所有2.0 サイバー・クローゼットの時代
まだ衣替えが済んでいないという人はいないだろうが、今年も天候は不順だった。クリーニングに今週出します!という人もいるだろう。往復もたいへんならクローゼットにしまうのもたいへん。
そしてもう6月のブライダルシーズンである。背開きドレスを着るために、6月の花嫁でなくても「ブライダル・エステ」に参入する人もいる(結婚式は出会いのチャンス!ですよね)。そんなときは年1回か2回しか着ないドレスを出して使用して、クリーニングに出して防虫して・・・これも手間である。
手間いらずのクリーニング付きのパーソナル・クローゼットサービスがある。単なる保管ではなく「所有2.0」と標榜しているドレスファイル。今日は便利な衣替えサービスを取り上げたい。
【勝手にアドバイス Vol.173 所有2.0 サイバー・クローゼットの時代】
ドレスファイルでは1年の準備期間を経て、サイバー・クローゼットのサービスを2007年4月2日から提供し始めた。同社のサービスは次のとおり。
買うたびに増えてゆく洋服や靴、上手に整理できていますか?ドレスファイルであなたのクローゼットが空になります。ドレスファイルは、ファッションアイテムを預けて、Web上で管理できるオンラインクローゼットです。
引用元 http://dressphile.jp/whats/index.html
預けたアイテムは写真入りでデータベースに登録され、必要な時にWeb上から写真を指定するだけで宅急便で家に届く。つまり実態クローゼットはドレスファイル社のアパレル倉庫にあり、それを所有者がいつでも仮想クローゼットウェブサイトで管理ができるというシステムである。
預けた服は一品一品バーコードタグを付けてクリーニングして保管、皮靴も専門工場で水洗いして保管してくれるので、ブーツなども安心して預けられる。ウェブサイト上のDBへの写真はスタジオで一品一品撮影をしている。
クリーニングして保管するなら、一部の大手クリーニング店も実施している。だがその出し入れは電話などでやらなくてはならないし、ウェブサイト上に自分の仮想クローゼットがあるわけでない。保管するだけならトランクルームがあるが、「あのドレスを」となると自分で取りに行くしかない。こういう隙間ニーズを拾い上げたサービスである。
保管料金プランは3パターン。50アイテムで月額2万9000円/月(保管料)、25アイテムで1万7000円(同)、基本料金0円の1アイテムあたり月額780円プラン。クリーニングと集配料金(集荷は1梱包あたり500円、配達は1回あたり500円)が発生する。
【需要はどうなのだろうか?】
同社社長の西氏によれば、サービスインして間もないが、25アイテムや50アイテム保管が多いだろうという当初の思惑よりも、大事な1アイテムの保管依頼が多いという(東京IT新聞 2007年5月15日号より)。
他人のクローゼットをのぞきたいという欲望は誰にもあるかも知れない。でもある人(女性)は、「わたしのクロゼットは黒ばっかりだから、のぞいても何も見えない」(笑)という人がいた。真っ黒けじゃ見えないね。だが同社の西社長によると「所有2.0」を標榜するのは、他人のクローゼットをのぞきあうことを考えてのことだという。たとえば「会員同士でアイテムを公開しあう」「アイテムを売買や交換する」ために。
将来的には、所有物の個人データベースを会員間で公開し合うことで、SNSぽいことを考えているのである。
【元々はニューヨークの先行サービスがある】
ニューヨークにあるGarde Robe Onlineという会社がこのサービスの先発会社。ドレスファイルはそれを日本版にしたとしている。
Garde Robe Onlineのスタッフは預かった洋服の写真を撮影し、サイズや素材などの情報を付与した状態でオンラインクローゼットに追加してくれる。保管してある洋服が必要になったらこのウェブ上のカタログから24時間いつでも配達指定することが可能だ。
引用元 http://www.100shiki.com/archives/2004/11/_garde_robe_onlinecom.html
彼らは自社のサービスをCyber Closetと呼んでいる。もちろん高い家賃のニューヨークでクローゼットを満杯にするより預けてください、というのがサービスの主軸だが、ニューヨークにたまに訪れるセレブなどを対象に、「パーティドレスがいつでもスタンバイ」という使い方も多いそうである。
居住地は西海岸、パーティなどに東海岸に呼ばれるとする。カジュアルな服装で出かけ、Cyber Closetでドレスをピックして、パーティへ。使用後はまたCyber Closetに預けて「また来年くるわね」と、飛行機で西海岸へ軽快に飛び立つ。こんな具合だ。
欧米のセレブだけでなく、本社がニューヨークにある外資系企業の重役(たとえば普段は日本に居住)にも便利なサービスなのである。
【勝手にアドバイス】
①自分の持ち物をデーターベース化するという発想
以前HomeExchangeという休暇に自宅を交換し合うサービスを紹介した。ウェブ上で自宅の写真を公開して借り手を募る、あのサービスを「家2.0」と言えなくもない。家だけでなくドレスや家財道具などひっくるめてより大きな視点で見れば、西社長の言う所有2.0なのである。そこに新需要がある。
②データベースにすると意外なことができる
最近着たドレスの記録があればいつも同じドレスを着ることを避けられる。「あの結婚式ではこれを着ていった。来週の結婚式では、出席者は前と一緒だから『またあれ着てきた・・・』言われちゃうわ」
自分が着たドレスのランキングを取ったり、お気に入り度合いをiTunes Storeのように★の数で表すと、iClothesストア(倉庫って意味よ)ができる。一般人はしなくてもテレビに出るような人には便利だろう。
③質屋を中抜きもできる
たとえば娘と母親、姉と妹がドレスを貸し借りすることはあるだろう。著名なモデルやセレブがオートクチュールでつくらせたドレスを公開して、希望者にサイバークローゼット上でレンタルや売却することもできる。衣装持ちのお天気お姉さんにはありがたいサービスである(やばい買い手はゴマンといるかも)。
ドレスだけでなくバッグや服飾雑貨を扱えば、質屋を中抜きする個人売買の商売になりそうだ。
最後にひとこと。ドレスファイルからドレスを取り寄せて、「あ!半年前は着れたのに・・・」というサイズ問題は解決してくれない。今日は以上です。
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