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2007年11月14日 (水)

Web図書館は“図書館のロングテール”になるか?

以前「ネット時代に無くなる建物」というテーマを当ブログで書いたことがある。その時考えた「無くなる建物」を挙げてみよう。

ポスト(年賀状も減り手紙も減っている)」「役所(民営化、サービスのネット化がトレンド)」「不動産店舗(かなり減りつつはある)」「証券取引所(実質的に不要)」「新東京タワー(分散ネットワーク時代にバベルの塔ぢゃないでしょ)」、そして図書が電子化されるのが必死な「図書館」であった。

図書館消滅の第一歩となりそうなのが、2007年11月26日から試用運用をスタートさせる千代田Web図書館である。ウエブ上での図書の貸し借りをするサービスなのである。

【勝手にアドバイス Vol.278 Web図書館は“図書館のロングテール”になるか?】
千代田区立図書館では、日本の公共図書館では初めてインターネットを活用した「千代田Web図書館」をスタートします。このサービスは、電子図書をインターネット上で貸出・返却を行なうものです。(2008年3月末までは千代田区内在住の方限定の試用期間です)
引用元 http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/facilities/weblibrary.html

  Facilities_pic_08 ウエブ時代にこんな立派なお役所が要るのだろうか?

事前に登録した区民のPCから24時間、どこからでも貸し出しを受け、本を読めるという仕組み、国内の公共図書館では初のサービスとなる。貸し出し期間終了後、「自動的に消滅する」ので返却無用の便利さがいい。

【図書はDRMで管理される】
図書は従来の本をスキャナで電子化したものではなく、いわゆる電子ブック(eBook)が主体である。おそらく導入・閲覧に専用ソフトが立ち上がり、マウスオーバーしてページ上でクリックして本をめくる仕組みと思われる。図書タイプは3種類あり、テキスト中心の「XML」、書籍のレイアウトを通りの「PDF」、そして動画やサウンドなどページが動く「Flashタイプ」。

貸し出し図書はすべてデジタル著作権管理(DRM)システムで管理され、貸し出し期間中の閲覧回数は無制限だが、コピーは一切できない

【タイトルは・・・】
めぼしいものを拾うと『プロ野球よ!』、(日本経済新聞社)、『お客様が私の先生です』(ダイヤモンド社)、『アニメーション産業に関する最新調査結果について』(新産業経済研究所)、『新TOEIC 模擬問題』(フォーユー)、『母への詫び状』(祥伝社)、『映画で英会話 人間の絆』(朝日出版社)などとなっている。個人的には惹かれるタイトルはない。まず出版社16社、3,000冊で順次増加ということだから今後を期待しよう。

 Weblibrary_book 画面イメージ

区内居住者なら、図書館にいなくても、もちろん区内にいなくても借り出し(というかダウンロード)ができる。この仕組みが活きるのは、まずベストセラー本であろう。借りたくても、いつも貸し出し中でいらいらしなくて済む。ぱらっと読んでみて、良ければ印刷本を書店で買おうということもできる。

【疑問もあれば要望もある】
電子図書館、良い取り組みであるが、いくつか疑問や要望が思い浮かんでくる。

①閲覧時にどこまでチラ見ができるか
②電子化に向いていないものはどうするのか(絵本、大型本、辞書など)。
③お手軽本ばかりが電子化される傾向が強くならないか。
④それは千代田web図書館でしか‘借りる’ことができないのか?

①については「目次と前書き」ぐらい読めるとありがたいし、できれば司書らが書評やお奨めを書いてもらえないだろうか。買い出し&貸し出し&出し入れが必要なくなるのだから、智恵ワークにシフトできる。

②については公共電子図書館とリアル図書館の使命や役割を、それぞれもう一度問いなおす必要がでてきそうだ。図書館は本を借りるところか?調査や学習をする場か?本に出逢うところか。寝るところか(ときどきやってます)。

③お手軽本ばかりが電子化されるのを危惧するより、お手軽本や推理小説しか配本しない昨今の図書館こそ憂慮したい。目利きなしで話題本ばかりでは・・・公共図書館ですか?

④は根源的な問題をはらんでいる。突き詰めれば「公共図書館は“いくつ”必要なのか?である。本をダウンロード貸し出しするだけが図書館なら「大日本電子ライブラリー」が真ん中にひとつあればいい。真ん中とはネット接続上の問題であるので、対馬列島にあっても、長野の地中100mでもいい。となると「図書館に行こう」という言葉は、「図書館をググろう」という言葉に変わってゆく。つまり、図書館とはサーバの処理能力を意味するようになる。

 Weblibrary_top 11月26日からです。

【勝手にアドバイス】
だが、それではいかにも味気ないのでいくつかアドバイスをば。

・司書とボランティアの能力を活用する。
 図書館の司書の出番。貸し出しはダウンロード、相談はヒューマンタッチ。特定分野に詳しい司書や図書館ボランティアを養成できれば、あらゆる分野の専門家が本をガイドしてくれるというサービスが可能。

・レンタルから電子図書/リアル図書を売る仕組みにつないでほしい。
 CDレンタルは実はCD販売を増加させる、という話があったように、本でもレンタルと販売の相関関係の実態がわかると著者にとっても出版社にとっても好影響があるはずだ。

・部数の出ない地方出版社の労作、自費出版にもスポットが当ててほしい。
 Amazonに書評もない、でも労作で良本を紹介する。貸し出す。売らんかな本にはないマジメさが読者を感動させる。そんなロングテールな図書サービスこそ、公共図書館のほんらいのミッションである。

今日は以上です。

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