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2007年2月の28件の記事

2007年2月28日 (水)

ポイント・ウォーズ 3.ポイントからターゲット・マーケティング?

今週の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント。

昨日のブログ「ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ」では、NTTドコモはポイント引当金を積み増したくないという理由で、マクドナルドと提携して「刹那な割引」であるトルカ(電子クーポン)と連携させる、ということを書いた。これは正しい読みだとは思うが、ドコモが引当金という消極的な理由だけで提携したとは考えられない。もっと積極的なねらいがあるはずだ。

マーケティングとは、ターゲットをねらうことに始まり、ターゲットがねらわれたことで満足する。これが美しいマーケティングである。ポイント・プログラムとは、その美しい道に乗っているのだろうか?

そこで今日は、トルカという一見してポイントとは異なる販促手段から、ポイントプログラムの利点・欠点を観る。今週の旬ネタ3回目では、「ポイントからターゲット・マーケティング」という公式を疑ってみたい。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 3.ポイントからターゲット・マーケティング?】
まず、NTTドコモのトルカで何ができるかみてみよう。

「トルカ」とはおサイフケータイで取得できる電子カードのこと。
トルカは、レストランカードやクーポン券など、これまでは店頭で紙媒体として配布されていたカードなどをケータイに取り込むことができるサービスです。取得した情報はケータイ内のフォルダに格納され、ケータイ上でカンタンに検索・ソートなどの管理ができます。

引用元 http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu/toruca/index.html

 Whats_01  Whats_02

イタリアンレストラン・ボーノボーノで10%のクーポン(トルカ)を取得ができる。また画像広告の配信で入荷しました!」「おすすめ!」をプッシュ配信もできる。トルカの取得はお店などでできるので、特定エリアでの配信や、時間帯別の配信などが可能である。タクシーでも配信されて販促手段として普及しつつある。

このトルカは携帯内でカテゴリ別に保存管理などができる。いつか使うだろうという、気軽な気持ちでピッとやって保存しておくことができるのだ。しかも友達同士で交換もできる(903i/703iシリーズ以降のおサイフケータイ)。

トルカのサービス提供は「アサヒビールの直営店(生ビール1杯)」「アパホテル(チェックアウト延長)」「アルゼ(アミューズメント1,000円分)」「カレッタ汐留(割引)」「キッコーマン(速攻レシピ)」「タワーレコード(セール情報)」「JAL日本航空(割引)」など、もりだくさんである。

問題はトルカを使うときは「お店で電子クーポンを見せるだけ」というところ。ぐるなびのクーポンと一緒で、プリントアウトする(住所や氏名はほとんどの人が書かない)のと本質的に変わらない。見せるだけだとチェックアウトをされたという情報は、その携帯の持ち主を特定できない

【そこでidとの提携】
「iD(アイディ)」は、おサイフケータイをかざすだけでショッピングやキャッシングができるクレジットサービスです。クレジットだからチャージ(入金)の必要がなく、より便利にケータイひとつでショッピングができます。ご利用いただくには「iD」に対応したクレジットカードサービスへのご加入が必要となります。
http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu/id/index.html

Logo_id ロゴ。

これはいわゆるおサイフケータイを用いた電子マネーサービス。差別化はトルカと同時に用いてもらうことで、誰がいつ何にいくら消費したことがわかること。それも特定の広告や電子クーポンという特定日時の販売促進からいつ消費したかがわかる。あるいは消費しなかったこともわかる。そして、その理由もわかる(なぜならその人はその販促やそのクーポンには興味がないからだ)。

販促と消費を結んだ消費者データを入手できること、しかも携帯電話という個人情報(性別・年齢・居住地・携帯消費履歴等)が併せて分析できる。マーケターにはなんて素敵な仕組みだろうか。

余談だが、ここまでの追跡&分析ことができそうなのに、なぜ世論はプライバシー侵害を訴えないのだろうか?それも不思議だ(ICタグではプライバシー侵害が相当に議論されているというのに)。

【結局ポイントプログラムで何をしたいのか?】
多くのポイント・プログラムがターゲット・マーケティングになっていないのは、「何をしたいのか」が明瞭でないからである。ポイント・プログラムの目的をパターン別に観てみよう。

①ポイントで割引を先に持ち越したい
この効用は顧客の自社・自店からの離反を防ぎ、自社にとっては割引原価を延べ払い、ないし使われなかったらチャラにできるという利点がある。

言い換えれば、先に現金割引してしまうとつきあいがなくなるという不安と、当面の資金繰りをよくする一方、使われなかったら儲けになる。お客様にとっては、いつか(通って貯まれば)割引になるが、一定ポイントに達しなければ使わないのでムダになる(店の得になる)。

顧客志向とは言いにくいので、そこを見透かされて効果が出ない。目下のところ赤字なら、思い切って中止も検討すべき。

②ポイントとは事業アライアンスを実現する企業通貨である
自社・自店だけでなく多くの仲間と共同で、同じ制度を運用することで「あそこでも貯まる・ここでも貯まる」。古くからある商店街スタンプカードの発想が原点である。これには二つのパターンがある。

 強者連合により、囲い込みを強固つくり、他社に勝つ
 弱者連合により囲い込みをつくり、強者に負けない

この二つのパターンともに顧客視点が感じられず、自社都合が優先されているのはさておき、サークル内での個別の企業はその強さ・弱さで、容赦ないしっぺ返しもある(つまりポイント引当金を積む必要があること)。グレシャムではないが、通貨はいつでも強い者に流れるのであるので

③ポイント=仮説検証の顧客ファンづくりツール
わたしは、やはり原点はここにおくべきだと信じている顧客との関係性を濃くする、顧客を知り、何が欲しいか知り、商品やサービスを改善するツールとする。どうしたら喜んでもらえるか、来ていただけるか。それを考えること。恋人を想うのとまったく同じである。

仮説検証といえばイトーヨーカ堂である。ちょうど、今日、元イトーヨーカ堂に勤めていた青年Uと喋っていた。イトーヨーカ堂では新人研修から仮説検証、つまり今日はこういうものが売れる、売れたら評価、売れなかったら反省という繰り返しをするという。店長会議では売上が下がった店長に対して、データをベースにどんな仮説を立てたか、なぜその仮説が効かなかったのか、どうすればいいのか、徹底的に絞るという。

小売業に限らず、仮説検証という思考はほとんどの企業ではなされていないのが実情である。POSデータだって(まったくと言っていいほど)使われていない。ICタグになって情報量が増えても同じであろう。

【ライフスタイル分析こそ王道】
多くの企業が大同連携して「ポイントが移行できます、だからお得です」という連呼をされても、すべての企業にメリットがなく、すべての顧客にとっても必ずしもメリットではない、これは明白である。

他社とアライアンスをする場合で効果が出るのは、当たり前だが、アライアンスで内部競合が起きずに、内部競走が起きる場合である。東京メトロのTo me CARDのようなビジネスモデルならそれが可能である。その駅周辺のお店を組織化してエリア制覇をねらうポイントプログラムとする。ポイントと電子クーポンの販促を共通化するならば、エリア全体での集客力が高まる。

あるいはHondaやToyotaのような自動車会社がガソリン、自動車用品、自動車保険、車検、駐車場・・・など自動車がらみでポイント連携する。それだけではおもしろくないので、車種別にライフスタイル分析ができるように提携先を変えてもいいだろう。

ToyotaのbBのような個性的なクルマなら、ファッション、時計、アクセ、香水、音楽、エステ・・・など、乗り手のライフスタイルを丸ごとポイント化するような事業提携を導入する。ターゲット層が望む(であろう)特定のファッション・ブランドやライフスタイル・ブランドと連携するのである。それを「id」+「トルカ」のようなツールでで実施すれば、次のマイナーチェンジへのヒントだけでなく、そのターゲット層向けの商品開発にも役立つのではないだろうか。

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【マス・店舗・eの違い】
薄利多売でやっているマックの原田社長は、最初は電子マネー導入の申し出を断った。『うちは薄利多売だから赤字になる』と言ったという。システムの利用ロイヤルティの支払いが利益を悪化させるからだ。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/33366.html

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だがそれを思い直したのは、ここで損しようが損しまいがいずれキャッシュアウトの電子化は不可避である。ならばドコモに学ぼうと思ったのと、それに加えて低年齢&低所得ばかり相手にはできない、もっと店舗別・時間帯別・ライフスタイル別の分析が必要だと考えたからであろう

これもそれも仮説検証である。どこの企業も、慣れるまで最初は苦しいかも知れないが、時間をかけて仮説検証を企業体質に刷り込むしかない。いかなる事業でもいかなる業務でも、仮説が商売開発を改善する第一歩だから。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月27日 (火)

ポイント・ウォーズ 2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。

今週の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント

こんなテーマを書いているわたしだが、実はあまりポイントには敏感な方ではない。灯台もと暗しでごめんなさい。たとえば、以前ずいぶん貯めた米国ユナイテッド航空のマイレッジは期限切れでサヨウナラ、ユニクロのポイントはいつの間にか制度が廃止されていた、HMVのポイントカードもいくつ作っても、そのたびにどこかに消えるのです。

唯一得したな!と思ったのは国内線で貯まったANAのマイレッジをヨドバシカメラにポイント移行して、ヨドバシ新宿店でiPod nanoを買う足しにしたことである。まだありました。会社近所の新橋のタイ屋台料理TINUN(ティーヌン)のポイントは貯まっている。ポイントは貯まってタダランチも食べたが、すこぶるタイ好きのわたしは、ポイントがなくてもそこに行くのである。そこには根本的な問題が潜んでいる。

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  ヨドバシに敬意を表して。

2回目の今日は、ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。】
ポイントとはそもそも何なのだろうか?購入を促進する手段?顧客ロイヤルティを高める手段?割引のアト約束?

その起源はとりあえず明らかにできなかったが。そもそもは商店街のスタンプカードが起源で、80年代からお目見えしたマイレッジでスピンがかかり、ネットワーク社会になってからどこもかしこもやりだしたのであろう。

そもそもは顧客ロイヤルティを高める手段、つまりリピーター獲得であったはずである。ところが「FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)の伝導師」とも呼ばれる日本NCRの大竹佳憲氏はこう語っている。

FSPが目指すのは、顧客のニーズにあわせた顧客分類。つまり、顧客のライフスタイル、ライフシーンの分類だ。 例えば、ペットを飼っている人、低脂肪食品や無農薬食品を好む人などをカテゴライズ。仮説を立てて、その世帯にもっとも効果のあることを行う。そうすることで、商品に情報が付加され、何故それが必要なのかを説明することが出来る。 また、メーカーなどとタイアップして、顧客のメリットを与えることも可能。現状では多くの企業が、価格が安いのか高いのかという情報しかつけていない。それでは、優良顧客のニーズには応えられない。
http://www.nethanbai.jp/muryo2003_11.htm

つまり単純な「割引」ではなくて、お客様のライフスタイルやライフシーンでの消費情報を蓄積するために、良くお店に来られるお客様の購買行動を分析しよう、そこからどんな商品が欲しいか仮説を立てて、お客様やその世帯にとって価値のある商品を販売しよう、というねらいから始めた。そのためにポイントを貯めてもらって自店・自社の使用頻度を上げるというのがそもそものねらいであった。

ところがそんなことはうっちゃってしまって、昨今のポイントプログラムの多くが、お客さんを自店・自社に引き込うだけの手段に化しているように見える。現実には、多くの流通業でPOSもポイントもきちんと分析ができないという実態がある。そこが安易にポイントを行う問題の根幹ではないだろうか。

【ポイントと割引のからくり】
ポイント還元に関する考察」という題で書かれたウェブサイトがなかなか興味深いので紹介させてもらう。そこでの主張はこうだ。

  実は10%ポイント還元の買い物と、10%現金割引の買い物を比較すると、
  ポイント還元の方が実際の割引率は低い。

<ポイント還元店で1万円の買物をする>
①10,000円の買物をする→税込10500円なのでポイントは1050点
②次回の来店時に1,000円の買物をする
 →このとき1,050点のポイントを利用するとすると、ゼロ円、残ポイントゼロ。
③以上より11,000円の買物は、10%ポイント還元で、10,500円でできる

<現金割引店で1万円の買物をする。割引率はx%とする>
①1度目10,000円の買物
((10,000-(10,000x)) + (10,000-(10,000x))×0.05
   商品代               消費税
②2度目に1,000円の買物をする
(1,000-(1,000x)) + (1,000-(1,000x))×0.05
   商品代           消費税
③ ①+②の合計を求めると、こうなる
=11,550-11,550x 
 「現金割引店での割引率xの時の現金支払額」がこれである。

④これはポイント店の現金支払額と同等なので、次式はこうなる。
10,500円=11,550円-11,550x円
⑤これを計算すると、
x=1,050÷11,550 となり、
x≒0.091=9.1%

   10%ポイント還元は、実質9.1%現金割引と同等である。

さらに詳しい説明は実にマニアックにされているので、このサイトを読んで欲しい。保証内容や割引率の変動によって(2倍、3倍のときもある)ポイントの方が得になることも多い。だが小売店側は、だいたいポイントの消化率を80%ぐらい(家電量販では85~90%)と見ているので、最終的にどちらが得しているか、よく考えてみよう。

だが供給者も必ずしも安泰ではない。

【ポイント引当金でポイント倒産も?】
「突然、ポイント負債がバランスシートに計上!」という怖い話がある。日経ビジネス2006年4月24日号にはこんな囲みがあった。

NTTドコモ 400億円
クレディセゾン 238億円
KDDI 230億円
ヤマダ電機 128億円
エディオン 76億円
高島屋 27億円

これは他社へポイントが流出した場合、自社購買にはつながらないので、原資となる売上がない。売上がないポイントは他社への支払いだけが発生する。その恐れのある分(対前年度の傾向値からの率などで計算)引当金がポイント引当金である。日経ビジネスの数値のベースは、いずれも2005年度末のバランスシートだから、消費の上向いた今年度はもっと引当額が増加しているはずだ。

帝国データバンクの調べ(2006年4月期決算ベース)ではこうある。

・直近の決算短信で「ポイント引当金」を計上している企業136社引当金総額は約2870億円。
・このうち、前期から引き当てを行っている企業は116社、前々期からは101社
・過去3期で増加傾向を示している
1社当り引当金上位は、485億円を計上した(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモなど携帯電話会社
・ポイント引当金を流動資産で割った値を「引当率」として算出した場合、5%未満である企業が9割以上
・引当率10%以上の企業は2社で(総じて)財務面に与える影響は軽微といえる。

今のところ軽微であるが、今後わたしのように、ANAからヨドバシへ、他社からの乗り換えが増加したら、この引当金は増加するはずである。

【トルカという電子クーポン】
2007年2月26日、『マクドナルドで「iD」と「トルカ」が利用可能に』という記事があった。詳しくは明日も触れたいが、提携の段取りは次の通り。

Toruca

①マクドナルドでは、「iD」と「トルカ」を軸にした新会員組織をつくる。
②同時期(2007年秋頃)より、全国のマクドナルド店舗で「iD」と「トルカ」を順次導入する。
③都市部の店舗を中心に、iDでの決済やトルカでの電子クーポン配布を行う。

マクドナルドの原田氏社長は、「売上は客数×客単価。だが、単価はある程度上限がある。そこで客数増加が命題と言え、新規顧客の来店頻度をいかに上昇させるか、という点が継続的成長に欠かせない」と語り、それには電子決済と電子クーポンが効くと言っている。

 Mcd00s  中村さんと原田さんのWinWin?

【財務を傷めないポイント・プログラムを選んだNTTドコモ】
この会見で中村社長いわく。
「当社のおサイフケータイは1月末時点で1,900万台、年度内には2,000万台に達するだろう。おサイフケータイが利用できる店舗数は約20万2,000台だ。このうち、iDについては、リーダーライターは約11万台、会員数は173万人、参画カード会社は51社に達している」

お財布ケータイの成長期は過ぎた。これからは普及期だ。そのパートナーはマクドナルドだ、中村社長はこういう方針である。

クーポンは ぐるなびクーポンなどのように、比較的短期日で使用されることをねらったもの。ラフォーレ原宿のバーゲン期間に機関銃のように打つ電子クーポンは「その場・そのときの販促」である。来店者にその場に販促するというやり方。その場なので、財務的には引当金計上リスクの低いポイントなのである。

ドコモは財務内容の悪化と自社商品への転換が少ないことから、2006年4月から自社ポイントのJALやANAへのマイレージ交換を中止するなど、自社商品・サービス利用にこだわっていた。だが一転して提携戦略に出た。その理由は引当金の無いこと、ではないだろうか。

MNPでauやSOFTBANKに食われていて、背に腹は代えられない策として、財務が傷みにくいポイント・プログラム=トルカに移行するのは、主婦のように堅実である。しかも相手はファーストフードの王者マクドナルドである。一見して相思相愛のように思える。両者の安くて安全に集客を図ろうとする試み、果たして成功するのだろうか?

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月26日 (月)

勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ

消費がちょっと上向いてきたと思えば利上げである。全般に企業業績は良くても、将来の見えざる危機を見据えて、内部留保を重視する企業が多い。それだけバブル・エコノミー後の失われた10年で、個人も法人もデフレに痛めつけられてきたということだろう。仕方ないと言えば仕方ない。

バブル時代を題材にした本を流行らそうという悪ノリには閉口するが(景気は循環モノですから、いずれハジけます)、消費者としてはそろそろ伸びもしたい頃である。新入学や就職で家財や不動産がらみの出費も多いそんな春先、消費者の力になってくれそうなのが「ポイント」である。

東京メトロまでポイントを導入するという時代、2007年花の3月に突入する今週の旬ネタは「ポイント・ウォーズ」としたい。本日(2月26日)現在想定している今週のブログ構成は次の通り。途中で変更することも大いにありですので、ご容赦ください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1.日常生活消費にポイントという衝撃
2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。
3.ポイントからターゲット・マーケティング?
4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!
5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 1.日常生活消費ポイントの衝撃】
何といっても最近のポイントをめぐる衝撃的なニュースはTo Me CARD by 東京メトロであった。何しろ毎日のように消費しているサービス業が地下鉄ある。それがポイント化されるって?これは驚きである。勤め人のわたしのような人にとっては、自宅近所のスーパーには週に何度も行かないが、メトロは平日使わない日はない。乗れば乗るほど貯まるって?いいじゃないか。そのメトロのポイント制度の紹介文。

東京メトロの提供するポイントサービスで、SF乗車ポイントサービスや、To Me CARDのご利用に応じてポイントが貯まります。貯まったポイントは、PASMOにチャージすることができるなど、たいへんおトクなポイントサービスです。
http://www.to-me-card.jp/guide/point/index.html

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メトロポイントをゲットするには普通の通勤・通学定期やPasmoではできない。あらかじめ申し込みが必要なクレジットカード「To Me CARD」が必要である。クレジット会社は現在JCB、NICOS、UCの3社であり、それぞれ無料の普通カードと有料のゴールドカードを用意している。

【乗車ごとに2ポイント、たまればPasmoにチャージ】
システムは単純であり、1乗車ごとに(定期はダメ)2ポイント(ゴールドカード会員は5ポイント)が加算される。1,000ポイント貯まったところでPasmoに1000円分をチャージできる。160円から210円で2ポイント=2円だから、割引率はおよそ1%である。

定期や回数券販売には適用されないので、ポイントは案外たまらないかもしれない。だが東京メトロの2006年の旅客収入の約57%、1500億円が乗車券売上であり、その1%の割引であるので、最大15億円の販売促進額という小さくはないスケールである。

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 ちょっと見にくいが、トップが東京メトロである。 
 http://www.tokyometro.jp/corporate/management_plan/pdf/tmp2006_14.pdf

対抗上、JRグループが定期券にもポイント化を進めれば、将来東京メトロも定期券へポイント適用をしないと誰が断言できるだろうか?

【たかが1%、されど1%】
この1%の割引が、競合他社や地域商業にとって、じわじわと効くボディブローになる可能性が高い。

まず何よりもJR東日本や都内近郊の私鉄への挑戦状であり、赤字にあえぐ都営地下鉄への最後の一撃になりかねない。同じ方向の路線があれば、ポイントのある方に乗ろうという意識が働くだろう。来年(2008年)6月に開業予定の副都心線は「池袋、新宿、渋谷、横浜、みなとみらいを結ぶ大動脈」と言われる。この路線で影響を受けるのはどこだろうか?もちろんJR東日本である。

今週じっくり考えたいが、ポイントというのは必ずしも「顧客囲い込み」ではない。だが、同じ二つのコモディティ化したサービスがある場合、ポイントがある方に消費は流れる。その意味ではあからさまな挑戦状である。同じ方向に走る二つの電車はコモディティと言っていいだろう(もちろん乗り心地が良い、駅設備が優れるなど選定の要素は別にもある)。コモディティは本質的な差別化よりもお得(=ポイントや現金割引、クーポン)で勝負するのが王道である。

【駅ナカから駅マワリへ】
ポイントカードはもちろん駅ナカへも適用される。東京メトロにはエチカ表参道という駅ナカがある。ここでポイント利用が対象になるのは現在は3店舗に過ぎないが、いずれ増えることは間違いない。東京都ではJR東日本の駅ナカのショッピングゾーン、エキュート品川や立川に都市計画税をかけるという方針を示した。それだけ駅マワリの商業施設に影響が出ているということである。

その辺りを読み取ってか、東京メトロのポイントは駅ナカだけではなく、駅マワリもグループ化している。ベルビー赤坂、カレッタ汐留、六本木ヒルズなどである。駅マワリへの拡張をすることで、通勤・通学者にはお得感を、地域商業の批判をかわすねらいもあると見たが、いかがだろうか。

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【東京メトロは生活動線の囲い込みをする
東京メトロは従来よりANAとは航空チケットの販売提携をしてきたが、売上はさっぱりだった。だがANAとのマイレッジの移行ができるようになった今、地下鉄駅で航空券を購入する人も増えるだろう。さらにペリカン便の日本通運との提携も、モノの移動という視点での提携であろう。

こうして概観すると、メトロを起点とした「エリアポイント」という戦略も見えてくる。

従来は私鉄がターミナル・デパートメントストアでエリアでの覇権を競ってきた。しかし大手流通業の衰退と業界再編&合従連携で、エリア制覇という考え方が後退している。その空隙を衝いて、東京メトロは都内の主要商業エリアでポイントをテコに、エリア商業のグループ化を進めるのである。まして時代はまさに21世紀最初の東京バブル、東京一極集中の時代である。そのトレンドにしっかりと乗る戦略である。

【拡張するポイント市場】
まず手始めに、今日は東京メトロのTo Me CARDを事例にポイント前線の動向を取り上げたが、そこにはポイントをめぐる争点が凝縮されているからだ。

・1%という小さな規模から始める(拡張の余地がある)
・駅ナカ&駅マワリという商業空間囲い込み
・鉄道から空路、運輸という長い動線企業との提携
・生活動線と生活エリアの囲い込み

野村総合研究所が推定した「企業通貨市場規模」(ポイント市場に近い概念)では、約4500億円もの規模になっているという。主な企業のポイント還元額は次の通り(フルに還元された場合の数値)。

 携帯電話(上位3社) 874億円
 航空 750億円
 ガソリン 477億円
 家電量販(上位10社) 306億円
 総合スーパー(上位5社) 292億円
 百貨店(上位10社) 274億円
 コンビニエンスストア(主要3社) 49億円
 ドラッグストア(上位5社) 39億円 

今週はますます拡張するポイント市場を考察したい。今日は以上です。

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2007年2月25日 (日)

クリント・イーストウッド リアリズムなアイコン

明日、2007年2月25日(日本時間の26日午前)は第79回アカデミー賞の授賞式である。ハリウッドのお祭りと言えばそうだが、今年の注目は通算8本目と言われる外国語の映画の作品賞にノミネートである。それはもちろん『Letters From Iwo Jima 硫黄島からの手紙』である。その監督もいわずとしれたクリント・イーストウッド

往年の映画ファンにとってクリント・イーストウッドは、マカロニ・ウェスタンであり、ダーティ・ハリーである。近年の監督作品ではさまざまな顔を見せているとはいえ、クリント・イーストウッドには荒野や大きな口径の銃が似合う。

 Nm_good_bad_070207_ssh 夕陽。 Nm_dirty_070207_ssv  44口径。

先日、インタビューをあまり受けないことでも知られるイーストウッドのABC Nightlineのインタビューを聞いた。ふと思い出したのは『マジソン群の橋』を撮った頃、レポーターからの「次回作は?」という質問に「良い(脚)本をもってきてくれ。いくらでも撮るぜ」と答えていた。65歳のあれから11年、確かにいくつも撮り、また賞も取ってきた。まさに映画の鉄人である。休日でアカデミー賞前夜の今日のテーマは、クリント・イーストウッドのリアリズムな姿勢に学ぶ。

 Apg_eastwood_070207_sp  ゴールデングローブ賞は受賞!

