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2007年8月10日 (金)

『夜は短し歩けよ乙女』の悦楽

皆さんには本が読めなくなる時期がないだろうか?

読めるときには何冊も平行してバンバン読書ができる。だがなぜか読めなくなると、一冊、いや一パラグラフを読むのにも難儀する。活字を見るのも嫌になる。読めるのは新聞ばかり。バケーションとその時期が重なれば、いくら時間があっても(特に仕事がらみの)読書は捗らない。

わたしのそんな読書危機を救ったのが、ひとつの恋愛ファンタジー小説である。これは痛快な本である。万人向きではないかもしれないが、映画化もされるだろうし、気がつけばL25でも書評があり、雑誌ダヴィンチでの特集もあり、実は世の中はモリミ(森見)ブームになっていた。

勝手にアドバイスにファンタジー小説がふさわしいだろうか?と一瞬考えたが、Gootきたものを取り上げるのがわたしの自然体である。

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 http://www.kadokawa.co.jp/sp/200611-07/index.html?banner_id=yoruhamijkashi

【勝手にアドバイス Vol.221 『夜は短し歩けよ乙女』の悦楽】
奇才森見登美彦氏の著書『夜は短し歩けよ乙女』のAmazonの内容紹介を引用したい。

鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー!
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!

 引用元 http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4048737449/ref=s9_asin_image_1-1966_g1/249-1266219-4751560?pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=center-2&pf_rd_r=0SFFMSZTN34KXAG1NHD2&pf_rd_t=101&pf_rd_p=61605506&pf_rd_i=489986

あらすじを書くのは反則であるし、本書は何より書くことがむつかしいのである。全編は4つの物語(章)で構成され、主人公の先輩(私)を巡るモリミ・ワールド(彼の複数の著書で登場する人物が繰り広げる奇怪な話)が、各章で繰り広げられると表現しておくのがもっとも正確なのかもしれない。第1章=京都の呑み屋を夜明けまではしご、第二章=古本市での戦い、第三章=学園祭での偏屈王の春、第四章=風邪と愛のまんえん。抽象的なあらすじだが、これでも具体的なのである。

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 ラ・タ・タ・タム―ちいさな機関車のふしぎな物語・・・第2章の古本市に出てくる。

文学賞メッタ斬り』の辛口エッセイ本で有名な豊崎由美さん さえもが、この書の主人公に「応援せずにいられなくなること必定」と書いているくらいおもしろいのである。この作品、2007年本屋大賞2位、第20回山本周五郎賞を受賞した。

【おともだちパンチ】
親指をひっそりと内に隠して、堅く握ろうにも握れない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです。(中略)ふるいたくない鉄拳を敢えてふるわねばならぬ時もある。そんなときは私の教えたおともだちパンチをお使いなさい。堅く握った拳には愛がないけれども、おともだちパンチには愛がある
出典 『夜は短し歩けよ乙女』

本書のテーマ、いやモリミ・ワールドのテーマの中心にあるとは、愛に焦がれ、愛に浮かれ、愛のパンチに痛打され、愛の酒に酔い、愛の達磨になり、愛の本の迷宮に入り、愛の激辛にしたり、愛の緋鯉を背負い、愛の詭弁論に迷い、愛ゆえに高みから落下するという・・・ひと言で言うと、奇想天外な愛の物語である。

おともだちパンチとは、主人公が焦がれる・・・さんが渾身の力をこめて繰り出すパンチなのであるが、この小説自体が優しいパンチであると言える。

下敷きは著者の出世作『太陽の塔』にある。これは自伝的ファンタジー小説であり(日本ファンタジー小説大賞受賞)、かなりの部分、著者の大学生活を戯画化したと言えるのだろう。だがそこから数年を経た本書では、誰もが体験した普遍的なファンタジーにまで小説化が徹底されたといえよう。実に痛快、実に悦楽。

尚、『夜~』の表紙デザインは知る人ぞ知るイラストライター兼ミュージシャンの中村佑介氏。この本がベストセラーなりしは、彼のイラストの効力も大きいかもしれない。

 Top2 中村氏のサイトより。

【妄想悦楽ニーズ】
われわれの日常の90%は頭の中で起こっている
『太陽の塔』 森見登美彦著

顧客視点から物事やニーズやトレンド見ようと考えるとき、わたしは自分の網膜に映ること、鼓膜に響くことが、果たして万人と同じなのであろうか?と疑うことがある。いや或る意味で(わざと)疑うようにしている。わたし自身がファンタジーにひたっていないだろうか?平衡感覚があるだろうか?確認するのである。

ファンタジー小説に限らず映画を観ることは、ファンタジーに自分を揺らしたいからである。人間は皆、ファンタジーが好きなのである。「恋愛は妄想しているときが一番楽しい」とはCherryさんの名言。人には妄想を楽しみたいという根本的なニーズがある。

【勝手にアドバイス】
人間には極端から極端に振れ、やがて平衡感覚を取り戻そうとする(さが)がある。極端とは人によりけりだが、たいていは愛、美や健康、仕事、冒険、修行、娯楽、アンニュイである。

極端の振り子がず~んと振れるところに、ヒットする商品やサービスの「」があると思えばいいのである。その素はファンタジーという形式で解き放たれる。ファンタジーとは小説、ウェブ、映画、スポーツ、遊園地、賭け事・・・などなど。

わたしのブログも、読者のビジネスも、どのような振り子になるのか、それをはっきりさせればいいのである。今日は以上です。

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