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2007年2月16日 (金)

旬ネタ:成長経営モデル 5.ヒューテック

コンサルティングの王道と称して始めた今週の「勝手にアドバイス 旬ネタ」、5回目です。今週もおつきあいいただき、どうもありがとうございました。今日は紆余曲折を経て急成長を遂げている四国高松のメーカーを取り上げます。

シート面の検査装置」という、またしてもなじみが薄そうですが、コアにある考え方にはズドンと納得させられてしまう。品質管理システム開発のヒューテックが今日のテーマ。

勝手にアドバイス 旬ネタ 5.ヒューテック

 Futec  未来の技術、が語源。

【ヒューテックの売上高推移】
高松市に本社のあるヒューテックの近年の売上高推移である。

2002年3月期  48億円
2003年3月期  51億円
2004年3月期  50億円
2005年3月期  61億円
2006年4月期  68億円

TDB(帝国データバンク)、同社HPより。

過去4年で50%増しである。品質管理という、どちらかといえば地味な技術の会社を考え合わせれば、この売上高の伸びは驚異的と言わざるを得ない。

【たった一行に圧縮された企業理念】
同社HPに掲載されている企業理念は次の一行である。

 品質管理のインライン化をお手伝いします。

これだけである。製造業に詳しく無い人は何だ?という感じでしょうが、ちょっと待てよ。インラインとは生産工程の中という意味である。一般に品質管理は製造後に外観や機能などをあれこれチェックをするものであるが、この一行に込められているのは「製造工程中に製造品の欠点を検出する」、いわば製造中に検査を一緒にやってしまうというコンセプトである。これはすごいことだと思う。従来の品質管理コンセプトの否定だから。

 Qc_line

この図を見ればなんとなくその理由がつかめる。投入物が生産工程に入って行く。最初の測定器が品質測定を行い、そのデータを分析し、製造品質が出荷できる許容範囲かどうかを診断する。その結果、許容範囲内であれば投入物は産出物になる。ある投入物に修正が必要であれば(つまり欠陥品)、その修正データを次工程に送り、必要なアクション(修正)を生産ライン上で施せる。異常原因もアクション情報もデータベースに蓄積され、生産管理・統計に役立てることができる。

お客さまの工場で必要なデータは異なるとはいえ、また工程上で修正が可能かどうか製品によって異なるが、どんな製品にも出荷時検査は必要である。インラインで品質管理をするという考え方は非常にクリアでメリットが伝わりやすい。http://www.futec.co.jp/seihin/s_gaiyou.html

適用できる分野は連続生産ながらも、途中で修正が可能な製品にアドバンテージがある。それは樹脂フィルムやセロファンなどシート、連続生産される紙、そしてフラットパネルディスプレイ(液晶装置)などである。これでイメージがつかめただろうか。

【紆余曲折でここまでこれた】
出発点は「富士塗油器」という会社。この会社は現在の社長の平田 喜一郎氏の先代がつくった会社で、潤滑器という車両用塗油器をつくっていた。塗油器とは列車などの車両の部品フランジなど摩擦が出る箇所に油を塗って、潤滑させるというもの。

この会社に入った平田 喜一郎氏は、二代目として「企業の作り直しが必要である」と考えて、まず塗油器の技術を応用して、クレーンの投光器を開発してヒューテックとして独立した

クレーンの投光器とはクレーンが持ち上げる物を、安全に吊り上げられるように、光を当てて操縦の目安にするというものである。これをある鉄鋼メーカーに売りに行くと、その光を当てる技術を、鉄の表面の傷や厚みの検査に応用できないかと言われ、共同で研究開発を始めた。ところが開発したのは1978年、第二次オイルショックの前夜。とたんに鋼材識別装置が売れなくなった。

どうしようかと考えていたところ、製紙業でも検査に困っていると聞きつけて、紙の検査装置を開発したが、この分野は大手が牛耳っており、まったく売れない。なんとかせにゃで見つけたのが、紙と似ているプラスティック・フィルムの検査である。これが1985年頃。この技術をベースに、インラインシステムを開発した。
(以上、TDBレポート 成長企業2007を参照しました)

顧客密着というと根性論に聞こえるが、売れなくてもめげずに、顧客の現場の品質管理ニーズを掘り下げてきた結果である。

Photo_26
この図、フラッシュで動くので、同社のHPをURLからクリックしてください。イメージがつかめます。

【品質管理室って何するところ?】
わたしに情報システムとはなんたるやをたたき込んでくれた先輩は、わたしが脳力以上のことをもらって大半をこぼしたことを知らないが(笑)、彼がひとつ言っていた「品質管理っていうのはな・・・」というコメントを思い出した。

(システム品質が)悪くなってから「品質が悪い」「統計を取って分析をする」なんてXXでもできることだ(よく口にされるが差別語なので伏せ字とした)。品質管理に必要なのは、技術への深い知識であり理解である。間違っても干上がったような人(こっちは直接的な表現ですみません)を品質管理のポジションに据えてはならない。

ヒューテックでは「品質管理は結果ではなくプロセスである」。しかもデータを瞬時に解析して、すぐ次の工程に反映させるのがすごい。これを実現したヒューテックの技術力と粘着力を市場が認めてくれたのが、成長の背景にある。

【独創性の二つのパターン】
ヒューテックは過去30年間、環境変化には別の成長市場を探し、顧客の変心にも耐え、大手の競合会社の出現にはニッチを探しつつ、企業を生まれ変わらせてきた。しかし一方で、基本技術(検査)を深めながら、一貫して品質管理分野にこだわり続けて、他社にはない差別化を成し遂げた。

真ん中にあったのは「技術の独創性」へのこだわりである。

事業成長の原点は、「絶対にこれがトレンドになる」という、2月13日に取り上げたメビックスの例もあるが、ヒューテックのように、技術へのこだわりから、「じわじわと本質的なソリューション」を商品化するというアプローチもある。どちらの企業も、技術への「とことん」であることには変わりない。

明日もう一社、とことん企業を取り上げて、「旬ネタ 成長経営モデル」を終えたい。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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