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2007年11月の31件の記事

2007年11月30日 (金)

“うふふ”マーケティング こぼれ話 癒して、癒されて

今日は、昨日(2007年11月28日)掲載したビジネスメディア誠の「水商売から学ぶ“癒しサービス”の価値向上法」のこぼれ話を。

池袋のパブでは1年以上アルバイトした。その間に店長は2、3人入れ替わったと思うが、ビジネスメディア誠のエッセイに書いた店長は今でもよく覚えている。実に水商売ぽくない人だった。一方、大村昆によく似たホール主任もいた。彼も良い人だった。職場(そのお店)内でいじめにもあったとき(嫌な大学生がいた)助けてくれた。

主任は水商売に生き、水商売に往くという軽くて明るいタイプだったが、店長にはどこかこの世界に“迷い込んだ”という風情があった。だから癒しが欲しかったのではないか。もちろん店長は売上責任がより重いからでもあるが、大村昆似の主任にとっての癒しとは、たぶん違ったような気がする。

【激務だった銀座の水商売】
高収入目当てで働いた銀座のクラブはもの凄かった。身体的も心理的にも激務だった。クラブをめぐる人間模様は奇怪で奇天烈だった。ある目的(放浪旅行費用の積み立て)のため、歯を食いしばった。何が激務だったか。女性(ホステス)のまぶたや眉ひとつの動きを察して、客席を右往左往しなくてはならなかったからだ。

些細な表情の変化を察して、灰皿交換や注文取りなど飛びつくように駆け寄る。ゆっくり動こうものなら「次からあなたは来ないで!」と引導を渡された。だからジャンプする。走る。ときに跪く。そんなサービス業がクラブのボーイだった。8時から11時までのたった3時間の労働でへとへとになりながら、銀座八丁目から一丁目の有楽町線の駅にむかって、終電ぎりぎりに飛び乗る生活だった。

あの世界は心底嫌だったが、今思うとサービス業を肌で知る良い機会だった。を観察して次に何をしたいのか?を瞬時に判断するトレーニングには役だったと思う。

【銀座のクラブの店長は奇怪だった】
奇天烈と言えばそこの店長だった。一見して脳タリンに見えるサル顔で、あろうことか日活ロマンポルノ(若い人はもはや知らない)にも出演していた。そのポスターを見せられた。だが生粋のサービスマンだった。おじぎの角度が浅すぎるとお尻をしたたかに蹴られたこともあった。とても痛かった。きっとわたしは“学生さん”的なおじぎをしていたのだ。サル顔店長にも教えられることは多かった。

やさぐれのバーテンは野菜ぺティナイフの彫刻家だった。数あるホステスの中でも覚えているのは、ウィノナ・ライダー似の沖縄出身の女性である。歯牙にもかけてもらえなかったが綺麗だった。そしてほぼアル中のボーイのヤマシタさんにはかわいがられた。彼と連れ立って行ったのが猫道奥のてんぷら屋だった。

 Pict0240  
  ヤマシタさんと行った、あのてんぷら屋を探して、先日さまよった。

【銀座のママさんには脱帽&尊敬】
クラブのママさんは美人で器量が大きかった。当時30ちょいぐらいだっただろう。目は大きく美しいが、「愛らしさ」は微塵もない。その眼光は聡く、敏く、さとられにくいものだった。すばしっこい獣の目だった。わたしは魅入られた。従業員にぴしゃりと指示を出す姿にも感心した。お客さんの心を読み瞬時にホステスを動かす彼女に、天賦のリーダーシップを感じた。

ママさんに一度、わたしにしてはキマった駄洒落を言ったことがあった。英語と日本語をかけた他愛ない駄洒落だったが、ママさんは「あら!あなた、おもしろいこと言うのね!」と言ってくれた。それは激務のさなかで、忘れられないわたしの“癒し”になった。男はつまるところ女にしか癒されない(おっと・・・ある趣味の人をのぞいて)。わたしはそれを21歳のとき、お水のオモテとウラで実感した。

 41kp91thdel_ss500_過日のママさんにちょっと似ています。

余談だが、米倉涼子さんの主演番組『黒革の手帳』、彼女の演技は迫真的だった。“あの雰囲気”を感じた。どこで取材をしたのか・・・そもそもママさんの素質がありそうだ。

【癒しの語源は“全体最適”】
癒し(heal/healing)の語源はhealという動詞の名詞化である。healのさらに元をたどると「hal」で、それはギリシャ語のHolos(全体)という意味にさかのぼることができる。癒しとは部分ではなく、全体に関することなのである

人の身体は一個の生命体システムとして機能している。身体も精神もセットである。だからある部分だけを癒すのは、本来間違っているのだ。足ツボ、肩や脊椎だけほぐしても癒しにならず、まして呑み屋で止まり木して歌っても、一時だけの癒しにすぎない。血流が滞ればまた肩は凝るし、止まり木の酔いもいずれ醒める。

だから癒しサービスには習慣性がある。リピートせざるをえない。サービス業はみんなそこをねらっている。だがいつか癒しにならないと見抜かれる。だからお店やサービス業態そのものが廃れる。癒しのサービス業はそういう宿命(サイクル)にある。目先を常に変えなくてはならない。

【サービスはもっとサイエンスするべきだが・・・】
サービス・サイエンス”なる業界用語がある。IBMから始まったこのコンセプトは、サービスのサイエンスって何?という根本からあいまいである。標準化・体系化・効率化のねらいはわからないでもないが、実はそもそもの動機がそこにない。

想の原点はIT業界の利益源の減少である。ハードでもソフトでも儲けが出ない。ソフト開発(俗に言うつくりこみ)は絶えず赤字と背中合わせ。パッケージソフトは売れても、需要一巡後は後が続かない。ハードウエアの卸販売は売上計上も禁止された。だから導入後の保守契約でしか儲けが出ない。「アフターで儲けよう」をサイエンスしようとした。

だがサイエンスするのは時間がかかると判断したようで、手っ取り早い策に切替えた。IBMも国内のN社もF社も、立て続けに大手/中堅コンサル会社を買収したのである。買収で“サービスに箔を付けた”。サービス業はサイエンスするより買ってしまえ。そこにお客さまへの“癒し”があるだろうか。

【もっとママさんに学ぼう】
コンサルタント業もサービス業である。ゆえに“癒し手”であるべき。クライアントの経営者、経営陣、管理者、そして現場社員の話相手、癒し役でありたいと思う。

現実にはコンサルタントに付けられる肩書きはコワオモテなのが嫌である。「監査人」「ITスペシャリスト」「会計士」「診断士」「人事スペシャリスト」「規格監理者」・・・まるでサービス業ぽくない。癒しだけではダメだが、銀座のママさんを思い出そう。叱られたいお客には叱ってあげている。追憶のかなただが、水商売に学ぶことは多いと思ったのが今回のエッセイに結実した。今日は以上です。

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2007年11月29日 (木)

水商売から学ぶ“癒しサービス”の価値向上法

今日はビジネスメディア誠連載の“うふふ”マーケティングへのリードです。

郷好文の“うふふ”マーケティング:
水商売から学ぶ“癒しサービス”の価値向上法
世の中の約半分の消費は、癒し・癒されのサイクルで動いているのではないだろうか。お客を癒すホステスはエステティシャンに癒される。エステティシャンはマッサージ屋に癒される……単純な癒しサービスを“価値ある癒し”に変えるのは難しいが、水商売はそのヒントを与えてくれる。

遠い過去の水商売のアルバイトの追憶が“導火線”になって書いたのが今回のエッセイである。

池袋のパブでは1年以上働いた。店長は2、3人入れ替わったと記憶しているが、誠のエッセイに書いた店長のお顔は今でも覚えている。実に水商売ぽくない人だった。

銀座のクラブは半年ぐらいだったが、もの凄い体験だった。激務だけでなく人間模様が奇怪だった。激務とは、女性(ホステス)のまぶたや眉ひとつの動きで、灰皿交換や注文取りなど飛びつくように駆け寄らなくてはならなかった。人間模様の奇怪さは言い尽くせない。

店長は日活ロマンポルノにも出演するオトコだった。バーテンもボーイもホステスも筆舌に尽くしがたい面々だった。美人だが狡猾な目をしていたママさんには惹かれた。ボーイのヤマシタさんにはかわいがられた。彼と連れ立って行ったのが猫道奥のてんぷら屋だった。

         

           8chome_rojioku 知る人ぞ知る・・・。

明日はエッセイの追憶の続きとこぼれ話を書きます。今日は以上です。

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2007年11月28日 (水)

プジョー・ジャポンをめぐる3社の“すれ違い”広告連携の妙

手の込んだ広告連携企画が2007年11月26日から始まっている。自動車メーカープジョーの3つのブランド(207CC、407ワゴン、407セダン)の広告で、Allabout(For Mサイト)日経BP(日経トレンディnet)エキサイト(ismサイト)の3社がそれぞれの車種をWeb広告する企画である。

 Photo

3社の広告連携のねらいについて、プレスリリースには「消費シーンにおけるユーザーの態度変容をうながす」とむつかしいマーケティング語 があるが、平たく言えば「あれと、これと、そこの3台のプジョーの良さに気づいてね」と翻訳できそうだ。そして3社連携という複雑さには「広告の長持ち効果」を発揮させたいというねらいもあるだろう。今日は3社の広告企画の中での“すれ違い”をテーマに。

【勝手にアドバイス Vol.285 プジョー・ジャポンをめぐる3社の“すれ違い”広告連携の妙】
(11月)26日より、エディトリアル広告に積極的に取り組むプジョー・ジャポンの協賛を得て、各社の男性向けメディアであるオールアバウトの「For M」、日経BPの「L-Cruise(nikkei TRENDYnet)」、エキサイトの「エキサイトism」で連動広告企画の掲載を開始します。具体的には、それぞれの企画ページに、各メディアのターゲットに合わせた主人公がクルマのオーナーとして登場し、パートナーとクリスマスドライブを楽しみます。
出典 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=175866&lindID=4

各社の各ページを見たが、Allaboutらしい情報伝達の的確さ、日経トレンディらしい物語づくり、そしてExciteらしい美しい画面展開という、それぞれのサイトの特徴が出ている。Allaboutの「For M」では「プジョー407セダン」、日経BPのL-Cruise(nikkeiTRENDYnet)では「プジョー207CC」、そしてエキサイトの「ism」では「プジョー407SW」を、Web静止画ないしフラッシュ画像広告で取り上げる。

それぞれの中で、主人公の男性がプジョーのオーナーとして登場(納車されたばかりのプジョーを妻にプレゼントするオーナーもあり)し、パートナーとクリスマスドライブを楽しむというのが3つのサイトの共通項である。

この広告のミソはプジョーの3台のクルマが、どこかで“すれ違う”ことである。

 Photo_2
 日経TRENDYの207CC(窓の向こうから・・・・) 
 http://trendy.nikkeibp.co.jp/as/peugeot207cc/

 目を丸くしている妻に、結婚記念のプレゼントとして、そして、これからのふたりの
 ファーストカーとしてプジョー207CC を買ったことを白状した。ふとふたりで窓の外
 に目をやると、偶然にも通りの向こう側にワインレッドのプジョー407セダンが停まった。
 「自慢の車で彼女を向かえにきたんだね」
 「でも、あの様子だと、彼、きっと遅刻したのよ、きっと」

 Allabout 
 allabout 407セダン(向かいのビルの二階にもプジョーオーナー
 http://form.allabout.co.jp/1/215858/1/product/215858_01.htm?FM=mtop

 レストランを出ると、反対車線に停まる207CCが目に入った。同じプジョーでも趣の
 異なる、スポーティな一台。
 「あのクルマもプジョーなの? コンパクトで私にも運転できそう」
 「似合うと思うよ。オープンにもできるから、お洒落に乗りこなせるんじゃないかな」
 「いまより、もっと大人になってから二人で乗ると、似合うかも知れないね」

 Photo_3
 エキサイト 407SW(停車中のワゴンからクーペを見る
 http://media.excite.co.jp/ism/extra/ism_peugeot/01-3.html

 すれ違ったのは、プジョー207CC。
 クーペカブリオレか・・・。
 ああいうクルマも悪くない。

こうしてみると207CCを2台目として売り込みたいのかプジョーさん!と言いたくもなるが(きっとそうだろう)、広告の中では3つのサイトそれぞれ、鮮やかに各車とすれ違いがある。この“すれ違い”で何を訴えたいのだろうか?

【“すれ違い”の3つの意味がある】
広告主と広告会社が“すれ違い”で表現したかったのは3つある。

すれ違いその1 「あの車、素敵!」。美しくファッションがキマっている人を見て、「あ、あの人、素敵!」というよろこびがあるでしょう。ちらっと見た車のシルエットが美しいということにつながる。207CCへの憧れをかきたてる“すれ違い”。

すれ違いその2 「ふぅ~ん。そうなんだね」という納得。「ああいう車もいいよね、ライフスタイルが変わったら」。いつか思い出してもらうための伏線であり、スポーティなライフスタイルへの誘い、それが407ワゴンである。

すれ違いその3 「あの頃にもどりたい」というノスタルジー。だが後ろ向きではなく前向きな懐古趣味である。パートナーを横にして、「昔は喧嘩してたね」「今はなぜしないんだろう」・・・それがプジョー207CCなら叶うのではないかというイリュージョンを演出した。

「あの人素敵」というときめき、「ああいう車もいいよね」という伏線、「あの頃にもどりたい」という懐古。これらが“すれ違い”広告の演出である。よくできている。

【ねらいをまとめると】
プジョーの05年のプロモーションでは、プジョーの知名度の向上、すなわち他社からの乗り換えを促進するのがねらいだった。車種も出揃った今年2007年のプロモーションは、プジョーマニアの増加がねらい。車種需要の変化を演出し、セカンドカー需要の掘り起こしをする。

商品がプジョーという高価でフランスの香りがする自動車ゆえに、“プジョーフェチ”をつくりたい。プジョーの中で買い替えしてほしい。207から407ワゴンへ、あるいは407セダンオーナーが2台目需要として207CCを、がねらいである。フェチをつくるために、異なるユーザー層を持つウエブサイトを連携させたというワケである。

【勝手にアドバイス】
以前、ビジネスメディア誠の連載に、“資生堂白TSUBAKIの女優のワケ”という内容で書いた。もはや商品だけでもタレントだけでも広告効果が長持ちしない。消費者の中で商品やタレントにまつわる物語を育ててもらうことで広告効果を延命しようというねらいが資生堂にある、というような主旨だった。今の時代、情報はものすごい勢いで消費されてしまうからだ。

プジョージャポンの連携広告に接して感じるのは、ウエブサイトでも単独の広告企画ではすでに飽きられる時代に入ったということだ。だからこそAllabout、TRENDYnet、Exciteが3社でタバになって広告連携を図り、物語消費に時間をかけさせて、クリスマスまでの約1ヶ月、何とか広告効果をもたせようとする。広告にはますます消費者視点のクリエイティビティが必要になってゆく。

野暮な心配がひとつ。今日買ったとして、1ヶ月以内に(つまりクリスマスまでに)プジョーが納車されるのだろうか?今日は以上です。

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2007年11月27日 (火)

300ドルの小型プロジェクタ “Hikari”の可能性

以前このブログに書いた299ドルの低価格パソコン「Eee PC」は台湾発の革命的なちっちゃいPCだが、このプロジェクタもまた台湾発。定価299ドルのプロジェクタは衝撃のプライスである。

 P_hikaripro920_sizetm なかなかオシャレな色づかい。

スペックは決して高くはないが、良く見ていくと特徴がある。商品は相場価格(心理価格ともいう)から大きく離れると、それまでの用途や使うシーンが大きく変わる。たとえば眼鏡。3000円でさまざまなフレームが買えると5本持って日替わりでかけてゆこうと人が現れるでしょう。

プロジェクタはコンサルタントの7つ道具の内のひとつでもあるので、今日は小型プロジェクタ“Hikari”をテーマにしたい。

【勝手にアドバイス Vol.284 300ドルの小型プロジェクタ “Hikari”の可能性】
Hikari Pro 920 / 1440は光学エレクトロニクス機器メーカーOculonの発表した「世界最小ポケットプロジェクター」。写真のHikari Pro 920モデルは重さ280gほど。解像度は640 x 480、スクリーンから50cmの距離で対角12インチの画像を投影可能となっています。
引用元 http://japanese.engadget.com/2007/11/21/hikari-pro920/

 Pocket_projector_oculon

まず世界最小・最軽量には拍手を送ろう。サイズは920が86×44×85mmだから、ノートPCのAC電源2個分もないぐらいの大きさである。重さは280gぐらいと記事にはあるが、メーカーのウェブサイトではT.B.D(To be determined=将来決定します)となっている。
 
 0032710_2
 0.5mと12インチをどんな縮尺で書いているかわからないこの図は確かにオカしい。

920の輝度は10~15ルーメン。単純に数値から想像すると真っ暗にしないと投影できそうもないと思ってしまう。だが光源にLEDを使用しているので、数値より目視はもっと明るいはずである。16.7万色のフルカラーで解像度は15インチで640x480(VGA)。兄貴分のHikari1440では、25ルーメンで20インチで解像度は800×600(SVGA)、ぐっと実用的なスペックになる。399ドル。

    Mp3  ちょい大きい。

さて類似(競合)商品はあるだろうか。1年以上前に発売された東芝のTDP-FF1Aは、光源も同じLED、ひとまわり大きい(140×57×102mm)が小型で軽量(920のおよそ倍の565g)である。値段も倍以上してしまう(10万円)。もっとも充電器やリモコン、スクリーンも付属する本格派である。

   Img1402
   従来のプロジェクタ・イメージを引きずるデザイン。

【ポイントはLCoSとLEDとMPG4】
メーカーのOculonでは「大きなプレゼン向けではなく、机上でのプレゼンや動画再生用です」とうたっている。実際にはどのような使用シーンがあるか?それを考えるヒントは光学デバイスにLCoS、光源にLEDを使った点、そしてMPG4に対応するところにある。

LCoSとは「シリコン基板の上に液晶を形成した反射型の液晶表示パネルのこと。従来のガラス基板液晶がバックライトの光を透過させて表示しているのに対し、光を反射させて表示させる方式」とされる。光学デバイスがワンチップとするこの機構により、「コンポジット・ビデオ(輝度信号情報と色信号報を一緒に送る方式)」に対応させる。さらに光源にLEDを採用したことで小型化を実現した。LEDなので冷めてから消す必要はない。バシンとスイッチを切れる。

特徴のもうひとつはMPEG4対応。MPEG4とは映像の圧縮技術方式で、通信回線などの低レート動画にも対応する規格である。MiniSDに納めた画像データを投影することもできる。もちろん静止画もOK。

シンプルな機構で軽量+動画再生に向くのが本機である。普通のビジネスプレゼンにも使えるが、むしろノートPC経由でDVD再生や、携帯電話の動画をMiniSDで再生する方がメインだろう。

【勝手にアドバイス】
プロジェクタといえばプレゼンテーションや会議に用いる用途が一般的である。だが300ドルでポケットにも入るこの“ちょいプロジェクタ”は、軽量・省電力(15W)ゆえに用途も使用シーンも想像力次第で可能性が広がる。なのでランダムに想像力を働かせてみた。

・学校で班活動でデジカメ画像を投影できる(安価だから学校も備品購入可)
・1日300円でプロジェクタをレンタルできる(これも安価だから)
・路上パフォーマンスでBGM(音楽)とBGP(ピクチャ=動画)を流せる。
・撮った動画を街角で投影できる(公衆電話ボックスならぬ公衆プロジェクタ・ボックス?)
・自転車紙芝居屋を復活できる(自転車+発電機+プロジェクタで電子紙芝居を上映!)
・キャンプのテント内で動画鑑賞できる・・・(その昔、布団の中で懐中電灯を照らして遊んだように、テントの中で昼間撮った動画を見るなんてロマンチック♪)

光源LEDがもっと安価に普及すれば、小型化だけでなくデザインの自由度が高まり携帯サイズにもなるといわれる(米マイクロビジョン社では“携帯電話に搭載できるサイズ”を試作中)。プロジェクタは価格もサイズも急激に縮小するトレンドにあり、新しい用途や使用シーンを開拓できれば新たな成長商品となりそうだ。今日は以上です。

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2007年11月26日 (月)

