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2007年3月の31件の記事

2007年3月31日 (土)

ラジオ・リスニングが変わる オリンパス ラジオサーバー VJ-10

わたしはiPod nanoユーザーである。起きているときはだいたいネックストラップで胸にぶら下げている。なにせ会社のIDカードをぶら下げるのを忘れてもiPodは忘れない。

その利用、もっぱら音楽リスニング中心だが(Makiさん借りたDVDのヨガレッスンもちゃんと毎日♪)、Podキャスティングで米国ABCニュースNightLineを毎日ダウンロードして聴いたり、カルロス・ゴーンの言葉を録音したCDなど、英語も聴いている。だが英語に限ってはもう相当難聴気味。。。

そんな英語忘却人のわたしが気になった商品が、オリンパスから発売された。「ラジオサーバー」という妙なネーミング、それも大容量HDD(ハードディスク・ドライブ)付きのラジオ。2007年3月16日発売である。今日の勝手にアドバイスは、ラジオ・リスニングが変わる!がテーマ。

【勝手にアドバイス Vol.144 ラジオ・リスニングが変わる オリンパス ラジオサーバー VJ-10】
まず同社プレスリリースより商品のコンセプトを引用する。

VJ-10は、ラジオをリアルタイムで聴くだけでなく、内蔵の大容量HDD(ハードディスクドライブ)に録音して聴くという新しい楽しみ方ができます。最大2,500時間、標準の音質でも1,250時間の録音が可能です。例えば毎日5時間の放送でも、1年分を丸々録音できます。録音予約も20件までの番組予約、20局のラジオ局の登録をすることが出来ますから、お気に入りのラジオ番組やこれまで聴くことができなかった時間帯の番組を丸ごと録音して活用しましょう。
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2007a/nr070227vj10j.cfm

Nr070227vj10j 相変わらず画像が。。。

この商品、FM/AMラジオを聴けるだけでなく、それをHDDで録音することができる。それも37GBという大容量なので、NHKラジオ英会話の大杉正明先生の英語レッスンだけだったら、一生録音できるのではないだろうか?2500時間とは15万分であり、1回15分のレッスンなら、10000回!も録音できるのですから。大杉先生もそれまではご存命ではないだろう(笑)。

 Professor_oosugi_01  大杉先生にお世話になった人は数知れず。

【特徴】
まず録音はWMA方式とMP3方式という汎用性のある形式で行い、USB接続によりPCへの転送、PCからの転送(音楽ファイルやPodキャスティングなど)ができるという、従来のラジオでは考えられなかった機能である。
また3.9インチの画面を搭載し(白黒)、ラジオ情報や録音コンテンツ情報を表示できる。恐らく語学学習のための英文表示もできるのではないだろうか。
さらに、デジタルならではの、早聞き倍速設定(1.25、1.5、1.75、2倍速)、遅聞き倍速設定(0.875、0.75、0.625、0.5倍速)、繰り返し再生など、英語難民にはやさしい多機能が付いている。

製品のサイズは設置型での使用がメインというものである( 205(幅)×120(高さ)×89(奥行き)mm 640g)。コンサイス辞書よりかなり大きい。定時で録音する上では、確かに据え置きで置いた方がいいが、サイズは持ち歩くには微妙である。

その証拠にスピーカー付きである。据え置きでラジオで録音し、勉強する。たまには音楽を録音して聴く。そんな中高年以上の勉強家ユーザーがターゲットだろう。団塊世代は旅好きだから、語学勉強もかなりしている。iPodはPodキャスティングは録音できるが、ラジオはできない。だからラジオにこだわる人、ラジオでの会話教室リスナーにうけているのだろう。

この商品を直販するサイトには『予想を上回るご注文を頂戴し、現在在庫がございません。4月中旬ころに入荷の見込みです』という記述がある。隠れたヒットになりつつある。

【昔から類似の商品はあった】
ひとつはソフィアシステムズから発売されていた「ラジオサーバーRS12」。現在製造中止であるが、8万円以上した価格で、約350時間録音できるハードディスクを搭載していた。、サイズといい(130mm×190mm×100mm)、ネーミングといい、製品の仕様(約350時間 ハードディスク、MP3対応)の類似性といい、オリンパスはこの製品のOEMないしODMをうけているのではないだろうか?

 Radio_s それっぽいデザイン

もうひとつはサン電子の「トークマスター」。こちらはぐっと小さい携帯型であるが、語学学習者のためには隠れたヒット商品と言われる。

 T_master

1GBのフラッシュメモリー搭載型で39,800円。オリンパスのHDDと比べてしまうと高い。ただし携帯性は高い。99×56×20mmという、名刺サイズであり、重量もわずか96g。 他の仕様はオリンパスのものと似ている。持ち歩きをして英語学習をするなら、絶対にこっちである。

【古きを新しきにする商品開発の要諦】
このオリンパスの製品開発には次の古きを新しきにする三つの製品開発戦略がある。

1.ラジオという旧メディアを現代の技術で付加価値化した
2.HDDという比較的古い技術で低コスト化を図った
3.学習という狭い領域に特化して特徴を出した

1は、ラジオと言えばもう消え去るメディアという人もいるが、実はまだまだリスナーは多いのである。HDDと再正仕様を今日的にしたことで、従来のラジオとは異なる商品機能をもたせることに成功した。
2は、市場のトレンドがノートPCにさえフラッシュメモリーへと向かう中で、あえてHDDという安価な大容量メディアを採用した点。低コストを実現した理由だろう。
3は、用途を語学学習に絞ったことで、買い手が明確になり、販売チャネル(直販&三省堂)が明確になり、流通コストが削減した。

【勝手にアドバイス】
日本は勉強家が多いので、この手の商品が売れる希有の大国である。それはそれで良いこと。TOEICで930まで取ったことのあるわたし(自慢)、電車でも相当勉強したぜ。こんな商品があればよかった。

そんな語学古強者から、オリンパスへの勝手にアドバイスは、持ち歩きのできる小型化である。HDDでもいいしフラッシュでもいいので、バイブルサイズを実現してほしい。またキーボードを搭載し、電子辞書や文法テキストを実装してもらいたい。それなら5万円でもかなり売れること間違いない。キーボード入力があれば、英作文の宿題もできるし、電子辞書を陳腐化することができるだろう。

この製品のユーザーなら、通勤ラッシュでもブスっとしてないで、「エ★ックスキューズ・ミー!」とでも言ってもらいたいが(笑)。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月30日 (金)

20代のPCデバイドたち 5.おとなBUT・・・包囲網と戦う時代

ココログの波瀾万丈と、恋愛マトリクスの波瀾万丈の余韻をのせて、中年が20代を語るという超野心的な今週のネタも今日で終わりである。お読み頂きありがとうございます。

書き始める前に、仕事でMDB(マーケティング・データバンク=日本能率協会の法人向け図書館)に行ったついでに、20代の意識と行動変化にまつわるアンケート調査もチェックした。だがせっかくリストアップした調査、それらをほとんど使わずのままになってしまった。たとえばこんな調査があった。

◆ 「20~30代独身女性の「朝の過ごし方」実態調査」 朝ご飯実行委員会ニュースによると、この数年間で、約4割が「朝型」にシフト!などおもしい記述あり。
◆ 「若者のチャレンジ観」「若者の仕事観」「若者の状況と暮らしの変化」「若者のスポーツ観」などフルキャストがまとめた調査。これもなかなか興味深い記述が多い。
 「電通のトレンドボックスリサーチ ひとりも楽しい」 これは独身男女400名へのひとりでも楽しいことに関するアンケート。ふ~ん、ひとりが楽しいと。

ひとつひとつはおもしろいのだが、残念ながら20代のPCデバイドを直接的に裏付ける調査はなかった。仮説を持って読めば、「PCなんてうざい」のは見え隠れしてくる。そういう萌芽はそこかしこにある。

だが20代がほんとうにPCデバイドになるのかどうか、どこかの篤志家/調査機関にきちんとした実態調査をしていただきたい。PCデバイドがそのきっかけで、20代の消費性向ががらりと変わるのであれば「新製品なら何でも20代をターゲットに」なんていう甘いマーケティングが通じなくなる。これは劇転である。

【勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち 5.おとなBUT・・・包囲網と戦う時代】
今日はまず「携帯-コンビニ包囲網」について考えたい。

NTT DoCoMoが携帯電話を通じて展開している主なサービスを拾った。
①クレジット決済:DCMXサービス
クレジット業務は三井住友カードがアウトソーシングとして丸請けしている。同社以外にVJAグループ、イオンクレジットサービス、クレディセゾン、ユーシーカード、ローソン・シー・エス・カード、オリエントコーポレーションなどがiDに対応している。

②Edy:プリペイド型の電子マネーサービス
ビットワレット株式会社が運用。ちなみにDoCoMoはビットワレットに15%出資している。

③iアプリの情報提供(メガiアプリ)
リアルな音と映像で楽しめる「メガゲーム(バンダイナムコゲームスバンダイネットワークスカプコンなど)」、音声案内や3D表示が可能な「ナビゲーションアプリ(ゼンリン)」、多チャンネルに対応したテレビ番組表リモコン「Gガイド番組表リモコン(米Gemstar-TV Guide International)」。

 Seed  Zenrin

④モバイルSuica
おなじJR東日本のおサイフケータイ版「モバイルSuica」。

⑤ミュージック
音楽では米ナップスターと提携。出資しているタワーレコードのサービスとも組み合わせ、定額制250万曲聴き放題という音楽サービスを提供している。
http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/content/iappli/index.html

そのDoCoMoの中長期的な経営戦略は次の3点である。マルチメディア化(音声から非音声へ)、ユビキタス化(動くものすべて)、グローバル化(国内から海外へ)である。音声を入口にして動くものすべてとネットを結びつける。それを面的に発展させようというものである。24時間生活まるごとどころではなく、海外まで視野に入れて消費者を囲い込む。

【セブンイレブンではどうだろうか?】
①セブン銀行

全国のセブンイレブンに11,500台以上を設置し、500以上の金融機関と提携済み。24時間365日いつでも入出金・残高照会ができる。イトーヨーカ堂と共同出資。

②電子マネーサービス「nanaco」
セブン&アイ・ホールディングスの独自サービスとされているが、セブン銀行はnanacoへのチャージ機能の提供や、nanacoを使った金融サービスのビジネスモデルを構築する。運営管理はJCB。

Nanaco

③オンライン書店セブンアンドワイ
Yahoo!JAPANと提携し、DVDなどを、インターネットを通じて販売するもの。ヤフーオークションなどYahooのサービスに拡大させつつある。

④e+(イープラス) チケット販売
株式会社エンタテインメントプラスホリプロCNプレイガイドとの提携事業。ぴあとの事業提携は解消。

⑤写真のオンラインプリントサービス
マイクロソフト、セブン-イレブン・ジャパン、富士ゼロックスの3社が提携して開発したセブン-イレブン店頭の多機能コピー機で印刷して受け取れるサービス。

【携帯・コンビニ包囲網が漂流世代を生んでいないだろうか?】
今30代以上の世代ならば、携帯やコンビニ以前の時代も知っているし、携帯・コンビニ時代の恩恵にもあずかっている。だからそのメリット・デメリットを体感している。

だが10代、20代前半の世代では、どんどん高機能化する携帯・コンビニの時代に最先端でさらされてきた。買物やクーポンに始まり、貯金、支払い、小銭、鉄道や航空にバス、音楽にデジタルメモリー・・・なんでも携帯とコンビニですませることができるのである。それはたしかに便利である。

だが若者は、携帯を持って、コンビニと駅と行く先を、点と点と点で結ぶ、ステレオタイプな漂流をしているに過ぎないのではないだろうか?

コンサルティングの仕事では、事業活動の効率化という視点で、業務を削減し合理化するが、それは付加価値の高い業務にシフトさせるというねらいから実施する。だが携帯とコンビニで象徴するライフスタイルのコンビニエント化は、若者を付加価値のある目的(=仕事や世直し)にシフトさせる宛先の無いまま、ただ単に便利な機能で若者を囲い込むビジネスを繰り広げているだけのように見える。

目的のない合理化・サービス機能強化の果てが、いつでも朝っぱらから見られる、コンビニで雑誌や漫画を立ち読みするという若者の姿、他の国では例を見ない情景である。こうした目的レスで便利フルだからこそ、ニートが生まれるのではないだろうか?

【おとなBUT所得格差】
おとなBUT・・・収入格差は開くばかり。これは東京都が2006年に実施した「若者の状況と暮らしの変化」という調査から、正社員、パート・アルバイト、派遣社員別に見た収入の分布図である。

Photo_36

自明のことながら、正社員とその他の処遇の人とは、待遇に圧倒的な差がある。ニートを生みだす状況をつくってきた過程には、景気の悪化など社会環境の変化はあった。それらの多くは真剣に法人の生き残りをかけた施策であった。だが売上や利益さえ上向かせればいいという考えもあった。だが若者から見ればどちらも同じである。なんだこの夢のない世界!せっかく大人になったのに将来像の見えない社会は!オトナが遵法も税金も責任を取らない世界だし・・・やってられないよ、これが彼らの本音である。

しかも、ようやく景気が上向いてきて新卒を採用するようになっても、若くて安い人ばかりを雇用しようという冷たい現実がある。このような社会をつくることに荷担してきたひとりの社会人として、わたしは日本の今の社会を恥じる。社会人としての今までの自分の行動を恥じる

【勝手にアドバイス・・・をしたいところだが大した処方箋はない】
わたしは政治家ではないしパブリック・サーバントでもない。ひとりのマーケティング/マネジメント・コンサルタントとして、顧客企業の事業活動をありたい姿に導き、せいぜい収益に貢献ができるかできないかぐらいだ。だがそれがちっぽけな活動であっても、事業に携わるひとりひとりの社員、管理職、経営者に、何らかの合理性と情熱をもたらしたい。それが少しでも社会の役に立つはずと思って続けている。

若者には、薄い恋よりも濃い恋をめざしてほしい(ポジションD)。便利なフラッシュなメモリーではなく、もっと重いマニュアルなメモリーを持ってもらいたい。チャージ(充電)はコンビニではなく、いっそ遠く離れた海外で祖国を眺める視点で、心技体を充電してほしい。携帯を休む日、携帯を24時間使わない日をもってもらいたい。マネー・オンリーの大人の尻馬に乗らないでほしい。あてどない24時間コンビニエントな漂流をやめてほしい。

今週は以上です。中年の冷や水、お読みいただき、ありがとうございました。

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2007年3月29日 (木)

20代のPCデバイドたち 4.フラッシュ&チャージ

このブログは今のところほぼ日でアップしている。アメブロからココログへ引っ越し後、過去6ヶ月、これまでに当日更新できなかったのは2回か3回。いずれもココログのシステム・メンテナンスである。その内の一回が一作日で、読者であって同僚、しかも美しきコンサルタントのYUKAさんに会ったときに言われた。「郷さん(わたしのこと)、大丈夫ですか?」「え?何が?」「ブログ、更新されていなかったから・・・」「それがさ、ココロ愚がさ・・・」

メンテナンスの御利益かどうか、ブログが書きにくくなった(昨日は投稿エリアの挙動がおかしく、画像のサイズが定まらなかった)。しかも過去のブログの画像はリサイズされたままである。とても醜い。6ヶ月の血と汗(?)どうしてくれるんだろうか?これがメンテナンスというものなのであろうか?これではココロ苦である。

タダだから仕方ない!と言うなかれ。フリーからでは有料には移れないのだ。移りたいと思っても、それさえできないというのはどういうことだろうか?いっそのこと、もうちょっとサービスにココロ具がある企業に事業売却されたらどうだろうか?

今日は今どきの20代について書いてきた旬ネタの4回目、そんなスサんだ(?)気持ちの中だから辛口に書きます(というのは嘘)。今どきの20代って「フラッシュ・メモリーな人が多い」というのが今日の仮説。

【勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち 4.フラッシュ&チャージ】
読者の皆さんはUSBメモリーのひとつやふたつ持っているだろう。今やセミナーの景品にまで成り下がったコモディティ。32MBだったら何百円もしない。100円ショップでも売られているのではないだろうか。

のっけから脱線だが、16Gバイトという大容量のUSBシリコン・ハードディスクという製品がバッファローから発売された。この製品「シリコン・ハードディスク」と名付けられているが、紛れもなくフラッシュ・メモリーである。16Gで2万円弱という価格帯も魅力ある製品である。

 Sk_buffalo_01 画像の扱い、ココロ愚です。不具合はごめんなさい。

今さらだがフラッシュ・メモリーとは、書き換え可能な不揮発性半導体メモリと言われる日本人の発明品。その特徴は、電源を切ってもデータは消えない、認識ドライバが不要、データの読み書きが高速、小さくて軽い、衝撃に強い、消費電力が少ない、などである。

こうしたフラッシュ・メモリーなる感覚が、20代の生活意識と近似しているのではないか、というのがわたしの仮説。では、どこがフラッシュ・メモリーな20代なのだろうか?

【立ち上げ不要のフラッシュ・メモリー】
PCと携帯電話の大きな違いは何だろうか?もちろん用途もサイズもプライスも違うが、Skypeを入れればPCでもしゃべれるし、携帯でもエクセル・パワポを見れる機能の製品もある。両者歩みよってきたが、決定的な違いは「スタンバイ」にある。

だって携帯は「立ち上げる」って言わないでしょ。24時間待ち受けの携帯と、寝るときは電源をOFFにするPC。SonyのバイオU ゼロスピンドルモデルは、ハードディスクを用いずフラッシュ・メモリーオンリーのPC。

立ち上がり時間が短いので、若い世代にウケている。ハード・ディスク・ドライブでは、えんこらしょと1~2分かけて立ち上がる。24時間わたしのためにスタンバイしてて、というニーズに応えられないPC製品が20代のPCデバイドを生んでいる

彼ら彼女らの細切れメールというコミュニケーションは、いちいちデバイスを立ち上げていてはできない。ぱちんと開けて打って送ってぱちんと閉めて、ピピッと返信がある。そうしたコミュニケーション・リズムにPCは付いてこれてない。PCにデバイドされているのではなく、PCとあえてデバイドしているのだ。

【細切れのメモリー】
若者の携帯メールのやりとり。「元気?」「サッカー見てる?」「ボクも見てた」「ダメだよね平山~」「おおっと入れたねゴール」「タマにはやるね」「ぉおっっと2点目」・・・と永遠に細切れのコミュニケーション。サッカーを見ているのかメールをやりとりしているのか、果たしてどちらなのだろうか?だがそれで満足なのである。わたしにしてみれば、細切れの浅いスポーツ論に意味があるとは思えない。

彼ら+彼女らは、一発一発のメールは細切れだが、回数を稼ぐことで次第にコミュニケーションになっていく会話スタイルなのだ。メールもコミュニケーションもメモリーも細切れ。フラッシュ(閃光)なのであり、重くてしっかりしたイメージのハードディスク装置とは対極にある。

ハードディスクは重たい記憶、自分の過去履歴をしっかり保持するというイメージ。フラッシュにはその場その場のイメージ。ちょっと飛躍しすぎかも知れないが、若い世代が結婚しても子どもを持ちたくないのは、自分(たち)中心のライフスタイルが壊されるのが嫌なだけでなく、「子どもという重量級の記憶」を保持することを心の奥底で拒否しているのではないだろうか?

【チャージというライフスタイル】
東京メトロでほぼ毎日見掛ける光景とは、座り食い、立ち食いである。地下鉄の中、ホーム、ところ構わず食べる若者を見掛けない日がない。だがその特徴は、食べ方にある。

食べるというより、補給というような食べ方。車両に乗ってくる。空きスペースに腰掛ける。iPodはすでに耳と胸にぶらさげている。トートバッグから取り出したPSPをONにする。ゼリーも出す。ちながらチュウチュウする。チュウチュウしながら打つ

彼らの三種の神器(携帯、PSP、iPod)が「=充電」なら、食料は「=補給」というライフスタイル。どちらも似ている。フラッシュ的な簡易さ・お手軽さである。PASMOのように料金が足りなくなればチャージすればいいんで。

【24時間チャージ】
ではチャージはどこでするのか?24時間対応と言えばやはりコンビニである。「わたしのためにいつでもスタンバイ」って、まさにコンビニでしょ。それは携帯も同じでしょ。不思議である。

さらに、どちらも24時間スタンバイの類似性だけでなく、どちらから言い寄ったのか、両者は寄り添うように多機能化・高機能化しつつある。支払い・振り込み、予約、クレジット、ATM、デジタル写真・・・。そこに行きさえすれば用が済む。USBメモリーをどのPCに差し込んでも機能するように、街角のどこでもコンビニに「自分を差し込む」ことで用が足せる。

余談だが、両者は事業カルテルのように成長をしている。実はコンビニをめぐる開発は、かなり巧妙な事業横断のカルテルであるともいえる。旧来の市場シェア占有取り締まり型の独占禁止法では取り締まれないが、結果的に中小店舗つぶしになっているのだから。

【コンビニよりもアンコンビニを!】
たしかに20代は忙しい。労働、遊び、学び、恋、消費、転職、夢づくり、やりきれない日本社会への慨嘆・・・携帯ひとつ、手帳ひとつではやってられないほど忙しい。だが、フラッシュ&チャージな上滑りなライフスタイルで、ココロから感動できる生活&仕事&恋に出会えるのだろうか?とっても疑問なのである。

明日は中年の冷や水を20代にあびせたい。コンビニよりもアンコンビニを!産業界もアタマを冷やすべきだろう。今日のココロ愚は以上です。

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2007年3月28日 (水)

20代のPCデバイドたち 3.恋愛漂流世代

20代の群像を考える勝手にアドバイス旬ネタ、今日はその3回目ですが、昨日2007年3月27日はココログサイトのメンテナンスでアップロードができませんでした。すみませんでした。この機会に、ついでに自分の心のメンテナンスもしかけましたが、こちらは補修できない箇所が発見されました(笑)。補修不能箇所も匂わせて、今日はブログ2発!お届けします。

  Photo_35 今回のメンテナンスは長かった。

3回目となる本日3月28日付けのテーマは、産地直送(?)の仕入れネタで「恋愛漂流」。どうも20代の恋愛観は、30代の団塊ジュニア世代、40代の新人類世代とかなり違うのではないか?という仮説からスタートします。ひとことで言うならば「あっさり系」なのである。あっさり恋愛が吉とでるか凶と出るかはさておき、あっさりはクールだけど、情熱的はクールじゃないという意識があるようなのだ。

恋愛だから何が正しい、正しくないという答えはない。しかし何が若い世代を「あっさり恋愛」に向かわせているのだろうか?情熱派でありたく、経験的には壊滅派のわたしには、あっさりスタイルが恋愛なのか?疑問がある。そこが世代ギャップと言ってしまっては身も蓋もないけれど。

「PCデバイド」というテーマとはちょっと離れますが、恋愛観は消費スタイルの根幹でもあるので、そういう視点でお読みください。

【勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち 3.恋愛漂流世代】
まずわたしお手製の恋愛マトリクスを見てほしい。この軸づくりは、今20代と、つい最近まで20代だった女性二人へのまじめなヒアリングに基づいて行われた。その意味で生の実態を表していると言っていいだろう。

タテ軸には「愛しているよ、なんてうざい」と「愛しているよ♪そう言ってほしい」を置き、日々の恋愛表現の態度を表す分類を行う。ヨコ軸には「あっさり恋愛 【落ち着けば、愛】」と「こってり恋愛 【波瀾万丈が愛】」を置き、恋愛への態度の分類を行う。

 01_12 

愛しているよ、なんてうざい=毎日「愛している」なんて言われたくもないし、言いたくもない気持ち。
愛しているよ♪そう言ってほしい=毎日「愛しているよ」と言いたいし、言われたい気持ち。
あっさり恋愛 【落ち着けば、愛】=冷静に相手を値踏みして、この人なら付き合えるし生活力もあるから、結婚してもいいな、と結婚することに落ち着きを見出すライフスタイル。
こってり恋愛 【波瀾万丈が愛】=大恋愛の末、結ばれたいと思う態度で、波瀾万丈は極端であるが、起伏のある恋愛を楽しむライフスタイル。

まずポジションAである。愛しているよなんて言わないし、言ってもらっても「うざい」と感じる感性をもち、その結果、恋愛には「あっさり」を求めるという人々がここに入る。20代のステディな彼のいるAさんのコメント、うざそうな表情(笑)はそんな感じだったと思う(違ったらすまん)。

次にポジションBであるが、ここには30代になりたての20代の香りのするBさんが当てはまりそうだ。結婚=落ち着くことという合理的な考え方を示す一方で、毎日愛を確かめたいという、いわば欲張りな方である(失礼!笑)。まったくの仮説だが、20代後半、そしてトランタンになる頃、何割かの女性は落ち着きを求める心と純愛の狭間に挟まれて、こんなことを考えるのではないだろうか?

ポジションDは、あからさまに言えばわたしである(笑)。言いたいし、言われたいし、恋愛にも紆余曲折が欲しい。変わり者のわたしは新人類の代表選手ではないので、ここにわたしの世代の多くが集積するか、それが新人類世代の特性かわからない。団塊ジュニア世代がこことも言えない感じはする。読者の皆さんがそれぞれ胸に手を当てて考えるしかないだろう。

尚、もちろんポジションCは、嘘つきか偽善者である。

 02_8 

【仮説1=Aに20代の大半が入る】
ポジションAに20代の大半が入るというのが仮説その1。後で述べる「彼は空気のような存在がいい」とする10代女性のアンケートからもそれが裏付けられる。

ここに多くの20代が所属するとなると、消費行動としても、衝動的なデートよりも予定調和したデート。バケーションで熱く燃えるよりも、エブリデイの付き合いで馴染むいう恋愛行動になろう。デート.comのようなサイトもあるくらいだから、冒険よりも手堅さ(このお店よかったよ!あのドライブコースよかったよ!というお手軽重視の姿勢)が求められるのだろう。

【仮説2=若い男性は実はBを望んでいる】
20代の男性は「オレもAだよ」なんてシラを切りながら、実はBポジションを望んでいるのではないだろうか?つまり相方がAポジションだと言ってるがゆえに、自分もAですとやや偽善的な態度を取る。だから擦れ違いが多いのではないか?というのが仮説2である。

【彼は空気のような存在がいい】
ちょっと前の調査(2004年)だが、博報堂生活総合研究所の16歳~19歳の女の子200名の調査によると、その51%が「束縛するのもされるのも嫌だ」と答えている。もっとも理想的なのは「空気のような存在の彼」だというのだ。http://www.shibukei.com/special/51/index.html

設問:つきあう相手のすべてを知りたいと思いますか。   
すべてを知りたいとは思わない 89人(解と数) 44.5%(比率)
すべてを知りたいと思う  72人  36.0%
知っても知らなくてもどちらでもいい  39人  19.5%

相手のすべてを知りたくない+知りたいと思わないが6割以上なのである。好きでも知りたくない、という態度、わたしにはとても信じられない(おじんですまん)。

設問:恋愛関係での「束縛」についてどう思いますか。
束縛するのもされるのも嫌だ  102人  51.0%
束縛するのもされるのも構わない 41人  20.5%
自分が束縛されるのは嫌だが相手は束縛したい 30人 15.0%
自分が束縛されるのはいいが相手を束縛するのは嫌 27 人 13.5%

これもあっさり系が大勢である。面倒くさがりというよりも、実は相手に関心が薄いのではないだろうか?

