« 2 Links, Start Here! | トップページ | バブルニュースでバブルの教訓を »

2007年4月19日 (木)

SaaSというパラダイムシフト Salesforce.comのOn Demandサービス

SaaSというシステム用語をご存じだろうか?Software as a Serviceの略で、発音は似ているがSARSではない。今日は仕事上のからみもあって、SaaSのために高輪プリンスホテルまで出かけた。

本日(2007年4月19日)付けの日経新聞の一面記事に、日本郵政公社が顧客情報管理システムを米国のSalesforce.comに決定・発注したとあった。それと期を一にして、東京港区の高輪プリンスホテルでSalesforce社の大イベントが行われ、同社CEOのMarc Benioff氏が講演を行った。一大プロモーションなのである。

そこで今日は、聴講させていただいたMarc Benioff氏の講演の感想、ソフトウェア開発のゆくえ、ビジネスモデルの変化など、SaaSについて考えてみたい。

89ca4m8kmecaq2os6mcahbhg8nca6oawmvcaalul

【勝手にアドバイス Vol.155 SaaSというパラダイムシフト Salesforce.comのOn Demandサービス 】
Salesforce.comの日本支社(株式会社セールスフォース・ドットコム)の宇陀社長の挨拶に続いて登壇したMarc Benioff氏はとっても大男だった。宇陀社長さんの背がどのくらいかわからないが、壇上に並んだ姿が写されたが、たっぷり1フィートは違うだろうから、2Mはきっと超えている。

 629112 でっかい。 

郵政公社の案件とはNTTデータが受注元であり、5,187ユーザーの利用が決定だという。

今回構築する顧客情報管理システムは、平成19年10月に発足する郵便局株式会社において、(中略)新規に顧客情報データベースを構築、全国先行13局の営業部門と約4,200局の本社(支社)マーケティング部門を中心とした約5,200名の職員に導入し、顧客情報の一元管理、営業の商談状況の把握、および営業戦略立案の効率化による営業力の向上を支援していきます。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=158291&lindID=1

郵便局株式会社は、郵便事業のサービス窓口業務、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の代理店業務を軸にして、従業員数12万5,800名の規模でスタートする巨大企業である。その営業マンと営業管理者の5,187人に導入する計画。個人別の営業管理と営業ナレッジの共有がねらいだろう

セールスフォース・ドットコムでは、全世界で29,800社、646,000人にサービス提供中(同社HP)、「なかでも日本は、過去12カ月で40%増と著しい成長を記録している。米国に次いで2番目に大きいユーザー・コミュニティ」とBenioff氏。その中でも1社で5,000人は相当な規模であろう。
http://www.salesforce.com/jp/customers/

【Mr.ポストマン♪】
Benioff氏の講演を聴いて満足したわたしは、高輪プリンスから帰社して、「カーペンターズのミスター・ポストマンがかかって・・・」とCherryさんに言ってら「はあ?だった。う~ん。年の差を感じた。正確にはPlease Mister Postman、マーヴェレッツの名曲である。かかれば「聴いたことある」と思うよ、Cherryさん。

 B00000g3wy_09_mzzzzzzz カレンは拒食症で亡くなった。

それはそれとして。Benioff氏が「ビッグニュースがあります」と言って講演会場の扉が開いて入ってきたのは、郵便屋さんの格好をした配達員たちだった。先頭は郵便局の自転車。ちりん、ちりんと鳴らしてやってきた。そのときミスター・ポストマンの音楽がかかったのである。まことに派手な演出である。

配達員たちは下図の紙を、聴講者に配達していった。切手シートになっていた。

  Salesforce  80円切手が10枚印字されている。

【ノー・インフラが生みだした価値】
SaaSの驚異的な伸びは、1999年に創業したばかりの企業が、2004年にニューヨーク証券取引所に上場し、8億5000万ドル(約1000億円)の時価総額があることでもわかる。だがBenioff氏の話の中で気になったのは、SaaSというソフトウエアのもたらすビジネスモデル、市場変化である。

SaaSとは、Software as a Serviceの略称であり、契約ユーザーが必要とするものだけをネットワーク・サービスとして配布し利用できるようにしたソフトウェアの配布形態をいう。必要なものを必要なときだけ利用し、利用機能に応じて料金を支払う(通常は1人月額/年額いくら)。単純化して言えば、ブラウザさえあれば、導入した今日からでも稼働できるソフトウェアである。

そのあたりを同社は「Innovation、No Infrastructure」という表現をしている。イノベーションかどうかはともかく、ノー・インフラ(インフラ不要)はSaaSのコアバリューである。

基本的にはサービス提供者のサーバとの通信が必要なので、ブロードバンド社会になったことが事業を成立させた第一要件だと言われる。さらにソフトウエアを介してコミュニケーションがなされることが普通になったことも要件だ。

Benioff氏は「オラクルやSAPは第二世代」、「GoogleやAmazon、e-Bay、そしてSaleforceは第三世代」と表現していたが、必要なとき必要なだけソフトウェアを使うのはこのようにわれわれの日常なのである。

【オンデマンドは日常的な現象】
検索というサービスをGoogleにオンデマンドする。オークションというサービスをe-Bayやyahooにオンデマンドする。書籍探索・選択・購入・決済までのサービスをAmazonにオンデマンドする。音楽購入というサービスをiTunesにオンデマンドする。すべてオンデマンドであり、あちら側(Web2.0)にあるサービスである。そしていつの間にかサービスが良くなっている。iTunesで実感される人も多いだろうが、「あちら側でやってくれている」という感覚は快感である。