【勝手にアドバイス Vol.127 クリント・イーストウッド リアリズムなアイコン】
まず2007年2月8日付けのABCのインタビューから。

The films, Eastwood says, are not anti-American, but anti-war.
"War is not mankind's most noble effort, and we should try to cure it," he said.

イーストウッドはこういう。「ふたつの映画は反米ではなく、反戦映画だ。戦争とは人類がなすべき高貴な努めではない。そこを改めなきゃなない

さらに。
"I think [in] every war, no side is completely immune from atrocity," Eastwood said. "I've talked to many [veterans of the Battle of Iwo Jima.] … I said, 'How many prisoners did you take?' And they'd say, 'We didn't take any.' And I went, 'Oh, OK.' It was kind of left unsaid."
あらゆる戦争には残虐さと無縁なものではないオレはたくさんの硫黄島を経験した退役軍人と会話した。で、こう聞いた。‘捕虜は何人ぐらいだった?’‘何人も捕虜にはしていないよ’て言うんで、オレは‘そうか’と言ったが、口にはできないたくさんのことがあるんだ

もひとつ。
He said it was clear that the United States should extricate itself from the war in Iraq.
"The big question is how and when," he said. "It seems like the predicament we're in now is it's a bad situation regardless of which side you favor."

イーストウッドはこういう。米国はイラクでの戦争から撤退すべきなのは明白だ。「問題はいつ、どのように実行されるか」 「駐留か撤退かどっちの主張をするにせよ、米国がとても悪い状況にあり、窮地に立たされているのは明白じゃないか

これは硫黄島の映画インタビューがテーマである。だがこのコメントである。さらにフランスのル・モンド紙に語ったインタビューで、イーストウッドはこう話している。

 「米国が今ほど分断されたことはない。私はイラクへの介入は優先課題ではなかったと考える側だ」と、現ブッシュ政権の対応を批判する」
 「政治家たちは最前線にいる者の運命より、自らのちっぽけな権力を行使し、保持することに関心があるhttp://www.asahi.com/culture/movie/TKY200610200085.html

【イーストウッドというリアリズム】
イーストウッドが話した「The films/ふたつの映画」とは、念のため『Flags of Our Fathers 父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』である。この2つの映画のテーマは、インタビューにあるように反戦であるが、そのベースにあるのは彼のリアリズムな視点であろう。その視点は、もちろんこの映画に始まったことではない。

リアリズムな視点その1: 映画『Unforgiven 許されざる者
1992年公開の「最後の西部劇」と言われる、クリント・イーストウッドの監督、主演作品である。アカデミー賞は作品賞、監督賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、編集賞(ジョエル・コックス)の4つを受賞。

最後の西部劇と言われるゆえんは、ガンマンたちの人間的な実生活、体調不良で撃ち合いに遅れるガンマン、撃つ・撃たれるシーンのリアリズムなどが描かれている、きわめて人間くさい西部劇だからである。まちがいなく黒沢映画の影響が色濃く伝わってくる作品であった。現に、ほんらい『硫黄島からの手紙』は日本人の監督に撮影してもらうというプランがあったが、そのときイーストウッドがつぶやいたのは「黒澤がいれば」という言葉だったという。

リアリズムな視点その2: 2年間のカーメル市長 
クリント・イーストウッドが1986年から88年まで、カリフォルニア州のカーメル市(Carmel-by-the Sea)の市長であったことは有名である。月給200ドルで保安官職を請け負ったと言われたが、そもそものなれそめは1971年の監督デビュー作「恐怖のメロディ」の撮影で、カーメル市でロケをしたからであった。

 Apr_mayor_070207_ssv  市長イーストウッド

そのイーストウッドが、カリフォルニア州知事になったアーノルド・シュワルツネッガーに送った言葉。
"Politicians have to make unpopular decisions. Schwarzenegger is going to understand the nature of his job. I wish him good luck, he's going to need it. It's going to be difficult for him."
政治家は大衆から嫌われる決断も下さねばらない。シュワルツェネッガーにも仕事のそんな性格が分かってくるはずだ。運がよくなきゃ務まらないので、幸運を祈ろう。難しい仕事になるぞ」
http://www.japantimes.co.jp/shukan-st/entertainment/newsmakers/newsmakers.htm?f=actor&f=actor&fn=ne_ac_018

この発言もリアリズムである。だてに政治や反戦に発言をしているわけではない。もっともカーメル市はガンマンのいない、のどかな小さな静かな街らしい。その風景を描写した一文。

(カーメル市は)電線もなくネオン看板もなく信号もない。ファスト・フードの店もブランド・ファッションの店もない。もちろんスターバックスもなく、アート・ギャラリーだけで60もあるという町並みは、バランスのとれた清潔な店舗ばかりである。つまり、アメリカなのに、刺激的な商魂も通俗なサウンドもなく、知的な節度と上品な感性に統一された一種の理想化されたドリーム・タウンなのだ。
細越麟太郎 『ミステリー・マガジン タフガイ伝説で舌つづみを打つ』
http://www.ne.jp/asahi/tokyo/furokukai/hosogoe510.htm

 Carmelcarmel1bb Carmel-by-the Sea
 リアリズムというよりツーリズムだが。

【東京映画祭プレミアでの仁義】
クリント・イーストウッドが他の大きな映画祭の魅力的な誘惑を断ったことは、本当に健全なことだと是非とも言いたいですね。というのも、カンヌにしろ、ヴェネチアにしろ、トロントにしろ、みんなが彼の『父親たちの星条旗』のプレミアを狙っていたのですから。ところがイーストウッドは他のどこでもなく、東京を選んだ。『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の二部作のプロジェクトに着手し、その後、このプロジェクトをここTIFF(東京映画祭)で初公開したいと望んだことは、彼にしてみれば非常に首尾一貫したことだったと言えるでしょう。

これは、2006年10月21日から29日まで行われた「第19回東京国際映画祭」で「コンペティション」部門の審査員メンバーを努めたマルコ・ミュレール氏のインタビュー録である。興業面を考えればカンヌもベェネチアもあっただろう。だがイーストウッドは、2つの映画の特性、映画製作の視点から考えて、きわめて率直かつ妥当な、配慮のある決断をしたのだった。

【Oscar goes・・・】
先のグラミー賞では、イラク戦争を仕掛けたブッシュ大統領を批判したディクシー・チックスが主要な賞を総なめした。グラミー賞では、ディクシー・チックスを紹介したジョーン・バエズ(反戦活動で有名)は「言論の自由と闘ったブレイブ・ウィメン」と彼女たちを紹介していた。グラミーにしろオスカーにせよ、近年は政治的・社会的なトレンドや雰囲気を反映した投票が行われている。明日もほぼ間違いなくクリント・イーストウッドと思われるが。

 200pxfirst_iwo_jima_flag_raising  旗は立つか。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月24日 (土)

BuyMaでスパニッシュグッズを!

久しぶりにオフィスにやってきたCherryさんとの会話がはずんだ。スターバックス限定の桜柄のタンブラーのCherryさんと、気がつくともう二時間も喋っていた。スタバの外の日比谷シティ広場では、すでに夜間照明でフットサルまでやっている時間になってしまったが、楽しいおしゃべりだったね。

その楽しい時間の中でも、一瞬お客さんの課題が頭をよぎってしまった(頭は課題未解決病、手指は腱鞘炎です)。Cherryさんに「○○PJでさ、XXXXって課題があるんだよ。ぐっとくる解がなくてね・・・」とこぼしてしまった。
「あ、それならB・・・みたいなサービスどうかしら」「何それ」「Buymaっていうの」「バイマ?それって何よ?」「海外にいる人にお願いして、代わりにショッピングしてもらうってサービス」

さっそくBuyMaを調べた。なるほど、こういう仕掛けのサイトがあったのだ。わたしはまだまだ無知なのである。わたしはちょうどあるスペイングッズを購入したところなので、そのスペイングッズの情報をググったら、スペイン製の時計も欲しいと思ってしまった。

休日の今日もまた自宅で仕事目一杯のわたし。だから勝手にアドバイスは、BuyMaでスパニッシュグッズを!「買った気分になろう」である。Cherryさん、お題をありがとう!

Buyma_logo

【勝手にアドバイス Vol.126 BuyMaでスパニッシュグッズを!】
BuyMaのサイトから。
街中を歩いていて、「これは売れる!」と思ったことはありませんか? また、欲しい商品がなかなか見つからなかったことや、遠くて買いに行けなかったことはありませんか? そんな経験がある方のために、BuyMaは誕生しました。
http://www.buyma.com/static/whats_buyma/buyma_about.asp

買うには・・・
サイトで閲覧ができるおすすめ商品から購入ができる。これはバイマの登録バイヤーが既に購入した品の情報や、購入できる商品の画像をアップしたリストからの購入である。

もうひとつは「これこれのグッズのこれこれのサイズのものが欲しい」という会員からのリクエストをサイトに出す。その情報に応じて、購入できる場所にいる登録バイヤーが買い付けるというものである。

売るには・・・
登録バイヤーが既に購入しているもの、購入できるものを画像付きでサイトにアップする。基本的には短期ないし長期滞在の現地にいる日本人と、国内にいる日本人とのやりとりである。会員数はサイトの表示では246,177人(2007年2月24日現在)、登録バイヤーは5000名以上いるようだ。つまり売り手であるバイヤーは「腕の善し悪し」が問われるのである。ある分野の商品の目利きとなればお客が付く。

なお、購入代金の入金・支払いはバイマ経由で行えるので安心である。(手数料5%が徴収される)。

 Buyma02  あるバイヤさんのサイト。

【コンセプト】
2006年4月17日付けのソネットのPR資料によるとこうある。
ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(SCN:サービス名称 So-net)は、本年3月16日付で33.1%の株式取得を行い、SCNが筆頭株主となった株式会社エニグモが運営するCtoCサービス“バイマ”とSo-net IDを連携させた「So-net BuyMa」を本日よりサービス提供いたします。 “バイマ”は世界50カ国に広がる買い物代行コミュニティです。既に登録会員数は15万人を超え、バイヤーは世界50カ国にわたり、5000人以上が買い付けを行っています。
引用元 http://www.so-net.ne.jp/corporation/release/2006/pr060417.pdf

収益モデルは、取引価格の5%を決済システム利用料として購入者(会員)から徴収し、3%を成約手数料として出品者(バイヤー)から徴収する。

【エニグモの共同経営者のお二人のノリから生まれたビジネス】
上記のようにエニグモにはソネットが筆頭株主になったが、そもそもは広告代理店大手の博報堂出身のお二人が始めたベンチャービジネスである。

 Suda  Tanaka
 須田さんと田中さん。30代後半かしら。

―どのようなきっかけで一緒に事業をやろうと思ったのでしょうか。

須田氏
 もともと一緒になにかやろうとしていたわけではないんですよ。ノリと年齢が近く、よく飲みに行く“飲み友達”の関係でした。きっかけは残業しているときに、田中がビジネスアイデアを思いついたと話しかけてきたことです。僕も負けず嫌いだったため、「自分もアイデアがある」と言って、お互い出し合い、最初のビジネスアイデアにたどり着きました。
 最初はサイドビジネスでもいいかーという気分で軽いスタートでしたね。企画を詰めていくにつれ、壮大なプランになり、本腰を入れてやりたいと思うようになり、ここまで一緒にやってきた田中となら絶対うまくいくだろうと思い、独立に至ったという感じです。

出典 http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/web2/2006/06/30/8128.html

相棒見つけたり!というノリ、ほんとうに良い雰囲気である。プロジェクトであろうと事業であろうと、わたしはこれ(ノリ)がないとうまくゆかないと信じている。

余談だが、わたしは三つのKYOSOを常々思っている。それは信頼=「協奏」であり、負けず嫌い=「競争」であり、一緒に事業を貫徹する=「競走」の三つである。この三つがそろったとき、漫才コンビにしろ、自動車会社のコンビにしろ、ロックグループのtwinsにしろ、足し算ではなく掛け算の価値になる。

【国内でも通用するビジネスモデル】
たとえば東松山市に住んでいる人が、渋谷109のバーゲンに行くとすると、行き帰りでもう3時間はかかる(東松山市の方、他意はありません)。地方在住の人なら国内バイヤーも価値がある。

須田氏
 今後はケータイをもっと使ったリアルタイムなバイマを紹介していきたいですね。その場で売り買いできれば、手数料もちょっとで済む。わざわざ買いにいったら、その分の交通費や手間賃の分が商品に加わり高くなってしまう。とすると取引が決まらないです。ケータイを使ってすぐ売り買いできるならば、そういったことがなくなると思います。
 リアルタイムなバイマができると渋谷の109のバーゲンなどで、都合が悪くていけない人とか遠くていけない人も、バイヤーが代わりに買い物してくれます。

出典 同上

【ストレス解消にスパニッシュグッズを!】
Cherryさんとの打ち合わせにつかった、購入したてのノートがこの画像。

 Note  踊らない会議からの脱出ノート。

 300155 『イラストレーション』誌(1995年)のラバンダの表紙。

ジョルディ・ラバンダというスペインのイラストレータの作品で、日本でも大ブレイク一歩手前のデザインだそうである。東急ハンズで見かけて、ひと目ぼれで買ってしまった。このノートと一緒なら踊れない会議も楽しくなりそうだ。スペインならではのデザインを時計にも発見した。バルセロナの時計WATCHCELONAである。

 Watchcelona おしゃれ。

ラバンダの限定グッズやWATCHCELONAをBuyMaにリクエストして、仕事ストレスを解消するか・・・。おっとまだ○○PJのXXX課題が解決されたわけではない。代行ショッピングは課題解決後に依頼しよう!

Cherryさん、事業アイデアにも燃えてるぜ。火の玉、返球するからね。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月23日 (金)

Like.com 画像でサーチ

昔、エルビス・プレスリーが全盛、お金も名誉も仕事もたくさんあり太っていなかった頃のことだ。彼がふと街を走るクルマに眼を止め、「あのクルマが欲しい」とつぶやいた。傍らにいたマネージャがそのクルマを探しだし、同種の新品のクルマではなく、まさに走っていたクルマをその翌日にエルビスの家に届けたという。

この逸話、ほんとうかどうか定かではないし、わたしの聞き違いの部分もあるかも知れない。だが今日のテーマ、画像認識技術で応用されているのは、エルビスの思いと同じである。「あの有名人が身につけていたグッズが欲しい。似たものを探したい!」 こういうサービスをウェブサイトで提供しているのが「Like.com」である。

Logolikenew ロゴ

【勝手にアドバイス Vol.125 Like.com 画像でサーチ】
このサイト、「Like.com」で何が出来るのか。About Likeのサイトにはこうある。

Like.com is the first true visual search engine, where the contents of photos are used to search and retrieve similar items.

画像コンテンツが類似のアイテムを検索できる、最初のヴィジュアル・サーチエンジン」とある。

 Like  サイトイメージ

このAboutのサイトから、技術紹介の原文を拙訳する。

Likeness Search 類似点サーチ」 テキストサーチではなく画像サーチ
Like Detail 詳細なアイテム検索」 バックルやストラップ、ベゼルなど個別アイテムを検索。
Like Color カラー検索」 色からの検索
Like Celebrity セレブ検索」 お好きなセレブが身につけ、着ているアイテムを検索。
Like Upload アップロード検索」 携帯やデジカメの写真をアップロードしてアイテムを検索。これはカミング・スーン、つまりまだアベイラブルではない。

Likeness Search 類似点サーチ」が基本技術であり、cnetの記事にはこうある。
他の「画像検索」と称する各サービスが、対象となる画像に付されたメタデータの文字情報を頼りに画像を見つけ出すのに対し、Like.comではメタデータのほか画像自体の(視覚的な)類似性を手がかりに検索する、ということを意味している。
http://japan.cnet.com/column/somethingnew/story/0,2000067121,20306488,00.htm

たとえばCherryさんがわたしを写してくれた写真についていえば(以前載せました。ひんしゅく買うので再掲しません_笑)、スーツ姿、ブルー、シャツ、タイ、マフラー、立っている、痩せている・・・など、写真に関するテキスト情報を付与するのが普通であった。つまり従来の検索技術は、画像を検索する際にそのテキスト情報を検索していた

ところが、Like.comの技術では、画像中の情報を自動認識し、さまざまな「デジタル署名」を付すという。そのデジタル署名自体がその画像固有データとなり、検索される他の画像と類似なものを選択するという仕組みである。これはまさに検索革命と言える。視覚情報を検索できるなんて、すごい。

【たとえばこんな感じ】
現在のβ版はサンプル画像が掲載されているというレベルのようだが、まず下図の女優画像から足元を選んでみる。

  Like0  波線の囲み。

足元を選択すると、さまざまな類似の足元が現れる。自分のもっともイメージした靴を探そう!

 Like_1 彼女らが出てくる。

次には商品アイテムとして絞り込まれる。こんなかたちで、類似の商品を選んで、気に入ったら購入となる。

 Like_2 豹でもいろいろあり。

現在は靴、アパレル、アクセ、宝石と時計、インテリア商品の一部だけが検索リストに挙がっている。また、検索先のサイトもAmazon、eLUXURY、Land's Endなどさほど多くはないようである。

だが開発元のRiyaでは、一日3万画像のペースで画像を追加しているという。近い将来にはアカデミー賞やグラミー賞でのセレブの着用するアイテムを写真に撮って、それをLike comにアップロードすると、「どこどこで、いくらで売っています!」ということが即わかるという。

わたしなら、キース・リチャーズが着ているシャツが気になる。わざと裾を出し、ギターを弾くので邪魔にするようにかきあげる仕草は計算尽くだと思うが、実にかっこいい。シャツはポール・スミスもあればコム・デ・ギャルソンもあると言われるが、ほんとうのところはどうなのだろう?

 Dsc_3600  キース!

【画像認識技術はこれからが本番】
ちょうど今日のニュースで、「顔を見分けて検索、日立が監視カメラ用録画機」というニュースもあった。日立製作所が、監視カメラに写る怪しい人を映像から見分ける技術を応用した製品を発売する。

報道によると「人間の顔を認識して検索する機能を搭載しており、録画した映像の中から特定の人間の顔が写っている場面を素早くチェックできる」 要は犯罪防止/抑止である。http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070223AT1D2307R23022007.html

【勝手にアドバイス】
①画像の検索の夜明け。
わたしはプレゼンや報告書に、意表を突いた画像を入れるのがモットーであるが、その画像選択はGoogleイメージやマイクロソフトのクリップアートのサイトを使っている。だがなかなか自分の思い描くイメージにたどり着かないことがある。Like comの技術を使えば、思いに近い画像があれば、そのイメージで絞り込み検索ができるはずである。

同じように広告写真の選定など、こんなイメージなんだけど・・・他にもっと良い写真ない?みたいな検索にも使えるだろう。

②消費者行動調査へのインパクト
コンシューマリサーチには相当な威力がある。被験者に欲しいものをチョイスしてもらって、それをデモグラフィなどと相関をチェックする、従来感性分析といわれていた消費者心理のブラックボックスが、確固たるデータで裏付けられるかもしれない。

③似た人探しの功罪
画像SNSとしての利用が考えられる。自分がアップロードした画像と似た画像をアップしている人を検索する。同じ画像友達で、何かつながりができるかもしれない。

自分の顔写真をアップして、似た人を探すことも可能。だが仮に増田明美さんがアップして、類似検索すると宮沢喜一さんが出てきたとしたら、それは技術の発展が必ずしも良いことばかりではない、というのだろうか。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月22日 (木)

フリー・コミックという広告媒体 コミック・ガンボ

わたしはいわゆる漫画はほとんど読まない。ただし密かに全31巻を所有する井上雄彦スラムダンクは別である。スラムダンクにはスポーツ漫画の原点と到達点が同居している。

それはそれとして。わたしはこれまでブログでタダのビジネスモデルをいくつか紹介してきたが、ありそうでなかったのが漫画のフリーぺーパー。それが出来た。創刊まもないコミック・ガンボがそれである。首都圏の主要駅で手渡しで配布中である。昨日(2007年2月21日)、JRお茶の水駅の聖橋口で入手した。

今日はフリー・コミックという広告媒体 コミック・ガンボをテーマに。

 Logo_6

【勝手にアドバイス Vol.Vol.124 フリー・コミックという広告媒体 コミック・ガンボ】
「コミック・ガンボ」は首都圏の主要スポットで毎週配布されている“日本初”の無料マンガ雑誌です。
なんと、新作の連載マンガ約10作品が載ったマンガ雑誌が毎週タダでもらえちゃうのです!これまでは書店やコンビニで購入していたマンガ雑誌も、これからはタダで楽しむ時代。通勤・通学やちょっとした休憩時間に、気軽に手軽に楽しめるマンガ、これが「コミック・ガンボ」です。

引用元 http://gumbo.jp/pc/usage.php

2007年1月17日創刊、20代から40代の男性をターゲットにしている。発行部数は10万部、毎週火曜日・水曜日に、大宮・八王子・千葉・横浜までの主要駅で手渡しで配布している。配布時間帯も朝8時~11時、5時~8時とサラリーマンをねらった時間帯である。

わたしが入手したのは創刊第6号、ずっしと重い約220ページ。漫画は16本、すべてカラーの広告ページは24ページであり、ここが収益の源泉である。

 Gumbo_08_image01  創刊号

【背景にあるのはコミック離れと雑誌広告離れ】
少年誌を中心に消費者のコミック離れは深刻で、「週刊少年ジャンプ」はピークの1996年には600万部を誇ったが、現在は半分の300万部にとどまる。他のコミック誌も同様の傾向にある。その理由は、そもそもの漫画離れと携帯ゲームへ需要が移ったこと、キオスクで分厚い雑誌を購入しなくても携帯で漫画も配信されていることが上げられている。

雑誌部数の減少は、ダイレクトに広告掲載にしわ寄せられる。電通の『2006年広告費』調査によれば、ネット広告費は前年比29%増に対して、いわゆる四マス媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)は対前年比すべて減少。雑誌広告は1.5%減の3887億円だった。インターネット広告は3630億円と、広告2007年問題(ネット広告が雑誌広告を抜く)は現実のものになりつつある。

このふたつのトレンドを背景に、コミック・ガンボはタダの漫画+広告を事業化した。

【起業のきっかけ】
事業化をした甲斐昭彦デジマ社長は、起業のきっかけをこう話している。

甲斐 僕自身、漫画が大好きだから考えついたのでしょうね。触発されたのは、リクルートが2004年に創刊したビジネスマン向けフリーペーパー「R25」です。僕も好きでよく読んでいました。ただ、自分はやはり漫画が好きなので、「これが漫画だったらいいのにな」と思っていました。「R25」はなかなか入手できないくらい人気がある媒体です。読み物でこれだけ人気があるならば、漫画にすればもっとウケるだろうと考えました。
引用元 http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/person/epoch/070214_kai1/index.html

そのR2560万部発行で、1ページ全面広告は250万円、見開き600万円といわれる。コミック・ガンボは10万部発行でいくらか定かではないが、今のところトヨタ自動車、リーブ21、など大手企業に混じって、雀荘なども出稿しているので、その1/10以下ではないだろうか(あくまで勝手な推定)。

仮に@10万円なら240万円の広告料。50週出せれば1億2000万円となる。原稿料次第であるが、広告料がもっと上がれば利益が出せるだろう。

【コンテンツは・・・】
なんと水着グラビアまであるのだ。だがそれも良~く見るとグラドルの広告であった。うまい編集である。

だが漫画の水準となると、こんなレベルで読者が継続するのであろうか?漫画読者としての眼識がないが、スラムダンクを10とすると平均して5にも達しない。もうちょっとレベルの高い漫画があってもいい

以前にこのブログ紹介したFlipbookでも読むことができる。ただし広告はないので、あくまで配布誌のPRという位置づけであろう。
http://www.flib.jp/new/173/

