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2007年12月10日 (月)

ラモス監督 リアルなロマンチスト・リーダーへの変貌

今日は隔週で書いているぷろこんエッセイからの転載です。筆者が書き続ける限り、
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 7連敗後、連敗はない。「監督も自分のやりたいことを捨て、勝ちにいくようになった」
とGK高木は言う。

      J1復帰を決めた東京ヴェルディ1969 ゴールキーパー高木義成選手談
      2007年11月28日 日本経済新聞

 サッカー評論家セルジオ越後氏は「今年のJリーグは傑出した選手がいなかった
と2007年シーズンを総括した(1)。選手について言えば「そうかな」とも思うが、監督に
ついて言えば今年は話題は豊富だった。

 まずまずの成績を上げながら11月に脳梗塞で倒れたオシム氏、後を継いだのは
岡田武士氏で、加茂監督解任で急遽日本代表チームの後釜になった9年前と似て
いる。オシム氏の後、ジェフ千葉の監督を“世襲”した長男のアマル氏でチームは
まとまらず、シーズン終了後解任された。横浜FCでは高木琢也監督がクビを取られ
たが生贄にならず降格した。クビになった監督と同年齢(40)の現役選手三浦カズ
は、浦和レッズのオジェック監督に最終戦でキツイ一撃を浴びせた。

 だが最大の注目監督は、J2でスタートダッシュの4連勝しながらもその後7連敗し、
辞めるか辞めさせられるか、絶対絶命と思われた中でなぜか踏みとどまり、その後
連敗なく勝ち続け、J2リーグ2位でフィニッシュ見事にJ1へ返り咲きした東京ヴェル
ディのラモス瑠偉氏である。

 選手時代はすぐにカッカして激しいプレーも少なくなかった。「ラモスを冷やせ」と
いうエア消炎剤のCMコピーは秀逸だった。ラモスは冷やされたから勝てるように
なったのか?やはり沸騰するハートゆえだったのか?「サポーターよ、ひとつなれ」
「選手は勇気と自信をだせ」と言い続けての昇格。連敗を止め、上昇するきっかけは
何だったのか。

             ○○△○○●●●●●●●

 この文章の区切りの「○△●」は開幕からのヴェルディの勝ち、引き分け、負けを表
している。いくらJ2が試合数が多いとはいえ(2007年は48試合)4勝後の7連敗。プロ
野球のシーズンに置き換えると20連敗ぐらいのイメージ。

 「東京V6連敗、ラモス次戦辞任覚悟」「ラモス惨敗7連敗、事実上の解任」

     6ssc0704302ns
     http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20070430-191857.html

 スポーツ紙は6連敗後の試合終了後、顔を覆って、控室に向かって通路を歩く
ラモス監督の写真を掲載した(2)。痛々しかった。消炎剤をかけたら消えてしまいそう
だった。4月29日の鳥栖戦は1-2だが、監督がクビをかけた5月3日の水戸戦は1-5で
ある。最悪のスコアである。

            ○○△○○●●●●●●●・・・連敗トンネル

 「この悔しさはドーハの悲劇以来だ」 6連敗後のラモス監督のコメント。

 J2最強のストライカーのFWフッキ(07年は史上最多タイの37得点)とMFのディエゴ
に頼りすぎて、そこからボールを奪われては失点するパターンが繰り返された。この日
も同じだった。「味方なのにパスが出せない」試合を繰り返した。ラモス氏は試合後、
バスに乗る前にサポーターに呼び止められて20分も話し合った。「次は勝つから応援
してくれ」。だが・・・。

 次の試合結果はもっと無残だった。オウンゴールでリード後、前半2点、後半3点という
大敗だった。得点源の二人(フッキ、ディエゴ)を共に累積で出場停止で欠いたとは
言え、リードしながら勝ちをあせり、コチコチになって加点された試合と評された。

 「“ゴメンね”とふがいない試合をわびた」。ラモスがわびた相手は水戸の前田監督
 である。(3)

       7ssc0705045ns
       http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20070504-193657.html

  7連敗はひどい。だが浮上のきっかけはこの6連敗目から7連敗目にあった。2つの
連敗の間に、ヴェルディの今期の昇格までの道のり決めた転換があった。それは3つ
の変化である。選手たちの変化、ラモス監督の変化、そしてフロントの変化。だから
ひどい負け方ではあったが、7つ目の負けには価値があった。