“好き”を仕事にする思考法

今日は ぷろこんエッセイからの転載です。
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カントリーシンガーの法則を知っているだろうか。故郷を思い、故郷で過ごす
ことの素晴らしさを歌うのがカントリーシンガーだが、熱をこめて歌うあまりに
ヒットしてしまう。ヒットするとファンが住む都会へ演奏ツアーに出なくてはなら
ない。故郷を想い故郷を歌うほど、故郷から離れていくという哀しい法則が
カントリーシンガーの法則である。

この法則には職業選択のアイロニーがある。好きな仕事を選びなさい、好き
こそものの上手なれだから。これは正しい。だが好きだから選んだ職業も、
実態は自分が思い描いていたものとは違って次第に流されてしまうこともある。
好きから始めたのに、続ければ続けるほど原点から離れていく。

運よくヒットを飛ばしてもやがて原点を志向せざるをえない。運少なくヒットを
飛ばせなければなおさら原点に立ち戻らなくてはならない。田舎と都会を
行きつ戻りつするカントリーシンガーの姿は、原点乖離と原点回帰が、
職業選択の根底にあるのを示している。

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13歳のハローワーク』という本が売れたのはしばらく前である。就業ができず
ニートが増え、ドロップアウトする若者が増えたのが背景だった。13歳で職業
の原点を考えようというこの運動は、本だけではなくウエブサイトやイベントで
根強く続けられている。

2007年8月の夏休みに「13歳のハローワークマップで仕事探しの旅に出よう
というイベントが六本木ヒルズで開かれた。そこに中学生とその保護者ら300名
が来場して、好きなゾーン(料理・お菓子、テレビ・映画・音楽、ファッション・
ビューティ、デザイン・アート)を選んで、グループに分かれた。

その道で職業に就いている人が自身の体験からの講義をして、職業のおもしろ
さを子供たちに伝えた。職業のイメージを膨らませてから各グループで「ハロー
ワークマップ」づくりを行った。

     011 模造紙にポストイット。

  参加者はグループごとに1枚の紙を渡され、自分が最も興味・関心を
  持っている物事と、その興味・関心事を活かせる職業を星型の付箋に
  思いつく限り書き出し、1枚の紙に見栄えよくレイアウトしていった。

  出典 http://journal.mycom.co.jp/articles/2007/09/04/hellowork/index.html

模造紙の真ん中に「テレビと映画と音楽」という大きなくくりがあり、その周りに
それに関係しそうな職業をどんどん書き出して貼ってゆく。好きなことにまつわる
職種を考えることで、職業への具体的な考えが深まっていく。自分が何をしたい
かを図解することで、自分の関心の場所がほんとうはどこにあるのかを考えさ
せる、素晴らしい手法である。

家でもハローワークのマップには触れることができる。13歳のハローワークの
ウエブサイト
では、簡便に「音楽が好き」「旅が好き」など“好き”から職業を紹介
している。“好き”にまつわる職業がどんなものか、おもしろおかしく解説している。

 13

その中に『何も好きなことがない子のために』という項目もあり、クリックすると
『エッチなことが好き』というサブ項目があった。思わずクリックしたら『セックスの
ことやエッチなことを考えると興奮してしまって、他のことが何もできなくなると
いうこと。こういう子は、意外に多い(ハイ)。程度の差はあれ誰だってエッチな
ことは好きなのだ』とあり笑ってしまった。

さらに職業へのガイド文は『エッチなことが好きな子は、想像力が豊かな場合
が多い。そういう子は表現することに向いている。(中略)だがエッチだけでは
小説家や芸術家にはなれない』とあった。ハイそうです。

ハローワークマップづくりとは“好き”という原点と社会の職業を結びつける、
「好奇心、好き発見、仕事の想像」である。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

ベストセラー『ウェブ進化論』の著者梅田望夫氏の新著『ウェブ時代をゆく』は、
副題が「いかに働き、いかに学ぶか」である。

 419q5pzghbl__ss500_好著です。☆4.5個。

この本の眼目は「ロールプレイ思考法」である。それは自分の好き/志向性を
発見する思考方法である。自分が好きなこと、好きな場所、好きなアイドル、
好きな本などの真ん中にあることを読み取って、自分の志向性を発見する。

梅田さんは長らく経営コンサルタントをしている。そのきっかけは「シャーロック
ホームズ」だったと書いている。自分はどんな職業が向いているのだろうと考え
たとき、自分の仕事観は「探偵業ホームズ」であるのに気づいた。

探偵業とは何か。「ある専門性が人から頼りにされ、急に忙しくなり、依頼が
片付くと急にヒマになる」。自分はそういう仕事を志向しているのだということに
気づいた。その仕事は経営コンサルタントであった。氏は自分自身の「好き」
を構造的に分析するようになった。どんな本が自分に信号を発しているか、
それを構造化できれば、自分の“好き”の原点、本質がわかる。わかれば成功
しやすい。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

自分の深層心理を構造化するこの思考法は素晴らしい。さっそくわたしも
今の職業(コンサルタント)をどのように観ているのか、考えてみた。

わたしの経営コンサルタントのイメージは『荒野の用心棒*』である。若い人は
古い映画をまったく知らないのに驚くが、クリント・イーストウッドの西部劇で、
スゴ腕のガンマンが流れ着いた先で、ほんのハシタ金で用心棒を引き受け、
相手を倒し、銃口の煙をフッと吹いて、何を誇ることもなく、苦虫を噛み潰した
顔で、静かに立ち去るのである。

流れ者のイメージとは、さまざまな地をさすらうこと。仁義とは契約だけで働く
こと。銃口とは本質を射抜くこと。フッと煙を吹いて立ち去るのは、依頼主と
密着したくないこと。何も誇らないという高楊枝ぶり。わたしのコンサルタント
仕事観である。

この「コンサルタント=荒野の用心棒説」を、あるクライアントにぶつけたこと
がある。言いたかったのは「コンサルタントとはお客さんにしがみつかずに、
やることをやったら、さっさと立ち去ります」だったが、その会社の専務曰く、
「じゃあ郷さんは(仕事を引継ぎなく)いなくなっちゃうんですか?」と切り替え
されてしまった。

   Gnbf73092 http://nttxstore.jp/_II_D111910193

John Grisham氏の法律スリラー小説『路上の弁護士 The Street Lawyer
も理想像である。お金の持ち合わせがなくて高額なフィーを弁護士に支払う
ことができず泣き寝入りをする庶民のためにひと働きをするという弁護士の
話である。安いフィーで働く清貧さを強調するのは偽善的だが、大企業より
中小企業、あるいは個人ビジネスを助けたい、うれしい顔の見える仕事が
したいのは、わたしのコンサルタント観である。そんなんで喰っていけるのか
とも思うし、きれいごとと言われかねないけれども。

       @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

若年層にとってハローワークの夢は広がっているのだろうか?慶応幼稚舎の
一貫学校設立のニュース
に触れ、それを好意的にとらえるメディアの論調
に接すると、むしろ学歴で収入格差を約束することを是とする傾向が強まっ
ているように思える。

だが頭だけで働こうとすると、身体が嫌がるのである。出社拒否や病気や
ウツや脱力感やキレたりする。そうならないようにするためには、自分の
“好き”の原点を知り、原点と現在の距離を測り、どう縮めるかだと思う。

*メルマガでは「荒野の用心棒」ではなく、“夕陽のガンマン”と書きましたが、
話の中身的には用心棒が正しいことにあとで気づきました。顧客の専務さん
にも「夕陽のガンマン」と言いはなって何となく通じたのですが(笑)、ここで
訂正いたします。ただしくはハシタ金で用心棒をするイーストウッドです。


今日は以上です。

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2007年11月25日 (日)

雲外蒼天のきらりっ娘 里見香奈

国内の男子プロゴルフツアーで初優勝したハニカミ王子ことアマチュア、石川遼さんは15歳、高校一年生という若さだった。驚くべき快挙だったが、わたしは別の15歳のプロにも注目している。それは最年少の現役女流棋士、里見香奈さん(初段)である。

 20070222183533 里見さん。

以前女流棋士名人の矢内理絵子さんについて書いたことがあった。強さ、美しさ、華やかさと三拍子そろった棋士で、独立分離問題で揺れた女流棋士界にあっても大きな存在感があった。その矢内名人と対局して惜しくも破れたが、実は彼女より注目を浴びたのは里見さんだった

里見さんには「羽生以来の大物」という声も上がるほどの評価と期待が集まる。若干15歳の出雲の高校生一年生で、東京でトーナメントがあると夜行バスでやってくるのも可愛いいけれど、スターの要素十分。里見さんの応援が今日のテーマである。

【勝手にアドバイス Vol.283 雲外蒼天のきらりっ娘 里見香奈】
女流オープントーナメントとは、週刊将棋が主催する女流棋士による将棋の棋戦であり、3番勝負で決する。アマ、育成会員がプロと戦える唯一のオープントーナメント。一級で決勝まで上り詰めたのも快挙だった。

 430  
 手前が里見香奈1級(当時)、右手が矢内理絵子名人(2007年2月22日)

第一局を制したのは里見さんだった。里見さんの史上最年少優勝の期待が膨らみ、「羽生の七冠以上の盛り上がり」と言われた。結局はさすがの矢内名人、その後の2番を制した。敗れたとはいえ一矢報いた。次のトーナメントは期待される。

 20070111taikyokuinta10  
 第一局の後の里見さんとお母さん。この後11時間深夜バスに揺られて島根に帰った。

対局終了後の里見さんのインタビュー、一問一答。

--終わっていかがでしたか。 
「思い切って指せたと思います」

--今日の将棋、どのあたりから流れがおかしくなったでしょうか?
「△5九角と打たれてまずいかなと思いました」

--今回の3番勝負は、楽しんで指せましたか?
「(消え入るような声で)はい」

--最後に今日の感想をお聞かせください。
「(間髪入れずに)悔しいです」

--悔しい…ですか。
「はい」

出典 http://lps.weblogs.jp/lot/2007/02/post_58a3.html

【里見初段の強さ】
ある将棋マニアの方のブログから里見さんを評しての引用。

いずれは女流四冠を達成するのは間違いないと私は思っていますが、10代で達成する可能性も大きいと思っています。なぜそう思うかというと、色々あるのですが、一番大きい要素は終盤力がすごいからです。トップになるためには終盤力がすごいことが必須だと思います。序盤の力は後からでもつきますが、終盤力は語学と同じで、若いころからついていないと後で伸ばすのは難しいと思います。
出典 http://monami.blog.ocn.ne.jp/monami/2006/09/post_79d2.html

寄せ」「詰め」が強いのである。里見さんのwikiにもこうある。『幼少時に高橋和から受けた「毎日詰将棋を解くとよい」とのアドバイスを、女流プロとなった現在でも実践しており、それによって培われた終盤力はすでに女流でもトップクラスに近いと噂されるほどである。反面、序中盤は得意ではなく、自身のブログでも「序盤は悪くなったが、最後に逆転できた」と感想を残すことが多い

彼女のキャッチフレーズは“出雲のイナズマ”。自身のブログ、「きらりっ娘」にもそんな感想が多い。このブログも将棋ファンの間では人気が高い。

【きらりっ娘ブログ】
今思えば、私が小学3年生の頃、出雲で「将棋の日」があったんですが、その時は自分がプロの先生方に指導対局をしてもらったり、前夜祭で谷川先生、羽生先生、佐藤(康)先生、藤井先生等々みなさんに「どうしたら強くなれますか?」という質問をして歩き回ったり、憧れの高橋和さんと指切りをしたことがつい最近のようでもあったり、今の自分の立場を思うと、すこし妙な感じでした。

 33k020 きらりっ娘。

この里見さんのコメント、「きらりっ娘のそよ風日記」の2007年11月12日のエントリーから。11月17日は「将棋の日」である。7年前の将棋の日、里見さんはプロと出逢った。出逢いがあって詰め将棋の努力をしだした。小学生にして臆せずアドバイスを求める姿、そのひたむきさに元気づけられる。

きらりっ娘のそよ風日記は、『期待の若手女流棋士・里見香奈初段、井道千尋1級、室田伊緒1級のブログです。東西の将棋会館から遠く、島根(里見)・石川(井道)・愛知(室田)に在住する3人の勝負の世界と日常の出来事、思いを綴ります』と書いてあるが、井道さんはすでに高校を卒業し東京にいらっしゃるようですし、室田さんは来春卒業予定。

この日記に対するファンのコメント書き込みの多さ、内容のやさしさも的確さも清清しい。将棋をする人には良い人が多いのだろうか

【雲外蒼天のきらりっ娘】

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「出雲のイナズマ」の名に相応しく、終盤の鋭い切れ味で活躍する女流初段里見香奈の扇子が新発売となりました!通常の扇子より一回り小さ目の小振り扇子となっております
引用元 http://www.rakuten.co.jp/shogi/366798/400832/1830404/

揮毫(きごう)には雲外蒼天(うんがいそうてん)とある。様々な困難を努力して乗り越え、克服すれば、快い青空が望める、という意味だそうだ。良い言葉である。

【勝手にアドバイス】
石川さんも里見さんも同じ15歳だが、競技人口(1年に1回以上の参加者数)はゴルフ9000万人に対して、将棋は700万人と言われる(レジャー白書)。だから石川さんにはエゲツないまでのマスメディアのPRでも、里見さんへの注目度は低いのは残念である。女流棋士会も分離独立を機に、競技人口、ファン/サポーターを増やす棋譜を見せてもらいたい。

将棋をする子供たちはネットでバーチャル将棋対戦をして強くなっている。せっかくだから、なぜ里見さんや井道さん、室田さんは強いのか、突っ込んだ解説も付けて、子どもたちに広めてほしい。

学校でも、年に1回「ゲームで頭を強くする日」をもうけて、将棋・碁・チェス・ルービックキューブなど「頭をつかうゲームを教える日」をつくったらどうだろうか。地元にはたいいてプロ並みのアマがいるからボランティアで指導に来てもらう。下手な授業よりよほどおもしろい。DSやWiiもいいけれど、緻密な頭脳ワークには将棋や碁が一番だから。今日は以上です。

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2007年11月24日 (土)

メンズノンノのエコバッグ

11月も後半の今日、すでに書店の店頭に並ぶ雑誌は12月号や1月号ばかり。いや12月に入るそばから来年の2月号の表紙で売り出す雑誌もある。そんな中、11月号から気になっていたのは(まったく)柄にもなくメンズノンノである。

 

12

郷さん、メンズノンノでエコバッグを取り上げています!」。例によって同僚Cherryさんからのタレコミがあったからだ。

ハタチ前後がターゲットで、ファッションだらけのこの雑誌でエコバッグ(人気ブランドとタイアップ)その組み合わせが新鮮だった。2007年10月号から12月号まで3号連続で、実費(1,000円)を負担するとブランド・エコバッグが入手できる誌上販売である。今日はメンズ・エコバッグというテーマで。

【勝手にアドバイス Vol.282 メンズノンノのエコバッグ】
人気のブランドとコラボレーションして制作した、話題のエコバッグを応募者全員にお届けするスペシャル企画を絶賛開催中。今月号は繊細な世界観が魅力的なファクタム!シンプルで美しいグラフィックデザインに加えて、コンパクトに折りたたんで携帯できるなど機能美も秀逸。さあ、いますぐ応募を!
メンズノンノ 11月号より

 

02  2007年11月号

このファクタムのバッグの表には「世界を上から見下ろしているだけでは物事を理解できない」というフレーズが入り、しかも折りたたんで腰にカラビナ(登山で使うロープをぱちんととめる金具)でぶら下げられるというファッションまで考えられている。

 

03  2007年12月号

ラッドミュージシャン(11月号)、ナンバーナイン(12月号)という人気ブランドとコラボレートしてのエコバッグ販売、結構ブログでも話題になっていて取り上げる人も多い。アニヤ・ハインドマーチのブームに倣っての企画かも知れないが、たとえばラッドミュージシャンブランドの洋服、とってもカッコイイ。こうしたブランドのエコなら・・・と思わせる。

 

Photo  帽子もイイ。
出典 http://www.ladmusician.com/photo/index.html

【若い層、男性もエコ意識は高い】
この世代の男性にもエコがいよいよ浸透してきたのか、それともメンズノンノの情報発信なのか。きっと両方ありなんだと思う。

博報堂が2004年から毎年実施している「環境に関する生活者の意識調査」では、2006年と2007年の比較では、「スーパーで自分の買物袋を持参する」は2006年の34.4%から2007年は42.7%まで高まってきた。

また年代層別の環境に関する関心度の高さでは、「非常に関心がある」は、50代以上が27.7%とトップで、次いで18~29歳が21.5%、わずかながら30代・40代(共に18.5%)を上回った。さらに男女別の「非常に関心がある」は男性26.9%、女性16.2%と、男性の方が高いのだ(ただし「まあ関心がある」を入れると女性の方が高い。いずれも2006年調査より)。

男性の間でも、それも若い層でも環境への意識が変わってきているというトレンドがあるのだ。Myバッグもそして遂にMy箸も持ち歩くようになったわたし的には、若者よ!どんどんエコかっこいいを追求しよう!と言いたい。こうした企画をした集英社メンズノンノ編集部も偉いと思う。

【若い世代向け女性誌を洗ってみた】
しかし本来エコといえば女性でしょう。結婚し子どもがいる女性では、エコ感度は相当に高い。本屋でその層の読む雑誌の表紙を眺めるだけでそれはわかる。

だが問題は、メンズノンノに対応する世代向けの女性誌でどうか?いくつかの女性誌の最新号の目次から、エコになんとなく近そうなワードを探してみた。

non-no』 着回し・買い足し・着倒し・・・たしかにコーディネイトもエコの親戚ではあるが、本質的にはエコと正反対。
anan』 綺麗道楽、性格美人、一人暮らしのCook Book・・・いくら見てもまったくそれらしいワードがない、おっと「ガーリー風水」はひょっとしたらエコ?いや恋愛エゴ?
Hanako』 30席未満の小さな店、ビストロノミー、リアルフード、デイリーフード。こんなワードの多いところはさすがはhanako、フードがらみでもエコぽいワードが散りばめられている。
Ray』 安いのに高く見えちゃう、Happy着回し・・・フレーズはnon-noと似ている。決戦ランジェリー(これには何となく惹かれた)。
ViVi』 最強でか目メイク(笑いました、いえ笑えません、ごめんなさい)、アウトドアガールでいこ!(相当遠まわしのエコかしら)、みんなのかぶりコスメ(これひょっとしたらエコ・・・?)
JJ』 着るだけで噂(う~ん、そうさね・・・)、去年と一緒(のカレ)じゃ噂にならない!(リサイクルも考えて)、ステディブランド(ちょっとエコかも)、3WAYヘア(意味不明だがどこかエコぽい)、護唇術(これはエコでなくてもいい)

ということで、エコバッグに関して若い世代の女性誌はメンズノンノに遅れを取っているようだ(他の号では超ガーリー・エコバッグという特集があるかもしれんが知らないんで)。

【勝手にアドバイス】
メンズノンノという、エコとはずいぶん距離があるような媒体誌からエコが発信されるようになった。それは、いよいよエコという切り口がマーケティングとして確立しつつあることを示している。メンズノンノのエコバッグを買った若者には、コレクションアイテムではなく、ぜひ日常シーンで使ってもらいたい。スーパーでもいいのだが、できればファクタムのショップでセーターを買ったとき「いえエコバッグ持っていますから」と言ってもらいたいものだ。

もうひとつの教訓は、「マーケティング施策はターゲティングの意外性にあり」である。メンズノンノ読者&エコバッグという意外性はGootきた。買物をするとゴージャスな手提げ袋を頂ける女性ブランドが多いが、一流ブランドが「手提げ袋を全廃しエコバッグに切替えました」と言うなら意外性はあるしメディアにもウケると思う。若い女性にはまだ時期尚早でしょうか?今日は以上です。

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2007年11月23日 (金)

“うふふ”マーケティング こぼれ話 帽子を探して

帽子デザイナーの山之井さんのお宅(下丸子)に到着したのは午後1時半。それから6時近くまで、Cherryさんとわたしのお騒がせ初心者2人、結構時間がかかってしまった。別室の上級の生徒さん(帽子がお似合いそうな可愛い女性)にも迷惑をかけてしまった。夕方遅くなってしまい、個展が開かれている蒲田駅前のカフェ『まやんち』にもうかがえなかった。

そこで日を改めて、まやんちにお邪魔して展示作品40点を拝見した。あるわ、あるわ・・・とわたしは思ったが、山之井さん曰く「40個展示しているんですが、とてもそう見えないんですよ」。いえいえ、形も色もバラエティ豊かで、真ピンクのハンチング帽はともかく、わたしにもかむれそうなUnisexもたくさんあった。そもそも40個をどんなスピードで製作されるのだろうか。

  Pinkhat  Pict0196 
  例のピンクのハンチング。         裏地がまた・・・おしゃれ!

