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2007年3月15日 (木)

旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承 4.リクルート 社内創業という伝承

勝手にアドバイス旬ネタ、今週は『旬ネタ 「・・・ならでは」の伝承』として、その会社ならではのDNAをどう伝承するか?をテーマに書いている。今日はその4回目。次代に伝えたいノウハウは、大小・多少はあっても、あらゆる企業にあるし、伝え切れているだろうか?という危機感の無い経営者はいない。いるとすれば明日の脱落者である。

まずユナイテッド・アローズでは理念をどう生き生きとさせているかを考えた。次にエルメスで、老舗として生きながらえるコツ=変えないものと変えるべきものを取り上げた。昨日は岡野工業で江戸っ子職人の伝承の在り方を見てきた。そして今日は、日本人なら誰もが、何らかのかたちで触れたことのあるリクルートをテーマしたい。

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就職、転職、結婚、住宅、旅行、自動車、赤ちゃん、携帯、25才以上・・・・リクルートは常に情報をメッセージに変えてきた。ひとことで言えば「創業という伝承」である。江副浩正氏が生んだ彼らの仕事スタイルは、社内創業を通じて、そのまま次代の仕事スタイルに伝承されている。

わたしも仕事人生の中で、何人ものリクルート出身者と出会ってきた。その人一人ひとりが、実に個性的だし、スキルが高いし、生き生きとしている。言葉にすることがしにくいが、原点に「リクルートらしさ」を備えていた。とても印象的だった。無から有を生み出すという意味で、わたしの中でリクルートという会社はほぼ別格の存在であり続けている。

その社内創業という伝承を、伝説の創刊人であるくらたまなぶさんと、営業の達人である高城幸司さんの著書から学んでみたい。

【勝手にアドバイス 旬ネタ 4.リクルート 社内創業という伝承 】
・・・と書いたが、くらたまなぶさん(リクルートで14誌を創刊。1952年生まれ)の書、『リクルート「創刊男」の大ヒット発想術』は、とても面白くて引きつけられてしまうのであるが、「伝承」というより彼が創刊=DNAの素なので、良い意味で参考になりにくいところがある。

それで今回のブログでは、その後輩(とは言えないのでしょうが)、営業を語らせれば右にでる人はいない高城幸司さん(1964年生まれ)の『リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術』、こちらをこの記述のメインにしている。両書ともに日経ビジネス文庫にあり、求めやすい価格なのでご興味のある人はぜひ両書をいっぺんに読んでほしい。お二人はちょうど12年、ひと回りちがう。その違いもわかるだろうから。

【起業伝承その1.情報の場でビジネスを生み出す】
「ここで結婚式を挙げ、あれをしてこれをするためには、これこれの費用がかかるのね」 今どき、結婚式場をめぐる男女で、情報誌やネットを参照しないカップルはいないだろう。

リクルートの『ゼクシィ』は、一生に何回もしない結婚式にしても(だからこそなのだろうが)、最新の相場情報をリアルタイムに流す、そういう創出価値を付けたところが新しかった。つまり結婚という「場」をビジネス・モデル化したのである。
リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術

結婚なんて(最近は誰でもするわけではないが)当たり前のイベントじゃないか、どうしてその情報がビジネスになるのか?と思われるが、そういうイベントを情報化して高収益を上げてきたのがリクルート流のビジネスである。そこにリクルートの起業の原点がある。「企業と個人の求める情報を相場にする」(高城さんの書より)、のである。これがリクルートの第一の社内起業DNAである。

 Profile_photo  高城さん。

【起業伝承その2.仮想経営者を育てる】
江副氏時代のIT投資で、情報莫大な借金を背負ってそれを返し続けてきたという歴史から、傍目から見るイメージと異なり、リクルートという会社のコスト意識は相当に高いという

利益/事業価値=儲けの仕組み」を、提案時のみならず、半期・四半期、あるいは月次で厳しく問われるのである。新規事業は3年度目単年度決算黒字が掟である。さもなくば将来性があっても撤退である。

だからこそ、各誌の編集長は仮想経営者であり、事業運営を司り、それはあくまでひとつの別会社のように「儲けの仕組み」を考えなさいという掟だそうだ。

【起業伝承その3.Deep & Narrow】
高城さんの著書にこうある。「トヨタ自動車関連の経営者とお会いしたのですが、そのときに、トヨタには“Deep & Narrow”とう言葉あると伺いました。曰わく、「深く、狭く」なのです。(中略)トヨタのビジネス手法とリクルートの手法は非常によく似ていると思いました」。

