« わかりやすさが命 3.わかりやすさシンドローム | トップページ | わかりやすさが命 5.わかりやすさを統合する »

2007年8月 2日 (木)

わかりやすさが命 4.情報格差を乗り越えるには

わかりやすさについて考えるテーマは今日で4回目である。目次の入れ替えもあったので今週のテーマの一覧を再掲する。

***********************************************
 1.わかりやすくないと売れないのか? 7月30日
 2.わかりやすさ事例 7月31日
  3.わかりやすさシンドローム 8月1日
 4.情報格差を乗り越えるには 本日/8月2日
 5.入口では興味を、出口でわかりやすさを交差させよう。
***********************************************

さて、灯台もと暗しで、ではわたしのやっている仕事(コンサルティング)は果たしてわかりやすいか?というと必ずしもそうではない。当社の先代の社長も話していたが、戦友とも言うべき社長仲間から「お前のところの会社って、何やっているかよくわからん」と言われたという。

わかりにくさにはいろいろな理由がある。まず世の中にさまざまなタイプのコンサルタントが乱立している。その中で当社のコンサルティングとは何か?を絶えず発信する必要がある。

また、わたしの所属会社は会計系が強いと言われているが、会計のコンサルティングが何なのか、一般的な理解があるとは言えない。わたしの領域のマーケティングのコンサルティングでも、クリエイトするのかマネジメントするのか、あいまいなところがある(その答えはプロデューサーである)。さらにコンサルタントとコーチとカウンセラーはどう違うのか?という議論もある(これはエッセイで考えたい)。

だが、わかりにくいからと言って説明を放棄することはいけない

コンサルティングには、経営を再構想する創造力(クライアントとの協働)、熱意を引き出すコーチング力、そして継続支援(カネや人材リソース)を統合的にサービスできるネットワークがあることが理想である。以上、日常では青臭い議論とカルシウムが不足気味なので、少し書かせていただきました。本題へ。

【勝手にアドバイス旬ネタ わかりやすさが命 4.情報格差を乗り越えるには】
誰にとってわかりやすいのが、わかりやすさなのだろうか?

デザインの世界にはユニバーサルデザインという考え方がある。それは「できるだけ多くの人に利用可能なデザイン」である。どんな人にも公平に、使い方の理解がしやすく、そのために必要な情報がそろっていて、うっかりでも安全なことなどが、ユニバーサルデザインの7原則として挙げられる。

対応する商品も、牛乳パックやペットボトルなど日用食品容器から洋服、自動車やバス、住宅設備など多岐に渡っている。

 Tsukubus_ctjunkan Point02_img 
 ノンステップバス          ゆびスポットボトル

デザインの世界にくらべて、商品説明分野ではユニバーサルという考え方がまだ油級しているとは言いにくい。わかりやすさの7原則、みたいなものを聞いたことはない。

【わかりやすくすることで非効率になる】
だが、平均的な人のわかりやすさレベルとは何だろうか?

 頭脳が8レベルの人へのわかりやすさ
 頭脳が2レベルの人へのわかりやすさ

現実にはこういうことがありうる。お喋りする相手によって、使う単語を選び、表現の仕方を変えているのは誰にもある。8レベルの人には高度に、2レベルの人には噛んで含めて、なのだ。

業務生産性から考えると、頭脳レベル8の人と頭脳レベル2の人のアウトプットは、ならせば5である。だが、そのとき業務内容の伝えかた・理解までが含まれた生産性と考えたらどうなるだろうか?

わかりやすい2レベルの人用の(8の人には何をかいわんやという内容の)業務記述書を作る。2にはちょうどいいが、8レベルの人には6はムダである。時間もコストも6はムダになる。逆に6レベルの人用に合わせれば2の人からはわからないという不満が出る。その場で不満が出なければ、後になって手戻りや不具合が発生するだけである。

どちらに合わせるかはバイケースだが、わかりやすさを追求する上で、平均を取るのは間違いだ。かえって効率は低下することを覚えておこう。

【誰にもわかりやすくすると、とても危険なこともある】 
もうひとつ例を挙げよう。再来年には裁判員制度が導入される。一般市民が裁判員として参加する制度である。一般には法律用語がわかりにくいので、わかりやすくする検討を始めた。次の記事では、「実況見分調書」ではわかにくいので「見取り図」にしてはどうか、という言い換えが検討されていることを批判をしている。