【勝手にアドバイス】
①コンテンツのレベルを上げたい
ガンボの書き手では『東京大学物語』の江川達也氏ぐらいしか知らない。実は他の書き手も高名だということもあるかも知れないので間違っていたらごめんなさい。でも広告主は10万部配布することもそうだが、コンテンツにこそ興味があるはずだ。R25が未だに入手しずらいのは、コンテンツが良質で飽きさせない工夫があるから。ガンボのレベルが読者ターゲットにはちょうどいいのだろうか?個人的にはかなり疑問である。

②大家に頼まず、新人漫画家の登龍門へ
ヒットねらい=大家へ依頼=コスト圧迫が見えている。R25の優れた点は、コラムの書き手は多いので、原稿料は上げなくてもいいのだ。コミック・ガンボでも才能ある新人の発掘主義で行ってほしい。そのチャネルづくりに漫画出版社と資本提携もいいだろう。

③隔週コンテンツ差別化戦略
不肖わたしのこのブログのように、週によってコンテンツ・アプローチを替えるのもいい。たとえば隔週でエンタメ漫画とビジネス漫画を交互にする。ビジネスとエンタメで、広告ターゲットも明確に分かれて、広告媒体として統一感もできる。雀荘とグラドルとクルマの広告がごっちゃでは良質な広告主は集まりにくい。


 Slamdunk  スラムダンク登場人物

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月21日 (水)

購入体験シェア・モール STMX

何かを買った瞬間、次にあなたは何をしたいだろうか?今買った商品をまじまじと見る?レシートをきちんと整理する? いや、きっとあなたがしたいのは「わぁこんなの買っちゃった!」「ずっと欲しかったんだ!」「すっごいお得だった!」という「ねえ見て聞いて行動」であろう。

そんな購買直後衝動をテーマにしたショッピング・モールがSTMX。わたしはこの会社ウェブシャーク木村誠司社長の、ウェブならではのマーケティング・アイデアには正直1本取られた。今日の勝手にアドバイスのテーマは、いつどんな人が何を買ったかが分かるショッピングモール「STMX」。

Logostmx

【勝手にアドバイス Vol.123 購入体験シェア・モール STMX】
STMXは購買者同士をコミュニティー化し、他のユーザーの購買リストを公開するほか、個々の商品の販売データもユーザーに開放する。アフィリエイトプログラムが提供するデータベースを利用し、ユーザーがお気に入りの商品情報をピックアップして公開する「Social Shopping(ソーシャルショッピング)」
引用元 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341277,00.htm

STMXの事業とは、ショッピング・モール(競争力のある出店料)とモール・コミュニティ(会員登録は無料)を作り、会員登録した人の購買情報をリアルタイムで共有することができる。その商品が何分前に購入され、その買い手の居住する都道府県、年齢、性別、その商品の販売状況などがサイトに瞬時に反映されるのだ。

①STMX全体で販売された商品をindexにリアルタイム表示
②)購買者の都道府県・年齢・性別の表示
③購買者のハンドルネーム表示
④)購買者の過去の購買履歴
⑤購買者のKEEP商品一覧
⑥商品ごとの過去の販売件数
⑦商品ごとの過去の購買者一覧
⑨購買直後のインタビュー機能
⑩MYROOM(マイルーム=自分の履歴閲覧)機能

2007年2月下旬現在、商品数は12万アイテム、購入コメントは4万7000、会員数は12万人。

【買った時が沸騰点】
ユーザーがその商品を購買した直後に書き込まれたコメントも合わせて表示する。これは、「商品が届いた後より、商品を購入したときが一番誰かに何かを伝えたい気持ちになっている」というウェブシャーク代表取締役の木村誠司氏のアイデアによるものだ。
引用元 同上

コメントはまだそれほど多くないようだが、購入直後の初々しい気持ちこそコメントしたい、話を聞きたいことという木村社長の言葉は、消費者心理の本質の一面を突いている。

ウェブショッピングだと購入後数日経たないと手元に届かない。届いた時には買った時の衝動は薄れていることもある。本やDVDなど本質的に感想や評価をコメントするタイプの商品をのぞけば、ショッピング体験のコメントは「買ったその場」がもっともHotである。

Stmx

【25歳の女性が今何を買ったか】
ショッピング適齢期のヴァンサンカン。「25歳 女性 全国」での検索例。
 
  02月19日1時49分今から16時間7分前
1138shprsオーラスキン AURA SKIN
healthy-support 栃木県 女性 25歳 NONAME   

  02月19日0時56分今から17時間0分前
2shprs純米大吟醸 「澤乃泉」 1.8L(限定発売)
酒のほりこし 神奈川県 女性 25歳 NONAME   

  02月18日23時32分今から18時間24分前
3shprs【コンパクトスリミングEMS】テレビを見ながら楽...
美容と健康なら「らく楽気分」シ... 東京都 女性 25歳 NONAME (15) 

  02月18日23時32分今から18時間24分前
39shprs【スーハーダイエット】お手軽ダイエット!腹式呼吸...
美容と健康なら「らく楽気分」シ... 東京都 女性 25歳 NONAME (15) 

  02月18日23時32分今から18時間24分前
113shprs即納OK!【グラマラスD】夜寝る前に貼り付けるだ...
美容と健康なら「らく楽気分」シ... 東京都 女性 25歳 NONAME (15) 

  02月18日21時58分今から19時間58分前
46shprs高品質高配合バスト アップサプリメント GLAM...
アットスタイルフォーシーズンズ 東京都 女性 25歳 NONAME (3) 

  02月18日19時49分今から22時間7分前
11shprs現役モデルが教える極秘簡単ダイエット
サクセスラボ 山形県 女性 25歳 NONAME   

  02月18日16時06分今から1日1時間50分前
1206shprs究極のお肌若返りサプリ!ホワイテックス
プエラリアの専門店【プエラリア... 神奈川県 女性 25歳 NONAME   

  02月17日13時23分今から2日4時間33分前
11shprs修羅場で勝つ!浮気撃退マニュアル
浮気撃退110番 東京都 女性 25歳 星のお姫様   

AURA SKIN、ダイエット、バストアップ、ホワイテックスなど、25ansにはさもありなん購買に混じり「澤乃泉1.8リットル」、浮気撃退マニュアルはぐっときた(笑)。こうして中年男性の「のぞき趣味」も満たされます(購入者にはごめんね)。

【マーケティング・ツールとしての側面】
まじめに言えば、その年代の方々のライフスタイル分析が可能でもある。履歴の2行目のshprsは一定期間の購入数である。これは連れ買いを誘発しそうなのは「ホワイテックス」が多かったことからもわかる。そんなに売れてるならわたしもひとつ買おうという心理をそそる。

特徴はすべてのデータはこのSTMXモールのコミュニティ内ユーザーに限定していること。このモールの前身のSTORE-Mix.comは月間1000万PV、会員数50万人という規模(5年かかったという)。これだけのベースがあり、12万会員のデータベース分析要素があるからこそ可能になった。加えて情報分析対象をモール内に限定することで、モール出店ショップへのセールス・コンサルティングデータにもなる。

楽天はウェブサイト・モールに過ぎない。だがSTMXモールでは、顧客もストアも流行をリアルタイムに知り、対策を打てるマーケティング・モール。顧客は買物リストを、店舗は運営を改善することができる点で、きわめて2.0コンセプトである。コンセプトは素晴らしい。運営次第でもっともっと伸びるビジネス。
http://www.store-mix.com/

【ウェブ2.0時代のビジネスチャンスの勝手にアドバイス】
①集める。
人類全員がウェブ参加の2.0時代でのビジネスモデルとは、詰まるところ、どんなデータをどう集めて、どう見せるかにかかっている。そんなものか言われるが、そんなもの代表格はyoutubeである。事業価値は1900億円だった。

②つなぐ。
全員参加のデータをつなぐのがその次の工夫である。ミクシィのSNSは日記の「書き合い、読ませ合い」とうつなぎで、一時代を作った。

③寄せる。
参加ユーザーに向けて収集データを加工する、広告や出店者に向けて加工する。②から売上・利益が上がれば申し分ないが、③にも大きなビジネスチャンスはある。

Cherryさん!こういうコンセプトをバネにFoodで商売ネタを考えよう!こういうアイデア+根性サイトに触れると触発されました。と、私的コメント混じりで、今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月20日 (火)

フォー・ウェディング・トレンド

「結婚しました」・・・実はその4分の1が再婚!という厚生労働省が発表したニュースが、2007年1月26日にあった。日本もそんな時代になった。4組に一組はどちらか/両方が再婚なのである。リサイクル時代(笑)なんてブラックはいけないが、最近の挙式のキーワードは4つらしい。

 ◆ 海外リゾート
 ◆ 少人数挙式
 ◆ 入籍・式分離
 ◆ 再婚

この4つのキーワードと、4分の1の4と、10年以上前になる『フォー・ウェディング』という映画を思い出して、今日の勝手にアドバイスのテーマは「フォー・ウェディング・トレンド」(こじつけですねん) 映画もヒュー・グラントも知らないと言われるとあぁ年を感じてしまう。

 Kvmogtaj  原題は4つの結婚式とひとつの葬式。

【勝手にアドバイス Vol.122 フォー・ウェディング・トレンド】
まず厚生労働省の発表から1/4が再婚という統計を引用する。

 ・2005年の婚姻件数は71万4,265組
 ・一方が再婚件数は18万767組(25%)
 ・夫妻とも再婚は6万3,996件(8.6%)
 ・妻初婚で夫再婚は6万6,193件(9.0%)
 ・夫初婚で妻再婚は5万578件(7.0%)

どちらかが再婚組も、どっちも再婚組も数では大差ないというところが統計の妙。では年齢差はどのくらいなのか。年齢差の統計は、なんとなくハハンと思わせておもしろい。

 ・二人とも初婚 = 夫が1.7歳高い
 ・夫が初婚で妻が再婚 = 0.2歳に縮まる
 ・夫が再婚で妻が初婚 = 7.7歳の広がる(年齢差が最も大きいパターン)

データ出典 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai04/kekka4.html

【結婚式の4つのキーワード】
ワタベウェディングが2006年9月にまとめた『2005年海外挙式動向調査』では、2005年通年の海外結婚式の実績を約45,000組、国内リゾート挙式が約12,000組、合計57,000組が海外挙式としている(全国の旅行会社、式場、現地の挙式会社らの調査による)。5万7000組というと日本の挙式の8%を占めており、100組中8組が海外で挙式を上げていることになる。

【キーワード1:海外リゾート】
わたしは一度だけだが海外挙式に出席をしたことがある。米国西海岸のオレンジカウンティのリゾートホテルだった。南国の雰囲気も、リゾート様式のホテルも、ガーデンウェディングも、踊れ歌えのワイガヤ・パーティも、お包みも少なくて済んだことも(助かった)、よかった。米国に住んでいる友人はマリッジカウンセラーを雇って企画・運営したのだった。

海外挙式自体は米国同時多発テロ事件以来落ち込んでいた。一昨年ぐらいから復活し、2004年比で倍増している。エリア別にはハワイ、ミクロネシア、オセアニアのビーチリゾートで8割を占め、そのほかは欧州、米国などである。海外挙式といえばハワイとなるのは、施設インフラの整備レベル、マリッジカウンセラーなどサービスが充実していることなどが上げられている。

  Ch_andrews  チャーチ。 

しかし「その他エリア」も増加しており、挙式の国・地にこだわりを持つ層も増加している。

【キーワード2:少人数挙式】
挙式はますます少人数がトレンド。海外挙式であれば費用の点でも当たり前だが(平均10名以下だという)、国内でも一般の式場や邸宅ウェディングなどでも50名以下が増加しているのである。『平成14年 特定サービス産業実態調査報告書 結婚式場編』を見ても、やはり挙式あたりの参加人数の減少が推定される。

昔は「職場の上司も・・・」で席次まで気にしたものだが、結婚にも終身雇用崩壊、転職増、企業への帰属意識の低下が現れているのだろう。

  Image1_1 海外の空。

【キーワード3: 入籍・式分離】
海外挙式では入籍していることが条件になることもあり、一般に入籍→式であるが、どうも挙式がますますセレモニー化しているのではないか。披露宴というよりパーティへ向かっているような。

ワタベウェディングの推計では、式を挙げないカップルも3割もいる(推定)。その中身は「事実婚」「国際婚」そして「再婚」だろうが、あんがい多いというのが実感である。

【キーワード4: 再婚】
4つ目のキーワードは再婚。なにしろ結婚の1/4を再婚。それを考えると、実は結婚式の地殻変動もここから発生しているのではないだろうか?

うがった見方1:
再婚→目立った挙式を上げたくない(特に妻再婚)→式・入籍分離→ついでに式はやめてパーティに。

うがった見方2:
再婚→多くの人を呼ぶような年ぢゃない→少人数挙式へ→どうせやるなら海外で。

前にこのブログで女性は(25ansにひっかけて)『晩産婚』化していると書いたが、いずれ『晩再婚』しちゃうのだろうか?(またブラックな語り口、すみません)

【再婚者に勝手にアドバイス】
①趣味をにじませた結婚式を挙げよう!
ある離婚した女性(わたしの昔の顧客の窓口担当者だった)がシミジミこういっていた。「夫婦は同じ趣味を持ってなきゃダメよ」 これが金言ならば、ゴルフが同趣味ならゴルフ場で、テニスならテニス場で、キックボクシングが趣味ならリングで、挙式を上げよう。

②コンパクト・ラグジュアリーで行きたい!
再婚式はどうせ親類縁者は呼ばないだろう。ならば自動車ではないがコンパクト・ラグジュアリーな挙式を挙げたい。呼ばない人はインターネット配信をすればチャットもできるかも知れない(そうなると、前夫、前妻も観れるが・・・)

③何よりも愛しあおう。
これ以上のアドバイスは思いつかない。再婚だから2ndワイフ/ハズバンドである。だが今度の愛ではFirstを貫きたい。今度こそほんとうに愛すると誓うことに優ることはこの地上にない。

今日は以上です。ではまた明日☆ Click on tomorrow!

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2007年2月19日 (月)

インライン・ビジネス

今日は隔週で書いているぷろこんエッセイからの転載です。テーマは先週
(2007年2月12日-17日)書いた成長経営のエッセンスです。

インライン・ビジネス

古来、人間にとって根源的な疑問は2つであったと思う。1つは、外に向かって
自分の住んでいる世界は何なのかということ、2つ目は内に向かって自分自身
は何なのかということである。

『時空に映る免疫学』 桂義元教授(京都大学退官 日本大学)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsi2/Newsletter/JSI_Newsletter_vol6no1_p4.html
               
                   *********************************

あらゆる仕事はインプット(入力)とトランザクション(処理)、そしてアウトプット
(出力)で成り立っている。

これはわたしの先輩が常々言っていたことだが、一見当たり前なこの一文を
どう理解するかによって、ビジネス創りのあり方が180度変わる。その真髄を
理解すれば、お客さまに「はまる」ビジネスが生まれるが、表面しか理解せず
にいくら仕事をしても「はまらない」のである。

「はまる」ビジネスとはお客さまの仕事のインプットの中の本質的なニーズを
くみとり、相応しい処理をしてアウトプットを提供する。「はまらないビジネス」
とはお客さまの仕事のインプットを表面的に受け止めて、自社のサービスや
商品はお役に立ちますので買ってくださいというもの。

なぜこんなことを考えたというと、その先輩が開発した、企業の人材育成に
関わる商品(サービス)がいくつかの企業や団体で圧倒的にウケていると
聞いたからである。内容は詳しくは書けないのだが、なぜ今まで類似の
サービス(世の中にゴマンとある)に、このような視点がなかったのだろう?と
さえ言われている。

ウケている理由をひとことで言うならば、仕事のインプットとアウトプットの
ギャップをきちんと埋めるからだ。始まりがあって終わりがあるのが、あらゆる
仕事の基本だが、その終わりはまた次の仕事の始まりである。終わりのかたち
が、次の始まりのかたちになってなければ、次の仕事はうまくまわらない。
従来はインプットとアウトプットのサービスが個別に存在していたのを、真ん中
の処理というサービスでしっかり結びつけたのである。

そのサービスがはまったもうひとつの理由は、それが「道具」に徹している点で
ある。業種を問わずどの会社でも必要とする、人材開発の基本的な道具となり
うるので、お客さまは融通無碍にそれを使うことができる。釘を叩いたり抜いたり、
モノを壊したり、テコに使ったりとひとつで何役もこなす万能ハンマーを思い浮か
べればいいだろう。特定の企業だけでなく、多くの企業、多くの部門で使うことが
できる。

ただし道具は人を選ぶものである。ある企業ではそのサービスを200%活用で
きるが、別の企業では100%かも知れない。普遍的な道具とは、ほんらい
そういうものなのである。実はコンサルタントも同じである。わたしはあるクライ
アントでは100%と言われたが、別の企業では・・・おっとやめておこう(笑)。
道具にまで達したサービス(商品)が理想形である。

                   *********************************

先週(2007年2月12日~17日)のブログでは成長経営事例をとりあげた。
読み返すと内容は舌足らず&拙速なところがあるが、経営成長の本質を考える
機会になったので、まとめてよかったと思っている。

四国高松市にあるヒューテックという会社の事例では、同社の理念がたった
一行、「品質管理のインライン化をお手伝いします」に凝縮されていると書いた。

この一行は「製造工程中に製造品の欠点を検出する」、つまり製造中に検査を
一緒に実施するサービスシステムを提供しますという内容である。こういう
ことが言い切れるには、対象となるお客さまの生産工程、生産設備、そして
生産品目に深い知識と見識がなければならない。お客さまの現場に知悉して
いなければならない。

この会社の品質管理のインライン化サービスの位置づけを考えるために
作ったのが下図である。インラインという言葉は、お客さまの中へというイメージ
が強く出ていて気に入ったので、借用させていただいた。

Inlinebiz03  

タテ軸にインラインレベルを取り、下にあるほど顧客の中にどっぷりつかること
なるので「深い」。上に行くほど顧客を高い視点で見ることができるので「浅い」
となる。断っておくが上が良くて下は悪いという意味はない。その企業のビジネス
モデルが上寄りか下寄りか、というように考えてほしい。

横軸は成長経営の三段階である。「顧客要求に適合するビジネススタイル」から
「創造的な提案ができる段階」、そして「革新的な商品を出せる段階」である。

ヒューテックの場合、インラインレベルが深く、お客さまの要求に適合するサー
ビスを提供しているので左下のポジションといえる。ここだけにとどまって
しまうと、特定の親企業に便利な下請け会社で終わってしまう。もちろんそれ
でも悪いことはないが、特定のお客さんへのサービスだけに依存して生きな
がらえる保証は今の時代、存在しない。

ゆえにヒューテックは、樹脂フィルムや紙業界で積み上げたインライン品質管理
ノウハウを水平展開して、つまり他業界でも使えるように普遍化したのだった。
同社が成長経営へ飛躍したのは、インラインレベルを上げたゆき、他業界(電子
フィルム業界など)への創造的提案につなげ、そして革新的なサービス商品と
して標準化できたからである。

この視点で見ると、ブログで取り上げたもうひとつの製造業、長岡市のプロデュ
ース
も理解しやすい。長年、カスタマイズ事業で泥をかぶってきた。だがその
ノウハウを3Dアプリケーションという、業界を絞り込んだ創造的な商品にまで
育て上げた。さらに水平展開して、適用できる業界を増やして売上をn倍増させた。

それぞれの段階で注意事項はある。「顧客要求適合/オペレイティブ」段階では
深いインラインレベル、つまり顧客を知り抜かなければ競争力はない。「創造的
提案/クリエイティブ」段階では、創造性とは普遍化に向かう作業であるという
認識がなければ、創造的な提案が生まれない。さらに「革新的商品/イノベイ
ティブ」段階では、一定のインラインレベルを残さなければ、つまり顧客の現場を
知らずには、地に足が付いた商品開発ができない。

成長経営のかたちは、四角形、台形、三角形に変化する、と覚えてもらえれば
いいだろう。ではこのシェイプをつくる原動力は何なのだろうか。

それは、「あらゆるビジネスは顧客に育てられる」というものである。顧客をどう
理解するかによって、四角のままか、台形になるか、いつか三角形を創れるか、
分かれ道となる。

 Inlinebiz04

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人間の成長にも同じことが言える。

ある狭い業界や職能をひたすら追求する。職能・スキルを深めてその道の専門
家になるものだ。もちろんそれもありだ。誰でも最初から幅広いスキルなど持て
るわけもないから。

だが一寸先は闇の世の中、自分のスキルや知識が何年持つのだろうか?そう
いう恐怖心を感じる仕事人は、いつもそのことを考えているはずだ。

だからどんな業界にも通用するように自分を台形にし、いつしか三角形を創造
できるよう、自分を研ぎ澄ます努力が必要である。もちろん、自分を台形にすると
いうのは、体形が台形になって、お腹からお尻がメタボリックになるというもので
はない(笑)。

冒頭に引用した免疫学の教授の一文にあるように、自分自身は何なのか、世の
中はどう変わってゆくのか、その2つの接点をどこに求めればいいのだろうか、と
いう「自分客観化作業」を繰り返すしかないのだと思う。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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~Marketing brain blogの構成は3つ、ほぼ毎日更新中~
【勝手にアドバイス】 気になる商品・サービス・店舗の「勝手なアドバイス」。
【勝手にアドバイス:旬ネタ】 勝手にアドバイスを、旬のネタを連続テーマで。
【メルマガ:ぷろこんエッセイの転載】 「コンサルタントの本音エッセイ」
※特定商品の宣伝・広告・論評・推奨が目的ではありません。
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2007年2月18日 (日)

CGMでブロガー・マインドウォッチ

今日は日曜日だから正直を言おう(クリスチャンではないが日曜は懺悔の日)。わたしはテキストやデータマイニングデータウエアハウスといった分析系ツールを導入しましょう!という仕事があまり好きではない。

それって何?の人も多いでしょうが、細かい話は省くが、データだけをシステムで分析しても、意味のある結果が得られないのではないか、という個人的な偏見である。もちろん良い発見もあるるにあある。それは事実だ。だが何らかの仮説がないところにデータからのインパクトない。つまり仮説立案の方がよほど重要だ・・・と考えがちなのである。

しかし膨大なデータの前ではシステムの力を借りずにはいられない。大手化粧品会社では、顧客とのコンタクトファイルが一日に数千件にもなるそうだ。とても全部読めない。ロボットに読んでもらって、重要なものだけをチョイスしてもらいたい。

口コミ分析も同じだ。人類皆ブロガーの時代、ブログ分析は重要になる一方だ。だが毎日いくつ更新されているのだろうか?今日紹介するNTT アドとNTTデータが開発した「CGM Watch」は、そんなあなたに替わって、ブログを分析してくれるサービスである。

【勝手にアドバイス Vol.121 CGMでブロガーマインド・ウォッチ】
 ブログやSNSに書き込まれた口コミ情報を、独自の解析エンジンで「快い」「対応が早い」「価格・料金が満足」など81種類の感性に分類。その結果を集計したマーケティングレポートを作成するサービスを(株)NTTアドが15日から提供する。
“CGM Watch”と名付けられたこのサービスは、2004年1月から抽出した約2億5000万件のブログ/SNSエントリーをデータベース化。その内容を(株)NTTデータの意味理解エンジン“なずき”で解析した上で、レポートとしてまとめるもの。
出典 http://ascii.jp/elem/000/000/017/17313/

 Cgmwatch  ロゴ兼説明。

あなたの会社が新製品を発売したとしよう。その新製品発売前から発売後までの間にアップされたブログのエントリーを、ごっそりとデータベース化して、不要なエントリーをのぞいた上で、81個の感性言葉で分析して、生の商品評価、広告やプロモーション評価を分析するというサービスである。

そのテキスト分析のエンジンはNTTデータが開発した「なずき」というもの。「キーワード」抽出から数値・構文解析技術をする文脈分析、さらにテキストから話題の判定、感性(評判)情報を抽出してグラフ化するというもの。書き手の気持ちまでを整理するいう。

従来似たようなサービスはあったようだがデータ分析にとどまっていた。NTTアドという消費者調査に長けた会社が、個々の企業の要望に応えて調査設計をするところがアドバンテージである。

【事例を見てみよう】
NTTアドのHPに立派な調査サンプルがある。その内、「デジタル一眼レフカメラ(標準レンズ込み価格20万円以下)について」を読んでみた。

ソニーのデジタルカメラ「SONY α100」の発売2006年6月6日から、ニコンの「Nikon D80」の9月1日を経て、キヤノンの「EOS Kiss Digital X」の発売日9月8日までの期間に、大手の20ブログでエントリーがあったブログを分析した。エントリー数は次の通りだったという。

EOS 30D               6,204
OS kiss digital   12,475
ikon D50        5,696
Nikon D70S     3,250
Nikon D80      5,423
SONY α100     4,506

エントリー数ではキヤノンがダントツである。

 Cgmwatch01

まずおもしろいと思ったのは、分析対象だけを絞り込めること。アフィリエイトや通販、ブックショップやアダルト、RSSのリンク(だぶりだから)、ニュースなどは「個人の考えを記す日記という概念と異なるため」分析対象外とするのである。そりゃそうだ。売ろうとして書く人は除外だ。それをどうやってやるのか。あらかじめデータベース登録をしているのか、目視チェックもあるのかはわからなかったが。

 Cgmwatch02

だが除外をかけるとニコンの商品のエントリーにはアフィリエイトや通販が多い、ということもわかった。また、発売後も商品名エントリーが続くかどうかということも追尾できる(キヤノン、ソニーは発売後もエントリーが減らず、ニコンは発売後はエントリーが減少している)。

【感性表現分析】
さて、81個の感性表現とはどんなものか。ここがノウハウなのでしょうから詳しい説明はないが、ワード項目(?)の分類表は公表されている。

 Cgmwatch03

青い項目が好評(嬉しい、期待、親切、好き、買いたい、等)、ピンクが苦情(不快、批判、遅い、不満、高い、悪い等)。こういう言葉でエントリーブログにどの言葉あるかを分析し、多次元マッピングするのだと思われる。

また機種別の感性分析結果は次の通りである。大きな差は出ていないが、EOSには好評が多く、ニコンに不要が多いことはわかる。ここから個々のエントリーワードを分析するのはおもしろそう。

 Cgmwatch04

ちなみに「予約した」というワードはEOS kiss digitalがもっとも多かったという。「購入した」というワードの分析もできるだろう。タイムリーにブログを分析できれば、販売在庫をどのくらい持つべきか、販促をいつかけるべきかなどの判断材料にも使えそうだ。

料金は5000~1万レコードの調査+レポートで、100~200万円としている。商品分野にもよるが、対象商品とその期間を決めれば試してみる価値はあると思う。

【勝手にアドバイス】
①大手企業にはSaaSで。

新製品が春夏秋冬発売される化粧品業界や携帯業界向けには、SaaS(昔のASP)で自社で分析できるように提供することもできるだろう。分析パターンを用意してレポートをオプションにしてもいいだろう。

②政治2.0サービス
内閣支持率○%という無味乾燥なデータではなく、安倍政権の巷の口コミ分析にも使える。もっとも官邸がそれを欲しがるかどうかは別である。今夏の参院選の打ち手検討にも使える。もっともこっちは民主党が購入すべきだが、自覚しているかどうか別である。

③話題の事件エントリー分析
これはマスメディア向けのピンポイント・サービス。話題の事件でブログのエントリーを、瞬時にぐいっと分析して、ニュースやズームイン朝ズバ!に売り込む。みんながどう感じているのか知りたいという欲求に応える。だが熱しやすく冷めやすい国民性、マスコミの嘘の多いと言われる姿勢を助長するのも嫌だ。

だから、陰惨な事件の感情分析はやめて、藤原紀香さんの十二単(ひとえ)の感性分析ぐらいにしましょう。

 Top_image  どこでも雨女に敬意を表して。

今日は以上です。ではまた明日☆ Click on tomorrow!

