ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチできる時代へ。
勝手にアドバイス:旬ネタ、3日目のテーマは、ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチというテーマ。抽象的な内容ぽくてすみません。言いたいことはかなり単純ですので、最後までお付き合いください。
【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.3】
最初から脱線ですが・・・
動画サイト大手youtubeがGoogleに買収されるという大型ニュースがあった。
Video website YouTube co-founders Steven Chen (L) and Chad Hurley in a 2006 publicity photo released to Reuters October 9, 2006.
号外にも書いたが、何よりIPO(株式公開)するよりも身売りで2000億円の濡れ手に粟。いまどき会社を公開するということは、「内部統制」というハードルがあるから(内部統制コストを費やし、株主に気をつかい、統制が乱れれば役員は辞職etc.)公開しないのも有力な選択肢になった。その意味で身売りは正解だろう。
忘れてならないのは、youtubeが大手メディアとの提携したことと、身売りの決断は「セットである」ということだろう。爆発的なサイトアクセスを背景に、著作権問題が先鋭化しないうちに大手メディアと提携、そしてそれを担保に身売り。この間、一年に満たないのである。ネット時代寵児、史上最速の売り逃げという、心に残る事例になった。
教訓はいくつかある。コバンザメ・ビジネスでもネット界のそれは小判ザメ(笑)。ショッピングの主力がネットになる3年後(ぐらい)、今までのマーケティング常識は崩れ去る。だから、まだたくさんの小判チャンスがあると思っていい。cherryさんとわたしも、新事業の密談をして盛り上がったところ。サメだけでなく、目からウロコのマーケティング・ブログも志したい。
【関連とクラスタの関係】
昨日、関連とは「あ☆面白いものあるじゃない!これもあれもカートに入れちゃおう」を引き出すテクニックであると書いた。ところがそれとそれが関連しているかどうか、その関連に気づくバックグラウンドを持っていなければ、せっかくネットやリアルのお店側が苦労して関連づけの商品展示をしても意味がない。
だから「クラスタ」という考え方に行き着く。クラスタ分析とは「対象をいくつかの排他的グループに分け、グループ内を比較的同種のものにする手法」(P・コトラー)である。そのある排他的グループでは、同種のニーズがあると仮定され、同じような性向をもつので、同じような消費行動をとるとされる。帰属意識が強ければ強いほど購買が深まる。だから基本的な順序はこうだ。
クラスタ → 購買
商品やサービスにより異なるものの、あるクラスタに属していることで、ある特徴のある購買行動をとる。趣味品や嗜好品ほどに表れないにせよ日用品においても表れる。無農薬・有機野菜を買う、米国産牛肉を買わないのも、国民全体をいくつかに分割する大きな区分(クラスタ)である。
ところが関連とクラスタの関係はややこしくなる。「クラスタ→購買」は一般にこういう関係であると認識されている。
クラスタ → 購買 → 関連 → もっと購買
Amazonのおすすめも基本的にこの流れである。もう一歩踏み込むとこういうことなのかもしれない。
クラスタ → 購買 → あなたはこのクラスタに属しているのです! → もっと関連・もっと購買
「あなたはこのクラスタに属しているのです!」という、「クラスタへの帰属想起」を引き出しているとも言える。「あ、わたしはこれが好きだったんだ」と気づかせるのが、Amazonの関連本のおすすめである。
とここまで書いたら、サメさん(人間です 笑)という、いつもとても派手なシャツを着ているコンサルタントが近づいてきて、ちょっとおしゃべりをした。彼の今日のシャツは鮮やかなグレー地のクレリック・シャツ。袖は白地のダブルカフス。バーバリー柄のカフス(上下共にボタンのかたちをしている)がオシャレでした。彼はシャツを作るとき店頭でこう言われただろう。「この柄のダブルカフスのシャツを誂えるのであれば、このカフスボタンがぴったりですよ」と。まさに関連販売である。彼のシャツはアメリカ人みたいな派手さでいつも楽しいし、彼もそれを意識しているだろう。
シャツそしてカフスボタン、派手なシャツのアメリカ人と同じ「鮮やかシャツクラブ」というクラスタに属する商品。そういうクラスタ商品の購買行動は「鮮やかシャツクラブ」に属していると見られたいという、隠された購買動機もあるだろう。
【クラスタ分析は無力か?】
しかし今時のマーケティング・プロジェクトでは、「御社の顧客データベースを元に5つのクラスタをつくりましょう」と口にした時点で、その提案はオシャカなのである。「何、バカなこと言ってんの?」という虫けらを見るような目で、お客さんににらまれてしまうのがオチ。失注、さよならである。
とくに消費財では、顧客を何らかの軸でクラスタでくくろうという考えがナンセンスと考える企業が増えている。お客様はカメレオン。クラスタ?どんな切り口で?どんな切り口でも無意味だよ。ピリオド。だから、販促ジャブを打ち込んで当たれば八卦、当たらなくても八卦。これが販促現場の現実である。
だがネットでの関連購買を考える場合、やりようによってはクラスタ化がロジカルにできるのではないかと思う。ひとつの切り口が「画像/デザイン」である。
【画像を切り口にするクラスタ化】
わたしの通勤バッグはデザイナーPhilip Starckの品。発売当初ではなく、流通在庫をフランスから買ったという凝りようだった。携帯電話はデザイナー深澤直人氏のinfobar。デザイナー系譜を知る人であれば、この二人のデザインには接点があることがわかる。デザイン論を論じる場ではないので省くが、形やテイストにはその系譜が表れている。
スタルクと深澤、似てるだろうか?
デザインも今や3Dで解析されすべて数値化ができる時代。抽象的なデザイン論をぶちかますより、商売を考えるとき、デザイン(形状、カラー、素材)情報に多くのタグを付けることで、かなりの関連づけができるのではないだろうか。タグとは色番号、艶、柄、サイズ、パターン、暗さ・明るさ、好まれ度合い、嫌われ度合い・・・など。将来、デザインが入力時点から3D化され数値情報に置き換えられれば、画像(情報)からの商品選択行動の意味づけが可能になるのではないだろうか。
デジタル化で、画像情報の関連性が紐とければ、ある種のシステム手帳と万年筆の関連購買があることも、確率的にはレコメンドができるのではないか。色はもちろん柄でもデジタル・サーチができるなら、インテリアやファッションのレコメンデーションも「お、こんなぴったりの選択をしてくれるの!」ということになる。
好きなアイドルを5人分の画像を集める。それらを3Dで徹底解剖すればどんなアイドルのどこが好きだということが数値化できる。結婚情報サイトでの「マッチングの相手探索」によさそうな機能である。だがそれはあくまで外面である。内面・・・性格、遍歴、やさしさ度合いはわからない。内面のマッチはどうしたらわかるだろうか。それも「関連」かもしれない。
今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!
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