【仮説3=ポジションDはドンビキ】
これは仮説ではなく、たいていの20代が思っている事実なのであろう。大恋愛物語がTVドラマで流行らなくなって久しいが、波瀾万丈の愛を追求したいライフスタイルDは、20代にはダサいばかりかドンビキである。わたしは気をつけなくてはならない。

今日の2発は以上です。明日のテーマは「20代=フラッシュ・メモリー」という仮説。

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20代のPCデバイドたち 2.PCもネットもコモディティ

ココログメンテナンスのために、掲載日がずれました。

20代のPCデバイドたちについて書き出した今日はその2回目。20代にPCデバイドが増加するとどうなるのだろうか?従来、マーケティング・リサーチの世界では、伝統的にF1、M1(それぞれ20~34歳の男女)などと区分をして、消費行動や意識を追ってきた。

しかしあらゆる世代で勝ち負けが言われる今日この頃である。同じ20代でも、盲目的に若くて消費意欲が高い、ネットを使う、だからターゲットになりうる、という単純な思考では「市場が見えなくなった」というコメントになりがちである。M1のMは「負け(組)」のMかもしれない。F1のFは「(PCの)不具」のFかもしれないのだ。20代の変化をありのままを観よう。

今日2回目は、まずネット・デバイスの最近の商品からメーカー側の変化を観ていこう。

【勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち 2.PCもネットもコモディティ】
JEITA電子情報技術産業協会によると、PCの販売は減少傾向が続いている。7~9月期のパソコン出荷台数は96%と前年同期比で微減となり、2006年通年でも国内出荷台数は、2002年以来の前年割れとなる1233万4000台で、対前年比は97%となった

PCの中で唯一伸びているはA4サイズのノートPCだが、これは新卒など雇用が改善したことが影響しての法人需要によるもの。

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個人/法人ニーズの内訳を聞かれると、「具体的な数字は持ち合わせないので感触での回答になるが、四半期ベースでは法人は前年並み、個人は80%割れと思う。暦年(通年)でも法人は前年並みで個人は90%前後になるのではないか」(JEITAパーソナルコンピュータ事業委員長 山本正己氏)と答えた。
http://ascii24.com/news/i/mrkt/article/2007/01/25/667443-000.html

ウィンドウズVista効果があっても、個人は昨年比マイナス10%がいいところ。いやVistaでPC販売盛り上がらずはもう事実となりつつある。PCもそのソフトウエアもすでに成熟商品、コモディティなのである。

【PCメーカーも変わろうとしている】
若い世代にウケるPC/ネットギアを開発しようという試みはすでに始まっている。代表的な商品はソニーのバイオU、ウィルコムのW-ZERO3、e-mobileのEM-ONEの三つ。ゲームだがPSPも同じスタイル。

 Pr_img01 EM-ONE 

同じスタイルとは、いずれの商品も両手の親指を用いて入力する仕組み。20代のキーボードにブラインドな難民世代にも、親指だけなら何とかなるでしょう、という簡易な入力。携帯では右手親指だけだが、これらのマシンは左手親指も使うので相対的に高度である(笑)。しかしなぜ日本のメーカーは、こうもユーザーにすり寄りへつらいしなくては商売ができないのだろうか?デバイドをつくっているのは、ユーザー教育を怠ってきたメーカー責任もある。

いずれにせよ今後の主戦場は「携帯複合機」で業界は一致している。携帯電話とネットギアはますますその境界線があいまいになるだろう。こうした複合機がPCの市場シェアをどんどん食うことは明白である。

【販促の主軸はパソコンサイトから携帯サイトへ】
2006年11月にgooリサーチが実施したウェブ販促に関するアンケート調査では、回答者1,049人のうち、携帯電話から何らかのキャンペーンを利用したことが「ある」と答えたのは40.42%(424人)と前年調査より増加。「オンラインで応募するキャンペーンは、PC と携帯電話のどちらから応募する方が便利か」という質問では、PC利用が圧倒的に多く、全体の8割以上であるが、その答えの比率は低下している。低下したポイント分は「携帯電話での応募の方が便利」などの回答に流れているとしている。
http://japan.internet.com/research/20061121/1.html

その携帯販促、ますます手が込んできており、たとえばPiclinの販促では、ロッテの「コアラのマーチ」のコアラ(パッケージの中の食べ物の)絵柄217種類を、応募者がカメラで写し送信すると、それぞれのコアラから占いやメッセージが記載された返信メールが届くというもの。

 Photo_34 「コアラのマーチ@メール占い」

ネット広告もすでに成長が鈍化していることも事実。10代、20代への販促キャンペーンは、急速にPCから携帯に移っていく。

【Dellコンピュータの斜陽】
このことに関連して、象徴的な事実はBTO(Build to order 欲しい部品やソフトウェアの注文受領後組立=在庫レス)Dellの斜陽である。2006年度はDell製品はトップシェアからドロップし、HPが首位になるのが確実とされる(世界市場)。

今どきの若い人たちを「漂い系」と命名した伊藤忠ファッションシステムのマーケター吉水由美子さんはこう言っている。
メーカーさんは、多様化でニーズが細分化しているなら、限りなくオーダーできるシステムをつくればいいんですかと聞いてきますが、(今の)若い人たちは、これが欲しい、あれが欲しいがいえない。関心があるか、それ以外は無視というか、「嫌い」という判断すらウザイといいますか」

http://www.works-i.com/special/newgeneration5.html

 4478502048 漂い系・・・。

このインタビューを読んでわたしは、Dellの斜陽=BTOですら面倒なのだろうか?と思った。若者をじっと観れば、BTOするだけの知識も常識も欠如していると思わせる人もいる。Dellの斜陽がこの公式ですべて語れるはずもないが、若者のセレクト感覚の鈍りは事実だろう。自分でセレクトできないからこそセレクト系のお店が流行っている。恐ろしい世の中になる。

【高い情報の消化力でネットもコモディティ化させる】
こうしてみると、若い世代にとってはPCのコモディティ化はもちろんだが、すでにネットもコモディティ化しつつあるのではないかと思える。彼らはそのモノ心ついたときから、音声も文字も動画も静止画も片手、いや片指で入手できるのである。だから、自分から何が欲しい、自分はこう思うという表現力を持っていないのに、情報の消化力だけはやたらに高い。だからあらゆるモノは親指から入り、即座にコモディティ化してしまうのだ。

3月27日分は以上です。お読みいただきありがとうございました

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2007年3月26日 (月)

勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち

この調査データを見逃していたのは迂闊だった。すでに2006年11月に発表されていたものなので、寡聞に属すると言われても仕方ない。ご存じの方は多いのかも知れない。わたしがこれを知ったのは先月ぐらいだったのだ。

そのデータとは、日本のWeb利用者の年齢構成の調査であり、過去6年間で20歳代の利用率が半減しているというのだ。2000年時点では23%強の利用率があったが、それが2006年4月時点では12%弱とほぼ半減している。データの前提は「家庭用PCからの接続」であり、パーセンテージは100%=全利用者数であるので、全体のネット利用者は増加している(いくつかの調査を参照すると、最大で倍増)。とすると、20代の利用者実数は「過去5年間横ばいである」というのがこの調査からわかることだ。他の年齢階層が微増ないし、横ばいであることを考えあわせても、20代の利用者はネットユーザーとして急速にその地位を低下させていることが想像される

 200703_087_1

デジタル・デバイドという言葉を覚えているだろうか?それはパソコンを使えないシニア世代を揶揄していた言葉であるが、今やそれは若年層に当てはまる言葉なのかも知れない。60代の比率は倍増していることから、デバイドは解消された。その反動なのか、収入格差が影響しているのか、他の要因なのか、20代にデジタル・デバイドが浸透しているとすれば、これは大きな影響が出てくるはずだ。いやすでに出てきていると言ってもいいのかも知れない。

インターネット利用者と言えば若年層だろうという思いこみを打破してくれた、久しぶりに衝撃の調査データだった。ではその原因は何なのか?すでにどういう影響が出ているのか?どのような影響が出そうか?今週の旬ネタは20代のPC利用率低下から、若年層世代の意識や行動を考えてみたい。

ざっと考えてみた1週間5回分のテーマは次の通り。
1.親指ランゲージ世代
2.PCはすでにコモディティ
3.フラッシュ・メモリーな生活
4.コンビニ漂流
5.おとなBUT・・・階級世襲制の時代だから

【勝手にアドバイス旬ネタ 20代のPCデバイドたち 1.親指ランゲージ世代】
ちゃんとその調査を参照しよう。調査元はネットレイティングスで、2000年からの継続調査として実施されている。ネットレイティングスは米国ネットレイティングス社の日本法人で、トランスコスモス、電通ドットコムが主要株主。さまざまなネット上のアクセス統計を調べている機関であり、デファクトの調査機関である。http://csp.netratings.co.jp/press_releases/nnr_press.php?years=2006&category=0

 ネットレイティングス代表取締役社長兼チーフアナリストの萩原雅之氏は、20歳代のウェブ利用者比率減少の要因として、携帯電話端末の機能やサービス向上により、オンラインショッピングやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを携帯電話で利用するユーザーが増えたためと分析している。

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20304267,00.htm

2007年3月号のFACTAではもっと痛烈に書いてある。

 Number200704  率直な意見のある雑誌で好きです。

第二のデジタル・デバイド出現。パソコンは30~50代限りで、高機能携帯でもう十分
衝撃だった。パソコン(PC)が使えない団塊世代以上の高年齢層の断層を「デジタル・デバイド」と呼ぶが、第二のデバイドが出現したのだ。20代の若年層である。まさか、と思うなかれ。高額のパソコンを持たない彼らは、インターネット利用を安価な携帯電話で済ませてしまう。PC族と携帯族の「デバイド」――それはネットにも「下流社会」が出現したことを意味する。

http://facta.co.jp/article/200703060.html

なるほど、この路線で考えてみると、10代~20代の特異な現象と辻褄が合うことがある。ひとつは、親指には強いがブラインドタッチにはブラインドなこと、携帯辞書並の語彙力のコミュニケーション力にとどまること、デコレーションメールという伝えたつもりの独りよがり、このように三種の神器はすべて親指を酷使することなどである

【ブラインド・アンタッチャブル】
1996年PHSで携帯メールサービスが始まり、97年からポケベルよりも簡易に早く入力できるということで、若者世代に流行りだした。98年からは携帯キャリア間のメール通信が解禁され普及期を迎えた。このころ19才の人は、今は27才である。ちなみにi-modeの登場は1999年だった。

野村総合研究所調査によれば、若年層のショートメール利用率は1999年には3割だったが、2000年には65%と大幅に増加した。マーケティングでいう普及の閾値を越えたのが2000年だったのだ。つまり、今27才より若い人々は、キーボードよりも携帯で入力をする方が自然体でできる。

一方すでにキーボード派は、1999年頃PCでメールを打っていた。その牽引役は30代だったと言い切っていいだろう。わたしもそうだ。何しろパソ通など通信はパソコンでするものという固定観念にとらわれていたからだ。だからこの世代がメールを携帯で打ち出すには、20代と比べて3~4年のタイムラグある。

十把一絡げには言えないが、若い世代にはブラインドタッチの必要性がそもそもなかったのである。身の回りの20代のタッチを観察して欲しい。ぎこちないし、下手だし、そもそもキーボードにブラインドという人が多すぎるでしょう。彼らはブラインド・アンタッチャブル、キーボード難民と言っていい世代。その理由は、実は携帯企業が良かれと思って、革新的な技術を開発してきたのである。

 10006000377_s  懐かしいポケベル

【語彙力】
『教えてgoo』に載っていた相談コメントである。

「私は20代後半ですが、小学生レベルの漢字も書けません。今日は、「夫」という字が書けず恥ずかしい思いをしました」

これもまた衝撃だった。この人には果たして夫がいるのだろうか?笑) だがこれを極端な例と言ってはいけない。多くの人が漢字が読めず、また書けず恥ずかしい思いをしているのが実態である。日本語の乱れは深刻。漢字検定試験には、今や200万人以上が受験している。

その主力層が若者世代であることは容易に想像がつく。書けないことに必ずしも開き直っていない。だが鉛筆ダコをつくらない世代だから、身体で言葉を覚えることはしてこなかった。親指だけでは漢字が覚えられないのである。

【入力補助機能の功罪】
携帯メールには入力補助機能がある。最初の2~3文字を打つと文の選択肢が表れる機能である。簡易にメール文章を作れるから便利であるが、ここまで用意されていたら、メールをつくるのも自動化してほしいと思ってしまう。

これはデコメールにも通じることで、感情をステレオタイプ化して済ますという行為である。携帯のショートメールだからいいでしょ、と言われるとそうですね、と思ってしまうが、伝えたい気持ちを標準化してしまうのは人間が目指してきた精神の歴史とは思えない。愛にしろ嫌悪にせよ憎悪にせよ哀感にせよ、機知に富んだり、オブラートに包んだりを考えを深めてきたのが人の心の歴史であったはずである。記号化は生活標準を引き上げるための記号ではあるが、個人の感情を標準化するものではなかったはずなのに

【親指の神器=ケータイ、ゲーム、iPod】
三種の神器が時代ごとに言われて久しいが、昨今の神器、共通項は「親指」に他ならない。携帯もそう、DSもそう、iPodもそう。この勢力図自体は、強力な新商品が出ればがらりと変わるが、親指だけで用が済むというコンセプトは、容易には変わらないのではないだろうか。

考えてみれば、人類史上これほど毎日指を酷使する時代はなかった。つかむ、握る、なぜる、打つ、叩く、削る、切る・・・そうした活動を手に負わせていた時代は数千年あった。ところが小さなキーボードを打ったり、スライドさせたり、ブッシュさせることが、一日の内数時間を占めるとは。神は(がいればですが)そのように人の手を創ってはいない。それを無理して合わせようとしている10~20代に、生活や身体、心のひずみが生じるのは当たり前のような気がする

今日は以上です。大風呂敷を広げたので、明日の展開が不安ですが(笑)。ではまた明日。

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2007年3月25日 (日)

宮崎あおいの旅ファインダー・プロモーション

2007年3月20日付けの新聞の朝刊、一面広告に惹かれた。そのものすごい目の力に引き寄せれた。誰だろう?と思って、もう一度良く見た。女優の宮崎あおいさんだった。

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宮崎あおいさんはとても清々しい存在感のある人で、前から気になる存在でした。のっけから脱線ですが、わたしは必ずしもアイドルに強くない。つい先日、AKIBAヨドバシの店頭で、販促ギャルと共にEM-ONEに触れておもしろがっていたわたしだが、イーモバイルの広告の美女は誰だか知らなかった。それが松下奈緒さん だということは営業のOKさんに教わった。これじゃ、ドンビキと言われても仕方ないぜ。

ともかく宮崎さんの目には、引き寄せられる力が宿っている。それはなぜだろう?と彼女をTVやネットで見かけるたびに何となく考えていた。それが、カメラメーカー・オリンパスのプロモーションに起用されることで解けた。彼女の目、それはまるでファインダーそのものなのだった。今日のテーマは宮崎あおいさん

【勝手にアドバイス Vol.143 宮崎あおいの旅ファインダー・プロモーション】
オリンパスのプロモーションは、正確には『E GOES to WORLD プロジェクト』という。そのプレスリリース。

「E GOES to WORLDプロジェクト」は、オリンパスのデジタル一眼レフカメラシステム「オリンパス Eシステム」のキーメッセージである「GO FIND YOUR WONDERS(外へ出よう)」※のもと展開をする新たなプロモーションです。一人の女性が新製品のデジタル一眼レフカメラとともに「発見の旅」に出て、写真を撮ることを通じて、新しい喜びや感動を発見する、というテーマで展開します。キャラクターには、女優の宮﨑あおいさんを起用し、WEB (http://www.olympus-wonder.com)や、マスメディアの広告宣伝で、「発見の旅」に出る一人の女性を表現していきます。
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2007a/nr070316aoij.cfm

なるほど。だがここまでは「新製品を売り出し中の女優宮崎あおいさんに持たせて、写真を撮らせるのか」と思ってしまう。だがオリンパスという会社、伝統的にPRにはIRにも愚直で、好感度がある定評の会社である。だからこう続けている。

宮﨑あおいさんは写真愛好家としても知られ、カメラを持ってインドなど世界を旅した経験もある、とてもアクティブな女性です。まさに「GO FIND YOUR WONDERS(外へ出よう)」というメッセージや、「発見の旅」という「E GOES to WORLDプロジェクト」のテーマを伝えていくのにふさわしく、写真を撮ることで発見する喜びや感動をリアリティを持って表現できる人物であることから今回の起用となりました。

ますます興味を持ったわたしは調べてみた。すると彼女が実はNikon FM3Aシルバーの愛用者(レンズはAi Nikkor 45mm F2.8Pだということです)で、しかもインドやメキシコ、中国でも良い写真を撮っていること、紀行写真集ではチャリティもしていることを、このプロモーションをきっかけに知ることができた。

 Photo_48  by宮崎さんだろう。

 「わたしは旅に出ます。カメラを持って。」
 「この地球には見たこともない彩りが沢山あるから。」
 「過ぎゆく時間の中で、見過ごしている発見があるはずだから。」 

 オリンパスのウェブサイトより。

【大枚をはたいたNikonFM】
ニコンのサイトのインタビューより。
ニコン:今年)(2004年)カメラを買われたそうですね。
宮崎:はい。5月にDVDの撮影でメキシコに行くことになったときに、きれいに撮れるカメラで写真を残したいと思って思いきって買っちゃいました。出発の前日でしたね。
ニコン:前日に!?
宮崎:そうなんですよ。ずっとカメラは興味があったんですが、なかなか買うきっかけがなかったので、これを機にと思って。これまでは、旅行のときも押すだけで撮れるカメラを持って行っていたんですけど、自分でピントを合わせて撮るほうが断然おもしろいんですよ。だから、もっと早くやっていればよかったって思いますね。


  Catch_01   Photo_33ニコンで撮る。

前から写真を撮りたかったという彼女、DVDの撮影でメキシコロケをする際、自分でも写真が撮りたくてニコンを買った。このカメラ、露出もピントもマニュアルだし、デジタルではない35mmフィルム!)。そうして撮ったメキシコの写真。素晴らしい味わいだと思う。このとき宮崎さん、19才である。

  By   メキシコのウッチャンだとか。by宮崎さん。

ニコン:メキシコにいる間に写真を見ることができたんですか?
宮崎:メキシコでは毎日現像に出してプリントしていたんです。だから、毎日撮った写真を見て、反省してました。 たとえば、初日にボロボロになったワーゲンを見つけて撮ったんですけど、写真を見たら平凡で、あまりいい構図ではなかったんですよ。それを見て反省して、今度は違う目線で撮ってみようっていうのを課題にして、次の日からはしゃがんで撮ったりするようになりました。

わたしはカメラを撮るのは下手なので、それを隠すためにスケッチが好きとか言っている。スケッチはマニュアル、宮崎さんのカメラも今どきじゃないマニュアル。とても親近感を(勝手に)感じてしまった。ちなみに当時のNikonFM3A & Ai Nikkor 45mm F2.8Pだと20万円弱だっただろう。

  9  14 

尚、このインタビューの引用元は宮崎あおいさんのファンサイトからである。Nikonではオリンパスにキャラを取られた意趣返しか(失礼!)ニコンのサイトでは抹消されていました。しかしオリンパスのカメラはデジタルですから、どうやってマニュアル派の宮崎さんを陥落したのか?そこに興味がわきます。
http://miyazakiaoi.jugem.cc/?eid=151

【宮崎将・あおい兄妹 紀行写真集『たりないピース』】
「2025年の持続可能(サステイナブル)な地球」をテーマに掲げる2025プロジェクトとNGOシャプラニール=市民による海外協力の会との協働により出版されました。TVや映画で活躍する女優・宮崎あおいさんと、兄・将さんのインド 1週間の旅を、写真家・森本美絵さんが撮影。スラムの学校、フェアトレードの村、カースト制度、路上生活・・・・・・。

俳優宮崎将・あおい兄妹 紀行写真集『たりないピース』の説明文(PR文と言うとなぜかそぐわない感じなので)である。だが写真集にしては、とても安い(1500円ぐらい)。それはなぜか。

シャプラニールはインドまでの旅と、現地での滞在をコーディネート。宮崎あおいさん・将さんのご厚意により、 写真集の1冊当たりの印税のうち40円がシャプラニールへ、30円がインドで訪問したNGOに寄付されます。http://www.shaplaneer.org/tarinaipeace.htm

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この写真集は写真家の撮影であるけれども、わたしが思ったのは、宮崎さん兄妹は、世界を観る素敵なファインダーをお持ちだということ。

写真は撮るばかりが能ではない。俳優は撮られるばかりが能ではない。演じる場、演じる相手、監督やカメラ、そして観客を透徹するファインダーを持つからこそ、自分を客観視することができる。客観視することができれば、自分が演じるべき姿を観ることができる。自分が演じる姿を客席や舞台裏から観ることができれば、俳優として喝采を得ることができる。それこそが演じる才能であろう。だがそれは、他分野でもあらゆる顧客にアピールする共通の才能でもある。

【宮崎あおいさんのファインダーに期待!】
ニコンのインタビューより引用。
FM3Aのシルバーを買いました。この子の見た目にほれたんです。薄くて、ちょっと昔っぽい感じがしてかわいいんですよ! シャッターの音もこの子が一番よかったんです。この"カシャッ"っていう音がすると、"撮った"っていう感じがしますよね。ジーっとフィルムを捲いて、カシャッ! で、またジーっと捲いて……。

「この子」という表現は笑っちゃうが、宮崎さんがどんな写真をオリンパスのサイトにアップしてくれるのだろうか?このプロモーションでは『オリンパスの新製品「E-410」「E-510」で写真を撮る魅力をお伝えしていきます』ということだが、ぜひ宮崎さんに期待しよう。

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ネット時代で、写真は携帯カメラでお手軽になるばかり。そうしたトレンドに一石を投じ、宮崎さんには血の通った写真を旅を通じて送ってもらいたい。ますますファンになりました。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

2007年4月28日追加。
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2007年3月24日 (土)

ブロガー・コミュニティで私のつながりを自動生成

ブログを書き始めて早9ヶ月、ココログに引っ越してきて6ヶ月が経った。ブログを書いていてとても楽しい時間もあった一方で、スランプな時期もあった。どうもブログも人間から出ているのものなので、バイオリズムにに影響されているのだろう。

ブログ・スランプなときはどうすればいいのだろうか?たとえばネット上のブログ海から自分と似た人を探して、元気づけてもらうのもいいだろう。だがどうやって似た人を探せばいいのだろうか?何を持って似た書き手と言えるのだろうか?

タグクラウドマルテンテン、そしてマインドマップなど、最近ブログとブログを結びつける技術開発も増えてきた。今日は「ブロガー・コミュニティ」を自動的解析してマッチングをしてくれるDIONの技術を中心に。

【勝手にアドバイス Vol.142 ブロガー・コミュニティで私のつながりを自動生成】
KDDIのDIONラボで公開中のサイトが「ブログコミュニティ検索」である。この技術は、公開されているブログを総合的に分析し、類似するブロガーを自動的に検索する技術だという。

今回開発したブログコミュニティ検索技術は、ブログの記事内容をエンターテイメント度、芸術度、教育度、科学度、政治度、感情度などの14のカテゴリで分析して、その数値の分布が類似しているブログを書いている人を、似たブロガーであると自動的に判定するものです。これは、1 つのブログは基本的に1 人のブロガーに紐付いているため、言葉遣いなどに個人差が現れやすいことを利用しています。
http://www.kddilabs.jp/pr_pdf/20061025blog.pdf

Photo_31  

要は文章を解析して、似たキーワードのブログを探すのか・・・と思いきや、もっと複雑な技術があるそうだ。これまでの単純なキーワード検索では複雑な検索キーの入力が必要であり、困難であった「似た雰囲気で、似たような話題を扱っているブロガー」を簡単に探し出せるという。自分のブログを検索キーにして自分に似たブロガーを探し出すことで、新しいコミュニティ形成のきっかけとすることができる。

なるほど、自分とよく似たブロガーを探すことができるというわけだ。たとえば中心に自分のブログを置く。自分のブログのカテゴリアイコンがそれを取り囲み、自分に似たブログが結びついてゆく。類似度合いも「70%」のようにパーセンテージで表せるという。論より証拠、やってみよう。

【・・・と登録してみたものの・・・】
DIONのサイトからメールアドレスを登録し、申し込んでみるとすぐに登録案内が返信があったので簡単に手続き。そしてブログコミュニティ検索の画面からログオンをしてみる。

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あららおもしろい。じわじわとブログのコミュニティのつながりが、Javaの技術を使って動的に広がっていくのである。特定のブログを引っ張ったりずらしたりができるのだが、どうやらこれはブログを読み込んでいる時間を稼いでいるのではないだろうか。

 Kddi  広報資料から。

で、このマーケティング・ブレインのサイトを登録して、自分と似た人を探そうとしてみが、URLもRSSフィールドも登録ができない。よく見ると現β版ではDIONのLOVELOGしか対応していないとのこと

 ブログで公開しているRSSフィードを入力してください。
 LOVELOGサイトに対応しております。順次対応サイトを増やしていく予定です。

なぁんだ。自分と似た人、どんなブログが登場するか、楽しみだったのに。早期にココログも対応することを期待して待っていよう。

【気になることはいろいろある】
このタイプの技術がどこまで優れて人間の代わりをしてくれるのか、疑問はいろいろある。たとえば同じサッカー日本代表のことが書かれていても、反オシムと親オシムでは内容が180度違うだろう。それも読み取ってコミュニティかコミュニティでないか、判断ができるのだろうか?(今日2007年3月24日にも試合がある)オシムの試合後の会見での言葉、「肉でも魚でもなかった(よくないたとえで使う)」を「メイン料理(高原選手)はドイツからの空輸で美味しかった」、あるいは「メイン料理はやって来たが、コーナーからのセット料理で物足りなかった」と解釈するか・・・・まあ大同小異、同じ蛸壺の中の話と言えなくもないですね♪ 

コンテンツにしても、自分の気持ちを語っているのか、誰かのコメントを再録しているのかでも、まるで違ってくる。ブログに性格は表れるのは間違いないが、厳密さや正確性というより、あ!自分と似た感性の人がいた!という発見でいいのだろう。その意味ではおもしろいサービスになりそうだ。

【ちなみにわたしがブログを書きつつ思うのは】
わたしのマーケティング・ブレインに限らす、たいていのブログは4つのタイプに分かれる。下図を見てほしい。

   Blog_matrix

①象限Aコモディティと化した商品の紹介である。読み手は「そんなの知っているよ」「だからどうなの?」と流し読みされてしまう陳腐なもの。
②象限Bはブロガーの多くがここに属する「新商品の紹介」。ネットや新聞で紹介された商品・サービスに軽いコメントを付すブログ。ふ~ん、そんな商品出たんだ、という感想。
③象限Cコモディティ化したテーマの本質を書くもの。世の中の根底に流れる変化をとらまえる、エッセイに近いブログである。ここで素晴らしいことを書くのがプロである。3月18日付けだったか、川上弘美さん の日曜日の日経のエッセイはすごかった。テーマは「地産地消」という今やありふれたテーマだったが、展開はまさにプロの文章。
④象限Dは新商品の本質、その商品やサービスがなぜ出現したのか、その背景やねらいから、顧客価値の本質をえぐる!みたいなブログ。

ゆえに難易度はC>D>B>Aである。そのテーマで本質が描けるかどうか?が焦点。そもそもそのテーマに本質と呼べる何かが無い場合もあるのだが。できる限りCないしDを書くように心がけ、AないしBなら自分の趣味や好みを赤裸々に出す。一応、こんな原則を持っている。

【勝手にアドバイス】
ブロガー・コミュニティは今後ますます増加するだろう。世界はブログでもっと平らに、ボーダーレスになる。DIONラボのサービスがいつか多言語混じりでできたらすごいだろう

マーケティング・サイドからみれば、ブロガーの精緻なセグメンテーションが可能。ブロガーを文章からいくつかの行動/態度カテゴリー(例えばイノベータ、アーリーアダプター、ブリッジ、フォロワー・・・)に分類できれば、特定テーマ関連のブロガーをバーチャルに一同に集めて、あるテーマで討議をさせるリサーチ・イベントを開催することもできる。わざわざアンケート会員を抱える必要がないのだ。これはリサーチ業界の掟破壊モデルになりそうなのだ。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月23日 (金)

AXE モテる広告の誘惑

男性はフレグランスに何を期待するだろうか?これは恐らく年齢(層)によって異なるのではないだろうか。わたしのような年齢層なら(あえて年は書かないけど)加齢臭などが気になり始める頃合いかしら。30代なら身だしなみや体臭、20代なら・・・やっぱり「あれ」でしょう、あれ。女の子に嫌われたくない、できればモテたい。

