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2007年5月28日 (月)

強烈な反省論

寒かった今日は、隔週で書いておりますぷろこんエッセイより転載です。
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よろしくお願いします。

強烈な反省論

一般に企業の業績悪化と社内の危機感は相関しない。むしろ逆相関の関係
だと言ったほうがいい。つまり、業績の悪い会社ほどたるんだ雰囲気である
ことが多く、業績のよい成長企業のほうががぴりぴりしている。
      『2年で会社を変えられますか V字回復の経営』 三枝匡著

514t12mkgzl__ss500_代表作。

            VVVVVVVVVVVVVVVVVV

変われる会社と変われない会社、その境目はどこにあるのだろうか?

もう何年もコンサル稼業をやっているので、うまくいったプロジェクトとうまく
ゆかなかったプロジェクトの両方をいくつも経験してきた。プロジェクト開始前
に、うまくゆくと予想したプロジェクトと、うまくゆかないかもと腹の底で感じた
プロジェクトがあった。自称感の鋭いわたしの予想はたいがい当たっていた。

それなら「うまくゆくようにやるのがプロだろう?」「お前は料金泥棒か?」と
言われるだろうが、手がかゆいところに届かないときもある。かゆいところが
わかっていても・・・。

かゆいところとは、今どき流行りのはしかではないが、疱疹(ほうしん)ができて
いたり、赤くなっていたりする。だから疱疹を早めに鎮痛させるか、大きくなって
しまっているなら、とらねばならない。

だが肌が敏感でない人もいるように、かゆいことや疱疹に敏感じゃない会社も
ある。あなた、ここがかゆいはずですよ!かいてあげましょうか?鎮静しないと
だめですよ!だが誰でも赤の他人には肌をかいてもらいたくない。クリームを
付けてもらいたくない。赤の他人扱いのうちは、お客さまがたとえかゆくても、
わたしたちもかかせてもらえない。改革プロジェクトの心理戦はこういう側面が
ある。

ましてかゆくても、自ら手を伸ばそうということにさえ怠惰な会社であれば、
疱疹はそのままで放置されてしまう。いや「あえて放置しておこう」という、負の
積極的な意思さえ働くものである。

            VVVVVVVVVVVVVVVVV字

このあたりのことをまっすぐ指摘し、現場の改善に内部からも手を染めてきた
のが三枝匡氏である。冒頭に引用させていただいた『V字回復の経営』の一文
にあるように、打てば響く会社も、たるんだ雰囲気の会社もコンサルティングを
されたが、現在は製造業のミスミで、創業者の田口弘氏の後継者として事業
拡大と成長を実践している。

先日(2007年5月17日)わたしは「新・現場力の論理」というセミナーを聴講し、
その中で三枝氏の講演に心を奪われた。今は経営者なのであまり講演を引き
受けないという話もあった。氏の話をその日の聴講者だけのものにしておく
のは非常にもったいないので、わたしの感じた講演の核心を紹介したい。

核心と感じたのは「強烈な反省論」である。

            VVVVVVVVVVVVV字VVVV

企業の変革とは、マイナスのモメンタム(勢い)をプラスのモメンタムに変化させ
ること。このままではどんどん奈落の底に向かって行くマイナスの坂にいる。
それをどこかの地点で、ぐぃっとプラスの坂に転じさせなければならない。氏は
変革の死の谷を越えるという表現をしていた。

プラスに転じるためにタスクフォースや、われわれのような会社が入るとコン
サルティング・プロジェクトと呼ばれる変革チームが発足する。各部署から
優秀な社員が集められる。現状分析、市場分析、事業領域の再検討、技術
デザインの修正・・・さまざまな視点から、変革への道筋をつくろうともがく。
ところが時は日々うつろい、成績は毎月締められる。数字に変革効果が表れ
ないと、果たして改革は進んでいるのだろうか?とチーム内にも疑問がもた
げる。一般社員からは何をやっているんだ?という声も聞こえてくる。

マイナス坂が、プラス坂への交点にさしかかるまでの不安である。

まだマイナス坂なのだろうか?それともプラス坂に転じたのだろうか?交点が
見えないのであせる気持ちが出てくる。エセ改革者は、その不安に耐えかねて
「オレは最初からうまくゆかないと思っていたよ」と評論家ポーズを取りだす。
耐える者もいる。

耐えて不安を払拭し、プラス坂への交点までがんばり抜く力とは何だろうか?

三枝氏は「プラス坂に昇るために考え抜いておくこと」が準備だと言われた。
考え抜くとは分析だろうか?知識だろうか?知恵だろうか?いずれも必要では
ある。だがどこか腹に響かない要素である。不安の払拭には直接的には関係
がなさそうである。不安を払拭するのは、頭の作業ではないような気がする。

三枝氏は最も必要なことは「強烈な反省論」と表現した。

オレも悪かった。いやオレこそ悪かった。ゼロからやり直そうや。こういう声が
社内の多くの部署から聞こえてこないかぎり、改革は絶対にうまくゆかない。
ミスミでは社内の資料は三部作だそうだ。それは「強烈な反省論」「変革シナリ
オ」そして「アクションプラン(実行計画)」である。

変革シナリオやアクションプランがうまく描けないときは「どうもまだ強烈な反省
論が足らないな」と言い合って反省をし合うそうである。反省なきところに改革
なし。業績回復もない。

            VV字VVVVVVVVVVVVVVV

わたしのこれまでのコンサルティング・キャリアで、もっとも強烈な反省論が
あったのは、某社でのプロジェクトである。構造改革をしないかぎり明日は
無いという状況がそうさせたのであるが、必ずしも全社に反省論があったわけで
はない。自己保身もあれば、無関心もあった。責任転嫁も節々に見られた。
だが当時のプロジェクトメンバー一人ひとりには反省論が強烈にあったから
こそ、プロジェクト自体が強烈な反省論に満たされた。その結果、反転のきっか
けをつかみ、業績回復軌道に乗ることができた。

そのときの最終報告書には、強烈な反省論を忍び込ませてあった。それは
責任論である。三枝氏も講演で言っていたが、強烈な反省論とは、実は一行で
済ますこともできる。「XXXXが責任を取って辞めてください」である。

かゆいところはだいたい一箇所である。そこをかくのは、強烈な反省論が
あってこそできるのである。

            VVVVVVVVVVVVVVV字VV

強烈な反省論が必要なのは、事業改革だけではない。個人の目標にも通じる
ことでもある。それはもがいて悩むということ。これはあんがい体力を消耗する
し、堂々巡りになると心理的にはつらい。

強烈に反省するためには、竹のししおどしに水が溜まり、こ~んと響くまでに
時間が必要なように、時間がかかることではある。だが溜まったはず水が、
いつの間にかお尻に開いた穴から、ちょろちょろと漏れていないとも限らない。
穴を指でふさいだり、指をずらして水を抜いたりするのが、ストレスマネジメント
というのだろう。

 E1  Koooo・・・n

個人的な強烈な反省論とともに・・・わたしの年では反省も手遅れ。でも開き直れも
しない。ししおどしでは足りず滝に打たれるべしでしょう。今日は以上です。

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