購入したいと思ったが、いろいろ出費がかさみそうな予感があり、ぐっとこらえた。クラフトアーティスト展示即売会に行ければと思っています(at横浜赤レンガ倉庫 2007年12月7日~9日 ブースNo.102)。
 
     Akarengavol8 手づくりアートのプレゼントが探せます。

【まやんちにも、ひたむきがあった】
この個展を開く「まやんち」はマンションの2階にある‘隠れカフェ’兼お菓子教室スペース。カフェもお菓子教室も切り盛りする八代まゆみさんが店主でもある。ランチもやればカフェもある。教室もやる。帽子デザイナーさんに個展スペースもレンタルすれば、アルバイトもやとっている。お菓子教室の生徒さんは18歳から60ン歳までのお菓子好き。4人一組の良心的なレッスン形態。それをほぼ一人でやってのけるスーパーウーマン。すごいご活躍ですね、と言うと・・・。

 「お店をお休みにしても、やることが減らないんです」

休みの日でもなぜかTo Do Listsだけがどんどん増えてゆく。仕入、メニュー、店装、教室、HP、アルバイト雇用・・・。友人に一人でやるなんて無謀だと言われました・・・と話すものの、2006年12月20日のオープンからそろそろ1周年。いろいろご苦労は数知れずだろうが、八代さんも山之井さんに似て、笑顔+快活派なのでここまで切り拓いてきたのだと思う。こうべが垂れる。帽子が落ちる。1周年おめでとうございます

  Pict0203  スコーンあり。 

紅茶ポッドも帽子をかむっていた。「帽子のようにティーポットに被せて保温の役目を果たすティーコジー」(まやんち店主ブログより引用)はユザワヤで布を買った手づくりだそうだ。余談だが、横浜出身のCherryさんはユザワヤ派、池袋育ちのわたしはキンカ堂で、手づくり用品をよく買いに行った。

  Vfsh0081 紅茶ポットの帽子(まやんちブログより)。

【絆は自他に厳しいところに生まれる】
「ひとりでは限界がある」と思いながらも、前を向いて日々限界に勤勉に挑んでいると、いつの間にか人の輪ができる。何かのきっかけがやってくる。「東税健保の会誌に掲載されたのを見ました」「ブログに取り上げさせていただきました」「女もすなる帽子づくりをしたいのですが」。こんなきっかけはとても小さいけれど、響きあって輪も広がるのが今どきのWeb時代の良いところである

帽子展示と料理教室。山之井さんと八代さんの絆は、風雪の中でお互いを温めあうビバークに似ているが、決して馴れ合いではない。ドカ雪に備えて装備や心構えは厳しく要求し合う、そんな約束のある助け合いである

【帽子づくりに手袋探しを見た】
山之井さんの帽子のこと書き出して、最初に頭に浮かんだのは「手袋」である。

  “ほしいものを手に入れるためには、我慢や苦痛をともなう。しかし、自分の我がまま
  を矯めないでやっているのだから、不平不満も言いわけもなく、精神衛生上大変いい
  ことを発見したといえます

  「手袋をさがす」 『夜中の薔薇』 向田邦子著

文章の達人向田さんにしてはストレートな表現が目立つこのエッセイは、やりたいことを、周囲のオトナたちの諫めに反して貫く決意表明がテーマである。寒風の中、「自分がどうしても欲しい手袋が見つかるまであきらめない」という表現で、寒くてもヒビ割れても自分探しを貫く姿が、山之井さんとかぶった。

わたしの文章構想力の低さゆえに、手袋の話と帽子づくりをからめることができなかったが、その2つがわたしの中で響き合っていた。

 Cherry
 相棒Cherryさん(無許諾掲載で怒られるのでちょっと小さめに_笑)。

【仕事のきっかけは類似しています】
山之井さんとわたしには類似点もある。それは仕事のきっかけである。

山之井さんは本屋で読んだ「仕事の教室」で帽子を発見し・・・と書いた。わたしも、前職の末期に某地方都市に出張した際、ある本屋に立ち寄りそこで中小企業診断士のテキストを開いた。そのとき経営コンサルタント職を“発見”した。正確に言えば「それになろうと考える自分を発見した」。出だしはかなり軽いのである。

それ以前からコンサルタントというちょっといかがわしい雰囲気をかもし出す人々と交流はあった。仕事に興味があった。だがまだ「やろう」と思うものではなく興味をただ沈殿させていた。それになろう、それをやろうと思うときは、沈殿がだんだん膨張し、ある日堰を切ったように飛び散る必要がある。沈殿という興味とトリガーがセットなのである。

山之井さんにとっての帽子もそうだったに違いない。絵を勉強していたからこそ表現欲が根底にあって、それが満たされない仕事にうっ屈して・・・飛び散った。

わたしは「帽子っていいな」という雷鳴に頭を打たれたその週末に、近所のリサイクルショップでひとつ購入した。打たれる前には自分を変えたい、自分がひたむきになれることに身体をあずけたい、そんなうっ屈があった。心のうっ屈が身体に伝わって「頭から変える」帽子になった。

【いくつになっても自分を変えることはできる】
わたしは今頃自分探し?と言われる年齢ではある。だが向田さんの「手袋をさがす」の最後のくだりにこうある。

 “でも、この頃、私は、まだ、合う手袋がなく、キョロキョロして、上を見たりまわりを
 見たりしながら、運命の神さまになるべくゴマをすらず、少しばかりけんか腰で、
 もう少し、欲しいものを探して歩く

このエッセイは1976年、氏の47歳の時の作品である。いくつになっても自分を変えることはできる。今日は以上です。

 Natalie24 帽子も似合うナタリー・マインズ(Dixie Chicks)

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2007年11月22日 (木)

自分の帽子を探して――個人を結ぶ地球サイズのビジネスの可能性

今日はビジネスメディア誠で連載する“うふふマーケティング”へのリードです。

郷好文の“うふふ”マーケティング:
自分の帽子を探して――個人を結ぶ地球サイズのビジネスの可能性
なぜ人は帽子が好きなのだろうか。最近帽子に目覚めた郷氏は、1日弟子入りして帽子作りに挑戦。生まれて初めてのミシンを踏みながら考えたこととは……。



・・・肩に力が入っている。わかっていても抜けない。線路は続くよどこまでも♪の電車のように運転はスムーズにも行かない。線路の“枕木”続くよ・・・どこまでも♪のようにコトコトコト・・・が精一杯である。だが次第に縫うコツがわかってきた・・・

今週はミシン初心者の帽子づくり体験から感じたことを書きました。

体験教室、終わってみると4時間以上経過して、同行のCherryさんともども「疲れた~」、いやむしろ生徒より先生がくたびれただろう。「こんなに疲れる生徒は始めてかしら」と帽子デザイナー山之井美穂さんは思ったに違いない。好奇心だけは旺盛なわれわれを迎えていただきありがとうございました。明日は帽子からこぼれ出た話をランダムに書きます。
   
         ************************************

※先週のビジネスメディア誠連載で書いた『途上国から世界に通用するブランドへ――マザーハウス』のバッグ生産地、バングラディシュに、ご存知の通りサイクロンで大被害がありました。先週末、研修旅行で訪れた上海のホテルでCNNなどを見ていました。研修中、誰からもその被災の話題がなかったのは残念だった。

  Im20071117ns001y3471711200713  
  出典 http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20071117NS001Y34717112007.html

11月15日木曜日、バングラディシュの南西部を襲ったサイクロンはカテゴリー4という二番目に大型のサイクロンで(最強はカテゴリー5)、1分間の最大風速は240キロに達しました。政府当局者は、死者3,500人、被災者の数2,700万人、そのうち今現在85万人が緊急援助を待っていると試算しています。
引用元 http://www.afpbb.com/article/pressrelease/contribution/2315239/2378236

マザーハウスの山口さんのメッセージ。ご健在でかつしっかりされているご様子、被災の中でも援助のことを考える姿勢、さすがです。
http://www.mother-house.jp/topics/2007/11/post_25.html

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルも義援金を送るそうです。フラットな地球、義援もフラットでありたい。今日は以上です。

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2007年11月21日 (水)

電子書籍“サービス”Amazon Kindle

昨日に続いてワイヤレスの話題である。そうなったのもAmazonから発売された電子書籍リーダー『Kindle』が気になるだけでなく、Amazonの創業者ジェフ・ペゾスが語ったひと言が気になったからだ。

    071116_bz01reading_vlvertical  "This isn't a device, it's a service."
                                           (これは機械ではなくてサービスである)
    出典 http://www.newsweek.com/id/70983/page/1

日本時間の昨日、米国で先行発売のニュースを見て直感的に「これは買いだ!」と思った。それは発売元が電機屋でもなく書店会社でもなくAmazonだからである。Newsweek誌のベゾス氏へのインタビューにit's a serviceの言葉を発見してその思いは強まった。他の電子書籍リーダーに心を動かされたことはないが、AmazonのKindleは別である。それはなぜだろうか?それが今日のテーマである。

【勝手にアドバイス Vol.281 電子書籍“サービス”Amazon Kindle】
Amazon、ワイヤレス機能つき電子書籍リーダー「Kindle」発売
高速データ通信のEV-DO対応で、既に用意された9万冊以上の書籍を直接ダウンロードできる。本体は399ドルで、書籍は1冊10ドル程度から。通信は無料

引用元 http://slashdot.jp/mobile/article.pl?sid=07/11/20/0737205&from=rss

 Yu_kindlef  洋書だけでもいいので欲しいKindle

90000冊以上の電子書籍と著名ブログ、新聞、雑誌、そしてWikipediaなどを有料/無料でダウンロード読書ができる電子書籍リーダーがAmazon Kindle。画面はモノクロ、重さは292g、同社がWhisper(囁き)と呼ぶ3Gデータ通信方式のEV-DO(Wi-Fiではなく通信回線)で、無線ダウンロードで書籍購入や記事の更新ができる。

【PCいらず、ケーブルいらず、同期化いらず】
no computer, no cables, no syncing」とうたわれるように、PCいらず、ケーブルいらず、機器のステータスの同期化も不要である。スイッチを入れて60秒以内にKindle Storeに接続する。256MBのSDメモリーカードが付属しており、300冊ぐらいのペーパーバッグをダウンロード購入で持ち歩くことができる。カードは最近は2GBでも2000円しないのだから、蔵書の全てを一枚のSDに入れる時代が見えてきた。

ページ送りと戻りは本体サイド部をプッシュする(左利きにも対応する)。大画面で十分な文字解像度(文字サイズは選べる)を備え、キーボードがある(従来の電子書籍リーダーもある)。本を読んでいてわからない単語やフレーズ、人物調査があればビルトインの辞書(新オックスフォード辞典)とWiki検索をその場でできる。

     V3keyboard_v4948248_斜めキー入力。

プロモーションねらいだろうが、今なら9.99ドルで買えるベストセラーが勢ぞろい。一方ブログや新聞が有料なのは、無料のpodcastingや新聞サイトが多い中、伸び悩むかもしれない。広告連動などで無料化も検討してほしいところだ。

【読書=思索=記録】
Kindleではキーボードから(本の余白にメモを書くように)文字が入力できるというし、ページやパラグラフのブックマークもできる。Kindle自体を「Myライブラリ」と位置づけて、ダウンロード書籍や書き込みの言葉の検索もすることができる。他の電子書籍リーダーにも似た機能はあるがKindleほどではないと思われる。

 0002  000  こんな感じでビシバシ。

この2つの画像はわたしの本の読み方の一部である。中のページに線は引くのは当たり前、めちゃくちゃ書き込みをするだけでなく、ブックカバーや本の見開きにまで思いつく図をばしばし書きこむのである。良い本ほど書き込みは多くなる。それが思索する読み方だと思っている。Kindleの優れた点は、読書家のこうした作業をきちんとフォローしてモノづくりをしているところである。100%ではないにしろ。

【Amazonと他の電子書籍リーダーの違い】
こうしてみるとKindleと先発電子書籍リーダーとの違いは、本を知り読書を知るAmazonと、デバイス開発の電機企業の違いではないだろうか。SONYの“Sony reader”(米国で発売中 約300ドルとKindleより100ドル安い)だけではなくパナソニックなどの電子書籍リーダーの商品説明から感じるのは「デバイスを売ろう」という姿勢である。何冊入るか、見やすいか、めくりやすいか・・・機器としての性能ばかりアピールしている。

 10207prs505  Sony reader

Amazonの事業理念を思い出してみよう。それは「アマゾン河のようなビジネスを地球上に展開する」だった。Amazonという読書体験を地球中に広めるというものであり、だからこそAmazonは電子書籍‘サービス’を売る。一方電機屋は、電子書籍リーダーを販売する。その違いを端的に表したのがネット接続の考え方である。

Kindleでは通信費用は機器料金込みになっていて一切無料。たいていの人は本屋に行くのにわざわざお金を支払わない。ついでに立ち寄るのである。わざわざ機器を立ち上げ、ネットに接続するのではなく、スイッチ一発でAmazon Kindle Storeに来てもらう。そこにハード売り事業との根本的な違いがある。

Kindleと似ているサービス(めざすサービス)はiTunesであり、残念だが(独自仕様、独自規格にこだわる)SONYはまったく競合しない。SONYはデジタルプレイヤーでも読書ビジネスでも、周回遅れなのが残念だ。

【勝手にアドバイス】
ゆえにKindleの先には、もっと大きな展開の可能性がある。たとえばGoogleとのタイアップ。Googleには知の編纂作業ブックサーチという無償事業がある。大学図書館と連携して過去の人類の叡智を無償で電子化し開示するものである。KindleがGoogleと提携すれば、数々の人類の叡智を無料で読むことができる。それこそグーテンベルグ以来の発明となるだろう。

そこまで先走らなくても、いくつか身近なアドバイスが思いつく。
  
 ・有料貸本サービスとの提携
 ・書評SNSコミュニティづくり
 ・Kindleユーザーの読書体験やブックマーク公開
 ・著者の近況ブログやインタビュー連携

だが皮肉なことに、AmazonにおけるKindleの商品評価ポイントは良くない。☆2つ半という有り様だ(試用ユーザーからの評価)。だがジェフ・ペゾス氏はめげる必要はない。印刷術の発明以来500年、Web時代へ突入してまだ15年である。Web時代は始まったばかり。書籍の電子化への流れは止まらない。やがてそれはAmazon河のようになるのは間違いない。短期的に低評価で、Kindleが安くなるのであれば、個人的に(買いたいので)大歓迎である。今日は以上です。

 Ym_amazon
 画像を拡大すると☆の数がわかる。

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2007年11月20日 (火)

Eye-Fi 無線SD CardでどんなLinkを?

素晴らしい着想だが実際にユーザーにはウケない・・・そういう商品がときどきある。プロダクトとしての発想、機能、ユーザビリティは良いし、First Wow!(凄いじゃない)でアピールもするのだが、どこか‘必要性’欠けたり、‘主役’に足りえないという商品である。

今日のテーマEye-Fiがそんな商品であるような気がしてならない。2007年10月30日から米国で売り出したばかりで、まだ売れ行き情報は伝わってこない。わたしの予想が外れて大々的に売れることもありうる。なぜならクリスマスシーズンだし、価格も悪くないからだ。その商品とは「デジタルカメラから直接ワイヤレスで写真をアップロードできるSDカード」である。

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【勝手にアドバイス Vol.280 Eye-Fi 無線SD CardでどんなLinkを?】
Photos shouldn’t be trapped in your camera. Set them free.
(拙訳 撮影したフォトはまだカメラにおくの?フォトに自由をあたえよう)
The Eye-Fi Card is a wireless memory card. It automatically uploads pictures from your digital camera to your PC or Mac and to your favorite photo sharing, printing, blogging or social networking site.
(Eye-Fi Card、それは無線メモリーカード。撮ったそばから写真をPCやMacに、またネット上の写真共有サービスに自動的にアップロードできます。もちろん印刷も、ブログ投稿も、SNSも自在にできます)
引用元 http://www.eye.fi/

2GBのSDカード自体に無線LAN(IEEE 802.11b/gに対応するWi-Fi)機能が付き、あらかじめソフトウエアを導入したPCやインターネットの写真共有サービス(ちなみにわたしはPicasaを使用している)に画像を送信してくれるのだ。SDカードがデファクト仕様となったデジカメ、アイデアはいい。価格は99ドル

 Eye_fi_uproad 撮ったらアップ!

【便利ではあるが・・・】
同社のリリースから拙訳にて引用する。
「何百枚も撮った写真の大半が使われず共有もされないで捨てられる。これはとてつもないロスだ」とIDCアナリストのRon Glaz氏は言う。「Eye-Fiのワイヤレスカメラの出現は、デジタルフォトの管理を根底からくつがえすだろう」 かなりはしょった訳ですみません。
引用元 http://www.eye.fi/news/2007/10/30/eye-fi-unveils-worlds-first-wireless-memory-card/

昨日取り上げた上海の結婚サービスのアルバム作りでは「結婚するカップルの写真を300枚撮ってもアルバム用に使うのは20枚」である。だからもったいないが、使わないのは失敗や写りが気に入らないから仕方ないともいえる。たくさん保存するのが必ずしも良いわけではない。

(Cherryさんから譲り受けた)わたしの愛機のデジカメに収まるのは、今どきあるかの128MBのSDカード。だから割と頻繁にPicasaやPCにアップロードする。ただしフォトを1000枚以上保存できる2GBのSDは今どき2000円以下で買えるのである。99ドル=12000円なら、通信機能=10000円という勘定である。便利ではあるが・・・みんな無線SDを買うのだろうか?

