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2006年10月28日 (土)

コーズ・リレイテッド・マーケティング vol.6 コーズ・リレイテッド・マーケティングの成功って何?

5回にわたり書いてきたコーズ・リレイテッド・マーケティングの最終回は、5回の連載を概観しつつ、「その成功って何?」という素朴な疑問に対する解を考えてみたい。

誰が勝利する(利益を出す)のがいいのか?負けても(コスト負担になっても)いいのか?そして、マーケティングの勝利はいつも正しいのか?

コーズ・リレイテッド・マーケティングの3つの効果】
わたしなりに効果を以下の3つに分類した。

1.慈善効果
2.販売効果 
3.従業員効果

慈善効果はいうまでもなく「本来の目的」である。ところが「本来の目的」の実現には、自分のことはさておき弱きを助けるという崇高な気持ちが必要である。だが結局人間は、自分(たち)がかわいいので、他者まで面倒をみたくない、みきれないということもあるだろう。弱きを助けたい崇高な気持ちはあっても、さまざまな理由で(お金がない、時間がない、ヤル気がない)行動ができないということもあるだろう。

その言い訳を認めながらも「でもさ、援助が欲しい国々から遠く離れた先進国の日常生活の中でも、きっとできることがあるよね」というアプローチが2の販売効果であった。商品の一部にチャリティを埋め込んでしまって、販売者と消費者が手を取り合って、消費行動でチャリティを行うもの。

そこにコーズ・リレイテッド・マーケティングのあざとさがある。

【(PRODUCT)REDの潔さ】
Apple nanoも参戦した(PRODUCT)REDキャンペーン。その活動を象徴するフレーズはこれであった。

『REDは慈善ではない。ビジネスモデルである』

ここのくだりの原文を引用してみよう。

(RED) IS NOT A CHARITY. IT IS SIMPLY A BUSINESS MODEL. YOU BUY (RED) STUFF, WE GET THE MONEY, BUY THE PILLS AND DISTRIBUTE THEM. THEY TAKE THE PILLS, STAY ALIVE, AND CONTINUE TO TAKE CARE OF THEIR FAMILIES AND CONTRIBUTE SOCIALLY AND  CONOMICALLY IN THEIR COMMUNITIES.

【拙訳】
REDは慈善ではない。ひとつのビジネスモデルである。賛同者は(RED)対象物を買う。われわれ(The Persuaders, LLCとThe Global Fund)はそのお金を得て、薬を買い、彼ら(アフリカ諸国など)に届け、彼ら(患者)は生存することができる。彼らは家族の面倒を見ることできるようになり、地域の社会経済に貢献もできるようになる。

先進国の消費者がRED製品を購入することで、砂漠化が進むアフリカ諸国や中央アジア、南米などの人々が助かる。慈善を人々から獲得するために「アタマを下げる」ことも「声高にべきだ論を主張する」こともない。しかも販売している商品は、ホワイトやイエローリボンのように陳腐化していないし、わざとらしさがない、カッコ良い製品ばかりである。http://www.theglobalfund.org/en/funds_raised/distribution/

REDには、慈善を恩着せがましくしない新しさがある。

Red_3506

ちなみにThe Persuaders, LLCとはREDキャンペーンを実行している企業であり、(RED)商標権をもち、ライセンス販売を実施している。The Global Fundはチャリティを実施する基金である

【インターネット効果】
グーグル副社長のヴィントン・サーフ氏は日経ビジネス誌でのインタビューでこう語っていた。「インターネットユーザーは世界でまだ10億人に過ぎない、50億人もの人々がまだ使っていないメディアである」と。わたしにはこれが象徴的な言葉として残っている。ネットはまだこちら側(先進国)とあちら側(発展途上国)を分かつメディアなのである。

REDキャンペーンの成功はネットの力によるところが大きいと書いたが、それは10億人、つまり「施し側」の連帯の成果なのである。街中で「阪神・淡路大震災義援金」募金を集めていたのが詐欺だったというようなこともあったが、インターネットというメディアが10億人にも行き渡り、多くの人の目のチェックが入るようになったことで、信頼に足る情報が集積しつつある。

どこで誰が何をやっているか、ネット上での表明やバイラル(口コミ)を通じて筒抜けになる。それをうまく活用することがチャリティ活動でも重要になってきた。

【参加型/関与型マーケティング】
伝統的なマーケティングの5Pの内、Place(チャネル)は「Perticipation=参加経路の見える化」に変化してきたと書いた。コーズ・リレイテッド・マーケティングでは「いかに消費者を巻き込むか」が焦点である。

もちろんPVだとかクリックレートだとか、数値から見えるものにはまだ限界があるし、突き詰めれば「多けりゃいいものではない」という声もある。だが、コメント書き込み、リンク、トラックバック、タグなどウェブ技術を駆使して、参加者を増加させることは重要度を増してきており、体系化をする研究がもっと必要であろう。

【そもそもコーズ・リレイテッドな商品・サービス】
ハイブリッド車を例に挙げて、「地球環境に優しい機能」が商品やサービス活動に組み込まれていることが、本来のあり方ではないかと書いた。

ただしハイブリッド車は同機能ガソリンエンジン車と較べて30~40万円は高いのが現状である。自動車のような高額な商品でなくとも、「いくらまでがコーズ・リレイテッド・プレミアムとして妥当か?」 これを測るにはまだ事例が少ない。欧米の成功したキャンペーンでは、価格の5~10%という数値が見えてくるが、ここにも研究が必要である。

【コーズ・リレイテッド・ワーカーが増えてゆく】
欧米の意識調査から「チャリティ活動を実施する企業には高い評価」が与えられると書いた。チャリティをキャンペーンとして短期間実施するのではなく、何年にも渡り継続的に実施する企業はさらに賞賛される。

企業価値を向上させるためにその企業がどのような理念を持っているか、何のために働こうとしているか、事業活動にコーズ・リレイテッドな仕組みがあるか、こうしたことをチェックした上で企業を選択する「コーズ・リレイテッド・ワーカー」も増えてゆくのではないだろうか。

今週もお付き合い頂きましてありがとうございました。明日は少し柔らかい話題、明後日はぷろこんエッセイという予定でおります。ではまた明日。Click on tomorrow!

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