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2008年1月の32件の記事

2008年1月31日 (木)

無線LANフォトフレームで“アルバムビッグバン”の時代へ

 今日はビジネスメディア誠で連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

無線LANフォトフレームで“アルバムビッグバン”の時代へ
   写真がデジタル化して、人類が“解放”されたことが3つある。 
   1つはアルバムの整理。2つ目は撮影枚数の制限。そして3つ目は “秘め事”だ。

 実はわたしは、ビジネスメディア誠にエッセイを連載するようになってから、“本格的な”三流デジタル写真家になりました。“本格的な”という意味はいつも持ち歩くという意味です。上手い・下手ではありません。“世の中観察撮影係”のメン・ウーメンは、たいていいつもお持ち歩き。しかも携帯カメラにもカールツァイス搭載の時代ですからね。ところがわたしは、昨年秋からその仲間入りです。カメラオクテと言ってもいいでしょう。

 それというのも、わたしのカメラ遍歴が影響しているようです。

 ゲテモノばかりのカメラ三昧。小学生のときの初のマイカメラは、コダックのインスタントマチックカメラ。これはまだ良いとして、中学生の頃にはミノルタの110フィルムカメラを買いました。ちっこいフィルムが使えないシロモノでした。

 Pict0411 まだ持っている110カメラ

 さらに血迷ったのはコダックの“ディスクカメラ”。15枚の“観覧車”のようなフィルムがぐるぐる回るんです。コダックはあれを発表した当時、「カメラのフィルムはみんなディスクになる」なんて言っておりましたが、もちろんそうならず、むしろコダックの経営が回っていたのではないでしょうか(笑)。失敗作でした。PDAの迷機と言われるApple『ニュートン』と同じくらいのレベル。
D4000D4000_2
出典 http://www.citizenet.or.jp/~nomusan/Pages/disk4000.htm

 こんなマニアックなカメラ遍歴が災い(ないし幸い)して、カメラと撮影に身をやつすことはありませんでした。父が遺したNikon Fもマニュアルで絞りきれず、ただオリンパスXAは良いカメラでした。コンパクトで手軽に写せて、スライドするデザインもよかった。 

2916079  オリンパスXA=名機でした。

 だから原稿出稿時に写真を付けても、ビジネスメディア誠の編集長の吉岡さんによく没にされています(笑)。そんなわたしだから、アルバムも乱雑なのでしょう。今日は以上です。

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2008年1月30日 (水)

京友禅の823SHから見る孫氏の戦略

 今日は別のテーマを書こうと考えていたのですが、昨日のソフトバンクの携帯春モデルのリリース記事を読んで「いやぁこれはいい!」とヒザを打ってしまった。「SoftBank 823SH」向けの京友禅の携帯、いいですね!

     20080130_823sh2

 和モノ・和柄に惹かれる人が増えてきた(わたしがそうです)。アパレルもバッグも帽子も小物も和物。刺し子まで密かな流行になっている。そのトレンドをうまくキャッチしたのがこの携帯。

【hmm・・なアドバイス17.京友禅の823SHから見る孫氏の戦略】
  「JAPAN TEXTURE」は、折りたたみタイプの本体表面に取り外しが可能な
  上質なテクスチャーを採用した商品です。本物の上質感にこだわり素材に
  友禅を取り入れた「JAPAN TEXTURE 友禅」と、漆を採用した「JAPAN
  TEXTURE 漆」という2つをモチーフに、テクスチャーを企画しました。

  引用元 http://www.softbankmobile.co.jp/corporate/news/press/2007/20080128_08/

       Dsc07416b_o_ 美しい!

 価格なんかまるでわからないままに「これは良い!」と思った。漆モデルも実に美しい。着せ替えのテクスチャを提供する木村染匠、着物制作だけでなく京都友禅生地を挟んだ合わせガラスに特徴がある(823SHは合わせガラスではないようだ)。
    20080130_823sh3 漆も良い。

【京友禅の染色工程】
 京友禅携帯に感化されて、京都友禅協同組合で染色工程を見てみた。意匠図案を元に正絹の白生地に青花液で模様を描いてゆく。下絵の線の上に糸目置き糊を置き、これが染め上がりに線として表現される。その後色挿しという着色工程に入り、蒸しを繰り返す。

 ①P0208401  ②P0208402  ③P0208403
 伏せ糊置きを行い、色を挿した模様全体を糊でおおう。仕上げには彩色、箔、刺繍、紋などを付ける。かなりの手間なのである。

