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2007年11月28日 (水)

プジョー・ジャポンをめぐる3社の“すれ違い”広告連携の妙

手の込んだ広告連携企画が2007年11月26日から始まっている。自動車メーカープジョーの3つのブランド(207CC、407ワゴン、407セダン)の広告で、Allabout(For Mサイト)日経BP(日経トレンディnet)エキサイト(ismサイト)の3社がそれぞれの車種をWeb広告する企画である。

 Photo

3社の広告連携のねらいについて、プレスリリースには「消費シーンにおけるユーザーの態度変容をうながす」とむつかしいマーケティング語 があるが、平たく言えば「あれと、これと、そこの3台のプジョーの良さに気づいてね」と翻訳できそうだ。そして3社連携という複雑さには「広告の長持ち効果」を発揮させたいというねらいもあるだろう。今日は3社の広告企画の中での“すれ違い”をテーマに。

【勝手にアドバイス Vol.285 プジョー・ジャポンをめぐる3社の“すれ違い”広告連携の妙】
(11月)26日より、エディトリアル広告に積極的に取り組むプジョー・ジャポンの協賛を得て、各社の男性向けメディアであるオールアバウトの「For M」、日経BPの「L-Cruise(nikkei TRENDYnet)」、エキサイトの「エキサイトism」で連動広告企画の掲載を開始します。具体的には、それぞれの企画ページに、各メディアのターゲットに合わせた主人公がクルマのオーナーとして登場し、パートナーとクリスマスドライブを楽しみます。
出典 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=175866&lindID=4

各社の各ページを見たが、Allaboutらしい情報伝達の的確さ、日経トレンディらしい物語づくり、そしてExciteらしい美しい画面展開という、それぞれのサイトの特徴が出ている。Allaboutの「For M」では「プジョー407セダン」、日経BPのL-Cruise(nikkeiTRENDYnet)では「プジョー207CC」、そしてエキサイトの「ism」では「プジョー407SW」を、Web静止画ないしフラッシュ画像広告で取り上げる。

それぞれの中で、主人公の男性がプジョーのオーナーとして登場(納車されたばかりのプジョーを妻にプレゼントするオーナーもあり)し、パートナーとクリスマスドライブを楽しむというのが3つのサイトの共通項である。

この広告のミソはプジョーの3台のクルマが、どこかで“すれ違う”ことである。

 Photo_2
 日経TRENDYの207CC(窓の向こうから・・・・) 
 http://trendy.nikkeibp.co.jp/as/peugeot207cc/

 目を丸くしている妻に、結婚記念のプレゼントとして、そして、これからのふたりの
 ファーストカーとしてプジョー207CC を買ったことを白状した。ふとふたりで窓の外
 に目をやると、偶然にも通りの向こう側にワインレッドのプジョー407セダンが停まった。
 「自慢の車で彼女を向かえにきたんだね」
 「でも、あの様子だと、彼、きっと遅刻したのよ、きっと」

 Allabout 
 allabout 407セダン(向かいのビルの二階にもプジョーオーナー
 http://form.allabout.co.jp/1/215858/1/product/215858_01.htm?FM=mtop

 レストランを出ると、反対車線に停まる207CCが目に入った。同じプジョーでも趣の
 異なる、スポーティな一台。
 「あのクルマもプジョーなの? コンパクトで私にも運転できそう」
 「似合うと思うよ。オープンにもできるから、お洒落に乗りこなせるんじゃないかな」
 「いまより、もっと大人になってから二人で乗ると、似合うかも知れないね」

 Photo_3
 エキサイト 407SW(停車中のワゴンからクーペを見る
 http://media.excite.co.jp/ism/extra/ism_peugeot/01-3.html

 すれ違ったのは、プジョー207CC。
 クーペカブリオレか・・・。
 ああいうクルマも悪くない。

こうしてみると207CCを2台目として売り込みたいのかプジョーさん!と言いたくもなるが(きっとそうだろう)、広告の中では3つのサイトそれぞれ、鮮やかに各車とすれ違いがある。この“すれ違い”で何を訴えたいのだろうか?

【“すれ違い”の3つの意味がある】
広告主と広告会社が“すれ違い”で表現したかったのは3つある。

すれ違いその1 「あの車、素敵!」。美しくファッションがキマっている人を見て、「あ、あの人、素敵!」というよろこびがあるでしょう。ちらっと見た車のシルエットが美しいということにつながる。207CCへの憧れをかきたてる“すれ違い”。

すれ違いその2 「ふぅ~ん。そうなんだね」という納得。「ああいう車もいいよね、ライフスタイルが変わったら」。いつか思い出してもらうための伏線であり、スポーティなライフスタイルへの誘い、それが407ワゴンである。

すれ違いその3 「あの頃にもどりたい」というノスタルジー。だが後ろ向きではなく前向きな懐古趣味である。パートナーを横にして、「昔は喧嘩してたね」「今はなぜしないんだろう」・・・それがプジョー207CCなら叶うのではないかというイリュージョンを演出した。

「あの人素敵」というときめき、「ああいう車もいいよね」という伏線、「あの頃にもどりたい」という懐古。これらが“すれ違い”広告の演出である。よくできている。

【ねらいをまとめると】
プジョーの05年のプロモーションでは、プジョーの知名度の向上、すなわち他社からの乗り換えを促進するのがねらいだった。車種も出揃った今年2007年のプロモーションは、プジョーマニアの増加がねらい。車種需要の変化を演出し、セカンドカー需要の掘り起こしをする。

商品がプジョーという高価でフランスの香りがする自動車ゆえに、“プジョーフェチ”をつくりたい。プジョーの中で買い替えしてほしい。207から407ワゴンへ、あるいは407セダンオーナーが2台目需要として207CCを、がねらいである。フェチをつくるために、異なるユーザー層を持つウエブサイトを連携させたというワケである。

【勝手にアドバイス】
以前、ビジネスメディア誠の連載に、“資生堂白TSUBAKIの女優のワケ”という内容で書いた。もはや商品だけでもタレントだけでも広告効果が長持ちしない。消費者の中で商品やタレントにまつわる物語を育ててもらうことで広告効果を延命しようというねらいが資生堂にある、というような主旨だった。今の時代、情報はものすごい勢いで消費されてしまうからだ。

プジョージャポンの連携広告に接して感じるのは、ウエブサイトでも単独の広告企画ではすでに飽きられる時代に入ったということだ。だからこそAllabout、TRENDYnet、Exciteが3社でタバになって広告連携を図り、物語消費に時間をかけさせて、クリスマスまでの約1ヶ月、何とか広告効果をもたせようとする。広告にはますます消費者視点のクリエイティビティが必要になってゆく。

野暮な心配がひとつ。今日買ったとして、1ヶ月以内に(つまりクリスマスまでに)プジョーが納車されるのだろうか?今日は以上です。

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