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2007年4月11日 (水)

カスタマー・バリューのフロンティア 3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査

【カスタマー・バリューのフロンティア 3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査】
消費者行動と調査をテーマにする今週の旬ネタ。今日は実践編その二。「深層心理の消費」における消費者心理と調査について考えてみたい。

【深層消費とは】
外部からは見えない理由で消費者が選択をし、消費行動をすることと規定した。表層心理の消費が、女性なら「わたしXXXの香水を使っているの」と言いやすい一方、深層心理の消費では、男性が「ユニリーバのAXEを使っている(=女性にモテたい)」などと容易には同性にも悟られたくないものを指す。

この例は非常に単純だが、要は「買うか買わないか簡単にはわからないという教訓である。これまで多くの企業がこの深層心理の罠にはまって収益を減らしてきた。有名な例は大失敗だったニューコークを生みだすきっかけになった「公開比較調査」である。

あらかじめどちらがどちらかを被験者に知らせず、コカコーラとペプシコーラを入れた2つのグラスのどちらが美味しいかを比べてもらう調査だった。その結果は半数以上がペプシコーラであり、これをきっかけとしてコークの味を変えて失敗した。このときの教訓は「公開比較」という実験の場が、消費者が購買するTPOとは違うのに、それを真に受けたというものであった。人は味だけでコーラを選定するのではなく、ブランド価値や自らの消費スタイルなど、さまざまな要因からコーラを選ぶのである。

【買うか買わないか】
最近の調査だが、2007年の6月から発売予定のAppleのiPhoneを買いますか?というアンケートが、米国の携帯販売会社で行われた。

iPhoneを「買うつもり」とした人は回答者の18%で、「買わない」は52%。「まだ分からない」が31%だった。買わない理由は、「価格」が49%、「現在所有している端末の機能に満足している」が48%、「通信業者を変えたくない」が23%などとなっている(複数回答)。

「買う」という18%の回答率を相当に高いと見るか低いと見るかも問題だが、iPhoneという商品は、必ずしも見えるところだけ(機能や価格など)の表層消費だけに依存する商品ではなく、むしろ見えない部分(Appleブランド力というかApple教、最先端イメージ)、すなわち深層消費に軸足を置いている情緒商品のように思える。だから定量調査はあまり意味がないし当たらない。Appleコアファンが携帯キャリアを乗り換える、その心理の機微を分析しなくて、何の意味があろうか?

米国産牛肉を買いますか?と主婦に聞くアンケートは複雑な答えが予想されるが、吉野屋の牛丼を食べますか?というアンケートは比較的単純であろう。今、ウィンドウズVistaを買いますか?というのも、わりとロジカルに答えが出る問いかけである。

買うか買わないか?の答えが複雑か単純かで、商品を表層型か深層型かに分けることができる。また調査メソッドも決まる。

【深層心理理解のアプローチ=聴くこと】
ザルトマンは、深層心理を理解する上で、2つの「聴く」作業が重要と言っている。

「優れた顧客中心主義には、2つの種類の「聴く」作業が重要である。
①顧客は、企業の製品が購入に値することを「聴く」、つまり本当に理解する。
②企業は、既存顧客、新規顧客の深い思考や感情について彼ら自身の言葉で語っている内容を「聴く」、つまり本当に理解する。『
心脳マーケティング』より

巧みに聴くことが出来れば、巧みなマーケティングが実行できる。これはわたしの経験からもまさに正比例する。偶然なのか、わたしの先輩のそのまた先輩コンサルタントは「コンサルタントはまず聴き上手たれ」という重い言葉を言われたそうだ。深い言葉である。

【メタファーを介して心脳に語りかける】
その聴く作業のひとつがザルトマンが開発し、日本では博報堂が業務提携している『ZMET調査』である。

この調査の手順は2つある。ひとつは調査に直接は関連しない写真を被験者に見せて、インタビューをしてどう感じているか深層心理を探るもの。もうひとつは、被験者に調査テーマを知らせておき、それに関連した写真を選んで持ってきてもらい、なぜその写真を選んだのか?インタビューで深層心理を探るものである。