 ④P0208404  ⑤P0208405  

【着せ替え携帯、昔からあれど・・・】
 着せ替え携帯は前からある。たとえばボーダーフォン時代の着ぐるみの着せ替え携帯(V501T 2005年夏)は「グミ」「ブル」「タイヤ」「波」「チーズ」「吸盤」「マーメイド」「恐竜の卵」「芝」。
   L_sa_t2 こんな牧歌時代もあった。
   引用元 http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0505/19/news052.html

 ソニー・エリクソン・モバイル製の「SO703i」には“着せ替えアロマ”パネルもあった。

  L_sa_sdoco02
  引用元 http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0701/16/news062.html

 友禅のような手間のかかる美しい“布と携帯の融合”、その着想は初めてだろう。

【孫氏の成長戦略】
 従来の着せ替えは個々の商品のアクセント/差別化にすぎない。だがソフトバンクの和モノへの展開はちょっと違う。もっと大きな戦略からの位置づけが見えてくる。

 以前孫子(いや孫氏)の戦略の基本は「バーナムの森」だと書いた。これはマクベスに出てくるエピソードで、兵力が少ないのを隠すために兵士に枝木を持たせて、あたかも森が動いているかのように見せる戦略である。ソフトバンクは、ドコモとはもちろん、auと比べても事業資源は小さい。だからこそ“予想ガイ”など話題を先行させて消費者へアピールし、あたかも森が動いているように思わせるのである。言わば枝葉で勝負していた。

 だが今回の孫氏の戦略は用意周到で抜け目がない。学生同士の月額基本料を3年間無料にする発表を先行させて話題をさらう。これは以前のホワイトプランと似た手口。だがその後のポジショニング展開が凄かった。属性特化(学生向け料金ゼロ)、ブランド特化(ディズニー・モバイル)、用途特化(株式ケータイ、フルキーボード、そしてカールツァイス搭載)、嗜好特化(友禅と漆という和モノ)と、現在の携帯セグメントを全方位を攻め込み、しかもそれぞれインパクトのある商品・サービスをそろえた。

 マーケティングでいうポジショニング戦略とは、細分化した市場で存在感を出すアプローチである。基本的には、ポジションを特化して突破口を開き、細分化市場制覇がねらい。ソフトバンクにはそれぞれの細分化市場を正面突破する勢いがある。脱帽です。

【hmm・・なアドバイス】
 京友禅と漆というインパクトのあるデザインから感じたのは、ソフトバンクの“テーマ設定力”の高さ。それぞれのセグメントでハードと利用シーンのテーマ設定力が高い。

 それに対してauのボヤっとした発表はちょっと。ドコモも解約トレンドを脱し、携帯は品切れ続出らしい。勢力図の変わる可能性さえ出てきたと思う春モデル。春ですから生まれかわりの予感さえ。今日は以上です。

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2008年1月29日 (火)

JALパックのスーパーツアコン

 遠い旅行地から同僚のCherryさんは無事帰ってきただろうか?蜜月的にはめずらしい地を旅行していたはずです。旅話しからブログのネタをもらえると期待しています。

 さてその旅行縁でもないですが、今日のテーマはJALパック。誰もが知る昔なじみの商品ですが、高齢化・格差社会を背景になかなか目の付けどころが良いのです。
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【hmm・・なアドバイス16.JALパックのスーパーツアコン】

 (株)ジャルパックは、当社が誇るツアーコンダクターの中で、さらに厳選をした
 コンダクターがご案内する旅慣れた方に相応しい満足度の高い旅 2008年上期 
 スーパーTCと行く「世界紀行」 商品(全方面37コース)を発売いたしますので
 お知らせ致します

 引用元 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=180240&lindID=5

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 スーパー“TC”って何?ツアーコンダクターの略。ベテランかつ能力の高いツアコンを厳選して世界紀行への旅にまいりましょう!という商品。「当社が誇る」という修飾語はちょっとこそばゆいですが、団体旅行の出来不出来のかなりの部分をツアコンに負うのもまた事実。

【ツアコンの鉄人たち】
 ツアコンの鉄人たちがJALパックのHPにずらりと。みなさんこの道10数年以上のベテランです。
 
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 「日中に唯一走るロッキーマウンテニア号に乗車 高級ホテル滞在も楽しみ
 絶景 カナディアンロッキー大自然の旅8日間」(82万円~91万円)

