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2007年10月31日 (水)

5本のペンによるノーベル文学賞へのオマージュ

「私ね、病気なんです」
八月に自宅にお邪魔し、翻訳のことなどを話した後で、もうそろそろお暇しようと腰を上げたところで、突然レッシング氏は言った。
「えっ!また何か?」と私(翻訳者) -中略-
「いえ、いつも何か書いていないと駄目なんですよ。書きたくって書きたくって仕方がないんですよ。だからはっきり言って、これはもう病気ですよね」

 『ドリス・レッシングの珠玉短編集』 あと書きより ドリス・レッシング著 英宝社

今年のノーベル文学賞は英国のドリス・レッシング氏が受賞した。日本ではさっぱり知名度がなく(翻訳も1冊のみ)、受賞ニュースにも「誰?」という感じで話題にもならなかった。だがこの短編集を読むと、タイトルの『珠玉の・・・』という形容詞はダテではなく、男と女の機微が微笑ましくも残酷に描かれている

女史は1919年生まれだから今年で88歳である。「書きたくって・・・」という発言は97年なので、78歳の頃だ。その書くことへの愛情、凄い。

【勝手にアドバイス Vol.268 5本のペンによるノーベル文学賞へのオマージュ】
ノーベル文学賞がらみで、こんな記事を見つけた。以下拙訳です。

「手書きの文字がロマンチシズムと温かさをもたらす力がある」というムナーリ(建築家/デザイナー)の信念に着想を得たのがこのプロジェクトである。デザイナーたちはどのノーベル賞作家を選んでもいいという条件で、その作家のイメージのペンをデザインした。それは作家たちの生涯と業績が凝縮した、24金と純銀の5本のペンとなった。
出典 http://www.designboom.com/weblog/index.php

 Pens

5人の偉大なノーベル賞受賞者とは、naguib mahfouz(エジプト人作家)、『ビラヴド』で知られるtoni morrison(アメリカ人作家)、wole soyinka(ナイジェリア人作家)、jose saramago(ポルトガル人作家)、『ハーツォグ』で知られるsaul bellow(カナダ人作家)である。それぞれのペンのデザインは日本からは建築家の伊藤豊雄氏(naguib mahfouzのペン=一番左)、言いだしっぺのクレト・ムナーリ氏は真ん中のペン(wole soyinka)をデザインしたそうだ。実はペンのそれぞれにウンチクがある。

5pens03  
クレト・ムナーリ氏の作品

このデザインのモチーフの作家は、ナイジェリアの内戦時代に逮捕され、2年間独房に閉じ込められていた経歴を持つ。キャップのデザインに注目しよう。「灯台」のイメージなのだが、幽閉された作家が独房から世界を照らす、そういうメタファが灯台型のキャップだそうだ。不撓不屈をめざす人向け

 5pens04

これはjose saramago氏の「書(カリグラフィ)」に関する小説へのオマージュで、胸に挿すホルダー部がねじれたところが“漢字”のイメージである。本体のデザインも「」のイメージだと思われる。書道家向け?

 5pens05  
 ソール・ベロウ氏へのオマージュ

一番右のデザイナーoscar tusquets blanca氏は建築家。このペンの紅い色は「情熱」を表し、作品『ハーツォグ』での主張、まっすぐに生きる価値だという。それゆえに、キャップのホルダー部の赤い点は「」のデザインだそうだ。情熱的に燃えたい人はこのペンを買うべきだろう。

これを持てばノーベル賞作家にあやかれるかどうかわからないが、せっかく大枚をはたいて万年筆を買うのであれば、作家にちなんだペンもいい。わたしも拙文が少しでも上達するだろうか。価格は600-690米ドル(72000円~83000円)。これで高いなら同じデザインでボールペンもある。550-640米ドル(66000円~77000円).。

【ペンの紹介をしなかったお二人は・・・】
伊藤豊雄氏は日本を代表する建築家のひとり。銀座のオシャレなビルの作品もある。
 
   Photo  3_toyoo_ito  

alessandro mendiniはキッチン器具などのデザイナー。
   Picture_mendini001b  Picture_mendini004a 
   ワインオープナー   これも
   http://www.rakuten.ne.jp/gold/nuts-alessi/designer_mendini.html

【ムナーリ氏の想い】
5つのペンをデザイン化&商品化したクレト・ムナーリ氏は、1985年に世界中の20名のデザイナー、建築家らを集めて工房をつくり、建築だけではなく、食器や時計、ジュエリー、家具などをデザインしてきた。多様な力を合わせるのが得意のようだ。5Pensに寄せるメッセージを拙訳した。

 私達の‘生’の個性は、一枚の紙の上のインキの軌跡に、映し出されます。
 
手書きのラインがペン先の個性をなぞらえて。

手書きこそ世界を創る、彼はそう言う。キーボードでも世界が創れないことはないが、キーボードの素には手がある。手の内には、情熱を伝える筆記具がふさわしい。だからこそノーベル賞に冠たる作家へのオマージュとなったのではないだろうか。

【勝手にアドバイス】
文具にこだわりすぎる人の仕事は、中身がさっぱりだが、文具にまったくこだわらない人の仕事は、逆にさっぱりしすぎていると思う。

たかが文具(100円からありますよね)、されど文具(ペン一本でも数万円)。奥が深いのが文具だが、ドリスさんに倣って、どんな手や筆であっても書くことは続けたいと思う。明日(2007年11月1日)のビジネスメディア誠連載でのわたしのテーマは“文具”です。今日は先行した“こぼれ話”を書きました。今日は以上です。

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