メタファー(たとえ)を調査利用するのがなぜ良いのか?それは言葉だけでは説明がしきれない「たとえ」から、消費者の思考や意志決定を理解することができるからである。

たとえば、ある企業のサービスイメージを探るというテーマがあったとしよう。被験者は「枯れた花」の写真をもってきた。なぜ枯れた花なのか?聞いてゆくとその企業のサービスが、落ち着きがない、はきはきしていないイメージを持っていると語った。その企業のサービス部門の社員に同じ調査をする。彼らは「ファーストフードの店舗」の写真を持ってくるかもしれない。標準化された素早いサービスがモットーというように。

もしもそうだとすれば、そのギャップは深刻である。

 Gzaltman ザルトマン氏。

【サントリーの珍問答調査】
サントリーでは直接的にZMET調査を実施したわけではなさそうだが、そのアプローチが似ている。「お客を感じたい」というために、インターネット上で珍問答調査を実施したという記事があった(日経ビジネス2007年3月19号)。

「急須で入れたお茶を、人、モノ、動物に例えると何ですか?」
「お茶を飲んだことのない外国人に急須で入れたお茶を勧める時にどう紹介しますか?」
「1年間の『お茶禁止法』が国会で可決されました。あなたは国民の代表として、お茶を飲み続けるためにどのように反論しますか?」

サントリーでは2000年にこの調査を実施したそうだが、それはインターネットの匿名性に注目して、わざわざコメントを書いてくれる少数意見から、お客様の本音やヒントを「感じたい」ためにこんなアンケートを実施したという。写真を持ってきてくださいというお願いこそないが、動物に例えると何ですか?などは、お茶をめぐる深層心理がわかりそうな質問項目でとても興味深い。

 Background

サントリーではこのネットアンケート調査以外にも、一日に飲んだすべての飲料の記入アンケートを実施して、商品開発者との意識のズレを検知しようとしている。こうした凝った定性調査をするのは、当たらない定量調査から脱却したいがためである。

【被験者=自分】
わたし(郷)に『急須商品』というテーマを与えたとしよう。わたしはどんな写真を持参し、インタビューに発展するか?考えてみた

写真は「大人の男のあぐらの写真」を持ってくる。どうも父のイメージらしい。あぐらが家父長。あぐらをかくということは日本間を表している。そしてちゃぶ台があり、赤茶色の急須の注ぐ先は、どうも欠けている(笑)。貧しくはなかったがつつましかった家庭を象徴するのだろうか。でもそれがお茶というわたしのイメージ。

ガラリと変わってもう一枚は「商店街の写真」も持ち込むかも知れない。

都内近郊のまあまあ栄えている商店街の写真を持ってくる。なぜ商店街なのだろうか?わたしの中の紐をひもとくと、商店街の記号が浮かび上がる。「或る方」とぶらついて、荒物屋に入って、急須を買ったという記憶に基づくらしい。そこでの急須という記号は「ふたり」「ぶらりと買物」「日常」「家庭」「所帯」・・・というイメージなのかもしれない。その「或る方」がわたしより先にお店に入り、これどぅお?とある急須を手にした。わたしは・・・・おっとその先は深層心理というか深層記憶に関わるので書けない(笑)。

 312 コメントはしないぜ。

いずれにせよ調査後のインタビュー・コメントは、「気持ちワード」からザルトマン氏の言う「コンストラクト」にして、コンセンサスマップづくりをする。あなた自身の深層心理に訴求すれば実感が湧くだろう。

【調査は量ではなく質】
以前、新ビジネスを考えてあるベンチャーキャピタリストに説明したとき頂いた言葉が忘れられない。それは「市場規模なんてアテにはなりません。それより、たった一人、一社でいいから、絶対に買いますという顧客を見つけてください。なぜ絶対に買うかその論理こそわたしは聞きたい

人を信じさせるのは、量より質である。今日は(商店街情緒は尻切れトンボですが_笑)以上です。

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コメント

Go san

The following site is about the measurement of Implicit attitude which is beginning to be widely used by social psychologits and consumer psychologits. We can try the test of Implicit attitude by using Japanese.

Please try it!!

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投稿: Psychologist | 2007年4月17日 (火) 21時27分

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