            ○○△○○●●●●●●●○ その変化とは・・・

 まず選手の変化。「この2日間やり方をちょっと変え、「みんなが“このやり方を結構
やりやすい”と言った」(4)。2日間とは4月29日の鳥栖戦から5月3日の水戸戦まで
ある。1日休養日として2日間が練習日。元日本代表監督だったオフト氏のコーチング
を柱谷哲二コーチと額を突き合せて思い起こした(5)。

 サッカージャーナリストの後藤健生氏が言うように、監督職とは“ロマンチスト”と
リアリスト”の間で揺れる職業である(6)。現役時代熱いプレーのラモス氏が、リア
リストであるわけはない。「FWフッキとMFディエゴによる美しい勝ちかた」・・・選手にも
ロマンを求めたのは想像にかたくない。

 だが6つ連続の負け。ロマンを捨てリアリズムに転換せざるをえない。勝つために
選手を直視するようになった。それが選手にも伝わった。だからこそ選手は「このやり
方をやりやすい」と言った。だが2日ではしょせん付け焼刃である。実戦で表現できる
はずがないから、負けた。攻めの軸の2人も欠けたから得点は実質ゼロだった。

 フロントは選手と監督の変化を察知した。ラモスは変わったぞ、選手もそれを感じた
ようだ。その情況をフロントは察知したからこそ、目の前の試合で1-5で破れても、もう
1、2試合我慢すれば、グラウンド上に変化が表れるのではないか。そう判断して7連
敗でもラモス続投のサインを出した。FWとMFの軸が戻る次節の京都戦に賭けた。

 京都戦後メディアから、なぜ続投決断をしたのか」と訊かれた小湊義房常務(東京
ヴェルディのフロント)はこう答えた。

 「距離感でしょうか。(監督がスターだという距離感が縮小したこと) それが
 京都戦で180度変わったわけではないけれど、ある程度は縮まっていたと思う。(
7)

 賭けは成功し、5月6日の京都戦は4-1で快勝した。辛口のメディアは“勝ったが
FWフッキ(ハットトリック)とMFディエゴ(1点)頼みに変わりなし”と書いたが、失点1
の堅守にこそ注目すべきだ。その前の試合は5失点。それを1点で抑えたことは
「自分たちのやり方」が板についてきたからだ。

             ○○△○○●●●●●●●○・・・その後連敗なし。

 ロマンだけでは勝てない。そこにリアリズムがなければならない。理想のチーム像
をもちながらも、今の戦力でできることを直視する。まずリーダーとして大切なのは
“自分にロマンがありすぎるか”に気づけるかどうか。

 危急存亡のときはロマンが必要。ロマンとは“自分の分身”である。カリスマと呼ん
でもいい。あらゆるシーンで自分の分身でチームを勇気づけなくてはならない。だが
危機を乗り越えるときには、リアリズムへのシームレスな移行が必要なのである。

 7連敗からの勝利は、ラモス監督主役から柱谷コーチ主役へバトンタッチした瞬間
でもあった。正式に監督職から身を引き、柱谷コーチが昇格したのは、もっとリアリ
ズムに傾斜する必要があるからだ。J1昇格後の弱小チームに必要なことは、華麗な
勝ち方ではなく負けないことだから。それを悟りラモス氏は身を引いた。

 けれどロマンがあるフリをして、陳腐なリアリズムだけのリーダーはゴマンといる。
ロマンからスタートして、ひと皮むてリアルなロマンチスト・リーダーになる―それが
リーダー最強の方程式である。そこに到達したのがラモス氏。少し休んでもらって
から、またどこかで監督をしてほしい。

引用元
(1) http://blog.nikkansports.com/soccer/sergio/
(2) http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20070430-191857.html
(3) http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20070504-193657.html
(4) http://www.jsgoal.jp/news/00048000/00048000.html
(5) 日本経済新聞 2007年11月28日
(6) http://news.goo.ne.jp/article/hatake/sports/hatake-20071128-01.html
(7) http://www.jsgoal.jp/photo/00022800/00022807.html

今日は以上です。

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