まさにそのニーズに絞った訴求をする商品が、1983年にフランスで発売開始後、日本に上陸した。フレグランスのAXE(アックス)である。メインターゲットは10代ー20代の若い男性、訴求ポイントは「スプレーしてモテる」。今日はユニリーバの中核ブランドAXEがテーマ。

20070222_yuni3_1   ニッポン直撃!。

【勝手にアドバイス Vol.141 AXE モテる広告の誘惑】
ユニリーバ・ジャパン、男性用フレグランス「AXE」からボディスプレー5品を発売
「ユニリーバ」の日本法人、ユニリーバ・ジャパンは、“ラックス”、“ダヴ”に並ぶ1500億円規模の世界戦略ブランド“AXE(アックス)”を日本市場に投入する。

http://www.mylifenote.net/005/axe5.html

この引用元の報道では、「AXEは、発売した全地域で成功をおさめるリーディングブランド」としている。今や60カ国で発売中。日本でも男性用フレグランスの概念を根底から変えるべく投入された。2007年3月5日から発売された「アックス フレグランス ボディスプレー」のラインナップは次の通りである。

「クリック」・・・フレッシュでスパイシーなスパークリングシトラスの香り
「ディメンション」・・・躍動感のあるウッディグリーンシトラスの香り
「コンヴィクション」・・・洗練されたアロマティックウッディムスクの香り
「エッセンス」・・・甘くセクシーなパウダリーフローラルの香り
「キロ」・・・開放感のあるウォータリーグリーンシトラスの香り

 20070222_yuni  5つのフレグランス。

【コンセプトはずばり!付ければモテる】
「簡単に」「体全体に」「毎日」、フレグランスを使う新習慣を定着させることによって、新カテゴリーを急速に確立します!
ユニリーバのHPにはこううたわれている。http://www.axeeffect.jp/index.html

「AXE」の日本上陸記念イベントは3月5日の発売日に東京都内で行われた。お笑いのオリエンタルラジオが登壇して、上半身裸になった藤本慎吾さんに、中田敦彦さんがフレグランスを吹き付けた途端、ビキニ姿の美女60人がステージ上へ殺到するというプロモーションをした。

このプロモーション、AXE(英国ではLynx)の広告市場でもっとも大がかりでインプレッシブなCMをもじっている。砂浜で一人の男性がフレグランスを付けると、その男を目指してビキニの美女数千名(!)が海浜に殺到してくるというCMである。このCMは強烈。こちらのサイトにいくつかyoutubeの紹介があるので参照されたい。見入ってしまった。
http://blog.livedoor.jp/insighter/archives/50937580.html

ユニリーバ本社のサイトにもCMの紹介がある。
★Lynx - Getting dressed
http://www.unilever.com/ourbrands/advertising/advertisingarchive/Lynx_Getting_dressed.asp?W=320&H=286
これも最高傑作と言われたもので、スーパーですれ違った男女がフレグランス効果で・・・。フラッシュバックのつくりがとってもセクシーでユーモアあり。

★Lynx - Mermaids
http://www.unilever.com/ourbrands/advertising/advertisingarchive/Lynx_Mermaids.asp?W=320&H=286
若い男性がスプレーをしたばかりに、足にワイヤーが引っ張られ、そのワイヤーを引っ張るのは、ず~っと離れた場所にいる美女が力まかせに・・・。

【日本のサイトには美女のレッスン付き】
さて5つある中で自分には何がにあうのだろうか?近所のマツモトキヨシの店頭ではテスターが並んでいた。20代じゃないが、好奇心旺盛なわたしは、5つすべて手の甲に付けて試してみたが、しまいにはどれも同じに思えた(笑)。なぜだか、男にもくせになる匂いだと思った。

おもしろいのは、日本のAXEのサイトには美女が「あなたにはどれが似合うかしら?」という問いかけをして、5人並んだ美女のうち、どの美女をオトしたいか選んで、簡単な質問に答えると5つのウチからひとつを選んでくれる仕掛けである。思わず一人のもっとも知的な感じの女性を選んでしまった。わたしへのおすすめはコンヴィクションでした。

 Axe_new2_tcm5686321  
  5人の美女、わたしは真ん中の方を。

こんな広告キャンペーンはまだ序の口。コロンビアではAXEパトロールの美女が酒場に繰り出し、男性にスプレーしまくるというキャンペーンまで張ったという。かけられてみたい(笑)。

5つのフレグランスごとに、シンボルが異なるボトルデザイン。従来のフレグランス商品をくつがえす価格帯(600円)と、消費行動をくつがえすメッセージ、1ヶ月に1回購入しよう!というところも新しい。フタを取らないでスプレーできるデザインもデオドラント商品イメージを払拭するのに役立ってる。

【男性に抵抗がなくなったのか・・・】
ここ数年でメンズのおしゃれ雑誌が定着し、メンズエステも一般的になった。香りに関する抵抗も減ってきた。中高年層の香りへのニーズも顕在化してきたことも、日本上陸の追い風になったのだろう。

だが逆の見方をすれば、日本の女性が「日本人の男性にも香りがしてもいい」という心理的な抵抗が薄れてきたのではないだろうか?臭い男が嫌いという生理的な意識はこれまでもあったが、もっと積極的に香る男もいいかな・・・という人が増えてきたのではないか。それがユニリーバが各国市場へ上陸するかしないかの判断材料なのだろうか。

【勝手にアドバイス モテたいニーズを目ざます】
モテたいニーズは万国共通で普遍性あり・・・・と思うのだが、昨今の若い男性の自意識過剰感を見ていると、疑問も湧いてくる。ひとり生活、自分磨きに寄り過ぎていないだろうか。恋愛に巻き込まれて余計な心痛や出費をするくらないなら、恋愛に近づかないようにしようというオタク感情が見え隠れするのである。むしろ女性の方が積極的だし、自然体である。

フレグランス商品ひとつで恋愛観が変わるとも思えないが、20代の「コンビニ漂流世代」よ、コンビニで何も購入もせずに立ち読みばかりしてないで、モテるための行動に走ったらどうだろうか?

今日はフレグランス効果で説教になった(笑)。ではまた明日。

Click on tomorrow!

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2007年3月22日 (木)

コーノ ピッツァ 逆円錐形の誘惑

およそ世の中は、見慣れた形のもので成立している。ノートもスケッチブックも封筒もノートPCも四角形、コインは丸、自動車は4輪だし、バイクは2輪、だがセグウェイは形容しにくいけれど。タバコは棒状だし、パイプはパイプ状(としかこれも形容しにくいけれど)。

日常の食べ物はもっと既視感に依存している。食パンが四角なら海苔も四角形、フランスパンにはバケット、パリジャン、バタール、クーペなどいろいろあるが同じイメージができる。コッペパンもロールパンも丸くてほんわか。お好み焼きもピッツァもクレープもチヂミも丸くて薄い、はずであった

ところがイタリア発のこのピッツァは、見慣れない形をしている。アイスクリームかしら?と見まがう姿である。今日の勝手にアドバイスは「丸が逆円錐形になった」から商品開発の要諦のひとつをテーマに。

 Pizzatogo03 ひっくり返っている。

【勝手にアドバイス Vol.140 コーノ ピッツァ 逆円錐形の誘惑】
 ソフトクリーム形のピザとでも言うべきユニークな食べ物を提供する店が、世界各地に誕生している。手に持って食べやすいよう、ピザをコーン状に巻いたその形状は、まさにありそうでなかったものだ。
 ブームの“発信元”は、イタリアで誕生し、各国に展開しているピコーノ社の「コーノ ピッツァ」だ。06年9月、新宿に1カ月限定のトライアルショップを出店し日本上陸を果たした。その後も同10月にプランタン銀座、12月には名古屋ラシックに直営店をオープンさせている。

http://trendy.nikkei.co.jp/special/index.aspx?i=20070221t2000t2

 Ginza01  これは同社の店舗イメージ図。

なんと円錐形のピッツァなのである。わぁ~おもしろ~い!というのが第一印象だったので、食べたい・試食したいと思いつつ、すでに数週間が過ぎていた。ようやく今日(2007年3月22日)、新しモノ好きでにぎわうプランタン銀座に行ってみた。まずはその感想から。

 070322_1159001  わたしの食べたコーン。

【マルゲリータ・セットを注文しました】
プランタン銀座のB1は改装中で、あのデパ地下伝説で名をはせたカリスマ企画マンのいたB1は、現在は多くの店が休業中。その中で細々といくつかの店が営業中で、コーノピッツァはへばりつくように壁際で営業中である。工事であぶりだされたドル箱の甘いモノ店は、1Fにも出張っておりました。それってホテイチならぬ「デパイチ」ですね。ファサードからエントランスへ、ボルボのオープンカーを眺めて店舗に入ると、そこはスィートがあった(笑)。これって新しい店頭構成で、わたしにはかなり新鮮でした。

それはともかく。最も売れ筋で標準メニューのマルゲリータを注文。ドリンクセットで650円。ま、そんな価格がちょうど頃合いでしょう。待つこと3~4分ぐらい。「X番の方~」と呼ばれて取りにゆくと、あれ、これってソフトクリームのスタンドじゃない?てな感じのピッツァができあがりました。

味はどうか。台のしっかり焼いたピッツァという感じで、香ばしくもあり、具もたっぷりだし、チーズも糸ひく。美味しかった。ただちょっと気になったのは、食べ方がファストフード感覚になること。平たい普通のピッツァと比べれば、チーズを包み込む形状から、具やチーズが冷めるのが遅いと思われる。だが逆に形状から、早く食べないとダメかしら、みたいな気持ちになること。店側には良いし、むしろ歩きながらも食べれるぐらいのノリなのだろうか。

関心したのは底から漏れないこと。結構厚いのだろうか? アイスクリームの堅いコーンを食べるような食感でとても新鮮であった。

【コーン型のメリットとは】
マルゲリータは5割以上の注文を占める定番らしいが(モノ珍しいのでファーストオーダーが多いのだろう)、注文のあり方・バリエーションはクレープと思えばいいだろう。

ポイントは、コーン型にすることで焼き上がり時間を3分にできたことである。一般のピザで同じような食感を得ようとするとそれ以上掛かるだろうし、なにより沢山の数をいっぺんに焼けない。コーン型なら詰めてオープンで回す、チンでできあがりなので、ピッツァ職人が不要になる。ここらがビジネスの根幹だろう

【競合は多し】
同じイタリアの「ピザハンズ」も、コーン型ピザの専門店である。大阪梅田、渋谷ハチ公口店、ロフト名古屋店に現在出店中である。株式会社 アイ.ディー.アイ 企画という会社がコーン型ピザの販売を始めている。

02264h

コーン型のそもそもの発案者は、米国のフードデザイナーのニール・アダールさんということだ。コーノピッツァに先を越されたと言われる彼は、クリスピーコーンズという店舗名で、米国LAで開業中。ここではさまざまなコーンとトッピングをカスタマイズできる。コーンではオリジナル以外に、全麦・ガーリック・オニオン・セサミなどトッピングは27種あるという。オニオン嫌いも大丈夫。

 20070221t2a2l000_21 1170157428_offer_dscn4531_1 選べる具。

【勝手にアドバイス 商品開発では形の記憶を捨て去れ!】
このピッツァから学べることは「新商品開発では、既視感のある形を捨て去れ」である。そうは言ってもなかなか形を変える発想ができないので、まず準備体操的に、ピッツァ以外の食べ物を円錐形にできるかから始めよう。

①すぐに思いつくのはお好み焼き
だがこの形にして美味しいかどうか、さらにお尻から具が漏れないかはわからない。ほんわり・じんわり焼くお好み焼きにはこの形が似合いそうもない。

②おにぎりが案外応用できそう
手巻き寿司のような感覚で、円錐おにぎりをつくる。真ん中に穴をあけて「トッピングは何にしましょ?」「そうね、ウニとたらこ」「岩のりとわさび」なんて案外新鮮ではないだろうか。円錐おにぎりをオーブンで焼いて、焼きおにぎりにすると、食べやすいし香ばしいし、何よりおもしろそう。

③パンでもおもしろそう。
円錐で真ん中空きのパンが焼けるなら、中に具をたんと詰めて、サンドウィッチより食べやすい。

④家庭でこそコーンピッツァが普及しそう
普通のオーブンでも台があれば焼けそうなので、生地だけ販売して、チーズとトッピングはお好きなものを!とすれば、ホームパーティで活躍するメニューにならないだろうか。

今日は以上です。が、プランタン銀座に立ち寄る前に、有楽町の同店はす向かいで、都知事選に立候補した黒川紀章氏がインタビューを受けていた。トッピングさえ見えないが(失礼)写真をば。

 070322_1150002  隠れた有力候補ですが、がんばってください。

ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月21日 (水)

Secondlife、セックス産業とパロディと。

いよいよ登場するか!バーチャルライフのウェブサイト「セカンドライフ日本語版」。だが日本語はまだ公開されない。それで英語版にフックすると、現在は486万人の住人がいるという。過去60日に167万人がログインし、常時ログインはだいたい2万人。よ~しわたしもその内のひとりになろう!ということで登録した。

日本人が現在何人登録しているか知らないが、登録ユーザーは米国人が50%、ヨーロッパ人が28%、アジア人11%、ラテンアメリカ人6%、その他5%だからまだまだ少数だろう。平均年齢は32歳、女性率は43%という。わたしが気になるのは、結局アメリカでSecondlifeが流行っているのは「セックス産業」という話があったからだ。

今日はSecondlifeが、日本で一般に言われているバーチャル世界のイメージとはちょっと違うという事情を中心に、バーチャル世界のマーケティングを考えたい。

【勝手にアドバイス Vol.139 Secondlife、セックス産業とパロディと】
Secondlifeへの登録は簡単。料金Freeのベイシックと入会金9.95ドルのみの追加ベイシック。ここまではサイト内に土地も店も所有できないから、日本で言われているSecondlife内でビジネスをとはゆかない。まずは参加してみることに価値があるので、まずはFreeでいいだろう。

Firstネームを決めて入力し、Lastネームは選択肢から選ぶ。メールアドレスなど個人情報を入力し、アバターを選ぶ。このアバターは言ってみれば裸の状態で、Secondlife内でショッピングをすることで、服や装身具、靴、帽子や時には楽器や乗り物などを購入して、仮想自分づくりをすることになる

ただしソフトウェアのダウンロードは30メガ必要である。アバターを飛んだり跳ねたりさせるためには仕方の無い大きさなのか。ちょっとDLに時間をかけて、クレジットカードないしPaypal登録をしてからスタート。

  Photo_30  これは米国の本家。

【歩く、跳ねる、飛ぶ、走る、話す、叫ぶ】
アバターはマウスで自在に動く。ぐぃっと飛んでゆくのであるが、慣れないと躓いたりよろけたりする(笑)。右に左にうまく曲がれないで壁にぶつかる。乗り物に乗っても歩道に乗り上げ塀にぶつかる。セグウェイを見掛けたが有料だろうか?女の子を見つけてジャンプして近づくと嫌われて去られた(笑)。飛んでみると海の上で、降りたら溺れるし・・・ああ。

方向音痴に行き当たりばったり、乗り物運転が下手くそ、女の子好き・・・わたしのリアルの性(さが)がバーチャル世界でも出てしまう(笑)。

あなたがどこかの見知らぬ街に出張で一人泊まったとしよう。到着日の午後の活動を終え、明日にはプレゼンを控えているとして、あなたは何をするだろう?わたしならまず街を歩いてみる。繁華街だけでなく、さびれた場所も歩いてみる。何でも見てみようというのが基本姿勢である。でもお金を払って女の子を横に座らせてというのは正直なところ嫌い。商売でしょ・・・という気持ちがあって楽しめない。となると、夜の街に繰り出すという行動にはならないのである。

Secondlifeでもまた同じである夜の街のお遊びが嫌いなら、あまり行き場がないのである

【セックス産業多し】
アバターの動きの場を変更するには、(サイト内で)物理的に飛行してもダメ。街や店やサービスを検索/選択して、そこまでワープするのである。フリーキーワードやプルダウンメニューが用意されているが、どんな言葉を入力してもだいたいSexがらみのショップに突き当たる。それはプルダウンメニューでも同じである。正確なところはよくわからないが、大半とは言わないが、過半ぐらいが性がらみではないだろうか。異性、同性なんでもござれなのである。

Secondlifeに限らず、あらゆる出会い系のウェブサイトには「それ」で成立している面があるので、「しょせんSecondlifeもそれだろう」と囁かれていた。やはり、という感がある。

Secondlifeをバーチャル・ビジネスの新しい試みとして普及すると、地球規模のボーダーレス社会が出現して、おもしろいことになりそうだ!と思ったわたしが甘いのだろうか。リアルの出会いを支援するなら良いと思が、ネット上のバーチャルな性産業とは、そのコンテンツ自体にもとても受け入れがたい内容(デジタルの大人のオモチャとか笑)がある。

【アバター・ギャップ】
わたしが感じたギャップをデジタルハリウッド大学院大学の三淵啓自教授はこう語る。

ゲーマー心理の初期段階は、その分身は「キャラクター」であり「アバター」ではない。「キャラクター」の段階では、自分を良く見せたいという自己主張は強くない。
 しかし、コミュニティが形成され、分身への感情移入から(代理)自我が芽生え始めると、容姿やアイテムなどで強く自己を主張するようになる、というのだ。そうなって初めて「アバター」になる。日本のユーザーの多くはいまだ「キャラクター」段階であり、日本でSecond Lifeが大きな市場になるのは、この図でいう「アバター」に成長したユーザーが増える必要がある。

出典 http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/column/narumono16/01.html

 Secondlife_01 

つまり日本のユーザーはまだキャラクター意識が強く、アバター=分身意識が未成熟だというのだ。この図は参考にはなる。だが自己主張や創作が何に対して未成熟かというのが問題である。アバターが成熟してSecondlifeが流行るのはいいが、それが米国でと同じように、セカンド・セックスライフへの成熟なら、多方面に期待されるバーチャル・ビジネスの可能性を損なうことにならないだろうか?

【パロディサイト】
やはりリンデン社はSecondlifeの市場規模のうち、セックス関連産業の市場規模を明らかにすべきだろう。それはそれとしてSecondlifeのこのパロディはおもしろい。

 Get_a_first_life  パロディです。

GetAFirstLife.comはいわば公認パロディで、Darren Barefoot氏というパロディサイト。リンデン社も「結構な出来だ」と褒めたという。GetAFirstLife.comでの人口は65億人となっており(つまり全世界の人口)、新規加入者(つまり出生者)は36万人となっている。世界中では毎日36万人がリアルに生まれているのだ。ふ~ん。

ふたつのTopサイトで、同じ箇所を3つ比べてみよう。

リンデンサイト Join Now, membership is free(いますぐ参加しよう。メンバーシップは無料
GetAFirstLife.com
 Go outside, membership is free(いますぐ外にでよう。メンバーシップは無料

リンデンサイト View interactive map (仮想マップを見てみよう!
GetAFirstLife.com
 find out where you actually live (実生活で自分をみつけよう!

リンデンサイト Under 18?(ここでSecondlifeは性サイトが多いことを認めている
GetAFirstLife.com fornicate using your actual genials (自分の性器をつかって密会しよう(リンデンサイトにあるデジタルの大人のオモチャをもじっている_笑
参考 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341393,00.htm

 Getafirstlife_japanese 日本語版もある(笑)

【勝手にアドバイス】
性産業がこの世からなくなることはないが、性産業とレッテルを貼られたビジネスは、表の世界で挑戦はむつかしいだろう。表から裏へはあったとしても、裏から表はない。日本版セカンドライフを繁栄させるには、このことに留意したい。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月20日 (火)

HMV お前もか・・・メガストアのマイオピア

2007年3月15日、ロンドンのHMV本社のサイモン・フォックス社長が、HMVの日本店舗事業(現在約60店舗)を撤退する可能性があると発表した。理由はネット販売や量販店との競合が激化しシェアが伸びないこと(日本では約8%としている)、その結果として事業から利益が出ないことがあげられている。

もちろんそれもわからないではないが、タワーレコードが破産し(日本ではドコモグループの出資で事業継続)、いつのまにかヴァージン・レコードも見えなくなっている。あとは民族系(この表現が適切かわからない)のWAVE新星堂などのチェーン店が生き残るだけで、量販店に取って変わられてしまうのだろうか?

どうもHMVの売却話は、どこか日本のお金持ち企業(たとえば携帯大手のauやソフトバンクでしょう)に買い取ってもらいたいからアドバルーンを上げたという感もあるが、たしかに統計を見てもCDセールスは減少している。今日は音楽メガストアの生き残る道を、HMVのマーケティングから考えてみたい。

 Welcome

【勝手にアドバイス Vol.138 HMV お前もか・・・メガストアのマイオピア】
まずHMV撤退報道を見てみよう。
英HMVの10月中間、最終赤字・音楽ソフト専門店苦戦
【ロンドン=野沢正憲】英音楽・書籍専門店大手のHMVは11日、2006年10月中間期の最終損益が、2600万ポンド(約61億円)の赤字になったと発表した。前年同期は10万ポンドの黒字。音楽ソフト専門店は、スーパーやインターネットとの競争で、経営環境の悪化が目立つ。

出所 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070112AT2M1103J12012007.html

前年同期が若干の黒字であったが、今期は上半期で赤字がきついというわけで、それも連結決算で、日本を含む六カ国で展開する海外事業の赤字、日本市場での赤字が効いているという。
ちなみに単独決算では売上高も利益も上昇させている。店頭セールスからネット販売への移行と、音楽以外の事業(書籍等)が伸びているようである。

年度           2005     2004   2003    2002    2001 
売上高(千ポンド)   1,885.6  1,793.5  1,707.7  1,654.5  1,542.7
純利益(千ポンド)   96.4   82.2  47    30.7   -30.2
出典 http://uk.finance.yahoo.com/q/pr?s=HMV.L

HMVは1990年に日本に進出。現在、約60店を展開している。フォックス社長によると、日本でのシェアは8%で3位。利益は出ているものの「競争が激しいため、事業内容を再検討している」という。HMVはカナダや香港、シンガポールでは、それぞれ最大のシェアを持っており、海外では日本の伸び悩みが目立つ。
出所 http://www.narinari.com/Nd/2007037204.html

【日本の音楽CD販売状況】
日本における12cmCD、われわれがもっともよく買うサイズのCDだが、社団法人日本レコード協会の数値をみるとごらんの通り、年々落ちている1998年に3億2百万枚の売上をピークに、2006年は2億2220万枚と3割以上もダウン。その内訳をよくみると、洋楽は実はしっかり横ばいで、邦楽のダウンが効いているのであ(2億1000万枚から1億4200万枚へ)。

 Album_q_graph01

数量が落ちれば売上高も当然落ちており、同協会の数値では1998年はCDアルバムセールスは4,924億円であったのが、2,936億円に過ぎない。これはアルバムだけの数値で、しかも出荷ベースと思われるので、この50%増し程度が市場流通での市場規模であろう。それでもコンビニやドラッグストアの市場規模にくらべて、小さいこと小さいこと・・・。しかも退潮市場に見えるのだが。
出典 http://www.riaj.com/data/aud_vd/2006.html

【音楽のダウンロード販売は?】
国際レコード産業連盟によると、2006年の上半期のみの傾向値だが、音楽全体では106%増。CDと音楽DVDは伸び悩み10%以上の減少、販売額では84億ドルの出荷ベースの市場規模。そのうちダウンロード販売は約9.5億ドル、全体の11%がダウンロード販売である。

デジタル販売額9.5億ドルのシェア状況は、アメリカが18%、イタリア9%、韓国はなんと!51%、日本は11%ということだ。CDや音楽DVDの不振は、むしろアメリカやフランスであり、日本自体ではダウンロード+CD販売では12%ほど増加している。
出典 http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=10300

つまり、ここまで見てみると、世界規模では必ずしも音楽販売は低調ではないし、HMV単体や日本をのぞく市場では堅調ないし好調である。ということは何らかのジャパン・プロブレムであろうか?

【陽は昇り、陽は落ちる】
HMVは日本では遅ればせながら、2006年10月よりHMVデジタル販売(ダウンロード)を開始した。

HMVジャパンは9月27日、ダウンロードサービス「HMV DIGITAL」を10月末より開始すると発表した。サイトはHMVジャパンのオンラインショッピングサイト内にオープンし、ユーザーはひとつのサイト内で好きなフォーマットで音楽を楽しむことが可能となる。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20250767,00.htm

この事業は英国では順調であり、日本でもHMV(His Master's Voiceの略)の知名度やサイトPVが多いのでそこそこの売上がある出つつあるはずだ。

これはわたしの想像だが、20代~30代世代に国粋主義(=邦楽好み)が強まる一方で、少子なので邦楽は縮小する、すなわち市場縮小である。このダウントレンドがきつくなると読んだのだろう。いくらダウンロード販売が伸びるといっても、邦楽だけの小さな市場であり、日本の少子高齢化が鮮明になればなるほど、市場として衰退期に入る。これが嫌でも事実なのである。

【CDショップではもはや生き残れない】
マーケティング・マイオピア(近視)というのは、マーケティング大家のセオドア・レビット教授の言である。ホテルは部屋貸しではなく「休息という体験を売る」。映画はフィルム視聴を売るのではなく「仮想の体験を売る」のである。

HMVのケースでの近視眼は「CDを売ろうとしていないか?」である。レビットなら「音楽という体験をなぜ売ろうとしない」が答えだろう。ヴァージンにしろタワーレコーズにせよ、音楽をCDやカセットで売ろうとして、市場変化・技術変化・消費者のニーズと意識変化に置いてけぼりにされて倒産したのである。言い換えれば、50年前から変わらずに盤を売っているから倒産するのである。

音楽ショップが売るべき商品は「音楽を通じたさまざまな体験」であり、「音楽体験ショップ」であるべきなのである。

 Ecc  HMVの通販CD倉庫。

【勝手にアドバイス】
①音楽体験ショップが売るべき商品を列挙してみよう。
「アーチストグッズ販売」・・・コンサート収入の3割にも達することがあり馬鹿にできない。
「コンサート企画」・・・コア・ファンを開拓するために旅行・ふれあいのファン限定の企画を。
「ミニコンサート」・・・HMV新宿などでやっているが、もっと強化したい。
「スタジオレンタル」・・・スタジオをつくりアマ音楽家や愛好家にレンタル
「こだわり音響製品」・・・Appleストアをインショップになぜしないのだろうか?