 「秘められた世界遺産オルチャ渓谷とナポレオンゆかりの地エルバ島 南
 トスカーナの村巡りとローマ近郊探訪の旅10日間」(69.9万円~82.9万円)

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 現在掲載・募集されているツアーでは50万円以下はない。飛行機はエグゼクティブクラス、高級ホテル(連泊中心)、そしてベテランのツアコン。至れり尽くせりのコースなのである。

【シニアをターゲットにして、3つのポイントをアピール】
 旅慣れたお客さまがほとんどで、それもほとんどシニアのはず。ババ(失礼)と娘のセットもありうるが、メインターゲットの年齢に合わせたサービスがポイント。それを「ゆとり」「安心」「深み」の三つとする。

 “ゆとり”とは「1ツアー平均12名(お手洗い休憩や、写真撮影もスムーズ、目が届く数が12名)」「ホテルは連泊でゆったり」「バスは一人2席でモノを置ける」「往復の荷物宅配クーポン」・・・。

 “安心”とは「旅行説明会の実施」そして「スーパーTCから挨拶の電話」など。あらかじめどんなツアコンがガイドしてくれるかわかるだけでも親切だが、あいさつの電話までとは・・。

 “深み”とは「ツアー設定時期へのこだわり(現地の最良の気候時期)」「説明がはっきり聞き取れるトラベルイヤホン(フムフムなるほど!)」、そして「ツアー中のちょっとした思い出を記載したメモ」・・・スーパーTCが書いてお渡しするのだと。旅行後に手紙を書いたり、シニアもブログを書く時代ですから備忘録。

【苦い体験】
 書いていたら前職の会社での苦い経験を思いだした。ご一行は社長と社長の顧問の二人。どちらも70代のオジイだ。随行の社員(わたしです)がいろいろな手配をやるのが役目。慣れないなりにやったつもりだったのが・・・のっけから大失策!ひとりのオジイを置いてけぼりにするところだった。

 社長の秘書がやったはずの車の手配(リムジン1台で二人の自宅を経由して成田へ)が、どこで間違ったのか、社長だけをのせて一路成田へ。途中の電話連絡で気づいて、車はUターンして顧問宅へ向かって事なきを得た。集合時刻設定にかなり余裕をみていたのが、不幸中の幸いだった。ヒラ社員のわたしはもちろんリムジンバスでのほほんと成田へ。そこでその顛末を知った。

 空港に着くとさっそく顧問のオジイにつかまった。
 「社長、郷君(わたしのこと)に、ちょっと言っていいですか?」
 「いいですよ」と社長。
 「ブァッカモ~ン!!!!」と成田空港の出発ロビーで、あれだけ怒鳴られた人間は、古今東西きっとわたしくらいだろう。土下座せぇい!といわんばかりに叱られた。その旅は後々までずっとひどかった。それは今は書くまい。

年を取れば(男は特に)短気になるシニアには細心の注意がいるのだ、ということを身をもって知った。

【hmm・・なアドバイス
 人は何歳かを境目に「旅=ハプニング」を楽しむか、「旅=予定調和」で安心するか、変わるものなのである。それが何歳かは個体差があるが、必ずやってくる。後者にはスーパーTCの出番がある。

 わたしからの要望は、法人向けの“社長随行ツアー”にもベテランTCを派遣してほしい。せめてアドバイザーでもいい。これ絶対ニーズありだ。そしてささやかなアドバイスをひとつ。スーパーTC、これを「ツアー・コンシェルジェ」と呼びませんか。同じツアコンですけど本質的に目指すのはそっちだから。今日は以上です。

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2008年1月28日 (月)

Sun Jarはジャーであってジャーでない。

 今日はお昼まで晴れていましたが、だんだん曇ってきました。明日は雨もしくは雪という予報。It'sわたしの心模様・・・と言えなくもないですがそれは脇へ。曇っていても空元気を(カラゲンキと読んで_笑)、暗くなってもポッする明るさを・・・

   Sun_bluejarmain

 曇ってしまったニッポンに、ポっと明るいプロダクト『Sun Jar』を。

【hmm・・なアドバイス15.Sun Jarはジャーであってジャーでない。】
 Sun Jarは日中に太陽光で充電して、夜間にやさしい太陽のような光を放ちます。
 最初に蓋を開けて
中にあるスイッチをオンにして、後はセンサーによって暗くなれ
 ば自然に発光し、明るくなれば充電を開始します。