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2007年2月17日 (土)

旬ネタ:成長経営モデル 6.フォーナインズ

今週はコンサルティングの王道と称して6回にわたり、成長経営6社を取り上げた。今日はその最終回である。お読みいただきありがとうございます。

どうもブログを書き始めてから、わたしには困ることがひとつある。ネタ探しとか、書くのが大変とかはさておき、それは「欲しいモノが増える」ということ。マリメッコマウスに始まって、バッグ、iPod関連グッズ、携帯、パソコン関連グッズ・・・物欲を抑えるためにもなるべくモノを取り上げないようにしよう!(笑)と心がけてきたが、この眼鏡にはぐっときている

眼鏡づくりにこだわって、今やリピーター比率45%だというフォーナインズが今日のテーマ。買いたいがとりあえず書きたいだけにしておく。

勝手にアドバイス 旬ネタ 6.フォーナインズ

 Top_a_logo

【フォーナインズの売上高推移】
知る人は皆リピーター、というこのブランド。直販と卸売で急成長している。

2001年8月期  12億円
2002年8月期  11億円
2003年8月期  10億円
2004年8月期  16億円
2005年8月期  20億円
2006年8月期  21億円

TDB(帝国データバンク)他より。

創業は1996年、5人の眼鏡好き仲間と創業してから10年で成長企業になった。

【ブランド・コンセプト】
眼鏡は道具である」という考え方を基本に・・・・とあるように、眼鏡にこだわりながらも、まずデザインより視力矯正の道具である、というのが三瓶社長のお考えのようである。

 About_t_txt_b  同社HPより。

 社長はインタビューでこう話している。

 眼鏡というのはちょっと特殊な製品で、本来は視力矯正器具なんですよね。車椅子とか松葉杖とかと同じで、ハンディキャップをカバーするものなわけです。ただ、それと同時に、ファッションアイテムでもある。従来、特にバブルの頃などは、そのファッション性ばかりに注目が集まって、本来的な道具としての機能が置き去りにされてきたわけですが、基本の部分を忘れては駄目だと思うんです。もちろん、「格好良い」ということも眼鏡が持つ重要な機能の一部ですから、本来的な機能のためならビジュアルを犠牲にしても良いということではありませんよ。でも、この二つは決して相反するものではありません。徹底的に機能を追及したものは、必然的に美しくなります。
引用元 http://innovative.jp/2005/0601.html

 _  社長兼デザイナー

格好良さと機能の一致点を目指す、という三瓶さん。夜も寝ずにデザイン・試作に打ち込み、自ら眼鏡店に売り込んで鍛えた商品力は並のものではない。商品紹介が今回のテーマではないが、その独創性のひとつに逆Rの智(ち、フレームの蝶番の部分)がある。
 
 Four2  Four11
http://allabout.co.jp/mensstyle/mensfashion/closeup/CU20041221A/

 逆Rの智の何がいいのか。掛けたとき、下の写真のように、テンプルからブロウまでのラインが一体となるデザインが美しいし、耳や鼻にかかる負荷も機能的に優れているという。何しろ頭は丸いのである。なぜ従来の眼鏡フレームは90℃だったんだろう。

     S452t_t_1540c  ホモサピエンスに自然な形状。

デザイン上と生産上の独創には違いないが、顧客視点、いや使用する人間視点を忘れなかったからこそ、このような形状になったのではないだろうか。従来の製造者視点から商売をしていたら、絶対に生まれないデザインである。

【ビジネスの発展のポイント】
フレームはすべて三瓶氏のデザイン、製造は眼鏡の産地で有名は鯖江市の契約工場で生産というスタイルも、同社のブランド創りの根幹であるが、創業後、順風ではなかった。

冒頭の売上高推移を見てほしい。2001年から2003年頃までの売上高の伸び悩み、デフレ直下の時代だったのだ。いわゆる3プライスの中国産眼鏡フレームの最盛期の頃である。その価格の安さから消費者の支持を集めたが、品質の悪さから次第に評価を落としていったのも記憶に新しい。

フォーナインズではデフレ商品とは一線を画し、2003年9月に伊勢丹メンズ館にコーナーショップを展開、さらに翌2003年10月、二子多摩川高島屋SC内に直営店舗を開店したことが大きな飛躍ポイントになった。フォーナインズの眼鏡、「高すぎない」かもしれないが、レンズ込みで6~7万円になる商品である。商品にぴったり合った立地とコンサルティング力のある小売店が必要だったのである。売場と商品がフィットした、その頃から購入者が圧倒的に増加していった。

【フォーナインズというブランド創りの根底にあるもの】
再び社長のインタビューからの引用。

 フォーナインズは後発のブランドですし、ついでに言えば僕たち全員無名だし、じゃあ何が一番の強みなのかと考えたら、やはり全員が小売店での経験があって、お客様が求める機能や品質を肌でわかっているということなんですね。このことについては、自信を持って、僕たちが一番だと言える。だから、常にそれを意識していようということです。

デザイン優先だけではないから通販はない(フィッティング重視)。一方「十人十色」というコレクションメッセージから、鼻当てのパッドやテンプルはカスタマイズできる。フォーナインズを「会社」と呼ばず、意識して「ブランド」と呼ぶあたりにもあらゆる仕事が本質的に、お客さまとのコミュニケーションで成立することを忘れていないのであろう。

フォーナインズでは、商品(顧客コミュニケーションからのデザインと機能の融合)、売り方(メッセージ性のある売場と立地)、商品供給(技術の確かな鯖江市)の3つがそろって成長企業になった、ということが言えるだろう。

              @@@@@@@@@@@@@

【今週書いた成長経営モデル 旬ネタを振り返って】
今週成長企業を取り上げてきて思うのは、よそ様の事例に漫然と感心するのではなく、「その事例が本質的になんだったのか」を考えることが大切であること。そういう態度がなければ、ニュースを聞き飛ばすように、どんなセミナーに行っても、どんな名経営者の話を聞いても何も身につかない。「ああ、なるほどね。でもウチのビジネスとはちょっと事情が違うね」で終わってしまう。

だが成長経営には普遍的なステップがあるのも事実である。

コンサルティング稼業とは、企業固有の事情の衣はがして、普遍的な法則に再編集する作業でもある。そんなことが今週のブログから少しでも感じていただければ幸いである。 

日常の風景や些細なことにも、本質的には何だろう?を考えるクセを付けたい。それも主観的な本質論で構わない。自分の経験や思考の範囲で考えてこそ、自分の血になり肉となるのだから。

今日は以上です。なお成長経営モデルの選定はTDRレポート2007年版、その他情報源からチョイスしました。

ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月16日 (金)

旬ネタ:成長経営モデル 5.ヒューテック

コンサルティングの王道と称して始めた今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」、5回目です。今週もおつきあいいただき、どうもありがとうございました。今日は紆余曲折を経て急成長を遂げている四国高松のメーカーを取り上げます。

シート面の検査装置」という、またしてもなじみが薄そうですが、コアにある考え方にはズドンと納得させられてしまう。品質管理システム開発のヒューテックが今日のテーマ。

勝手にアドバイス 旬ネタ 5.ヒューテック

 Futec  未来の技術、が語源。

【ヒューテックの売上高推移】
高松市に本社のあるヒューテックの近年の売上高推移である。

2002年3月期  48億円
2003年3月期  51億円
2004年3月期  50億円
2005年3月期  61億円
2006年4月期  68億円

TDB(帝国データバンク)、同社HPより。

過去4年で50%増しである。品質管理という、どちらかといえば地味な技術の会社を考え合わせれば、この売上高の伸びは驚異的と言わざるを得ない。

【たった一行に圧縮された企業理念】
同社HPに掲載されている企業理念は次の一行である。

 品質管理のインライン化をお手伝いします。

これだけである。製造業に詳しく無い人は何だ?という感じでしょうが、ちょっと待てよ。インラインとは生産工程の中という意味である。一般に品質管理は製造後に外観や機能などをあれこれチェックをするものであるが、この一行に込められているのは「製造工程中に製造品の欠点を検出する」、いわば製造中に検査を一緒にやってしまうというコンセプトである。これはすごいことだと思う。従来の品質管理コンセプトの否定だから。

 Qc_line

この図を見ればなんとなくその理由がつかめる。投入物が生産工程に入って行く。最初の測定器が品質測定を行い、そのデータを分析し、製造品質が出荷できる許容範囲かどうかを診断する。その結果、許容範囲内であれば投入物は産出物になる。ある投入物に修正が必要であれば(つまり欠陥品)、その修正データを次工程に送り、必要なアクション(修正)を生産ライン上で施せる。異常原因もアクション情報もデータベースに蓄積され、生産管理・統計に役立てることができる。

お客さまの工場で必要なデータは異なるとはいえ、また工程上で修正が可能かどうか製品によって異なるが、どんな製品にも出荷時検査は必要である。インラインで品質管理をするという考え方は非常にクリアでメリットが伝わりやすい。http://www.futec.co.jp/seihin/s_gaiyou.html

適用できる分野は連続生産ながらも、途中で修正が可能な製品にアドバンテージがある。それは樹脂フィルムやセロファンなどシート、連続生産される紙、そしてフラットパネルディスプレイ(液晶装置)などである。これでイメージがつかめただろうか。

【紆余曲折でここまでこれた】
出発点は「富士塗油器」という会社。この会社は現在の社長の平田 喜一郎氏の先代がつくった会社で、潤滑器という車両用塗油器をつくっていた。塗油器とは列車などの車両の部品フランジなど摩擦が出る箇所に油を塗って、潤滑させるというもの。

この会社に入った平田 喜一郎氏は、二代目として「企業の作り直しが必要である」と考えて、まず塗油器の技術を応用して、クレーンの投光器を開発してヒューテックとして独立した

クレーンの投光器とはクレーンが持ち上げる物を、安全に吊り上げられるように、光を当てて操縦の目安にするというものである。これをある鉄鋼メーカーに売りに行くと、その光を当てる技術を、鉄の表面の傷や厚みの検査に応用できないかと言われ、共同で研究開発を始めた。ところが開発したのは1978年、第二次オイルショックの前夜。とたんに鋼材識別装置が売れなくなった。

どうしようかと考えていたところ、製紙業でも検査に困っていると聞きつけて、紙の検査装置を開発したが、この分野は大手が牛耳っており、まったく売れない。なんとかせにゃで見つけたのが、紙と似ているプラスティック・フィルムの検査である。これが1985年頃。この技術をベースに、インラインシステムを開発した。
(以上、TDBレポート 成長企業2007を参照しました)

顧客密着というと根性論に聞こえるが、売れなくてもめげずに、顧客の現場の品質管理ニーズを掘り下げてきた結果である。

Photo_26
この図、フラッシュで動くので、同社のHPをURLからクリックしてください。イメージがつかめます。

【品質管理室って何するところ?】
わたしに情報システムとはなんたるやをたたき込んでくれた先輩は、わたしが脳力以上のことをもらって大半をこぼしたことを知らないが(笑)、彼がひとつ言っていた「品質管理っていうのはな・・・」というコメントを思い出した。

(システム品質が)悪くなってから「品質が悪い」「統計を取って分析をする」なんてXXでもできることだ(よく口にされるが差別語なので伏せ字とした)。品質管理に必要なのは、技術への深い知識であり理解である。間違っても干上がったような人(こっちは直接的な表現ですみません)を品質管理のポジションに据えてはならない。

ヒューテックでは「品質管理は結果ではなくプロセスである」。しかもデータを瞬時に解析して、すぐ次の工程に反映させるのがすごい。これを実現したヒューテックの技術力と粘着力を市場が認めてくれたのが、成長の背景にある。

【独創性の二つのパターン】
ヒューテックは過去30年間、環境変化には別の成長市場を探し、顧客の変心にも耐え、大手の競合会社の出現にはニッチを探しつつ、企業を生まれ変わらせてきた。しかし一方で、基本技術(検査)を深めながら、一貫して品質管理分野にこだわり続けて、他社にはない差別化を成し遂げた。

真ん中にあったのは「技術の独創性」へのこだわりである。

事業成長の原点は、「絶対にこれがトレンドになる」という、2月13日に取り上げたメビックスの例もあるが、ヒューテックのように、技術へのこだわりから、「じわじわと本質的なソリューション」を商品化するというアプローチもある。どちらの企業も、技術への「とことん」であることには変わりない。

明日もう一社、とことん企業を取り上げて、「旬ネタ 成長経営モデル」を終えたい。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月15日 (木)

旬ネタ:成長経営モデル 4.StrapyaNext/ストラップヤネクスト

コンサルティングの王道と称して始めた今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」。バレンタインデイも終わり、疲れの見える佳境の木曜日になりました。取り上げる企業の予定は次の企業でした。

1.駐車場綜合研究所(駐車場管理) → 2月12日
2.メビックス(臨床試験管理システム) → 2月13日
3.プロデュース(電子部品製造装置、機能分析装置) → 2月14日

4.フォーナインズ(眼鏡フレームの企画・製造)
  2001年8月期 売上高12億円、05年8月期20億円 
5.クロスカンパニー(婦人服SPA)
  2001年1月期 売上高7億円、07年1月期115億円
6.ヒューテック(欠陥検査装置製造)
  2002年3月期 売上高48億円、06年3月期68億円

・・・どうも堅い会社が多い!理解するのが難しい会社が多い!という声なき声を受けて、今日は想定外の携帯ストラップ屋をとりあげます。たかがストラップ、されどストラップ。でも、これもものすごい成長企業であり、マザース上場を目指しているという。

勝手にアドバイス 旬ネタ 4.StrapyaNext/ストラップヤネクスト

Nextrogo

【ストラップヤネクストの売上高推移】
とても若い人ばかりの会社である。現在は約60名の社員、同社の社員の一部の一同である(ちょっと変な日本語かしら)。

Gathers  樋口社長さんは右下の方。まだまだ若いです。

2002年4月期  100百万円
2003年4月期  150百万円
2004年4月期  250百万円
2005年4月期  500百万円
2006年4月期  922百万円

TDB(帝国データバンク)資料より。

5年で9倍という急成長ぶりである。扱っているのが携帯ストラップや雑貨という低単価な商品主体であることを考えると、何ともすごい伸び率である(ジュエリーも寄与しているが、それほど高価なジュエリーではない)。

なんだ、携帯のストラップ屋さんか、などとあなどるなかれ。この会社、樋口敦士社長の市場の目利きで成長してきたと言っていいだろう。

【発想力、先見力、実行力の三点セット】
樋口社長のビジネス人生は学生時代に沖縄へ旅行したときに始まった。沖縄で「これは売れる!」と思ったのが天然石、今でいうパワーストーンである。それを買い付けてウェブで販売を開始。1997年というからまだネットは黎明期といっていい時代。だがウェブでこそ売れると信じて実行し、まだ競合店舗などなかったせいもあって飛ぶように売れた。

そして98年3月に携帯ストラップに目をつけ、いったんネットショップを閉店して、天然石のストラップを中国で製造・卸売販売にスイッチした。そして同社のヒット&代表商品であるハイビスカス・ストラップを開発、発売したのが98年6月。

 Hibisucus  わたしの自宅近く咲いていたハイビスカス(昨年ですが)

製造ノウハウを得て、品揃えも幅広く行い、1999年8月「携帯アクセ市場」をネットに開店して小売りに復帰した。この間、たったの1年数ヶ月。きっとめまぐるしい生活だったと思われるが、若いからだけじゃない行動力、そして商売ガッツはすごいと思う。

【‘気合い’というウェブサイト構築ノウハウ】
「携帯アクセ市場」のウェブサイト構築のポイントは3つであった。

①あそこのサイトを見れば無いものはないという豊富な点数
②丁寧な商品紹介
③新鮮な商品仕入れ

①は今の同社のサイトにも通じるがとにかく量で圧倒しようという戦略。商品の見せ方、説明はとにかく詳細に具体的に、それこそご飯を食べる間を惜しみ紹介文を書きまくったという。商品展示や説明ののお手本はAmazonのサイトだった。

サイトのオープン後、商品種類は2~3年で3000アイテムを越えた。気をつけたのは小ロットでの仕入れ。大量種類かつ品薄感、つまり他品種少量をこころがけた。言ってみれば商売のイロハであるが、樋口さんの今の会社があるのは、それを貫徹したからに他ならない。

【サイトの作り方】
同社の現在のサイト「ストラップヤネクスト」の商品選択の構成を見てみよう。顧客視点で構成されている。

①10,000点ストラップ外観
 01_8  サイトに訪問。

②しぼりこみ(男女、好み、流行り・・・)
03_4  女性モノ選択。

③希少性の確認
04_2  商品絞り込み。

④選定・購入
05_3  購入。わかりやくすパターン化/標準化。

【売上急成長のきっかけ】
ひとつは楽天、yahooというショッピングモールをうまく活用したこと。携帯アクセ市場では、自前の決済をしていたため、複数品目購入者の決済などがスムーズでなかったらしく、ショッピングカートや決済代行機能を提供してくれるモールを活用した。楽天出店が2000年、yahooセレクトショップは2003年であった。

もうひとつは携帯ストラップだけでなく充電器や携帯関連のアイデア商品など携帯アクセサリーへの展開と、ジェエリーショップ「ジュエルPOPs」の展開である。

恐らく樋口社長の中にある「危機意識」がそうさせているのだと思う。たかがストラップ、されどストラップといえども、飽きがきても年間数本しか購入しない。ゆえにストラップと購入顧客が一致する商品に水平展開をいつも心がけなくてはならないのである

だからリピート客を大事にする。「携帯アクセ市場」の時代からやっていたことであるが、サイトの会員制。新商品入荷後すぐにメールを会員宛に打つ。今でこそ多くのサイトがやっていることだが、それを2000年頃からすでに実践しているのである。

同社HPより樋口社長のコメントを引用する。
携帯電話の付属品である、“たかがストラップ”ですが、沢山のお客様へささやかな喜びと感動をお届けすることができると、信じております。これからも世界一の携帯グッズ専門店として携帯グッズ&ストラップを世界中に普及させるという使命を果すべく努力して参ります。
樋口敦士 http://www.strapya.com/index.html

【たかが・・・+肯定形でいこう!】
わたし郷は中小企業診断士ですが、資格をいただくときは美容室チェーンなどに実務研修にお邪魔して、診断をさせていただきました。それもありまして不振のお店をなんとかテコ入れしたいという思いはある。最寄り駅ソバの売れない眼鏡店の前を歩くたびに、店長と覚しき人が手持ちぶさたで、店内からじっと外を見ているのをみかけるたびにそう思います。

商いは「たかが・・・(否定形)」になってはダメだと。たかが、だが・・・こういう仕入れもある、こういう売り方もある、こういうアフターもある」つまり肯定形にならないとダメだと思います。

樋口さんの「たかが・・・」への思い入れこそ、事業の成長の起点であり、その次の成長の起点だと思います。商店経営や店員の方が、もしもこの駄文を読んで頂いているとすれば、ストラップヤのサイトをぜひ訪問してみてください。必ず元気づけられると思います。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月14日 (水)

旬ネタ:成長経営モデル 3.プロデュース

今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」はコンサルティングの王道の3日目である。せっかくのバレンタインデイも大雨になり(関東地方です)、がっかりされているカップル方々も、成長企業にまつわるこのブログでもお読みいただき、憂さ晴らし?してください。

プロデュースという会社、ものづくりをされている製造業の方々には「あ、あの会社!」でしょうが、それ以外の分野では知名度はまだでしょう。商品ないし技術は一般には目に触れないばかりか、なかなか技術音痴&門外漢には理解しにくいので。ところが23歳で独立した佐藤英児社長、苦節13年でジャスダックに上場した苦労人でもあり、新潟県長岡市の青年のといっていい存在。

今日はとことんモノづくりにこだわるプロデュースの成長を「3本の矢」の観点から切ってみたい。

勝手にアドバイス 旬ネタ 3.プロデュース

 Logo_5  ロゴ。
 
【プロデュースの売上高推移】
創業は1992年。機械を造るのが何より好きな父の背中を見て、よし!独立するぞ!とメーカー勤務後23歳で会社を立ち上げたのが佐藤社長。受注先から不渡り手形をつかまされ自殺まで考えた時期を乗り越え、2005年にジャスダックに上場した。

2002年6月期  547百万円
2003年6月期 1,001百万円
2004年6月期 1,872百万円
2005年6月期 3,109百万円
2006年6月期 5,885百万円

http://www.k-produce.co.jp/contents/ir_zaimu.html

過去5年で10倍!なんとも凄い急成長である。何がこれほどまでに売上をドライブさせたのだろうか?

【3つの事業の柱】
・・・3Dアプリケーション事業、ファンクションアナライズ事業、カスタマイズ事業が当社の柱であり、この三事業は、メーカーと設計開発受託の二つの顔を持っているという特徴があります。
同社HPより。

聞き慣れない用語だが、まず年次別・事業セグメント別に状況を見てみよう。

2002年:カスタマイズ事業の一貫生産開始
 →売上高の100%がカスタマイズ事業の一貫生産(=開発、設計、製作、サービスの事業体制確立)
2003年:3Dアプリケーション事業の立ち上げ(世界初の外部電極形成装置の開発)
 →カスタマイズ7億円、3Dアプリケーション3億円
2004年:ファンクションアナライズ事業開始、長岡工場の稼働開始
 →カスタマイズ=9.5億、3D=6.3億、ファンクション=2.8億
一年飛ばして、
2006年:カスタマイズ=11億、3D=19億、ファンクション=28億(二年で十倍!)

