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2007年4月23日 (月)

問題研究の人間学 1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか?

今週の勝手にアドバイスは「旬ネタ(1週間同じテーマで根掘り葉掘りする)として、先々週の「カスタマー・バリューのフロンティア(以下CVフロンティア)」の余勢を駆って、人間をめぐる問題研究を取り上げたい。

CVフロンティア=顧客研究」はブログには重いテーマだが、常に今日的なテーマ(というコメントをリサーチャーの方から頂戴した。ありがとうございました)であるし、心ある商品開発者では日夜取り組まれていることだろう。「顧客研究」を掘り下げる上でも、消費者や顧客をめぐる実態や問題を体系化すべきだという思いが強まった

ちょうど社外コンサルタントの方と協働して進めている「事業構造改革コンサルティング」のフレームの中でも、「コアバリューを見出す」というプロセスがコアにある。CVフロンティアとして考えていることと連結させてみたいと考えている。まず下図を見てほしい。

 Cvf02

この図の下部の「顧客研究」は、顧客や消費者調査、とりわけそのありままの姿を捉えるリサーチである。消費の実体的な調査・研究のアプローチである。先々週のCVフロンティアでは、主にこの部分のリサーチをテーマにした。

上部の「問題研究」は、人間としての欲求や思考を問題として捉えるアプローチである。リサーチというよりは、気づきであり、仮説思考、問題取捨・整理のアプローチである。未知(だと思っている)ことの発掘である。ここが今回のテーマである。

このふたつに挟まれる「コアバリュー」とは、「顧客化」を研究することである。消費者として、人間として顧客を両面から考え、顧客化を(再)検討し、それが商品化アプローチにつながる。

「問題研究」は結局「問題をどうとらえるか(そもそも何が問題か)」というところに落ち着く。問題を解決するのは得意な秀才が多いが、問題に感づくのに苦手な秀才もまた多い。商品開発に必要なのは感性であり気づきであり非連続思考えある。不要なのは既知感と連続思考である。秀才には向いていない。

今週の構成案は以下の通り。
1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか?(高島屋アンビバレント・メゾン) 本日
2.セイリ的には問題だろうか?(餃子蒸し器とGPS測量システム)
3.誰にとっての問題なのだろうか?(靴のICタグシステム)
4.結局のところ問題は何なのか?(30分フィットネス カーブス)
5.答えが問題をつくっていないか?(KUBOTAさんの問題の親子法則)

わたしは問題研究=人間学だと考えている。いわゆる「問題解決技法」としてだけ捉えない。技法も必要だが、まず「問題そのもの」をどう考えるか、技法以前に人間学(人を見る目)こそ重要である。

【勝手にアドバイス旬ネタ: 問題研究の人間学1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか?】
2007年4月19日、高島屋新宿店がリニューアル・オープンをした。中吊りを見掛けた人も多いだろう。

 Main_img_070419  薔薇と書けるか、あなたはバラせるだろうか?

注目したのは「アンビバレント・メゾン」というコンセプトである。日本初、とうたわれているが、海外のデパートメントには事例はある。デパートでなくても入り口は男女一緒、中で二手に分かれて、真ん中に休憩スペースをおくというパターンは見たことがある。これをひとことで言うならば「男女混合フロア」である。高島屋オープンの報道にはこうある。

最も変わったのは4~8階の衣料品売り場で、、同じ階に紳士服と婦人服売り場を併設。高級な新ブランドや呉服の修理店なども導入した。また、巨艦店ゆえに、「買い物をして回るのに疲れる」との声があったため、歩く距離を短縮するようブランドや商品の配置を工夫し、エスカレーター周辺には休憩スペースを設置した。

 Main_img

高島屋新宿店で「オムメゾン」と「ファムメゾン」、つまり男女混合フロアは4階~8階、5フロアである。メゾンの真ん中には「コンシェルジェ」「ギャラリー」「ケアサロン」「シューリペアサロン」「ジュースバー」「休憩スペース」などウェルカムゾーンを設置されている。思い切ったコンセプチャルなお店創りは、マーケター垂涎である。

【高島屋新宿店では問題をどうとらえたのだろうか?】
さて、ショッピングは高島屋でしてもらうとして、同店がリニューアルに際して問題だと考えたことを想定してみよう。念のため、この項はわたしの想像であり取材等は一切していない。