 引用元  http://www.gnr8.jp/product_info.php?products_id=390

       P1548h  P1548ex4
         Sun Jar & Moon Jar

 英国のギフトオブザイヤー2007エコギフト部門受賞のこのプロダクト、つまり昼間お出かけしている間に、窓枠において日光をサンサンと浴びせる。それで充電となって夜には自然に発光して、ろうそくのようにやさしい光をLED光源で安全に放つ。

 ジャー本体はガラス、ふたを開けるとソーラーパネル、その下に充電電池、さらにLEDランプという単純な構成。大きさは、高16cm x 横10cm x 縦10cm。充電3時間、光るのは5時間。日本での価格は7500円(Generate)。

     Sunjarwebdrawingcentral
     出典 http://www.suck.uk.com/product.php?rangeID=50&showBar=0#

【人を喰ったデザイナーTobias Wongさん】
 デザイナーはTobias Wongさんで、アバンギャルドなデザイナーとして有名。たぶんこれもウリなのだろうが・・・
                     Tobias_wong
        "このサイトは846日間更新されていません。古いサイトへはこちらから"

フィリップ・スタルクのデザインチェアをランプにしてしまう鮮烈なデビュー(2001年)以来、前衛デザイナーとして注目を集めてきた。「デザインは職業ですか?」という質問にこう答えている

During my senior year, I gravitated towards using design as a medium
 because I felt there was a void in the process of creating design work,
 specifically during the conception stage. I wanted to apply my interests
 in conceptual art towards design and see what would happen.

 「在学の最終年に、僕はデザインを自分表現の武器にしようと思った。
 なぜってデザインを創造するプロセス、特にコンセプトを決める段階には
 “穴”があると感じたから。で、僕は芸術コンセプトとしてデザイン表現をして、
 みんながそれをどう思うか見てみようと思った

      Tobiaswong3 Tobiaswong2
      フィリップ・スタルクの椅子に光をともして。紐スイッチに注目!

【売らないお店プロジェクト】
 2007年5月に2ヶ月限定でニューヨークに開いた店、『The Wrong Store』は、彼にとって大成功のプロジェクトだったという。多数のアーチストがレアな一品モノを作って店舗に陳列したが、そのお店、「誰も中に入れない、もちろん買えない」という皮肉なプロジェクトだった。
       Thewrongstorethumb

 このプロジェクトを通じて彼が問いかけたのは「売る・買う」というプレッシャーを与えなければ、人はデザインもマーケティングも販売も展示もクリエイティブになるん、ということだったとインタビューで語っている。“店=売る”を否定するとクリエイティブになるというアンチテーゼ。

【棚で眠る?】

       Cappstudioe
      “ i sleep in a drawer  1998 - present ”

これウケた(笑)。大手メーカーや家具やデザインハウスから次々に注文を受けていらっしゃるWongさんですが、デザインスタジオは持っていない、お客さんのショールームや倉庫、スタッフラウンジ、プラットフォーム(駅ホーム)、レストラン・・・で制作をするそうだが、これも前衛表現者ゆえのパフォーマンスだ。1974年バンクーバー生まれ。

【hmm・・なアドバイス】
 Sun Jarもアイデア商品というよりはコンセプト表現のひとつ。窓辺のジャーは、ジャーであってジャーでない。実は“照明”。なるほど、じゃあ「マーケティングは売ることであって、売ることでない」とも言える。え?営業の現場からはいつも「マーケティングは売るのを邪魔する」と言われるって? あぁ!(笑) 今日は以上です。

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2008年1月27日 (日)

シェリル・クロウ/原点へのまわり道

 今週はようやく(08年)1月30日がくるのでワクワクしてます。その日はシンガーソングライター、 Sheryl Crow/シェリル・クロウさんの久々の新譜『Detours/ディトアーズ』の日本先行発売日だからです(日本以外は2月5日)。

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 先行発売された1stシングルの『Shine over Babylon』(愛聴してます)、2ndシングルの『Love is free』は全曲フルでタダ(愛は自由&想うのはタダですね♪)視聴できますが、この曲も素晴らしい。どちらもメロディは耳に残り、詩のメッセージは明確。社会環境問題とニューオリンズのハリケーン被災です。
 
 それもシェリル、ここ3年別離、乳癌、養子、そして環境保護活動と、さまざまなDetours(意味は“まわり道”)してきたからだろう。発売までカウントダウン3日前の今日のテーマはシェリル・クロウさんの新譜。

