【勝手にアドバイス旬ネタ: 2.セカンドライフで生まれ変わる】
昨日から書き始めた「オンライン・アイデンティティ/Online ID」、今日は2回目。昨日のBREEは、個人の表現欲から始まったエンターテイメントであった。今日はSNS、youtubeと次いで、いよいよ日本でもブレイクしそうなのがSecond Lifeにおけるオンライン・アイデンティティがテーマである。
***********************************************
Lonelygirl15というオンライン・アイデンティティ → fin
Second Lifeで生まれ変わる → today
膨張するオンラインID
オンラインIDビジネス
オンラインIDはペルソナか?リアルか?
オンラインIDの価値
***********************************************
米国のSecond Lifeのサイトのトップにはサイトへの訪問者数値の表示がある(2006年12月5日18時現在)。
Total Residents(全居住人口=アカウント数): 1,814,140人
Logged In Last 60 Days(60日以内のログイン数): 690,800件
Online Now(現在のオンライン数): 8,641人
US$ Spent Last 24h(過去24時間にトレードされた金額): $654,016(約7450万円)
LindeX Activity Last 24h(リンデクス消費=サイト通貨): $125,432
100万人を突破したのは2006年10月19日の早朝だということですので、わずか2ヶ月で倍増しそうな勢いである。180万人を行政区としてみれば、だいたい栃木、岐阜、熊本、鹿児島各県の人口と等しいサイズである。現在はアメリカ国民がほとんどであろうが、いよいよ日本や韓国への上陸も間近、そしてSun Microsystems、Reebok、BBC、トヨタ自動車、Wells Fargoなど大手企業が続々進出しているのだ。
Second Lifeの「住人」がMixi規模に達する日は間近である。
【Second Life/セカンドライフとは何か】
バーチャルワールド Second Life は、すべてユーザーが創造し発展させてゆく、永続的な 3D オンライン スペースです。 巨大で急速に拡大していくこの世界では、想像できるあらゆるものを創造し実現できます。 内蔵のコンテンツ クリエーション ツールを使って、リアルタイムで他の住人と協力して、想像できるものを何でも作ることができます。
(日本版の準備サイトより) http://secondlife.com/world/jp/whatis/
サイトの運営側が用意しているのは、基本的に、バーチャルワールドで遊んだり、住んだり、働いたり、買物したり、飲んだり食べたり、飛んだり、生まれ変わったりできるウェブ上のパーツだけである。参加する住人が好きなときに好きなように、自分や自分の世界を「向こう側」で作り上げていくという世界である。
Second Lifeが登場した2003年頃、「オンライン・ゲームの派生版」と捉える向きが多かったが、あくまで運営者(Linden Labというベンチャー企業でAmazonのJeff Bezosらも出資)はアバターやサイト(家や店)構築の技術までをユーザーに公開する「第二の世界である」としていた。
Second LifeはMOD技術(ユーザーがサイト内で好きな表現ができる技術)をとりこんだMMORPG(多人数参加型のロールプレイ・ゲーム)で、もともとのアイディアは「シミュレートされたバージョンの世界(第二の世界)をつくろう」というもの。組み込まれている物理シミュレーションとスクリプトエンジンがユーザにも開放されているのが特徴で、ユーザは3Dモデリングをおこない、スクリプトを書くことで、ピアノや銃、クルマといったゲーム内アイテムを自由に作成することができる。
http://www.rbbtoday.com/news/20060323/29780.html
つまりどんなアイデンティティ(顔、背丈、体重、ファッション、挙動・・・)を創るか、そこで何をするか(遊ぶか、学ぶか、働くか、住むか、買うか、食べるか、逃げるか、消えるか・・・)、いくら遣い、いくら稼ぐか、すべてユーザー自身に委ねられている。
それらの特徴をひとことで言えば、現実の世界と同じ。
【3つの先進アイデンティティ】
ビジネスとしてもブレイクしつつあるが、それは明日/以降に取り上げよう。3つのオンライン・アイデンティティ事例を挙げて、アイデンティティとは一体何なのか、その可能性と危うさを考える。
1.ニュース・リポーター: ロイターSecond Life支局 Adam Pasick氏
2.芸術家:スザンヌ・ヴェガ(ミュージシャン)
3.経営者:サミュエル・J・パルミサーノ氏(IBM 現CEO)
【Adam Reuters(アダム・ロイター) in Second Life】
ニュース配信会社、ロイターは「支局」を2006年10月、Second Life内に設置した。それ自体も耳目を引くことだったが、開設にあたりもうひとつ(CEO自ら、相当に)突っ込んだコメントがあった。
ロイターCEO トム・グローサー談 「ロイターはすべてのイノベーション、新技術、新顧客、新しいニュース技術をカバーする。Second Lifeにおいても新しい時代にふさわしい役割を担い、Second Life内のニュースをリアル世界に伝え、リアル世界の話題をSecond Life内で伝える」
左リアル、右Second。
Second Lifeのニュースを外部に伝える、リアル世界のニュースをSecond Life内で放送する、というのだ。アダム・ロイターことアダム・パシィック氏は、世界初の、「リアルとバーチャルを結ぶニュースキャスター」というアイデンティティを背負ったのである。いかれたベンチャー企業のイケイケムードの中での実験ではなく、伝統ある大手ニュース企業の社員としてである。
あの世とこの世に分裂したアイデンティティを彼は保てるのだろうか?
