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2007年5月21日 (月)

顧客LOVE 1.恋愛マトリクスからの考察

わたしはCRMという言葉が嫌いだ。

Customer Relationship Management、顧客関係管理。とても無機質な「関係」という表現が嫌いだ。CRMがやろうとすることも、購買額や頻度や時期だけでお客さまを区分して、販促活動をする・・・というような対応療法で効果が出るなら簡単でいい。現実は違うでしょう。わたしは何度そのセリフを聞いたことか。

お客さまをデータベースにすることで完結することとは何だろうか?その時点までの購買結果を蓄積することでわかることは、買った人がどれだけ買ったか、買っていた人が買わなくなったことだけである。まだ買わない人を買わせることについて、システィマティックな的な解決策があるわけではない。

顧客価値という言葉も、売り手から見ると「購買額のクラスター化する基準」である。買い手からすれば「わたしの求める価値を実現してくれる商品やサービス」である。お客さまが本質的に何をしたいか、お客さまに本質的にどうサービスすべきか、そこからスタートしようという匂いが「CRM」というフレーズから個人的には感じにくい。だから「CRMの案件がある」と聞くだけでぞっとする(笑)。

かのマーガレット・サッチャー元首相は高らかに宣言している。

「社会などというものは存在しない。存在するのは男、女という個人だけだ」と。さらにつづけて「家族」をそこに付け加えた。
新自由主義 その歴史的展開と現在』 デヴィッド・ハーヴェイ著 作品社

サッチャー氏はこの言葉から「民営」を進めたが、わたしは顧客志向の「本質化」をこの言葉から始めたい(ちょっとおおげさだが)。「お客さまとは個人であり家族である。お客さまをどれほど愛せるか。どう愛を表現できるか、どう愛していただけるか」 このように考えたい。  

CRMシステムの「Relation/関係」には、男女関係の「密になり疎になる」ドラマチックな匂いがないといけないのである。愛はエスカレーションする(アップグレードや顧客ロイヤルティのアップ)かしぼむか(離反、浮気)、お客さまとの戦いでもある。だが、現在の愛がそのまま持続するという仮説に基づく「顧客生涯価値」というのはどう考えてもうさんくさい。もっともそれは浮気な男心ゆえかもしれないが(笑)。

ビジネスである限りマネジメントはしなくてはならないので、強いて表現すればLoving Customer in Managemet、略してLCM?だろうか。それだと言いにくいので「顧客LOVE」がはまっている。

顧客LOVEとは顧客を追跡したり盲愛したりすることだけではない。ましてストーカーのように読まれないDMやメルマガを何通も送りつけることではない。何よりもお客さまから愛してもらうこと。愛してもらえるかどうか未来を判断することである。だから顧客LOVEとは、恋愛活動にように「押したり引いたりあきらめたりの活動」である。

今週の勝手にアドバイス 旬ネタは「顧客LOVE」という切り口から、企業と顧客の愛憎関係、密疎へのきっかけを考えてみたい。顧客は浮気と言う前に、自社の顧客政策を振り返ってみよう。どんな求愛をしてきただろうか?ネタの予定は次の通りである。

1.恋愛マトリクスからの考察 → 本日
2.成長の関係 (事例 フェリシモ)
3.仲間の関係 (事例 アップルinsider)
4.誠意の関係 (事例 松下電器)
5.大人の関係 (事例 資生堂)

【勝手にアドバイス 旬ネタ 1.顧客LOVE 恋愛マトリクスからの考察】
また恋愛マトリクス(笑)かと、あきれた方もいらっしゃるかも知れない。なぜならわたしは過去二度にわたり恋愛マトリクスをつくっているからだ。それは「すれ違い許容度と仕事類似度のマトリクス」、「愛していると言ってほしいか、ほしくないかマトリクス」である。念のため、わたしが愛に枯渇しているかどうかは別問題である。

今週は恋愛マトリクスⅢを軸に書くが、その前に「顧客LOVEはリニアか双曲線か」を考えてみたい。

【リニアの顧客LOVE】
まず図1を見てほしい。縦軸は愛のレベルを表し、下から上へ高まる。単位は円、お金である。横軸は愛の持続時間を示している。左から右にかけて付き合いの時間が長くなるという意味である。多くの企業で顧客LOVEとは、左下から右上に伸びる直線=リニアのプロセスを想定している。

Photo_57 図1  

図2では、お金と時間をより具体的に表した。左下の領域が破線なのは収益未満の段階を表している。右上の領域で、x時間かけてYだけ利益が出たことを示している。このX~Yの囲みの中は、過去の収益データからの顧客セグメンテーションである。X~Yを越えてさらに成長する破線は期待価値、いわゆる顧客生涯価値というものである。顧客は果たしてこのようにリニアな消費活動をしてくれるものなのか?