 Graph_ir002

メーカーでもあり、設計開発受託の顔を持つ?・・・これがキーワードなのかも知れない。

【三本の矢、ならぬ3事業】
3つの事業を次のように概略で理解しておこう。

カスタマイズ事業
同社の事業スタートはファクトリーオートメーション(FA)制御装置の設計制作の受託である。いわば何でも請け負いますというスタイル。ここではあらゆるお客さまに鍛えられた。何でもやります=「お客様との仕様打ち合わせから制御ソフト・ハード設計、機構設計、加工部品製作・組立、制御盤・装置配線、試運転調整、現地据付、メンテナンスまでの一貫対応(同社HPより)」の技術蓄積を10年間にわたって継続していたことが、すべての成長の基礎にあるようだ。

今では電子デバイス、バイオ、食品、フラットパネル、自動車など、日本のモノづくり主要分野に、FA制御設計をカスタマイズする、という全方位サービスである。

3Dアプリケーション事業
逆に3Dアプリケーション事業とは、「極小チップへの高精細な電極の形成(塗布)する」という集中化された技術である。対象商品は「チップデバイス・半導体ICモジュール・太陽電池パネル・ディスプレイ・センサや無線タグ等」広がりがあるが、技術のベースはひとつ、微細な金属配線技術である。

従来は米国企業の寡占技術だったそうだが、狭い隙間に精密な配線加工ができる技術を確立したことで、同社の売上高を急成長させた。

 3d20051212  文系にはわかりにくいが・・・

ファンクションアナライズ事業
これは生産した製品の出荷前検査を「一発でやる」というシステムである。従来のやり方だと、外観検査、機能検査、テーピング、ラベリング、出荷まで、個別の検査工程で実施されていた。それを1発(同社では“1回~Once~”と言っている)でやってのけるのがこの技術システムである。対象はCMOSセンサーなど微細加工を施した部品が主力のようである。

【プロデュースの事業成長の必然性】
今一度プロデュースの事業成長順序をおさらいしてほしい。

カスタマイズ(生産設備の構築)→3Dアプリケーション(集中化)→ファンクション・アナライズ(出荷検査)

この三つがこの順序だったのは必然である。佐藤社長以下若き技術者たちが、顧客の要求を真正面から受け止め、カスタマイズに日夜精を出した。その技術の積み上げが、微細塗布加工というヒット技術を生み、さらに微細加工部品の出荷検査まで一貫したサービスにつながっていった。極めて論理的である。ベースは設計開発受託、そしてメーカーでもあるのだ。

わたしの先輩コンサルタント江口一海さんは、すべての事業体は「カスタマイズ(顧客要望に応える)」「シンクロナイズ(顧客の事業と同期をとる)」「セントライズ(一点集中技術/製品を出す)」の三つに分けられると言っている。

3_3

プロデュースはこの三つが各事業にきちんと揃っているのだ(カスタマイズ=カスタマイズ、セントライズ=微細加工、シンクロナイズ=出荷検査)。通りで成長するわけである。こういう会社は稀少である。もちろん、苦節・・年があったからこそ、報われたのである。継続は力なりである。このブログもそれを肝に念じて。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月13日 (火)

旬ネタ:成長経営モデル 2.メビックス

今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」はコンサルティングの王道を歩くと大見得を切ってしまったが、今日はその二回目。馬脚をあらわさなければいいが・・・と周囲には心配もされているが、メビックスという会社の成長率はものすごい。一般には目に触れにくい大規模臨床試験というビジネスで、まさに日本にはなかったニッチ市場を創出しようとしている注目企業である。

しかも開発の副産物として、あらあら不思議!液体に見えた飲料がグラスに注ぐとシャーベットになる!という商品まで開発してしまう。この会社の成長を商品・売り方・SCMプロセスの観点から切ってみたい。

勝手にアドバイス 旬ネタ 2.メビックス

 Photo_2  

【メビックスの売上高推移】
創業は2000年。約三年のシステム開発期間を経て大規模診療試験市場という市場に2003年から参入。

2003年4月期   27百万円
2004年4月期  209百万円
2005年4月期  780百万円
2006年4月期 1,671百万円

06年4月期は営業利益も392百万円も出している。営業利益率23%。

【EBM-Evidence-Based Medicineという大きなトレンド】
1990年以降、欧米諸国では「科学的な根拠に基づく医療:Evidence-Based Medicine」の重要性が盛んに唱えられるようになり、臨床現場において様々なエビデンス構築が進められています。治療法や手技、医薬品などの有効性及び安全性を評価する数々の臨床試験が実施され、欧米から発信された多くのエビデンスがわが国の臨床現場でも応用され始めています。
同社HPより

EBMとは「根拠に基づいた医療」と訳され、個々の患者の治療をきちんとした臨床試験によるデータに基づいて、適正な医薬品使用や診療をするという考え方である。卑近な例では「発掘!あるある大事典」のようなテレビ番組を視聴して、なんとなく自分にも効きそうだ!と飛びつくのではなく(SEで大型バイク乗りのS本さんへよく聞けよ!)、ちゃんとしたデータが虚偽なく取られていることを確認するという態度である。エビデンスがあるかどうか、番組にも医療にも、ちゃんと問いただす姿勢がわれわれには必要である。

EBMが大切ではあるが、あらゆる病気のあらゆる治療法の組み合わせのエビデンスを取ることは困難である。日本全域で一斉に調べるような、大規模な調査もコスト面で合いにくい。メビックスはインターネットの普及を見越して、この真空地帯をついたEBMネットビジネス・モデルを構築したのである。

【メビックスのマーケット・ポジションニング】
メビックスの資料によれば、EBMの必要な領域は大きく「創薬」「臨床試験」「学会・研究会」に分かれる。

 Img_min_ji_ryo

一番左の「創薬」とはバイオベンチャー企業など製薬会社が将来、医薬品になる可能性のあるリード化合物を探索したり合成する。この段階のEBMはかなり狭い領域であり、外部企業が付けいる隙間は狭い。次いで真ん中の「臨床試験」エリア。前臨床・治験・製造後調査という3つの段階でEBMが必要だが、ここは製薬企業の独断場である。医療という閉じた世界である。新参者が入り込むのがむつかしい。

だからメビックスがねらったのは三つ目、学会・研究会で必要な大規模臨床試験のEBMである。顧客は厚生労働省や独立行政法人、学会などであり、治療法や予防法の発見など試験研究するマーケットである。

従来このマーケットは手書きのデータ作成・取得・入力など、非常に非効率的であり目立った会社がなかった。だからこそ大規模EBMも取りにくいという事情があった。ここをメビックスはついたのだ。

余談だが、当社には治験マニアのコンサルがいる(といっても昔、学生の頃やっていたらしい)。治験期間中は、製薬会社の檻の中に閉じ込まれて(合宿みたいなものらしい)、好きなものが飲めない・食えないとか。そのせいかどうか、中年に達した今、彼は非常に病気がちで体が弱い。年中風邪をひき、咳をしている。治験のせいで病気になるというエビデンスはないだろうが(笑)。

【商品:臨床試験支援管理システム「CapTool」】
Cap Toolとはインターネットを用いた、臨床試験支援管理システムである。全国の対象者のデータを、自宅からも病院からも大学研究機関や治験施設からも、どこからでもインターネットを介して、メビックスのデータセンターで集約して、治療と投薬などのエビデンスを集積するという仕組みである。

 Captool_g01

このシステム(同社の売上高の8割はこの事業からつむぎだされている)のメリットは次のようなものである。

◆リアルタイムでのデータ収集ができる
従来の手書き方式は回収・入力が必要であるが、ウェブで被験者や医療関係者が入力してくれるならその手間が不要である。データはシステムに集計され進捗管理が可能である。

◆データ品質が向上する
手書きや手入力方式の場合、誤字脱字や入力ミスがありうる。

◆コストダウンが図れる
被験者や機関とのメール(郵便です)の業務量を削減できる。

【売り方:ソネットM3との提携】
マーケット・ポジショニングの巧妙さや研究機関という堅い顧客を狙うだけでなく、2006年6月には医療従事者限定ポータルサイト「m3.com」と提携し、個々の医師への浸透を図っている。このサイトはソニーグループ企業が運営する医療従事者限定のポータル(会員数28万人、うち医師12万8,500人)であり、求人・求職、医療コミュニティなど、かなりの閲覧数を誇る。

トップダウンからの受注だけでなく、草の根レベルで浸透をはかるというやり方、大規模EBMの認知度を上げる上でも効果的だと思われる。

【マジクールという‘過冷却’ゼリー状飲料冷蔵庫】
移植、輸血、再生医療において移植細胞の損傷を少なくし、長期間保存できる医療機器の開発をしていたところ、副産物としてマイナス5~6度という過冷却が可能なシステムを開発してしまった。

 Magiquoal_p05

お時間がある方は是非動画再生をしてください。あ~ら不思議、お酒も炭酸飲料もみんなシャーベット・クールになるのである。

【メビックスの成長経営モデル】
・EBM領域の真空地帯に、インターネットという特性を組み合わせたEBM2.0モデル(コアバリュー)
・大規模臨床試験のノウハウが低いという日本の事情に切り込んだ(商品)
・専門家の知恵を結集したシステム&サービス開発(商品)
・製薬メーカーとバッティングしないポジショニング(売り方)
・ネットを用いた大規模臨床試験(SCMプロセス)
・ASPサービスという差別化による効果(SCMプロセス)

この会社、ちょっと株価下がり気味だがわたしは買いです。今日は以上です。

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第二回製造業幹部セミナー 創発力で成長経営モデルをつくる!』
と題して、2007年2月21日(水)にセミナーを開催します。

製造業における成長事業モデルをどう構築するかが主題ですが、製造業以外にも
通じる成長のヒントがあります。
過去20年変わらない日本の製造業の事業構造プロセスを、「商品・売り方・SCM
プロセス」という経営機能を一貫させることで、顧客価値の創出プロセスを根本から
変える成長事業モデルの構築を支援します。

1.創発力による成長事業モデルの構築
 成長事業モデルのコンセプト、構築方法を具体的に述べます。
 講演:株式会社アイデア  代表取締役 経営コンサルタント 江口 一海
2.事例とケーススタディで観る『創発戦略マップ』構築
 成長事業モデルづくりをケーススタディと事例から具体的に説明します。
 講演:株式会社ビジネスブレイン太田昭和 クリエイティブ・マネジメント・コンサルタント 郷 好文
3.ベンチマーキングによる創発力診断
 自社の経営機能の現在の立ち位置をベンチマーキングで把握する手順を説明します。
 講演:郷

 Scm

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メールをお寄せください。(プロフィール欄にメールアドレスがあります)
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2007年2月12日 (月)

旬ネタ:成長経営モデル 1.駐車場綜合研究所

今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」では(たまには)コンサルティングの王道を歩こうと思っている。

テーマは「売上高伸長率50%以上の成長経営モデル」。最近数年間で売上高50%(つまり5割増し)以上を成し遂げている企業を「成長経営要素」の視点から切り込み、普遍的なモデルとしてまとめる。

売上高ベースで1割~2割アップまでのレベルは、「ヒット商品に恵まれた」「たまたま店舗展開ができた」「自立反転で需要が回復した」など、既存の事業の枠組みの中で達成できる。ところが売上高5割増し、あるいは数倍となると、既存の事業の枠組みを進化させ、対象市場のフォーマットを大きく変えずには達成できないのである。過去の殻を脱ぎ、経営のあり方をガラリと変えなければ成長経営とは言えないのである。

多くの成熟企業の中期経営計画を見ると、売上高を年率5~10%増しますという「数字置き石型」の計画策定が多い。置き石の配分は、たとえば、今日のご飯の事業(既存事業)で85%を、今日の夜食の事業(だいたい見えている新製品)で残りの10%を、明日のご飯の事業(未知数の新製品)で5%を実行します、となる。

これではおうおうにして、3年目には初年度ととんとんかマイナス成長しかない。新製品の比率はさまざまな理由がつけられて未達となる。

一方、成長経営を前提とする中期計画は違う。今日のご飯の内5割が3年以内に賞味期限切れとなるのではないかという恐怖心からスタートする。だから新技術や新製品に賭けなくてはならない。いわば「飛び石型」の計画になるのである。成長企業の飛び石の配分は、毎年の新製品比率を20%にするなど、明日のご飯への経営資源配分に配慮する計画になる。つまり、過去を否定すること、事業を問い直すところが出発点になるのである。

 J0406340 置き石経営 400_3036 飛び石経営

下図は、成長経営の三つの要素(「商品」「売り方」「SCMプロセス」)を一貫させることで、事業のバリューチェーン(「営業」「開発設計」「製造」「物流」「サービス」)がはじめて機能する、ことを示している。それを実現するのは社員一人ひとりの意志であり情熱であるのは言うまでもない。三つの要素がきちんとそろって、しかも一貫することで初めて成長率50%以上の成長経営が実現されるのである。

 3_2

キーワードは「商品」「売り方」「SCMプロセス」を一貫して機能させる。

私達は「成長企業や成長事業には普遍的な取り組みがあり、それはビジネスモデルとしてさまざまな経営や事業に適用することが可能」だと考えている。その普遍的な取り組みが功を奏した事例を取り上げ、成長経営のコアに迫る!各事例分析をその視点から切り込んでみたい。読者企業にもこのアプローチを反映していただきたい、というのが今週の旬ネタである。

いつになくまじめですみません(笑)。取り上げる会社の候補は次の通りである。(2月16日まで5社を予定)

1.駐車場綜合研究所(駐車場管理)
  2002年3月期 売上高約6億円、06年3月期26億円

2.メビックス(臨床試験管理システム)
  2004年4月期 売上高209百万円、06年3月期1,671百万円

3.プロデュース(電子部品製造装置、機能分析装置)
  2002年6月期 売上高547百万円、06年3月期約60億円 

4.フォーナインズ(眼鏡フレームの企画・製造)
  2001年8月期 売上高12億円、05年8月期20億円 

5.クロスカンパニー(婦人服SPA)
  2001年1月期 売上高7億円、07年1月期115億円

6.ヒューテック(欠陥検査装置製造)
  2002年3月期 売上高48億円、06年3月期68億円」

               *****************************************

旬ネタ:成長経営モデル 1.駐車場綜合研究所

ということで一番バッターは駐車場綜合研究所。なんといっても圧倒的なノウハウ(商品)とその伝道(売り方)、そして収入保証までもする運営力(SCMプロセス)の三つがそろっているのが同社の特徴。売上高推移を見てみよう。

2002年3月期  5.8億円
2003年3月期  7.6億円
2004年3月期 10億円
2005年3月期 16億円
2006年3月期 26億円

たかだか資本金6,990万円、従業員42名(駐車場オペレータは別に250名)の企業規模。何があってこのような圧倒的な業績推移となったのだろうか?

【コンセプト】
今、駐車場施設はインフラでありながら、サービス業としてホスピタリティ(おもてなし)が要求される時代といえます。弊社は、現場優先主義に基づく『お客様の声』を積極的に取り入れ、200項目にわたる管理・運営マニュアルを実施しております。現場の声はコンサルタント業務にも生かされ、管理・運営面から見た各種計画書を作成し、その内容については保障制度を導入しており、他に類を見ません。これらは約30年以上駐車場に関わってきた経験より生まれたものです。(大嶋 翼社長のメッセージ)
http://www.pmo.co.jp/company.htm

別のところで大嶋社長はこう言っている。駐車場とは「クルマを駐車する場所」ではなく、「お客さまの生活行動のスタート地点」である

言われてみればその通りである。クルマを駐めたところから、買い物をする、映画を観る、仕事をする、帰宅する・・・などが始まっている。こうした発想した駐車場管理会社があっただろうか?この視点がビジネス的にも意味を持つのは、次のお手玉オペレーションというサービスでよくわかる。

【お手玉オペレーション】
「あなたの駐車場の時間と時間の「すき間」をいかに埋めるかが駐車場ビジネスの重要な課題」ととらえ、24時間365日、非稼働駐車スペースを限りなくゼロにする、いや、駐車場によってはなんと120~150%の稼働実績がある同社独自のサービスである。

  Img_04_1  なるほどお手玉。

駐車施設によって、一般の時間貸し以外に、パークアンドライド(通勤・通学利用)、休日定期、夜間契約、一週間パスや一日パスなど、需要によってメニューを組み合わせる。これによって稼働率を100%以上を達成する。駐車場ノウハウ(観察リサーチ力、提案力)だけでなく、車庫のフリーアドレス制(クルマを置く場所を固定しない)と入出庫のアテンダント制(クルマの移動は係員がやる)という現場係員の効率的な動きによって実現されている。

駐車場を「お客さまの生活行動のスタート地点」ととらえるのは、駐車という目的を知り、それを駐車効率アップのメニューと運営に具体化するためである

駐車するお客さまにとってみれば、いつでも駐められるという利便性があり、駐車場オーナーにとっては施設利用者の満足、ひいては自社施設への収益還元となる。もちろんパーキングが有料であれば収入増になる。

Img_03_1  こんなモデルを積み重ねるようです。

【売り方】
同社のこうしたノウハウが活かされるのは大規模駐車場である。主要業務も「大規模駐車場の管理・運営・運用」「駐車場経営コンサルタント(収入保証)」「駐車場マネジメント業務(経営改善コンサルティング)」などとある。

同社の売上が飛躍的に伸びた近年は、大規模開発が集中していた。同社の実績先である、六本木ヒルズ、防衛庁跡地再開発、表参道ヒルズ、秋葉原UDX等である。

結果的に大規模開発の波に乗れたということも言えるが、それよりも、同社の駐車場コンサルティング・サービスとオペレーションが、大規模開発施設向きであり、それを適切なターゲティングとコンサルティング・セールスで売り込んだ結果、売上高が飛躍的に伸びたのが実情であろう。

同社の企業HPとは別に運用されている「駐車場経営と土地有効活用の綜合支援サイト」というウェブサイト、情報量がものすごい。駐車経営、運営、稼ぐ施設にするコツ、料金、ホスピタリティ、駐車場サイン計画・・・こんな理論的な駐車場会社が他にあるだろうか?

Photo_24 

【駐車場綜合研究所の成長経営モデル】
・顧客の本質的な価値を「駐車する」から「生活の起点となる」ととらえなおした(コアバリュー)
・お手玉オペレーションに代表される他社にない差別化されたオペレーション(商品)
・オサイフケータイ対応などシステム提案力(商品)
・商品を圧倒的な情報量で説明するウェブサイト(売り方)
・ホスピタリティを重視する有人オペレーション(SCMプロセス)
・地域・建物用途別に整備したオペレーションマニュアル(SCMプロセス)
・創業者大嶋社長の30数年にわたる駐車場、ビル管理の研究蓄積(事業構想力)

Photo_25 社長の大嶋さん。

未上場であるが、買いの会社である。チェックしておきましょう!今日は以上です。

      ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

ところで、今日はディクシー・チックス/Dixie Chicksのグラミー賞制覇!のニュースがあった。チックス・フェチとしては(ブログ Dixie Chicksを日本に呼ぼう!まで書いた)とてもハッピーな日になりました。Speechlessになったナタリー、Congratulations! 好戦ではなくほんとうの愛国心をもっと歌ってほしい。

 55r  Newt1_chicks_stage_ap

なぜカントリー・シンガーがグラミー賞?という感じで日本では今いちピンと来ないでしょう。ディクシー・チックスはカントリーも越え、祖国という枠も越え、情感あふれ楽しく元気のでる音楽です。ファンには申し訳ないがレッチリより、ぐっとくるぜ。まだ聴いたことのない人は、1,000万枚売ったと言われるデビュー作のWide Open Spacesから聴こう!

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2007年2月11日 (日)

artistShare、BLEEP、そしてJobs

今日2007年2月11日は、米国のグラミー賞授賞式の日である(現地時間では明日)。わたしのFavoriteなアーティストであるDixie Chicksも3部門でノミネートされている。彼女たちは果たして受賞するだろうか?それとも黙って歌ってろ(shut up & sing)!と言われて受賞を逃すのであろうか?

 12221877 2月20日発売の話題のDVD(黙って歌ってろ!)もち買うぜ。

グラミー賞に限らず多くの音楽賞は、CDをもっと売るために存在している。受賞すればセールスに拍車がかかる。ところが世の中の大きな流れは、すでにCDから、ネット経由のデジタル・ダウンロードに比重が移りつつある。加えてレコードレーベルのチャネルを介さない直接販売もある。

グラミー賞でのChicks受賞を祈りつつ、今日の勝手にアドバイスはアーティスト支援サイトから著作権までの事情をまとめて、ミュージシャンに捧ぐ。

【勝手にアドバイス Vol.120 artistShare、BLEEP、そしてJobs】
一昨年(2005年)、ジャズ・ミュージシャンのマリア・シュナイダーさんが「コンサート・イン・ザ・ガーデン/マリア・シュナイダー・オーケストラ」という作品でグラミー賞を受賞した。この作品、なんと一般には流通せずに、アーチスト自身からの直接販売しかなかったのが話題になった。それもCDセールスはたったの限定9,000枚。全部で10,000枚制作して、9,000枚をメールオーダーのみで彼女のサイト(販売はartistShareという組織のサイト経由となる)で直接販売する。残りの1,000枚は特別なオークションにかける、とされている。おそらくチャリティなのであろう。

4989 マリア・シュナイダー。

もちろん10,000枚で終わり、ということではなく、10,001枚からはダウンロード販売だけになるのだ。ダウンロードならではのバリエーションがある。

・音楽だけのMP3バージョン $9.95
・音楽だけのハイクォリティMP3バージョン $12.95
・写真付きのCDと同じ内容のバージョン &16.95
・コンポーザープラスバージョン $81.95
 これにはオーケストラのパート譜やリハーサル中のサウンドクリップ、マリア・シュナイダー自身のコメントが含まれる。

これ以外にも、Bronze、Silver、Goldのバージョンがあり、それぞれ500ドル、750ドル、1,000ドルの値が付けられている(いずれも現在は売り切れ中)。リハ風景だけでなく、マリア・シュナイダー自身のカレッジでの講義をストリーミングで視聴できる権利が付いているとのこと。なるほど、こういう売り方もあるのだ。

ちょっと待てよ、購入とは書いていない。すべてのバージョンがPariticipant(参加者)という記述である。参加って・・・何?ここにもうひとつ秘密があった。流通をしているartistShareがそれ。

【artistShareって何?】
artistShareのサイトにはこんな記述がある。

artistShareとは「商品」の対極にある「体験」なのである。「アート」をアーティスト自身に取り戻すことがゴールである。われわれの特許取得済みのプロセスによって、アーティストのプロジェクトを、そのコンセプト段階から成果(商品化段階)まで、体験として共有することができる。(中略) アーティストトラックをオークションにかけるプログラムは、アーティストのオリジナル作品の価値を高め、海賊版の価値を低下させられる。
Brian Camelioさん(同社President)
 
 Header_img_artistshare

つまり商品化された音楽だけでなく、その制作過程からの体験をファンに直販することもできる。CD制作時点からの出資という形態をとることで、アーティストの制作過程を知ることができる。さらにスコアのコピーやインタビューなどを「体験」することができるというのだ。こうするとレコードレーベルに余計なマージンを支払わず済むし、このような形式にこだわらず音楽活動をファンに伝えることはできない。この試み、非常に良いと思った。

このビジネスは2000年から開始され、マリア・シュナイダーさん以外にもジャズ・ミュージシャンやラテン系のミュージシャンなどが参加している。

さらにartistShareのビジネスモデルは音楽だけでなく、映画や演劇、絵画やパフォーマンスにも適用できる。わたしのようなしがないブロガーや小説家を世に出すという仕組みにも適している。とても参考になった。

【BLEEPというインディレーベルでは】
一方BLEEPという英国のサイトでは、違法なダウンロード、音楽交換に一石を投じるというねらいから、2004年よりWARPレコードが開始したサイト。インディレーベルといいながらもかなりメジャーなCDもある。それも1.35ドル/曲なので、お買い得。