【hmm・・なアドバイス14.シェリル・クロウ/原点へのまわり道】
 世の中が混沌としている中、私たち全員が平和に生きる方法を見つけ出そうと
 していること。そういったことがかなり反映されているアルバムになっているわ。

 シェリル・クロウ インタビュー 『神戸からのメッセージ』(フリーペーパー)
 
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 前作『ワイルドフラワー』(2005年)の発表のときに行われたインタビューから引用。この時点で今回発表の『ディトアーズ』の全曲も(いったん)録音されていたのにはびっくり。ワイルドフラワーは地味でアコースティックな曲集、ディトアーズはポップな曲集として、最初は2枚セットで発表する予定だった。だが両方いっぺんではアコースティックなアルバムが聴かれないという想いから、ふたつにしたそうです。

 ところがそれからが長かった。2006年は転機であり原点回帰の年だった。

【混沌】
 05年8月にプロの自転車ロードレース選手ランス・アームストロングさんと婚約を発表。愛の曲が満載の『ワイルドフラワー』を9月に発表。ところが翌06年2月に婚約解消。そしてそのすぐ2週間後に定期検診(マンモグラフィも含まれていた)で乳癌を宣告された。
 
 そのときはこんな具合だったそうだ。ひとりの医師からは「じゃあまた半年後!」と言われて、もうひとりの医師から「ちょっとまって。生体検査もしよう」。幸運といえば幸運で、乳腺腫瘤摘出、7週間に及ぶ放射線治療。早期発見、早期治療が命を救ったが、06年の新譜ツアーはキャンセル。

 そして地味な『ワイルドフラワー』は売れず、常連だったグラミー賞も逃し、彼女の関心はニューオリンズのハリケーン被災、アメリカのイラクでの間違った戦争、環境破壊と環境保護に向かった。その想い、怒り、嘆き・・・どこにどうぶつければいいのか。06年は苦しんだ年になった

    Sr240_crow_88492527  “戦争は答えではない”
    シェリルは戦争反対、環境保護のアクティビティでも有名。

【まわり道】
 そして、すでに仕上がっていたポップな曲集のアルバム化に再びとりかかる。だがどう手を付ければいいのか?思い当たったのが、原点に返る道だった。

  I kept coming up with the idea of detours; when you're young and innocent
  you have this clear picture of who you are and who you want to be and
  you're very idealistic.

  引用元 http://abcnews.go.com/Entertainment/WireStory?id=4157338&page=1
 「ディトアーズのアイデアがわいてきました。それは、人は若いとき純真で自分が
 どんな人間で、いったい誰なのか、何をしたいのかしっかりわかっています。理想
 に向かって走っています

 ところが年をとると・・・。“夢に向かおうとするとまわり道を強いられ、原点にもどろうとするたびにもどれなくなる”(同インタビューでの彼女の発言)

【原点】
 これがアルバムのテーマだと考えたどりついたシェリル、自分の“原点”のプロデューサー、Bill Bottrellさんに電話をしました。
  
 'I'm going to propose something crazy, but how do you feel about getting
 together and seeing what we might do in the studio?' He said, 'I've been
 waiting for this call for years."
'
 シェリル 「ちょっとクレイジーなことを提案したいのよ。いっしょにスタジオで
 レコーディングするって、どうかしら?

 ビル 「君からの電話、何年もずっと待っていたよ

 なぜクレイジーかといえば、Bottrellさんはシェリルの大ヒット・デビューアルバム『Tuesday Night Music Club』(1993年)のプロデューサーでしたが、それ以来10数年、付きあいがなかったから。アルバムごとに新しい個性を追求するスタイルゆえですが、今回は“原点への想い”が電話をさせた。10数年のまわり道だったわけです。この師弟関係も、なんかジンときました。

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   シェリルの自宅。ひとりレコーディング風景(彼女のブログより
 
【hmm・・なアドバイス】
 愛、別れ、天災、戦争、混沌・・・そして原点。こんなシェリルほどじゃないですが、わたし自身もいくつもまわり道をしています。今度こそ!と想うのですが。たくさんまわり道した彼女から勇気を得て、まわり道も原点への道、と思うことにしましょう。