 「実況見分調書」というものが、どのような情報を含むべき資料であり、それによって証明できること、証明できない(してはならない)ことは何か、といった基本を知らない人がいたとして、用語を「見取り図」と言い換えると「わかりやすく」なるだろうか。 むしろ新たな危険を生じるだろう。それは、彼(彼女)が個人的に持っている「見取り図」のイメージが彼(彼女)の頭の中に構成されるだけであって、「実況見分調書」の内容そのものはまったく伝わっていないからである。
http://www.news.janjan.jp/living/0511/0511104968/1.php

実況見分調書のポイントは「証明できることとできないことの範囲」を知っておくこととだそうだ。それを「一般市民」に合わせて「見取り図」と言いきってしまうと、どんな事態が想定されるだろうか?見取り図=公平な事実と捉えられないだろうか?とても危険である。

「実況見分調書」の事例はこちら。
http://www.independence.co.jp/police/hodogaya/jeep/index.html

【ではどうすればいいか】
ひとつの解は、仕方がない・・・両方に対応しよう!というものである。東芝のHDD内蔵DVDレコーダーRD-W300は、シンプルリモコンとフル機能リモコンの2つを搭載している。

 202

簡単な操作しかしない(できない)人には、よく使う機能(録画と再生)の操作ボタンを絞ったシンプルリモコンを、フルに活用する人にはフル機能のリモコンを装備した。これを冗長というか、ムダというか・・・。だが見回してみれば、「簡単/クィックスタート」と「フルバージョン」を両方揃えているものは多い。パソコン、携帯電話、デジタルオーディオ・・・など、複雑な機能を持つものは、2つの取り扱い説明書を持っている。

つまり2段階にすることは、初心者と上級者、双方の情報格差是正の強力なツールなのである。だがその二段階も、使い方を誤ると糾弾されることもある。

【2段階説明でも危険な場合】
生命保険のセールスがまさにそれである。生保レディに巧みに誘導され、わかりやすい支払いと保障条件図を見て、ハンコを押したけれど、後で分厚い資料が送られてくるだけ。こむつかしい資料を読む人は少ない。だから不払いなどの問題が指摘された。最初は人がわかりやすい説明で、契約後で資料をお読みくださいというのは金融業にありがちである。これは、とても危険な二段階説明なのである。

むしろウェブサイトでわかりやすく説明してもらい、実際の意志決定に際して、セールスから詳細な説明してもらう方が、よほど好感度が高いと思うのだが・・・。明日はわかりやすさの構造化を考えて締めたい。今日は以上です。

|

« わかりやすさが命 3.わかりやすさシンドローム | トップページ | わかりやすさが命 5.わかりやすさを統合する »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158074/7383202

この記事へのトラックバック一覧です: わかりやすさが命 4.情報格差を乗り越えるには:

» 業界初!超親水性輝きのナチュラルコート新発売! [輝き生活♪]
超親水性の輝きのナチュラルコートは完全水性無機質のガラスコーティング剤です。車のボディーやガラスはもちろん、携帯電話や家電までピカピカになります♪ [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 17時14分

» 資格で能力開発 その5 ワープロ [資格で学んで投資で稼ごう!!〜おこづかい研究日記〜]
私はかつてワープロを持っており 日記とか「変な文章」を作ること自体は 嫌いではなかった。 そういえば、ワープロ検定やブラインドタッチを 練習ソフトで遊び半分でやっていたなあ。 高校時代のこと。けっきょく身に 残るものはなかった。 [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 18時05分

» ●●あなたも携帯コンテンツ代理店になりませんか!●● [携帯ASP事業]
携帯ASP事業に初のMLMを取り入れ低資金で誰でも携帯ASP事業主(代理店)になることが可能!それがHOT Click(ホットクリック [続きを読む]

受信: 2007年8月 2日 (木) 21時38分

» 住宅のユニバーサルデザイン [マイホームを作りたい人へ]
今までの住宅はただ単にバリアフリー(段差解消、手すり取り付けなど)を勧めてきましたが、実際にバリアフリー住宅で暮らしてみるとバリアフリーの対象者であるお年寄りや子供だけではなく、全ての人に使いやすい住宅でなければならないことに気づくことでしょう。全ての人に使いやすい住宅設計が住宅におけるユニバーサルデザインの基本的な考えなのです。このことから、ユニバーサルデザインは何も特別な設計や仕様というものではなく、全ての人が問題なく使いやすい設計であればよいのです。 そのようなことからユニバーサルデ...... [続きを読む]

受信: 2007年8月26日 (日) 23時03分

« わかりやすさが命 3.わかりやすさシンドローム | トップページ | わかりやすさが命 5.わかりやすさを統合する »