縮小するキヨスク
先週のニュースで気になったのが、JR東日本のキヨスクが大きく減少していること。目下の休業の主な理由は販売員の減少と言われる。店舗リストラが効き過ぎたせいで、販売員が一時的に足りなくなり、「東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の約560店舗のうち、現在185店舗が臨時休業中」なのだとか。
ところがちょっと調べてみれば、店舗のリストラは相当進められてきた。JR東日本管内でピーク時(1996年)には1600店舗あったキヨスクは、2006年時点では800店になり、2007年度に560店に絞り込んでいるさなかの出来事であるのだ。
参照 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070413-00000108-yom-soci
わたしは駅でスポーツ新聞をほとんど購入しないが(ストーンズ初来日、W杯予選突破、浦和レッズ優勝のときぐらいだっただろうか・・・・)、さらにpod castingのおかげで、以前は英語勉強のために時折買っていたDaily Yomiuriも最近は買わなくなった。振り返ればキヨスクでモノを買わなくなった。今日はそんな実感と共に駅起点ビジネスの変化を考えてみたい。
【勝手にアドバイス Vol.153 縮小するキヨスク】
駅スタンドのキオスク自体が、時代の流れにそぐわなくなっている、とも指摘する。「団塊世代が一斉に退職した影響は大きかった。新聞、雑誌、たばこといった、キオスクの主力商品が売れなくなってきています。その一方、コンビニ型店舗は売り上げを伸ばしています。
出典 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/17/news094.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/17/news094.html
1988年の売上高1,799億円の95%がキオスクだった。17年経って2005年では、売上高2,271億円の内、キオスクは37% 795億円に過ぎない。
【キオスク衰退の要因】
衰退にはいろいろな要因がある。
①駅で新聞を買う人が減少した。
携帯ウェブサイトやワンセグでニュースは視聴ができる。新聞の手軽さと低コストの魅力がゼロになったわけではないが、駅という情報拠点がどんどん変化する中で、旧メディアの象徴でもあるのかも知れない。
②駅でタバコを吸えなくなった。
JR東日本では2007年3月18日から先に新幹線と特急では全面禁煙に踏み切っており、駅でも分煙・禁煙が進んでいる。駅で吸えないタバコを売るなという声もあるようだが、禁煙推進もキオスクの売り上げ減少の要因になっているだろう。
③キオスクのオバサンの手さばき・客さばきという属人性
手早くお客さんをさばくキオスク店員の確保がむつかしくなってきたということもあるだろう。自分でチョイスしてレジで決済(Suicaで決済もできるようになってきた)というコンビニエンスモデルと逆行している。キオスク自体も従来の角形店舗から曲面型店舗に移行し、取りやすく・払いやすく・陳列量を確保できる店舗モデルを開発してきた。
④商品がこれだけバラエティが出たのに、キオスクは単品販売に近い
JRが民営化したころ、キオスクという絶対的な物流チャネルに自社商品を乗せてもらうために、どれだけの営業活動・交渉をしたか、キオスクが君臨していた時代があったのだ。今でも、もちろん売れるチャネルであることに変わりはないが、オンリーワンの販売チャネルではない。
今ではちぐはぐなこともある。社内の中吊り広告で大々的に広告が打たれているのに、その新製品は品揃えがなされていない、こういうモノはたくさんある。あれだけ車内をひるがえる女性誌の中吊りも同じ。駅で変える女性誌は極く少数である。広告と品揃えがアンマッチというのはおかしなことである。
消費の多様化、商品の多様化にコンビニが真っ向から取り組んでいるのに対して、比較的長寿命のコモディティ商品が多いような気がする。もちろん店舗スペースには限りがあるが、時代が変わってもマーチャンダイジングに大きな変化が感じられない。
【駅利用者の買い場が変わってきた】
買い場とは伊勢丹の用語と言われるが、それをわざわざ使った理由は、駅構内とは言うまでもなくJRなど鉄道事業者の資産であり、外から見るとその自社資産を計画的にキオスクなど店舗開発・出退店をしているように見えるだろう。誰もが駅に行き、駅を降りる。言わば殿様商売のように、圧倒的な立地力を持っている。
だがキオスクの減少に見られるように、駅利用者の消費スタイルやニーズが大きく変化している。JRといえども、その変化にあわせて、サービス業態を変化させなくては買い手を失うのである。だから「買い場づくり」という視点が必要だと思う。その変化をキーワードで見てみる。
「駅ソノマンマ」(キオスク) 不採算なキオスクを閉鎖する一方で買いやすい店舗へ改造。
「駅コウナイ」(Newsday/コンビニ) 駅構内という圧倒的な利便性
「駅ナカ」(エキュート大宮、品川、立川) 大規模商業施設
「駅コウカシタ」(品川の品達ラーメンなど) 遊休地活用
「駅マワリ」 電子マネーSuicaをテコにの商業タウン開発
このようにJR東日本の空間プロデュース力はすごい。エキュート大宮の賑わいづくりは、驚かされた。そして今、Suicaによって、電子マネーの活用策は駅から駅マワリへ広大になってきた。
その分、キオスクはリストラ・・・・それも経営視点ではポートフォリオなのかも知れないが、あれほどの一等地を再開発できないのだろうか?
【ヒントはIt's Demoにあり】
相棒のCherryさんはふら~っと『It's Demo』に入って、流行のCDや雑貨を買ってしまうらしい。それを聞いて、名古屋の名鉄口の店舗をおもしろそう!と思ったが、中には入らなかったことを思いだした。
It's Demoは男性はあまり立ち寄らないお店なので、オトコには何それ?でしょう。名古屋はわたしはお客さんの関係、埼玉県の結構な田舎の某駅のIt's Demoにも気になった。店舗は小ぶりだが、何と言っても商品数に対してその陳列の潔さにグッときたのである。
このお店、つまり小さなセレクトショップなのである。運営はアパレルのワールドからのスピンアウト。フード、コスメ、音楽、雑貨、アクセサリーなどを取り扱うが、音楽ひとつとっても「どこで見つけてきたんだろう?」というようなセレクト感がある。雑貨も「目玉焼きアイピロー」「フライパン栽培セット」、レターセットもかわいい。
It's Demoのビジネスパートナー募集のページを見るとこうある。 「価値ある商品が、市場に出ないで眠っていませんか?同じモノでも、ターゲット志向に合わせた販売方法をとることで、魅力的に変身します」。さらに「モノづくりを一緒に取り組みましょう」「ファッション&遊びに好奇心旺盛な女性顧客様に満足していただける商品を共同開発しませんか?」ともある。
セレクト&開発で現在34店舗、売上高は49億円。あの小さな店舗で年商1億円以上なのである。男性の方もJRの駅のイツデモを見てください。セレクトに興味がわくと思います。
【勝手にアドバイス】
It's Demo、JR東日本のキオスク建て直しのヒントは、あんがいこんなところにないだろうか?
何が言いたいかと言えば「セレクト」という能力開発が必要なのではないだろうか?セレクトは品揃えとか陳列とはまったく違う。思想であり自分表現である。セレクトとは、あなたにそれを買ってもらうとあなたはHAPPYである、という説得であり、売り方のアートなのである。
僭越であるが、キオスクにはそれが欠けているような気がするのである。団塊世代が大量に退職したのに、キオスクの品揃えは、まだ団塊世代そのまんまのような気がする。商品セレクトがきちんとできれば、もっと売れるはず。
今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!
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コメント
キュレーションって事ですよね。編集とも。IT'S DEMOはソニプラのガーリー版って感じでお気に入りです。
投稿: | 2012年3月11日 (日) 00時32分