【試用インプレッション】
engadgetにはさっそく「試用インプレッション」が載っている。それを読むとどの公衆無線LANでも自動でアップロードできるわけでない(デジカメから操作ができないのとセキュリティの問題から)」「無差別アップロードしかできない(すべての写真を特定のフォルダにまとめて転送しかできない)」ゆえに写真管理ソフトで手動管理する手間は省けない」などの問題点を指摘している。
参照元 http://japanese.engadget.com/2007/10/31/eye-fi-impression/

ポイントはiPhoneのようにデジカメに操作パネルが無いので、自動といっても自動ではないというところだろう。結局バケツリレー的に、写真をネット経由でどこかに蓄積/転送するのがこのガジェットである。

【誰が何に使うのかが疑問】
今どき無線LANが無いノートPCはない。SDカードをPCに挿入することさえ手間だと考える人が、ネット上の写真共有サービスやPCの写真管理を省けるからといってこれを買うのだろうか?携帯のデジカメが高機能化している中で、SDカード自体に通信機能が必要なのだろうか?1000枚以上の写真を撮り、PCから転送する手間が惜しいプロの写真家がこれを使う?(そんなヒトがいるとは思えない)

ただストレージ=通信デバイスという新しい切り口を開発したことは特筆もの。ネット環境とますます即時的にシームレスになるわたしたちのライフスタイルに沿っている。ストレージが画像の保管だけから通信機能を持つようになったことの可能性の広がりは大きい。

【勝手にアドバイス】
そこで、わたしなりに考えたこの商品の売り方を勝手に二つ挙げる。ひとつは「電子メールさえ打たない人々をターゲットにする」。

いくつかの調査によれば、最近の若者は電子メールをますます打たなくなっている。メールの代わりにIM(インスタントメッセージ)やひとことSNS(くすくす)、画像や動画投稿に傾いている。写真を撮ってSNSにアップしてオシマイ。動画で猫鍋を撮っておしまい。そんなモノぐさな若者ばかりになっている。彼ら彼女らにしてみれ写真や動画を撮ってその場でアップできるこのカードは好都合である。

 Eyefi_lists
 Eye-Fiは、多くのフォトサービスやSNSをカバーしている。

もうひとつは「VieraにLink!に活用」である。ビジネスメディア誠にイベントレポを書いたので、松下電器のVieraにはちょっと詳しくなった。デジカメからHDD、プラズマTVから印刷、ムービーからプラズマTVなど、すべてをSDでリンクするのがVieraのコンセプトである。お部屋の中をSDカードを持ち運ぶだけで、自由にデータをやりとりできる。

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Eye-Fiではそれを無線でできる。ヒトは家の中で立ち上がらずに、数千枚の画像や数ギガの動画をやりとりできるのだ。それを便利というのだろうか・・・。今日は以上です。

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2007年11月19日 (月)

女尊男卑の上海のウェディング

大気汚染にはヘキエキした上海2泊3日の旅だったが、おもしろいこともたくさんあった。

始めて訪れた1997年、ちょうど10年前とは様変わりの上海だった。ビルディング、広い道路、そして自動車の数、人いきれ・・・上海の人口は97年の1300万人から急速に増えて、2007年には1800万人に達した模様。これは実人口であり、6ヶ月以上滞在の出稼ぎを含めると2000万人近くになるという説もあるから、過去10年間に千葉県の人口分が丸々増えた勘定である。

その膨張さを圧縮して体感した2泊3日だった。今日はその余韻が明日になって冷める前に、わたしのメインイベントだった「上海ウエディングドレス工場見学記」だけ書いておきたいと思う。

【勝手にアドバイス Vol.279 女尊男卑の上海のウェディング】
知人のGさんが工場長/董事をされているワタベウエディングがその訪問先である。哺東地区郊外のウェディングドレスなどを縫製する工場に案内していただく。上海中心部からトンネルを抜け哺東地区を走ると、わたしが見た土地しかなかった10年前とはまったく違う光景が広がる。フィナンシャルセンター、高層マンション、欧州資本の商業施設、そして広い道路・・・共産資本主義というか計画資本主義というのか、とにかくその事業推進力には恐れ入った。

40分かからず5階建てのワタベウェディングの工場に到着。ここで花嫁の夢が縫われるのだ。数々の表彰状のあるミーティングルームに案内され、工場のこと、中国のウェディング事情をうかがう。お話もそこそこにさっそく見学を開始した。

 Logo 日本人の国外結婚最大手

まずウェディングドレスの素材となる布地やレースなどの材料を検品し在庫する部署から。検品所の次の在庫部には大量の「夢」材料がある。ま、男にはどれも同じ白やピンクに見えるが、女は違う瞳を持っているのだろう。同行したTomoyoさんとYukaさんは瞳孔が開いていた(大げさです_笑)。

オーダーの大半は日本のブランチから。日本の花嫁の差別化は、いと詳細なので在庫も増える。必要量を裁断し、型紙作成と裁断部に回す。

わたし自身が最近、ある縫製体験をしたので、型紙を作る部署が興味深かった。ドレスの大半は日本向けだから、送られた採寸データをCADに出力し、型紙をプリントアウトし、ざくざく切る。サイズはあるが、標準デザインから少しだけこだわりで変化をさせる。小さな要望で全体のシルエット(型)が変わるのも珍しくないとのこと。一生に一度!と思うからこそ・・・だが、大変な商売である。

さて縫製のセクションに行く。そこにはミシンこそずらりと並ぶが、作業の大半は手縫いである。和気あいあいな雰囲気で、班の女性工員が並んで縫う姿はほのぼのとしている。それも「ウェディング」という夢のある職業だからだろうか。離職率は中国で例を見ないほど低く、その代わりオバサンが多いとのこと(笑)。

ワタベブランドやOEMでドレスを製作する部門にはデザイナーがいる。憧れの職業。社内のコレクション向けにもデザインをするが、トルソにハギレで、さまざまなヒダヒダやモワモワがデコレーションされていた。企業秘密の関係で、このあたりは写真が撮れなかったのでぼやかしで。

   Pict0225

工場見学の末尾に書いておきたいのはタキシード部門の小ささだ。ウェディングドレス部門を100だとすれがせいぜい5から10ぐらいだろうか。男はあくまで女の引き立て役なのだろうか?

【女尊男卑の上海のウェディング】
工場見学終了後に次第にその謎が解けた。最初に答えを書いてしまうが「アルバムを重視する」である。

中国で縫製するウェディングドレスの需要先は、いくら経済発展をしたとはいえ(何十万もするので)依然として日本輸出が主体である。中国向けはレンタル用のドレスが主体。そのレンタル・ドレスには二つの用途がある。ひとつは披露宴での着用、もうひとつが撮影用である。そんなの当たり前と言われそうだが、撮影用としての執着心がまったく違うのだ。

お店を訪れドレスを選び、撮影の日を予約する。それにも時間がかかるのは予約が混んでいるからだ。何ヶ月後かの撮影となる。たっぷり1時間半はかかるお化粧と着付けを経て、アルバム撮影の段取りへ。ワタベウェディングはホテル・オークラ系列のホテル内に店舗を移し、スタジオがあるのでそこで撮影というケースが多いが、スタジオを持たない店舗ではロケ地を決めて、カメラマン・照明・ボード持ちをそろえてロケを張るのである。以下、あるサイトからの引用。

撮影した写真は227枚。すでにフォトショップでデジタル加工されて、店舗内のパソコン内に保存されていた。私たちは、この中からアルバム用の写真を24 枚だけ選ばなければならない。つまり、10枚に9枚は廃棄することになるのである。ポスター用やフォトフレーム用の写真は、この24枚の中からを選ぶことになる。
引用元 http://tnkoumei.typepad.jp/china/

私達がワタベのショップに伺ったときも廊下で美しい花嫁が撮影モード。花嫁のポーズの作り方のうまさといったらまさにモデルである。一方で新郎はといえば、花嫁をストストと追いかけるだけで、かわいそうに一枚も撮ってもらえていない(笑)。オロオロする男性を見ると、もちろん初めてではないが(笑)結婚のむなしさに触れた。

   Pict0229  ワタベウェディングのスタジオ。

さて200枚の写真をどうするのか。ワタベに限らず婚礼店舗には、ひとつひとつの接客テーブルにPCと液晶画面が備えられている。一度に撮られた200枚からアルバムづくりをするために繰り広げられるのが、女尊男卑の上海婚礼である。

【勝手にゴホゴホと咳き込んでアドバイス】
歴史を紐解けば国際都市であり、文化大革命の頃には流血もあった。だがそうした歴史をリニアモーターの超スピード(400km超)で吹っ切るように、計画的にすべてを過去のモノにしている。それが今の上海である。

だからこそ結婚事情にもスピード変化がある。元々アルバムづくりを大切にしてきた市民性があるにせよ(国際都市上海ならでは)、200~300枚もデジタル画面に写してマウスで選ぶのは(そんなハードとソフトが出現した)つい最近に違いないのだ。新しいモノで国土を一掃する国民性ゆえである。

こういう国に「もうちょっと考えたら」とは言えない。それがわたしからのアドバイスである。それは上海の誰もが、バブルが弾けるまで誰からのアドバイスをも聞かないからだ。今日は以上です。

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2007年11月18日 (日)

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第三話 巾着袋

11月16日からお届けしています『SAKURAの春』の続編の3回目です。

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第三話 巾着袋 **************

 三日目には指の怪我も癒えて、わたしはSAKURA2号店に復帰した。ドラッグ
ストアでゴムの指サックを買い、テープで巻く。まるで拳をつくる空手家のようだ。
なんとか調理ができそうだ。

 経営の方は、この2日間でとくに何かが変わることはない。ランチは活況で、
ディナーはぼちぼちだ。わたしは必要なのだろうか。
 「コバヤシさん。お休みの間にディナー対策のアイデア、でましたか?」
 後藤が訊いた。
 「うん。少し考えたけれど、それより・・・」 わたしはのぼりの巾着袋の話をした。
後藤もおもしろいと言った。
 「僕は日本の柄もいいと思うけど、環境にやさしいのがいいと思いますよ」
 「うん、恵子さんもそう言っていた」
 「オーストラリアは資源はあるけれど、生産ができない国でしょう。他の国から
商品を輸入して使い捨てばかり。それを改めましょうというメッセージがいいな」
 若くてもそういう見方をする日本人も増えている。日本を離れないとあんがいそう
いうことさえ見えないものだ。

 翌日KOTOの恵子から電話がかかり、堀田店長がバナーの件を承知したこと、
さらに倉庫に眠る、他のイベントのバナーも提供してくれるという。だから次の
休みの日に、のぼりを洗濯して、乾かして裁断にかかる予定だという。日本では
物干しの場所にさえ苦労するが、オーストラリアではたいていの家には裏庭に
大きな回転式の物干しがある。何枚あってもすぐに乾く。

          20060602191649  
          オーストラリアの物干しの写真
          http://www.hiwave.or.jp/blog/blog0606/20060602191649.JPG

       #######################
 
 ジャパン・ウィークの開催の数日前になったある日、恵子が数枚の巾着袋を
携えてSAKURA2号店にやってきた。テーブルの上に出来上がった巾着袋を
広げた。色とりどりというか、日本柄とりどりというべきか。ある袋はNoodleの
文字があり、ある袋には蕎麦の絵がある。別のイベントのバナーを使った「鍋」
の図柄もある。廃物利用でこんな素敵なバッグができるとは思わなかった。

 「しゃぶしゃぶフェアのバナーだったの?」 わたしは訊いた。
 「そうなんです。鍋の図柄だと日本ということが伝わりやすいですよね」
 「ひとつひとつ、全部違うというのもいいな」と後藤が言った。
 恵子は巾着袋をひっくり返して言った。
 「前身頃と後ろ身頃を2つに分けて、なるべく日本的な図柄が全部の袋に入る
ようにしたんです。型紙を一枚で切ってしまうと、真っ白い袋もできてしまって」
 「なるほど」 わたしと後藤は口をそろえた。
 「日本のイメージを伝える図柄の組み合わせに気をつかいました」
 
 Japanese Noodle FairとShabu-Shabu Fairのバナーで製作した巾着袋
(Kintyaku bagと名づけた)は、全部で100枚を超える数になった。1枚5ドルで
配布すれば、500ドル以上の売上になる。

 「果たしてお客さんは買ってくれるでしょうか?」恵子は少し心配である。
 「飛ぶように売れるよ」後藤は太鼓判を押す。
 「そう思いますか、コバヤシさん?」
 「アイデアの生みの親だから言うわけじゃないけど、話題になるんじゃない
だろうか」

       #######################

 読みどおりJapanese Kintyaku bagは話題の的になった。

 KOTOのOnigiriイベントの中で「Japanese Kintyaku bag」の展示販売をします、
とプログラムにアナウンスされた途端に、地元の新聞社が報道したのだった。

 -Japanese Girls make Kintyaku Bag by trash materials -
 
 「日本の若い女子学生数名がボランティアで、日本食にちなんだ図柄のある
廃品のバナーを裁断して、2つとして同じものがないキュートなバッグを作った」
という記事である。ジャパン・ウィークの中日に開催されるOnigiriイベントで
Kintyaku bagを買いたい人は早め行こう、と締めくくられていた。

 新聞にはKOTOの名前も書かれていたので、「敵の宣伝をしてしまった」と
わたしと後藤は苦笑した。だがお世話になっている店に、少しだけ恩返しが
できてうれしかった。

 そして当日、最初の一時間でKintyaku bagは売り切れたのだった。後藤も
わたしも店があるので立ち寄れなかったが、恵子によれば、Onigiriを買いに
来たお客さんのほとんどが、Kintyaku bagも買い求めた。だからあっと言う間に
「Kintyaku bag Sold Out」を貼り出すことになった。おまけに2人のKimono girls
(恵子とその友人のことだ)も話題になり、地元オーストラリア人とKimino girls
の記念撮影も大繁盛だった。

    Photo_3

 恵子らを喜ばせたのは、ジャパン・ウィークの主催者から、イベントで使用
したバナーをリサイクルして、バッグをつくらないかという申し入れがあった
ことだ。Japan Weekのバナーも大量に発生し廃棄されるだけなのだ。廃棄物
でバッグを作れば、このイベントや日本の宣伝にもなると主催者が考えたそう
だ。恵子はKOTOの仕事に勉強、さらにボランティア組織まで・・・と悲鳴を
あげたが、その目はとても活き活きとしていた。

 怪我の功名もあるものだ。完治した人指し指をなでながら、わたしはつぶ
やいた。包丁で指の等高線を切り取ったおかげで、日本を伝えたい人と
日本を知りたい人を、低予算かつ環境にやさしい方法で結びつけることが
できた。日本という文化、伝えることは多いのだ。「伝える」というキーワード
から、もう一度ディナー対策を考えてみよう。(了)

【あとがき】 **************************************************

 筆者旅行中にお届けした『SAKURAの春 巾着袋のニッポン』、お楽しみいただ
けましたでしょうか。 「日本を知りたい・知らせたい」というお祭が出発点にあり、
日本を知らせたい人」と結びつき、「知らせるモノ」、日本を表現する素材と
巾着袋に達しました。

この物語はフィクションですが、あらゆるスモールビジネスに共通する要素が
あります。お客さまが「うれしい」が出発点にあり、それが「やりたいこと」と一致
し、仕事やイベントとして「やるべきこと」になって実施される。

       Photo_4

ひとつのことをやりきれば、真ん中にはきっと‘ウチならではというものが生まれて
きます。わたし自身、このブログを通じて、頑張っているベンチャーさんやデザイナー
さんとの接点が生まれてきました。接点から自分のやりたいことが見えてきました。
このブログを通じての、わたし自身の「うれしい」です。

お読みいただきどうもありがとうございました。

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2007年11月17日 (土)

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第二話 バナー

昨日11月16日からお届けしています『SAKURAの春』の続編の2回目です。

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第二話 バナー ****************

 ジャパン・ウィークとは日本を紹介するイベントだ。ブリスベン・リバーという市内を
東西に二分する川の沿いのエリアで開かれるようだ。日本舞踊あり、日本人ミュージ
シャンの演奏や演劇もある。太鼓打ちや折り紙や生け花、書道の公開レッスンもある。
ほとんどは地元在住の日本人が出し物を担う、市民参加型の日本紹介イベントだ。

      Jw2007_02_2
      ケアンズのジャパンウィークの光景 http://www.cqla.com/vol6.html

 レストランKOTOでは「Onigiri」イベントでご飯を炊き出しおにぎりを握り、低料金で
振舞う。恵子も手伝いに狩り出されるが、せっかくの機会なので彼女と学生友達で、
何か日本や日本食にちなんだ出し物もやってみたい。

 「出し物ですか」
 「2、3年に一度しかないそうですから、この機会に、何か日本のことを伝えること
ができたらいいなと思いまして。学校のみんなとそう話し合っているんです」
 「恵子さんは学校にも通っていたんですよね。確か大学の夜間コースに通って
いらしたとか」
 「ええ。でも学校はちょうどお休みなので時間はあるんです」 お客さんが入って
きたのをちらりと見た。「でも時間はあっても予算はゼロだし・・・。KOTOのブースで
やれることですから、限られてますよね」 オーストラリア人のお客を応対するため
恵子は離れた。ほどなく天麩羅蕎麦Teisyoku(定食)がテーブルに運ばれた。
Japanese Noodle Fairの中の一品だ。

 わたしは天麩羅をつつきながら考えた。日本を離れれば離れるほど、日本に
こだわることになる。幕の内ビュッフェもそうだ。恵子さんの思いもまたそうだ。
不思議なものだ。

 支払をすませ駐車場に出た。日本にちなんだこと・・・とつぶやきながら歩きだすと、
『Japanese Noodle Fair』のバナーに顔が触れた。手でそれをはらうと、バナーの
蕎麦のイラストが月明かりの下、キラリと光った。

       #######################

 その翌日わたしが起き上がると、太陽はとっくに起き上がっていた。

 指の痛みはずいぶんと小さくなった。だが包丁を持つにはミイラの指ではムリだ。
ゆっくりしようじゃないか、コバヤシ。わたしはつぶやいて、することがない時に行く
ところに行った。それは植物園である。

 24時間オープンの植物園は、もっともブリスベンらしさがある。らしさ、とは何か。
何をするのでもなくただ散歩をする人やランニング姿で走る人、厚手のセーターを
着込んでベンチに座り続ける老人、ビーチタオルにビキニスタイルで寝そべる女性は
一時間に3行しか読まない本を持っている。それがらしさである。指ミイラさえもここ
では目立たない。

 地元の古書店で買った“Airport 75”というタイトルのペーパーバックを小脇にはさみ、
地表から匍匐(ほふく)して生えている奇妙な木々の小路を歩いた。しばらく行くと、
数時間の居場所になりそうなベンチを見つけた。腰を降ろし本を開いた。登場するのは
コロンビア航空という旅客機。いつまで経っても空港から飛び立てないのだ。なぜなら
読者が、同じページの同じパラグラフを行きつもどりつして、うつらうつらしているからだ。
飛び立たなければストーリーが始まらないのに・・・。

        Bench

 ふと目を上げると、向かい側のベンチに子どもを連れた母親がいた。子どもは、歩き
出しては転んだ。立ち上がり歩き出したが、またよろめいた。人間とはこうして転ぶより
歩くのがほんらいの使命であることに気づく。だがわたしは転んでばかりだ。その挙句、
南の果ての国までやってきたのに、まだ飛び立てないでいる。飛び立つどころか、
うとうとしているのだ。

 母親はベビーカーに下げられたトートバッグから、飲料のボトルと布の入れ物を取り
出した。布の袋からタッパーウェアのランチボックスが現れた。食事は手製のサンド
ウィッチ。これからランチのようだ。布の袋は口を紐できゅっとしばることができる、日本
の「巾着袋」のかたちである。柄は白地に赤い水玉模様・・・まるで指を切ったときの
タオルのようだ。思い出したくない柄だ。それに白地に赤では、まるでニッポンだぜ。
日本から離れれば離れるほど、何を見ても日本に見える・・・わたしは笑いかけた。

 そこで、ひらめいた。日本を作ればいいんだ。袋だ。あの素材だ。

 わたしはすっくとベンチを立ち上がり、滑走路から飛び立つような勢いで小走りで
駐車場に向かった。シフトレバーにおいた左手のミイラの指に力をこめて、4速にギアを
アップした。ミイラもフィアットも不平は言わなかった。ブリスベン中心部の王様の
名前のストリートを北上し、王女の名前のストリートで西に向かった。行く先はまっすぐ
KOTOである。

 ランチの終わる時間にKOTOの駐車場に着いた。「Japanese Noodle Fair」ののぼり、
つまりバナーに手を触れた。素材はポリエステルなのか、薄くて腰の強い。この素材
なら大丈夫だろう。街灯は10本以上あり、それぞれにバナーが下がっている。量も
たっぷりある。しかもNoodle Fairの日付は、ちょうど今日までと書いてある。もう明日
からはバナーは廃棄物だ。

 店舗の入口で、客席ホールにいるという恵子を呼んでもらった。
 「コバヤシさん、どうしたんですか?」 
 「ジャパン・ウィークでの出し物の話ですが、ひとつ思いついたので来ました」
 恵子はくすっと笑った。「まっすぐなんですね、コバヤシさんて」 
 「ちょっと、駐車場に出てください」 わたしは恵子を外に連れ出して、のぼりのひとつ
をつまんだ。「これを使って、袋を縫うのはどうでしょうか?」

 わたしは自分のアイデアを話した。素材はポリエステル、腰がある素材なので縫製
すれば巾着袋を作れそうなこと。巾着袋にはKOTOが提供するおにぎりを入れる用途
にする。この素材のいいところは、「Japanese Noodle」という文字や「日本の蕎麦」や
「ウドン」の図柄があるので、日本をアピールすることができる。それにデザインとして
も日本の模様は外人にはウケる。巾着袋という日本の伝統のかたちも伝えられる。
 
 恵子さんは即座に賛成した。
 「とってもいいアイデア!このバナー、あとは廃棄するだけですから、きっとタダで
ゆずってくれそうですし、廃棄物リサイクルの点でもいいですよね。
 「環境にもやさしい日本をアピールできますね」
 「日本のお土産で漢字のTシャツもありますから、日本の図柄は興味を惹くし・・・・。
すばらしいアイデアです、コバヤシさん」

 恵子が退ける時間を待って、わたしたちはお客のいない店舗のテーブルで作戦を
練った。まずのぼりの数でいくつの巾着袋が作れるか。作るうえで型紙を用意し、
それを何人で手分けすれば縫えるか。ミシンを持つ家庭で協力してもらえないだろ
うか?きっとヒマしている日本人の奥さんはいるだろう。無料で配布すると、あっと
言う間に無くなるだろうから、あえて有料にして、その収入を何か有益なことに使う
のはどうだろうか。物事を企てるのは実に楽しい時間である。
 
 「堀田店長が帰国されたら、わたし、さっそくバナーのことを掛け合ってみます」
恵子は言った。

今日はここまでです。明日18日までよろしくお願いします。

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2007年11月16日 (金)

