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2007年9月16日 (日)

津上みゆき 二十四節気の色彩

今日はあまり書きたくないテーマである。

というのも、このささやかなブログでも日々延べ何百人かの方がご訪問くださっている(ありがとうございます)。だからわたしがその方の名前と作品を、何百人かに広めてしまうだけでも、その方のファンが無造作に増えて作品の価格が騰がると、ますますわたしが購入できなくなるからだ。だから今日のブログは読まなかったことにしてもらいたい(笑)。

だから「書きたくない」とは、「書きたいのだが書きたくない」・・・というアンビバレントな思い。

それでも書くのは、ココログでブログを書き綴りだして、明日で連続1ヵ年となる。ある小さなきっかけから始めたブログで自分を、そして自分のまわりの何人かに影響することができたであろうか。ささやかな自分への記念として、好きなテーマをと思った。それが画家の津上みゆきさんである。

【勝手にアドバイス Vol.241 津上みゆき 二十四節気の色彩】
このアーチストの作品に惚れている。

小品を購入しようとしてタッチの差で売れてしまったことがあった。だから個展に伺えるのをずっと想っていた。始めて目の当たりにしたViewの春景色は、ひろがりがあり、息吹があり、気候があり、感情があり、そして津上さんの風景を切り取る才能を感じた。感動した。

 View_24seasonsspring06  <<View - 24seasons“Spring”№06>> 
 第一生命南ギャラリー「津上みゆき 個展」より。
 出典 http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/activity/bunka/gallery/south.html
 ※本来掲載不可だと思いますがしばしお許しください。

良い絵をみたあとはなぜ清々しくなるのだろう。すぅ~っとする感じ、と言ってもいい。わたしは第一生命南ギャラリーで行われている個展(2007年9月20日まで)で、View-24seasons“Spring”No.01~06をじっくりみて、大作に由来するドローイングもみて、とても清々しくなった。ちょっとした事件(後述)もあったが、それにもめげず良い気分になった。

【二十四節気の風景というテーマ】
次は、この個展によせられた作者の津上さんのメッセージの一部である。

「風景を描くこと」と「私」は、まるで幼なじみのような気がします。
ただ面白いというシンプルな感動が、どの作品にもあります。私にとって「風景を描くこと」の面白さとは、 描けば描きこむほど、尽きることない不思議が、風景には具わっていることです。「描く」とは、見て、感じて、理解したことのみを、2次元の世界を借りて、色や形や線を駆使して再現していく作業です。 「風景を描く」ために「みる」とは、自分などまったく存在しない遠いはるか昔から、永遠に流れてきた時空間の先端に、出会い続けることです。

引用元 http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/activity/bunka/gallery/south.html

津上さんの作品は一貫して「風景」である。それも、太陽年日数をベースに、四季をさらに6つの期間に分けたとも言われる二十四節気(にじゅうしせっき)という暦を軸にして制作される。

  24  
  出典 二十四節気Wiki

【View - 24seasons“Spring”】
自然の景観の変化、季節の動きを実感できるのが二十四節気であり、この暦に合わせて津上さんは連作をされている。今回の展示のテーマは「春」なので、立春から穀雨までの6つの節気である。個展ではその6つの作品が展示されていた。季節の移り変わりごとに、ひとこと解説と解釈を書きたい。

 立春 作品No.01 寒さが少しずつ緩み、ようやく春の気配が忍びよる季節
     寒さは作中の「白さ」であり(雪だろう)、赤と青はつぼみや陽射しだろう。
        
 雨水 作品No.02 雪から雨に変わり、農耕の準備へ
     一瞥してこの作品は雨、だと思った。その中にピンクの柔らかさがあるのが春。

 啓蟄 作品No.03 大地が暖まって、冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ
     明るい赤、茶で全体が構成されるのは啓蟄があたりに拡がるイメージか。

 春分 作品No.04 昼と夜の長さが同じなのが春分
     青(空)と白(雲)とが、オレンジ(日だまり)とキャンバスを分け合っている。

 清明 作品No.05 さまざまな花が咲き乱れる頃。
     空にはもう暑い陽気がいっぱい。雲と陽射しが空で一緒になった。

 穀雨 作品No.06 田畑の準備がととのい、雨が降り出す頃。
     もう立夏まで短い!だから真っ赤な夏がキャンバスに入り込んでくる!

わたしは「」が好きなので、立春(No.01)と穀雨(No.6)がもっとも鮮烈で惹かれた。津上さんの作品は、こうして並べて季節の移り変わりを感じながら鑑賞するものだということがわかった。ならばせめて6枚/季節をひとくくりで見なくてはならない。小品で十分なので、立夏から大暑までの6枚を手元に置くのが夢である。

一緒に展示されていた作者のドローイングに、「ハル アメ フル、ハル アラシ」という言葉がちいさく書かれていたのが微笑ましかった。

【わたしの一品】
赤が好きなのはわたしが夏生まれのせいなのだろうか。津上さんの赤が印象的な作品。

 Viewaugust06  View,August,06 ペインティング
 出典 タグボートより。http://em.m-out.com/ec/html/item/001/002/item1659.html
 ※本来掲載不可だと思いますがしばしお許しください。

ピンクという色のイメージを訊かれて津上さんはインタビューで「体内、胎内、しあわせ、笑い」と答えられている。赤にはどんなイメージをお持ちなのだろうか?

【展示場での事件】
個展は18時までである。わたしは「あまりに忙しいので今日は失礼します」という言葉を残して、多少フライングをして会社を出た。絵を見終わり、「うわぁ!すごい」と思いながら同じビル内にある花屋さんで個展のリーフレットを買おうとしていた。

そのとき後ろから「ちょっとすみません!」という声が。振り向くと、展示場内にいた女性の方。「ファイル、持って行っていません?」「はぁ?」「ちょっとカバンを見せてください」 せっかく良い気持ちになって疑われてムカっとして、わたしはトートバッグをおっぴろげた。書類もかき出した。「真ん中のジッパーの中にはナニが入っています?」 真ん中はPCなのである。「パソコンです!」と言いながら取り出した。

それで納得してもらった。彼女は引き下がってゆき、わたしは気を取り直してリーフレットを購入した。ちょっと冷静になり、もう一度展示場にもどり、念のため名刺を置いておこうと思ったのだ。くだんの女性がどこかに電話連絡をしていて、どうやら3冊あった津上さんの作品紹介のファイルが2冊しかない、さきほどまで津上さんご自身がいらしたので、持って行っていないか?と確認されていた。そういえばわたしが見たとき、すでに2冊しかなかった。無断で失敬した人がいれば返却してほしい

【人は自然の一部分】
女性が電話を終えられたので訊いた。「津上さん、来ていたんですか?」「ええ、ついさっきまで。あなたと入れ違いかしら」 ああ残念。だがまだチャンスはある。

 Tsu2005 津上さん。

それにしても、人はまことに自然の中の一部分なのである。Viewという作品の色彩が迫ってくる理由はそこにあると感じた。今日は以上です。

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