つまりオンデマンドのソフトウェアこそ、すでに日常なのである。あなたが会社の中で経費精算しているシステムはスタンドアロンと言っていい。直訳して「孤独に立つ」という表現は、そのソフトウェアの孤独な実態を表している。システムが進化する中で、ネットワーク化され、ダイナミックに標準化されていることが事実なのである。

【SaaSで供給側の何が変わるか?】
わたしもサプライヤー側のはしくれとして気になるのは、SaaSというシステム・サービス形態が普及するとすれば、供給側の何が変わるか?という点である。たくさんあるが、とりあえず3点を考えた。

①システム開発会社のビジネスモデルが変わる。
「業種の異なる業務をどこまで普遍化できるか」という課題はあれど、営業、物流、決済、会計、税務、保証など、業務が業界を問わず似ている分野(わたしたちは守りのビジネス領域と言う)ではSaaSが進むだろう。システム・インテグレーションと呼ばれる重量開発分野にこの波が押し寄せれば、SEの人材派遣型の開発は敬遠され、オンデマンド型のビジネスモデルが席捲する可能性が高い

②パッケージ・ビジネスが変わる
iPidユーザーならわかるが、iTunesのソフトウエアが「いつの間にか改善されている」という感覚が気持ち良い。既存のパッケージ販売型ベンダーでは、こうしたことは技術対応よりも、ビジネス上の対応が困難だと思われる。それは主に収益モデルが異なるからである。

その一方でSaleforce.comでは、ソフトウエアを年3回以上バージョンアップするそうだ。一般のシステム・デベロッパーでは、OS会社とのからみや自社のサービス体制の制約もあって、SaaSに移行がしにくい会社が多いと考えられる。第二の創業をして、技術と経営をリストラしない限り、SaaSに適応できないで難破する会社が続出する可能性も高い

③オープン系がビジネスになる。
Linuxが喧伝されたころ、オープン系のソフトウエア開発者の「主権在民」が言われた。彼らの献身は素晴らしいが、ビジネスにならない雰囲気が気になった。SaaSでは、Webサービスと総称される共通化が図られるため、ソフトウェア・デベロッパーの自主性が損なわれない形で、優れたソフトウェアがどんどん見出される可能性がある。SaaSとはデベロッパーを吸収する「プラットフォーム」でもある。

 Photo_42  
 開発者のインキュベーションセンターの案内スライド(日本にも開設する予定)

SaaSやWeb2.0への対応について、システム会社がどう考えているか。それが命運を分かつ可能性がある。SaaSというパラダイムシフトにどう対応しようとしているか、技術的な対応力の問題だけでなく、ビジネスモデル自体をシフトさせる問題でもあるからだ

わたしもBenioff氏のおかげで、システム業界の行方も見えてきた。今日は以上です。

|

« 2 Links, Start Here! | トップページ | バブルニュースでバブルの教訓を »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158074/6149533

この記事へのトラックバック一覧です: SaaSというパラダイムシフト Salesforce.comのOn Demandサービス :

» 外資系コンサルタントの仕事術を記載した書籍「エッジ・ワーキング」の紹介 [『エッジ・ワーキング』外資系コンサルの超速仕事術本のサイト]
『丸善丸の内本店の売れ行きランキングでビジネス書6位!』 企業で即戦力となるための方法を元外資系コンサルタントが書き下ろしたビジネス書『エッジ・ワーキング』。 最短で理想の職に就けるキャリア形成に役立つ本が出ました! [続きを読む]

受信: 2007年4月19日 (木) 23時08分

» Please Mr. Postman-Carpenters [YouTube洋楽まとめサイト-YO!ガク動画で楽しみまSHOW♪-]
Please Mr. Postman はディズニーワールドで撮影されたのかな?ミッキーマウスと一緒にカレンが歩いているシーンが印象的です収録アルバム:Horizonビルボードチャート:1974年 1位(1週)この動画のURL:⇒YouTube動画をFLVファイルに保存する方法動画が気に入ったら、ポチっと押してくれると嬉しいです♪ ...... [続きを読む]

受信: 2007年4月19日 (木) 23時35分

» 京都散策マップ日記 [京都散策マップ日記]
今日は面白いテレビはあるかな? 帰って新聞の番組表見てみるかな。 [続きを読む]

受信: 2007年4月20日 (金) 00時04分

» 写ボール [写ボール]
写ボール [続きを読む]

受信: 2007年4月20日 (金) 00時34分

» アコム消費者金融の活用ガイド:アコムキャッシング [アコム消費者金融の活用ガイド:アコムキャッシング]
アコムの消費者金融キャッシング活用ガイド [続きを読む]

受信: 2007年4月20日 (金) 10時53分

» 営業力 [成功できるマインド 成功できる法則]
営業の力をつけたいと思っている人は沢山いると思いますが、どこで営業の力を身に付けたら良いのかわかっていない人が多いと思います。 全く無料で、しかも本当に簡単に資料を送ってくれます。 [続きを読む]

受信: 2007年4月21日 (土) 10時53分

» ヒルズダイエット.com [ヒルズダイエット.com]
ヒルズコレクションのパステルゼリーダイエット体験談 [続きを読む]

受信: 2007年4月21日 (土) 12時34分

» 港区転職 [港区での転職活動]
港区で転職活動する方を応援するサイトです。 [続きを読む]

受信: 2007年4月23日 (月) 00時12分

» アコム 消費者金融・キャッシング比較アコム活用術 [無料キャッシングサイト]
アコム 消費者金融・キャッシング比較アコム活用術当サイトでは消費者金融・キャッシング会社アコムの支店・ATMを都道府県別に探す ことが出来ます!続き ... [続きを読む]

受信: 2007年5月 5日 (土) 15時34分

« 2 Links, Start Here! | トップページ | バブルニュースでバブルの教訓を »