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第一話 血

SAKURAの春 巾着袋のニッポン

【前書き】********************************************************

 当ブログの筆者(郷好文)はただいま旅行中です。旅行の間(2007年11月16日
~18日)、3回連続で「マーケティング・エンターテイメント」をお届けします。
以前書いたオーストラリア ブリスベンに流れ着いた日本人コバヤシの物語
SAKURAの春 プロローグ、SAKURAの春 桜のつぼみ)の続編になります。
再び恥ずかしくも楽しく書きました。リラックスしてお読みいただければ幸いです。

SAKURAの春 巾着袋のニッポン 第一話 血 *******************

 削った、と思う間もなく真っ赤な血が指からあふれた。左手の人差し指、
身体に近い側の先端部分だ。声にならない声をあげて、わたしは包丁を
投げ出すように置いて、うずくまった。

 「切った?」 日本人の調理アルバイト後藤が声をかけた。
 「すっぱりと・・・」 うめきながら答えた。首からかけていたタオルで指を握る。
白地のタオルが、見る間に紅色にそまった。
 「痛い? 痛いよな、そりゃ・・・」 とは言いつつも、彼も注文を受けた調理に
忙しいので駆け寄るヒマはない。「ちょっと待ってて。これやっちゃわなきゃ」
後藤は揚物を続けた。
 
 鮮血に染まるタオルで指を押さえながら、どこまで指を切ったのだろうかと
考えたが切った箇所を見たくなかった。規則的に出血する音が指から聞こえて
きた。血染めのタオルが痛々しかった。痛みをこらえてわたしは言った。
 「すまん。しばらく休めば大丈夫だ」 

 怖いもの見たさでタオルを上けて左手人指の具合を見ると、とてもそうでは
ないように思えた。指紋の等高線状の何段かが、頂上が平らになった山のように、
スッパリと削がれていた。削がれた山頂から噴火のように血が流れていた。
きっと肉片は切っていたキューカンバーにまぎれてどこかにあるのだろう。

 「わるい。しばらく・・・休むよ」 
 
 わたしはタオルに力を入れてを押さえて、調理場の裏口に向かった。控え室
があるような大きな店舗ではない。ショッピング・アーケードの裏に空地がある
だけだ。足で扉を開けた。自分の血の気が引いているのを感じた。亜熱帯気候
のオーストラリア、ブリスベンの陽光がまぶしく、熱かった。日光のせいで血流
がますます促進されるような気がした。息をするのも痛かった。金属製の空の
ビール樽の上に腰掛け、うつむいてケガや血のことを忘れようとした。

            Photo

     #######################

 店舗の軒下に積まれたダンボールに「SAKURA #2」と書かれてある。血の気
の引いた額に、熱い日差しを感じながらその文字をぼんやりと見つめた。

 ここはブリスベンのジャパーニーズ・レストランSAKURA2号店である。わたし
コバヤシは、ワーキングホリデーの旅から流れ着くように日本料理店SAKURA
で働き出し、調理場に居付き、数年が経った。店舗のオーナーのMr.Tもまた
流れ者だ。空手家転じてレストラン経営である。日本食で競合もいない街なので、
1号店は成功した。味をしめて日本人が多数居住する郊外エリアに、SAKURA
2号店を出した。その店長を命じられたのがわたしだ。だが店長とは名ばかりで、
Mr.Tのために売上をあげる弟子のような存在だった。

 それでもよかった。売上を上げる弟子でいい。ブリスベンでは時間はゆっくり
と流れる。何かから追い詰められることはないのだ。何歳になったら何をして、
何かをするためには何をして、その何かをするために、また何かをして・・・と
いう日本社会特有の強迫観念サイクルから、すっかり自由なのだから。この
ままでいたい。そう思っていた。

 だが郊外に出店した2号店はすぐに行き詰まった。昼も夜もヒマなのである。
原因のひとつとして競合店の新規出店を疑った。日本料理店のKOTOだ。だが
SAKURA2号店の何倍ものスペースで格式の高い高級日本料理店なのだ。
小さなSAKURAの蕾が競争にはならない。顧客層も何もかもが違う。

 想定客として集まってもらった飲食インタビューから、SAKURA2号店の行き
詰まりの原因は店固有の問題だと思われた。日本人対象なのかオージーが
対象なのか、日本の味を押すか、ローカルの味になじませるか。価格も中途
半端だし店内に日本の雰囲気さえ少ない。お店にテーマがなかったのだ。

 「ようやくランチは軌道に乗りつつあるのに・・・」 傷の痛みは次第に規則的な
鈍痛に変化してきた。恐る恐るタオルを上げると、禿山の赤膚が見えた。しばらく
は料理ができそうにない。後藤が裏口のドアを開けて顔を出した。
 
 「コバヤシさん、具合どおですか?」
 「ぼちぼちだよ」
 「もうお客さんはいなくなりましたから、お店の中で休んでください」

 「ひと仕事終えた」という充実感のある客席に入ると、少しほっとした。わたしは
無傷の片手で、『SAKURA BUFFET TABE-HODAI(タベホーダイ)』と書かれた
メニューをそろえた。
 「コバヤシさん、ワタシ、やりますから休んでいてください」 台湾人ウエイトレス
の麗朱が、メニューをひったくるように持ち去った。病人は休んでいろか、わたし
は苦笑した。
 
 後藤が厨房から現れ、わたしの指を検分して言った。「この傷じゃ2、3日、料理は
できませんね」 そうかも知れない。
 「本店から誰か応援を出してもらいましょう」 後藤が言う。 
 「オレから連絡しておくよ。だが今日の夜はどうするか」
 「夜はヒマでしょうからボクひとりで大丈夫ですよ」 

 ヒマで困っていたのに、ヒマでよいこともある。2、3日休ませてもらおう。ディナー
対策を考える良い機会だ。

      #######################

 人に料理を作ることができなければ、自分に料理を作ることもままならない。

 当たりまえなことに気づき、夜食は外出することにした。マニュアル・ミッションの車
を運転するのはつらいが、包帯をしっかり巻いた人指し指はミイラのように直立
しているので、かえって無視することができる。不味いチャイニーズ・テイクアウト
よりも、今夜はケガの回復のために奮発することにした。

 主が手傷を負ったフィアットを走りださせた。イグニッションが右手仕様で
よかった。車検が無いせいで年代物の車が多く走るオーストラリアの車道でも、
この四角いフィアットの年式を言えば、恐れをなして道を開けてくれるのだ。
フィアットは夜道をぼんやりと照らして「奮発先」に向かった。

 日本食レストランKOTO。高級日本食店が奮発先である。店舗の建て直しにから
んで、店長の堀田氏にお世話になっている。駐車場ゲートをくぐり、最奥の駐車
スペースにフィアットを止めた。入口に近い駐車場に群れる高級車の間に置くのは、
フィアットにとっても高級車にとっても、劣等コンプレクスと優等コンプレクスを
刺激し合うだけだからだ。車を降りて店舗に向かうと、駐車場を照らす街灯から、
のぼりが垂れ下がる。英語で『Japanese Noodle Fair』とある。涼味のあるソバや
ウドンのイラスト付きだ。日本蕎麦、うどんのフェアか。食欲をそそられた。

  Photo_2 駐車場ののぼり
  原図引用元 http://t-arena.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/061116_01.jpg

      #######################

 席につくと、日本人ウェイトレスがメニューを持ってきてくれた。KOTOに始めて
訪れたときに会ったのが恵子である。そのとき、和食を通じてフードビジネスに身を
投じたい、だから働きながら現地校で勉強していると話していた。改めて和服の
彼女を前にすると、その決意が額と顎にしっかり刻まれている女性だと感じた。
わたしや後藤のような風来坊とは違う。こんな若い日本人女性もいるのだ。

 「こんにちは」 恵子は微笑んだ。「SAKURA2号店、いかがですか?」
 「少し光が見えてきました」

 わたしはお店のみんなでアイデアを出し合い、知り合いのお客さんをお店に呼び
グループ・インタビューをして改善のヒントをもらったこと、「オーストラリア人に
日本食を伝える」というテーマでTABE-HODAIを思いついたこと、それを日本独特
の器である幕の内弁当の容器で提供する「ブッフェ方式」がウケて、日本食を盛り
付けて日本を知るという食べ方が浸透しつつあること、その影響でディナータイムも
少しずつ客数が増えてきたことをかいつまんで話した。

 「ところで、堀田店長は今日はいますか?」  
 「あいにく今日はお休みなんです」 日本の本社に呼ばれ二泊三日の旅程で、
社員研修旅行のため一時帰国しているとのことだ。あわただしいことだ。

 お店にはお客さんもまばらなので、恵子さんがのんびりと話しかけてきた。
 「実は、ひとつ困っていることがあるんです」
 「どんなことですか?」
 「来月、ブリスベンでジャパン・ウィークというお祭があるんです」 恵子はレジの
壁に貼ったイベントPRのポスターを指差した。「このお祭で、わたしも何か日本を
アピールすることをしたいんです」

 ジャパン・ウィークとは日本を紹介するイベントだ。日本舞踊あり、日本人ミュージ
シャンの演奏や演劇もある。太鼓打ちや折り紙や生け花、書道の公開レッスンも
ある。日本を伝えようというフェスティバルである。

今日は以上です。明日17日、18日もよろしくお願いします。

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2007年11月15日 (木)

途上国から世界に通用するブランドへ――マザーハウス

今日はビジネスメディア誠での連載“うふふ”マーケティングへのリードです。

郷好文の“うふふ”マーケティング:
途上国から世界に通用するブランドへ――マザーハウス
ジュートという麻素材が特徴のバッグブランド「マザーハウス」。商品が作られているのはアジア最貧国ともいわれるバングラデシュ、創業者は25歳の若い日本人女性。マザーハウスに秘められた可能性と、克服すべき課題とは……?

マザーハウスの正面突破のビジネスパワーに感動したのがきっかけでした。表面+側面から取材をいたしました。台東区入谷の素敵なお店だけでなく、名古屋の展示まで拝見しました。

   266pxflag_of_bangladesh_svg バングラディッシュ人民共和国国旗。

創業者の山口絵里子さんの想いとご苦労は、その書籍でも知ることができるのですが、氏のブログを読みますと、同時進行でそのご苦労を共有できます。ああ!山口さんは今日も(今夜も)頑張っている。それを思えば頭が(それこそ)ストンと下がります。まだまだ自分は何も頑張っていない、もっともっとやれることがある、そんなポジティブなスピリットをもらえます。

自分一人で何ができるもんか・・・。しかしどんなことも、きっかけはたった一人の想いから。少しずつ何かを変えようと思い続けてやり続けること。そうすると誰かがあなたの活動を見ていてくれる。認めてくれる。だんだんと変わる。そう信じて、もうすこし&ずっと(!)頑張りましょう。次週の誠連載でも(もうちょっと等身大ですが)そんな素敵な方を取り上げようと思っております。

明日から3日連続でちょっと趣向を変えて(久々の)“マーケティング・エンターテイメント”をお届けします。お読み頂き、ちょっとでもパワーを出していただければ幸いです。今日は以上です。

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2007年11月14日 (水)

Web図書館は“図書館のロングテール”になるか?

以前「ネット時代に無くなる建物」というテーマを当ブログで書いたことがある。その時考えた「無くなる建物」を挙げてみよう。

ポスト(年賀状も減り手紙も減っている)」「役所(民営化、サービスのネット化がトレンド)」「不動産店舗(かなり減りつつはある)」「証券取引所(実質的に不要)」「新東京タワー(分散ネットワーク時代にバベルの塔ぢゃないでしょ)」、そして図書が電子化されるのが必死な「図書館」であった。

図書館消滅の第一歩となりそうなのが、2007年11月26日から試用運用をスタートさせる千代田Web図書館である。ウエブ上での図書の貸し借りをするサービスなのである。

【勝手にアドバイス Vol.278 Web図書館は“図書館のロングテール”になるか?】
千代田区立図書館では、日本の公共図書館では初めてインターネットを活用した「千代田Web図書館」をスタートします。このサービスは、電子図書をインターネット上で貸出・返却を行なうものです。(2008年3月末までは千代田区内在住の方限定の試用期間です)
引用元 http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/facilities/weblibrary.html

  Facilities_pic_08 ウエブ時代にこんな立派なお役所が要るのだろうか?

事前に登録した区民のPCから24時間、どこからでも貸し出しを受け、本を読めるという仕組み、国内の公共図書館では初のサービスとなる。貸し出し期間終了後、「自動的に消滅する」ので返却無用の便利さがいい。

【図書はDRMで管理される】
図書は従来の本をスキャナで電子化したものではなく、いわゆる電子ブック(eBook)が主体である。おそらく導入・閲覧に専用ソフトが立ち上がり、マウスオーバーしてページ上でクリックして本をめくる仕組みと思われる。図書タイプは3種類あり、テキスト中心の「XML」、書籍のレイアウトを通りの「PDF」、そして動画やサウンドなどページが動く「Flashタイプ」。

貸し出し図書はすべてデジタル著作権管理(DRM)システムで管理され、貸し出し期間中の閲覧回数は無制限だが、コピーは一切できない

【タイトルは・・・】
めぼしいものを拾うと『プロ野球よ!』、(日本経済新聞社)、『お客様が私の先生です』(ダイヤモンド社)、『アニメーション産業に関する最新調査結果について』(新産業経済研究所)、『新TOEIC 模擬問題』(フォーユー)、『母への詫び状』(祥伝社)、『映画で英会話 人間の絆』(朝日出版社)などとなっている。個人的には惹かれるタイトルはない。まず出版社16社、3,000冊で順次増加ということだから今後を期待しよう。

 Weblibrary_book 画面イメージ

区内居住者なら、図書館にいなくても、もちろん区内にいなくても借り出し(というかダウンロード)ができる。この仕組みが活きるのは、まずベストセラー本であろう。借りたくても、いつも貸し出し中でいらいらしなくて済む。ぱらっと読んでみて、良ければ印刷本を書店で買おうということもできる。

【疑問もあれば要望もある】
電子図書館、良い取り組みであるが、いくつか疑問や要望が思い浮かんでくる。

①閲覧時にどこまでチラ見ができるか
②電子化に向いていないものはどうするのか(絵本、大型本、辞書など)。
③お手軽本ばかりが電子化される傾向が強くならないか。
④それは千代田web図書館でしか‘借りる’ことができないのか?

①については「目次と前書き」ぐらい読めるとありがたいし、できれば司書らが書評やお奨めを書いてもらえないだろうか。買い出し&貸し出し&出し入れが必要なくなるのだから、智恵ワークにシフトできる。

②については公共電子図書館とリアル図書館の使命や役割を、それぞれもう一度問いなおす必要がでてきそうだ。図書館は本を借りるところか?調査や学習をする場か?本に出逢うところか。寝るところか(ときどきやってます)。

③お手軽本ばかりが電子化されるのを危惧するより、お手軽本や推理小説しか配本しない昨今の図書館こそ憂慮したい。目利きなしで話題本ばかりでは・・・公共図書館ですか?

④は根源的な問題をはらんでいる。突き詰めれば「公共図書館は“いくつ”必要なのか?である。本をダウンロード貸し出しするだけが図書館なら「大日本電子ライブラリー」が真ん中にひとつあればいい。真ん中とはネット接続上の問題であるので、対馬列島にあっても、長野の地中100mでもいい。となると「図書館に行こう」という言葉は、「図書館をググろう」という言葉に変わってゆく。つまり、図書館とはサーバの処理能力を意味するようになる。

 Weblibrary_top 11月26日からです。

【勝手にアドバイス】
だが、それではいかにも味気ないのでいくつかアドバイスをば。

・司書とボランティアの能力を活用する。
 図書館の司書の出番。貸し出しはダウンロード、相談はヒューマンタッチ。特定分野に詳しい司書や図書館ボランティアを養成できれば、あらゆる分野の専門家が本をガイドしてくれるというサービスが可能。

・レンタルから電子図書/リアル図書を売る仕組みにつないでほしい。
 CDレンタルは実はCD販売を増加させる、という話があったように、本でもレンタルと販売の相関関係の実態がわかると著者にとっても出版社にとっても好影響があるはずだ。

・部数の出ない地方出版社の労作、自費出版にもスポットが当ててほしい。
 Amazonに書評もない、でも労作で良本を紹介する。貸し出す。売らんかな本にはないマジメさが読者を感動させる。そんなロングテールな図書サービスこそ、公共図書館のほんらいのミッションである。

今日は以上です。

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2007年11月13日 (火)

備えあればオフィスでビバーク

首都圏では一昨日の日曜日にも地震があった。スワっ直下型?みたいに一瞬ヒヤリを感じたが、たいしたものではなかった。だが防災科学技術研究所(地震・火山等の災害被害の研究開発機関)によれば・・・

1923年に起きた関東地震のようなタイプの地震が再び起こる周期を約200年とすると、このクラスの地震が近い将来、発生する可能性は低い。しかし、マグニチュード7クラスの直下型地震が南関東で発生する周期に入っており、その兆候はすでに表れている」そうだ。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/office/column/20070903/511071/
いずれはやってくる地震に備えて、事業所における対策をいくつか紹介しつつ、オフィスでの身の振り方を考えたい。

【勝手にアドバイス Vol.277 備えあればオフィスでビバーク】
まず『東急電鉄、渋谷に高層複合ビル・帰宅困難6000人収容施設』という取り組み。東急文化会館跡地に建築する複合ビルには、災害時の帰宅困難者を収容する施設をつくるという。やるじゃないか東急電鉄。

(記事前略)駅前の新たな「シンボル」になる地上33階、地下4階の高層複合施設を建設。施設内の一部を災害時帰宅困難者向けの一時的収容所にする方針も盛り込んだ。
出典 http://www.shibukei.com/headline/4686/

    1191471589_photo  どこかで帰宅困難者がビバークできる。

2012年度に竣工予定の再開発計画では、地上33階・地下4階の複合施設が核施設で、低層階は物販、中層階に劇場やホールを置き、高層階が事務所となるものである。6000人収容所は公共ホールを活用するという。この取り組みには拍手を送ろう(補助や容積率緩和などのインセンティブがあるのか不明です)。

【家には帰れない!】
この記事を読んで、かつてわたしはこう同僚と話したことを思いだした。

「オレさぁ・・・もしも大地震があったら、歩いてでも家に帰るよ」 
当時わたしは、スニーカーや防災グッズを会社の机の足元に置いていた。
「郷さん(わたしのこと)、お志はいいけど、無理だと思いますよ」 
「なぜ?」 
「だって郷さんのところまで、河をいくつも渡らなきゃならないでしょう。橋なんて落ちてますよ」

まったくだ。帰れないばかりか、中央防災会議によると、首都圏直下地震で約64万人が避難所生活を送るという。これは阪神淡路大震災の36倍である。必要な応急住宅162万戸と言われ完全に不足。

就業時間中の大地震では家に帰れず、会社に住むしかない。今や学校も減り、住宅も減った首都圏では、公共施設も満足にはない。つまり「備えあれば、オフィスに住まいあり」対策が必須なのである。

【エレベータに住みたくないが・・・】
それほど大きな取り組みでなくてもできることはある。一例はエレベータ閉じ込め事故に対応するための備えである。日本ユニシスでは『大地震発生を想定し本社エレベータ内に「非常用ボックス」を設置』した。

 0174849_01

あれ?最近のエレベータは揺れたら最寄の階に止まるということだが・・・。実は直下型の大地震が来た場合、実際には途中階で停止してしまう可能性が高いという。東京都防災会議では都内で9000台が閉じ込めになるという想定をしている。ゆえに日本ユニシスでは閉じ込め後も数時間は我慢できる備えを本社エレベータ18台に施した。

備えは「簡易トイレ」「非常用ライト」「防災ラジオ」「水」「飴類」「ブランケット(保温/トイレ目隠し兼用)」などである。エレベータには住みたくないが、「備えあれば、住めば箱でも都」となるかしら。

【ホイッスルがいる!】
オフィスで暮らしたり、閉じ込められた時のことを考えたが、実際には違う!という専門家の指摘もある。小物だけでなく大物が振ってくるのが地震。仕事場でも負傷者がたくさん出るわ、救急車は来ないわ。事業所でも負傷者手当やサバイバルが必要である。

救急用具は総務の役目とすると、必需品は「ホイッスル」というのが専門家の奨め。福和伸夫教授(名古屋大学大学院環境学研究科)は、電気もつかない、机も棚も書類も渾然となるオフィスの瓦礫の中に閉じ込められたとき必要なのはホイッスルと話す。「備えあれば、オレはここだ!」のサインが出せる。

    18_img03 地震の発生にはホイッスルはないが。

【勝手にアドバイス】
1日10時間以上オフィスにいる人にとっては、オフィス被災の確率は50%近くある。オフィスではそもそも着替えもなければ布団もない。食糧はオフィスグリコしかない。総務が用意するのは緊急品だけである。生活品がまるでない。東急グループや日本ユニシスを見習って、オフィスで数日はビバークできる対策も実施したい。いくつかの勝手なアドバイスをば。

 ・寝袋にもなるカーテン(スナップでポチポチ留めれば割と簡単)
 ・はがすとマットレスになるタイルカーペット(汚い?なんて言ってられません!)
 ・シュレッダーゴミを詰めた布団(これいけそう?)
 ・枕にもなるキングファイル(痛そう)
 ・固形燃料にもなる「監査小六法」の本(分厚いので長く燃えそう)
 ・ビジネスクラスのようにリクライニングできる椅子(普段はシエスタ Zzzz・・)

今日は以上です。

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薄型軽量Macノートが出る!