 Bleep ビョーク。

このサイトのポリシーをひろってみた(拙訳)。

・BLEEPではすべてのトラックがハイクォリティなMP3であり、DRM(デジタル著作権管理=デジタルデータとして表現されたコンテンツの著作権を保護し、その利用や複製を制御・制限する技術)は適用しない。
・BLEEPでは視聴はすべてタダであり、ダウンロードはiPodでも他のいかなるデジタルプレーヤーでも再生可能なMP3である。iTunesがフェアプレイというDRMで管理されるのとは異なる。
・BLEEPはDRMコピープロテクションを行わない。ダウンロードするのは「顧客」であり、「潜在的な犯罪者」ではないと考えるからである。
・BEEP経由で音楽を購入するのは、収益をきちんと還元するためミュージシャンを支援することになる。

これもまた立派な取り組みである。

【DRMにまつわるスティーブ・ジョブスのコメント】
2007年2月6日、Appleのスティーブ・ジョブスCEOがDRMに関して、自社のサイトに寄せた文(thoughts on music by Steve Jobs)が話題になった。新聞で報道されたので読んだ人も多いはずだ。

 ・・・ジョブズ氏は4大レーベル(Universal、Sony BMG、Warner、EMI)が承諾するなら「iTunes StoreでDRMなしの音楽だけを売るのに」とコメント。さらにジョブズ氏は、DRMは海賊版をなくすことはできないと断言し、4大レーベルは、オンラインでは著作権保護でがちがちに固めたコンテンツを売る一方で、著作権保護のなしのCDを毎年何十億枚も売っている現状があり、CDの楽曲はその気になれば簡単にインターネットにアップロードできると書いている。
 引用元 http://ascii.jp/elem/000/000/016/16626/

彼の発言の趣旨をひとことで言うなら、「4大レコードレーベル(Universal、Sony BMG、Warner、EMI)がDRMを外すなら、iTunesでもそうする」というものである。つまり大手レコードレーベルは、CDではコピープロテクションをかけないのに、デジタルダウンロードにはかけるのは理不尽(iTunesストアでダウンロードした曲は5回までコピーが可能)。彼の主張はごもっともと聞こえる。

だがDRMを止めれば、恐らくダウンロード販売は低価格化が進み圧倒的に増えるはずだ。そうなったとき困るのは既存のCDレーベル。逆にジョブスのAppleを初めとするデジタル音楽配信組には大きな恩恵となる。つまりJobsもまた、ビジネスからの発言をしただけである。

【アーティストのために・・・勝手なアドバイス】
たしかに今の著作権保護制度が、ミュージシャンのためにほんとうに役立っているのか大きな疑問である。手続きは煩雑だと聞くし、何より一曲一聴管理できるデジタル時代なのに、まだ課金システムをどうしようか決めかねる態度はいただけない。(既存利益の)保護と(新たな才能発掘の)育成の線引きもむつかしいかも知れないが、大きな視点から見れば、ボーダーレスな才能発掘・育成が基本線である。デジタル化の波の中で、既存の音楽著作権業界の保護重視では、日本のアーティスト市場はますます縮小市場にならざるを得ない

一方AppleのJobsにしろ、著作権という名を借りて商売の綱引きをするのでは、アーティスト不在の議論をしていると言わざるを得ない。音楽アーティストだけでなく、あらゆるアーティストがそれほど儲かっていない(食えない)という実情を考え合わせれば、彼らの商売になる部分だけでの議論に見えてしまう。儲かってるのだから、iTunesストアで、若いアーティストも育成するという姿勢が求められる

そう考えると、artistShareやBLEEPのビジネスのあり方が光る。メジャーなグラミー賞の日に音楽bizを巡ってそんなことを思った。今日は以上です。

あとはDixie Chicksのグラミー受賞を祈ります。がんばってナタリー(ロック魂)!マーティ(笑顔のフィドル)!エミリー(わたしと誕生日同じなんです_笑)!

 Dixiefinal  shut up & win the award!

ディキシィー・チックスのドキュメンタリー映画「Shut Up And Sing」(だまって、歌え)が全米公開されましたが、アメリカのテレビ局はこの予告編広告放送を拒否したそうです。
http://moritagen.blogspot.com/2006/11/blog-post_22.html

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2007年2月10日 (土)

あなたの旅に連れてって!Triplで旅程共有

先日秋田県への豚ハムづくりツアーの企画兼ツアコンまで敢行したCherryさんに、教えてあげればよかったあ・・・とつくづく思ったのが、旅程を友人と共有できるサイトTriplである。

このサイト何ができるかといえば、ネット上で地図をたどって旅程を作り、それを旅行メンバーのみか、ネット上ですべての人と共有ができる。つまりオリジナル旅行を組んで、旅程時刻や地図をネット上でいつでもチェックできる。

なかなかおもしろいこのサイトが今日の勝手にアドバイスのテーマ。

Logo

【勝手にアドバイス Vol.120 あなたの旅に連れてって!Triplで旅程共有】
まず、サイトを開いてみよう。
公開されている旅程の最初に出てきたのが「米国IT企業を巡る旅 ~Google→Amazon→Yahoo!→Apple~」。おお、行ってみたい。
 
第一日目: Google本社
その本社を見てきたわけですが、広いですね。何棟あるのかわからない建物に社員が勤めていて日々、サービスの開発が進められているそうです。他にもジムやプールなどのスポーツ施設や5つもある社員食堂など、いたれりつくせりの豪華な感じがとても羨ましい。私もこんなところで働いてみたいものだ。

第二日目: Google→シリコンバレー観光
第三日目: Amazon本社
第四日目: Yahoo本社&Apple本社
第五日目: 自由行動
第六日目: 帰国

Logo_sm  Logoon_1  Y3  1hi04q3

という具合に、旅程プラン、地図、旅日記という三つの記録をすることができる。旅日記には写真も記録できるので、旅行版SNSコミュニティのようなものが仕立てあがるというわけだ。出かける前はプランづくりのミーティング記録や備忘録に使って、出かけた後は旅日記。なかなか良い発想だと思う。

さらに書き込んだ内容をタグとして記録すると、サイト利用者がどこにどんな興味を持って旅行にでかけるかもわかる。ま、タグをつくるのはちょっと面倒だけど(わたしもタグはやりかけたことがあったが、このブログの運営者たるcocologの技術サポート力が低いので断念した)。

Tripl  Triplのサイト。

【まだβ版なので】
このサイトはまだ知名度も上がっていないだろうし、サービスもこれからという段階のようであるので、旅程カキコにはサクラが多いような気がする(笑)。また、メンバー間でしかオープンされないと、おもしろそうな旅行プランがあっても参照することができないとデメリットもある。

現時点では海外の旅程づくりだけであり、運営会社のカタログさんではこんな展開を目指しているそうだ。

・国内旅行に向けた旅行サービス
・旅行会社向けサービスの提供

前者は旅行サービスとの組み合わせで、フリープランやパッケージツアーとの組み合わせ、後者は旅行の卸売りないし広告などが想定される。旅行業界の流れがパッケージからフリープランにが変化しつつある。つまりダイナミックパッケージ(旅行者が自由に航空券やホテル、オプショナルツアーなどを組み合わせで購入することが可能な旅行サービス) が主流になりつつある。

どの業界でもネットを使った消費者主体のビジネスにシフトすることで、市場フォーマットは大きく変化している。古くはオークションやグルメサイト、昨年はSNSや動画配信、これからは雑誌や広告、そして旅行かしら。それを思い合わせると、案外化けるサービスになりそうなビジネスだと思った。もちろんシステムの信頼性が追いつくかどうかがポイントであるが。

【標準化とカスタマイズ】
旅程づくりのポイントは標準化とカスタマイズのトレードオフという点である。

旅行ビジネスは標準化(パッケージ)とカスタマイズ(フリープラン)と料金のトレードオフで成立している。パッケージにすれば安いが旅程設計に自由度が低くなり、フリープランにすればするほど正規料金に近づく。

その落としどころを探りたいのが賢い旅行者だが、そんな気持ちに付き合ってくれにくいのが旅行会社。一組一組の旅行プランづくりにはコストがかかって、とても付き合えない。だからこそ旅行会社のサイトをあっちこっち見定めてプランをつくることになってしまうが、それが時間もかかるし、何より行ったことの無い地だったらホテル選定だってむつかしい。

Triplではみんなで旅程をワイガヤでつくり、もっとも類似するパッケージプランやフリープランを探して組み合わせられるのだろう。ひょっとするとみんなで作ったプランで旅行サービスを募る「逆オークション」もできるかも知れない。

【勝手にアドバイス】
①ぜひ携帯電話サイトのサービスを。
こういうサービス、携帯電話でできるといい。プランづくりは家でじっくり作るのであるが、旅行中に参照したいとなれば、Apple iPhoneのような大画面の携帯がいい。旅行時の写真もその場でネットに掲載すれば、病気で急に来れなくなった友達もネットで行った気分になれる♪

②地方の地場にこそ鉱脈がある。
旅行会社との提携だけでなく、地元の観光を振興したいと考えている人々は多い。農場、牧場、農園、伝統工芸など、地元の事業主にもこのサイトに直接参加してもらって、手作りの「地元からのおすすめ旅行プラン」を紹介してもらおう。こういうサイトを利用する人は旅慣れた人。企画力がかなりある。だからロングテール需要(散在需要)と草の根供給(地域起こし)のマッチング似合う。ひとつの事業でみんなで村おこし・町おこしになれば、それはとっても素晴らしいことである。

Cherryさんの企画したかわい農場ツアー(無断掲載でブーブー言わないでね_笑)の豚さん。

Bideo2200062  かわい農場のかわいい豚。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月 9日 (金)

英語ラーニング2.0 アルクはイングリッシュ・トライアスロンへ!

先週新聞で見かけた広告に英会話のアルクの広告にあったワード「英語学習2.0」が気になった。英語学習も2.0か・・・と。

それと言うのも、もう10数年前英語を学び直そうと決心して、とりあえずヒアリングからと思い立った。米軍向け放送のFEN(当時)を聴いてもなかなかわからないし(Dr.ローラの人生相談はよく聴いたけれど)、英語漬けになろうとアルクのヒアリングマラソンを申し込んだ。

何とか脱落せずに12ヶ月を終えた。ちょっとは英語耳になっただろうか。そのアルク、昔のカセットテープからCDへ、さらにネットアカデミーモバイルアカデミーというサービスへ進化を続け、そして今や英語学習2.0を標榜している。今日の勝手にアドバイスは、昨日のスポーツに続いて2.0、それも英語学習は2.0化していくというテーマを考えたい。

【勝手にアドバイス Vol.119 英語ラーニング2.0 アルクはイングリッシュ・トライアスロンへ!】
1982年開講以来、受講者数が100万人を超えた「ヒアリングマラソン」の特長はなんといっても教材の素材が常にフレッシュであるところです。(中略) こうした「ヒアリングマラソン」の特長はそのままに、今回タイトルを「1000時間ヒアリングマラソン」と改称。1000時間のヒアリングをラクラク達成できるようにナビゲーション機能を強化、さらに忙しい現代人のライフスタイルに合わせ持ち歩き学習を可能にする工夫を取り入れました。
http://www.alc.co.jp/press/press/prs_070129.htm

Aruku

ヒアリングマラソンはなんと1000時間へ!1年間に1000時間という目標だから毎日3時間という厳しい訓練。脱落者もさぞ多いことだろう。だからヒアリングマラソンではCDを配布するだけでなく、キクナビというシートもつくりヒアリングのポイントをガイドしたり、英文法ポイントガイドも作成するなど、至れり尽くせりのコンテンツになっている。ヒアリングマラソンとは別にPodキャスティングも提供しており、毎日更新メニューがある。

さらにデジタルプレーヤーのメーカーとの提携もしているようで、全方位で英語学習をサポートしている。それでも日本人は語学下手と言われる。だから英語ビジネスはまだまだ成立している。アルクはまだまだ英語ビジネスを歩ける。

Aruku02

【継続は力なり】
英語の初級から中級者に、英語1000時間の継続は並大抵ではない。アルクの社長の平本照麿さんもそこは熟知している。2006年10月に「モバイルアカデミー」も開始した。これは携帯での教材発信ビジネスである。社長曰く

今の大学生はなかなか勉強しないし、学校にも行かない(笑)。でもケータイは持っているんだから、プッシュ型で流してやれば良いじゃないかという発想です。ただ、画面が小さいので難しいカリキュラムは入れられない。そこで、英単語と漢字に絞ったわけです。そうして、学生もやらざるを得ないって事でやり始めてみると、意外にこれが面白くて仕方ないらしい(笑)。

任天堂DSでは脳トレだけでなく英語漬けもある。通勤通学電車の中でちょこちょこ勉強もできる。ITが学習スタイルも変えている。わたしはPodキャスティングでABCニュースを聴いている。これも少しはためになっている。ブログネタを拾ったこともあるし♪

  Aruku04

【英語学習も2.0へ】
ウェブ2.0というコンセプトが言われて久しいが、ビジネスへの2.0適用は、IT業界の猫の目コンセプト流行廃りから、およそ1年ぐらい周回遅れでやってくる。だから学習業界への2.0も徐々にやって来つつある。

ウェブ2.0は、わたし流の解釈では「可視化」「ロングテール」「全員参加」という三本立てである。以下、その三本立ての勝手なアドバイスを。

【ラーニング2.0 可視化】
通信教育がさらにウェブベースになれば、学習が可視化される。

たとえば、ネット接続時のみをヒアリング時間と限定すれば学習時間が測定できるし、そこでQ&Aの簡易テストでもあれば、熟達度が個人個人(One to One)で計測できる。時間に対してどの程度習熟したか、可視化されるのである。ネット常時接続ができなくても、ヒアリング時間は自己申告でもいいだろう。まず個々人の学習データが「あちら側(サービス提供側)」で蓄積できるのである。これは大きい。

【ラーニング2.0 ロングテール】
個々人の学習データがとれれば、そのエビデンスに基づいて、One to Oneの学習プランを提示することができるでしょう。英語学習者もピンキリであり、ピンはヒアリングマラソンは簡単だと思っているし、キリは何も聞き取れない。そこでコースレベルを変えたいと思っても、データがないとどうすべきか誰にもわからない。

個人データをベースにして「あなたの英語学習はこうすべきだ」というレコメンデーションをする。それは現在のレベル×資質項目(英語経歴)で分析するものである。個々人でカスタマイズできる学習プランができるならば、「有無を言わさないもの」になると思う。いわば英語学習脱落者を救うロングテール・ビジネスである。

【ラーニング2.0 最後にはSNS】
ヒアリングマラソンというネーミング、昔の死んでもがんばれ!高度成長社会的である(笑)。平本社長もおっしゃるように、がんがん勉強する人は少なくなり、余った時間にちょこちょこ勉強しようという「ご都合派」ばかりなのである。

そういう社会的な現実をふまえれば、ビジネスモデルを変更せざるを得ない。学習継続=顧客満足と定義づけて、ヒアリングだけでなく、入力チャット・音声チャット・動画チャットまでサービスを広げる必要があるだろう。そのビジネス・モデルのイメージは、SNSの英語学習コミュニティである。聴き・読み・書き・動画を4点セットにするSNSづくりが学習2.0となると思われる。だから名称はヒアリングマラソンではなく、英語の鉄人レースらしく『イングリッシュ・トライアスロン』でいきましょう!(笑)。

以上、TOEICでは930をとったこともある英語マニアの自分を思いだしました。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月 8日 (木)

再びジョギング2.0 Nike Flight+で市場創出

Nikeから2007年5月にSportKitの新製品が発売されるという。ワイヤレスのiPodリモコン搭載の「Nike Flight+」である。詳細仕様までわからないが、iPodをコントロールできるリストウォッチであり、iPod要らずのスポーツギアのようだ。

以前このブログでとりあげたNike+iPod Sport Kitは、iPod nanoと組み合わせたマラソン万歩計であった。このFlight+はどのような商品で、そしてNikeはどんなことをねらっているのだろうか?

今日の勝手にアドバイスは、週末のんびりジョガーで、まだSport Kitを持っていないわたしを揺さぶるNikeの商品戦略がテーマ。

【勝手にアドバイス Vol.118 再びジョギング2.0 Nike Flight+で市場創出】
ネタ元のiLoungeの記事にはこうある。
NikeとiPodスポーツキットの成功を受けて、2~3のハイブリッド腕時計、iPod nanoと連携するワイヤレス・リモートコントロール・アクセサリーを2007年5月1日に発売する。それはFlight+と名付けられるデジタル・ウォッチとAmp+というワイヤレス・コントロール。もうひとつの商品Aero+も同様の機能を備えている。
http://ilounge.com/index.php/news/comments/nike-ipod-watch-details-photos-leaked/

  Flight1Flight+

【商品機能】
「Flight+」(129ドルで発売)はiPodをリモートで音量調整、音楽トラック変更が可能であり、もちろん従来のSportKitと同様の機能(センサーからiPodへ時間と距離を送信し、受信したデータを元にiPodが速度とカロリーを計算する)と時計としての機能があるという。
「Amp+」(79ドル)はFlight+の機能を絞ったものであり、「Aero+」はFlight+の大きなベゼルバージョン(メンズ?)と言われる。

070122nikewatch3  Amp+

さらに進化のポイントは「iPodいらず」、脱Apple戦略である。iPodヌキでジョギングデータが蓄積、送信できるようにUSB端子が装着されているという。つまり、音楽ヌキでよければ、ジョギングデータをPCへアップロードができるし、Nikeのウェブサイトで他のランナーとの走行距離や時間などを比較・共有することができる。

Aero2sAero+

この意味するところは、Nikeはスポーツ・デジタルデータを他のブランドにも開放させ拡大するというねらいだろうが、深読みすれば、シューズ・ウェア・競技用グッズなどのスポーツ&フィットネス商品から、もっと広い意味で、スポーツライフスタイル市場の創出をねらっているのではないだろうか?

【Nikeの成長戦略】
そんな連想をしたのも、ちょうど2007年2月6日にNike本社から、今後5年で売上高を5割増の230億ドルとする中期経営計画を策定したというニュースが入ってきたからだ。

2006年度150億ドルの売上高を、2011年度に230億ドルにする。その75%はNikeブランドの成長により達成し、それも「a consumer-defined category strategy」によるとされている。つまり製品別の市場攻略というより、「消費者のスポーツライフスタイルを創出する」というように読み取れるのである。

さらに「By focusing on creating premium consumer experiences built on product innovation, brand leadership and elevated retail presence・・・」とあるので、従来にない価値を消費者に与える製品イノベーション、ブランドリーダーシップを構築し、店頭での販売力を高める・・・とある。つまり消耗品のスポーツギアを販売するだけでなく、消費者のスポーツ&フィットネスライフスタイル市場を創出する、その先兵のひとつが、このウォッチ事業ではないだろうか。

150億ドルの売上高を1.5倍するには、もちろん面的な成長(中国やインドなどにおける市場成長)は欠かせない。だが先進国市場ではスポーツギアから一歩踏み出して、他の消費市場をスポーツライフという味付けを加えて奪取する必要がある。そのひとつがウォッチである。デザインだけでなくスポーツ・サイエンスに裏付けられたウォッチというのがNike流の市場創出なのではないだろうか。

全文/原文はこちらである。
http://www.nike.com/nikebiz/news/pressrelease.jhtml?year=2007&month=02&letter=a

【勝手にアドバイス Nikeはどこに向かって走るのか?】
従来通りスポーツアイコンのブランディング(マイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズ)を前面に出しつつ、スポーツ・サイエンスで味付けをする。スポーツやフィットネス・グッズによるデータ取得、その解析ソフトウェア、解析データの販売というパッケージでの市場創出が想定される。

ちょっと想像をたくましくするとマラソン・サイエンスというマーケットを創る。再来週には東京シティマラソンもあるが、たとえばこうした大会の出場ランナー全員にFlight+を装着させる。そこからワイヤレスでデータをチェックポイントで送信し、すべてランナーの(走行距離、スピード、カロリー消費量、目標距離の達成度)をグラフィカルなデータで表現する。そのデータグラフをテレビの子画面でタイムリーに可視化する。なって、ちょっと未来のスポーツ中継のよう。

つまり、自らのビジネス・カテゴリーを、さらなる成長のためには再度カテゴライズをすることが必要である。必ずしも過去を全否定せずとも、既存の商品ラインの面的な拡張を遂げつつ、新しいビジネスカテゴリーを戦略的な商品で創出する。

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これこそマーケティングのJust Do it!今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

セミナー開催のお知らせ(PR)★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

第二回製造業幹部セミナー 創発力で成長経営モデルをつくる!
と題して、2007年2月21日(水)にセミナーを開催します。

製造業における成長事業モデルをどう構築するかが主題ですが、製造業以外にも
通じる成長のヒントがあります。
過去20年変わらない日本の製造業の事業構造プロセスを、「商品・売り方・SCM
プロセス」という経営機能を一貫させることで、顧客価値の創出プロセスを根本から
変える成長事業モデルの構築を支援します。

1.創発力による成長事業モデルの構築
 成長事業モデルのコンセプト、構築方法を具体的に述べます。
 講演:株式会社アイデア  代表取締役 経営コンサルタント 江口 一海
2.事例とケーススタディで観る『創発戦略マップ』構築
 成長事業モデルづくりをケーススタディと事例から具体的に説明します。
 講演:株式会社ビジネスブレイン太田昭和 クリエイティブ・マネジメント・コンサルタント 郷 好文
3.ベンチマーキングによる創発力診断
 自社の経営機能の現在の立ち位置をベンチマーキングで把握する手順を説明します。
 講演:郷
Photo_23 セミナーイメージロゴ。

お申し込みはビジネスブレイン太田昭和のHPより、もしくはわたし郷あてに
メールをお寄せください。(プロフィール欄にメールアドレスがあります)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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2007年2月 7日 (水)

オフィスにキッチンを!クックパッド

オフィスへの扉を開けると、そこはキッチンだった!なんて会社があるそうだ(笑)。

オフィスのエントランスがキッチン!という発想は斬新である。それも木目調で立派なシステムキッチンと、アイランド型のテーブルに椅子まである本格さ。この会社は料理レシピサイト運営のクックパッド。本社移転の際に社員に「何がほしい?」聞いたら、一番ほしかったのが「キッチン」だったそうです。

レシピサイトの会社だからね、当たり前だよ、と納得して終わるのではなく、ほんらいオフィスというものは、その会社のフィロソフィーやワークスタイルを具現化するものであるはずだ。そこで今日の勝手にアドバイスはオフィスづくり。

【勝手にアドバイス Vol.116 オフィスにキッチンを!クックパッド】
クックパッドは2006年12月にオフィスを移転、その際、自社社屋のあり方を検討した。

本社の移転を決めた際に社内のヒアリングを実施したところ、一番リクエストが多かったのが「キッチン」だったんですよ。キッチンが欲しい理由の第1位は「自分たちが料理をしたい」。クックパッドで働いているんだから料理ぐらいしたい、昼ごはんをさっとつくりたい、そのためにキッチンが欲しいということでした。

と語る社長の佐野陽光(さの あきみつ)さんとそのオフィス。

 Cook_top_1 社長とそのオフィス。

第二の理由は試作や撮影にキッチンが必要だから。なるほど。第三の理由はそもそもなぜクックパッドにキッチンがないのかと外部の方からよく言われたからだそうだ。なるほどノリは軽そうだが、このインタビュー記事を読んでいると、オフィスにキッチンを設けられる給排水の設備があるところ自体が少なかったそうである。
http://www.soumunomori.com/discovery/cookpad/#more-126

【キッチン=オフィスのメインコンセプト】
デザイン事務所からもいろいろな案をいただきましたが、クックパッドなんだから、キッチンがメインにあってもいいじゃないかと考えて今の形になりました。実際に使うことを考えると調理に必要なスペースを確保したい、そして撮影もしたい、そうなるとオープンにしたほうがよかった。結果、全64坪中、キッチン含むエントランス部分が約20坪を占めることになりました。
引用 同上

約3割をキッチンという場所に割いたところは、クックパッドの企業方針が明確であることも示している。遊びやイメージではなく実利的な意味でもチェックするところはさすがである。小世帯のベンチャー企業ならではの遊び心もあり、会社主催のうまいもの大会とか、引っ越し祝いは寿司食いねえ!で寿司職人をケータリングで連れてきてしまうという。うらやましい和気あいあいさ♪