②ライナーノーツのみの販売
音楽はダウンロードでもライナーノーツは印刷が欲しいという需要に応えて、ライナーのみ販売をする。レコード会社とタイアップして、ダウンロード・ストアと連動して、オリジナル限定のライナーなど発売すれば、かなり売れると思う。

③音楽と融合可能な業態との複合。 
 →frac frac、アフタヌーンティのようなライフスタイルショップとCD量販店の融合
 →J-WAVE、FM東京などの音楽放送局と一体になった量販店
 →ビレッジバンガードのようなワイ雑なストアと融合して、巨大音楽迷路の店舗づくり

 Pict_01  わたしはヴィレバンの猥雑さが好き。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月19日 (月)

人間くさいプロジェクト その後

今日は隔週で書いている「ぷろこんエッセイ」からの転載です。「人間臭い
プロジェクト」の方々に久しぶりにお会いしてきました。隔週のメルマガだけ
お読みいただけるかたは、リンク先のまぐまぐからお申し込みをお願いいた
します。

         +++++++++++++++++

人間くさいプロジェクト その後

卒業後、数年たって母校を訪れたときのあの感じに似ているだろうか。

在校時にはもっと大きく感じられた教室、教室の窓からの四角い風景、気に
障る斜め後ろのヤツの机、気になる隣の子の机、黒板の記憶、何度か
足を踏み入れた校長室、グラウンド、そして体育館裏の生々しい思い出・・・。

少子高齢化が進んで廃校になる学校が増えているが(わたしが通学した
小学校も中学校もすでに統廃合されて存在しない)、何か用事があって
日曜日に誰もいない学校に踏み入れたとしたら、がらんとした廊下で
さまざまな思い出がいっそう凝縮されて、通学体験が宙ぶらりんに置いて
けぼりにされた感じがするだろう。

一方、今でも元気に子どもが駆け回っていて、空き教室もなく先生も生徒も
出入りして、校庭では体育や運動部の練習が行われて、音楽室からは
ピアノの音色が響き・・・といった活気のある学校に訪れたとしたら、思い出
もセピア色ではなく、動画でよみがえってくるだろう。

仕事上の「わたしの母校」とも言える企業に、先々週再訪したわたしは、幸い
にも廃校を訪れたときの「あのときはよかったなあ」という気持ちではなく、
まだまだ現役の元気な学校に訪れたような気持ちになった。セピア色では
なく生き生きとした動画があった。

母なるプロジェクトとでも呼べる経験を得た顧客企業である。いろいろな
経緯があって、現在は仕事を頂いていないが、久しぶりに訪れて経営者
の方とお話をさせて頂いた。元気になっている姿を見ると、コンサルティ
ングという仕事をしていてよかったとしみじみ思った。

   School

         +++++++++++++++++

ずっとエッセイをお読みいただいている方なら、思い出していただけるかも
知れない、1年数ヶ月前に書いた「人間くさいプロジェクト」という企業がある。
その企業である。

この企業でのプロジェクトは、まれにしかない、人間臭いプロジェクトだった。
以前に「人間臭さが化学反応する」と書いたが、そう書くと何か鼻をつまみ
たくなるような感じがするが(笑)、決して鼻ではなくて、その企業に勤める
人々の立場になって考えると、何度となく身につまされてしまった。

不採算事業をどう処理すべきか、その経営責任をどう処理すべきか、経営
の舵をどう切るべきか、プロジェクトに参加するすべての人が、その一点から
人間性を試されるプロジェクトだった。

  すべてのプロジェクトが人間臭いわけではない。企業を良く
  する目標を、お客さん側のメンバーとコンサルタント側の
  メンバーが深いレベルで共有し、そこに向かって突き進む
  力が重なりあった時にしか、臭みの化学反応は起こらない。

そのエッセイはこんな書き出しだった。お読みいただける方はこちらからお願いしたい。
http://www2.gol.com/users/gowild/proconessay/92%20projects%20in%20chemistry.htm

         +++++++++++++++++

その企業の業績は回復しつつある。問題になった不採算事業は処理に向かって
おり、それも奏功して営業利益ベースでも黒字化が定着しつつある。経営側の
変化を感じて、一人ひとりの現場の社員のやる気がアップしたことが、売上・利益
向上の原因なのだろう。

何より嬉しかったのはその好業績を反映して、決算賞与が出たことである。それも
社員一人ひとりのみならず、パート雇用契約社員にまでくまなく出たことである。
末端の方には些少な額になったということだが、額の多少はともかく、一人ひとり
に至るまで決算賞与が支給されたということに、経営のあり方が変わったという
実感が湧いた。

もうひとつ、コンサルティング冥利に尽きることは、プロジェクトにご参画いただい
たメンバーの方々が、適材適所での配属(多くは昇進である)がなされていた
ことである。若手の経理に強い方は、経営観点の視点を持てそうな柔軟な
思考をしていたので、経営企画というような部署に配属されていた(以前は経理
部門だった)。

ある分野でのプロフェッショナルのメンバーのウンチク話も忘れられないが、彼は
企業の中核的な事業部の副本部長になり、今年からはその専門分野の知見
を活かして、新規開発事業に入るはずである。

そして「人間くさいプロジェクト」で書いた、経営会議の場で「このままでは・・・会社
は・・・」と言葉を詰まらせた営業チームリーダーは、今はその中核事業部の
責任者である。彼は体を傾けて歩くくせがあるが、その傾いた姿にも関わらず、
事業部はまっすぐになりつつあるそうだ。彼が責任者ならもっと良くなるだろう。
いずれ社長になってもらいたいと思っている。

         +++++++++++++++++

このプロジェクトにわたしはなぜ「母」を感じるのか。どうやらそれは3つある。

まずコンサルタントとしての立ち位置を考えさせられたこと。

プロジェクトではキックオフという表現で、始めにメンバーを一同に会して、実施
する目的とゴールの共有、現状の課題に関する共通理解の促進、活動事項
の確認などをする。こうした形式的なこと以外に、ほんとうにキックオフで試され
るのは、われわれ外部コンサルタントの人間性である。

このプロジェクトのテーマは深刻だったので、まさに人間性が試されていた。だ
から「わたしたちはいずれの関係者からも独立性を保って、経営が良くなるよう
な立場からプロジェクトを遂行する」と、キックオフで宣言したことは重要だった。
内部・外部の誰か特定のステークホルダーの意向を反映するプロジェクトでは
なく、ありたい姿をメンバーで産みだすためと言い切った。

だがそういう啖呵を切ったゆえに、悩みが尽きなかった。絶えず自分の立ち位置
を確認しながら、発言し、進まねばならなかった。誰かのバイアスがかかって
いないか、改善よりも犯人捜しになっていないか、改善が現場の目線から「これ
ならできそうだ」と思わせることができているか。プロジェクトの間中、そんなこと
をあれこれ考えていた。そんな悩みを打ち明ける相棒もいたのが「母PJ」と思
える第二の理由である。

第三には、来る日も来る日も意志決定との格闘であったことである。プロジェクト
メンバーがほんとうにすべきことは何なのか、現場でこれほど毎日考えさせ
られたことはなかった。

意志決定というものは書類にあるものではなく、人間に関わることである。プロ
ジェクトのアウトプットをつくる一方で、体育館の裏に誰かを呼び付けて諭し、
あるいは懇願したり、手紙を送ったりなど、決断し動いていただくために、みんな
が動いた。

コンサルティングとは報告書を書いて「はいポン、終わり」ではないというのは
正しい。だが産みだすために現場で何をするのか、何ができるのか、実際にそう
した立場に立たないと、その産みの苦しさというものはわからないと思う。それ
を教えてくれたのが、この母なるプロジェクトであった。

  Photo_29

          +++++++++++++++++

コンサルタントの仕事では、成果物という言葉が、安易に使われすぎると思う。成果
とはそもそも顧客企業の成果である。顧客の事業上の売上であり、数量のアップ
であり、商品回転率や生産効率の向上、そして原価低減であり、何よりも顧客企業
のお客様の満足である。成果物という言葉は自分(コンサル)中心主義過ぎるので
はないか。

産みの苦しみ、つまり活動を改善するコンセプトを一緒に作りあげる、構造改革へ
の第一歩を踏み出せる地点まで共に歩む。それがほんとうのことだと思う。母校とも
母港とも書ける企業にお邪魔して、仕事の原点を考えさせられた。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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~Marketing brain blogの構成は3つ、ほぼ毎日更新中~
【勝手にアドバイス】 気になる商品・サービス・店舗の「勝手なアドバイス」。
【勝手にアドバイス:旬ネタ】 勝手にアドバイスを、旬のネタを連続テーマで。
【メルマガ:ぷろこんエッセイの転載】 「コンサルタントの本音エッセイ」
※特定商品の宣伝・広告・論評・推奨が目的ではありません。
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2007年3月18日 (日)

絵ブログ DE 夢日記

前にも書いたこともあるが『スケッチは3分』という本(山田雅夫著 光文社新書)がじんわりと売れるということは、結構スケッチ好きの人が世の中には多いということである。わたしもそのひとりである。

そんなことを思っていたところ、女優の奥山佳恵 さんがイラスト付きのエッセイ『眠れぬ森の育児』を出していたり、絵日記ブログを始めていることを知りました。彼女のブログ『てきとう絵日記』はもっぱらペンタブレットで入力しているという。とにかく赤が好きという奥山さん(わたしも同じ)、絵は鮮やかで上手です。

日曜日の今日もわたしは働いたが、ブログでは一息入れさせてもらって、テーマは絵ブログ。

【勝手にアドバイス Vol.137 絵ブログ DE 夢日記】
笑顔が素敵な奥山さんの『てきとう絵日記』から、決して適当ではない楽しい絵ブログを二つ。

01_9

いまさら。
モーレツに眠たい、奥山佳恵です。(/TДT)/
4時になんて、起きるんじゃなかったーーー!!結局DSやってただけだしーーー!!! 泣

女優のDS比率は結構高いという話をどこかで聞いたことがある。ストレス発散にはデジタルグッズがよいのかしら。そしてもうひとつ。

   02_5

今日も元気に。おはよーございます!!(・∀・)/

元気になりそうなブログです。このブログ、アメブロなんですが高頻度で更新されています。わたしは以前、アメブロでマーケティング・ブレインを書いていたが、いつしかココログに引っ越してきた。奥山さんの楽しいブログがあるならアメーバもいいなと思ってしまう。
http://ameblo.jp/okuyama-yoshie/

【さてペンタブレット】
奥山さんがイラストを書いているのはペンタブレットで入力。奥山さんがお使いのペンタブレットは、ワコムのコードレス(電池使用)のこの製品か類似のものだろう。

   43699410

(商品説明) コードレス&電池レスを実現する、ワコムだけの電磁誘導方式。本物のペン感覚で操作できるオリジナルペンです。ペンにも筆にもなる512レベルの筆圧機能付きで、ひっくりかえせば消しゴムになります。また、2つのサイドスイッチをマウスのダブルクリックやショートカットキーなどに設定可能です。
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/i/cat_38974453_8785564_203_41450385/42904207.html

このタイプだと、入力エリアがA5で、全体は278mm×264mmなのでノートブックサイズの薄いパソコンもうひとつというサイズ。重さは860gなので、奥山さんのように出張でもノートPCと共に何とか持ち歩きをしよう!と思うぎりぎりだろう。価格は2万円ぐらい。

使ったことがないので使用感まで勝手に書けないが、将来はイラストレーターになりたいと思っていたくらい絵がうまい奥山さん曰わく、最初は30分ぐらいかけて描いていたそうだが、慣れれば3分でちゃちゃっと描いてしまうという。ブログを描き始めての変化は、「ブログを始めてからは日常を丁寧に生きるようになったように感じます。 書くためにその日の「ラッキー」を探す。面白いことを数えていると、何でもない日常がさらに楽しく思えるんですよね」と語っている。しかも絵ブログは個性的ですばらしい。http://www.nikkei.co.jp/netnavi/chotto/cho070220.html

入力エリアがもっと小さいA6サイズもあり、それだと4000円ぐらいからあるが、プロ向けは20~30万円となって、絵描きになるにも写真家並の投資がいる。だが2万円ぐらいならわたしも欲しくなってきた。

【光学マウスでもこのくらいなら・・・】
普通の光学マウス(わたしのマリメッコ・マウス)でも、結構頑張れば描ける。これは「ArtRage2」というお絵かきソフト(限定機能の無償バージョン)でわたしの愛用の携帯電話、infobar ichimatsuを描いてみた。

Infobar  お恥ずかしながら by 郷。

いかがなものでしょう書き映えは。所要時間ざっと20分。ペイント系のソフトのなかでも、ユーザインタフェースが優れていて、機能はシンプルですが、使い勝手はかなり良い。ダウンロードしてすぐに覚えられた。購入しても20ドルだから、ペイントショッププロなどに比べてお得であるし、ワコム製品とコラボしているので、タブレットとセットで買ってもいいだろう。このソフトを開発した会社はニュージーランド、オークランドにあるが・・・・何と!社員に猫もいる!

Tychothumb5  Tychothumb4 Tychothumb2

Tychoという名前で、猫宛のファンメールも来るという(笑)。わたしの密かな夢は、独立して自分でオフィスを持ち、そこで猫を飼うということ(笑)。猫と戯れながらのんびりしっかりやるオフィスを作りたい。ところがこのニュージーの会社には先を越されていた。とっても親近感を持ちました。同僚のCherryさんもYUKAさんも、「オフィスに猫」は同感だったが、Cherryさん、YUKAさん、この会社のHPの猫社員、どう思いますか?ご感想をよろしく!
http://www.ambientdesign.com/who-tycho.html

【おまけです。】
マルマンのA6のスケッチ手帳にちょちょっと今日行った先の建物を書いてみました。所要時間20分。スケッチが趣味と言いつつ下手なのでお恥ずかしいが、日記なので長時間をかけるのも仕方ない。鉛筆画で低レベルの画素のデジカメですみません。こりゃペンタブレットを買わなくちゃ。

070318_1952001  ちょこスケ。結構むつかしい構図だった。なぜか川越。

猫オフィスを夢みて、たまには絵ブログもやってみましょう!鉛筆画をアップするのきついので、タブレット付きのノートPCを買うか。。。。

Cho070216   1166529509776  4072558001_01__aa240_sclzzzzzzz_v4414056 笑顔と本。

おくやま・よしえさん
1974年生まれ。92年に映画でデビュー。ドラマやバラエティー番組などで幅広く活躍。TBS系の昼ドラマ「キッパリ!」に出演中

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月17日 (土)

賃貸スペースの鍵、貸します。

ひとつプロジェクトが終了した(まだ問い合わせは来るかもしれないので、油断はできないが)。そのプロジェクトで一緒にやったUさん、お疲れさま。彼は独身&ひとり住まい。それだけだと珍しくもない組み合わせだが、住む場所が珍しいのである。なんと!九段下という皇居や武道館にもほど近い至便の場所に住んでいる。それで油断するためか、朝の出勤はたっぷりと・・・いつも遅い(笑)。

Uさんの家をチラ見したことがある、或る人曰わく、「近いけれど狭い」。Uさん自身も「狭いのでモノを少なくしている」そうである。そういう人たちのために、トランクルームという荷物預かりスペースもあるが、近所になかったり高かったりで、必ずしも多くの人が利用していない。

そんな都会派のUさんのために、今日は二つのスペース貸しますビジネスを紹介してあげよう。何かって?自宅のスペースを個人間で貸し借りできるマッチングサービスである。「Store At My House」と「LiveSimply.co.uk」。片方は米国、もう片方は英国。どっちも日本のではなくて悪いね。でもきっとすぐに似たサービスが国内でもできるから。

【勝手にアドバイス Vol.136 賃貸スペースの鍵、貸します。 】
まず米国のサービス。Store At My Houseというサイトのサービスは非常に単純だ。部屋やフロア、駐車スペースを貸したい個人と、借りたい個人の橋渡しをするのである。まずどんなスペースが登録されているのか、のぞいてみたい。

  13_logo_1   

「I need space」をクリックすると、いくつかリスティングが出てくる。全米の登録があるが、恐らくニューヨークやシアトル、サンフランシスコなど、スペースが狭い大都会中心だろう。

これはジョージア州
TITLE: basement(地下室) 
AVAILABLE FROM: 12th December 2007  UNTIL 16th April 2008 (貸し出し期間)
STORAGE TYPE: BASEMENT  (ストレージタイプ)
LOCATION: 3401 peachtree park dr atlanta ga, 30309 (住所とZipですね) 
PRICE: $ 20 PER DAY (20ドル/日)

シアトルの例は、
TITLE: Extra Room (エクストラルーム)
AVAILABLE FROM: 2nd February 2007  UNTIL 28th April 2009  (貸し出し期間)
STORAGE TYPE: Extra Room   (予備室とでも訳せるのか)
LOCATION: Seattle, 11549  (シアトルとZipコード)
PRICE: $ 45 PER DAY (45ドル/日)

スペースのリスティングも簡単で、タイトル(地下室とか予備室とか)と、レンタルルームの説明、住所、イメージ写真などをアップロードするだけでリスティングができる。

サービスシステムの記述が少なく、ちょっと不正確かもしれないが、借り手からは手数料を取らず、広告などで運用されるのだと思われる。つまり個人の貸し借りを媒介することをタダで提供している。どんな会社がやっているか(個人なのか?)ちょっと出所が怪しいところがあるが、ウェブ時代のロングテール・ビジネスとしてはツボを得ている。

【ロンドンではLiveSimply.co.uk】
実は米国のStore at my houseは、ここが運営しているのかも知れない。Store at my houseから、こっちのサイトにたどりついた。そっくりさんのサービスは英国ロンドンである。LiveSimply.co.ukといい、こちらはロンドン市内に絞って、ベッドシット(寝室兼居間)、アパートメント、家、スタジオなど、貸したし案件がたくさん掲載されている。http://www.livesimply.co.uk/?gclid=CPe1yaDz-ooCFQu2bgodDmrxJw

  Livesimply_co_uk_1 

ひとつ部屋のレンタルを選んでみると、こんな記述がある。

場所は、North London,nw16bu, Baker street/London, United Kingdomである。
Price Per Week: 175.00(ポンド=39,659円 週当たりですから安くはない)
Deposit Required: 758(ポンド=171,780円 デポジット)
Is Price Negotiable: No(交渉の余地なし)
Mininmum Rental Period: 3 months(最低三ヶ月から)
Facilities Included: all bills included free internet broadband(ネットも使える)

サイトはグーグルマップと連動しており、物件のロケーションも一目瞭然である。

 Livesimply_co_uk2_1 ちっちゃいけどLONDN

【賃貸不動産サービスの価格破壊モデル】
LiveSimply.co.ukのトップには、こううたわれている。

 ・掲載されたすべての物件は個人所有物です。
 ・契約料はいっさい不要です。
 ・所有者と直接交渉してください。

つまり載せるのもタダなら交渉するのも勝手にやってください、ということらしい。まあ日本では不動産屋が家賃保証をするサービスはよくあるが(しっかり手数料を払う必要がある)、借り手の身元まではしないわけで、夜逃げされるリスクはどちらもある。個人対個人で貸し借りして何が悪い、ということか。

別のページには広告ページがあるので、不動産貸し借りサイト運営をこれでまかなっているようである。その意味では賃貸不動産の価格破壊モデルである。ロンドンという大都市圏に絞れば、貸し借りも頻繁にあるだろうから、こういうサービスも可能である。

以前にわたしは勝手にアドバイスで「Home Exchange/ホーム・スワッピング」というサービスを紹介したが、それはバケーション期間に、家をとっかえっこして、お互い住み替えようというサービス。このStore At My HouseもLiveSimply.co.ukも、個人(貸し手)と個人(借り手)をインターネットでダイレクトに結び、不動産会社を不要にするビジネスモデルである。バケーションか住むスペースかの違いである。ネットならではの商売である。

【勝手にアドバイス いろいろ可能性がありそう】
個人と個人を結びつけるなら、余った農園なんかもいいだろう。農作業をしたい人は案外多い(土地によっては農地法という障害があるが)。あるいは日曜大工派には、大工仕事ができるガレージを持つ家庭から、時間貸しでスペースをレンタルしてもらうのもいいだろう。工具付きだったななおいい。

夏の参議院選挙に向けて、数週間しか使わない選挙事務所への貸し出しもいいし、トランペッターなど音楽家向けに防音装置付きの地下室の時間貸しもいい。ロケーションが良ければ、自分の趣味で防音室を作り、不要な時間はスペース貸しすれば建築工費をまかなえるかもしれない。息子・娘が独立して余ったスペースがあれば、インターネットに掲載してお小遣いを稼げるのだ。

こういう草の根のスペース・ニーズを束ねれば、ひとつのサービスモデルが成立する。不動産に限らず、媒介サービスにとっては受難の時代である。

まったく余談だが、狭い家には複合家具(ソファーベッドや収納ベッド)が便利である。九段下の彼の狭い家の場合、液晶テレビ付き冷蔵庫なんてあったらなあ!と話していた。2ドアの冷蔵庫で、フリーザーの扉が液晶TVになっている製品があれば、テレビを観ながらすぐにビールもおつまみも取りだせるでしょ。電子レンジも複合してくれれば、サッカー中継も見逃さずにチンもできる。わたしの家はどうやらスペースは間に合っている。むしろ「アパートの鍵、貸しますわよ」のほうがいいなあ。

B000cixj6w_09__sclzzzzzzz_ あまりオチなくてすみません。
古い映画ですが名画です。ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンの『アパートの鍵貸します

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月16日 (金)

旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 5.本田技研 語り継ぐ伝承

「・・・ならでは」の伝承について書いてきた勝手にアドバイス旬ネタ、今日は5回目で最終回。お読みいただきましてありがとうございます。

やや古めかしいワード「伝承」を、「ナレッジ・マネジメント」といったカタカナにしてしまうと、ITツールに情報を蓄積しておしまい!という考えになりがちである。わたしの理解では、一般的なITツールの使い方は、情報の「伝達」である。古い情報は情報でない、という「ふるい」を検索ではかけるわたしたちである。古いコンセプトの「伝承」は今のシステムとは相性が悪い。

だが「伝承」と「伝達」は違う。前者は基本的に口伝であり、後者は現代ではITツールで行う。この二つの言葉は本質的に大きな違いがある。辞書をあたってみても、伝承は「受けついで伝えて行くこと」であり、一方伝達は「命令・連絡事項などを取り次いで伝えること」である。極論すれば松明を受け継ぐか、データを渡すかという違いである。前者は理念や事業の本質を伝え、後者は仕事の情報を伝える。

念のため、わたしどもはそのようなツール系の仕事をしないわけではないし、むしろ導入をおすすめする側である。だからシステムを否定しない。システムがあらばこそ、システムでしかできないこと、知っているつもりではある。

だが経営という大きな視点からコンサルティングの姿を考えるとき、大量のデータを倉庫(ウェアハウス)に入れておき、いつでも出せるというシステム・アプローチよりも、事実ないし本質的なデータだけを検討できるシステム・アプローチが重要である。それが伝達から伝承へと近づく、一歩になると思う。

そんなことを思ったのも、本田技研という卓越した会社をめぐる状況を考えたからである。さて、みなさんは、創業者の本田宗一郎氏に関する本が、これまでに何冊出されているか、想像が付くだろうか?今日はそんな疑問から出発し、本田がらみの言葉でわたしの好きな言葉を紹介したい。

【勝手にアドバイス 旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 5.本田技研 語り継ぐ伝承】
その答えは「とても多い」と言えるだろう。

『ざっくばらん』『得手に帆をあげて』『私の履歴書=17=』『俺の考え ブームを作る経営秘密』『スピードに生きる』『HONDA 商法』『現代人物論 本田宗一郎』『13人の侍 奇跡の人々』『教科書では教えない人生(下)』『世界を変える男』『経営の心 10集』『青年諸君』『ミスターホンダ』『ホンダの原点』『技術人精神』『本田宗一郎と藤沢武夫の世界』『ホンダ商法の秘密』『ホンダ超発想経営』・・・・・・・

あるサイトにはこんな具合に116冊(!)が掲載されている。これは出版年順になっていて、最後に記載された本『本田宗一郎 不屈のリーダー学』の出版年月が (1998.10.26) となっている。それかから8年以上も経っているのできっと150冊を軽く超えるのではないだろうか。
http://www.r56imai.com/book_htm/souitisyoseki.htm

【語り継ぐ経営】
わたしは経験したことを経験者自身が「語り継ぐこと」こそ、伝承の唯一無二の手段であると考える。本田技研では本田宗一郎や藤沢武夫を始め、多くの語るべき人材を輩出してきた。彼らが成し遂げた多くの業績も、今日まで語り継がれてきた。それらが膨大な資料や書籍になってきた。戦後日本を代表する企業、本田だからこそ語り継ぐべき膨大な事物があった、ということはもちろん言えるだろう。

だが、その業績の裏にあった苦労や逸話、訓話、笑い話・・・そうしたことを何年、何十年にもわたり語り継いできた人々(社員、関係者、ジャーナリスト、販売店やサプライヤー、そして顧客)がいたからこそ、現在の本田の発展、そして挑戦を忘れない事業家思想が途絶えないのではないだろうか。

その語り継がれてきた言葉は、本田宗一郎らが、ミカン箱をひっくり返してその上に乗って、喋ったこともあれば、生産ラインの側でなぐりつけて(本田の暴力が労組で問題になったこともあった)話したこともあっただろう。とにかくおしゃべりで語り好きな人だったというから。重要なことは彼ら経営者たちが語ってきたということだろう。それらを受け止めて、語り継いできたというところに、軸がぶれなかった要因現在まで進取の気性に富む会社であり続けている要因だと思う。

   

【語り継ぐべし】
中小企業の社長やベンチャーの社長であろうと、大企業の経営陣であろうと、日頃から心がけてやらなくてはならないことは、語り継ぐことではないだろうか。無味で自慢話ばかりの(誰も読まない)社史をつくるのではなく、社内をぶらついて、味わいのある言葉で、経験や思いを語ることが必要ではないだろうか。味わいのある言葉を聞けば、社員は語り継ぐ。そうすれば、「企業風土に課題あり」「情報共有が足りない」「方針が不明確」というような愚痴・小言も減るはずである。もしもそれでも社員たちが語り継がないとすれば、社員に問題がある。

個人的なことを言えば、今の所属会社では、初代/創業の社長の言葉のいくつか心に残っている。わたしの入社時点ではすでに故人である。だから書き物とビデオに過ぎない。しかし(あえて披露しないが)心に残っている。今の勤め先の前の会社では、タコ社長(もう故人なのですまん)のお付きもしたが、やんちゃな社長の言葉はいくつも心に残っている。

現経営陣にも、わたしの心に残る言葉、切にお願いしたい。今日はわたしの持つ本田関連の本から、好きな言葉を拾って締めくくりたい。

【『私の手が語る』 本田宗一郎著 講談社文庫 絶版?】
人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになることができる人である。相手が少人数でも、あるいは多くの人びとであっても、その人たちの気持ちになりうる人でなければならない。
そのかわり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩まない人は、他人を動かすことができない。私はそう思っている。自分が悩んだことがない人は、まず、人を動かすことができない。

私などは、生まれてこのかた、不得意な分野に手を染めたことがなかったといってよい。得意というより、好きな分野のことで精いっぱいで、我慢してまで不得手なことをやる気はまったくならなかった。会社でも、藤沢武夫という百パーセント新信頼できるパートナーを得てむずかしい営業の仕事などそっくり任せきり、その意見をよくきき、取り入れながら得意なことに専念したのである。

こぼれたオイルを手のひらになすりつけながら、大きくなったらきっと自分の手で自動車を作り、思いきり自由に動かしてやろうという願望をもったのである。その気持ちは、いろんな新しい機械を見るたびに強くなった。

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【『語り継ぐ経営』 西田通弘著 講談社文庫】
「自由競争に徹していた」
二輪車業界は政府の保護をまったく受けていないし、四輪市場に打って出るときに通産省(当時)と大げんかしたのは有名な話である。さらに人材の登用も学校も学科も履歴書から削除する。販売店にも自由競争は徹底しており、販売テリトリー制はみだりに与えず、競争しながら販売していただくのが基本方針である。

「企業のあるべき姿、方向づけが明確」
藤沢武夫氏が「方向が正しければ、いつかはものになるよ」という言葉を好んで使ったことも紹介されている。有名な「作って喜び、売って喜び、買って喜ぶ」も「喜んで」生きることが最も大切であるという表現である。

「物事の本質を追究する」
失敗の原因、真の問題は何か、徹底的に食いついて放さない。本田・藤沢の、そのときの熱意や集中力は相当の本質をつかむ能力はすごかったという。執念深いとさえ言えたという。それも失敗した当の本人が、失敗の中から何かをつかみ出すまで許さないという叱り方だった。

その本田・藤沢の出会いのとき、本田はこう言ったという。「お互いに取り合うものがある間は一緒にやろうや、なくなったら別れようよ」

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【『スピードに生きる』 本田宗一郎著】
われわれに最も必要なものは金でもなければ機械でもない。いちばん必要なものは各人の考え方を直すことがもっとも大切である

私は会社のために働きにくるなどという社員は嫌いだ。自分のためにいかに働くかが問題であり、会社のためにになどと--昔の忠君愛国みたいなことをふりまわされるのはいやだ。それが欺瞞行為であることは、本人がいちばんよく知っているはずである。人はだれでも、自分の生活をエンジョイしたい、自由になりたいということで仕事に精を出すものなのだ。

技術屋でいちばん足りないものは技術ではない。われわれは商品をつくっているのだから、やはり人間の研究がいちばん大切だということになる。

好きこそものの上手といわれるように、好きなことは得手なんだから、得手以外のことは絶対に口を出さない。わが社はそういう組織でやっている。したがって能率が非常に上がる。

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                  ***************