今までのところ、彼が統合失調症になったというリポートは(自ら言い出すことはもちろん)ない。だがリアルとバーチャルの境目に立ったニュースキャスターとして15年後ぐらいには、宇宙旅行に初めて行った民間人と同じレベルで崇められるのではないだろうか?
http://about.reuters.com/pressoffice/pressreleases/index.asp?pressid=2768
【芸術家:スザンヌ・ヴェガ(ミュージシャン)】
スザンヌ・ヴェガはSecond Lifeでアバターを持った、最初のメジャー・ミュージシャンである。2006年8月からだそうだ。彼女自身のアバターよりも凄いのが「Building Suzanne Vega's Guitar」のアニメ。ギターが作られる工程が3分ぐらいに圧縮されている。これは見とれてしまう。ぜひ見てほしい。
彼女のアイデンティティとは、このギターが作り上げられていくサマなのであろう。
Guitarが。
できあがる。
ちょっと前まで多くのミュージシャンたちは、自分の曲がネットからダウンロードされることさえ嫌がっていた。ところがスザンヌは自分自身をSecond Lifeで「歌う分身」にしてしまったのである。今のアバターのスザンヌは、Second Life内のスタジオで歌うぐらいだが、きっとSecond Lifeでの生活や思いをこめて作詞・作曲し、そこでヒットした曲が、リアル世界に逆上陸する日も近いかも知れない。
そのとき、リアルの世界向けのメッセージと、Second Lifeシチズン向けのメッセージとでは、いったい何が異なるのだろうか。
スザンヌ・ザ・アバター・シャツ(販売中)。
今やスザンヌだけでなく。
【経営者:サミュエル・J・パルミサーノ氏(IBM 現CEO)】
IBMは2006年11月、Second Lifeで新事業育成に「1億ドルの出資を決定する」という発表をした。
どうやらこれは同社の若手従業員からの発案らしく、CEOのPalmisano氏がどこまで本気か怪しいのだが、それにしても世界最大のコンピュータ・カンパニーが1億ドルの内、何%かをSecond Lifeでのミーティング開催の予算として割り当てるというのだ。
このニュースよると、『IBMと中国政府がSecond Lifeの仮想世界に設けた「Forbidden City」では、Palmisano氏のアバターが、今回の発表について論じることになっているとIBMの関係者が語った』そうだ。軸足を中国内に置き、そこで市場や発想を得たいということなのだろう。パルミサーノ氏、結構マジである。
IBM meets the forbidden.
おもしろいのは、IBMはミーティングという機能の上でリアルとSecond Lifeを行きつ戻りつする点。両者の境目をあいまいにすることで、どんな発想上の効果をねらっているのだろうか?それはどっちに(リアルかSecond Lifeか)展開させるのだろうか?同社の実験の成果報告を待ちたい。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20315209,00.htm
【行きつ戻りつ、生まれ変われるとしたら】
わたしは生まれ変われたとしたら、断然建築家になりたい。家でもオフィスでも美術館でも庁舎でも道路でも橋でもいい。世の中にかたちに残るものを創り、遺したいから。
Second Lifeはそういう夢を持つ人を誘い、実現してくれるワールドである。スザンヌの「Building Guitar」と同じようなアニメで、基礎、養生、柱、梁、棟上、壁・・・・と建築工程を教えてくれるのがSecond Lifeの機能である。速習効果は相当高いだろう(だがリアルの腕前になるかどうかは別)。
リアルの生活に疲れた。敗れた。やり直したい。だがリアルの世間は冷たい。40代ではやり直せない。
だがSecond Lifeなら、いつでも受け入れてくれる。捨てた夢にもチャレンジできる。バーチャルで行動のパーツがそろっているから、ある程度までは自分でできる。あとは先生アバターやコーチ・アバターを探して上達すればいい。しばらくそれを繰り返していると、そんじょそこらの学校に通うよりも早く、ある分野の専門家になっているかもしれない。ニートにも効くかもしれない。
スキルを身につけSecond Lifeを卒業して、リアルの世界に(再)デビューできるかもしれない。
Second Lifeは新たなアイデンティティを生み出すというより、リアルのアイデンティティをリセットし、修復し、リストアし、再生する機能をもたらすように思える。その意味では、カウンセリング、教育という分野に可能性が高いと思う。
今日は以上です。今ではまた明日。Click on tomorrow!
最近のコメント