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2006年10月 2日 (月)

ジェラス・ガイ/jealous guy ~メルマガ:ぷろこんエッセイの転載~

今日はメルマガ:ぷろこんエッセイからの転載で『ジェラス・ガイ/jealous guy』

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「そこまで会社を建て直して、なぜYさんは社長を退任されたん
ですか?」

当然の疑問だった。ある年には売上高30億円で15億円もの額の
赤字を出していた子会社を再建し、5年度目には売上高150億円、
50億円もの経常利益をたたき出したのだ。本来なら本社の重役に転出、
運が良ければ社長だってありうる。ところが「定年」という理由で退任
された。なぜだったのだろう?

「嫉妬なんだよ。男の嫉妬ほど怖いものはないですよ」と、Y社長の
片腕だったコンサルタントが言った。

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われわれがスピーカー側をつとめたコンサルティング・セミナーで、ある
ゲスト・スピーカーの話が非常に迫真的であった。本社で本業系の
管理者を務め、生産物流部門の建て直しもして、年も年だから(50代後半)
会社人生の余生はゆっくりと思っていたところ、子会社の社長をやれと
命じられた。毎年も莫大な赤字を出しているその子会社に行ってみると、
「親会社のブランド力で空威張り」「売れる製品より研究開発に命を
ささげる」「販売製品の戦線が拡大して、ほとんど利益が出ない製品
ばかり」という惨憺たる有様だった。あきらめムードが蔓延していた。

潰しちゃおう、それの方が本社のためだし、本社も腹芸でそう思っている
はず、とYさんは外部のコンサルタントと話した。しかしその会社の資産を
調べてみるにつれて、事業軸を明確にして、基礎研究開発部門を本体に
もどし、製品を絞り込んで挑戦すれば、何とかなるのではないか。そう思い
出した。そこからそのコンサルタントと二人三脚で再建の挑戦が始まった。

事業の建て直しにはいくつかポイントがあったのだが、わたしが感銘を
受けたのはふたつある。ひとつは80~90あった製品ラインをその1/3、
30ぐらいにまで絞り込んだ思い切りのよさ。返品制度がある業界なので、
そこがヌルマ湯になっていた。赤字を出しても製品を流通させれば
いいという雰囲気を、1/3に絞り込むことで活を入れた。

もうひとつはチャネル政策である。本社は業界屈指のブランド力がある
ので、既存のチャネルであれば取引口座を開いてもらえる。だがその
ブランド力は子会社の製品分野にはあまり影響力がない。他社ブランド
におされて、店舗では棚の片隅に埋もれてしまうし、店員の推奨も
とりにくい。そこで、ほんとうに売ってくれるお店だけに絞りこんで、
その製品の伝道師を育成する戦術に転換した。熱心に売ってくれない
既存の販売チャネルには卸さなかった。

すると既存のチャネルの大会社から、本社に非難の電話がかかるよう
になった。そういう業界の掟をこわすやり方をされちゃ困りますね、と。
それに恐れをなした営業担当が、Y社長のもとに駆け込んできた。
Y社長は言った。

「ならばこうしよう。取引先から非難がきたら、それを営業担当の評価に
する。今期は、それ以外の活動や業績は評価しない。非難がたくさん
くればくるほど、評価を上げよう」

いったん決めた事業方針を貫徹する、そういう心粋もあって、急激なV字
回復企業となり、グループの問題児が一躍、優良児になった。当人たちは
くわしく語らないが、その優良さゆえにねたまれた。優良児になって、その
子会社は本社に吸収された。悪いと潰せ、良くなると手柄は誰がどうした
からという、節操のない本社政策にまぎれる中、Y氏は社長を退任した。

Y氏が「ご苦労さん」の「もう上がり」の人材であるなら、毎夏の高校野球
でも観て好々爺になるのだが、見ている人は見ているもので、他社から
お呼びがかかって、三顧の礼でもうひと働きをお願いされた。今では
産業界に復帰している。

あまりに劇的な成功のせいで、男から男が嫉妬されたのだ。嫉妬が激しく、
陰惨になるのは、男と女の間柄よりも、男と男の間なのである。

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男の嫉妬、読者には思い当たるフシがあるだろうか?

たとえばわたしの父が慨嘆していたことがある。会社勤め人としてそこそこ
実績を上げて、本社から関係会社の理事職に転籍した。社内の技術コンサル
タント的な閑職だったと思うが、そこでもいくばくかの人望を集めたらしい。
そんなある日、父は、ある常務に呼ばれた。常務からこう言われた。「君ィ、
ちょっと交際費、使いすぎではありませんか」。

「はあ?交際費って、わたしが使ったものですか?」ときょとんとした父。

交際費など一銭も使ったことがないのに、それこそン十万も、身に覚えの
ない交際費支出を指摘された。驚いた父が調べてみると、父の上司に
あたる部門長が、断りなくツケをまわしていたらしい。ほどなく父は会社
づとめに終止符を打った。

嫉妬はいじめにつながる。

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サッカーの試合を観ていてもジェラシーの存在を感じるときがある。
選手交替の場面だ。何度も決定的な機会を外したフォワードを、堪忍袋の
緒が切れた監督が交替させる。すると交替方針にも、交替する選手に
対しても、フォワードがとても不満な表情をする。ラインをまたいでアウト
する際、交替選手の顔さえ見ないとか。

先日のJリーグのジェフ千葉のニュースでは、練習試合でさえ選手交替に
不満で、ベンチに下がった選手がバケツを蹴るわ、わめくわ、たいへん
だったらしい。将来をとても有望視されているユースの代表選手である。

嫉妬は自暴自棄、暴挙にもつながる。

そこへゆくと「なでしこリーグ(女子サッカー)」での選手交替は、「あなたに
まかせるから、がんばってね」「あなたの分もがんばるわ」という雰囲気に
満ちていると、スポーツライターの増島みどりさんが書いていた。わたしは
女ではないので、ほんとうにそうかどうか、わからない。

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「お前もコンサルだったら、この人間心理だけは覚えておけよ」とコンサルタント
の先輩がわたしに言った。
「はい、なんでしょう」とわたし。
「人間っていうのは、認められたい動物なんだ」

誰かに認められるから人間は働く。認められないからモチベーションが
下がる。単純なことだが、万有引力の源のような強力な力が働いている。
「認められたい動物法則」をいつも念頭においてコンサルしろよ、そうで
なければ会社は動かないし、組織風土も変わらないという先輩の助言だった。

ジェラシーは自分を高める動機にもなれば、自分を貶める恥ずべき感情
にもなる。組織があるところに嫉妬あり。他者をうけいれようとする心理的な
葛藤がある。上手に認める度量のある長がいれば組織力はアップするし、
なければ下がる。

古い歌だが、ジョン・レノンはこう歌っていた。

Lenon

I'm sorry that I made you cry. (泣かせてごめん)
I didn't want to hurt you. (傷つけたくなかっただけなんだ)
I'm just a jealous guy. (俺って、バカな嫉妬深い男なんだ)

そう、認めてしまえばいいのだ。自分の嫉妬深さを。そうすれば楽になる。

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隔週で書いてきた「ぷろこんエッセイ」(http://www2.gol.com/users/gowild/)からの転載です。毎日のブログは面倒、でもエッセイぐらいは読んでもいいや、という方は、まぐまぐへ( http://www.mag2.com/m/0000096057.htm)

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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