伝承のアプローチを「理念ブック」「伝統と流行」「江戸っ」「社内創業/プロジェクト」「語り継ぐこと」の5つにわけて書いてきた。どの会社も尊敬されすぎる会社のケースばかりなのはいけなかったが、できれば自社の立場に置き換えて読んで欲しい。「業務」ではなく「経営」というコンサルティング・アプローチの上では、「伝承」という要素は看過できない。今後はコンサルティングの仕事を通じて、それを意識したいと思った。

今日は以上です。お読みいただきありがとうございました。ではまた明日。

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2007年3月15日 (木)

旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 4.リクルート 社内創業という伝承

勝手にアドバイス旬ネタ、今週は『旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承』として、その会社ならではのDNAをどう伝承するか?をテーマに書いている。今日はその4回目。次代に伝えたいノウハウは、大小・多少はあっても、あらゆる企業にあるし、伝え切れているだろうか?という危機感の無い経営者はいない。いるとすれば明日の脱落者である。

まずユナイテッド・アローズでは理念をどう生き生きとさせているかを考えた。次にエルメスで、老舗として生きながらえるコツ=変えないものと変えるべきものを取り上げた。昨日は岡野工業で江戸っ子職人の伝承の在り方を見てきた。そして今日は、日本人なら誰もが、何らかのかたちで触れたことのあるリクルートをテーマしたい。

Siteid

就職、転職、結婚、住宅、旅行、自動車、赤ちゃん、携帯、25才以上・・・・リクルートは常に情報をメッセージに変えてきた。ひとことで言えば「創業という伝承」である。江副浩正氏が生んだ彼らの仕事スタイルは、社内創業を通じて、そのまま次代の仕事スタイルに伝承されている。

わたしも仕事人生の中で、何人ものリクルート出身者と出会ってきた。その人一人ひとりが、実に個性的だし、スキルが高いし、生き生きとしている。言葉にすることがしにくいが、原点に「リクルートらしさ」を備えていた。とても印象的だった。無から有を生み出すという意味で、わたしの中でリクルートという会社はほぼ別格の存在であり続けている。

その社内創業という伝承を、伝説の創刊人であるくらたまなぶさんと、営業の達人である高城幸司さんの著書から学んでみたい。

【勝手にアドバイス 旬ネタ 4.リクルート 社内創業という伝承 】
・・・と書いたが、くらたまなぶさん(リクルートで14誌を創刊。1952年生まれ)の書、『リクルート「創刊男」の大ヒット発想術』は、とても面白くて引きつけられてしまうのであるが、「伝承」というより彼が創刊=DNAの素なので、良い意味で参考になりにくいところがある。

それで今回のブログでは、その後輩(とは言えないのでしょうが)、営業を語らせれば右にでる人はいない高城幸司さん(1964年生まれ)の『リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術』、こちらをこの記述のメインにしている。両書ともに日経ビジネス文庫にあり、求めやすい価格なのでご興味のある人はぜひ両書をいっぺんに読んでほしい。お二人はちょうど12年、ひと回りちがう。その違いもわかるだろうから。

【起業伝承その1.情報の場でビジネスを生み出す】
「ここで結婚式を挙げ、あれをしてこれをするためには、これこれの費用がかかるのね」 今どき、結婚式場をめぐる男女で、情報誌やネットを参照しないカップルはいないだろう。

リクルートの『ゼクシィ』は、一生に何回もしない結婚式にしても(だからこそなのだろうが)、最新の相場情報をリアルタイムに流す、そういう創出価値を付けたところが新しかった。つまり結婚という「場」をビジネス・モデル化したのである。
リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術

結婚なんて(最近は誰でもするわけではないが)当たり前のイベントじゃないか、どうしてその情報がビジネスになるのか?と思われるが、そういうイベントを情報化して高収益を上げてきたのがリクルート流のビジネスである。そこにリクルートの起業の原点がある。「企業と個人の求める情報を相場にする」(高城さんの書より)、のである。これがリクルートの第一の社内起業DNAである。

 Profile_photo  高城さん。

【起業伝承その2.仮想経営者を育てる】
江副氏時代のIT投資で、情報莫大な借金を背負ってそれを返し続けてきたという歴史から、傍目から見るイメージと異なり、リクルートという会社のコスト意識は相当に高いという

利益/事業価値=儲けの仕組み」を、提案時のみならず、半期・四半期、あるいは月次で厳しく問われるのである。新規事業は3年度目単年度決算黒字が掟である。さもなくば将来性があっても撤退である。

だからこそ、各誌の編集長は仮想経営者であり、事業運営を司り、それはあくまでひとつの別会社のように「儲けの仕組み」を考えなさいという掟だそうだ。

【起業伝承その3.Deep & Narrow】
高城さんの著書にこうある。「トヨタ自動車関連の経営者とお会いしたのですが、そのときに、トヨタには“Deep & Narrow”とう言葉あると伺いました。曰わく、「深く、狭く」なのです。(中略)トヨタのビジネス手法とリクルートの手法は非常によく似ていると思いました」。

言ってみればリクルートの商品は「無くても良いもの」ばかりである。それを無くてはならないものに錬金術するときの魔法は、Deep & Narrowというコンセプトなのだろう。

高城さんはそれを「ないよりまし」としている。その情報を読者(生活者)の視点にたって、比較検討したくならないか?比較してお得なことが欲しくないか?を徹夜で議論し合うということだ。無いと困るように多量&比較可能な情報に編集して、その情報ジャンルでナンバーワンになることを目ざす。それがリクルートのDNAである。

【起業伝承その4.インセンとエライ】
インセンとはリクルート社内用語でインセンティブ、エライは「良くやった!」という褒め言葉である。それは「ヒアリングとブレスト」あるいは「不と褒め」と言い換えてもいい。ヒアリングでは「不(満足)」を明確にし、ブレストでは(褒め)て起業や成功をいざなう風土があるという。この両者は、起業(誌の新企画)のときの不文律的に、みんなが行動するやり方になっているという。

こういう手順である。新規事業の「夢」を考えたときは、二つのこと、「ヒアリング」と「ブレイン・ストーミング」をする。話を聞けそうな人の所に行って、ふだん思っている「気持ち」を聞き出す。「不平・不満・不快…不のつく日本語」を聞き出す」という。もうひとつは「ブレスト」。誰もが好き勝手な発言をして、絶対に他人を否定しないというのが唯一のルール。このときは「あいづちを積極的に打って、ほめまくる」という。そうして発想をどんどんふくらませる。

高城さんの所属した組織では「エライ賞」というのがあって、「良い仕事をした人を褒めて組織で共有する」ことが目的である。上司が部下のエライ仕事を発見して、それをエントリーして全員投票で良い仕事を選ぶ。それを褒めて尊敬する。

同じことをくらたまなぶさんも、丸の内キャリア塾のセミナーで発言されている。

“『不』のつく言葉を聞き出せたら成功” このひとことに、クラクラとめまいがしました。 自分が好きになって、気持ちを入れ込んで取り組んでいる商品や企画に対して、周りから『不』の気持ちを聞いたとしたら・・・私ならたちまち自信喪失、反発心がムクムクと湧き上がり、それが大変なストレスに。 ましてや、わざわざ『不』の言葉を聞き出そうとするなんて・・・考えたこともありませんでした
http://woman.nikkei.co.jp/career/academy/article.aspx?id=20060322b3012b3

 001_0002  くらたさんの発想法の一部。

【起業伝承その5.起業家予備校】
リクルートで一つの事業部を率いるという経験は、仕事をしながら独立するために勉強ができる「起業家予備校」のようなもの」と高城さんは書いている。

くらたさんはインタビューでこう言う。

アイデアがだいたい固まったら、意識を切りかえて、企画を通す作業に集中します。企画するときは自分ワールドにどっぷりつかったけど、プレゼンでは上司ワールドに入らなくてはなりません。企画のときの“自分語”を、プレゼンのためにもう一度“上司語”に直して、上司の思考に沿って、上司に伝わるプレゼンを行うのです。いくらいいアイデアでも、上司がウンと言わなきゃ実行できません。実行しない企画なんて意味がないのです。
http://www.president.co.jp/pre/20050718/001.html

起業家予備校と言われるリクルートも、しょせんはひとつの企業である。その企業には上司もいれば経営者もいる。『フロムエー』の企画を通したときのエピソードはそうとう笑えるが(プレゼンのとき、会議室の机の上をチョロQを走らせたそうだ)、それでも予備校に過ぎない。予備校ならメソッドがある。それこそが論はいらない、結局、実行しましょう、くらたさんがそう表現するリクルートのDNAなのだろう。著書にはこういうくだりがある。

ありとあらゆる専門書を手に取った。だけどほとんど使えない。こちらは出産をしたい。出産のためには相手が必要。デートもしなくちゃならない。恋愛をして、なんとかセックスにまでもちこみたい。そしてうまく受胎し、着床すれば、めでたく妊娠、出産である。そう思って必死に買い求め、読むのだけれど、具体的な方法はまったく書いていない。

 Kurata  くらたさん。

子どもをたくさん作り、リクルートのDNAの何割かをつくったくらたさんの思い、わかるような気がする。論より実践、それがリクルートの社内創業のDNA。厳しいけれどきっと楽しい会社である。

今日は以上です。

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2007年3月14日 (水)

旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 3.岡野工業 江戸っ子の技術伝承

勝手にアドバイス 旬ネタ「・・・ならでは」の伝承は今日が三回目。テレビにも出演し、年間数十回の講演をこなす社長が経営する岡野工業を取り上げたい。社長なのに社長ではない「岡野雅行代表社員」という肩書きも、従業員はたったの6名しかいない点も、伝承という点から観てとても興味深い。

岡野雅行さんは不可能を可能にする技術者として有名。たとえば「刺しても痛くない注射針」、これは長さが20ミリ、穴の直径が80ミクロン(100分の8ミリ)、外径が200ミクロンと、いわば蚊の針と同じような細さ」(同士のインタビューより)であり、刺しても痛くもかゆくも(実際にかゆいぐらいだという)ないらしい。

  18tonai2  小泉前首相も試した。

江戸弁闊達な岡野氏は職人気質の技術者であるが、どうもそれだけの人ではない。この伝説の技術者はどうやって技術を伝承しようとしているのだろうか?語らず黙して俺の言うことを聞け!タイプなのだろうか?どうもそうではないらしい。わたしなりに岡野工業の「ならでは・・・」の伝承を考えてみた。

【勝手にアドバイス 旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 3.岡野工業 江戸っ子の技術伝承】
1933年生まれの岡野氏は、1972年に父親から家業を継いで岡野工業を設立した。「俺は社長じゃない」と代表社員を名乗る岡野氏を含め、たった6名で維持してきた会社であるが、年商6億円を売り上げるという。一人平均では1億円である。

痛くない注射針以外にも「携帯電話充電電池ケース」「トヨタ ヴィッツのリチウムイオン電池ケース」など、深絞りという金属成型技術をコアにして、ここでしか出来ない新しいモノを開発し、世界中から注文が殺到する、文字通り小さな巨人の工場である。

 Part1_img03  携帯電話ケースの加工例。

【なぜ会社を大きくしないのか?】
SB : 何度も聞かれていると思いますが、なぜ会社を大きくしないのですか?
岡野 : 本当によく聞かれるんだけど、俺は分かんないだよね。会社を大きくする理由が・・・
俺がね、寿命500年も、1,000年もあるんだったら大きくしたいよ。実際に働けるのは50年~60年の限られた時間だろ。それに大きくしたらね、後を継ぐ人は大変だよ。一代目を越えるというのは半端じゃなく難しいことだからね。

引用元 http://www.sbrain.co.jp/pickup/okano_masayuki.htm

他のインタビューで「僕は6人の会社で十分なんです。大きくしようと思えば、明日からでも200人、300人の会社にできるでしょうが、人を使って苦労するのはつまらないし」と話している。このコメントの前段は本当だろうが、後段は半分本音、半分は歯がゆい思いなのではないだろうか。技術頑固オヤジは、ほんとうは人を育てたい・技術を伝承させてやりたいと思いながら今も現役で技術を追求している。だからこそ、本も書き、年70回にも及ぶ講演を引き受け、しかも修学旅行の工場見学を週に何回も気持ちよく受け入れている。頭が下がる態度である。

【親離れが伝承の原点】
興味深かったエピソードは独立の経緯。岡野氏は13歳から父の経営する金型工場で働きだした。その父が60歳、岡野氏自身が30歳になったとき、「明日から俺が社長をするから引退してくれ」とクーデターを起こした。渋る親父を一ヶ月かけて隠居を認めさせた後、父の得意先をすべて切り、従業員もすべてクビにした。ゼロスタートをきった。父から独り立ちするためにその影響を絶つためだったという。

技術は習っただろうが、得意先も設備も家屋も(土地はもらったらしい)伝承されることを拒否して独立したのが岡野氏なのだ。伝承はされるものではない、というのが基本姿勢らしい。わたしが氏の姿勢を通じて感じた「5つの伝承の姿」に沿って書きたい。

【1.3つの技術セットの伝承】
先代の岡野工業はプレスではなく金型製作の工場だった。金型製作では一発作ってあとは儲からないと考えた岡野氏が、プレス技術でオンリーワンを目指したのが出発点である。

その技術は①深絞り成型、②潤滑油、③ノウハウ、の3つで形成されている。深絞りは一枚の金属板から成型加工をする技術であり、潤滑油は素材を引き延ばすときに必要な潤滑、ノウハウは機械を動かすソフトウェアとすればいいだろう。岡野工業ではこの三つを一式で開発するのが特徴である。

開発後は、自社生産ないし委託生産になるが、この三つがそろってこそ一つの技術になる。このやり方を編み出すまでの苦労を、これまでは岡野氏がやり、三つをセットで社員に伝承するか、あるいは外部企業に渡すというやり方がなされている。岡野氏は技術流出には過敏だが、生産をまかせる場合には出し惜しみをしないという考え方のようである。

【2.宵越しの技術は持たないという伝承】
「請け負って途中で投げ出すことはしない」と語る岡野氏だが、請け負ってから、開発・大量生産ができるようになるまで数年かかる事例も少なくない。「痛くない注射針」のケースでは、開発依頼元はテルモだった。その開発には7年かけて、テルモと共同特許を取った。そこまでやるのは「必ずできると信じる」という信念である。

だが宵越しの銭は持たない江戸っ子よろしく、開発後の生産権利を他社に譲るということもしている。前述の3つの技術セットである。その理由はどうやら飽きっぽさらしい。岡野氏の真髄は不可能を可能にするという技術追求にある。だからいったん追求が終わった技術には(お金を生むとわかっていても)興味がわかないのである新しいチャレンジのために、技術は譲るという潔さがある

【3.教えないという伝承】
弟子入り希望者は数多く、縁故しか採っていないとうそぶく岡野氏であるが、「習いたいと思うヤツに仕事のできる者はいない」と岡野氏は話す。

「面白そうだ、楽そうだって来るヤツが伸びるね。その後から『習いたい』がついてくるんだ。仕事は自然体で覚えりゃいい。すると自然に腕とお金がセットになる。だから社員教育はしないよ。簡単なことは教えるさ。でも『次をどうするか』はてめえの頭で考えなきゃ。」
引用元 http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000746

彼は技術の専門書を勉強はするが、岡野氏はこういう。「(技術の本は)料理の本と同じだ」と。つまり基本のレシピを覚えるには技術書も必要だが、人がお金を払う料理をつくるには、そのお店の味にお金を払うのだろうと。自分なりの経験とこだわりが必要だと。「自分で考えさせる」のが岡野氏にとっての「伝承」なのである。

 Part1_img01  弟子の坂井さんと。

【4.手配による伝承】
岡野氏は技術者にあるような無口で頑固ではないそうだ。多弁で口は江戸弁できついが、義理人情こそ重んじる。たった6名の社員にできることはたかが知れているし、岡野工業と同レベルの会社に、生産加工を回している。つまり手配ネットワークを持っているのだ。

彼のところの持ち込まれる仕事の一部は他の技能を持った会社に加工法の指導付きで紹介している。その紹介料も岡野の売上高の一部を占める。彼は技能の高い中小企業ネットワークのオーガナイザー(手配師)でもあるのだ。
日経ビジネス 1999年11月1日号

【5.寿司食いねえという伝承】
岡野氏の工場では、技術エリートは遠ざけ、学業からドロップアウトした不登校児をむしろ受け入れる。それはそうした子どもたちの方が、純粋で、おもしろそうなことをおもいしろいと素直に感じ、技術にに取り組むからだという。「浮いている人間ほど斬新さがある」と表現している(同 日経ビジネス)。

修学旅行の生徒達が良く訪れるそうだが、一枚の金属板から深絞りの成型を目の当たりにすると、生徒達はみんな目をみはらせる。見学後には、決まって近所の寿司屋に連れて行って、ごちそうするという。しかも生徒だけを残して「寿司食いねえ」にして精算は奥さんが後で行くそうだ。なんとやさしい伝承でないだろうか。

たった5名の社員に秘伝の技術を伝承しても仕方ないもっと広い心が岡野氏にはある。だから睡眠時間3時間でも、テレビにも出るし講演も引き受ける。親から自分を断ち切った岡野氏である。逆にドロップアウトや子どもに温かい視線を向けるのだろう。

【まとめ】
岡野工業の岡野氏に関して、原点に親離れがあり、従来の技術を否定し(金型からプレスへ)、「三点技術セット」「宵越しは持たない」「教えない」「手配師」そして「寿司食いねえ」の五つの伝承をまとめた。わたしはこれをまとめるだけでエネルギーを得られた。

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今日は以上です。

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2007年3月13日 (火)

旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 2.エルメス 不変と変化の伝承】

昨日から始めた今週の勝手にアドバイス旬ネタは「・・・ならでは」の伝承である。「・・・ならでは」のイメージが世間に通用する会社、つまり企業イメージが明瞭な会社はいいな、ウチの会社なんてコアコンピタンスがないよ・・・というぼやきもあるかもしれない。

だが必ずしもイメージの明確なことが良いとは限らない。例えば訪問販売企業を例にしよう。主婦が家庭にいた時代は訪問販売という業態が通用したが、今や半数近くの世帯で共働き。訪問しても高齢者の独居世帯では大きな商いにならない。さらにネット時代になって訪問販売の魅力が減っている。過去の成功体験の企業イメージが強ければ強いほど、そこからの脱皮がむつかしいこともある

商売価値のコアには普遍性を持ち、その周辺は時代の変化に柔軟に対応するのがありたい姿。それは老舗に学ぼう!ということで、170年来、変えないことと、変えるべきことを上手に伝承しているのがエルメスである。今日のテーマはエルメス

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【「・・・ならでは」の伝承 2.エルメス 不変と変化の伝承】
ごく簡単にエルメスの歴史を振り返る。

 1837年 ティエリ・エルメスがパリに高級馬具店を開業。
 1923年 自動車時代に入り、馬具から婦人バッグや財布、革小物の製造・販売へ
 1937年 最初のスカーフを発表
 1951年 4代目のロベール・デュマが4代目社長に就任。
 1955年 女優でモナコ王妃となったグレース・ケリーにちなむ「ケリー・バッグ」発売
 1978年 ジャン=ルイ・デュマが、5代目社長に就任
 2004年 05年のA/Wからジャン・ポール・ゴルチエがレディースプレタポルテのデザイン担当

「エルメスは160年にわたって時代の先端であるように努めてきたが、6ヶ月ごとにかわるようなファッションの中に、身を置くことはしていない」
引用元 『エルメス』 新潮新書 戸矢理衣奈著 (日経流通新聞1999年1月21日)

社長のジャン・ルイ・デュマはこう語る。時代の先端を行きながら変わらない価値を維持してきたのがエルメスであろう。戸矢さんの著書の中にこんなくだりもある。

「日本で不動の人気を誇る「バーキン」も、1984年の(リニューアルの)発売当時は幅40センチの型のみだった。しかし小柄な日本人による市場の伸びとも関係するのだろう。1990年代には35センチ、30センチと相次いで小型のものが加わった。」
引用元 『エルメス』

 P1010081 品薄「バーキン」 これには110万円の値が・・・。

エルメスと言う会社、情報開示が少ない会社なのだが、少ない資料からわたしが感じたエルメスの「伝承」のアプローチを5つのポイントで述べてみたい。

【伝承1:クリエイティブの根幹はファミリーが握る】
エルメスではデザイナーの原画がそのまま製品化されない。デザイナーの原画は本社社長ら社員の審美を通じて「製品化」される手続きがある。

「デザイナーが原画を描くと、デュマが必ず『クリエイティブ・ディレクター』として目を通し、当のデザイナーに他のスタッフも加わって、採否に関する最終決定がなされる。契約デザイナーの作品でも不採用になったり変更を求められるものもあり、会議が終わると涙を浮かべて出てくる者もいる。」
引用元 『エルメス』

この戸矢さんの著書の中でもっとも心に残ったのがこのくだりである。ゴルチエだろうと誰だろうが、最後はファミリー(所有者)がデザインの生殺与奪の責任を担う、それがエルメスというブランドであるという宣言。

ゆえにカラーリングもデザイナーには決定権がなく、ひとつの製品にも複数の国籍の人が関与し、デザインに普遍性を持たせるシステムがある。

【伝承2:手で考えさせる】
エルメスでは職人とお客様が一体となって「バーキン」や「ケリー」の例のように、お客様に商品を育ててもらうという考え方が貫徹しているという。

「職人にとって、手は一番の道具です。けれども手は単に肉体的作業に限りません。手は精神行動をするものです。かつて哲学者のドゥニ・ドゥ・ルージュモンは『手で考えること』を推奨しました」
(同書)
「手で使うことによって考えに重石ができ、その重みが思考を具体的なことからかけ離れてしまうのを防ぎ、その結果正しい判断ができる」
(同書 デュマ氏の表現)

伝承は手だけでなく、手からはぐくまれる思考からも行うというアプローチがここにある。根性論ではなく、洗練された精神行動と技能行動の統合があるといえるだろう。

【伝承3:リアリズムの伝承】
「デザインの源には資料となる実物が存在する」
「木を描く前に当たれる限りの文献に当たって、ひとつひとつの木の意味を勉強していった。それを文章にまとめて、それからデザインに取りかかった」とあるデザイナーは語る。

(同書)

エルメスの定番のデザインである動植物のモチーフは、実物や文献に基づいて徹底的にデザインが重ねられる。つまりデザインの基礎のところでエルメスには写実主義の伝統がある。それもデュマ氏の社長就任後、販売地域の国際化がさらに進み、それに伴いデザインモチーフも変化した。

伝統的なフランス文化の象徴である馬や馬車から、「グリーンランド」「四川省」「チベット」「セビリア」「インレ湖」「トゥルカナ族」などへと、世界規模でデザインを模索するスタイルに変化した。

だがどこの国にあっても、そのモチーフの根本にあるのは自然からのデザイン発想である。世界のどの地域であろうと、デザインの基本モチーフは自然から発想することが社是であり、それを伝承している。その証拠とも言えるのが次のエルメスの研修制度である。

【伝承4:刺激で伝承】
もともと職人たちはフランスの皮やテキスタイルの専門学校を出ており、その中でも成績上位者しか採らないという。そんな職人たちに求められるのは、最初は30時間~40時間かかってひとつのケリーバッグを作っているのを、18時間まで短縮することである。

このような効率性を社内で学ぶ一方で、新奇な商品開発の発想も当然求められる。なぜならエルメスには商品開発室や商品研究室といった部署がないからである。ついでに(残念ながら)マーケティング部門もない。

だからこそ職人へ刺激を与える研修プログラムが用意される。職人をインドの砂漠に旅させて、遊牧民と交流させる、アマゾンのインディオと交流することで天然ゴム素材の活用のヒントを出させる、サハラのトゥワレグ族との交流から、バックルや留め具の銀加工技術を学ぶなど、イマジネーションを掻きたてる独自の研修があるという。

技術者だけでなく販売員も、短期間でマダガスカル-タンザニア-アイスランド-トルコなどを旅させ、世界中の美しさを観せることで、本当の美しさを考えさせるということだ。
以上は『エルメスにおけるブランドの伝承と発展』を参考にした。

【伝承5:(女性の)ライフスタイルで伝承】
エルメスの商品「バーキン」は女優のジェーン・バーキン、「ケリー」はグレース・ケリーというのは有名であるが、伝統を尊ぶ商品でありながら、その時代の女性たちのライフスタイルを製品名と仕様に活かすことは、エルメスが女性と共に成長している、という意識があるゆえだろう。女性のライフスタイルのコアにある要素(気品、活動、発言など)を巧みに製品に取り入れること、これも過去50年来の伝承要素である。

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【まとめ】
コアにはエルメスの「ファミリー」が存在し、伝承するべきものを司り、これをとりまく「」「リアリズム」「刺激」という組織機能の伝承システムがあり、最外延にあるのが社会変化、特に「女性のライフスタイル」という5つの重層的な構造が、同社の伝承コンセプトと考えられる。

近年だけに限れば、伝統だけのブランドからファッショナブルに再生したコーチ(COACH)も、スタイル上は同じような戦略を採っているように見える。だがエルメスとコーチの差(品格、プライシング)は、マーケティングのポジショニングという戦略上というよりも、「伝承活動」をどれだけ重層的にとらえて、実践しているかという差であるように思われる。

今日は以上です。昨夜のブログUPが遅かったので、今日、同行営業したOKさんに「遂にダメかと思いました」と言われました(笑)。エールのコメントをくだされば薪になります。

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2007年3月12日 (月)

勝手にアドバイス 旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 1.ユナイテッド・アローズ 理念ブックの伝承

先日、名古屋でコンサルタントをやっている知人が出張で東京にやってきて、四方山話に花が咲いた。彼と出会ったのは、わたしがマーケティング・リサーチャーだった頃だから、かれこれ20年近くも前のことになる。お互いアウトロー同士、どこか通底するところがあるので、本音で話せるのである。

彼は彼でメディカル業界を主体にコンサルティングをしているが、その業界に限らず、彼が訪れる先々で問題になっているのは、「ノウハウの伝承」であると話す。それはその通りだね、数年前にナレッジ・マネジメントという、システムだかプロセスだか気合いだか判断がしにくいマネジメント・テーマが流行したが(当時、わたしもそれでメシを食いました)、そのときも上っ面の流行に終わってしまったような気がする。そうそう・・・みたいな話になった。

2007年問題、すなわち団塊世代が一斉に退職する年に入り、およそどこに企業にお邪魔しても、「もうだいたい(定年延長ないし再雇用制度の整備は)終わりました」「次代に残し、伝えるべき知識やデータは抽出・整理終わりました」というようなコメントが多い。ところが実際の企業の姿を見れば、先輩方の創りあげたノウハウも知識も知恵もどこへやらという企業が多い。一方現場では、営業力低下、管理能力も育たない、生産品質は劣化し、管理制度自体も疲労、法律も軽視する、モラルなし・・・などが諸原因となる事件・事故・告発が多発している。

知恵や思想、手順やノウハウの伝承を軽視しているのではないか?という疑問がある。カンバンシステムのトヨタしても、成長が早すぎて、生産工程のノウハウが伝えきれず、現場でビデオテープを流し放しにして、「いつでもこれを見て勉強してください」というやり方をしているという記事を読んだことがある。そんなやりかたで奥義が伝わるとすれば、それはもちろん奥義ではなく、組み立て設計上の手順レベル(以下)のことであろう。

そんな問題意識をずっと持っていた。ナレッジ、知識、ノウハウ・・・ひと言で表しにくいので、「・・・ならでは」と表現しているが、企業や組織固有の「・・・ならでは」を、いかに伝承できるのだろうか?これは大きなテーマ、たくさんの切り口がある。旬ネタのテーマには大きすぎるので「伝承のやり方」という点に絞って「・・・ならでは」の伝承を今週のテーマにしたい。

伝承の切り口をマニュアル(ユナイテッドアローズ)、デザイン(エルメス)、プロジェクト(リクルート)、徒弟(岡野金型製作所)、ゲンコツ(ホンダ)などを予定しているが、事情により変更もありえます。

【旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 1.ユナイテッドアローズ 理念ブックの伝承】
セレクトショップとして有名なユナイテッドアローズ。日経ビジネス(2005年8月1日号等)の記事中にもあるようにB5版、48ページの『経営理念ハンドブック』の存在でも知られる。

わたしはその「束矢(たばや)ルール」がどんなものなのか、その理念ブックがどのように活用されているのか、ずっと疑問に思っていた。その答えとなる書が、先頃日本経済新聞社から発売された。『ユナイテッドアローズ 心に響くサービス』がそれである。この書を中心に「・・・ならでは」の伝承、つまり経営理念やマニュアルの伝承を、ユナイテッドアローズ(以下UA)ではどのようにやっているのか?を見たい。

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【UAのサービス原則】
創業者で現会長の重松氏はそのハンドブックにこう記す。

 お客様と私たちの立場は同格ではない。
 常にお客様が主で私たちは従である。
 そして常に「店はお客様のためにある」という視点で、もし自分がお客様だったら
 「ここまでされたら感動する」と思うことを誠心誠意実行し、「こんなことは絶対
 されたくない」と思うことは絶対にしてはならない。
 サービスとは只それだけのこと。
 そしてそれは私たちの務め。

現社長の岩城氏はこう記す。

 優良企業(エクセレントカンパニー)であるよりも、不滅の商店でありたい。

顧客と同格ではない、まず顧客に尽くせ。感動は顧客の立場で考えなさい、不滅の商店・・・これが著名な「束矢ハンドブック」のコアにあるが、同社ではこれは「マニュアル」と位置づけていない。あくまで「理念のモデル」であり考える礎(いしずえ)」なのである。

ハンドブック中のこうした言葉が真ん中にあって、同心円を描くように、付随する理念や行動規範を規定している。同心円が示すのは、個々人に「オープンに考えさせる行動」であり、考えさせるというオープンな理念が形骸化しない所以のようなのである。その同心円はまず、創業の人々が次代、次々代に植え付けてきた伝説の接客サービスに表れている。

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【伝説の接客サービス】
・雨の日に来店したお客様の靴を、試着の間にきれいに磨いておいた。
・購入した商品を自宅に宅急便で送る心遣いがある一方、お店で購入した商品を着て帰られますか?と聞いた店員(なんと、それまで着ていた服を洗濯をしてアイロンがけまでして宅送したという逸話もあった)
・北海道に転勤しても、新宿の特定の店員を指名する顧客
・新宿店にサイズがなかったので、1時間待ってもらえますか?と聞いて、サイズのあった原宿店へ往復してお渡しした店員

UAには、こういうサービスコメントへの感謝状が、山となって寄せられるという。他のアパレルショップでここまでのサービスがあるだろうか?