2_4図2

【双曲線の顧客LOVE】

もうひとつ、愛は双曲線であるという見方ができる図3は双曲線が対角線上にあるもの。左下がすれ違い領域、右上は恋愛領域である。前者は見込み無し、後者は見込みあり。愛とはほとんどがこれかもしれない。

1_3 図3

図4では双曲線を上下に置いてみた。下の曲線からは時間と共に一定レベルまで愛は高まるが、やっぱり冷めていく。上の曲線は、最初の恋愛時点では愛は高まるが、時間の経過と共に冷静になり、ええい結婚するか!ということでまた高まる(高まるって言うの?)。ま、結婚でなくても略奪とか駆け落ちでもいいのか。

2_5 図4

何が言いたいのかといえば、お客さまの心理を考えるとき直線思考には弊害があり、それは愛が一直線ではないからである。愛はうつろうもの、という大前提のもとで顧客を動的に区別するべきではないだろうか。

【映画『ナチュラル』から生まれた恋愛マトリクス】
たいていの人が知らない古典映画で申し訳ないが、ロバート・レッドフォードが野球選手Roy Hobbsに扮した映画が四半世紀くらい前にあった。その映画では、レッドフォードは若い天才ピッチャーで、ちょうど早大のハンカチ王子こと斎藤佑樹さんのような注目選手だった。誰もがメジャーに入れば成功間違いなしの選手なのだ。

 7359330 ラストシーンもよかったぜ。

その注目ルーキーは、アメリカの片田舎の町から、恐らく西海岸の一流球団に入団するために長距離電車に乗った。昔のこと(1930年代ぐらいの時代背景だったと思う)だから数日かかるのである。その旅の途中で、ひとりの女性と知り合った。いや単に女性の方が、レッドフォード投手を勝手に見初めたのだ。彼は比類無きヒーローだからだ。

彼女はレッドフォードの投宿するホテルに訪れた。なんと、会うなり拳銃を取り出し、レッドフォードを撃ったのだ。バン!と腹に命中した弾丸。彼は一命を取り留めたが、もう投手としてデビューすることはできなかった。その後日談がこの映画のメインだ。

女性はどうなったか彼を撃ったあとすぐにホテルの窓から身を投げて自殺した。わたしはなぜかこのシーンを強烈に覚えている。このシーンを同僚のまゆさんに話したとき、彼女はこういった。

「それはね、女は男の最後の女になりたいからよ
「最後のお・ん・な・・・」
「そうよ。女はそういうものなのよ」

【顧客LOVEの恋愛マトリクスⅢ】
その会話からつむぎだしたのが、次の恋愛マトリクスⅢである。

 01_21

縦軸は愛を示し、契りとは結婚と考えてもらっていい。自由愛は読者の想像にまかせたい。横軸は「最後からn番目」か「最後の女」を表している。Aで「あなただけよ~♪」なんてだまされている男性は多い(その証明は困難である)。Bは哀しい女性像が目に浮かぶ。

まゆさんの言うように「最後になりたい」のであれば、CないしDが目標である。Cは結婚、Dは愛の流刑地かも知れない。この二つは紙一重なのかもしれない。

ほんものの愛と同じくらい厳しい視点でお客さまのことを考えてこそ、愛(顧客には満足、売り手には収益)は深まる。今週はA~Dのポジションやその移動について、いくつかの事例を見ながら顧客LOVEのかたちを考えてみたい。今日は長くなったのでここまでです。

明日も書きますのでよろしくお願いします。

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コメント

まゆ殿 コメントあっりがとう!
恋愛コンサルタントやれっていう声もあるんだけど、打率が低いぜ(笑)。イチローみたいに先頭打者ホームラン!ていうのがどんなに凄いか、恋愛を考えるとわかる。振り逃げって話もありそうだけど(笑)。ともかく来週からは恋愛から離れます。

投稿: 郷/Marketing-brain | 2007年5月26日 (土) 20時46分

うっひゃー こういう話題で自分の名前が出ると恥ずかちいものですね
PCの前で挙動不審な動きをしちゃった…

私はCとDは紙一重派、に一票です
なにをもって契りというかは人それぞれだし、本当に大切なものは目に見えないんだもん♪(by 星の王子様)

投稿: まゆ | 2007年5月22日 (火) 12時29分

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