 Cookpad サイト。

【オフィスづくりとは】
オフィスづくりに何を重視するか、組織運営として共通する事項と、その企業の業種や業態、企業として求めるワークスタイルによって重視するものは違う。業務効率性、アクセスの良さ、スペース効率、コラボレーション、セキュリティ・・・これらはどの企業にも共通すること。

企業によってオフィスづくりの思想は異なるものがあっていい。たとえばコミュニケーションスタイルはワイガヤなのか沈思黙考なのか、組織はヒエラルキーなのかフラットなのか、社屋は見栄え重視か実質重視か、そもそも成長段階にあるのか、成熟段階にあるのかでもかなり違うだろう。

良くも悪くもその会社ならではの個性を出してほしいと思う。効率重視だけでフリーアドレスにする、思考ができないほど混み合っているなどというのでは、社員は「売上高を産む機械」と言っているのと同じである

【オフィスで会社はわかる】
わたしはお邪魔する会社をできるだけ子細に観察する。コンサルティングの仕事では、会社の観察こそ不可欠だからだ。

生産管理コンサルタントが工場ラインを観るように、建物の外観、受付、廊下、応接室、絵画やアクセサリーやトロフィーやカップ・・・目に入るものはすべて観察対象である。お客さまが病院などサービス業や小売業であれば尚更である。転がっているゴミ箱だってわたしには観察対象。

観察の方が、奥歯にモノをはさんだようなインタビューコメントよりも、よほど内情が推察できるときもあるので。

【勝手にアドバイス】
①オフィスにワークスタイル・メッセージを。
対社内的も対外的にも、オフィスは「こう働いてほしい」「お客様にこういう価値を提供してほしい」というメッセージをベースにして設置してほしい。

たとえば会議は立ってするというセンサー大手のキーエンス。「それだけの年収を支払っているからあたりまえです」というのが理由だそうだが、会議が短くなっていいので、みんな気持ちいい。何より、時間をかけ

れば創意工夫ができることはない。クリエイティビティというものは、そのとき出るか出ないかだけである。長時間の会議や、特に定期会議では出ることはないと思う。(日経ビジネス 2006年11月13日号参照)

②現場の従業員の声を反映させることの大切さ。
オフィス作り企業の提案だけを受け入れて、最先端のオフィスを作ろう!というのは何かが欠落することがある。どのように働くことが企業価値を向上させ顧客を満足させる知恵が出るのか、それがポイントである。オフィス作り担当の人には、現場インタビューの労を惜しんでもらいたくない。

③メッセージの発信源は役員室から。
役員室のサイズ、調度品、間仕切りの有無・・・すべてがメッセージである。絵画一枚にも、自分の好みや個性を出すべきだ。書棚の本、資料やファイルも「」であり、「品性」である。オフィス改革はトップダウン事項である。

本日の情報源は「総務の森」でした。このサイト役立ちますのでブックマークをされるといいと思います。

Soumu_logo_f2

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月 6日 (火)

Vistaの時代に一太郎を入れてみた。

Vistaの時代になったというのに、わたし個人はあまり盛り上がらない。単なるPCのOSというより、家庭全体をVistaで覆い尽くそうというマイクロソフトの野望が巨大であり、どんなものなのかイメージがわかないせいでもあるが・・・。

Vista  Vistaの野望

そんなある日、個人的なチャネルから、一太郎のJUST Suite 2007(試用版)を入手した。インストールには30分以上かかったが、ひとつふたつ試してみると、さすがは日本発のソフト!と感心した。MSのような野望はなくとも製品としてぐっとくるものがある。あまのじゃくと自認するわたしの今日のテーマはJUST Suite 2007。

【勝手にアドバイス Vol.115 Vistaの時代に一太郎を入れてみた。】
一太郎と花子はもちろん「今の時代にパソコンに必要なソフトウェア」を厳選いたしました。そして価格はスペシャルパックから据え置きのままです。一太郎の使いやすさが反映された、ジャストシステムの独創性あふれた様々なソフトウェアをご活用いただけるJUST Suite 2007を、どうぞよろしくお願いいたします。
JUST Suiteの5つのバリューをご紹介します。

出典 http://www.ichitaro.com/2007/justsuite/index.html

 Suite_2   発売日は2007年2月9日(金)。

【JUSTパッケージ】
JUSTシステムの各ソフトウエアがスィートとしてパッケージ化されたのがまずニュース。構成は一太郎2007(ワープロ)、花子2007(図形描画)、ATOK2007(言語)、三四郎2007(表計算)、Agree2007(プレゼン)がセットになって17,010円(Justシステムの前バージョン登録ユーザー、もしくはMSオフィスの登録ユーザー向け価格。アップグレード版に相当)である。

花子的な機能ヌキのMSオフィス・スタンダードのアップグレード版は25,000円程度なので、それより8,000円程度お得という価格である。お得はともかく製品機能はどうだろうか?

【ATOKの進化】
まずATOKの進化がよい。目を引くのが「日付入力パレット」。

 Toku02_img09 カレンダー入力パレット。

「去年」「来月」「日曜」などのワードを入れるだけで、あら不思議!日付入力オプションが西暦、元号別にたくさんの表現が一気に出てくる。おまけにカレンダー入力パレットというのもツールバーから呼び出せて、カレンダーのコマ選択から日付がさまざまなパターンで入力できる。わたしなぞはいつになっても平成何年かしら?の口だから、これはなかなか便利である。

かな漢字変換も進化したという。

 Toku02_img03 傘が無い・・・行かなくちゃ♪

変換候補もIMEだと妙な文字が出ることもあるが、ATOKの方が候補も語順もいい。ATOKナビには入力状態、操作一覧、確定履歴、クリップボードビューアまで一気に見せる。誠意を感じる作りである。わたしはこれを機会にATOKにしたのだが、入力は実に快適になった

【プレゼンテーションはNot agreed】
MSパワーポイントと互換性のあるAGREE2007。パワーポイント2003で作成したファイルをひとつふたつ、開けてみたが、それほど崩れはなく、互換性が高まっているようだ。ただ気になったのは、パワーポイントで作成したファイルをAgreeのファイルで保存した場合、ファイルサイズが2倍以上になった点である。原因はよくわからないが、PPTとAgreeの両方のファイル機能を持たせているのかもしれない。

ぐっときた機能は、「スライドショー実行時のサムネイル(小さなコマ画面)表示」である。スライドモードにサムネイルが見えるのである。ポインタを右端にもっていくと、スライドモードを落とさずに自動的にサムネイルが一覧になる。スクロールバーまで出てくる。これは便利である。

Toku01_img05  こんなイメージ。

実はこの製品、JUSTの開発ではないようだ。Haansoft(韓国)のライセンス。だからなのか、一部のユーザーインターフェースに違和感もある。画面の精度にもAgreeとは言えない。わりきって使えば使えるが、パワーポイントに一日の長がある。Suiteにして戦略パッケージとしたというのがJUSTの意気込みだとすると、なぜ自社開発しなかったのか?その判断には疑問が残る。ttp://www.haansoft.com/japan/

【一太郎は秀逸】
その代わりというか、やはりJUSTといえば一太郎。これはよい製品だと思う。

2007の注目機能のひとつはビューア。スライドモードのような一覧画面が出るのだが、この状態でできることは、全体が50Pのファイルだとして、20P、34P、45Pなど、個別ページをチェックボックスにチェックを入れて選択、印刷ができる。しかも虫眼鏡機能がついていて、任意のページの任意の箇所を拡大(縮小も可)して見ることができる。だから同じようなレイアウトのぺージでも、確認しつつ選択ができる。Word2003でも個別ページ印刷はできるが、どのページか番号をメモっておくことが必要でしょう。それは必要なし。

一太郎にはスライドモードもあり、慣れればパワポの代用も十分に可能。Wordでは日本語文書を作成する気にならないが、今度書く本では一太郎を使ってみようかと思わせた。だが編集者が一太郎はもっていないだろうなあ。Word互換ファイル保存で、ファイル往復は大丈夫だろうか?

【後発の宿命を乗り越えたか?】
ソースネクストのスタースィートという製品がある。以前、そのMSパワーポイントとの互換性は悲惨なものだった。正直言って使う気になれなかった。今はよくなったと言われるが試していない。

ソフトウエアの後発商品は、先発のドミナント製品への互換性を確保しつつも、特筆すべき何かがなければならない宿命がある。その点JUST Suite 2007は十分に戦えるポジションに来たのではないだろうか。保存時に(わざわざMSのファイル指定をするなど)面倒くさいとか、ファイルサイズがアップするという問題は残るし、外部とのファイル交換は、何度か往復させなくては大丈夫とは言えないが。

【勝手にアドバイス】
5~6年前には、一太郎好みの某部長が、社内文書を一太郎で送ってきたので、「一太郎はやめようよ」とさえ言ったことがある(JUSTさん、すみませんでした)。だがこのJUST Suite2007はおすすめできる。SOHOなど少人数で全員がJUST Suiteを使うなら、互換性の問題は発生しない。

JUST Suite2007を全面に推すとみせかけて、実はATOK+一太郎セットにフォーカスして、戦略的な低価格を設定する。MS OFFICE Wordを多用しない顧客の心をほだす手である。使ってみればやっぱりATOKの方やいい!のだから。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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第二回製造業幹部セミナー 創発力で成長経営モデルをつくる!
と題して、2007年2月21日(水)にセミナーを開催します。

製造業における成長事業モデルをどう構築するかが主題ですが、製造業以外にも
通じる成長のヒントがあります。
過去20年変わらない日本の製造業の事業構造プロセスを、「商品・売り方・SCM
プロセス」という経営機能を一貫させることで、顧客価値の創出プロセスを根本から
変える成長事業モデルの構築を支援します。

1.創発力による成長事業モデルの構築
 成長事業モデルのコンセプト、構築方法を具体的に述べます。
 講演:株式会社アイデア  代表取締役 経営コンサルタント 江口 一海
2.事例とケーススタディで観る『創発戦略マップ』構築
 成長事業モデルづくりをケーススタディと事例から具体的に説明します。
 講演:株式会社ビジネスブレイン太田昭和 クリエイティブ・マネジメント・コンサルタント 郷 好文
3.ベンチマーキングによる創発力診断
 自社の経営機能の現在の立ち位置をベンチマーキングで把握する手順を説明します。
 講演:郷

Photo_23 セミナーイメージロゴ。

お申し込みはビジネスブレイン太田昭和のHPより、もしくはわたし郷あてに
メールをお寄せください。(プロフィール欄にメールアドレスがあります)
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2007年2月 5日 (月)

きびしい掟の匂い

今日はまぐまぐから各週でお届けしているぷろこんエッセイからの転載です。

ぷろこんエッセイ 121号 きびしい掟の匂い


ただ一つだけ、きびしいおきてはあった。だれひとり、ほかのうさぎはどこへ
行ったかとたずねてはならない、そして『どこへ?』ときくものはだまらせなくては
ならぬ、というおきてだ。『どこへ?』と、きくだけでも、まったくわるいことだが、
わなのことをあからさまに口にするのは--これはもうがまんならないことだった。
そんなことをするうさぎは、ひっかいて殺しただろう。

ウォーター・シップダウンのうさぎたち』 リチャード・アダムス(神宮輝夫訳)

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
企業を揺るがす不祥事が多い。

不二家に限らず、食品製造業や販売業におけるモラル低下の事件が報道され
ている。大手ゼネコンの談合宣言がまたしても嘘だったのが発覚して、地検に
よる家宅捜査もあった。不正処理と粉飾決算で日興コーディアルグループの
事件も連日報道されている。いずれも今日に始まったことではない。

新聞のコラムは30年前の記事を引いて、「これは最近の記事ではなく、昭和○
年の記事である、企業の体質改善は進んでいないということか」と締めくくられる
くらいだから、嘘や汚れた仕事はいつの時代でもある。人間一人ひとりは悪では
ないのに、、集団になると悪の部分が出て、無責任構造が作られるという論調も、
今日に始まったことではない。

だが過去50年ぐらいのスパンで見ると、不祥事の性質が変わってきたように
思える。

不二家の事件で気になるのは「工場丸ごと甘くしたルールがまかり通ってきた」
という点であった。日興コーディアルの場合は、「不正な利益水増し」を業績低下
隠すために組織ぐるみで実施したとされている。ゼネコンの談合は「ほんとうに
嘘はつきません」という嘘であったが、こうでもしないと呉越同舟でみんなつぶれる
という危機感からやりました、という開き直りもかいま見える。

枝葉を落として言えば、昔の不祥事は、企業や事業の成長のためには目をつむ
らなくてはならない、といういわば成長への企業戦士の契りであった。ところが、
昨今の不祥事は、モラルが惰性的に低下し、あるいは事業が不振ゆえの窮余
の策というエレジーが漂っている。至る処でタガがゆるんでいる。

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
冒頭に引用したのは、名作『ウォーターシップダウンのうさぎたち』からのエピソ
ードである。そのあらましは次のとおり。

 1

自分たちの住みかが壊滅するという危険を感じて、村から飛び出して旅をする
うさぎたちが、あるうさぎの集落にたどりついた。旅に疲れたうさぎたちを優しく
もてなしてくれた。ところがどこかおかしい雰囲気がある。どのうさぎも健康で、
まるまる太って毛並みもいい。いたちなどの外敵から守られる立派で、広大な
穴住居に住んでいる。旅するうさぎには不自由ない暮らしのように見えたが、
実は人間たちの食用うさぎとして囲い込まれるように暮らしていたのだった。
穴のまわりにはうさぎ捕獲の罠が仕掛けられていて、一匹一匹と人間の必要
なとき捕獲される。

集落の長のうさぎたちはもちろん、そこに住むうさぎたちの大半はそのことを
知っている。だが、たかが一匹ずつ、運の悪いうさぎが犠牲になるだけなので、
そのことを「口に出してはいけない」という掟があったのだ。黙っていれば、集落
全体は維持できる。それが「何かおかしいな」という匂いの源泉であった。

このエピソードはいろいろな読み方ができる。「本音を言えるか、言えないか」
「言えたとしても、聞く耳をもってくれないこともある」と読めるし、「組織は一定の
犠牲者の上に成り立つ」ことは「正しいこと」であり「運命を受け入れよう」とも
読めなくはない。流行りの格差社会という観点から、「落伍者が出るのは当たり
前」でもあり、「出るなら最小限の犠牲にとどめる」「それが社会だ、大人なん
だから理解しろよ」と読めなくもない。

だがまっすぐに読めば、匂いを感知する感受性を失わず、おかしいと感じたら、
適切な行動をとりなさい、であろう。ウォーターシップダウンの旅するうさぎたち
は、この場合、脱兎のごとく逃げ出したのであった。

本音が隠される組織は、ある種の匂いがする。いろいろなところにその兆候が
でる。社員の顔つき、机の配置、組織図と現実の乖離、幹部の話しぷり、受付嬢
や応接室の絵画からも匂ってくることがある。ところが、どんな匂いでも慣れる
ものなので、社内では呼吸はできるのである。少なくともあるときまでは。

個人としてなら、匂いに感づいて耐えられなくなれば脱兎のスタコラサッサが
できる。だが企業組織は、社会責任上そうはしにくい。だから組織的に不正を
阻む仕組み、つまり内部通報など企業活動の牽制制度が整備されてきた。
そこもタガがゆるんでいる。

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
不二家の不祥事がらみでの報道で、現在の管理体制では工場がISO認定を
受けられないので、操業が開始できないとされた。一見まともな論調だが、ちょっと
待てよ。では今日までの不二家のISO9001認定はどうなっていたんだろう?
日本適合性認定協会(ISOの認定機関)で調べると次のとおりである。

登録日 2006-06-09
有効期限 2009-06-08
登録範囲
1.営業支店からの依頼に基づく、チョコレート・焼菓子・キャンディの設計及び製造
2.小売部門からの依頼に基づく、缶デザート・アイスの製造 

今回の不祥事の発覚後に「登録は認められない」はもちろんとして、では前の認定
分はどうなるのだろうか?「書類上の認定だから」「チェック項目がなかった」という
開き直りをされても困るが、これでは企業活動への牽制制度は、事後的にしか働き
にくいと言われても仕方がない。

企業分解となった雪印乳業では、HACCP(Hazard Analysis and Critical
Control Point)という食品安全管理手法も導入していたが、それも機能しなかった。
耐震偽装の建築基準法にしてもまさにそうだし、粉飾会計における会計監査も
同じである。企業牽制制度は一罰百戒にはなるが、予防的に機能させるためには、
組織内に「匂いをかぎつける」執念を持続する人が必要がある。

これもまた、自社を慮る企業戦士の役割であった。

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
コンサル業のはしくれとして、「匂いを感知する感受性の不足」と「予防的に働きに
くい企業牽制」に関して、つくづく思うことが二つある。

1.企業戦士が少なくなった。
2.事業停滞意識がきっかけになる。

ちょっと前までなら、「企業のためにがんばる」、もっと前(戦後から高度成長まで)
なら「国づくりのためにがんばる」という「プロジェクトX」が成立していた。ところが
終身雇用も年功序列も消滅し、長く企業に勤めるより自分のためにがんばる人ばか
りになった。

それは悪いばかりとも言えないし、社会ニーズを無視して自社ニーズをゴリ押しする
企業戦士は不要である。だが事業改善のコンサルティングの仕事では、身を粉にして、
事業改善に取り組んでくれる役回りの人が必要なのである。そういう人がめっきり
少なくなった。われわれコンサルタントにはゆゆしき大問題なのである。  

NHKの『プロジェクトX』がネタ切れで制作中止になったと言われたのは、皮肉な
巡り合わせである。

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
2について、どの不祥事も根っこには「事業が思わしくない」意識や状況がある。

不二家では過去三期売上高は低落、前期は赤字決算である。13年前の売上高
と比較すれば35%も縮小している。ゼネコンは構造不況でありながら業界再編が
起こらない。自動車業界でのリコール問題も、縮小する国内市場にあって(多すぎる
企業数を)再編することを怠ったのが遠因と言えなくもない。

企業や事業の成長が止まり、成長曲線のてっぺんに達したとき、すでに不祥事へ
向かうほころびがあるということだろう。だからほんらいの意味での不祥事予防は
事業成長を継続させることである。その余裕の上で企業牽制制度の整備であろう。

企業や事業の成長が止まり、成長曲線のてっぺんに達したとき、すでに不祥事へ
向かうほころびがある。だからほんらいの意味での不祥事予防は事業成長を継続
させることである。その余裕の上でこそ、企業牽制制度が機能する。

わたしもクライアントにそういう支援ができてこそ、やりがいを感じる。

         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
         ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
『ウォーターシップダウンのうさぎたち』で描かれた「きびしいおきて」をもつ、
本音を隠す「匂いのする」うさぎの集落のその後は、どうなったのであろうか?

実はまだ全部を読み切っていないので、著者のリチャード・アダムス氏がそれに
触れているかどうか、答えを書けない(笑)。

だが間違いなく言えるのは、コンサルティングの仕事をこの集落でやっても
なかなかうまくゆかない。本音を話さないという「きびしい掟」の風土の組織に、
情報共有が大切です!と言っても通じるわけがないのだから。

2  これから下巻(笑)

各週で刊行しているぷろこんエッセイ ご購読いただける方はこちらから。
http://www.mag2.com/m/0000096057.html

お読みいただきどうもありがとうございました。

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2007年2月 4日 (日)

ホリデイ・エクスチェンジは運命の交換

以前このブログでホームスワッピングについて書いた。読者の虎男さんから「一般的にはホーム・エクスチェンジと言うのではないですか」とコメントをもらった。確かにそうらしいが、「ホーム・スワッピング」の方がセンセーショナルな匂いのするワードなので採用したのである。それはそれとして。

虎男さん曰く、2007年3月24日からホームエクスチェンジを舞台にする映画が公開されるという。調べてみた。タイトルは『ホリデイ』。ホームエクスチェンジで運命を交換するラブストリーで、おもしろそうなのである。ホリデイの今日の勝手にアドバイスは、エクスチェンジをテーマにしたい。

【勝手にアドバイス Vol.114 ホリデイ・エクスチェンジは運命の交換】
人生に一度だけ、誰にでも運命の休暇がある。

 H6

キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラックといった豪華スターが顔をそろえたロマンティックなラブ・ストーリー。ロンドン郊外とLAという二つの地で、それぞれの恋に終わりを告げた二人の独身女性が、“ホーム・エクスチェンジ”というシステムで、お互いの家を交換することに。全く未知の場所で2週間の休暇を過ごすことになった彼女たちを待ち受けていたのは、心温まる新たな出会いだった。 それぞれに事情を抱えた4人の男女が織り成す“運命の恋”をロマンティックに描いた大人の恋物語だ。

というあらまし。有給休暇なんてワードには、運命交換よりも予定消化が匂うが、「運命の休暇」と言われるとぐっとくる。ちなみに原題は『the Holiday』。英語的にはtheがポイントですね。たった一度きりの休暇というニュアンス。

【トレイラーから】
恋に破れたLAのキャメロン(浮気した相手をぶん殴った)とロンドンのケイト(付き合っていた相手が、パーティで別の女性との婚約を発表した)が、「あたしには休暇が必要だ!」「だけどひとりぼっちでどこに行くの?」とパソコンでぱちぱちと見つけたのがホーム・エクスチェンジのサイト。これいいじゃない!と、ふたりが休暇期間中に、家と車とを交換し・・・・ついには人生を交換したという話。

Mainv

トレイラーを観ると、やっぱりキャメロンは綺麗ですねと納得、にしても、ジュード・ロウのかっこよさはなんと表現しようか。こんな男に言い寄られたら、多くの女性は運命(であってほしい)という稲妻に切り裂かれるだろうナ。

【エクスチェンジという偶然性に関する勝手にアドバイス】
エクスチェンジという偶然を仕掛けるのは、あんがい応用がありそうだ。

たとえば自宅ではなく別荘なら交換しやすいエクシブのような会員制リゾートいらずになりそう。さらに自動車を交換するのもおもしろい(エクスチェンジ保険を開発しよう!)。大金持ちの社長が軽に、普段は軽のオバサンがでっかいベンツに(笑)。おばさんにはシンデレラ体験が、社長にはユニークな商品開発の発想が生まれるのである。

経営幹部のエクスチェンジも熱望されるかもしれない。同業他社だと問題があるならば、まったく違う業界同士で、幹部を1ヶ月交換してみる。幹部がその業界の素人に交換されても、実際には仕事はまわることに気づかされる。つまり管理職の仕事というのは、専門職と違って、普遍性のあるものだと気づかされ、マネジメントという仕事の本質を学べるのではないだろうか。

部下にしてみれば、永久にエクスチェンジしてもいい!という話もあるだろう(笑)。

【マッチングは熱望心から】
たとえ大人でも、恋愛の匂いがする人としない人がいる。

匂いなき人なんて表現は失礼だけれども、それは事実ですよね。○○さんってゼンゼン女性だとかデートだとかの匂いがしない、とずばりCherryさんがある人について言っていた。同性から観てもまったく同感だぜ、○○よ。すまん、われわれは正直で。

逆も真なりであり、女性にだって異性が匂わない人はいる。身づくろいやお肌に気遣いがないというのではない。必ずしも「醜」でもない。だがなぜか縁遠そうな雰囲気がかもしだされて。それがさらに近寄りにくさを割り増ししてしまうような。

匂いなき人には「素晴らしい出会いが来てほしい!」という熱望が枯れてしまっているのだろうか?実はそうではなく、たんに熱望を表現するのがちょい下手なだけだと思う。

心にあることを素直に出せば良いと思う。とりあえず相手の迷惑はかえりみず(笑)。わたしは幾度も迷惑だと言われたことがあるので、そこらの匂いもわかるつもりではあるけれども、鈍いのかしら(笑)。

【マッチングに関する勝手にアドバイス】
わたしゃジュード・ロウの1/10ぐらいの魅力度なので(そのくらいならいいでしょ)アドバイスはできない。だが乏しい経験からふたつだけ断言できる法則がある。

法則1.およそマッチングの機会は無数にはない。
法則2.無数にはないからといって、稲妻でない稲妻を運命だと割り切るとろくなことにならない。

このふたつの法則は恋愛トレードオフという曲線で描くことができる。

Photo_21     

数打ちゃ当たる!という主張が地点Aである。結婚情報産業はここを売りにしているが、個人的には数ではないと思う。数を多く打ってしまうと、あれこれ悩みどれが運命か混沌としてしまう。稲妻でない稲妻を、年収で割り切って婚約したが、結局は冷めて婚約解消したケースも知っている。

地点Bが理想である。この人が運命だ!という知覚が誰でも一生に一度は持てるはずだ。わたしはそう信じている。運命だ!という感覚が片方にとって本物なら、相方にとっても重大なものであるということは伝わるものである。そう信じている。

運命であってほしい!と願っても、それが運命ではない運命を信じようとする葛藤ということもある。振り返れば最初の出会いの時点から、どこかほころびが・・・というパターン。

曲線から外れた地点Cは、「匂いがしない」という人のポジションである。勝手にアドバイスとしては、安易にAに向かわずBへ向かって爪を磨いてほしい。稲妻の日にむかって。

地点Dは当然のことながら、偽善者である(笑)。ただ恋愛市場こそ格差社会であり、おうおうにしてD者がトップシェアを握ることも多いのも事実である。人生はアンフェアなものである。

 20070121_246763 アンフェアな男女?。

今日はやわらかく(ある人には厳しく?)以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月 3日 (土)

大月ホテル/MICURASの春

通勤電車の網棚上部の広告は、英会話や塾や予備校にキャッシング会社と相場が決まっている。ところが先日、見知らぬホテルの広告があった。広告には美しいモデルを起用した高級イメージ写真、『こころとカラダのアンチエイジング』というコピー・・・いかにもシティリゾート風ホテルなのである。都心か海浜幕張あたりの新ホテルか・・・と思いきや、ロケーションは何とあの老舗温泉地の熱海に立地しているというのだ。

熱海に・・・シティリゾートだって?

