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2007年10月28日 (日)

アイウェア・オブ・ザ・イヤー2008は技術の結晶

先日オフィスで、同僚Sさんが立ち上がり、うつむいて何かを取ろうとした。その瞬間、わたしは彼を頭の上からのぞくようなかたちになった。Sさんは眼鏡をかけている。何気なく眼鏡のシルエットに目が入った。すると・・・「9.999(フォーナインズ)だ!」と心の中で叫んだ。

 9999_2  独特の形状。 

フォーナインズのフレームは蝶番と智(ち)の形状に独特なデザインがあり、頭を包み込むようなかたちがコンセプトである。さらにパッドにもシリコン素材を使うなど、かける人の目線で純度の高い眼鏡をつくることを社是にする。フォーナインズのことを以前ブログに取り上げたので、その形状をひと目で察した。

「彼って案外にオシャレだね」と同僚のCherryさんに言うと、「奥さんからムダ遣いを厳しく絞られているって言っていたのに、そんな贅沢ができるなんて意外」。2人で陰口をたたいてしまった。すみませんSさん、でも似合っているぜ。

【勝手にアドバイス Vol.266 アイウェア・オブ・ザ・イヤー2008は技術の結晶】
だが今日はフォーナインがテーマではなく、アイウェア・オブ・ザ・イヤー2008で機能・技術部門賞に選出された一品、NICO-DESIGNの「TORNADE」がそれである。

 002_tornade 

超薄型のスティール三層を重ねて、シャープな軽さを見た目にも機能的にも実現させたNICO-DESIGNの「TORNADE」が受賞。100%抗アレルギー素材を使い、リサイクルも可能である。
引用元 http://www.excite.co.jp/ism/concierge/rid_942/

IOFT(メガネの国際総合展)のサイトでの紹介もあわせると、このTORNADEメガネは、本体が成型加工(打ち抜きだろうか)した薄い鉄の板を3枚重ねてマイクロリペットで止めた。蝶番も鉄製、テンプルチップにはシリコンを用いてアレルギー対策をした。フレームは鉄ゆえに、リサイクルが可能。

【NICO-DESIGNの「TORNADE」のデザイン】
下の写真から見ると、三層構造はレンズ部だけでなく、テンプル部も同じである。表側と裏側(皮膚側)はフレームの形状であり、真ん中の層にはどうやらスリットが入っている。

 003_tornade 三層

微細な加工とディティールにこだわったデザイン。薄い三枚の鉄の板をリペットで止めるというアイデアもイタリアンテイストがある。普通なら溶接という手段がとられるところだ。こんなデザインは中国製品に求めるまでもないのはもちろん、メガネ産地である福井県の鯖江市のメガネ屋さんからさえ出ないのではないだろうか。

 Tornade  

同展示会では他にもタカノリ ユゲ氏の「フォーク」(バッファローの角を加工)などこだわりのあるメガネが受賞したが、およそ日常には派手すぎるデザインが多い。だがTORNADEは、ぱっと見たところはそれほど珍しい形状をしているわけではない。ギミックさはなく、ちょっと未来風かな?と思う。だが近づいてよく見れば、スリークなデザインには繊細さと大胆さが両立しているのである。イタリアの素材加工技術は凄いという話は聞くが、マイクロリペットでフレーム部品を留めるという精度が素晴らしい。

【NICO-DESIGNは創業20年の会社】
今年で3年連続でアイウェア・オブ・ザ・イヤーTOKYOを受賞したNICO-DESIGNは、1987年創設のイタリア トリノのメガネ専業メーカー。Giovanni Vitaloni氏が起こした自動車部品工場が起源で、もっとデザイン重視のプロダクトを創りたいという志から、メガネフレームカンパニーを創業。創業後15年でイタリア国内で20位以内に食い込み、毎年100モデル以上を発表している。
出典 http://www.nicodesign.it/eng/index.htm

 002

メガネのデザイン、加工だけでなく、素材からの見直しもする。恐らく素材メーカーと共同だろうが、「icelite」と呼ぶ素材まで作り、一般のアセテート素材と同じ加工ができて、それよりも40%も軽い。スチールシートといい軽量化素材といい、前例否定のデザイン発想である。

日本での総代理店は鯖江市のオリエント眼鏡。NICO-DESIGNが気になる人は、こちらに卸し先の店舗を問合せしてもらいたいが、一箇所確認できたのは眼鏡の中村(横浜市中山、鴨居、ららぽーと横浜に店舗あり)である。こちらにはフォーナインズもあるようだ。

 Vanni_pop  NICOのイメージキャラのようだ。

【眼鏡のリサイクル】
TORNADEでもうひとつ気になった点がある。それは「リサイクルが可能」という一文である。フレームはスチール100%だからだろう。普通の眼鏡はチタン合金、アセテート、ニッケルクロム合金、金合金などでつくられており、フレーム自体の素材が基本的にリサイクルに向いていない。そればかりかテンプルは鉄、蝶番は合金など、複数の素材が使われているので、バラさなくてはならない。

だからリサイクルではなく、途上国などでリユース(再利用)が行われている。「ライオンズ眼鏡リサイクル・センター」では、1996年以来、世界で3,700万個以上の眼鏡を収集し、途上国に配布、主要な眼鏡店でも受け付けてくれる。

  Glasses 同サイトより。引き出しに眠る眼鏡はリユースへ。

だがTORNADEは耳あてとパッドを部分を除き、鉄製だというので、文字通りのリサイクルが可能。プロダクトの環境との共生意識が眼鏡にもやってきた。

【勝手にアドバイス】
同僚Sさんがフォーナインズなら、当社の秘書室には眼鏡美人もいる。かたや営業のODさんように3プライスで、もっとも安価なのを3本まとめて作るヤツもいる(失くすからだというが・・・いったいどこで失くすの?)。

トータルでは単価も市場規模の横ばいと言われる眼鏡市場。だが「格差」というより「こだわり」がある人、ない人、ちょうどよい塩梅になってきたのではないだろうか。成熟市場だからこそ、デザイン格差をつける時代になった。今日は以上です。

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