①売上高が低迷している(新宿百貨店戦争のあおり)
②ターゲットを絞り込み過ぎている(F1女性層)
③1フロアが3000㎡もあるので疲れる
④男性客が増えない
⑤カップル顧客が増えない
⑥東急ハンズやベスト電器と相乗効果がない
⑦投入ブランドに差別性が低い
⑧買い場にカフェが少ない
⑨カフェがあってもスィートが少ない
⑩休憩スペースや椅子が少ない
⑪衝動買いが少ない
⑫インショップ同士に連続性がない
⑬クリスピードーナッツが社員でさえなかなか食べられない

・・・・などなど

どれがもっとも正しいかどうかわからないが、それぞれ一理はありそうだ。問題出し課題だしと混同される)というプロセスは、それこそが問題である。誰にとっての問題か、ほんとうに問題なのは何か、問題の親なのか子どもなのか・・・課題抽出セッションをすると、こういうところが厄介なのである。

【男女混合が結果的にコンセプト】
いずれにせよ高島屋の改装コンセプトは「男女混合フロア創り」である。高島屋さんの決断が実際にどういいう道筋をたどったかはさておき、男女混合フロアに至った問題のとらえ方をモデル化するのが本稿の目的である。

[夫やパートナーが退屈するのが問題か]
良くあるファミリー型の百貨店における問題は、一緒に付いてきた男(夫)が退屈するというものである。日曜日のデパートでは、開ききった鯖のような表情で喫煙所に座る男性をよくみかける。

だが男が退屈するのが問題ならば、休憩スペースづくりどまりで十分である。椅子を増やす、喫煙スペースを増やす、男性も止まり木できるカフェをつくるなどで、必ずしも一緒のフロアで買い物をさせるというメッセージを打ち出さないだろう。

[男女一緒に買えないのが問題か]
それらしい問題のとらえ方だが、もしも男女が一緒に買えないのが問題ならば、高島屋は右と左に7:3で分けないで、狭い方の上下で分けるという手もあった。

 Img_zone  
 オムとファムの新宿高島屋レイアウト。

では、商品お互いに見立てて買えないことに問題があったのだろうか?つまり「妻=ファッション・コーディネイター」、「夫=ファッション・サボーリネイター」というパターンである。こういうカップルもあるだろうが、新宿高島屋という店舗の性格上、本質的な問題ではないと思う。

[男女片方しか買わないことが問題か]
この問いかけは、両性具有ショップを前提にしていないと発せられないはず。だから問題提起として反則である。そもそもF1女性にターゲティングした新宿高島屋ではそんな議論がでないはずだ(実際の営業部門では百家争鳴だろうけれども)。

[連れが買い物に来ないことが問題なのか]
この質問も前提から見れば反則である。前問と同じくこの疑問が問題化されるなら、新たにリサーチ(カード購買からの顧客研究)が必要である。消費行動ががらりと変わりつつあるという仮設を立て、それを検証するという王道を示すべきである。だがそもそものF1女性ターゲティングという王道なるコンセプトを、どのぐらい疑える新仮説を提示できるか・・・問題提起としての冒険と、検証リサーチの予算取りという苦難な道のりが待っている。

[個別に落ち着いて買えないのが問題か]
わたしが腑に落ちるのはこの切り込みである。男女が一緒にではなく、実は「個別に落ち着いて買えない」ことを高島屋は問題にしたのではないだろうか?30代共働き、二人合わせて年収2000万クラス以上の層がメインとする。プライスゾーンは似てくるが、テイストは違う。個々が、同じフロアで、落ち着いて買える場を提供しよう。

一緒だが個別。個別だが一緒。こういう男女意識を起点にした結果が、同一フロアメゾンなのではないか?

【人間がビジネスの原点】
わたしの読みが正しいかどうかは別として、「アンビバレント・メゾン」には問題研究の要素が詰まっている。つまり「問題のとらえ方」「問題のサイズ」「誰の問題か」「ほんとうの問題は何か」など、店舗コンセプトをどう決めたか興味がある。

現実には、フロアごとに顧客を誘導したい百貨店側の思いと、ブランドで誘導したいアパレル会社の思いのギャップが問題になる。オムとファムを両方持つブランドにとっては、高島屋の混合フロアコンセプトは好都合かも知れないが、実はカンニバルするとかブランド錯視があるとか、複雑な要素はいろいろある。だが今週の旬ネタでは、業界学はさておき人間学にフォーカスしよう。

今日は以上です。今週のテーマもがんばりますので。

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