休日の今日は、元は老舗ホテル「大月ホテル本館」だったという『シティーリゾートコンセプトホテル MICURAS(ミクラス)』をテーマに勝手にアドバイス。

【勝手にアドバイス Vol.113 大月ホテル/MICURASの春 】
こころとカラダのアンチエイジング
素顔の自分に帰ろう・・・体と心とスピリットを癒す大人のリゾートが生まれました。
至福のアロマトリートメントスパ。自然の恩恵を享受するCuisine Natureレストラン。
水平線を望む大パノラマの露天風呂。そして寛ぎに満ちたゲストルーム・・・
すてべは、美しく歳を重ねるあなたのために。
東京から46分のATAMIに誕生。

  Photo_17  

これがMICURASのコンセプト・キャッチである。メイン・ターゲットは、都心に住まい働く、海外旅行経験が豊富な知的感度の高い30代の女性。キーワードは「癒し」。大展望露天風呂の「絶景浴」、都心から1時間、日常のONとOFFの切り替えが「近すぎず・遠すぎない」最適なロケーション、としてプチ癒し旅行がテーマ。

コンセプトもターゲットも施設も一貫しているのだが、最後はロケーションイメージか。

【元は経営破綻した大月ホテル】
大月ホテルは創業1925年、本館は1958年竣工の老舗ホテルであった。ところが株式会社大月ホテルは経営に行き詰まり、2005年10月に民事再生手続きを申し立てた。そしてオリックス・リアルエステート株式会社が営業譲渡を受け、再生に乗り出した。それから約1年後の2006年12月に、まったく新しいホテルとして再生すると発表していたものである。
http://www.orix.co.jp/grp/content/051130_otsukiJ.pdf

03_3  22_20002_a  大月ホテル。

営業譲渡で、前経営陣も一定に関与していただくという布陣なので、普通に考えれば従来路線をある程度継承しようとなる。だがそれは完全否定された。

【熱海という観光ステータス】
観光経済新聞社による日本の温泉百選ランキングでは、伊東をのぞき、ベスト20位にも入っているエリアはない。次に示したのは、90年、95年、2000年、01年、02年、03年、04年、そして05年の順位である。

熱海 20位→43位→49位→54位→83位→41位→82位→70位
箱根 18位→25位→51位→68位→51位→48位→42位→28位
伊東 40位→49位→55位→74位→35位→26位→22位→19位
湯河原 46位→76位→81位→79位→69位→52位→54位→54位

引用元 http://www.h4.dion.ne.jp/~harusan/atam%20re3.htm

このように知名度高くても、温泉ランキングでは、熱海は90年の20位から今や70位というポジションにすぎないのである。若い世代が熱海に行こうか、なんて言わないのだから当然だ。熱海に限らず伊豆エリア全体が湯本としての地盤沈下が激しいのである。さらにちょっと昔には、大月ホテルは、本業以外のこと(経営者が衆議院議員として政治活動)にも手を出しており、こういうことも重なって、いつしか経営は傾いたのであろう。

【知遊癒の女性に絞る】
30代、40代女性向けの施設とサービスがポイントである。

旅館の掟を破って「泊食分離方式」である。いわゆる旅館のセットメニューは否定された。食にこだわりを持つ女性を想定し、フランス料理風で身体によいアンチエージング料理を提供する。新鮮なシーフード、有機野菜、地元産の四季折々の食材をつかう。さらに女性の大浴場が男性用よりも広いということも、コンセプトを具体的に示している。

 02_4  05_2

【熱海というエリアイメージ再生への挑戦】
室数を減らし、希少さと施設の利用者を絞ったことが評価される。あとは熱海というエリアへのイメージの再生がテーマではないだろうか。リゾート施設再生の達人、星野リゾートの星野佳路氏はこう話している。

  わたしたちはまず、市場調査に基づいて、そのホテルや旅館の持つ強み、
  必要なコンセプトは何かを検討します。温泉のないリゾナーレは「大人の
  ためのファミリーリゾート」、スキーリゾートのアルツ磐梯ではスキーや
  スノーボードの上達を徹底的に支援する「プレーヤーサポート」といった
  具合です。目指すコンセプトが設定できたら、欠けている具体的なソフトや
  改善すべきハードなど課題ははっきりしてきます。
  2005年6月27日 日本経済新聞 

つまり、そのエリアの歴史はかんがみつつも、変化にあわせた新しいコンセプトを当てる、ということがリゾートが成功するポイントなのである。熱海という老いたイメージを、MICURASがどこまで変えられるかも挑戦であり、それは熱海という観光市場全体にとっての挑戦でもある。

【勝手にアドバイス】
サービス事業施設の再生において大切なのは、現在の状況がたとえ悪くても、そこまでの歴史をつぶさに知ることが出発点になる。施設の最初の成り立ち、運営の歴史、事件や顧客の変遷、競合エリアの興隆をチェックする。

その上でもっと大きな視点で、地域の役割や、ターゲット層のニーズの変化をベースに、その施設がほんらい持っていた強みを、新しい衣(ころも)の言葉に置き換えることである。出発点は調査であり、到達点は数字づくりであるが、その真ん中のコンセプトを決めるのは、あくまで感性である。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月 2日 (金)

SAKURAの春 桜のつぼみ 5 開花前夜

勝手にアドバイスは、いつもと趣向を変えて、店舗建て直しのフィクショナルな
物語の続編を書いています。今日はその5回目で堂々の?最終回。なんとか
最後までたどりつけました。励ましていただいた方々、どうもありがとう!

SAKURAの春 桜のつぼみ 5 開花前夜 @@@@@@@@@@@@

わたしは、ブュフェ・ランチの一週間のメニューサイクルやテーブルのレイアウト
案を後藤らにまとめるように告げると、ショッピングモールの駐車場に向かった。

ブリスベンのあるクィーンズランド州は、別名サンシャイン・ステートと呼ばれる。
特に日中はそれが痛いほど体にしみる。駐車場のフィアットも同じだ。フードで
目玉焼きが焼けるほど熱せられている年老いたエンジンに、イグニッションを
回すのは気が引けた。だがわたしがキーを回すと、まるでお尻をたたかれるの
を予期していたかのように、じつに滑らかにエンジンを轟かせてくれた。普段は
真昼間に走ると水温計がぐっと上昇し、オーバーヒート気味になるのだが、今日
は走り出してもゲージは一定を保っている。静かに燃えてくれている。人馬一体
とはまさにこのことであろうか。行く先はKOTOである。

 J0313818

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

KOTOの駐車場に元気な老馬を停め、夕方まで「Closed」という札のかかる扉
を開けた。照明が落ちて薄暗い店内だった。わたしの声が店内に吸い込まれた。
「こんにちは、Good Afternoon!」

すると、お待ちください!と奥から声が聞こえ、やがてダンボールの箱をかかえた
堀田店長が現れた。すみません、とわたしは駆け寄ってそのダンボール箱を
支えた。
「ざっと20個ぐらいかな。ウチでも行事とかケータリングにしか使わないから、
しばらく使ってくださって結構ですよ」 KOTOの堀田店長が言った。幕の内弁当
用の容器なのである。

堀田店長に、後藤らと話し合っていた「ブュフェ・ランチ」のアイデアをかいつ
まんで説明した。うんうんとうなずいて聞いていた堀田は言った。
「おもしろいんじゃない、それ」
「そう思っていただけますか?」
「まずオーストラリア人がメインターゲットであること。彼らに典型的な日本食を
伝えることがねらいだね。いろいろな日本料理を日替わりで楽しめるのもいい。
惣菜を選んで、自分たちでお弁当に盛り付けると、日本食の成り立ちも学べ
そうだね」
わたしは自分の顔がほころんでいるのを感じた。
「弁当箱というもの新奇性があっておもしろいね。これをバイキングに使おう
なんて、日本人には発想できないでしょう」
ワンダの『敷居の無い』アイデアに感謝しなくてはなるまい。
「お客さまのターゲット、その関心事項、商品とバラエティ、飽きさせない工夫、
サービスまで、一貫している。『日本料理店ならでは』の筋が、気取らずに
通っているところがすばらしい。」 堀田店長が総括した。
「ありがとうございます」 わたしは敬礼するようにおじぎをした。

「ビュフェをするにはSAKURA2号店ではちょっと狭いし、たしかに刺身や天
ぷらはむつかしいかもしれないが、どうにな工夫できそうだし。まずやって
みることだね」
ダンボールに収まった容器と共に意気揚々と引き上げようとするわたしに
向かって店長が気になることを言った。
「ランチはそれが当たるかもしれないけど、夜をどうするかも考えておいた方が
いいよ」

ディナーのことまでは考えが及んでいなかった。確かにそうかも知れない。だが
わたしには、問題をひとつひとつ片付けるしかなかった。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

SAKURA2号店に戻ると、後藤、麗朱、ワンダはあれこれと相談を続けていた。
どうやらプランが次第にかたちになってきたようだった。わたしは容器が合わ
せてほぼ席数までになったことを告げると、拍手が起きた。まるでもう成功した
かのような雰囲気になってきた。

「コバヤシさん、名前はどうしましょう?」と麗朱が言った。
案はいろいろと出た・・・ニッポン・ビュフェ、幕の内ビュフェ、SAKURAビュフェ・・・
思い切って『タベホーダイ』なんてどうだろうか?というところで落ち着いた。 

『SAKURA BUFFET TABE-HODAI(タベホーダイ)』

ビュフェの素材を載せるテーブルは、すべての席から公平にリーチできるよう
に、客席の真ん中にした。このことが後になって重要な意味を持つようになる
とは、このときは考えもしなかったのだが。

刺身と天ぷらのある日は、注文を受けて調理することにして、わたしか後藤が
客席まで訪れサーブする。味噌スープはワンダと麗朱が運ぶ。ごはんは麗朱
の自宅にあるというお櫃を使うことにした。真ん中のテーブルで電源が取れない
ということと、業務用の釜では見栄えが悪いからである。おにぎりもおもしろい
という意見もあったので、そのときは全員で握ることにした。

お店の入口に置く『LUNCH TABEHODAI!』の看板は、後藤がコバヤシさん
にはまかせられないからと言って、ホームセンターで板とペンキで仕上げた。
麗朱とワンダは手書きのメニューを作った。それをチラシにも使えるようにして、
ショッピングセンター内の他店にも配り、わたしは日本の企業を中心にFAX
で販売促進をしながら、ランチメニューや段取りを検討していた。

「コバヤシ、お前を殴る」とMr.Tに言われた、ほんの三週間前には、こんなに
皆が張り切って働くことを想像できなかった。何より、わたし自身が、オースト
ラリアに居続けるためと割り切っていたのが、これほど仕事がおもしろくなる
とは思いもよらなかった。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

TABE-HODAIはわずか4日の準備ですべりだした。翌週の月曜日が初日だった。
みんな祈るような気持ちだったはずだが、初日からお祈りをする時間はなかった。
何しろ忙しいからだ。次から次へとお客さんがやってきて、あっと言う間にテーブル
が埋まったのだ。12時前から1時半過ぎまでほぼ満席の状態だった。オープン
してから今まで一度もなかった、店舗の外にまでお客さんが列を作ってくれたのだ。

おかげで中も外もてんてこ舞いである。幕の内容器は常に洗浄して、待って
いるお客さんに出すことが続き、お客さんが席を立ったら「そら洗え!」となった。
遂に3日目は2回転以上、合計80名近くのお客さんでにぎわった。

客層は初日こそ日本人客がやや目立ったが、翌日からはオージーが増えて、
ねらいどおり、箸はどうやって持つのか、ワサビはどんな味なのか、わかめの
おひたしでお腹をくださないかなどの質問があった。これもねらいどおりだった。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

TABEHODAIの激働の1週間が終わり、明日は休日という日になった。応援に来て
もらった麗朱の妹の麗貴も含め、皆へとへとだっただろう。わたしも慣れない
忙しさでこの一週間は疲れた。だが満足感に満ちていた。

わたしはあらためてTABEHODAIが成し遂げたことの意味を考えようと思った。
厨房のステンレス台の上に重ねてある「金のなる木」(お弁当箱)を眺めながら、
壁にテープで留めておいた、以前SAKURAの強みを悩んだときに書いた、紙
ナプキンをとった。この紙の横にもう一枚ナプキンを置き、「敷居が低い本格さ」
「日本食を楽しめる」と書き足した。

2_2      

「敷居が低い本格さ」も「日本食を楽しめる」も、TABEHODAIというランチでKOTOを
上回るポイントがつけられる。ランチ戦略がSAKURA2号店に新しい価値をもたら
せたと言っていいだろう。だが・・・・。

わたしは帳簿を開いた。ランチの影響が出て、数値は改善した。だがそれはランチ
の増加分、客数にして日に40~50名。単価の低さと原価率の高さで、粗利益は
それほどでもない。ディナーはランチでの口コミが少しあるのだろうか、お客さんは
増えたが、全体としてはあいかわらずヒマである。堀田店長の言葉、「夜をどうする
かも考えておいた方がいいよ」が思い出された。この店の規模から見て、ディナー
が勝負どころなのだ。

TABEHODAIランチはうまくゆきそうだ。だがこのお店はフードコートではないので、
しょせん売上には限界がある。話題づくりができても、実を取るまでには至らない。

SAKURA2号店の改善は、桜にたとえればまだ「つぼみ」が開いたに過ぎなかった。

Im20070130nn001y6263001200713  桜の蕾

SAKURAの春 桜のつぼみ 5 @@@@@@@@@@@@@@@ 終わり

今週1週間(2007年1月29日~2月2日)、お読みいただきどうもありがとうございました。
昨日の「4 幕の内ブュフェ」で触れたラジオ・オーストラリアのワライカワセミ
(クカヴァラ Kookaburraと現地で呼ぶ)は懐かしい声です。ネットでチェックすると、
もうずいぶん前に日本語放送は中止されていました。この放送、よくワーキング
ホリディの若者をラジオに登場させておりましたが、何を隠そうわたしもメルボルン
のスタジオ見学に行ったつもりが、その場で生インタビュー出演をしましたっけ。
緊張しました。これを載せるのも緊張しましたが(笑)。

こちらにこれまでの10回分をとりまとめました。継続するかしないか、できるか
できないか、こちらのアクセス数次第で考えます。よろしくお願いします!

http://sakura-no-haru.cocolog-nifty.com/

 05121
出典 http://friend.bird-mus.abiko.chiba.jp/sakuhin/digi-p/0512-1.jpg

ではまた明日!

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2007年2月 1日 (木)

SAKURAの春 桜のつぼみ 4 幕の内ブュフェ

勝手にアドバイスは、いつもと趣向を変えて、店舗建て直しのフィクショナルな
物語の続編を書いています。今日はその4回目です。なんとか第三コーナーを
曲がりました。2月2日まで今日を入れてあと2回、ぜひお付き合いください。

SAKURAの春 桜のつぼみ 4 幕の内ブュフェ @@@@@@@@@@

いつもぎりぎりまでベッドに横たわっているのだが、SAKURA本店へのヘルプ
の翌朝、わたしにしては相当早起きをした。なにしろラジオ・オーストラリアの
日本語放送、笑いカワセミの声で目が覚めたのだから、いつもより2時間は
早い計算である。昨日ひらめいたアイデアをかたちにしたいと思った。

 Australia2

わたしは支度を早々と済ませると、フィアットの鍵をつかんで裏の駐車場への
階段を駆け降りた。今日はきっとスターターモータの機嫌もいいはずであると
いう、根拠のない期待を持ってイグニッションを回した。当たりだ。・・・・ブルルン
と一発でかかった。エンジンさえもどこかスムーズに回転しているように感じら
れた。イースト・ブリスベン通りに出ると、フィアットは年齢に似合わずにお尻を
左右に揺らすように威勢よく走り出した。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

まだ誰もいないSAKURA2号店に入り、店全体をあらためて新鮮な気持ちで
見回した。

ショッピングモールの一角のこの店舗は、35名も座ればほぼ満員の小さな
飲食店向けのテナント施設である。店舗のかたちは、ほぼ正方形といってよく、
店内のレイアウトづくりには融通がきくと思われる。今は二人席を四人席に
したり、そのまま二人席にするなど、ごくどこにでもあるテーブル配置である。

壁の日本画や掛け軸(どちらもモドキに過ぎないとわたしには見える)、蛇腹傘
風の照明器具、そして「いらしゃませ」とかなり怪しい日本語で話しかける、台湾
系のウェイトレスの麗朱と麗貴がいなければ、日本食レストランであることは、
座ってメニューを開くまでわからないかもしれない。

キャッシャーは奥の厨房入口の脇にあり、厨房からは、料理を出すカウンター
から首をぐいっと伸ばしても、客席のおよそ半分しか見えない構造である。

厨房に入り食器棚の扉を開けてみた。お湯呑み、ご飯茶碗、味噌椀、大小さま
ざまの和風の皿、小鉢類、2号店ではほとんど使われたことのにない、木製の
舟形の刺身盛り、塗り箸、ワイングラス、ビヤグラス・・・。本店から持ってきた
品ばかりだが、日本の業務用焼物会社にも発注して作らせたのでしっかりは
している。

什器の追加購入やお店の改装などはとても費用が出せない。今あるモノを
使って、あとは自分たちで工夫するしかないだろう。これが制約となるだろう
・・・ブュフェのアイデアを実現させるためには。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

いつものようにひと桁をちょっと超える客数のランチタイムが終わった。だが
今日はそれでもがっかりはしなかった。わたしは洗い物や片付けもそこそこに
早くミーティングを始めたかった。アイデアが良いものかどうかの判断もしな
くてはならないが、他にアイデアがなければやってみるしかないだろう。

わたしは昨夜アパートで書いたブュフェのイメージ図を後藤、ワンダ、そして
麗朱の前に広げた。図では壁際にテーブルをいくつか寄せて、テーブルの
上に炊飯器やおかずをのせたプラッター、その脇にお椀やお皿を重ねた様子
を、真上から見た図である。
「コバヤシさんて・・・・」 後藤は笑いながら、ヘタですねぇ絵書く才能ない
ですねと言った。これでもがんばって書いたのだ。

「まあいいでしょう。バイキング方式で、こっちからまずご飯をよそってもらい、
好きなおかずを何品かとっていくんですね。それで席につく。お味噌汁は
あるのかな?」後藤が訊いた。
「そうだな。お味噌汁はこぼすと危ないから、麗朱とワンダに運んでもらって
もいい」
「でもたくさん盛り付けられたら赤字にならないかな?」
「それはあるんだ。だからお皿の数をひとつにするとか、一人分をそれとなく
わかるようにしておくか、まあでも大食漢だったらどっと取るだろうな。
納豆やおひたしのようなものなら一人ひとつとか、ふたつとか、決められるん
だが・・・まだ詰めきれていないところだ」
「毎日カレーライスやビーフボウルってわけにもゆかないものね」
「うん。やはりほんとうの日本食を提供することは貫きたい。素材でもメニュー
でも妥協したくない。本格的な日本食を気軽に味わってもらうランチ、って
いうのがコンセプトだから」

「そうね。メインディッシュだけでなく、豆腐やおしんこも食べていただきたい
わね」 日本食好きのワンダは何から何まで和食を食べることが出来る。
「でもブッフェだったら、刺身や天ぷらなんかは無理だね。焼肉はキッチンで
焼いておいて、並べて温めることはできそうだけど」 麗朱は良い点をついて
きた。
「そうだな・・・刺身、天ぷらか・・・」わたしは唸った。
「いやそれにね、ご飯茶碗に主菜のお皿、小鉢となると、どうやってお客さん
は自分で席まで運ぶんだろう?ウチはランチ用のトレイは使ってないから、
できないよね。まあトレイを買ってくればいいんだろうけど」 後藤がたたみ
かけた。

「そうなると、あの・・・・」 麗朱が言いかけて口をつぐんだ。
「何だよ。言ってみて」とわたし。
麗朱はおずおずと言った。「いつものランチと変わらないような気がする」

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

確かにそうだ。SAKURA2号店のランチは、ご飯、お味噌汁、メインディッシュ、
小鉢を別々にウェイトレスがテーブルまで運んでいる。結局それと変わり
映えしないなら、ウェイトレスの労力を削減したことにしかならない。何の
価値もないばかりか、逆にサービス低下だけを印象づけてしまうだろう。

「ブュフェという商品はよいのだが、提供のスタイルがまずいのかな・・・」
そこでワンダがポンとヒザをたたいた。「コバヤシさん、オベントウバッコは
どうでしょう?」
「オベントウ・・・箱?」
「あの、マックゥ・・ノウ・・・何とかっていいましたよね。BOXのお弁当です」
「幕の内弁当のこと?」と後藤が言った。
「それですそれです。マックノウチです。あのお弁当BOXに、ビュフェしたら
どうでしょうか。ニッポンのお弁当BOXでAll you can eatするんです」

 0020

わたしを含めて他の3人は、その提案を飲み込んだ。そして納得した。

「そうか、幕の内だと、内側に仕切りがあるから、どこに何を詰めるか、写真で
ガイドもできる。ここはご飯、ここはメインディッシュ、ここはお新香・・・」
「分割の数よりか、メニュー数を多くしておけば、これとこれを少しずつって
よそえますね。そりゃいいや」 後藤も気に入った。
「ニッポンのお弁当箱に、お好きなニッポン料理を食べたいだけ食べられる。
日本食の種類や食べ方の勉強になるし」と麗朱も賛成した。
「お店にもメリットあるよ。あのサイズ以上はたくさん詰められないから、損
しない」 後藤の言うのももっともだった。

「これなら・・・SIKII GA HIKUI(敷居が低い)ですか?」とわたしが茶化すと、
皆笑った。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@

問題はその容器がいくつあるかとなった。「あの容器、確か本店にはいくつか
あったわね」 本店でも働いていたワンダが言った。
「お弁当で注文をもらったとき、あのお弁当箱で作るんだ。となると・・・15個
ぐらいしかないかもしれない」わたしは不安にかられた。
「まず電話して聞いてみようよ」と後藤が提案した。

ワンダが電話をかけに行った。わたしたちは、その電話の報せを思い思いに
想像しながら待っていた。
「コバヤシさん。15個でした」 ワンダが意気消沈していった。わたしたち全員
が意気消沈した。15個では1回転もしないではないか。
「日本で買って、取り寄せればいいじゃないか」 後藤が言った。
「そうだな。こっちに来るまでだ、きっと2、3週間はかかるだろうな」 殴られる
のが早いか、着くのが早いか。加えてMr.Tが成功するともわからない実験に、
余計な出費を認めるとも思えなかった。

わたしにひとつ、アテがひらめいた。「もしかしたら借りれそうなところがある」
あそこなら、20個ぐらいの幕の内弁当の容器も何とかなるだろう。チャンスは
いつも後ろ髪につかまる人にあるというではないか。

32216  32362

SAKURAの春 桜のつぼみ @@@@@@@@@@@@@@@ 終わり

今日は以上です。お読みいただきありがとうございました。明日もよろしく!

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