« 問題研究の人間学 1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか? | トップページ | 問題研究の人間学 3.誰にとっての問題なのだろうか? »

2007年4月24日 (火)

問題研究の人間学 2.セイリ的には問題だろうか?

昨日(2007年4月23日)から書き出した勝手にアドバイス旬ネタは「問題研究」がテーマである。

【わたしのこのテーマに関する問題意識】
このテーマは、わたしの「問題に関する問題意識」から発案された。と書くとこんがらがるのだが、昨日の「コアバリュー」の図を別の表現にしてみた。だが主張することは同じである。下図をみてほしい。

Cvf04

コアバリューを見出すアプローチには2つある。ひとつはリサーチや現場の調査から浮かび上がる「不満」や「ニーズ」である。「消費学」または「消費者学」であり、消費行動を分析するところからのアプローチである。

もうひとつは商品利用者や開発者が問題をいかにとらえるかというもので、主観的な意識、ありたい姿探し言ってもいいだろう。こちらは「人間学」である。人間の問題を研究するのである。

この二つのアプローチは、実際には図のように上下にきれいに分割されるわけではない。仮説と検証は行ったり来たりの往復運動である。だから行きつ戻りつが当たり前である。だがその運動を仮設と検証と簡単に言いきってしまうと、いろいろな弊害がある。

まず漫然と消費者リサーチをしても問題を発見できるとは限らない。仮設をもってリサーチしなさい、と世の識者は言う。とは言え、CVフロンティアに書いたように、「あらゆるリサーチはつくった仮説を検証するという運命から逃れられない」。自分の仮設のために人は検証活動をしてしまう。だからビデオで顧客を写すように消費者をありのまま見るのいいというリサーチもある。だが漫然と消費者リサーチのビデオを見て、必ず何かを発見できるだろうか?

仮設と検証とは実にパラドックスなのである

【勝手にアドバイス旬ネタ: 問題研究の人間学 2.セイリ的には問題だろうか?】
昨日は「問題をどうとらえたか?」という疑問から始めた。2回目の今日のテーマをひとことで言うと、「それが問題であると人はなぜ感じるか?」という疑問である。問題を「感じる」ことをセンスの有り無しで片付けてしまうと、商品開発にはセンスのある人を雇え!ということなってしまう。それではマネジメントとして片手落ちである。

では問題をどのように「感じる」のか、今日はいくつかの商品開発事例からそれを見ていきたい(昨日「2.問題のサイズが問題ではないか?は改題した)。まずラーメン店日高屋の餃子である。

 01_16

念のため、この餃子自体が今回の事例ではない。低価格ラーメンチェーンの日高屋では、ラーメンが茹で上がる時間を90秒にセットしている。低価格なので回転数(顧客数)を勝負にしているのだ。ラーメンはあっという間にサーブできるが、餃子は焼き上がるのに6~7分を要していた。それではラーメンと餃子を同時に注文してもらっても、ラーメンを食べ終わる頃に餃子がやってくる。餃子を先にサーブするには6~7分間待ってもらうことになり、一皿180円のためにラーメン回転率を犠牲にすることになる。日高屋は客単価を上げたくても上げられないジレンマに陥っていた

【蒸し器の導入で6~7分を90秒に】
そこで、直本工業餃子蒸し器が登場する。新プロセスは冷凍餃子を蒸し器に入れ、中まで一度火を通しておく、それを蒸し器中で保温しておき、注文を受けてから90秒で焼きあげるという流れである。直本工業はそもそも蒸気アイロンのメーカーで、その蒸気制御技術を餃子保温に役立てたということである。

 Photo_steamer Steamer_grill2 

こうやって書くと、すでに問題(餃子とラーメンは一緒に出てほしい)は顕在化していたように思われるだろう。だがもともと90秒と6~7分では、まったく違う次元である。顕在化していたとは思えない。では調理時間が90秒にしてほしい、という問題意識にいかにたどりついたのか?

餃子は90秒で出せないという常識からスタートすると、早くサーブすることをそもそも問題と見るか、極めて疑問である。多くの人に問題として認識されなかったのではないだろうか? どうしようもないなぁで終わっていたのではないだろうか?考えられるのは「餃子とラーメンを一緒に熱々で食べられたらいいなあ」という生理的な欲求である。(商品開発の経緯については日経ビジネス 2006年10月9日号を参照した)

Steamer_grill4 Steamer_grill6 

【小松とトプコンのGPSブルドーザー】
もうひとつの事例は建機メーカー小松製作所と計測器メーカー_トプコンの共同開発の「GPSブルドーザー」である。これはブルドーザーにGPS(全地球測位システム)システムを搭載し、ブルドーザーの位置やならしている地勢情報を、ブルドーザーの運転者にリアルタイムにお知らせするシステムである。

 Kajisys

これで何がよくなったのか。下図のプロセスチャートを見ればわかるように、丁張(ちょうはり=切土や盛土をするとき、施工の基準位置などを示す板などの目印)をつくるプロセスと、修正ブル作業プロセスが省けるのである。極端に言えば、従来はブルでならしては、土地の高さを測ってみて、「もうちょっと削るか」と言っていたものを、ブルに乗りながら、あと15cm、10cm、5cm・・・という地ならしや盛土レベルを、システムがお知らせしてくれるである。

