Linus-Bill=Fonero 無線LAN共有サービスFONの行方
連休も中日で良い天気の日であった。パソコンを捨て旅にでよう!という行動をされている方々がうらやましい。わたしはパソコンも仕事も捨てず旅も出ず、といった具合だ。
だからせめてバーチャルの世界で旅立とう!ということで、今日の話題は世界中タダのネットワークについてである。それは日本でも2006年12月から上陸したFONである。
スペイン・アルゼンチンの起業家Martin Varsavsky氏はFonを立ち上げた経緯について、「世界的な無線LANネットワークを創ること」と語る。ほんとうにそうなるのだろうか?連休狭間の渾身のブログです。
【勝手にアドバイス Vol.164 Linus-Bill=Fonero 無線LAN共有サービスFONの行方】
BCランキングによると、無線ルータの販売台数にこの2007年4月、異変が起きた。
サービスを利用するのに必要な専用の無線LANルーター「LaFonera」が、4月第2週の「BCNランキング」無線LANカテゴリーで販売台数シェア1位を獲得(中略) 4月の第2週(4月9日-15日)では、ついに無線LAN製品全体のランキングで1位を獲得。販売台数シェアは11.7%を記録した。
引用元 http://bcnranking.jp/pickup/08-00013722.html
その理由は単純である。IEEE802.11g/b規格に対応した無線LANルータは8000円ぐらいするのに、LaFoneraはわずか1980円だからである。いや、ケチなわたしだって同製品が1万台出荷突破を記念したキャンペーンの日(4月15日だった)、タダでLaFoneraを手に入れた(正確には郵送料を支払った)。そしてネットワークの一員になってみた。日本でもすでに1万人を越えるFONユーザーがいるということだ。
【FONとは何だろうか?】
「自宅の無線LANインターネットアクセスをみんなで共有して町中を無線LANパラダイスにしてしまおう!」というWiFiコミュニティの運動だ。La Fonera(FON社製無線LANルータ)を購入したユーザーは、自分用のアクセスポイントとして利用できるのはもちろんだが、ほかのFONユーザーにも公開してインターネットアクセスを提供しなければならない。
引用元 http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/column/narumono15/01.html
すでにインターネットに接続している家庭のADSLルータ、ケーブルモデムなどにLa Foneraを接続して、無線LAN設定をする。その設定には自分用のMy Placeと他者への公開用のFON APの二つがある。FON APを公開すると(セキュリティはかかっている)、Foneroと呼ばれるFONユーザになる。公開されたFON APの無線LANのシグナル範囲内なら、HotSpotのように無線LAN環境になるというわけだ。
要するにネット接続ゼロ円である。街中のネットカフェも不要なら、有料のHot Placeも不要である。サービス開始からわずか1年で、世界150カ国、13万ヶ所のアクセスポイントがあるという。日本は2006年12月から4ヶ月足らずで1万アクセスポイントを超え、年内に7万5000ヶ所のポイントを目標にしている。
【タダゆえの問題はある】
おもしろいプロジェクト(ビジネス?)なのだが、問題はいろいろある。
ひとつはアクセスポイントがおおよそ住宅ばかりなので、住宅地でしかアクセスができにくいこと。LaFoneraの通信可能範囲は半径50m程度なのである。これはかなりビハインドである。
また無料といってもISPにただ乗りというモデルなので、「通信回線やインターネット接続アカウントを他人に提供してはならない」という契約条項が有る場合、原則的に公開できない。だが現実には公開されてしまっているという事実だけが先行している。
収益モデルが見えないことも問題。ユーザーのタイプは三つあり、「Linus」「Bill」「Aliens」である。
①Linus: 「LaFonera」を設置してアクセスポイントを開放し、その代わりに他人のアクセスポイントも無料で利用できる。わたしはこのタイプにしている。無料のOSのLinuxを開発したリーナス・トーバル氏にちなんだ命名である。