今日のスラッシュドットの記事より転載。

来年1月のMacworld Expoで軽量ノート型Macが披露されるだろうとAppleInsiderが報じている。この軽量ノートは13インチ型だが、15インチMacBook Proの半分ほどの重量で、厚さもより薄いとのことである。NANDフラッシュメモリを搭載し、ディスプレイもLEDバックライト型となっているが、光学ドライブを搭載しない方針は撤回された模様だという。
http://slashdot.jp/mac/article.pl?sid=07/11/13/0048212&from=rss

15インチのMacBook Proは2.45kgだから半分なら1.2kgになる。バッテリー6時間、ブートキャンプで新OSならば、日本人ターゲット以外の何物でもないプロダクトだろう。これは・・・買いたい。

      Photo半分くらいに!

Appleインサイダーから転載

While there has been some uncertainty as to when Apple would be ready to unveil the next-generation portable, people familiar with the matter now tell AppleInsider that the company is gearing up for a grand introduction during January's Macworld Expo in San Francisco, which runs January 15th through the 18th.  http://www.appleinsider.com/articles/07/11/12/ultra_portable_apple_notebook_to_splash_down_at_macworld_expo.html
来年1月が楽しみ。

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2007年11月12日 (月)

セーターの呪いと大蛇マフラー

隔週の月曜日は、メールマガジン「ぷろこんエッセイ」からの転載です。
必ず読める!ご購読は まぐまぐ めろんぱん からお願いいたします。


セーターの呪いと大蛇マフラー

その二、編む方も贈られる方も、「手編みのセーター」という意味深な贈与が
かかわる関係を重く評価せざるをえなくなり、その重さをお互いがうっとおしさ
を覚えるようになる。

 『セーターの呪い ~ モードの方程式』 中野香織 
                        日本経済新聞 2007年11月2日 

       £££££££££££££££££££££

男の兄弟は似た者同士に育つということは、ほとんど聞かない。兄弟2人を
知る他人のひと言目は「ほんとにお2人は兄弟ですか?」であり、二言目には
「まったく似ていませんねぇ・・」なのである。片方は外交的で、片方は内向的、
片方がスポーツ万能で、片方がスポーツ無能という正反対なことが多い。

わたしと兄もご他聞に漏れずで、180度違う性格である。性格よりも決定的な
違いは、兄はモテて、わたしはさっぱりモテなかったことだ。スポーツも万能で、
よく気がつく(言い方を変えれば調子の良い)兄は、モテにモテた。中学生の頃
からモテモテで、それは高校でも大学でも継続し、社会人になっても続いた。
うらやましかったが、それなりに‘女人事件’も起こしていたから、因果応報だと
密かに溜飲を下げたこともあった。

わたしが中学生の頃だ。兄とは2つ違いだから、彼は中学生か高校生になった
ばかりの頃のことだった。季節はちょうど今頃、秋の深まる頃あいだった。

兄のビニールロッカー(ジッパーでジ~っと引き上げる衣服入れ)の下に、
見慣れない大きな手提げの紙袋が見えたのだ。その袋から、なにやら白い
モコモコが飛び出している。

兄がいないときを見計らって、ジャっとロッカーを開けてみると、それは手編み
の毛糸だった。太くて真っ白な毛糸のマフラーだったのだ。

そのサイズが巨大だった。ちょうど見世物小屋の蛇づかいのオンナが首に巻く、
伸びきった大蛇のようなのである。背丈の2倍ほどはあっただろう。これを編む
のに何時間かかっただろうか?いったい誰が製作したのだろうか?(当時噂の
あったT女だったのだろうか?) 兄はこれを巻くのだろうか?学校に行くときに
は巻けないだろうな・・・。巨大なマフラーから疑問がいくつも湧いた。

後日談だが、結局そのマフラーは一度も使われた形跡を残さず、兄は引越
したときに持ち去らず、母かわたしかのどちらかが厳かに処分したように思う。
ごめんなさい、製作女さん。

2人分は優にあろう長さだから、そのマフラーの手づくり製作者と兄が並んで、
2人で巻き合って歩いたというような、そら恐ろしい伝説も残ってはいない。

          Photo 

       £££££££££££££££££££££

引用した服飾史家の中野香織さんのエッセイがトリガーになって、兄の大蛇
マフラーを思い出した。

中野さんのエッセイのその一は「編む方はセーターに夢中になるあまり、肝心
の恋人へ向けるべき関心が薄れる」、その三は「セーターを贈られた方は、
小さい頃におばに編んでもらったセーターを思い出して、恋人とおばが交錯
して愛情が薄れる」である。

『セーターの呪い』はずいぶん昔から語り継がれる現象のようで、中野さんの
ご指摘以外にも「編んでいるうちにタイミングを逸する」「関係修復のために
編む(だが結局は・・・)」「もらって好みに合わないと、編み手とも合わないという
ように思う」さらに「毛糸にアトピーなのを知らずに編まれて破綻した」などなど、
手編みは止した方がいい、セーターを編むと恋は破れるというアドバイスが
欧米には伝わる。
参考 http://en.wikipedia.org/wiki/Sweater_curse

たしかに、セーターや大蛇マフラーはちょっと・・・と思う。もらったことがない
ヒガミじゃない。手袋ならいいかな、とも思ったが手袋だとむしろ意識が強く
なりそう。手袋より冷たい手同士を重ねて温めあいたい、そんな淡い期待の
方がリアルなのだが。

                Drwho  呪われていない?         

       £££££££££££££££££££££

セーターの呪いは恋人同士だけでなく、クライアントとコンサルタントの関係に
もあてはまる。一品モノが、必ずしも喜ばれないのである。

「あなたの企業にだけ」という手編みのように手厚いコンサルティング・サービス
と、「他の企業にも似たものを提供します」という既製品型のコンサルティング・
サービスがある。

業界の外の人にとって、コンサルティングが「手編み」なのか、「既製品」なのか
わかりにくいと思うので、ごく単純に解説をする。一般に外資系コンサルは
既製品ないしパターンオーダー型である。国内系は手編みかカスタマイズに
近いところが多い。ITコンサルはほぼ既製品型である。導入システムがパッケ
ージばかりだからだ。

高い料金を払うのだから、「一品モノ」が喜ばれそうだと考えがちだが、それは違う。
多くのクライアントは「ウチだけのためにやってほしい」とは言わない。むしろ
既製品でいい、ヨソでやってきた事例を聞かせてくれというのである。

それは「セーターの呪い」に似た思いがあるからなのではないか。決して費用面
だけではない。アイデアが枯渇して飽きられるからだけではない。手づくりだと
関係が重たくなり、「あなただけ・・・は重い」という心理が働くのである。

       £££££££££££££££££££££

サービスする我々側は往々にして、「あなただけ」と頑張ってしまう。クライアント
のことを来る日も来る日も考え、ああしたらいい、こうしたらどうかと考え続ける。
考えたことをぶつける。そのアイデアになびかないと悲嘆に暮れる。なんてこの
クライアントは合理性が薄いのか!と雄たけびさえ上げる。

実はクライアントは、私達の「手づくりのアイデア」に押しつぶされているの
かも知れない。大蛇のマフラーにぐるぐる巻きにされるのを恐れているのかも
知れない。私達はクライアントを見ずに、ひたすら手編みのアイデアをつむいで
いないだろうか。

ならばパッケージ型のサービスがいいか。必ずしもそうではない。まず手の
長さや丈が合わない、首周りがきつい、色合いがちょっと・・・ということもある。
売り手は「これが業界標準なんです、使っているうちに馴染んできますよ」と
言うが、鏡に映った姿は「案山子にだぶだぶセーター」という事例も、高額な
システム案件を中心に見られる。

       £££££££££££££££££££££

大蛇マフラーもだぶだぶセーターも編まないようにするには、どうすればいいか。

それは寸法測定の技術を高め(課題抽出)、デザインの好みの聞きとり力を高め
(実現ゴールの把握)、美と用を兼ねる衣(既製と手づくりの最適なミックス)の
型紙を作ることである。型紙をクライアントに渡して、企業のかたちを、自ら引か
せることが大切なのである。

型紙に引く線が曲がったら、お客さまの素肌の手に、素肌の手を添えて「曲がっ
てますよ」とガイドをする。素肌とは本音である。やはり素肌のふれあいが一番
なのだから。

       Photo_2 案山子にもマフラーの季節ですね

 今日は以上です。

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2007年11月11日 (日)

サイクルトレインで郊外へサイクリング

2007年7月より始まったパリのレンタルサイクル“La Velib”(自転車=フランス語でveloと、自由なlibreを組み合わせた造語)、とても評判もよく利用者も増えているそうだ。自転車レンタルスポット間で、レンタルと返却ができるという仕組みである。

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プログラムには短期契約と年間契約があり、1日1ユーロ、7日で5ユーロ、1年で29ユーロなどのパスがある。市内で働くパリっ子には評判が良く、地下鉄に乗らずとも自転車でスイスイと仕事先へ移動。東京でもやればいいのに!と思うのはわたしだけではないだろう。

このパリのレンタルサイクルは都市内の自転車活用策。日本では都心と郊外を結ぶ自転車活用策が出てきた。それは西武鉄道の『秩父サイクルトレイン』である。

【勝手にアドバイス Vol.276 サイクルトレインで郊外へサイクリング
(2007年)11 月18 日(日)、西武池袋線の池袋駅から西武秩父駅まで自転車をたたまず、そのまま乗車できる臨時電車「CYCLE SPORTS(サイクルスポーツ)号」を運転し、西武秩父駅から秩父市内の5 つのサイクリングコースを楽しんでいただくサイクルイベント「秩父サイクルトレイン」を開催いたします。
引用元 http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0918.pdf

 Main_seibu

このサイクル電車企画、人馬一体、いや「人輪一体」のイベントである。こんなときは池袋に住んでいればよかったと思う(わたしの実家は池袋だから)。愛車(自転車)を電車に載せて、池袋から秋景色のサイクリングコースまで電車で、そこからサイクリストになる。言っておきますが、レンタル自転車ではダメなのです。

【秩父サイクルトレインのプログラム】
プログラムは朝7時に池袋に集合。そこで特別電車に140名+140台を乗せ、途中2駅から合わせて60名+60台を乗せて、西武秩父までゆく。9時30分から秩父駅をスタートして、5つのコースに分かれてサイクリングを楽しむ。

 ・いやしの里山コース 33km 初級
 ・のんびり農村コース 40km 中級
 ・わくわく元気コース 50km 上級
 ・どきどきMTBコース 林行 33km
 ・秩父満喫コース フリー

    Photo ワッペンくれますか?

秩父巡礼の旅、秩父34観音めぐりもできるし、レジャー農園や温泉もある。森林でゆったりのんびりもいい。夕方4時過ぎに西武秩父駅に再集合して帰途池袋へ。乗車料金は普通運賃です。現地でのイベント参加費は4000円(強制ではない)、自転車持参が条件である(参加申し込み多数で抽選になった)。
http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0918.pdf

このイベント、おそらくトライアルで運営条件のチェック、需要が多ければこれからもやるだろう。サイクリストのブログには「抽選に外れました~残念!」という書き込みもあった。他の私鉄もJRも、サイクル電車を増加させてもらいたい。

【電車は輪者にやさしくない】
西武鉄道に限らず、普通の電車では自転車を折りたたまずに載せることはできない。いくつかの地方電車では「目をつむる」こともあるようだし、認めている電車もあるようだ。熊本電鉄では自転車が乗れるというブログを見つけた。

 Dscf0003  
 わたしのロードバイクにはスタンドがないが、どうやって運ぶのだろうか?
 http://www.fmc.or.jp/mt/001a/index.php?e=135&PHPSESSID=44f029e54b7f30b7ef7d53438a4696c0

だがこれは例外的。欧州の自転車先進国と違い、日本ではまだ自転車を電車に乗せることはむつかしい。だから「秩父サイクルトレイン」にサイクリストから熱い視線が投じられた。自動車でサイクリングコースまで自転車を運ぶという人もいるが、CO2排出の観点からすればおかしい。自転車移動に公共機関を使えるようにすべきなのだ。自転車ならたくさんの名所や観光スポットを訪問できるので観光収入増にもなるし。

【勝手にアドバイス】
冷雨でサイクリングをあきらめた今日、地域振興、観光客誘致策につながるサイクリングのアドバイスをしたい。

1.サイクルトレインをイベントではなく休日に設定する。つまり毎週末に走っている。時刻表に「自転車印」が付く電車があるのを想像するのはおもしいです。

2.自転車だけでなく、車椅子、乳母車乗降しやすい車両を開発してもらいたい。その車両を休日に連結すればイベント等に対応ができる。スタンドの無い自転車を留めることのできる金具があればいい。

3.観光地間を結ぶ電車に、自転車積載車両を連結すると、JRでは「サイクル周遊券」という新チケットが開発できる。つまり自転車旅行人が自由に電車に乗り降りができるというアイデア。山岳エリアは電車でGO!平地は自転車でGO!(ずるいですか?)

4.乗客が減り続ける地方電車(よくある単線で2~4両編成の電車)で自転車乗車OKとして、沿線のサイクリングコースを開発し、地域観光資源を結ぼう。どうせ乗り手がいないのですから、自転車族を乗せてください。

5.自転車を載せるバスの開発。路線バスではムリでも、長距離バスでは需要はある。北海道でバス&ライドを開発して、道東と道北の旅を自転車+バスで移動することができるでしょう。これは新しい旅のかたちである。

6.都心のサイクリングコースはたいていが河沿いで、川は1級河川がほとんど。ならば「船&自転車ライド」はどうだろうか?往路は下流から上流まで船で行き、野山のコースを自転車で楽しみ、復路で船で下る。屋形船ではなく輪行舟かしら。帰りに冷えたビールが飲めればいうことなし!(おっと飲酒運転はつかまるぜ)。
今日は以上です。

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2007年11月10日 (土)

ClimateSmartからエコ・インセンティブな仕組みづくりへ

ビジネスメディア誠メッセージが書けるトースターのことを書いたとき、それをデザインしたSashaさん(カリフォルニア州にお住まい)から、環境保護のメッセージ・トースターをもらった。そのメッセージにはこうあった。

  Climatesmart_toaster

トースターに書かれた英語を翻訳してみよう。
PG&E(カリフォルニアの電力・ガス会社)ではClimateSmartというプログラムを始めました。それは家庭で利用する電力やガス量と関連づけて、二酸化炭素ガスをオフセットさせる取り組みです。普通の家庭では5ドルくらいでそのプログラムに参加できます

「トーストの冷めるころ、このメッセージは自動的に消滅する・・・」とは書いていなかった。今日はカリフォルニアのエコな話題を。

【勝手にアドバイス Vol.275  ClimateSmartからエコ・インセンティブな仕組みづくりへ】
ClimateSmart is an easy, personal way for you to take action against climate change. Through this rogram, you can make your energy use “climate neutral” by choosing to add a separate amount to yourmonthly energy bill, based on your actual energy use. The amount you pay will be invested in new environmental projects in California that will reduce or remove an amount of greenhouse gases equal to hat of your energy use?making your energy usage "climate neutral."
引用元http://www.pge.com/about_us/environment/features/climatesmart_faq.html#whatisclimatesmart%E2%84%A2?

拙訳 ClimateSmartは気候変化に個人の力で立ち向かう手段です。ご家庭から発生する温暖化ガスを相殺する環境活動に要する費用を、電力・ガスの使用量から算出し、月の光熱費に加えてお支払いいただくプログラムです。その全額をカリフォルニアの温暖化ガス削減プロジェクトに投じ、気候をニュートラルにし温暖化防止に役立てます

 Climatesmart02

 ①一般的な家庭から年間5.3トンの二酸化炭素が排出される
 ②ClimateSmartと契約し、電気料金の一定額をCO2を減らすプログラムに参加する
 ③その額100%が温暖化ガスの減少プロジェクトに使われる
 ④ClimateSmartプロジェクトで5.3トン分の二酸化炭素が減少する

【あなたがどれだけCO2を出すかを簡単に算出】
まずこのプログラムへの参加申し込みが必要。それから温暖化防止コストを算出する。自宅の電力使用量とガス使用量をインターネット画面に入力すると、月額費用が算出される。

 Climatesmart_ikura
 http://www.pge.com/about_us/environment/calculator/estimator.html

日本の一般的な家庭を想定して、月350kw、ガス50m3と入力してみると、4.15ドルという数値がでる。温暖化防止策実施のために、月額約500円をシェア(消費者が負担)するというプログラムである。この金額を月額の電力・ガス料金に加えて支払うことになる。

 Forest01 森林保護

カリフォルニア州からの基金も得て(2000万ドル/3年間)運営されている。家庭にシェアしてもらう費用とこの基金で森林再生保護対策を実施する。カリフォルニアでの温暖化防止コストは、電力1kwあたり$0.00254(0.28円)、ガス1m3当たり$0.06528(7.3円)である。

【今のところ・・・】
プログラムは2007年春からスタートし、9月時点で700人の個人宅(PG&E社社員を含む)と事業所が参加。企業ではLongs Drugs(ドラッグストア)、Sierra Nevada(ミネラルウォーター)、New Resource Bank(銀行)など。目標は自動車35万台分のCO2削減である。まだそこまでは達していないのだろうが、電力会社自らこうしたプログラムを実施する例はまだ少ない

日本では東京電力で『CO2家計簿』という取り組みがある。これは電力使用量を入力して、年間のCO2発生量をネット上で計算、グラフ化するというものである。「こんな量のCO2を出している」で終わりなのである。もう一歩踏み込めないだろうか。

 Kakeiboimg1

【ネットを使えば一歩踏み込める】
ニワカ自転車乗りのわたしは、日曜日通算5回のライドの結果を、エコサイクルマイレージに登録している。

 走行距離 88.37km
  走行時間 4時間39分
  消費カロリー 1294.839キロカロリー
 自動車で同じ距離を走行すると排出されるCO2は0.020325100000000002トン

ただこれでエコになるわけではない。Nike+iPod Sport Kitもジョギング走行量を励ましあうだけ。「よく走ったね」にプラスして、エコ貢献を具体的なかたちにできないだろうか?

エコ活動の申告は自転車だけでなく、エコバッグの使用、詰め替え商品購買、充電電池の使用、ガスや電力の省エネ装置の導入もいい。さまざまなエコな取り組みを、簡単に登録できないだろうか?今どきなら携帯のiD決済が使える。商品別や実施策別にCO2オフセット量を決めておいて、決済時にエコポイントを登録ができるようにする。「よくやりましたね」だけでなく、インセンティブ(割引やポイントで還元、または森林保護基金などへの援助)の仕組みを作れないだろうか?

【勝手にアドバイス】
ClimateSmartは、火力発電や水力発電を通じて環境を破壊している電力会社がやることに新鮮さがある。そして単純な寄付ではなく、「どれだけ環境保護に貢献すべきか」を数値で表すところがスマートである。

自動車会社でもぜひやってほしい。お客さまに車種別のCO2排出量を告げて、走行距離に応じて森林保護の基金に投じるエコ寄付を募る。原油100ドル時代、ガソリン200円時代には、こうした取り組みこそ必要である。今日は以上です。

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2007年11月 9日 (金)

“うふふ”マーケティング こぼれ話 なぜ神様は人の耳に‘弁’をつけなかったのだろうか?