 2004032516393500578

従来は測量士とブル運転士の二人が必要になったのが、一人二役で出来るようになったししかも地ならし時間も縮小したというすばらしい発想の商品化である。これもこうしてみると、問題は顕在化していたように思われるだろう。だがもともとはブルはブル、測量士は測量士の職分があるので、二人をひとつにならないことが「問題」だとは誰もが思われなかったはずだ。

そこにあったのは「一人でやらせれば一人分の人件費と工賃で済む」という、雇われ側(儲けアップ)と支払い側(支払いダウン)のニーズである。問題化はされていないが、合理性を求めるニーズは常にあった。だが「一緒になったらいいなあ」という考えは表面には出にくいし、それは合理的な思考からは出ない問題意識である。

【のぼり旗の放物線】
もうひとつ事例は「のぼり旗」である。よく店頭に新商品やサービスをお知らせする「のぼり」があるだろう。たいがいは「のぼり旗」と言われるくらいだからたいていは縦長の四角形である。

 Jinja  神社ののぼり。

ところが自宅近くのスリーエフの前を通ると気になる形状の「のぼり」があった。実写を後ほど写メしたら掲載するが、下部を放物線状に丸く切り取ったのぼり旗である。この形状にするとよれにくいので字などが読みやすいのである。

 Jp_img  Houbutu   
   一番右の放物線に注目。              放物線のぼり。

縦長の四角形がよれていても「問題」と感じない人には問題ではないが、よれているのが嫌だなあと感じる人には問題となる

【セイリ的な問題か?】
常識疑え!とはよく言われるが、疑おうとして心にチカラを入れればいれるほど、心は硬直して問題が見えなくなるのである。ここに上げた事例における問題は、たいていは人為的に見えるものではない。問題を問題化するチカラは、わたしはむしろ「セイリ的」な問題なのではないかと考える。「セイリ」とは;

整理: きちんとしていないなあ
清理: 何か気持ちわるいなあ(旗のヨレが気持ち悪いなあ)
生理: どこか居心地が悪いなぁ(ラーメンが先で餃子が後っておかしいなあ)
正理: どこかまっすぐじゃないなぁ(ブルを降りたり乗ったりめんどうだ)

何かむずむずすることに気づけるかどうか。それが問題を問題化するかどうかの分かれ目のような気がしてならない。上に書いたセイリは言葉の遊びであるがわたしが言いたいのは、「合理」は問題化の後解釈である。後解釈はニーズがあるかないかというチェック段階であり、商売化の段階である。だからコストと効果が見合うかという「合理」でアイデアが測られる。90秒になったら日高屋さんでいくつ買ってくれそうか?ヨコ用途展開ができそうか?関係者の利害が一致するか?という合理チェックをかける。

合理が先にくると「セイリ」は見えなくなるのである。

「むずむずするなあ(セイリ)」 → 「問題化」 → 「合理チェック」 → 商品化/商売化

こんな流れが「問題化」にまつわる問題にあると今は考えている。いずれもう少し突き詰めたい。今日は以上です。

|

« 問題研究の人間学 1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか? | トップページ | 問題研究の人間学 3.誰にとっての問題なのだろうか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158074/6202015

この記事へのトラックバック一覧です: 問題研究の人間学 2.セイリ的には問題だろうか?:

» 新丸ビル 4/27 OPEN @新丸ビル 日本初 の SHOP 紹介 [ヤフー グーグル 2ちゃんねる 検索で エンタメスクープ  @  ヤフー グーグル 2ちゃんねる 検索で 楽天 生活]
新丸ビルが4月27日(金)にいよいよオープンしますよ!六本木の東京ミッドタウンから一気話題は新丸ビルに!新丸ビルは、 [続きを読む]

受信: 2007年4月25日 (水) 09時24分

» マックスポーレン [マックスポーレン]
体のバランスを考えている方、美と健康を大切にしている方、毎日をはつらつと過ごしたい方へお勧めの健康補助食品! [続きを読む]

受信: 2007年4月25日 (水) 14時03分

» ラーメン缶 [ラーメン缶]
ラーメン缶 [続きを読む]

受信: 2007年4月25日 (水) 15時36分

» 新丸ビル 行列 店 @ 新丸ビル 穴場 店  [mixi life ミクシー で素敵な生活 ☆ mixi love ミクシー で素敵な恋愛]
新丸ビル に行かれましたか?新丸ビル 行かれた方の 報告はコチラにあります新丸ビル で食事できなくでも、絶対の穴場とオススメは、B1のGODIVA の チョコレートシェークなんです。ダーク味もミルク味も、ほかのお店のシェークとはまったく違い、やっぱりGODIV...... [続きを読む]

受信: 2007年5月 3日 (木) 15時52分

« 問題研究の人間学 1.問題のとらえ方がまず問題ではないだろうか? | トップページ | 問題研究の人間学 3.誰にとっての問題なのだろうか? »