②Bill: LaFonera によってアクセスポイントを他人に有料で開放し、その代わりに他人のアクセスポイントも有料で利用するモデルである。収益優先という意味から、Bill Gates氏にちなんで命名された。50%はFONの取り分である。
③Ailens: コミュニティにアクセスポイントを開放せず、他人のアクセスポイントを利用する際は有料というモデル。世界的に見るとAilenがまだ多数という話もあるが、地球上にいない人というメッセージらしい。
Linus(無料)-Bill(独占・有料)=Fonero(収益)である。
つまりBillとAilenが増えないと儲けられないという事業モデルである。だがオープン・ムーブメントという香りがするところから見て、現在のネットワークはインフラづくりであろう。収入源は別に検討されていると考えるのが妥当である。
以上参考は、http://japan.internet.com/busnews/20061204/5.html
【今後の展開のヒントはVarsavsky氏の経歴にある】
Varsavsky氏は起業家であり、これまで、国際電話会社のViatel(国際電話のコールバック大手)、電話会社Jazztel、ポータルサイトのYa.comを立ち上げた人物であり、相当な実績がある。しかもユーザー数の獲得の事業展開スピードがすさまじい。全世界でAilenが2000人/日、Linusは500人/日という驚異的な増加である。
この事実がベースにあり、資金集めもスムーズである。すでにGoogle、Skype両社らから総額1800万ユーロ(28億円)の資金も調達している。
さらに日本の尾身財務大臣(通産省官僚出身)とも知己を得ているという、通信事業に欠かせない政治的な動きも欠かしていない。日本だけの政治的な動きではないだろう。
【通信市場の行方を。勝手にプリ・アドバイス】
表向きVarsavsky氏はSkype(スカイプユーザー間の無料通話)との提携には口を濁している。だがすでに海外では、FONとスカイプが提携して無線LAN対応のスカイプ端末なるものまで登場しているという。これはタダでネットも通話もできると言う意味である。
Varsavsky氏のねらいは、間違いなくSkypeをモバイル環境(携帯電話やPDA)で利用することを普及させるところにある。あえてそう断言してしまう。ちなみに現在Skypeは全世界で約2億ユーザー(DL数)があり、常時数百万人の利用があるという。
SkypeとGoogleの携帯検索や携帯メール(Gmail)を使うとなれば、通話も携帯メールも価格破壊が完成するのである。国境を越える無料サービスから、安価なボーダーレス無線サービスの世界が出現する。
FONを単なる流行の無料サービスとして考えると、今後の展開を見誤る可能性がある。なぜなら彼らの市場展開の基礎には、通信インフラは誰のものか?という根源的な問いがベースにある。日本でもNTTにしても、どの国でも通信インフラは国有財産であったし、いまだ国有の国も多い。それを有効に使うことを、誰が止めることができるか?無料の理由が「インフラだから」と捉えれば、市場モデルはかなり違うものとなるのである。
日本の通信業界という、あえて言えば世界の主流から外れた業界の取り組みと顧客の意識が、この黒船にどう反応するのだろうか?国内企業が通信規格争いをしている間に、SkypeやFONが漁夫の利で無料/オープン連合として通信市場をオセロ返ししないとは限らないのだ。
Varsavsky氏は「オセロ返し」ができるのかどうか、状況を見ているのではないだろうか?既存勢力とどう折り合いを付けるかも大切だが、折り合いを付けるより、ガラリと優位な盤上をつくる戦略ポジションを腐心しているように思える。
もちろん、FONは無料の花火のように消滅する可能性もある。だが小回りのきくイー・モバイルのようなビジネススタイルも生きてくると思われる。同社の戦略である端末デザインや機能、サービスに差別化が、本来の通信サービスだと思います。でも(まだ)auでごめんなさい。
連休の狭間のワーカホリックらしく?将来の通信業界を我ながら熱をこめて考えてしまった。だがマーケテターとしては、通信やネットワークを活用することは必須なのである。今日は以上です。
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