昨日(2007年11月8日)、ビジネスメディア誠に書いたサウンドスケープ(音環境のデザイン)の話のこぼれ話をメモ帳から紐解きます。

耳に「遮音弁」とか「調音弁」があれば、どんなによかっただろうと思う瞬間が、一日何度かある。都会に住み働く者の宿命なのかもしれない。いや田舎に住み自然の中で働く人にも、飛行機の爆音とか、村のヤンキーの暴走音とか、未確認飛行物体の墜落音などがうるさいときもあるかもしれない。

 Fakeuforedroswell UFO墜落現場検証 

頬の下に鰓(えら)無いように、耳に弁が無いことを思う、神様はきっと、人間は良い音でも悪い音でもおよそ環境にある音と共生しなさいと告げたようでもある。でも・・・うるさいものはうるさい!ですよね。

【デザイナー山中俊治さんのこだわり】
そもそもわたしが「お客さまとサウンド」というテーマに興味を持ったのはデザイナー山中俊治さんのお話からだった。夏の日経デザインフォーラムの講演で、氏はNTTドコモのiD決済端末の製品デザインの話をしていた。そのデザインの範囲には「」まで含まれていた。決済時に決済がちゃんとされたとわかり、しかも心地悪くない音を選定するのは、かなり時間がかかったと話されていた。

Id_edy_new070625_012  iD決済端末

優れたプロダクト・デザイナーは音まで気にかける。いや気にかけるのではなく、商品が置かれた環境と、それを使お客さまとの接点と深め、距離を近づけることが、デザイナーの仕事そのものなのである。だから音を創るのはデザイナーの重要な仕事である。

思考を変えるひとつのコツ。「呼び方を変える」。たとえば携帯電話では「呼び出し音」という機能名称を止めて、「感知サイン」と呼ぶ。そうすると「音を出さなきゃ」という開発者の思い込みを払拭することができる。

【きっかけは口の音】
お客さまと音という意識をそれ以来持ち、論文も読んでいた。そこで「ゆりかもめのアナウンス」に出会って、あ!環境に快適な音こそがサウンドスケープだ!と直感した。

帰り途の新橋駅でガサゴソ探したフリーペーパー『SEASIDE』の片隅に、16人16駅の女子アナリストを見つけたときは自分の調査力をひそかに自慢した。だが、そのあとネットを調べると、いともたやすくフジテレビの『アナ☆ログ』にしっかり路線と画像付きで担当が載っていた。素人に優しすぎる時代である。

ゆりかもめの各駅のアナウンスには、アニメなどの声優が担当しているそうだ。そのアイデアをいただいて、東急沿線で「ちびるこ」の声優さんが「♪シモマルコ(下丸子)ですぅ♪」とか、渡哲也さんが渋く「お待たせしました。矢口のぉ・・渡です」とビシッと決めるのはどうだろうか?え?ワタリでなくワタシだって?そうです(笑)

 Tokyushimomarukostakamatagates 800pxyaguchinowatashistation   
 シモマルコですぅ           矢口のぉ・・・渡   なぜか似ている駅同士。

【歴史的には静かになる方向に進んでいる】
平面の和紙スピーカー開発のアモネット社の音へのこだわりの深さには感動した。社長さんと逸見さんお2人にお話を伺い、副社長の澤田さんからは「音を足す、引く、そして整理する」のが同社の理念というメールを頂いた。企業規模はまだ小さいが、がんばってもらいましょう。

マリー・シェーファーの著書『世界の調律』には、資本力=騒音力という卓見がある。規模が大きい=発生させる音も大きいという法則である。

 Pict0160  アモネット at 東京ビッグサイト

その一方で「音の帝国主義はじきに消滅する」とも主張している。世界的なエネルギー危機によって、騒音の素が消滅するからだ。石油100ドル時代を迎えたことがその象徴である。石油資源はすでにピークアウトしているのだ。もう何年かたつと、静かな代替エネルギーが幅をきかせているはずだ。モーターショーで480PSのスポーツカーを崇める余裕なんか、もうないはずなのに・・・。

【人間はもっとも静かな道具である】
人間はもっとも効率的な道具である、なぜなら動きから音を出さない」という卓見もあった。音が大きい機械とは、動力のロスがあるからで、音を出さない人間は、力が無駄なく伝わっている。

もっとも人も年をとればボキっと「関節音」がしたり、「よっこらしょ」が口癖になったり、耳が遠くなるせいか「え~?何だって?」と大声でリフレインもするから、古くなった機械だけでなく、人にも寿命と騒音の比例関係がある。

【浦和の駅はレッズファンには心地よいが・・・】
環境音とは、ある人には帝国主義であり、ある人には神国主義である。浦和レッズはいよいよACカップ決勝戦(11月14日)をホームで戦うが、浦和駅ホームで発車ベルは『♪浦和レッズ、ラララ~ 』なのだという。

来月(10月)からJR浦和駅1番線ホームで「浦和レッズ、浦和レッズ、ラララ~」でおなじみの公式サポーターソング「Keep On Rising」が発車メロディーとして採用されることになった。クラブと後援会が2年をかけて実現。Jリーグでは過去に例がない“発車ベル企画”となる。さいたま市内には「浦和」と名のつく駅が他に7駅あり、藤口社長は「他の駅でも流れるようになれば」と話した。 
出典 http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2007/09/22/03.html

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 浦和―セパハン 前半、先制ゴールを決める浦和・ポンテ=イスファハン(共同)
 http://www.tokyo-np.co.jp/tochu/article/soccer/news/CK2007110802062780.htm

浦和市民には神の音である。わたしも一人のレッズラーとしてぜひ聴きたい。だが隣駅大宮アルディージャのファンには「耳障りな帝国主義」に違いない。この音のニュースが突きつけるのは次の命題だ。

 「誰にとって快適な音が正なのか?

音は、市場経済のような意味合いもある。誰かの得は誰かの損、誰かの快楽は誰かの不快。音を最大公約数で考えるか、少数者にあわせるのか、『ユニバーサル・サウンド』という取り組みが必要なのである。

【女子アナは美声だが・・・音だけではない】
本田アナが「車窓風景とともに車内アナウンスをお楽しみください」と語るのは正しい。音は五感で聞くのである。ゆりかもめには海の眺望、潮の香り、振動の少なさなどがあるから良いのだ。どんなに美声でも真っ暗でうるさい地下鉄内では100%の効果は発揮されない。

愛の言葉もそうでしょう。肌と肌が合うからこそ愛の言葉は美しくなる。音は、音だけではないのだ。今日は以上です。

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2007年11月 8日 (木)

女子アナと和紙スピーカーから、“環境と音”の調和が響いた日

今日はビジネスメディア誠に連載の『郷好文の“うふふ”マーケティング』へのリードです。

現代社会は不快な音に満ちている。やかましいアナウンス、轟音を上げて走り去るクルマやバイク、ピーピーと人を急かす電子音……聴き疲れることのない、人に優しい、柔らかな音。そんな“いい音”を求めることはぜいたくなのだろうか?
本文はこちらをごらんください。

“うふふ”マーケティング こぼれ話

なぜ神様は人の耳に‘’をつけなかったのだろうか?

耳に「遮音弁」とか「調音弁」があれば、どんなによかっただろうと思う瞬間が、一日何度かある。都会に住み働く者の宿命なのかもしれない。いや田舎に住み自然の中で働く人にも、飛行機の爆音とか、村のヤンキーの暴走音とか、未確認飛行物体の墜落音などがうるさいときもあるかもしれない。

頬の下に鰓(えら)無いように、耳に弁が無いことを思うと、神様はきっと、人間は良い音でも悪い音でもおよそ環境にある音と共生しなさいと告げたようでもある。でも・・・うるさいものはうるさいですよね。

 ・・・・この続きは明日に。お読みいただきありがとうございます。

【付録です】 女子アナフリーク(わたしは違います!)向けに「フジテレビアナウンサー本田朋子を2枚お届けします」・・・美声&美人!

 01 02 
 出典はこちら http://www.youtube.com/watch?v=OWV4ZL8-NIw

 

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2007年11月 7日 (水)

ソニーウォークマン 単音オーケストラの驚異のサウンド

久しぶりにSONYらしい驚き(It's THE Sony!ですね)があって嬉しかった。このCMは素晴らしい。感動した。ぜひパソコンの音声をONして、このCMのyoutubeを観てください。

この動画はロングバージョンで、最初の方はメイキング・オブが入っている。「ショハル」の遠吠えからがCMである。

      Music_pieces_2
      この女性のマジな表情が気にいりました♪

【勝手にアドバイス Vol.274 ソニーウォークマン 単音オーケストラの驚異のサウンド】
Sony has created the first ever ‘monophonic’1 ad to mark the launch of the latest generation of WALKMAN digital media players. Titled ‘Music Pieces’, this innovative commercial is created by Fallon’s award-winning team behind the BRAVIA ad trilogy. Creative Director at Fallon, Juan Cabral, worked with the creative team of Samuel Akesson & Tomas Mankovsky to create this unique project.
出典 SONY Europeプレスリリース http://www.sony-europe.com/view/ShowPressRelease.action?ection=ODW+SS+en_EU+Press&pressrelease=1192099755032&site=odw_en_EU

このプレスリリースを拙訳。『ソニーは最新のデジタル・ウォークマンの発売に合わせて、市場初のオーケストラによる単音広告を始めた。タイトルはMusic Piecesであり、数々の受賞をしたブラビアCMを担当した広告代理店Fallonのクリエイティブ・ディレクターJuan Cabral氏とSamuel Akesson & Tomas Mankovskyのクリエイティブチームがこのプロジェクトを実現した

単純なひとつのフレーズを異なる楽器でリフレインするだけのCMなのだが、128人のミュージシャンがひとり1回に1音しか音を出さない。それでこの音が奏でられている。楽器の構成は次の通りである。

 Tom ドラム 8台
 シンバル 8台
 キックドラム 8台
 スネアドラム 8台
 鉄琴 8台
 玩具鉄琴 1台
 カリンバ(親指ピアノ) 6台
 シンセサイザー(高音) 16台
 シンセサイザー(低音) 4台
 玩具ピアノ 4台
 ショハル(ラッパ) 1台
 チューバ 8台
 メロディカ(鍵盤付き吹奏楽器) 4台
 ベース 8台
 エレキギター 32台
 オルゴール 4台

カリンバって・・・なんだろうと思って調べると「親指ピアノ」というアフリカの楽器だそうだ。

   Img_2166  Shofarblow
  http://www.eonet.ne.jp/~channel-d/NewPages/mbira.html
   http://profetischnetwerknederland.punt.nl/upload/shofar-blow.jpg

ショハル
も調べると「ユダヤの宗教用のラッパ」とある。このCMで最初に吹かれる楽器である。

   1192099755002  1192099754998 

【SONYはこのCMで何を伝えたいのだろうか?】
SONYが伝えようとしているのは、世界中のいろいろな楽器人々でひとつの音を奏でよう、それも単純な音を発しよう。それが文字通り「音楽には国境がない」ことで、みんなが楽しめるのが音楽芸術・・・それを伝えたいようである。

このCMのと連動するキャンペーン"Walkman Project”でもそのメッセージは明らかである。CMの音楽フレーズを、好きな楽器でSONYのサイトにアップロードしよう!、みんなで単音音楽を奏でよう!が内容である。参加するためにはソフトウエアをダウンロードする必要がある。楽器でなくても、口でハミングもできるようだ。今のところ欧州の4カ国が対象。

   Sonyad02  

試しにソフトウエアをダウンロードした。このCMで繰り返されているフレーズがiTunesにおさまって聴こえてきた。だが、なぜかiTunesのミュージック・ライブラリにあった全曲が消えてしまった。もちろんiTunesのリストから消えただけであり、楽曲が消えたわけでない。消えた曲をファイル・インポートして復旧はしたが・・・SONYのAppleへのイヤガラセなのでしょうか?とても手が込んでいるぜ(笑)。

【音楽での戦いはすでに終わった】
SONYのこの「音を創ろう」というアプローチはおもしろいが、Appleと較べるとどうも周回遅れのように見えてしまう。

Appleの動きはダイナミックだ。ひとつはiPhone用のソフトウエア開発を公開することだ。ソフトウエア開発者に「おもしろいソフトをつくってどしどし公開してください」というメッセージである。iPod touchでも同じことができるといわれる(東京IT新聞10月30日記事参照)。Appleにとってのデジタル・メディアプレーヤーは、すでに音楽は主戦場ではなく、メディアをどう活用できるかがテーマ。DRMフリーの曲の提供もあるし、もはや音楽メディアだけにこだわりはない

SONYの新型Walkmanはどうか。このキャンペーンを通じて「聴くだけでなく音を創る」という提案はあるが、まだ音楽の枠内にとどまる。CMが画期的であるだけに、「まだ音楽だけなのか、だからAppleと差が開くばかりなのだ」と思った。

【勝手にアドバイス】
世界の調律』というサウンドスケーブ(音の環境づくり)の決定本がある。その中に「現代の環境音が、人の耳や声を覆い、圧倒する、非人間的な状態にある」といったくだりがある。明日の連載*でサウンドをテーマにこの本を下地にもした。せっかくSONYは音に関してリーディング企業なのだから、このキャンペーンをトリガーにして、人と人を結ぶ音環境づくりをすればいいのに

音楽鑑賞だけでなく作曲や作詞だけでなく、日本中いや世界中で共有できるコトがある。

たとえば日記、写真、動画、四コマ漫画、デザイン案、スケッチ、川柳、俳句、ひとことギャグ、駄洒落、愛の言葉、いびき、雄たけび・・・・。デジタル・メディアプレーヤー+インターネットで出来ることはまだまだ多い。音楽だけから脱して『自分表現メディア・プレーヤー』というコンセプトはどうだろうか。今日は以上です。

*連載=明日のビジネスメディア誠 です。よろしくお願いします。

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2007年11月 6日 (火)

苦学してもがんばれ!三洋電機

午後からは曇りになり、夜は雨上がりの夜空に♪なったが、こんな日こそを忘れがちである。案の定、同僚のMayuさんから電話が。「郷さん(わたしのこと)、A会議室に傘・・・ありませんか?」 あらら忘れたの?・・・ちょっと待ってね。とA会議室を見まわせど、なかった。

そんなこともあって今日は傘をテーマに。まだ商品化されていないが、夜道をまた三洋電機を照らすためにも商品化をしてほしい傘があった。今年が初回の『SANYO 国際デザインコンペティション 2007』というコンテストで、素晴らしい傘の入賞作である(大賞ではないので)。名づけて『ルミナス・アンブレラ』。

【勝手にアドバイス Vol.273 苦学してもがんばれ!三洋電機】
(審査員 岩崎一郎さん) 誰もがイメージできる雨の中での視認性という機能だけでなく、暗く憂鬱な雨の街を明るく彩るという、夢と可能性を感じさせる素直な強さが共感を呼ぶ提案。
(審査員 柴田文江さん): やさしい思いやりをカタチにしたアイデアです。普通の傘との違いをさりげなくカタチに表現出来ていたならば、より説得力を持った提案になると思います。

引用元 http://compe.designtope.net/sanyo2007/winners.html

   617
   傘が光ることで人が居ることを知らせる傘「Luminous Umbrella」

「開けば点灯、閉じれば消燈」 開いたときに傘の表面に仕込まれた有機EL(フィルムの発光素材)が光るという。いいですね、これ!しかも充電乾電池なので環境にもいい。光れば安全だし、夜道の足元が明るく照らされるし、何より傘が光るなんておもしろい。雨が楽しくなりそう。ぜひ商品化してほしい。

【コンテストの趣旨】
この三洋電機が主催するコンテストのテーマは、「Think GAIAに基づく生活プロダクトの提案」。”Think GAIA”とは三洋電機のブランドビジョンである。みんなが共生するGAIA(地球)で、使って喜びあえる商品の開発がコンテストの課題である。「水」「空気」「エネルギー」の内、いずれかの技術を使うことが条件。

  Compe_sanyo2007

三洋電機のアークを新幹線から見た人も多いだろう。三洋といえばエネルギーである。エネ分野の技術力では世界のトップを走る会社である。このコンテスト、環境にも優しいので毎年続けてください

【傘のデザイナーさん・・・って苦学の人?】
関田苦学・・・これって本名なのでしょうか?これもおもしろ過ぎます(すみません、関田さん)。

  Photo 入賞PDFから切り取り。

『これまでこれといった賞罰なしの人生を送ってきましたが、憧れのデザイナーでもある審査員のお二人に評価していただいたことが、これから1デザイナーとして活動していく自信になりました』
引用元 http://compe.designtope.net/sanyo2007/winners.html

ちょっと調べさせていただくと、関田さんの提案が、掃除機のダイソン社の主催する「dyson ジェームス・ダイソン・アワード」でも作品が最終選考まで残っている(健康管理トイレ)。関田さんは今年はブレイクの年でしょう。発想やよし!ささやかに応援してます。

【改革のきっかけとなるコンテストとグッドデザイン大賞】
(三洋電機のブランド本部アドバンストデザインセンター所長清水正人氏)10月25日に三洋電機の「eneloop universe products」がグッドデザイン大賞を受賞したことについて触れ、「一筋の光明が見えてきた。今後も三洋のブランドイメージを高める改革を進めてゆきたい」と展望を述べた。
引用元 http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/11/05/1535.html

この記事の清水氏のコメントは「三洋電機は改革の中にあり(中略)そのための新しいものの見方を(大賞を受賞した)2人から提案していただけた」と語っている。昨年来そして今年も、体制面ではいろいろゴタゴタがあったのが三洋電機である。それも事業で不祥事があったのではなく、経営陣がもっとしっかりしていれば事業部門売却だって避けられたはずだ。多くの社員が運命の不安定さ味わっている。

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   グットデザイン大賞受賞のeneloop universe products

【勝手にアドバイス】
不祥事や内部通報で苦境にある会社も多い。だが、三洋電機のこの立ち上がりに学んでほしい。苦境にあらばこそ自社のコアコンピタンスをじっと見据えて、そこで何ができるかを問う。それが三洋電機のこのコンテストに表現されている。エネルギーで環境や社会やビジネスに貢献しよう。苦しいからこそ、そんな発想が出たのではないだろうか。

不思議なもので、そういう取り組みをマジメにすれば「ルミナス・アンブレラ」のような発想で足元を照らすアイデアが現れる。自分だけで頑張らず、他者の力(コンテストのように外部デザイナーの智恵)も借りましょう。

三洋電機は今「苦学」をしているが、苦学から立ち上がる嬉しいきっかけが2つもあった。今日は以上です。


 Img10021225461  
 さて・・・傘を失くしたうさぎ好きのMayuさんにはコレを!
 

