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2007年9月10日 (月)

顧客参加 1.顧客参加をめぐる企業の五次元

この勝手にアドバイスからのoneテーマを連続して考える「お客様に相談室」、今週のテーマは「顧客参加」である。

【お客様に相談室 顧客参加 1.顧客参加をめぐる企業の五次元】
顧客参加とは何だろうか?

いわゆるオーダー/注文はもっとも古くからある顧客参加である。採寸をして、型を決めて、自分だけ仕様のモノを作ってもらう。セミオーダーのBTO(Build to order)、構成部品やソフトウェアを選択して自分仕様をつくるのもそうだ。いわゆる消費者リサーチはもちろん、最近流行のターゲット・リサーチ(ひとりないし少数の顧客ターゲットを決め、その対象者をつぶさに調べる)は顧客を商品開発に参加してもらうことである。購入後にインターネット上で商品評価するのや、ブログでコメントするのも、もちろん顧客参加。お客さま相談室を設けるのも参加を促す手段である。

このようにさまざまな顧客参加のかたちがあるのは、企業のビジネスモデルがそれぞれ違うからである。オーダー主体の企業と既製品主体の企業ではもちろん違う。リサーチが必要な商品とそうでない商品では違う。クレームの取り方も違う。

それはわかるが、顧客参加が上手な企業と下手な企業があるのはなぜだろうか。同じ業種でも、顧客参加に積極的な会社と消極的な会社があるのはなぜだろうか。この疑問がわたしの出発点になった。

【企業の五次元】
その疑問を解いてくれるコンセプトは「企業活動は五次元ある」というものであった。

多摩大学総合研究所の松本祐一准教授と北矢行男教授の論考「企業進化の5つの次元」によると、「企業を環境に働きかけて新たな価値を創出する社会にとって有用な装置・システム」として五次元に表している。「プロダクトアウト」「マーケットイン」「マーケットアウト」「ソーシャルイン」「ソーシャルアウト」がそれらである。両氏の論考をベースに、わたしなりに図解したのが図01である。

 01
 企業五次元01

第1次元の「プロダクトアウト」は「より安く、よりたくさん売る」会社である。高度成長期の会社というイメージであるが、ときに過大なノルマに突き動かされる事業のあり方である。

第2次元は、市場が成熟化し、競合が激化して、前ほど売れなくなったという認識をして、お客様の声を聴こうという会社への変貌である。それをお客様の中に入るという意味で「イン」と表現する。

第3次元は顧客になりかわって、顧客の立場・目線から商品やビジネスを考えるという段階。お客様視点の会社になるためには、パラダイムシフト(松本氏は「ときには痛みを伴う構造的な変革」と表現する)が必要であり、顧客視点で会社をガラリと変えるメッセージが「アウト」である。

第4次元からは「社会(ソーシャル)」がキーワードになる。企業が社会の一員となって行動する次元になり、法律や規則、慣習を守るのは当たり前で、社会的な責任遂行がやがて企業の持続的な発展や成長につながる。

第5次元はそれをさらに一歩進めて、本業すなわち社会貢献という企業である。「はじめから社会の立場に立って発想し、社会のために企業活動を展開する」企業である。

こうした企業の態度を五次元別に、「大量販売」「いかに顧客を知るか」「パラダイムシフト」「企業の社会貢献」「社会企業」というキーワードでまとめたのが図02である。

 02
 企業五次元02

だがあらゆる企業がこの順序で成長すべし、というものではないと思う。企業の成り立ちや歴史、業種や業態によっては次元を越えられないケースもある。できる限り高い次元を目指そう・・・が基本である。尚、わたしは両氏の論考を参照しているので、詳細は企業進化の5つの次元を参照されたい。この論考はとても参考になりました。

【顧客参加の企業五次元説】
さらにこの図を顧客参加のレベルを付したのが図03である。顧客の参加度を入れるとこの図が生きてくる。

 03
  企業五次元03

 プロダクトアウト:顧客参加なし
 マーケットイン:顧客の声を聴く
 マーケットアウト:顧客の主体的な参画
 ソーシャルイン:顧客と共に社会貢献
 ソーシャルアウト:企業の存在=社会貢献

最近では「お客様に聞くな」「お客様は知らない」という意見もある。「お客様の意見を聞きすぎたせいで商品開発に失敗した」。これらはいささか乱暴な話である。プロダクトアウトの次元なのではないだろうか。

マーケットインとアウトではどうか。商品開発には2つのアプローチがある。それはトレンドの風を読むか、事業の壁(常識の壁、プロダクトデザインの壁、売り方の壁など)を壊すか、そのどちらかである。どちらにせよ、ヒントは常に、お客様がお尻をむずむずさせているところにある。むずがゆいのを、観察するか、聞き取るか、想像するか、そのいずれかをどれだけきちんとできるかが、マーケットインとマーケットアウトを分かつという見方もできる。

そしてソーシャルの段階で顧客と企業の関係をどうとらえるかが、これからの地球企業のテーマでもある。あらゆる企業はソーシャルインを目指せると思うし、心ある多くの企業はそうしている。だがソーシャルアウトは、その企業の成り立ちで決まってしまう面が多い。だがいつの時点からでも覚醒はできる。

【今週の構成】
本日は多摩大学総合研究所の松本祐一准教授 、北矢行男教授両名の論考をもとに企業の5つの次元を書いた。繰り返しですが、この論考はたいへん素晴らしい。明日以降、マーケットイン&アウト、ソーシャル・インとアウト事例をみながら、顧客参加というテーマを考えたい。

 1.顧客参加をめぐる企業の五次元 (本日)
 2.ワコール お尻への愛のむち (11日)
 3.東京ガールズコレクション 消費者をバイヤーに (12日)
 4.フェリシモ 手作りのぬいぐるみで笑顔 (13日)
 5.リボーン エココンシャスな旅 (14日)

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最後に、このブログのスタンスを書かせてください。

今日のテーマにある「マーケットアウト」をクライアントと一緒に目指すのがわたし自身の職業ミッションだと思っています。よりよい「マーケットアウト」をするために、このブログでは「Aha!」と思うビジネス、事例、論考、人間を取り上げると同時に、わたしは日々勉強をさせていただき、日々考えています。取り上げる企業や人々の活動がもっと世の中に知られたらいいのに、という思いもあります。マーケティングという技法で(とてもささやかですが)社会へ貢献するのがこのブログの趣旨です。

ですから個人業績以外のPRは、所属企業についてもしておりません。当然ですがアフィリエイトや広告等もしていません。引用させていただく(主な)メディア、事業、画像、論考等の扱いは、出典を記しております。それらが後連絡が多くてすみませんが、掲載の御了承をお願いしております。今後、きちんと取材の上、書かせていただくこともありますが、そうでない場合も(「勝手に」お願いですが)わたしのマーケティングへの想いをご理解いただき、ご協力いただければ幸いです。

今日は以上です。

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