だがポイントはサービス自体、顧客の囲い込みだけではない。このレベルのサービスが一定レベルで提供されることによって、当然UAファンの固定ファンがつくられる。それは年齢層から20代が多く、学生も多い。その学生たちに「あのUAで働きたい」という意識が働く。

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【顧客満足がエントリーを呼びこむ】
自分もすばらしいサービスをお客様に提供して、気持ちよく働ける企業に勤めたいと考える若者が増える。ショップでは販売を通じて、そういう若者をリクルートしていると言っていいだろう。現に、絶対にUAで働きたいという若者ばかりがエントリーするという。その中から、UAでは「販売を一生の仕事と考える人」しか採らないそうだ。人事部長はこういう。

「採用は同じバスに乗る仲間を選ぶわけですから、入り口で間違わないことです」

一緒に働ける人、という基準で社員候補を選別している。同社では、応募者ひとりひとりに「エントリーシート」という、応募者のライフスタイルがあからさまになってしまうほどの記入シートがある。このシートへの記入で、応募者の属性、個性、考え方を読み取ることができるという。誰でもというわけではなく、UAの理念に感動し、共に働くことができる個性を選んでいるのである。詳しくは本書の64Pを参照されたい。

【顧客目線を徹底させる研修】
同社には他企業と同様に、新人研修もあれば、キャリア研修もある。その際用いられるマニュアルもある(セールスガイダンス、プロダクト・インフォメーション、ディスプレイなど)。だが研修で認識させるのは、マニュアルではなく、自分が消費者として嬉しかったこと、嫌だったことをディスカッションし、それを徹底的に討議するスタイルである。それも考える時間は厳密に定め(店舗運営効率を考えさせる)、ファシリテータを置いて討議をリードするものである。

そもそも彼ら、新入社員の入社動機は「UAの販売員がカッコよかったから」「UAの接客がとてもよかったから」「自分もあのような販売員になりたい」という声が圧倒的に多い。その初心をベースに、立場を逆にして考えさせるから、顧客目線(してほしいこと、されると嫌なこと)が徹底される言ってもいいだろう。

【伝えるインストラクター=先輩社員も悩んでいる】
こういうUAだから、研修担当は外部講師ではなく先輩社員(店長ら)、それもOJTや閉店後のOJTを通じて行われている。UA横浜店の店長鳥羽さんは「教えるコツは教えすぎないこと」という。店員と同じ立場に立ち、共に考え長所を伸ばした方が上達は早く、自分の苦手な顧客や弱点も隠さない態度がよいとする。

アナザーエディション原宿本店の店長早川さんは、「お客様のことを真剣に考えて一緒に悩む」そうである。GLR品川店の店長林さんの所有する理念ブックは、使い込んでぼろぼろだそうだ。常に鞄に入れて持ち歩き、「何かあったら原点返りを心がける」のである。

【キャリアパス】
同社のキャリアのコアにあるのは「販売のプロを育てる」という点である。40歳、50歳になってもかっこいい店員を目指そうという人事方針がある。専門職、管理職ということではなく、全員が販売のプロという認識で成長する、という方針があるいこと。

 06030612  ユナイテッドアローズ栗野常務。

【理念ブックは同心円の真ん中に】
こうしてみると、UAにおける理念ブックは、単なるブックではなく、ブックの存在が良質な社員を生みだし、その社員が接客サービスを高め顧客の満足を創出し、顧客が同社のファンとなる。顧客満足が新入社員のエントリーを呼び込み、体験を共有したいと考える。創業から幹部、幹部から新世代へ、同心円を伝えるのは人対人の教育であり、店頭での生の体験とそれをオープンに受け止める一般店員から店長までが一線にあることがある。UAの理念を伝える役目を果たすサイクル、そのサイクルの中で悩みながらも成長していこうという、趣旨・思いを記したものが「経営理念ハンドブック」なのである。活動が埋め込められていると言ってもいいだろう。

【最後に自分にアドバイス】
わたしは、自分の仕事ぶりやサービスが引き金になって、ウチの会社に入りたいと、誰かに思わせたことがあるだろうか?一緒に働きたいと思わせたことがあるだろうか?この本を通じてそんな反省をしました。

今日は以上です。

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2007年3月11日 (日)

ディクシー・チックス Shut Up and Sing

Cherryさんに勧められて読み出した本『実践講座ライフスタイル・マーケティング』はおもしろい。今さらセグメンテーションなんて・・・と思っていたが、読み出すと的を得る分析がいくつもあって楽しい。日本人を8つのセグメントに分けて、それがなかなか当たっている。

ライフスタイル別の特徴として、好きなタレント、有名人というのがある。

 「良識」 本田宗一郎、吉永小百合、松井秀喜
 「アチーブ」 Mr.Children、B'z、オダギリジョー
 「プレジャー」 Mr.Children、Orange Range、ダウンタウン
 「規範」 氷川きよし、高橋英樹、吉永小百合
 「クール」 市原悦子、氷川きよし
 「平穏」 明石家さんま、黒木瞳、松嶋菜々子
 「ナイーブ」 Orange Range、ダウンタウン、ナイナイ
 「やりくり」 久本雅美、仲間由紀恵、青木さやか

この本の著者企業(ODS)のサイトにある簡易アンケートをやると、わたしは「アチーブ型」なのだが、オダギリジョーはかっこよいと思うが、Mr.Children、B'zなんて・・・何せ洋楽派だから。

と、ほとんどマクラにならないですみませんが(笑)、今日のテーマは洋楽、ディクシー・チックス。ミクシィにはチックスのコミュニティがあるがたったの500余名。カントリーを超えたカントリー、今年のグラミー賞を総取りなのに、日本での知名度は低い。来日すれば間違いなく一大ムーブメントになるのに。

それを先取りして、先週Amazonから届いたDVD『Shut Up and Sing』の感想&考察を書きたい。

【勝手にアドバイス Vol.135 ディクシー・チックス Shut Up and Sing】
Shut Up and Sing』は、2003年の「あの事件」から2006年の新アルバム(Taking the long way)発売までのドキュメンタリー映画である。この3年間のディクシー・チックス(マーティ、エミリー、ナタリー)やバンドの面々、マネージャー、プロデューサーやチックスの家族たち、そして事件に助言した弁護士までが出演する、単なるプロモーション映画を超えてとても異色のコンテンツが収められている。

【あらすじ】
映画は2003年のスーパーボウルでの国歌斉唱をディクシー・チックスが歌う場面から始まる。年に一回のスーパーボウル、国歌を歌えるのはたった一人(グループ)だけという、まさに頂点の栄誉から一転して、ロンドンでのコンサート。時はちょうどブッシュ政権のイラク戦争の開始時期と重なり、ロンドンでは大規模デモもあった。そのコンサートでナタリーが、「we're ashamed that the President of the United States is from Texas(わたしたちテキサス人は、米国大統領が同郷出身ということを恥じる)」とMCで発言した。皮肉にもその発言の前に歌ったのは、「Travelling Soldier」というベトナム戦争従軍兵士や残された恋人たちの哀歌だった。

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これをきっかけに保守的なカントリーソングファンが一斉にディクシー・チックスを排斥する行動に出た。米国ではイラク支持が大勢で、ブッシュ政権の支持率も絶頂だった。チックスのCDが捨てられ、踏みつけられ、ラジオ局ではチックスの曲が禁止された。最初は単なる失言として処理できればと考えていたチックスも、予想外の反応に対して、逆に謝るものかと開き直り、発言の自由を主張した。雑誌の広告ではプロテスト・ヌードまで展開した。だが排斥は脅迫にまでおよび、襲撃を宣言するメールが寄せれるにあたって、コンサートでのセキュリティが強化されたこともあった。当然、保守的な街では、コンサートそのものがキャンセルされたことも多かった。

その間の気持ちをぶつけた曲が「Taking the long way」「Not ready to make nice」などであり、そのレコーディング風景も収録されている。新アルバムはラジオ局のバックアップ無く発売され(結果は大ヒットだった)、コンサートも開催が危ぶまれたが、新しい顧客層の開拓もありこぎつけた。

【この映画をどう見るか?】
この映画の見どころ/観点は、いくつもの視点がある。

①無邪気な国、アメリカという観点
9/11、イラク戦争に限らず、アメリカという国はイベントに流されがちなところがある。何か事件があると、愛国心や自由主義、国益、民族主義・・・などを巡り、大きく世論が揺れる。他民族国家という存立ゆえだろうか。このディクシー・チックス事件も、ナタリー・マインズという、ロック魂のやんちゃな娘の率直な意見に過ぎない。過剰な反応で多くのラジオ局の運営、メディアにまでに影響するとは・・・。

なお、新聞でもよく見掛ける「ネオコン」とは、もともと左翼でリベラルな人々が、保守に鞍替えしたからネオコンと言われるのであって、この場合のコンサバな人々はオールド・コンサバとでも表現ができそうだ。

②プロテスト・カントリーという新ジャンルの観点
他のロックミュージシャンもナタリーの失言(?)と似たことを発言しても問題にならなかった。それはカントリーソングは、古き良き時代、故郷を歌うものというイメージがあるからだ。そのイメージを壊されたオールド・ファンには仕方ないだろう。そしてその音楽性はカントリーを超える展開力がある。

 Cap003 ナタリー・マインズ

③チックス・ファンの観点
素顔のナタリー(そばかすが多い)やエミリー、マーティが、コンサートに入る前にだんだん綺麗になっていく姿は見物である。化粧って恐ろしい(笑)。しかし彼女らの素顔、この映画の魅力の大部分だと思う。

わたしはアルバム「Taking the long way」の録音風景がとても興味深かった。デモテープを録音し(ドラム担当はレッド・ホット・チリ・ペパーズのドラマー)、プロデューサ宅に持って行くと、そこには毛むくじゃらのプロデューサーと毛むくじゃらの犬がいたりして(笑)。そして下手なロックコンサートより激しくダイナミックな演奏のコンサートの風景も収められている。日本人の思うカントリー=演歌ではまったくないので。早く生でそばかすを見てみたい。

加えて家族の姿も興味深い。3人のチックスには7人の子どもがいる(双子がふたつ)。不妊治療を語る場面や出産などのシーンもある。わたしの中ではロックの申し子のようなナタリーに、子どもがいること結びつかなかったが、ママぽくない顔を見てさらに納得してしまった。

④ドキュメンタリーか演技かという観点
ビートルズの映画「ヤア・ヤア・ヤア」の昔から、ミュージシャンの映画は「臭さ」があった。演技ぽさ、わざとらしさ、売らんかなぽさ・・・この映画でも、一部ナタリーらに演技ぽさが感じられるが、それはほんの一部である。全体は自然な流れであるし、この間のプレッシャーに押しつぶされそうになったマーティの涙には感じてしまった。ウォルター・マッソーのような顔のマネージャーも自然でおもしろいキャラクター。この映画の主演男優賞だろう。

 Cap007  マーティ・マクガイア

⑤芸人魂という観点
チックスは1989年のグループ結成である。大ヒットを飛ばしたメジャーアルバム「Wide open spaces」は1998年発売、つまり苦節10年弱の売れない下積み時代があった。マーティが映画の中で言うように、チックスとは「仕事というよりライフスタイル」なのである。簡単には瓦解しないということだろう。ほんとに仲の良い三人組である。

 Cap006_1  昔のディクシー・チックたち。

グラミー賞アルバム「Taking the long way」の中の同名の曲は、「回り道をして」だが、なかなか売れなかったことと、この間の事件からの立ち直りのふたつの意味を込めた曲である。やっとつかんだトップグループの座。こんな事件で失いたくない、むしろ事件を糧にしてもっと売ろう、何でもマーケティングにしてしまうスピリットを感じる。

なお、映画の中にもあるディクシー・チックスに対する抗議のプラカードに、「Shut Up and Sing/黙って歌ってろ!」。これが映画のタイトルになった。ちなみに2006年の彼女らのコンサートツァーは「Accidents and Accusations tour’ 災難と言いがかりツアー)」と名付けられている。こういう反骨さ、わたしはとても好きだ。

 Cap004 わたしと同じ月日生まれのエミリー・ロビンソン
 
【私的な勝手なアドバイス】
音楽にも(ODSによれば)8つのライフスタイルごとに好みがあるので押しつけられませんが、ディクシー・チックスというスタイル、ムーブメントに近いパワフルさを感じる。機会があればCDやDVDに触れてもらいたい。

 Cap002  Shut up and sing!

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月10日 (土)

marimekko 自然がモチーフ

先日、グループ会社の方とのミーティングを持ったとき、事前の打ち合わせでバタバタしていて、わたしがミーティングに持参すべきだったノートPCを忘れてしまった。一度バタバタするとバタバタは連鎖するものである。だから熱血営業のOKさんが気を利かして「僕のPCを持ってきますよ」と言って取りに行った。

そうしたらOKさん、自分のPCだけでなく、プレゼンするわたしのために、わざわざわたしのPCからマリメッコ・マウスを引っこ抜いて一緒に持ってきてくれた。派手なマウスなのでグループ会社の方には笑われてしまったが、赤いウニッコ(UNIKKO)のマリメッコ・マウスはわたしの愛用品です。

 M_pic3  Unikko。

ちょうどそんなところに、マリメッコの2007年新作が到着したという、ネットショップからのメールを見てしまった。柄がついているだけで割高なブランドなのに・・・でも惹かれている。休日の今日は、いつもと違って肩の力を抜いて、marimekko(マリメッコ)2007年春夏の新商品のご紹介プラスアルファで。

【勝手にアドバイス Vol.134  marimekko 自然がモチーフ】
日本でもすっかりお馴染み、フィンランドで最も人気のあるブランド、marimekko(マリメッコ)から2007年春夏の新商品として登場!“ERIJA HIRIVI(エルヤ・ヒルヴィ)”デザインのキッチンに彩を与えてくれるポイントになりそうな植物柄”POIMULEHTIのラテマグ。

販売元のNOASISさんのサイトより引用しました。そのラテマグの写真をご紹介。カラーはレッド、グリーンの二色。陶器製で、サイズは直径約Ф8cm、高さ9.5cm。

 Img10024088726   Img10024088731

なんとも良いナチュラルな色彩感覚。植物のシルエット・デザインがすばらしい。フィンランドに自生しているPOIMULEHTI(ポイムレーティ)という、ちょっと言いにくいけれど、慣れると舌にもやさしい語感がある単語の植物だという。調べてみると、もちろん緑色の植物

 Poimulehti  POIMULEHTI。

この植物がマリメッコ風のデザインになってしまうところが良いですね。日本のマリメッコ直営店などのサイトも見ましたが、まだ本格的に展開していないようである。

【デザイナーはmarimekkoのエルヤ・ヒルヴィさん】
1968年生まれだから36歳。最初は織物を学んでいたが、ヘルシンキ芸術デザイン大学に学びつつ、マリメッコ社に入社したという経歴。マリメッコ社のサイトから、エルヤ・ヒルヴィさんのインタビューを引用します。

 Ph_erja_hirvi  ヒルヴィさん。

あなたのファブリックのアイデアはどこから得ますか?
私は
自然の世界からインスパイアされ、然は私を導いてくれます。パターンのアイデアはあらゆるものから生まれてきます。目を開いてひとたびデザイナーのモードに入れば、たとえ何も見えない窓と部屋があったとしても、そこからファブリックのアイデアを想像することができます。

あなたの夢は何ですか?
ガーデン、休日のコテージ、海辺。そして花々の香りなど、最近頭の中を思い巡らすことが多いですね。
普通に見られる花であっても、その美しさにいつも驚かされます

 Mfb53323150s Mfb53323130s 彼女のナチュラル作品。

「自然がわたしを導く」そして「普通に見られる花に驚かされる」。デザイン、いやアートの原点にあるコメントである。日本では果たして企業に属する工業デザイナーがこんなコメントを言えるだろうか?そして、それが所属企業のホームページに掲載されるだろうか?わたしには新鮮であった。

【マリメッコなどフィンランドグッズといえばこのお店】
ラテマグをメールで紹介頂いたお店とは違いますが、フィンランドグッズと言えばこのお店!というのが、Mikon Finland Shop(ミコン・フィンランド・ショップ)である。東京都葛飾区西新小岩にあるこのお店、雑誌やFM東京にも紹介されている、フィンランド好きには知る人ぞ知るお店だとか

ホームページを拝見するとMICHIKOさんというフィンランドに留学経験のある方が、とにかくフィンランドグッズを広めたいと思って始めた会社のようである。何といってもこのマリメッコ社への詳細な訪問記録は見逃せない。マリメッコ・ファンはじっくり読んで欲しい。
http://www.mift.net/shop/marimekko_d.htm

【マイヤ・イソラ/Maija Isola marimekko社を代表するデザイナー】
わたしのマウスの柄でもある有名なUNIKKOのデザイナー、マイヤ・イソラさん(1927-2001)は、現マリメッコ社の創業者Armi Ratia氏に見出され、自然をモチーフにしたデザインを同社のためにした。そしてそれが企業コンセプトになった。

マイヤ・イソラはたくさんのパターンをデザインしたが、中でもポピーの花をモチーフにしたUnikkoは長年愛されマリメッコ社の代表的な作品となっている。この方がマリメッコを創った、といってもいいだろう。

 Imgsubexp84 マイヤ・イソラさん。

そのマイヤ・イソラさんの集大成の本がこれです。とっても惹かれている(が結構高い) 『MAIJA ISOLA マイヤ・イソラ marimekkoを輝かせた伝説のデザイナー』。

 4894445441_01__aa227_sclzzzzzzz_ 集大成。

デザインのことを考えると、忙中にも潤いあり!血には逆らえない。さてラテマグどうしようかしら。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月 9日 (金)

大学ゼミ発のコラボクリニック

医療の世界でメシを食うという人は多いし、とても多様性に富む。直接医療に携わる医師や看護師や技師、薬剤師、保健婦、事務職だけでなく、病院をとりまく企業は医療機器、製薬企業、卸売企業など納入業者に門前薬局チェーン、臨床検査センターにMRIセンター、さらに教育機関や予備校の先生・・・・そして病院運営のコンサルタントというのもいる。実はわたしも当社(BBS)で病院コンサルティングをしていたこともある。前職はヘルスケア関連の新規事業屋だったので、半ば業界人である。

そんな半ば業界人の目から見る医療の世界とは、ひと言では言えない、巨大なと奥深さと複雑怪奇な事象に充ち満ちている。だから業界人になると白い巨塔症状が現れて、医療のことを知識で深めようとして、つい門切り型の発想に終始してしまう。だから今日のテーマはとっても新鮮な視点に感じた。

こういう起業もあるんだ」と思わされたクリニックの開業は2006年11月末だった。今どきの大学生も議員も医師もなかなかやるもんだ。元気づけられる「コラボクリニック」が今日のテーマ。

 Logo_8  西新宿。

【勝手にアドバイス Vol.133 大学ゼミ発のコラボクリニック】
『コラボクリニック』のコンセプトは次の通り。
コラボクリニックは、クリニックに対する既成概念を打破し、受診される皆様が、心地よく快適に診療を受けられる新しい形のクリニックを目指しています。
出典 http://collaboclinic.com/

既成概念打破はたくさんある。「ゼミからの発案・実行」「ゼミ教員の資金援助」「明確なターゲティング」「立地」「低コスト運営とこだわり」「学生事務職員」などなど。ひとつひとつが、医療業界という枠を外れて、とても新鮮なのである。

 Medical01  6Fらしい。

【ゼミからの発案・実行】
最初のきっかけは、中央大学公共政策研究科客員教授で、東大医科学研究所客員研究員でもある鈴木寛参院議員が東大で受け持つゼミで、「日本の医療をもっと患者にとって便利にできないだろうか」 と学生に問いかけたところ、ひとりの学生、東京大学文科1類1年生の城口洋平さんが「ボクがやります!」と。

その話に、東大医科学研究所客員助教授の上昌広さんが関心を持って、よ~し!医師の紹介などのバックアップをするぞ!で具体化した。それを受けて城口さんらは3つの方針を立てたそうだ。ツボを押さえている。

①利用しやすい時間帯
②通勤・通学に便利な場所
③患者と医師が密接なコミュニケーションを取れる

【民主党議員スズカンさんの援助】 
ゼミで発言をして、城口さんが「ボクやります!」と言ったから引っ込みが付かなかったかどうか知らないが、ポンと120万円を資金提供したという鈴木寛参院議員。その経費の扱いがどういうものか知らないが、たとえ経費扱いであっても、わたしは素晴らしい用途だと思う。民主党、ポイント1!である。

そういえば、今日(2007年3月9日)もちょうどこんな事件があった。民主党の芝博一、蓮舫氏ら4人の議員衆院第一議員会館にある松岡利勝農相の事務所にアポなしで押しかけ、農相が光熱費や水道代を経費計上しているのを追求して、秘書と入れろ・入れない、(経費計上している)還元水装置を見せろ・見せないで揉めたという。http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070309AT3S0900C09032007.html

こんな経費計上をする議員さんには、ぜひコラボクリニックの学生の爪の垢を煎じて、還元水装置に入れてほしい(笑)。

【明確なターゲティングと診療科目】
サラリーマン・OLを主ターゲットにすることを決めた上で、そのメイン層の利用しやすい時間帯「のみ」診療するという思い切りもいい。診療時間は夜6時~9時までだけである。受付・事務運営一切が学生がアルバイトでやっているので、授業後という考えもあったのであろう。

だが仕事を抜けてクリニックを訪れ、また仕事に戻るという人もいるそうだから、そのターゲット&立地のねらいはばっちり当たっている。

診療科目も当面は内科、心療内科の二つだけを標榜するが、このクリニックの規模、施設面からの制約だけでなく、通うことがしやすく、精神ストレスに悩まされる日本人に必要な科目である。とても良い絞り込みである。

【病診連携を考えた立地&診療体制】
病診連携とは、病院と診療所=クリニックの連携を言い、かかりつけ医は診療所、そこからの紹介状を持って高度医療を受療するという、餅は餅屋の関係を言う。コラボクリニックはエブリデイ診療に徹して、健康管理や健康維持につくし、異状を見出したとき、新宿という地の利(東京医科大学病院、東京女子医大、国際医療センターなど大病院)を生かして、高度医療機関と連携する。

原則を踏まえ、それを実現した立地も素晴らしい。

Map  

【低コスト運営とこだわりの椅子】
とにかく120万円の原資しかないので、低コストで開業をすることを心がけた。大学生達は起業の心意気とボランティアの気持ちだったのでしょうか、みんなで内装も外装も、薬袋制作やシステム開発までも自分たちでやったという。節約のため?クリニックは2つの診察室、待合スペース、受付兼事務スペースのみだそうだ。

通常の診療所でも数千万円かかるところを内装・什器備品など開業投資150万円、運転資金投資で150万円の合計300万円で開業にこぎつけた。きっと議論も苦しいこともあっただろうが、大学生たちはコラボレーションの楽しさという得難いものを得たことだろう。きっとプロセスの苦労も楽しかったのではないだろうか。

 Medical02  サークルぽいぜ。

【節約と一品豪華主義】
ケチケチは、オープン系のレセプト・システムの採用と工夫のある薬袋(やくたい)に現れている。レセプト(診療報酬)請求システムは、日本医師会のオープンソース・ソフトのORCAを使う(無料)。そして薬袋は、複数の薬をひとつにとりまとめる工夫をした。

一方、一点豪華主義は、患者用の椅子である。大学生たちが何日も探し回って探したリクライニング式の一脚10万円だそうだ。一般のクリニックだと、背もたれのない丸椅子に座らされる「5分ところてん診療」だが、彼らは「患者はゆったりとして診療を受けるべきだ」と考えたのだ。

Ik20070105150848355l2  Sofa
どうして大人には、こういう発想ができないのだろうか?

【勝手にアドバイス】
ここまで斬新な事業化をしたコラボクリニックに、勝手にアドバイスはできない。脱帽である。

世の中の病院経営者や医師や看護師たちは、この事例を知って何を思うのだろうか?自分たちの「常識」からかなり外れている単なる学生起業ね!で終わるのだろうか?自院・自診療所に何が欠けているか、真剣に考えるきっかけになるだろうか?

既存の医療業界どっぷりの方々への疑問で終わつつ、今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月 8日 (木)

PLCで蛇口をひねれば音楽の時代

1932年という大昔だが、松下電器産業の創業者松下幸之助氏が「水道哲学」というものを提唱した。

「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。水道の水は、通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、価格があまりにも安いからである。産業人の使命も、水道の水のごとく、物資を安価無尽蔵たらしめ、楽土を建設することである」
出典 http://panasonic.co.jp/eco/policy/kounosuke/km_0003.html

なんでこんな書き出しかといえば、水道=Tapであるが、2007年2月28日、パイオニアから「music tap」という製品が発売されるという発表があったからだ。

うたい文句は「家庭内のどこでも音楽を楽しめるPLCスピーカー」。Tap=蛇口であり、水道哲学にも通じる「(家庭内のどこでも)ひねれば音楽がでる」というコンセプト。コンセントに機器を差し込むだけで台所でも階段の踊り場でもトイレでも屋根裏部屋でも、どこでも音楽が楽しめるというシステムだそうだ。今日の勝手にアドバイスはパイオニアの製品とそのコア技術であるPLCを取り上げたい。

【勝手にアドバイス Vol.132 PLCで蛇口をひねれば音楽の時代】
パイオニアの音楽の蛇口って何なのか?

