・一瞬も、一生も、美しく、資生堂。

反響が大きく、資生堂にはたくさんの問い合わせがきたという。同社HPに説明がある。

企業CM「新しい私になって」で流れている曲名、歌っているアーティスト名、出演しているモデルの名前は以下のとおりです。
●楽曲名:CMオリジナル曲(CD化未定)
●アーティスト名:熊木杏里 (作詞 中島信也、作曲熊木杏里 歌熊木杏里)
●出演しているモデル名:マイコ

【CMの舞台裏】
写真家上田さんがプロとしてひとり立ちするまでを描いた「プロフェッショナル 仕事の流儀」の中で、このCMの仕事の舞台裏が取り上げられていた。

CMの日にあわせて資生堂が企業広告の長編CM(90秒)を撮ることが決まり、撮影が上田さんに依頼された。監督はこのCMソングの作詞も手がけた中島信也氏。坊主頭のこわそーな人。新人だが初々しさから抜擢されたMAIKO。絵コンテをみた上田さんは、この撮影のもっともむつかしいのが「涙のシーン」だと考えた。

撮影のロケ地、民家を借り切ってのCM。事前の打ち合わせで中島監督と上田さんが衝突。CMは大きく2シーンにわかれ、洗面台での涙のシーン(2階)と化粧台で気を取り直すシーン(1階)。どちらがむつかしいかといえば涙のシーン。監督はMAIKOに本物の涙を要求した。役者じゃないので果たして泣けるかどうか。

そのシーンのむつかしさから、監督は最初に化粧台のシーンを撮り、それから2Fにあがろうと主張した。たいてい1日で撮るCMでは、むつかしい場面を後にするのが定石だから。だが上田さんは、CMのシナリオどおり泣くシーン、そして化粧をして気持ちを切り替えるシーンという順序が自然であると主張した。恋にやぶれて涙を流す。それをお化粧することで徐々に立ち直る。それが自然だとして、まっこうから対立。中島監督のきついひとこと「だけど、俺はなかなかOKださないぜ」。

撮影の日まで、1階からか2階からかの順序は決まらなかった。撮影の日、中島監督が折れるかたちで2Fから撮ることになった。

しかし本番になって、いくら待ってもMAIKOから涙がでない。ついに10分のフィルム1本が無駄になった。休憩となった。気持ちを入れ替えることにするが、いったん撮影を中断すると感情を入れるシーンに戻るのはむつかしいのが演技の世界の法則である。

窮地に立たされた上田さんは、カメラマンの自分にできることを一心に考えた。それはたった今、無駄になった10分のフィルムを見て、何ができるか考えることだった。フィルムを観た。そこからわかったことは、「MAIKOは鏡に映る自分の顔の演技を見たとき、気持ちがさめている、だから涙がでない」のではないかという洞察だった。それをMAIKOにぶつけると、そうです、という返事。

それでアドバイスをした。気持ちが高まるまで鏡を見ないでずっとうつむいていなさい、と。2回目のテイクが始まった。そして6分後、ついに涙がこぼれた。自分のこぼれた涙を隠すように、MAIKOは自然に顔をかたむけ洗面台で顔をそそいだ。CMでは涙をこぼしたシーンではなく、涙を隠す、ここからのシーンが採用された。その中島監督の手腕も見事、である。

2006101800000031oricentview000

【いい仕事をするとは】
上田さんは独立直後、広告代理店のディレクターから面と向かって「君の写真は広告に全然向いていない」といわれたという。それで広告写真から一時離れ、女優さんのポートレイト写真を主に撮っていた。ポートレイトの仕事のコアとあるのは、その人のもっとも特徴のある「表情をつかみ、撮る」。はずされていたときの仕事が、このCMで生きた。

上田さんの信条とは、困難なときこそ自分の判断を信じて「カメラマンとして自分のやるべきことをやる」。

Photo_ps  写真家の上田さん NHKのサイトから。

だれでも仕事がうまくゆかないときがある。そんなとき、自分がやってきたことをどれだけ信じることができるか、自分の仕事の真ん中にあることにどれだけ執着してきたか、執着する気持ちがなえていないか。それが仕事の流儀をつくるということなのだろう。

わたしのささやかな流儀。コンサルティングの仕事とは「課題を洞察し、変化を創造し、人を動かすこと」、これに尽きる。その真ん中、変化の核になるものが「顧客にAha!といわせるクリエイティビティ」だと思う。もっといい仕事をしたい。メルマガやブログを書くのもそのため。

みなさんの流儀はどんなものだろうか。流儀には頑固さも必要だが、上田さんのように「仕事の原点への謙虚さ」こそ大切なようが気がした。柔軟にこだわるからこそ、現場を動かせたのであろう。そんな勇気をつけさせてくれたのが資生堂のCMであった。

今日の話題は次のメルマガのテーマでしたが、この話を書きたくて前倒しにしました。掘り下げられたら続編を書きます。今日は以上です。

今週は「コーズ・リレイテッド・マーケティング」を旬ネタで取り上げる予定。
ではまた明日、Click on tomorrow!

参考URLリスト
youtube 検索キーワードは「新しい私」 CMとNHKの放送あり(検閲削除が及ばぬうちなら_笑)
http://www.shiseido.co.jp/corporate-ad/060828ad.htm 
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/061005/index.html

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