趣味を科学する 1.趣味のAIDMA
お盆の今週の旬ネタは、前々日に書いた「自転車が呼んでいる」の余勢をかって、休みにふさわしく「趣味」をテーマに。
皆さんはどんな趣味をこの夏休みにしているだろうか。読書もあろうし、DVDのまとめ観もあるだろう。猛暑だがテニスや釣りという人もいるだろう。海山と言えば、アウトドア派を自認する営業のODさんは、なんと姪を背負って1000m級の山に登るらしい。背負子の熱中症に気をつけよう。OBの営業ウーマンのKSYさんは、今頃はヨットで伊豆の洋上にゆら~りだろう。地球のごとく重い錨を何度も上げ下げするのはご苦労さまだが、ゆら~りがうらやましい。
テーマ・タイトルは「趣味を科学する」だが、サイエンス(数値化)までは大風呂敷なので、「趣味の観点から消費行動を考え、商売開発につなげる」という意味で読んでほしい。わたしの仮説はこうである。
人はその経験の中で、さまざまなかたちで趣味の原点となる接点を持っている。それは何年もかけて、ちょうど雨だれが石をうがつように深掘りされ、いずれ趣味心のマグマまで到達する。そして趣味を楽しそうに話す人と接するなどのきっかけがあり、岩が割れて、マグマが噴出するように、趣味の消費行動や活動に走る。本人にも説明がつかないネイティブなものであったとしても、趣味を始めるウラには背景や遺伝子があるのではないだろうか?
予定している構成は次の通り。
1.趣味のAIDMA → 本日
2.趣味のDNA (女装者の鉄ちゃん趣味)
3.趣味段階別ターゲティング (趣味段階別の攻略策)
4.趣味人の増殖戦略 (趣味人増殖のサイクル化)
5.趣味H2B市場 (趣味が嵩じて・・・)
【勝手にアドバイス旬ネタ 趣味を科学する 1.趣味のAIDMA】
人が趣味に走るきっかけ、「堰き止められていた何かが外される」という仮説が正しいのならば、それは法則として普遍化できる。法則マニアのわたしだから「趣味のAIDMA法則」を考えた。
AIDMAとは、マーケティングの世界では古典的な購買心理を表す法則である。「Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲望)、Memory(記憶)、Action(購買)」の略で、こうした段階を踏んで消費者は購買に走るというものである。ネット時代には、これにSを入れてSearch(検索)やShare(情報共有)を含める向きもある。
趣味のAIDMA法則は次の語呂合わせである。
Accumulate (アキュムレイト=蓄積)
Interval (インターバル=間隔)
Discovery (ディスカバリー=発見)
Magma (マグマ=地殻変動)
Awakning (アウェイクニング=目覚め)
【趣味のAIDMA】
まずアキュムレイト段階では、その趣味をめぐる接触が蓄積される。たとえば父の趣味が日用大工で手伝わされたとか釣りに連れていかれたなどである。小さい自分にグライダーを観て、いつか乗りたいと思った。そういう経験や体験があり、脳の趣味中枢(どこかしら)に蓄積される。
その蓄積は1度とは限らず、インターバルをもって繰り返されるかもしれない。インターバルがそれを熟成する動因にもなるケースもあろう。やがて未知なる自分のディスカバリー/発見段階となり、趣味へのマグマが盛り上がる。マグマが噴出するとき、それはアウェイクニング/目覚めの段階となり、「やってみたい」という消費行動に一気につながるのである。
間隔をおいた蓄積期間で消え去る興味もあるし、嫌な思い出と共にトラウマとなることもある。一方、定年後の無趣味なおじさんの自分探しの趣味が、3日坊主に終わるのは趣味のAIDMAを経ていないからである。愛のマグマが無くては人を愛せないのと同じである。
この仮説が正しいかどうか、趣味別にアンケートやインタビューなどを実施して、趣味に至る期間やきっかけを研究するのはおもしろそうだ。残念ながらそうした調査研究をまだ発見していないので、読者に文系大学生がいたら卒論にチャレンジしてほしい。
【趣味→嵩じて仕事→嵩じて道楽】
商売としてアウェイクニングを引き出すために何ができるか?そこが本稿のテーマでもあるが、一足飛びにそこにはゆけない。まず大きな視点から趣味を段階別にしみよう。
段階1.いわゆる趣味/ホビー
段階2.趣味は仕事
段階3.道楽
「いわゆる趣味/ホビー」段階には「初級」「中級」「上級」がある。初級は初心者、上級は人に教える一歩手前である。いずれにせよこの段階では「自分探しで趣味に没頭する」ことが根本ニーズである。趣味のB2C市場といってもいい。
次に「趣味は仕事」という段階では、「趣味が嵩じて技能を活かして、収入を得る」。師匠さんから独立する弟子への物品などの卸売りを見ると、それは趣味のB2B市場と言えるだろう。
最後は「道楽」段階になる。その心は「だれにも邪魔をされずに自分の世界に浸る」。いわば魯山人の趣である。道楽と言えばお金は激しく使うものだが、生半可なアプローチでは道楽人と商売はできない。まっとうな商売人ならば近づかぬ方が賢明な市場である。
【宮崎あおいさんの趣味】
21歳にしてすでに女優歴10数年の宮崎あおいさん。ブレイクはNHK連続テレビ小説「純情きらり」の主演だが、舞台、ドラマ、エッセイストなどその才能の多彩さは素晴らしい。彼女の今や有名になったカメラ趣味はNikonから始まり、今はOlympus E410、E510のキャンペーンの主役を務める。彼女の撮る写真のアングル・構図・接近に、わたしは、彼女のあのまっすぐに人を射貫く視線を感じる。
by 宮崎あおいさん http://olympus-wonder.com/aoi_photo/
彼女がなぜカメラ趣味にはまったのか。これはわたしの想像だが、幼少からの俳優業で見られることに慣れてきた。「頭で考えて演じるわけではなく、私は衣装やメークを整えて現場に入った時点で、その役をつかむ気がするんです」と発言する彼女は、すでに演技を意識しないでできる域に入っている。
J-Nudeより
http://opendoors.asahi.com/jn/intreview/030.shtml
だがいつしか彼女は「待てよ、自分ならこの舞台やシーンをいかに撮るだろうか?」と考えたのではないだろうか。撮られてきた経験がアキュムレイトして、やがて「撮りたい」という感情に転化したのではないだろうか?必然的な趣味のあり方を彼女のカメラに感じた。今日は以上です。
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