パイオニアはこの度、業界初のPLC(Power Line Communication/電力線搬送通信)技術を内蔵したスピーカーシステムを新発売いたします。本製品はネットワークスピーカーの電源プラグをコンセントにさすだけで、家の電力線を通して、好きな時に好きな部屋で音楽を楽しむことができます。スピーカーケーブルを接続する必要のないこのモデルは、生活の動線を妨げることもありません。自宅に居ながらホテルのラウンジやカフェのように、音楽がどこにいても聞こえてくる心地よい空間を創造できる全く新しいミュージックライフを提案します。
http://pioneer.jp/press/release568-j.html

パイオニアが発売する製品の構成は、「パワーラインサウンドシステム(母艦と呼ばれる)」と増設用のスピーカーである。

Mmitea001028022007_1_1_ea 母艦とスピーカーなど。

この母艦と音楽を蓄積したパソコンやアナログ電源のコンポ、もちろんiPodのようなポータブルオーディオプレーヤーを接続して、その音源デバイスから、コンセントを通じてキッチンのスピーカーからもリビングのスピーカーからも、それこそ階段の踊り場からも音楽を流すことができるという仕掛けである。

“music tap”とは、音楽の蛇口という意味。 サウンドステーションをコンセントにさすと、そこから音楽を家中に運んでくれます。あとは、ネットワークスピーカーを聞きたいお部屋のコンセントにさすだけ。まるで蛇口をひねると水が流れるように、家中のコンセントから音楽が溢れ出します。
http://pioneer.jp/musictap/

やはり家中、音楽の出る蛇口なのだ。その蛇口は水道ではなく電器のコンセント

Avf_01_01 1カ所つなげば家中音楽洪水。

コアにある技術=PLCとは】
PLCという技術、正確には「電力線通信(Power Line Communication)」と言われる。

家の中(正確には家の外の変電所まで)の配電線を使って通信ができる技術。いわゆる大容量通信=ブロードバンド通信である光ファイバやDSLの一派と考えていいだろう。その特徴は、通信のために新たなインフラ投資が必要でないこと。各部屋のコンセントを使って、インターネットにそのまま接続できるという技術である。

その意味では水道哲学=音楽哲学だけでなく、インターネット哲学になるのである。パソコンやテレビからダイレクトにインターネットにつながるという技術である。このPLCにはさまざまな課題がある。

・漏洩電磁波の問題
 インターネットとう高周波通信をするため、電磁波の漏洩が起きる。ラジオ(短波)、アマチュア無線などに電磁波の影響が出るという。電磁波で自殺が増えるとか発ガンするという実証されていない話もあるが、それはよくわからない。

・医療機器への影響
 医療器具や精密機械の誤作動の可能性が。特に医療機器(心臓ペースメーカーや、心肺維持装置)への影響もありうる。

他にも、電器業界にはつきものの「技術標準規格」という問題があり、松下水道哲学(パナソニック)の推すHD-PLC、スペインDS2社のUPAなどがあるという。いずれ改善されるだろうが。

【そもそも解決したいことって何だったけ?】
コンセントに機器をつないで音楽やネットがどこの部屋でも・・・。考えてみれば有線LANだって無線LANだってできることじゃないか。

わたしはCherryさんから譲って頂いた無線LANを用いて、このブログを書いている。ネットにフックするくらいであれば無線LANルータで十分だが、youtube動画を視聴しようとすると確かに無線だときついときがある。だがそれが家庭内の問題か(家庭問題ぢゃないです笑)、社会環境の問題か(太平洋上のトラフィックはyoutubeにかなり占有されていると言われるが)わからない。

Cherryさんの無線LANにつなぐのはPCもあり、つまりウチの中はLANケーブルとTVケーブルがにきょきにょきしている。これはモールで隠しても大変邪魔なのである。やっぱり全部を無線にするか、電灯線すれば、すっきりするだろう。これが基本ニーズである

【家電コントローラーという解決策】
「家のさまざまな部屋の照明も1つのリモコンでコントロールで」という製品も発売される(米国のControl4社(ソルトレークシティ)。この製品はデジタル家電機器を制御することで「快適な生活」を実現するというコンセプトだという。

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ワンタッチでホームシアター、複数部屋で音楽、家のすべての照明を手元コントロール、室温制御、セキュリティという機能がそろっている。それをすべてPLC、つまりコンセントでやってしまうというものである。

Mmit1i005011012007_3_1_0011i  これから発売のようでして、まだイメージ写真。

【ほんとうに家庭でやりたいことは】
その昔、HA=Home Automationというコンセプトが流行ったことがあった。そのときは制御機器による空調制御やお風呂などを集中管理しようというものだった。そんなことぐらいで設備を投資する家庭が増えなかったのか、いつの間にか消滅した。

ウェビキタスの時代(ウェブ+ユビキタスの造語)になり、さらに家庭といっても個人の生活が重視される世の中では、空調ではなくインターネットによる集中と分散こそニーズがありそうだホーム・ファイルサーバが家のどこかにあり、それに画像や音楽、写真を格納し、家中どこからでもアクセスできる。編集もできる。ホームサーバによってデジタル放送もIP電話も、セキュリティも集中管理される。そういう集中と分散が、家庭にも入り込むのである。

【ひとつだけ、勝手にアドバイス】
わたしの欲しいのはコース料理ネットワークのようなものである。冷蔵庫、電子レンジ、IHシステム、オーブンなどがネットワーク連携していると思ってほしい。

たとえば今日はフランス料理。冷製オードブルは適切な温度に冷やしてくれる冷蔵庫。そろそろ食べ終わる頃、スープが適温に温められる。次いで魚料理がクックされ、肉料理へと。チーズも適温ならデザートは、冷蔵庫から指令によって・・・のように、調理家電同士がコンセントを通じて喋ってくれると言うことがない。逆に文句もつけられないが(笑)。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月 7日 (水)

@niftyタイムラインで時を共有!

ミヒャエル・エンデの代表作『モモ』では、灰色のスーツを着た銀行マンのような男達が出てくる。その男たちは「時間を貯金することができる」と言って、時間貯蓄銀行を利用しましょう!と人々をそそのかし、労働をさせるとういものであった。町中の人たちはみんな生気を失ったような顔をして・・・・・こういう話でした。

確かに日本の成熟した資本主義社会。毎日忙しい人々ばかり。どこでもかしこでも時間を奪われて幸せでない人も多い。わたし自身、どうだろうか?なんて考えてしまう今日この頃。

そこで今日のテーマはニフティのタイムライン。このサイトの開発者が『モモ』を読んだかどうか知らないが、せめてウェブサイトでは現在・過去・未来の時間を自在に扱えるようにしよう!というのは良い発想だと思う。

 Timeline_logo 猫も杓子もβ版

【勝手にアドバイス Vol.131 @niftyタイムラインで時を共有!】
cocologを運営するニフティの新サービス、タイムラインとは何か?

http://timeline.nifty.com/」は、利用者が興味のあるテーマについて記事を投稿でき、その情報をタイムライン上に掲載することができるサービスです。投稿した内容は時間軸に沿ってグラフィカルに表示できます。また、投稿内容について閲覧者がコメントを付けることも可能なので、グループでの情報共有やコミュニケーションに利用できます。

サイトのガイドラインの記述では、たとえば「子どもの成長キログラムを写真でタイムラインづくり」「歴史上の人物のタイムラインをみんなでつくる」「プロジェクト管理表のタイムラインをメンバーで共有する」「好きなアーティストのディスコグラフィーをタイムライン」・・・つまり、時系列で起きたこと、起きつつあることをウェブサイトで共有するというコンセプト。ちょっと事例を見てみよう。

「任天堂の歴史」というタイムラインでは、1980年代から2000年代まで、ファミコンの発売からWiiの発売まで時系列で記録が掲載されている。画像+コメントもあるが、コメントだけで「任天堂のディスクシステム・・・いくらだっけ」(笑)というのもある。

「空でつながろう!」というのでは、月別のタイムラインで、知床の夕焼け、十勝岳~雲海を抜けて、寒いけど息をのむ、・・・などコメント付きで画像が投稿されている。

「スタートレック」には書き込みが多くて、1980年代から2010年までのタイムラインで、「宇宙大作戦」「ネクストジェネレーション」「ディープスペースナイン」「スタートレックLDボックス発売」などさまざまな記述と画像がある。

 Timeline
 スポックの歴史も創ってほしい。

なるほど。人間は成長しいつか死ぬものだし、過去の歴史は時間軸で支配されているし、プロジェクトは七転八倒してもいずれ終わるものだし(そう願いたい)、好きなアーティストのディスコグラフィーもいいね。たとえばローリング・ストーンズのような不死バンドは、これまで大量のアルバム・シングル・ブートレグを長期間にわたり多国籍で発売している。こういうアーティストの作品整理にはもってこいのサイトである。

【簡単に言えば時間軸のコミュニティかしら】
ようするに「任天堂」「感動した空の風景」「スタートレック」といった特定のテーマでコミュニティをつくり、画像を投稿して、それを時間軸で並べる、というサイトである、と思えばいいだろう。

ジョギング記録を共有して比較できるジョギング2.0Nike Sports + のようなことが、どんなジャンルでもできる、というようなサービスと言い換えてもいい。

その時間軸は秒、分、時、日、月、年、10年という切り口で切り替えができるのがおもしろい。その投稿時点で時間指定ができるのである。閲覧可能範囲も自分だけから仲間、一般まで閲覧できる可変。つくった年表や時表をブログパーツにして貼り付けることもできる。発想次第では融通無碍につかえそうだ。

 About_img
 ブログパーツもいいが、ニフティさん、ココログも改革をせよ!

【勝手にアドバイス】
①SFAより使えるかも知れない。
SFAとは営業支援システム。営業パースンの活動プロセス管理、成果管理、情報共有に使う情報ツールであるが、ひも付きではないコンサルタントとして率直に言うが、必ずしもうまく使えない・使い切れないのである。その理由はさまざまだが、プロセス管理の重要性を上司も部下も同僚も理解しなければ、無用の長物になりがち。

それはそれとして、このタイムラインぐらいの管理でどうでしょうか。つまり営業日報メモレベルでの活用でいいじゃないかと割り切って、どこどこにいつ何で訪問したという「スケジュール歴史」表をつくり、社内だけで共有できるようにする。

それだけでもメリットはある。「おう、前にあれやったよな・・・ほらあそこの会社だよ。あのテーマ・・・」という初老の上司を黙らせることもできるし(笑)。

②高校生の勉強には効果的だろう。
歴史の勉強に使えますよね。自分で作成すれば歴史や年表を覚えられるし、学校のクラスの勉強サークルや試験前に、みんなで歴史年表を作成し合うと新しい学習スタイルにもなる。

③執筆活動にも使えそうだ。
周防正行監督は映画「それでもボクはやっていない」を撮るために裁判を相当回数傍聴したという。脚本を著述をする上で、メモや傍聴記録、写真、報道など、一連の情報を時系列にこのサイトに貼り付ける。良い使用法だと思う。ルポライターがウェブで調べた記録やURLを、時系列に整理するなどにも使えそうだ。

④定点観測にも使える。
たとえば渋谷の街角を歩く女の子のファッション定点観測。これは!と思ったファッション自意識の高い女の子をデジカメで撮り、時間別に貼り付ける。わぁ~こんな着こなしあるの!みたいな輪が広がれば面白い。ということは、交通量調査店舗の顧客入り込み調査にも使えるのである。

時間は貯蓄できないが、今や共有できる。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月 6日 (火)

弥生・小雪さんのトート/COACH 65 TASTE

わたしのCOACHとの出会いは、安くて長い。

それはもう10年も前になるが米国のアウトレット・ストアで格安で購入して、使ったり使わなかったりしたものの、結構使い続けて酷使してきた。たまには皮革保護のミンクオイルをくれてやるが、ついにこんなに黒くなった・・・COACHのキーホルダーである。

  Untitled_2  ぼやっとCOACH。

安くて長いお付き合いのCOACHへ、たまには応援をしよう!というのが今日のテーマ。それというのも、なんと『COACH』のブランド創立が2007年には65周年を迎えるそうだ。昔はCOACHと言えば「オバサンにはいいよね」が相場のブランドだったが、2000年頃からそのイメージは大変貌して経営は大成長。

【勝手にアドバイス Vol.130 弥生・小雪さんのトート/COACH 65 TASTE】
COACH 65TASTE MAKERS』とは?

今年、『COACH』のブランド創立65周年を記念し、COACHを代表する“カシン・キャリー”というトートバッグを題材に、アメリカ及び日本の65名の著名人のテイストメーカーとして、クリエイティビティやアイディアを発揮した遊び心たっぷりのトートを製作してもらうというプログラムを実施

モデルでシンガーでもある弥生(YAYOI)さんのブログを見ていたら、COACHがこんなイベントをしているのを発見しました。日米の65人(長沢まさみさんもディカプリオも参加)がデザインしたCOACHのトートバッグ“カシン・キャリー”を題材に、デザインを競い合う。一品モノの作品は、Yahooオークションで販売。販売収益はチャリティへというキャンペーンである。

コーチ銀座店などではこのバッグを展示していた(3月5日まで)。今日時点ではすでに現物を見れないが、入札はできる。弥生・小雪のキャリーはそこそこ人気が高く、2007年3月6日現在で70,000円である。ランキングの高位はこんな感じ。

  Corch_ttl2

ウィル・スミスさん 40万1000円
ディカプリオさん 30万1000円
ヒラリー・スワンクさん 24万9000円
アンナ・クルニコワさん 10万円
オーランド・ブルーム 10万円
藤井フミヤさん 10万1000円

デザイン的には、ウィルスミスさん、ジョシュ・ハートネットさんあたりのデザインが好きだが、弥生・小雪ペアのものも素敵。美しいと思います。

 Pop02 by 弥生&小雪。素敵です!

余談ですが、この“カシン・キャリー”、もう40年もの歴史のあるデザインで、映画「王様と私」の衣装やIBMのユニフォームをデザインしたボニー・カシン氏という前衛デザイナーが創った。40年前のCOACHは「革新的」だったのである。

【65周年の老舗だが新しい】
昔の革新ブランドCOACHだが、中高年がもつCOACHのイメージとはどんなものだろうか? 恐らく、キャメル・カラーの皮革、丈夫だが無骨なデザイン、中価格から高価格帯のオバサン・ブランド。磨いて愛着を持って使える、おとなしいブランド。10年前まではそうだった。

だが10年前からその高品質&オバサン・イメージは、それこそ革新的に払拭され変貌を遂げてきた。それは近年の圧倒的な売上高の伸長率に表れている。

2000年  537百万ドル(623億円)
2001年  600
2002年  719
2003年  953
2004年 1,321
2005年 1,710
2006年 2,111百万ドル(2,449億円)

2000年6月期の537百万ドルから2006年2,111百万ドルまで、6年で4倍の成長である。その成長経営のポイントはブランド=品質、不変イメージという方程式からの脱却があった。

【愛着から愛らしさへのキーマン二人】
愛着のもてる品質の良いブランド、だが買うのはお母さんというイメージからの脱却は、COACH生え抜きのLew Frankfort氏がCEOに就任した1995年から始まった。同CEOは品質や機能だけのブランドから脱却するために、生産管理とデザインを抜本的に変えることから始めた。

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国内の昔気質の皮革工場から、生産を海外移転を進め、デザイン機能を集中化した。そのデザイナー管理の核に据えたのがクリエイティブ・ディレクターで、Tommy Hilfigerなどで活躍していたReed Krakoff氏。

彼らがCOACHのコンセプトを「ファン(楽しさ)・フェミニン(女性らしさ)・ファッショナブル(流行)」という、従来の商品ライン・イメージを180度転換するフォーカスするものに改めた(日経ビジネスの記事参考)。

【可処分所得 VS 可処分お小遣い】
年齢は個人情報なので言えないが、我が同胞Cherryさんは、COACHのターゲットにばっちり入る層だと思われる。そのCherryさん曰わく「驚くほど安いわね」と評するのがCOACH。安い・・・そうだね。あなたは可処分所得の消費者だけど、わたしは可処分お小遣いの労働者だけど。

確かにルイ・ヴィトンのモノグラム・ラインなどヨーロッパ輸入ブランドは7万円~10万円、シャネルやエルメスはもっと天文学的である。その中でCOACHは4万円から6万円ぐらいで入手できる。品質は良いし、デザインは洗練されてきた。つまりお買い得である。

 022307_hand_03  
 オバサン・お母さんから、一気に20台の娘層にシフトしたCOACHの商品ライン。

【毎月のようにCOACHを買わせる】
Lew Frankfort氏はガチガチの高級ブランドという位置づけを捨て、むしろ毎シーズン購入してもらえる価格帯にシフトして、購入回数を上げる方針にした。しばらく使っていれば若い女性は飽きる。また買いたいなとなる。だからこそ、画一的なイメージを避け、「C」のデザインを堅持しつつも、シーズンによって大胆にデザインをチェンジする、中高級のブランド品としては、ギリギリの「イメージ維持&破壊の戦略」にシフトした。

【中産階級ブランディング=COACH】
COACHの象徴とも言える“カシン・キャリー”を「好き勝手にデザインして!」という「COACH 65TASTE」イベント。日米で好感度なアーチストを選んで、勝手にアドバイスならぬ勝手にデザインをしてもらうのだった。チャリティではあるが、ウチのブランドはみんなに自由にしてもらっていい、というメッセージである。

ブランドのコアデザインはCOACHが決めるが、時代と共に変化する表層的なデザイン部分は、COACHファンの感性と共にある、というメッセージである。たとえばルイ・ヴィトンだったら同じことはしない。自動車のMINIに近い、愛着があって小粋であって先進的、そんなバランスを取ろうとしているのではないか。

大衆化させて可処分所得の高い層の中でのマス販売(シェアアップ)と、ブランド進化のためにコア・コンセプトと表層コンセプトのギリギリの妥協点を探る。そういう議論が社内にある。それがCOACHの躍進の理由ではないだろうか。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

 Main_img2 弥生さん Flm_picbkk03 小雪さん

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2007年3月 5日 (月)

中田英寿 地球というホーム

今日は勝手にアドバイスはお休み。隔週で書いています「ぷろこんエッセイ」から
の転載です。テーマは中田英寿さんです。うまくゆかないなということも多い世の中、
中田選手の思い、行動、姿勢にはとても力づけられました。

中田英寿 地球というホーム

正直、今さら中田かと思っていた。彼のサッカーや生きる姿勢にはいつも心を寄せ
たし、彼の最後の代表の試合への献身も素晴らしかったが、やはり2006年6月に
終わった人でもあった。

だから買って読まなきゃ・・・と思っていた『In His Times 中田英寿という時代』の本、
著者の増島みどりさんから「中田の本出しましたので、お時間のある時でも・・・」と
いう葉書を頂いたとき、まずいと思った。なぜなら出版は知っていたが、まだ購入して
いなかったからだ。

葉書を頂いた翌日、書店に行くとすでに本は二刷だった。初刷でなくてごめんなさい。
テレビでしか見たことのないHideに言えばいいのか、増島さんに言えばいいのか
わからないままに、そうつぶやきながら購入した。

読み始めて、中田英寿選手と増島みどりさんのお二人の1994年から2006年の記録
(In There Times)に、何度も涙をこらえた。

スポーツ・アスリートの本なのだから、お涙頂戴の本であるはずもない。それでも
目が熱くなった。涙の元は二つある。一つは中田英寿というアスリートの態度、思考
や生き方への感動
。それを証言するアスリートや関係者の言葉への感動である。

もう一つ。中田が蹴り出す強いパスに「誰も受け取れないスルーパス」という言わ
れ方がされていたことがあった。そのピッチ上のパスだけでなく、日本人の大半が、
中田という生き方を「受け取れてなかった」
。それがわかったからだ。彼の献身的な
プレーが好きだし、理解もしていたと思っていたが、浅かった。自分の不明を恥じた。

この増島さんの傑作(『6月の軌跡』を越える代表作になった)から、1月下旬に30歳
になったばかりの元アスリートの言葉を綴りながら、自分自身の不明さを反省する
のが今回のテーマである。

  Keyvisual

            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【考えること】
  ここ(セリエA)に来てみて改めて、自分は一体何が取り柄なんだろうか
  と考えたわけです。外国の選手に比べたら体があるわけじゃあない、
  背も低いし横幅だってね、こんなんでしょう。(中略)そこで唯一戦える
  ものって何なのかとね。そこから組み立てていく。考えること、それしか
  ない。身体能力なんてこれはもう一生かかってもどうにもならないだろうし、
  技術は習得に時間がかかるからそんなに簡単に追いつくものではない。
  でも考える力、それだけは今すぐに、それがJリーグだろうが、セリエA
  だろうがどこだろうが、すぐに実践できるはずです。

  中田英寿(ペルージャへの移籍のころ)

中田選手の言うように、あらゆる仕事ですぐにできることは「考える」ということで
ある。考えているようで考え抜かれていない組織や個人の行動が多い。考えて
いないから差が付かない、同質化競争に巻き込まれる。

わたしはかれこれ7、8年今の仕事を続けているが、簡単だと思ったことは一度も
ない。いつになったらもっとうまくできるんだろう、もっと切れ味が良い創造性が
出せるのだろう、もっとわかりやすい資料やデータ分析ができるのだろうと、もが
いてきた。知識も少なく才能も乏しいし、同僚や知人に比べて地頭も良さもない。
わたしなりに考えた自分の取り柄は図解力と文章力の二つ。どちらもまだ満足で
きないが、中田を倣って日々トレーニングを続けよう。

【プロは自分の頭の中にコーチを持つ】
  プロは周囲からアドバイスなんてもらうものじゃないし、自分の目で教材
  を見つける。その教材を解いてくれるのはクラブのコーチではなく、自分の
  頭の中にいるコーチということになる。1を聞いて3も5も知る、それができる
  選手だったんでしょうね。(中略)彼には、感性という才能が一番大きな
  武器だったと僕は見ています。その感性が、彼のフィジカルをコントロール
  していたのも間違いない。

  風間八宏(元ブンデスリーガ レバークーゼン選手)

サッカーは因数分解に似ていると言った中田選手だが、実生活でもサッカーと
いう仕事を生活の真ん中にすえて、チーム練習、パス交換、ランニング、ウェイト
トレーニング・・・・とやるべきことを足していったという。足しあげて時間がなくなり
やれずに我慢することが多かった。彼の凄さは教材を見つけるだけでなく、そこ
から「自分をコントロール」できるところであった。

自分の今の仕事を振り返れば、「誰もこの仕事のやり方を教えてくれない」という
ことに、入職後すぐに気づいた。それを恨めしく思ったこともあったが甘えである。
自分でどん欲に教材を見つけ、人から技を盗むしかない。成功か不成功かは、
自分の心の中に響く音を頼りにするしかない。

【平静心】
  あがくことが悪いわけじゃないけど、時には起きたことを受け入れて、
  そこからどう次につなげるかは自分との戦いになる。卑屈になったり、
  諦めたりせず、自分の力だけではどうしようもないものを、いかにプラス
  に転じて  いけるかが大事なんだろうね、それを学ぶことができたと思う。

  中田英寿 (2005年の長いケガのシーズンを振り返って)

  「いい時も、悪い時もある。大切なのは、ふて腐れたり、境遇を恨んだりせず、
  受け入れて次につなげることだ」

  同上

これを読んで、もう愚痴は言うまいと心に誓った。悪い時もあれば良い時もある。
それを自然体で受け止められる人間性を持たなければ(・・・ああ道は険しい)。

【気遣い】
  ヒデが急に、キャプテン、きょうお誕生日ですよね、おめでとうございます、
  と言うんでびっくりしてね(中略) いやもう69だよ、なんてね。ヒデは、エッ、
  そんなに年取っているんですか?ともかくこれからも頑張ってください、
  なんて励まされて。ホテルに帰ったら、部屋にシャンパンが届いていてね。
  ああ、ホテルからのプレゼントか、と思ったら、カードにヒデの名前が書かれ
  ていた。

  川淵三郎(日本サッカー協会 キャプテン)

マスコミから伝えられてきた像とは異なり、実に細かい気遣いをスマートにできる
のが中田だったのである。マスコミ報道の不正確さを改めて感じた。

【2006年のW杯敗戦】
  98年以降の代表は人を生かすよりも、自分のことを優先する傾向に
  あるように感じますね。今(2006年)のほうが、あの時の代表より何十倍も
  上手い。テクニックの進歩は目覚ましいけれど、一方ではメンタリティは
  その進歩についていっていないように感じることもある。

  中田英寿(2006年W杯前のインタビュー)

テクニックがメンタリティに付いてゆけなかったのがサッカー界の8年間だったと
すると、ここ数年の日本の社会にも、同じことが当てはまる。その一方で、
バブル経済以降の日本は「社会品質」が劣化している。

たとえば外資系投資銀行に入って数年で辞めて、ファンドをつくって儲けて
アーリー・リタイヤ。どんなビジネスでもいいからネット起業して、上場するか
会社を売ってリッチになろうというような、テクニックというか処世術というか、
そんなことばかり注目されてきた。それを批判する論調もあるのだが、どうも
世間一般は、そうした正論を支持しようとしないのが風潮である。

インターネットが人をつなぐ上で果たした役割は大きいが、同時に深いところでの
共通意識、社会意識を減退させているのではないだろうか。法律遵守、年金、
ニート、格差・・・自分のことを優先するあまり、上から下まで、これほど無責任な
感情が支配した時代があるだろうか?中田はサッカーを通じて、これと同じことを
言っているのだと思う。

【リーダーの責任】
  (2006年ドイツW杯)ブラジル戦の翌朝、一睡もしないまま、川淵はそれ
  でも、自らがパーソナリティを務めて4年続くラジオ番組「キャプテン川淵の
  行こうぜ!オレ達のニッポン」(ニッポン放送)の生収録に臨んでいた。ピッチ
  で倒れていた姿ではなく、ロッカーの前でうずくまって肩を震わせ泣いていた
  中田の姿を初めて明かしたとき、部屋中(収録室)が静まりかえった。

  増島みどり記

ロベルト・バッジョ(イタリア元代表)は10番という責任に対して、「サッカー選手と
してだけでなく、一人の人間としてそのパーソナリティ、価値観を試され、注視さ
れることを意味している。勝てば皆が良かったからだ、もし何かうまくいかない
ことがあれば、その責任はすべてこの番号にのしかかる
」と語る(本書より)。

1998年、2002年、2006年、3つのW杯で中田はずっと「10番」であり続けた。背番号
は「7番」だったが実質的にリーダーであった。なぜ29歳でプロを辞めるのかと言われ
続けたが、当時の代表の力では勝ち抜けないという読みと、その時の身の処し方
を考えたのであろう。勝てないなら辞める。サッカーという狭い世界のルールと
いうよりも、一般社会の掟に従ったのではないだろうか。

【アウェーの精神性】
  「アウェーの苦手な日本人と、サッカーでアウェーを生きようとした中田
  選手を、来たる新学期から授業でも是非取り上げたいのです。歴史上の
  人物が海を渡ったといっても、生徒は無関心ですが、中田選手が、となれ
  ば俄然意欲が湧くと思います」

  (ある大学教授が増島さんの原稿を講義に使用する上での連絡文書)

言葉も生活も現地に溶けこんだ中田の姿に影響された人は多い。わたしも短い
期間だがアウェー(海外)に一人でいたことがあった。一人アウェーは、やって
みた人ならわかるが孤独である。彼の8年にわたるアウェーでの行動力は偉大
としか形容できない。

わたしのアウェー(1994年頃)の頃の余談だが、日本の実家から送られてくる
『サッカーマガジン』に連載されていた増島さんの記事で孤独を癒した。海外
から感想を送ったのが葉書を頂けるきっかけになった。

【地球がホーム】
  もちろん日本で生まれ育ったわけですが、僕らは地球で生まれているん
  だから、まあみんな同じなんだと思うことはありませんか。もちろん、色々
  な壁がある。言葉であり文化であり、宗教であり。しかし、こういう壁を取り
  除いたとき、誰にとっても、ここ地球がホームになる。

  中田英寿(引退後のインタビュー)

中田が「旅に出ます」と言った意味は「地球がホーム」であることを確かめるため
であったのだ。ピッチでも、練習場でも、ロッカールームでも、アウェーでも、サッ
カーという枠には収まりきらない人間が中田英寿であった。こういう30歳の日本人
もいる。それが嬉しかった。

            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

増島さん、こんなにたくさん引用してすみません。わたしの拙文を読んで、本を
読んだ気になってしまう人がいたら申し訳なくて(笑)。中田好きの人も中田嫌い
の人もこの本を購入して、中田がもたらしたものが何だったのか考えてほしい。