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2007年11月 5日 (月)

3000ドル自動車と、300ドルPCと、30ドル携帯の共通項とは

3000ドル、300ドル、30ドル・・と判じ物のようなタイトルをつけてしまったが、それは元はと言えば台湾ASUS社の299ドルPC『Eee PC』である。

     Eeepc1_intro

このPCの販売滑り出しは絶好調で、すでにオークションサイトでもプレミアムがついている。いわゆる「One Laptop Per Child」という開発途上国向けのPCではなく、『これがノートPCではないことを強調したい。われわれはこれを『スーパーモバイルインターネット機器』と呼んでいる(ASUS)』のである。

299ドル≒300ドルに切り上げて、30ドル、300ドル、3000ドルの価格がもたらす、世界市場への激震について考えるのが今日のテーマである。

【勝手にアドバイス Vol.272 3000ドル自動車と300ドルPCと30ドル携帯の共通項とは】
台湾のコンピューターメーカーASUS製のミニノートPC「Eee PC」が米国時間(2007年)11月1日、米国で正式に発売が開始された。(中略)主な対象は開発途上国の子どもたちではない。Eee PCは一般の人々が使うことが意図されている。
引用元 http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20360221,00.htm

 Eeepcandtoshibaa1354527  ちっこい。
 http://wiredvision.jp/news/200711/2007110522.html

米国で発売されたスペックは確かにそれを物語っている。

 EeePC 701 Specification
 ディスプレイ: 7インチ
 CPU & チップセット: インテル製
 OS:リナックス(XPは40ドル以下で導入可能)
 通信:10/100Mbpsイーサネット、56Kモデム内臓
 無線LAN: WiFi 802.11b/g内臓
 RAM:512MB/1GB
 記憶装置: フラッシュメモリー 4GB/8GB/16GB
 ウエブカメラ内臓、スピーカー内臓
 バッテリー持続時間:3時間~3.5時間
 サイズ:W22.5 x D16.5 x T2.1~3.5cm
 重量:890g

2GBモデル299ドル、4GBモデルが399ドル、8GBモデルは不明。

 Eeepc6_s ホントに中身があったというクレジットが笑えた。  
  http://wiredvision.jp/news/200711/2007110522.html
 

【07年は30万台出荷、08年は300万台を計画】
10月に先行して発売された台湾では6秒に1台の割合で売れ、30分で完売したと発表している。米国でも好調である。だがASUSTeKのねらいはずばり中国である。2008年には世界全体で300万台売れるというアナリストの予測もあるそうだ。

 Aus01 Global_1112_p024_f1 
 http://event.asus.com/eeepc/microsites/en/index.htm

モバイルサイズ、使いやすさ、どこでもネット環境、周辺機器接続も・・・300ドルでこのスペックは衝。近年のPC市場は市場が成熟し、買い替え需要喚起が中心で沈滞気味だが、300ドルでこのスペックであれば、途上国だけでなく2台目、3台目需要が掘り起こせる。高価で重いソフトウエアのPCとMacとは、まったく違うマーケットが「世界的に」出現するのである。この「世界的に」はポイントである。

【3000ドル自動車構想】
3000ドル自動車という話が新聞を賑わしている。インドのタタ・モーターズは2008年の春、2500ドルの車を発売する予定である。ルノー日産も、3000ドル代の低価格自動車開発に追随すると発表した。

 20070620t164931z_01_nootr_rtrmdnp_2  超低価格車参入を検討中。

そこまで低価格でなくとも、トヨタ自動車もフォルクスワーゲンもフィアットもプジョーもGMも、7000ドル以下の自動車を開発すると発表している。それもやはり中国や途上国市場を見据えてのことである。

【30ドルの携帯電話】
もうひとつはGoogle Phone。サムスン電子がGoogleと共にSwitchというコードネームで電話機を開発しているとか、台湾のHTCにすでに生産委託をし今年末に発売だとか、いろいろ言われる。いずれにせよ、わたしの注目は、価格破壊があるかどうかである。

Google_phone  Google Phoneの想像イラストらしい。

一般ユーザー=無料、産業界=有料のGoogleビジネスモデルが携帯事業でも同じならば、携帯ハードに100ドル以下、いや30ドルという衝撃プライスを付けることも十分に考えられる。わたしならそうする。そうすれば地球上がGoogle電話になるからだ。グーグルの副社長ヴィントン・サーフ氏は「世界でまだインターネットをつかっていない人が50億人もいる」と発言していたから、その可能性はあると思う(日経ビジネス2006年9月25日号)。

【勝手にアドバイス=3000ドル自動車と、300ドルPCと、30ドル携帯の共通項】
3000、300、30が突き付けている命題は明快である。

 貴社は世界市場に取り組みますか?
 そのために、圧倒的な価格力で勝負できますか?

規模なのかブランドなのか、何も考えないままに合併したメルセデスとクライスラーは失敗だった。だが今まさに動いている自動車会社の再編の背景は、「3000ドルに乗るか乗らないか」の踏み絵なのである。ダイハツやスズキが注目される理由はそこにある。

PC業界も「300ドルに乗るか乗らないか」が業界再編の踏み絵になる。OS、CPU、メモリー、ハード、アプリ・・・再編は始まったばかりである。大きな揺れが来ることは間違いない。どこに乗るかが雌雄を決する。日立のPC撤退は(小さなニュースだが)その序曲かも知れない。

そして携帯電話である。国内携帯メーカーが30ドルの世界を見ていないならば(もちろん国内の料金体系見直しばかりで、世界は見ていない)、早急にアウトだろう。

今日はあんがい力が入りました。以上です。

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2007年11月 4日 (日)

読み手を揺らす本棚

読書のシーズン秋到来。わたしは月に10冊も本を読むほどの読書家ではないし、そもそも本よりも愛の方が好きだ。恋愛本よりも、恋の悩みを打ち明けられる方がおもしろい。生の愛にこそ揺れる心が見えるし、ブログのネタや商売のヒントがある

とはいえ・・・心を揺らされる本にも出会いたい。出会いを求めて、つい買ってしまう。心を揺らされる本もあれば、頭がこっくりと上下に揺れる本もある。どちらに揺れる本にせよ、Bookoffしないかぎり、整理しなくてはならない。理想の本棚が欲しい。

【勝手にアドバイス Vol.271 読み手を揺らす本棚】 
狭いお家でもこんな本棚もできる。中村好文さんは椅子や家具の造作が素晴らしい建築家。踊り場で座り読みできる本棚まで作ってくれる。もちろんこのワガママは新築や大々的なリフォーム以外ではできないけれど。

 Go_075_04 踊り場利用の秀作。

【心を揺らす本棚】
フィリップ・スタルクはセンセーショナルだ。デザイナーのスタルクの本棚。いや正確には本棚のフレームである(書棚はこの後ろ側に誂える)。

 Bpopupdriadeframep
 http://www.bonluxat.com/a/Philippe_Starck_Frame_Bookcase_-_Mirror.html

商品名は『Philippe Starck Frame Bookcase - Mirror』で、天然マホガニーの木枠に、上に開くガラスの扉が付く。そのガラスには心が揺らされる女性のイメージがプリントされている。幅114cm、奥行きは26cmないし44.5cm。高さ200cm。£5,895という計算無用のお値段。30個しか受注制作しないらしい。

【本を揺らす本棚】
右に本を寄せれば右に傾く。傾きすぎちゃった・・・と思ったら今度は左に置こう。バランスを真ん中で取るのはきっとむつかしい。

 Topple クリックするとスイングします。
 http://www.julianappelius.de/websiteengl./FramesetMainengl.html

Toppleという名前のスイング書棚は、デザイナーJulian Appelius氏の作品。本棚自体を揺らすというアイデアは有史以来始めてかもしれない。横には何も家具が置けないのね・・・地震の国ニッポンではダメね・・・などと現実的なコトを口にしたとしたら、あなたの心はもう十分に固まっている。だがこの書棚、ゴム・ストッパーでスイングを留めておくこともできるらしい(いさぎよくないぜ_笑)。

【からだが丸まる本棚】
日本人デザイナーSakura Adachiさんのデザインによる商品。名前はずばりCAVE(洞窟)。微笑ましいデザインである。本棚の中で読書するという発想も有史以来かもしれない。
 
 Cave_c
 http://www.sakurah.net/collections/cave.htm

洞窟でお気に入りの本をじっくり読む。洞窟で落ち着く。サイズはW2430、H1470、D600。人収納部のサイズは不明。値段を無視すれば($11,000内外)子ども図書館にもいい(子ども用サイズあり)。

【読み手が揺れる本棚】
これはうつ伏せ用の枕。商品名は『PILLOW BOOK UTOPIA』。枕草子のことを英語では「PILLOW BOOK」というそうで、それが英文で印刷されている。開けて数ページでZzzzzz。価格は1万2000円。

 070329book_pillow
 http://www.uberreview.com/2007/03/a-book-that-really-puts-you-to-sleep.htm

【読書が中断される本棚】
住まい手によっては、心が揺れて読書が中断する本棚もある。それは本棚の向こうにバスルームが見えるというリフォーム

 K  0011 
 http://www.capudesign.com/archives/works/k-r/s/worksS.php

一級建築士事務所カプデザイン(沖野充和さん、川上堅次さん)による、本が多い大学職員K氏邸のフルリフォーム事例。約90㎡のマンションをワンルームに改装し、1500冊分の本棚をあつらえた。リビングの本棚の向こうに見えるのはバスルーム(!)。本棚の一部がガラス張りになっているのだ。

本を読んでいるソバから「ねぇ、一緒に入らない・・・♪」とガラス越しにコツコツされたくて、人様の家なのにドキドキしてしまう。

【勝手にアドバイス】
生々しいリビング書棚のK氏邸に1票!選定理由は、生の愛と、書の愛の混合がここにあるからだ。心を揺らす読書とは、やはり愛がベースになければならない。読書のシーズンは人肌恋しい秋でもあるから。ハァ・・・今日は以上です。

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2007年11月 3日 (土)

寝室ライフサイクルからの商品開発

ちょっと前の記事で、マイボイスコムから「寝室のあり方」というアンケート調査結果の発表があった。寝室に関するアンケート、そんなのが公になっていいのか?と思ったら、けっこうマジメなアンケートで、ホッとしたというか残念というか。当調査では「寝室での過ごし方やこだわり具合」がテーマになっている。

 Bedroom_ikea  IKEAのサイトから。
 
誤解を恐れずに言えば、閨房>ベッドルーム>寝室>寝間、こんな順序で、熱く愛するから単に寝るまでの段階がある。とりあえず話題は「寝室」から。

【勝手にアドバイス Vol.270 寝室ライフサイクルからの商品開発】
自宅の中での居心地のよい空間は、「リビング」が62%、「寝室」が44%で上位2位となりました。以下は、「浴室」(13%)、「自分の車の中」、「ダイニング」、「書斎」、「トイレ」(いずれも10%)と続きますが、2位とは30ポイント以上差が見られました。
引用元 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=173711&lindID=5

2007年9月に行われたマイボイスコムの調査では、居心地度で寝室はリビングに次いで2位。リビングの次に重要であり、お金も投じられるのが寝室という結果である。寝室で「睡眠以外に行っていること」は、「くつろぐ・ごろごろ」がトップ(47%)。次いで「テレビを観る」「趣味の本を読む」「パソコンでメールチェックやインターネットを利用する」と続くが、「食べる・飲む」に関連した項目が3つに分かているのでこれを合わせると約26%になる。お酒もおつまみも朝食もということだろうか。そしてゲームも17%ある。

果たしてこの結果から見て、この部屋を寝室と呼ぶのだろうか?という疑問はさておき、日本の家屋事情を反映して、多機能でありたいことは寝室のニーズのひとつである

【多機能化ニーズを満たす一品】
多機能化ニーズを満たすワゴンがある。これをベッドサイドに置けば、コンセントもあるのでPCもできる。目覚ましもリモコンも置ける。雑誌も置けるし小物も収納できる。あと・・・ちゃんと(エヘン・・・)ティッシュもある。

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  入札はこちらから。http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m34849674

ヤフオクで見かけた「shaka 多機能テーブル」。ちゃんとした商品名かどうかわからない(出品者にお問合せください。あと5日です)。

【実は離れたい】
回答者の寝室居住形態がこの調査ではっきりわからない。「配偶者・パートナー(アマンのことですね♪)」と一緒の部屋か別々か、子どもが一緒か。調査の属性では入り乱れている。

住まいの建築家の天野彰氏は、寝室に関するアンケートをした結果から、「男性の33%、つまり3人に1人は別々の部屋で寝ていて、今後も37%は一人寝が良いと思っている」さらに「女性は現在は27%ながら、この先は40%以上が一人寝がよい」という結果を述べている。

「就寝時間が違う」「いびきがうるさい」「温度差がある(エアコン設定の、です)」などの理由から、年をとれば取るほど別室生活を望む。だから天野さんの提案はこれである。

  Tky200604010292 これは良いアイデア。
  http://www.asahi.com/housing/amano/TKY200604010297.html

これを天野氏は和洋『夫・婦寝室』と名づけた。妻は洋室でベッド、夫は和室で布団。仕切りはふすまで、開ければ通い婚もできるし、閉めれば別室生活もできる。ひとつの寝室を分割して、こういうリフォームをしたら?という提案である。う~ん、これは現実ぽい。

【実はくっつきたい】
マイボイスコムの調査では寝室ゲーム派も17%いた。きっとWiiの普及も関係しているのだろう。Wiiのコントローラでベッドの上で暴れて(?)2人でゲームに興じるのは楽しそうだ。『Wii on the bed(in the bed?)』といったネーミングでタッチゲームをつくれば売れると思うのですが。

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 以前紹介したタッチゲーム「Intimate Controllers」。
 http://marketing-brain.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/wii_9368.html

【勝手にアドバイス】
現代人の寝室のポイントは、「一緒なのか、別々なのか、それが問題」なのである。恋人同士なら一緒にいたいけれど、結婚して子どもができればそうもゆかない。結婚して長い時間がたてば色々な事情もある。

IKEAでは寝室商品を「窓」「テキスタイル」「証明」「ウォールデコレーション」という分野で商品を分類しているが、わたしなら寝室ライフサイクルを考えて、「合体期」「成長期」「通い期」「別離期」ごとに商品化を考えたい。

余談だが、仕事に寝室を持ち込んではいけない。今日は以上です。

 Osk200710300080 NOVA(元)社長室

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2007年11月 2日 (金)

注文靴2.0 Left Foot Company

今週、東京ビッグサイトで「中小企業総合展2007」が開催された(2007年11月2日まで)。中小企業診断士だからというわけでなく、お客さんは中小企業の方が性に合っている。展示会に参加して、中小企業の息吹を感じようと思った。「日本で最大級の規模」とうたわれているように、展示規模は600ブースと多い。隅々まで見たので、最後には疲れて脚が引き攣った

引き攣ったので椅子に腰掛けて休んでいると、人だかりがあった。何か足に関係している商売らしい。攣った足に朗報だろうか?と立ち上がってそのブースに行くと、見学者の一群(20代の男性たち4、5名)の一人が、椅子に腰掛けて靴下を履き替えていた。黄色と黄緑色で格子柄。何かしら・・・と見ていると、どうやら靴下を履いた足を計測するらしい。

計測した足のデータを元に注文靴を作るというサービスなのである。名前はLeft Foot Company。今日は引き攣った脚(それも左足)をかかえてのアドバイス。

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【勝手にアドバイス Vol.269 注文靴2.0 Left Foot Company】
計測の仕方をじっと見ていたが、右足に黄緑、左足に黄色の靴下を履き、ズボンをたくしあげて円い台の上に乗る。最初に右足を真ん中において、スキャンがスタート。

 Process1 こんなスキャナで。

スキャナが仕込まれた機器が、その円い台をゆっくりと一周し、その間に足首から下全体の3次元コピーをつくる(説明には15ヶ所からのデータを取得するとある)。スキャンデータは展示場のPCに送られ、そこからさらにフィンランドにある本社に送られるそうだ。本社のサーバとソフトウェアで解析したデータが、再び東京に送り返され、三次元の立体的な足首モデルが画面上につくられる。データがネット上に蓄積されるのだから、注文靴2.0とも表現できる。

 Process2_2  フロー

足は左右大きさが違う人もいれば、指の長さなども違ったりする。足を無理やり靴に合わせている人も多い。計測・注文後4週間でお渡しできる。  

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【インターネットの普及と共にシステム開発】
1998年、私達は3D技術を用いてお客様の足の細部の計測が可能なシステムの開発を始めました。3年間の研究を経て、leftfoot companyの土台となるCMSシステムの開発が完成しました。 (中略) スタイリッシュなデザインと最高の履き心地は靴製作における最も重要な課題であると考えます。そして、それはleftfoot companyのコンセプトによって新たに、独創的に高められていくことでしょう。
引用元 https://shop.leftfootcompany.com/2007/Company.aspx

創業者のJarno Fonsen氏は製靴ビジネスを営み、1990年代からこのアイデアを思いつき、開発構想を温めた。フィナンシャル・タイムズの記事によれば、開発には13.1百万ドルが投じられた。このシステムでは足を15箇所のデータから精密に計測し、データはエストニアの工場に送られ、コンピュータ制御でカッティング、自動製造システムにより、注文靴がつくられる。

 43365  
 なぜLeft Footが社名なのか、展示場の通訳さんに聞いたが「わからない」そうで。

デザイン・バリエーションも多彩。トラッドなラインから流行のテイストまで幅広いチョイスがあり、紐などのアクセサリーも選択できる。メリットは一度計測すれば、次回からは来店せずに、インターネットから注文ができるということとしている(固有のIDナンバーが発行される)。価格は4万円台~7万円台。クラッシック、スポーツなどのラインがある。

 Left_collection バリエーション。

【Left Footの強み】
この企業の強みは何だろうか。3Dカメラでの測定は、日本の注文靴店でも導入しているところはある(かなり高価である)。システム測定ではなくても、ワシントン靴店をはじめ大手でも注文靴を受け付けている。価格も42000円から、注文後30日(いずれもワシントン靴店の場合)だから、Left Footと大差ない。もちろん品質面の差異は無視している。

Left Foot Companyはスピードで競合と較べてイーブン、価格でもイーブン、デザイン・バリエーションは他社より多い。品質は展示会でサンプルを見た限り、わたしの目には上質である。だが決定的に差があるかどうかは、リピーターが増えないとわからない。まだ日本では梅田店一店舗である。ヨーロッパを中心に世界で12店舗あるが、この店舗数が増加することが、経営面では強みとなるのは間違いないが、店舗が増えてもっと価格が安くなるとも思えない。

そう考えると、「注文靴を(経験ある技術者要らずで)正確につくります」が同社の売りであり、競争力の源泉は「3D測定システム」なのである。

 Osaka  同社梅田店。

スーツ業界ではレディメードとイージーオーダー、注文服という棲み分けがある。Left Footもワシントンもイージーオーダーにあたる。生地(デザイン)を選んで採寸(3D測定)してもらう。既成品よりフィットする品がリーズナブルに仕上がる。この習慣が靴においても普通になることが、同社の目標だろう。

【勝手にアドバイス】
だから「3D計測サービス」を売ることもできるはずだ。

Left Footにとっては、システム投資を自社直営のサービス(靴販売)で回収することが第一だが、買い手からすれば、お気に入りのブランドやデザイナーの注文靴が欲しい。Left Footで計測し、そのデータを著名ブランドに送る。そこで生産をする。当然マージンは取れるし、実際にはOEM生産をしてもいい。

おまけのアドバイス。顧客のからだのさまざまなデータを店頭で取り、3Dに解析し、それを商品化のラインに落とすデータに加工というビジネスモデルもありうる。靴だけでなく、注文服、注文帽子、注文手袋、注文ブラジャー・・・などに展開ができそう。採寸だけしかできない店舗員が不要にもなり、顧客データを、カルテ的に蓄積もできるし(個人情報保護は厳密にやらなくてはならないが)、販促活用もできる。

だが体形変化を3D的に察知され、「お客さん、最近メタボですね・・・スーツを作る前に体をつくりましょう」と言われるのは、正に勝手なアドバイスである。今日は以上です。

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2007年11月 1日 (木)

‘うふふ’マーケティング こぼれ話 モノだけでなく、心も満たすリフィル文具

今日の午後のことである。不意に気づいて小さく叫んだ。人事コンサルタントとして今日入社された方とお話して気づいたのである。「おぉ!わたしは今日は8年目だった!」と。

わたしは丸7年前の今日、システム2000年問題の最中に、コンサルタントとして今の勤め先(ビジネスブレイン太田昭和)にお世話になった。それから丸7年経った。ちょうど今頃は内部統制問題である。誤魔化しや反統制や顧客軽視が跋扈する中、人事コンサルタントの方には、毅然たるコンサルティングをしてもらいたいものだ。

入社当時、コンサルタント職とはわたしにとって決して簡単な商売ではなく(いや、今でもだが)、「ええい!」と飛び込んだ感があった。だから、さまざまな思いが交錯した。だから、ぷろこんエッセイなる拙文を書きだして、コンサルティングという職のあり方、自分の立ち位置を考え続けた。だから素晴らしい体験もあった。だから忸怩(じくじ)たる思いもあった。だから、さまざまな浮き沈みがあった。それがわたしの7年間。

八を末広がりと思えば縁起がいいし、罰当たり(バチ=八)と思えばそうなのかな?と反省も。これを期にもっとリフィルしなきゃと思います。

リフィルの素は何だろうか?それは「出すこと」である。出さないとリフィルする必要もない。後輩に、お客さまに、世の中に対して、何も出さない人はリフィルも必要ないのだ。リフィルしたい人生を送りたいなら、持っているものは、いつも、すべて、出してしまおう。

わたしの毎日のリフィルの素はブログである。入力はもちろんキーボードだが、日々ブログを書くベースには手書きのメモの存在がある。手書きのメモは、ストレスのない文具があってこそ滑らかにできる。文具が自分のリフィルのベースにある。出すから埋めなきゃ、と思うのである。

そんな文具とブログへのオマージュが、昨日のブログと、今日のビジネスメディア誠の連載『モノだけでなく、心も満たすリフィル文具』である。
シャンプー、カップ麺、システム手帳、ボールペン……あなたが“リフィル(詰め替え)”をするのはなぜだろう? 「減ったから足さなきゃ」というだけでなく、自分の心も満たしてくれる、そんなリフィルについて考えてみた。
・・・後は本文をお読みください。

皆さんも「出してみる」のはどうでしょうか?

8年目にあたり思う。出せば、埋めなきゃならないめようとすることは、どんなことでも前向きだから、前向きの何かが訪れるきっかけになる。一緒にがんばりましょう。今日は以上です。


  Pict0125 リフィルの素の愛用のノート(ジョルディ・ラバンダ)

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