言ってみればリクルートの商品は「無くても良いもの」ばかりである。それを無くてはならないものに錬金術するときの魔法は、Deep & Narrowというコンセプトなのだろう。

高城さんはそれを「ないよりまし」としている。その情報を読者(生活者)の視点にたって、比較検討したくならないか?比較してお得なことが欲しくないか?を徹夜で議論し合うということだ。無いと困るように多量&比較可能な情報に編集して、その情報ジャンルでナンバーワンになることを目ざす。それがリクルートのDNAである。

【起業伝承その4.インセンとエライ】
インセンとはリクルート社内用語でインセンティブ、エライは「良くやった!」という褒め言葉である。それは「ヒアリングとブレスト」あるいは「不と褒め」と言い換えてもいい。ヒアリングでは「不(満足)」を明確にし、ブレストでは(褒め)て起業や成功をいざなう風土があるという。この両者は、起業(誌の新企画)のときの不文律的に、みんなが行動するやり方になっているという。

こういう手順である。新規事業の「夢」を考えたときは、二つのこと、「ヒアリング」と「ブレイン・ストーミング」をする。話を聞けそうな人の所に行って、ふだん思っている「気持ち」を聞き出す。「不平・不満・不快…不のつく日本語」を聞き出す」という。もうひとつは「ブレスト」。誰もが好き勝手な発言をして、絶対に他人を否定しないというのが唯一のルール。このときは「あいづちを積極的に打って、ほめまくる」という。そうして発想をどんどんふくらませる。

高城さんの所属した組織では「エライ賞」というのがあって、「良い仕事をした人を褒めて組織で共有する」ことが目的である。上司が部下のエライ仕事を発見して、それをエントリーして全員投票で良い仕事を選ぶ。それを褒めて尊敬する。

同じことをくらたまなぶさんも、丸の内キャリア塾のセミナーで発言されている。

“『不』のつく言葉を聞き出せたら成功” このひとことに、クラクラとめまいがしました。 自分が好きになって、気持ちを入れ込んで取り組んでいる商品や企画に対して、周りから『不』の気持ちを聞いたとしたら・・・私ならたちまち自信喪失、反発心がムクムクと湧き上がり、それが大変なストレスに。 ましてや、わざわざ『不』の言葉を聞き出そうとするなんて・・・考えたこともありませんでした
http://woman.nikkei.co.jp/career/academy/article.aspx?id=20060322b3012b3

 001_0002  くらたさんの発想法の一部。

【起業伝承その5.起業家予備校】
リクルートで一つの事業部を率いるという経験は、仕事をしながら独立するために勉強ができる「起業家予備校」のようなもの」と高城さんは書いている。

くらたさんはインタビューでこう言う。

アイデアがだいたい固まったら、意識を切りかえて、企画を通す作業に集中します。企画するときは自分ワールドにどっぷりつかったけど、プレゼンでは上司ワールドに入らなくてはなりません。企画のときの“自分語”を、プレゼンのためにもう一度“上司語”に直して、上司の思考に沿って、上司に伝わるプレゼンを行うのです。いくらいいアイデアでも、上司がウンと言わなきゃ実行できません。実行しない企画なんて意味がないのです。
http://www.president.co.jp/pre/20050718/001.html

起業家予備校と言われるリクルートも、しょせんはひとつの企業である。その企業には上司もいれば経営者もいる。『フロムエー』の企画を通したときのエピソードはそうとう笑えるが(プレゼンのとき、会議室の机の上をチョロQを走らせたそうだ)、それでも予備校に過ぎない。予備校ならメソッドがある。それこそが論はいらない、結局、実行しましょう、くらたさんがそう表現するリクルートのDNAなのだろう。著書にはこういうくだりがある。

ありとあらゆる専門書を手に取った。だけどほとんど使えない。こちらは出産をしたい。出産のためには相手が必要。デートもしなくちゃならない。恋愛をして、なんとかセックスにまでもちこみたい。そしてうまく受胎し、着床すれば、めでたく妊娠、出産である。そう思って必死に買い求め、読むのだけれど、具体的な方法はまったく書いていない。

 Kurata  くらたさん。

子どもをたくさん作り、リクルートのDNAの何割かをつくったくらたさんの思い、わかるような気がする。論より実践、それがリクルートの社内創業のDNA。厳しいけれどきっと楽しい会社である。

今日は以上です。

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