Title_1
The masujima stadium

今日は以上です。お読みいただき、ありがとうございます。これからもよろしく
お願いします。ではまた明日。

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2007年3月 4日 (日)

四元奈生美さん 「やってる私たちは暗くない!」

2007年1月に行われた全日本卓球選手権では、高校生最後の大会に「福原愛敗れる、高校生女王ならず」というニュースがあった。その福原愛さんも高校卒業、早稲田大学スポーツ科学部進学という。TVのバラエティにも出演する人気者で卓球人気の立役者でもあるし、滞在していた中国でも人気があるという。

 225pxai_fukuhara_at_2004_olympic 「ター!」

だが福原さんを見ると、どうもあのひたむきさが気になる。まじめだし、好感が持てるのだが・・・暗い(笑)。いや彼女が暗いわけではなく、卓球というスポーツが根暗のイメージがあるのである。

その根暗さをバネにして、明るくメジャーにしよう!と頑張っているのは彼女だけでない。肩モロだしの衣装と大きな花を付けて話題になった四元奈生美さんもそのひとり。今日のテーマは、わたし自身は過去ン十年やった覚えがない卓球、それを明るくする!がテーマ。

【勝手にアドバイス Vol.129 四元奈生美さん 「やってる私たちは暗くない!」】
左肩を大きく露出させた白のワンピース。プリーツのミニスカート。栗色の髪に乗せられているのは髪飾りのマーガレット。襟付きポロシャツに短パン姿といった他の選手に混じってひとり、四元だけが、あたかもフィギュアスケート選手のような煌びやかさを醸していた。

「中学2年の頃から規定のウェアでもチームのみんなで色をそろえてみたり、デザインに凝りだしましたね。以降、ポロシャツと短パンを着て試合に出場したケースはほとんどありません。全日本選手権は3大会ぶりの出場だったものですから、確かに注目は浴びましたね」
http://sports.infoseek.co.jp/other/yotsumoto/index.html#photo

 Pic004  ショルダー・シェイクハンド。

今回の衣装イメージは、3大会ぶりの出場を果たし、自分自身を生まれ変わらせるというテーマ=『誕生』だったそうだ。自らデザインした原始人イメージの衣装。結果的には4回戦で敗退したが注目度は抜群だった。審判からはひんしゅくをかったが、国際卓球連盟(ITTF)アダム・シャララ会長は「マーガレットの花をつけたクリーム色のウエア姿の四元を「グレート。非常に美しい選手。美しいウエアだ。みんなこういうウエアを欲しがってるんだよ」と絶賛した。海外でもマイナー&根暗な卓球イメージなのだろうか(笑)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070120-00000000-dal-spo

【きっかけは無観客ゲーム】
「卓球の競技国は、実は180か国もあるんです。日本人も誰しも一度はラケットを持ったことがある、親しみやすいスポーツなんじゃないでしょうか。でも、なぜか、地味で暗いスポーツと言われ続け、注目度も他のスポーツと比べてとても低い。わたしはプロ選手のひとりとして、会場の席を埋め、来てもらったお客さんには楽しんでもらわなければいけないという責務を負っているんです
出典 同上

2001年に大学からプロに転向したが、そのときの衝撃が忘れれないと話す。それは実業団リーグのあまりの観客の少なさである。「最近の実業団リーグでは観客が1人や2人のときもある」と関係者に聞き驚いた。彼女が卓球を始めた1985年頃、卓球人気はもっとあったそうだ。それが、サッカーの無観客試合ではないが、観客が1人、2人とは・・・。

 Mm20070120145627105m0 観客増を目指して、審判より貢献している。

【たしかに・・・マイナーではないマイナースポーツ】
SSF笹川スポーツ財団が隔年で実施している「スポーツライフに関する調査」の2004年の調査によれば、卓球のアクティブ・スポーツ人口は野球やエアロビクスと同レベルの71万人(全国推定値)もいる。http://www.ssf.or.jp/dat/ld_04.pdf

 Photo_28 11位とがんばっているが。

ここでいう、「アクティブ・スポーツ人口」とは、週2回以上、1回30分以上、運動強度「ややきつい」以上の運動・スポーツ実施条件を満たしている人である。結構多い。2002年の同調査では「過去一年間にやったことのあるスポーツ」で卓球は堂々の推定人口559万人。ちなみに水泳は923万人、釣りは870万人、ゴルフは857万人、スキーは626万人である。http://www.ssf.or.jp/dat/ld_02/ld_02.pdf

卓球は誰にでも(老若男女問わず)どこででも(温泉旅館でも)できるスポーツなのがあだになり、易きに考えられてプロでも観衆を集めることができないのだ。

【実力は高い】
だが四元さんは中学、高校を通じて実力はトップクラスであった。大学では日本代表にも選ばれ、ユニバーシアード北京大会でも好成績を残す実力派でもある。2004年には中国リーグにも参加、初の外国人所属選手として北京チームでリーグ総合優勝もしている。

プロ転向後、2003年に有限会社を自ら設立(スポーツスタジオ エントリーナオミ)し、社長兼選手として活躍。可愛いだけではなく計算もしている。

【所属クラブは東京キングコング】
彼女の所属する東京キングコングの運営者は、浅葉克己さんというアートディレクターである。浅葉さんは西武百貨店の「おいしい生活」などの広告で有名。実は根っからの卓球フェチで、日本卓球協会評議員である。

 Asaba1  ウッディ、なつかしい広告はby浅葉さん。
 
浅葉さんは卓球の普及をめざし25年前から「1人ピンポン外交」を始め、自作の折り畳み式卓球台を背負い中東の死海から北海道の凍った湖上ま30カ国でプレー。ブルーの台にオレンジのボールを発案したパイオニアだ。http://www.zakzak.co.jp/people/20070217.html

四元さんは、こうした浅葉さんの行動や思想に感銘を受けて、クリエーター・デザイナーズ集団の東京キングコングに加入した。このキングコング、クリエイティブより卓球クラブの活動が有名になった笑)。

【勝手にアドバイス】
四元さんには美しきピンポン外交を、マスコミの揶揄や心ないネット小僧にめげず、ぜひ続けてもらいたい。だから勝手にアドバイスをふたつ。

①ターゲティングは女子小・中学生にフォーカス。
10年計画で競技者層を拡大しよう。そのためには小学生、中学生がターゲットである。
前に『ピンポン』という漫画&映画もあったが、四元さんを主人公に見立てた映画やドラマをつくるように働きかける。中国リーグ後は激ヤセもしたスランプもあったというから、そんな実話もまじえて、原作ストーリーをつくってみてはどうだろうか。

②ライバルが欲しい。
できれば美しきライバル(笑)がほしい!プレーもファッションも競い合いたい。競い合うことで助け合えるし、メディアの話題になる。

卓球に負けないくらい根暗な将棋(失礼)も、2007年2月22日、女流オープントーナメントで、将棋界第一人者で「将棋界のマドンナ矢内理絵子さん(名人)と14歳の里見香奈さん(1級)の対決で湧いた。卓球でもこういう対決を実現したい。

 Mm20070222201658580m0  結果はヤッピー勝利。

今日は以上です。ではまた明日。

045 ファンのためにもう一枚。

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2007年3月 3日 (土)

ホンダF1からe1への道

2007年2月26日、ホンダレーシングF1チームは、2007年のレース用マシン・デザインをロンドンで発表した。それは青い地球をイメージした、企業の広告ロゴを外したものであった。

 Tky200702260458  地球F1。

自動車レースの最高峰と言われるF1では、塗料ひとつとっても武器のひとつである。たとえばメルセデスチームは軽量化を図るためにペイントを剥いだこともあった。

気象庁が2007年3月1日に発表したように、今年は不都合な記録的な暖冬である。今冬の平均気温は全国63カ所で観測史上最高を記録した。気象庁によれば暖冬の主因は①北極振動、②エルニーニョ現象、③地球温暖化だが、①も②も温暖化に関連していると言われる。

そんな中、ホンダチームでは「F1も気候変化と無縁に存在できない」とコメントした。今日の勝手にアドバイスのテーマは2007年のホンダF1の環境への取組みを考えたい。

【勝手にアドバイス Vol.128 ホンダF1からe1への道】
ホンダチームが地球色デザインのF1を発表した場所からして変わっていた。ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)。生命ギャラリー、地球ギャラリー、そしてダーウィン・センターなどから成る自然科学の博物館である。

ホンダチームのCEOニック・フライ氏(Nick Fry)はこの会見でこう語った。
“Climate change is probably the single biggest issue facing our planet and F1 is not immune from it,” “On the contrary we believe that F1 with its huge global profile and cutting edge technology can play an important role in not only highlighting the issues but also playing our part in developing solutions.”
(拙訳 気候変化は恐らくわたしたちの惑星が直面する最大の問題である。F1といえども無縁というわけにはゆかない。だがF1の地球規模の活動とその最先端技術は、環境問題をクローズアップさせ、その解決策を開発するという役割を果たす上で重要なものである」

“So we at Honda F1 are proud to dedicate our car to the environmental challenge. We believe that solutions can stem directly from engineers working on our F1 programme and are working harder than ever to achieve our dreams and win the world championship while embracing and underscoring Honda’s environmental ethos.”
(拙訳 ホンダF1チームは環境問題へ貢献することに誇りを持つ。その解決策は、F1チームの活動から直接エンジニアがもらたらしてくれるものである。われわれの2つの目的、ひとつはチャンピオンシップを勝ち取ること、もうひとつはHondaの環境エトス(同社の環境宣言のことだろうか)を浸透させることを実現する)
引用元 F1公式ウェブサイト http://www.formula1.com/news/5689.html

 Web_big  ニック

使われている色は「海の青、大地の緑、宇宙の黒」の3色で、地球の衛星写真状のデザインを施し、環境の保護を訴えた車体には自社とタイヤメーカーの小さなロゴ以外にスポンサー名を掲出せず、“走る広告塔”のイメージは消えた。

 昨年までの大口スポンサーのたばこ企業が撤退し、戦略の見直しを迫られた今季は、レコード会社や飲料メーカーなど新たに10社と契約。引き続き契約した企業と合わせた41社は、環境問題への取り組みに賛同するパートナーとして位置づける。ホンダ・レーシングF1チームの和田康裕会長は「F1を環境問題のシンボルとして、一つのメッセージを分かち合う、新しい試み」と意図を語った。
引用元 http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20070226ie27.htm

会見ではエンジンがどうだとかサスがどうだとか、まったく語られていない。環境に貢献するというメッセージのF1お披露目であった。

【F1とは規約という意味である】
言うまでもなくF1はフォーミュラ・ワンの略である。フォーミュラ(Formula)とは「規約という意味である。F1という取り決めの中でレースを実施するという意味である。

その取り決め/レギュレーションは、近年燃費や安全性確保、V8エンジンのみに限定するなど開発費の高騰の抑制などの問題を色濃く反映してきた。さらに今後ギヤボックスの標準化、レアメタルの使用禁止、スペアカー禁止、燃費効率アップ、ハイブリッド化まで取りざたされ、コスト低減と環境問題への関与は明確である。とは言えレースなので、抜け駆けが多いと言われているが。

環境保護の主張を通すために】
ビジネスの現実面では、ホンダチームはメインスポンサー(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)との関係があった。2007年で同社とスポンサーシップの終了するのに合わせて、車体色を自由にできるようになり、この地球色が実現した。それに先立つ2006年、HondaはF1チームへの出資を増資し100%として、その活動をコントロールできるようにもしてきた。

Hondaには他社に先駆けて1992年に「環境宣言」を発表している。商品開発における資源の節約、商品のライフサイクルでの適切な廃棄物処理、汚染の最小化、企業市民としてまた社会の一員として地球環境維持などを宣言している。
参考 http://www.honda.co.jp/environment/policy/03.html

【世間をあっと言わせた太陽電池】
Hondaでは2007年より自社開発の太陽電池を量産する。その変換効率もすごいが、製造効率も高いという。

「自動車は多くのエネルギーを消費する製品であり,CO2も排出する。こうした製品を中心に扱う企業として、世の中のエネルギー消費量やCO2排出量を削減することに自ら少しでも貢献したい」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051220/111785/

【Hondaの環境への取り組みの本質】
同社の一連の動きは、自動車やF1が環境問題で敵視されないように、組織的に先手を打っていると言える。このまま不都合な事態が悪化すれば、自動車会社はその存在悪さえ語られるようになる。同社の有名な3つの喜び(買う喜び、創る喜び、売る喜び)も怪しくなってしまう。その危機感から先手を打っているのである。

 2_3_illu1   3つの喜び
http://www.honda.co.jp/recruit/hondaism/02_03.html

わたしはそれをF1からe1へと表現してみた。eはエコノミー(economy=効率性)、エレクトロニクス(electronics=電子制御)、エンバイロンメント(environment=環境)、そして地球(earth)である。「F1も実社会の情勢を反映すべきである。孤立した社会になってはならない」とニック・フライ氏も話している。

Hondaは自動車という環境を破壊してきたビジネスで儲けてきた。その環境破壊の負い目は作り手だけでなく、売り手も買い手もすべてが負っている。もちろん部品企業も素材企業もみんなが負っている。

この地球色のF1、Hondaは地球を車体にデザインしただけではない。本質的には、環境保護を踏まえながら、ビジネス欲求と人間の欲求(いずれも環境汚染につながる)を同時に満たすアプローチを企業PRとして示したのである。売る喜びと創る喜び、そして買う喜びの三者を損なわないアプローチがHondaの地球色のF1であった。

050515c  Mm20070226223025966m0
昔、環境のことなど誰も考えなかった頃のHondaF-1   2007年の e-1

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年3月 2日 (金)

ポイント・ウォーズ 5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ

今週(2007年2月26日~3月2日)の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント・プログラムである。今日はほっとする最終回。昨日のブログでは「良い政治リーダーがいれば、わたしは自治体クレジットポイントなど要らない。むしろNPOに寄付する」と啖呵を切った。そういうわたし、まだNPOに寄付したことはない・・・すみません。

公金の話に関連して、H兄いからコメントが飛んできた。会津中央病院でもクレジットカード決済が可能になって「手数料が月1回187円」だそうです。現金払いにはない手数料。手数料が3.8%だとすると、逆算して診療単価は5000円である(平均値を取ったのだろう)。同院では医療費後払いサービスを実施するなど、顧客の利便性をずいぶんと重視している。好感がもてる。

公金のクレジットカード払い可は、クレジットカード業界の業界を挙げての攻略と、電子政府化の流れの結合である。その意味では良いことだが、公金決済に手数料(利益)を出してもいいという、従来方針の転換が世間の話題にならずに実現しつつあるのはおかしいと思う。

病院の場合、決済には別の事情(=役務というサービス提供に対するクレジット業界の自主規制)があったので、これまで普及が見送られていた。役務とはたとえば、エステティック・サロン。従来から「ちゃんと脱毛できなかった」などとクレームを付けられて支払いでもめることもあったので、クレジット決済を業界が引き受けなかった。だが脱毛クリームではクレジット決済をじわりと進めてきた。今や合算してカード払いができるところが増えたという。全体に規制緩和が進められているわけだ。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ】
公金決済にもクレジットが可能になると、ますますポイントの流通が求められる。さらに電子マネーも日常化するとなると、電子マネーとのポイント交換などのニーズが高まる。業界ではポイントを仮想通貨として扱う「ポイント経済圏」と言っているようだ。そのポイント経済圏にいち早く進出したのはGポイント

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Gポイントはポイント交換、ショッピングでおトクにたまる!マイル、電子マネー、ポイント、音楽ダウンロードにつかえる!

ポイント交換で最大手と言われるGポイントは、銀行系カードポイントからネットオンライン企業のポイントまで、Gポイントというひとつのポイントに集約し、ANAマイレッジ、Amazonポイントなどに変換が可能である。「ショッピング」「ホビー」「携帯料金」「レジャー」「グルメ」「マイレッジ」「チャリティ」など基幹サービスと、「音楽」「写真集」「占い」などエンタメ系も、そしてリアルの通貨にも変換が可能である。

Service01_illust01   サービスイメージ

この運営会社はG-Planという住友商事系の会社。2001年の設立から5年で、現在145万人の会員数、ポイント交換提携企業128社となっている。2007年2月上旬から、同様のPexというサービスも開始されている。こっちはECナビ、サイバーエージェント系。

Mainimg 牧瀬さん。

【ポイントでの不正と破綻を避けるために】
交換が頻繁になると生じるさまざまな問題に対処するための業界団体も発足した。
インターネット上でポイントを使ったマーケティングを行なう企業13社(ネットマイル、ECナビ、エルゴ・ブレインズ、サイバーエージェント、GMOメディア、ジー・プランなど)が日本インターネットポイント協議会(JIPC)」を設立した。経済産業省主体。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/02/15/14780.html

協議会ではポイントサービスにおける不正行為の実態について、こんな指摘をしている。ユーザーの不正は「1人で複数のIDを取得してポイントを貯める」、一方事業者では「ポイントサイトを開設してから6カ月後に閉めて、まったく違うポイントサイトを立ち上げ」・・・会員に補償は行われない。確かにこれは詐欺である。

ネットポイントだけでなく、家電や書籍、旅行などのポイントについて、「取り扱っている企業が経営破たんした場合、ポイントが使えなくなる」などの問題にどう対処するか」というテーマで、これも経済産業省が音頭をとって「企業ポイント研究会」を設置した。これも運営会社の経営破綻によるポイントの滅失や、大判振る舞いして、実際に行使されて経営悪化、さらにポイント経済圏の発達が自社の顧客囲い込みにつながらないなどの課題を扱うとしている。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/02/post_2005.html

【ポイント・コミュニティづくりに励むのは・・・】
今週を通じて思ったというか、そもそもポイントについて思っていたのは、「ポイント・プログラム=割引=コモディティ化」という公式である。

A店とB店を比べて、商品やサービスに差がない場合にポイントのある方へ流れる。これが基本。ポイント導入で画期的に顧客が増えるということは、そもそも「おまけ」なのだからありえない。ポイント移動の勝者も商売の勝者とは必ずしも言えない。

それなのになぜ猫も杓子もポイントなのか?ポイント導入で、むしろ自ら商売のコモディティ化を宣言してしまってはいる思う。競合他社が始めているのでウチもやるという横並びでは、これまで見てきたように代償が大きいばかりか、顧客維持にもつながりにくい。

【貯めたいポイントと貯めているポイント】
消費者自身が、貯めたいポイントと実際に貯めているポイントにギャップがあるのだろうか。ポイントを「企業通貨」と読んで、この分野で書籍『2010年の企業通貨』も刊行している野村総合研究所では、2005年9月に全国の2,500人に対して実施した消費者調査から次のようなグラフを作成している。

 Graph

総合スーパー、携帯電話、家電量販店では4割以上の人がポイントを貯めている一方で、「貯めたい」意向と「貯めている」実態が乖離しているのは携帯電話、家電量販、ドラッグストアなどが大きい。これは野村総研では「発行量が多い割に、ポイントプログラムがうまく機能していないためだと分析できます」としている。つまり他社に流れやすいか(家電量販)、流れにくい・使いにくい(携帯)からである。

この中で「鉄道・バス」が貯めたい・貯めている共に低いのは、まさか鉄道やバスがポイントなんて・・・という消費者理解からであろう。その意味では東京メトロのポイントはインパクトがあった。コンビニでのポイントはレジ・サービスの低下も起きそうで微妙だが、オサイフ・ケータイの普及次第だと思われる。

 4492555625_01__aa240_sclzzzzzzz_ この書籍をAmazonで買ってポイントを・・・。

【お後がよろしいようで・・・・】
最後にひとつの事例を示してこの項を終えたい。

ヨドバシカメラ、アフターサービス専用のポイント制度を新設
株式会社ヨドバシカメラは、修理代金など、アフターサービスの支払い時に使用できるポイントサービス「ヨドバシアフターサービスポイント」を(2007年)2月14日から開始する。

Title

ヨドバシでは、従来の同店のゴールドポイントとは別途に、前月一ヶ月分の総ご利用金額の1%を、翌月10日に一括してアフターサービスポイントとして自動還元するもの。他店購入品の修理サービスにも使えるが、出張サービスには使えない。

ヨドバシ、顧客志向ありだと思う。先延ばしの値引きをするより、アフターサービスの料金負担を軽減するためにポイントを付ける。使い捨て文化を正し、環境にもやさしい。顧客ロイヤルティを高める上でもとても良い方法だと思う。わたしの中でヨドバシのポイント、上がりました

今週は以上です。お読みいただき、どうもありがとうございます。

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2007年3月 1日 (木)

ポイント・ウォーズ 4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!

今週(2007年2月26日~3月2日)の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイントである。3日書いてどの程度ポイントを書けたか不安であるが、顧客満足のための活用シナリオが不明確なポイント提携やポイント発行は、顧客のためならずばかりか、自らの首を絞めることになる、というのがわたしの基本的なスタンスである。

今日は月初めとはいえ、読み手も書き手も疲れが出る週の中日=木曜日である。ちょっと肩の力を抜いた話題・・・と思っていたが、ところがどっこい、顧客のためとか顧客ニーズなんて吹き飛ばす、税金のように大きなポイント市場があるというのだ。いや・・・実は税金そのものである。

法律(地方自治法)が2006年に改正され、公金のクレジットカード支払いが解禁されるのである。税金のとりっぱぐれが減るのかわからないが、国民年金徴収にクレジットカード・ポイントの力を借りるという本末転倒な施策にも触れなくてならない。やっぱり肩に力が入りそうだ。

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1.日常生活消費にポイントという衝撃  →2/26
2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。 →2/27
3.ポイントからターゲット・マーケティング? →2/28
4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!→本日
5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ
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【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!】
その昔、千葉県松戸市の松本清市長の考えた投票率のアップ策は「くじ」だった。

市長在職当時、県会議員選挙の投票率が低迷していたため、松本は、投票整理券の整理番号を用いてくじを実施しようと考え、公職選挙法を管轄していた自治省にお伺いを立てたが、当然却下。しかし、くじを実施しても投票の公正性が害されることがないと考えた松本は、その案を実施した(ただし、景品は1等賞が自転車と、それほど高額なものではなかった)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E6%B8%85

この話は有名であるが、どの程度投票率が上がったか、その後くじを廃止したら下がったのか、情報を調べようとしたが・・・

                 全県平均  松戸市
昭和46年   65.87%     ??           クジ付きの年
昭和50年   68.26%    58.66%
昭和54年   60.77%    52.74%

県のウェブサイト統計には不備があり、かんじんの46年の投票率がわからなかった。今日はもう夜間で電話も掛けられない。いずれ問い合わせてアップします。しつこく調べると、あるブログに『投票率は全体で1.74%も上昇。とりわけ女性票は5.17%も上昇した』とあった。

これがほんとうであれば、特に女性はお得に敏感なのである。ポイントを付けるの価値はありそうだ。尚、松本清氏は1969年当選、選挙のポイント化の志半ばで?73年市長在職中に心不全で逝去している。

【国民年金、カード払いOK・厚労省、08年初めメド】
厚生労働省は2008年初めをめどにクレジットカードで国民年金の保険料を払えるようにする方針だ。カードで払えばポイントもためられ、若者を中心に低迷する納付率の向上に役立つとみている。今通常国会に提出する国民年金法改正案に盛り込む。政府の公金決済では初めての試み。地方税や水道料金など公金決済のカード払いが今後広がる可能性がある。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070218AT3S1602H17022007.html

国民年金の不平等感を、クレジットカードのポイントで補おうというのだろうか?まずそこが、本末転倒な法律改正案と言わざるを得ない。もっとやることが先にあったはずだ。

純粋にポイントとしてみれば、数万円ならばクレジットカード・ポイントは、確かに消費者にはお得感がある。だが給与から天引きされる人にはポイントは付けられないのですよね

さらにクレジット会社への支払い手数料(3.8%ぐらい)は誰が負担するのだろうか?事務合理化で役所のコストがきちんと下がるので、そこで埋め合わせるのであろうか?あるいはカード支払いの利便性として納付者が納めるのだろうか?そんな複雑なシステム化はかえって複雑性を増さないだろうか?今の納付状況をみれば、徴収率が少しでもアップすれば、手数料ぐらい年金機構が肩代わりしてくれるのだろうか?

恐らく自治体によって対応は異なるはずだ。クレジットカード・イシュアーや代行会社は口にしたくないだろうが、自治体ごとに格差は出るはずだ。ポイントとは、結局は誰かが負担をする割引に過ぎないのである。年金に関しては、根本疑問があるだけに、疑問が疑問を呼ぶカード払いOK方針である。

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 江角さん、クレジットカードなら支払いやすかったでしょうか?

【水道料金のクレジットカード払い】
一般の公共料金なら利便性は高い。2007年2月5日付けにこういうニュースもあった。

GMO-PG、自治体向け「公金クレジットカード決済サービス」を提供 今日の非対面クレジットカード決済の市場は、(中略)物販の分野のみならず電力やガス、NHK放送受信料などの分野に範囲が拡大しており、昨年に開催された第164回通常国会においては、地方自治法が改正され、国民年金保険料や国民健康保険料の他、水道料金のクレジットカードでの収納が可能になりました。これに伴い東京都水道局は、2007年度中にクレジットカードによる料金支払の業務を開始いたします。

これはGMOペイメントゲートウェイ株式会社がASPサービスを使って公金をネット決済をするサービスである。同社ではすでにNHK、家賃、宅配などでクレジット決済サービスを広げてきた。今回その対象を住民税、自動車税、固定資産税、国民年金、国民保険、水道料、反則金まで広げた。

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GMO-PGの事例として、神奈川県藤沢市では今年度(平成18年度)の軽自動車税をクレジットカード決済を実証研究として実施したところ納期内納付が前年の72.56%から75.65%に3%も向上することができたという。http://www.gmo-pg.com/service/exam/exam_fujisawashi.php

手数料や督促費用については、事例中にも「手数料に見合う効果」とあるので、従来は公金は金融機関が手数料を取らないのが通例だったが、これからは手数料支払いが発生することになる。もちろんコスト削減に見合う固定費削減が必要である。公金クレジット決済協議会という業界団体もできており、手数料やチャージバック(決済非同意)についても、統一ルールを進めている。

ポイントがすべてというわけではないが、数万円の支払いにポイントが付くのであれば、公金をカードで支払おうという動きが広がることは間違いないだろう。なにしろ市場規模(というのか?)は20兆円もあるそうだ。

【市民の義務をなぜポイント化しなくてはならないのか?】
わたしの疑問はこうだ。公金の義務払いに、なぜポイントを付けなくてはならないのだろうか?

お年玉くじはハガキを年初に送るのが風習視されていたが、近年の激少ぶりである。くじ効果はまるで無いと思う。NHK聴取料は放映に御利益がないと判断する人が多いので支払い滞る。こちらは、給食費滞納と同じくモラル未満の人もいる。

年金やNHK不払い、年賀状拒否などを、大きな視点でみれば日本という政治体/国体に対する不信が根本にある。国民=顧客とすれば、支払いが少ない=義務なのに集金できない。それは顧客ニーズを満たしていないからである。

だとすると、義務払いをカードのポイントにおんぶするのは、民間企業でいう「勝ちに行く戦略」ではない。衰退企業の弱者の戦略に過ぎない。いずれ破綻するのは古今東西の歴史が示している。

勝手にアドバイスするとすれば、クレジット決済という電子化=徴収の省力化=運営のコストダウン=組織の改革=構造改革。この流れを可視化させなければならない。それこそが市長や県知事の財政再建上の使命である。

【選挙でポイントゲット?】
財政の極貧が進む千葉県松戸市でこそ合理化はすべきだろう。だが今夏の参議院選挙に松戸小選挙区と比例代表にダブルで投票したら、マツキヨのポイントを100ポイント進呈します!らしいなんてことはないです、冗談です)。それより支持率でちゃんとポイントを稼ぐ政治家こそほしい。

良い政治リーダーがいれば、わたしは自治体クレジットポイントなど要らない。それをNPOや途上国に寄付するべきだと思う。e-Sales宋文洲さんじゃないが、こんな政策ばかりじゃ「日本の政治、おかしいよ」と言いたくもなる。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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