 あと発売まで3日。ミクシィのシェリルのコミュには「日本盤は2曲多い(2500円)」「いやiTunesはさらにもう1曲あるよ!(ビートルズの“Here comes the Sun”をカバー)(1500円)」という迷いモードのコメントが入っています。迷ったときには原点。1500円で輸入盤CDを買うのも手です。でも発売は2月5日になりますので、それってちょっと“まわり道”(笑)。今日は以上です。

 

     買わない人にも『Shine over Babylon』を

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2008年1月26日 (土)

落語家もデリバリー?ピザハッ亭

 同僚でダンサーのTomoyoさん、業務提携先のIT企業から出向しているJKさんと三人で、新宿でフラメンコを見ました。その帰りにお茶を飲んだのですが、話がなぜか携帯プレーヤーの話に。JKさんが持つのは第二世代(かしら)のiPod。なんと彼の場合、音楽はいっさい聴かないそうです。

 「で、何聴くんですか?」と訊いてみると、
 「英語のオーディオブックと・・・落語です

 英語はともかく落語!とハマりました。う~ん、いいですねぇ。そう聞いてフト思いだしたのが「ピザハッ亭」。さっそく彼にURLを教えました。

     Pizzhattoei

【hmm・・なアドバイス13.落語家もデリバリー?ピザハッ亭】
 6人の若手落語家による本格古典落語をポッドキャストにてお楽しみいただけ
 ます。演目は2ヶ月に1度更新されますのでご期待ください。ピザハットスペシャル
 サイト【ピザハッ亭】では動画による寄席の上演、噺家のプロフィール、お囃子
 着メロプレゼントなどをご用意しております。

 引用元  http://podcast.pizzahut.jp/rakugo/

 07年12月から始まったポッドキャスティングでの落語。これまでNiftyの「ぽっどきゃすてぃんぐ落語」、フジテレビの「お台場寄席」などがあり、初めての試みではないのですが、なぜピザハットが?と思いました。

【二つ目5人、真打ち1人のキャスティング】
 噺家は若手6人。三遊亭遊喜、三笑亭可龍、雷門花助、桂才紫、春風亭朝也、そして08年1月に真打ちに昇進した三遊亭好二郎。現在、春風亭朝也の「片棒」、三笑亭可龍の「ぞろぞろ」、雷門花助の「てれすこ」がかかっている。「てれすこ」と「ぞろぞろ」を聴いてみました。

 02  Up_ph_b51 雷門花助さん

 古典落語は古典ゆえに、現代の人にはピンと来ないこともあるので、噺のマクラを語るのが普通です。雷門花助さんも、まず自分の名前の由来から入り(雷門には住んでいません、東松戸に住んでいます、その妙な親近感が笑)、松戸市の「すぐやる課」に蜂の巣を取ってもらおうとして電話をしたら、市役所から可愛い女性がやってきて、彼女では蜂の巣を取れなかったそうです(笑)。結局、花助さんが取ったそうです。

 てれすこでは、お上(奉行)の目が節穴で、テキトーな裁きゆえに死罪を申し渡されるのですが、最後にお上をギャフンと言わせるくだりがあります。そのマクラ噺として蜂の巣のエピソードなのでしょう。花助さん、弱冠26歳と若いですがうまいです。

【パソコンならではの配信】
 凝っているのが動画のタイプを選べるところ。「前の席で観る」(表情をしっかりみたい方)、「後ろの席で観る」(所作(身振り)をしっかり見たい方)。

03 Photo

 三笑亭可龍さんの「ぞろぞろ」は、閑古鳥の鳴く店の主がお稲荷さんにお祈りしたら、ぞろぞろとお客さんが現れる噺です。彼も今年30歳。無料のポッドキャスティングですが秀逸です。

【なぜピザハットが落語なのか?】 
 なぜピザ屋さんで落語なのか?そのオチを探してわかったぁ!と思ったのは、落語は一本15分くらいだから、デリバリーの目安なんだ!落語の間にピザが配達されます!とヒザを打ちました(が違うだろうな_笑)。

落研出身者には、ピザ好きが多いという説もある。ちなみにこの寄席の収録はお江戸日本橋亭でやったそうですが、昼の部と夜の部の間には、噺家にピザが差しいれされたそうです。可龍さんのブログにそうありました。旨い!とは書いてありませんでしたけど(笑)。

【宅配ピザ市場のオチ(落ち)】
 結局「宅配ピザ市場がオチているからこそ落語なのだ」とヒザを打ちました。

 市場規模は縮小傾向。市場調査会社富士経済の調査では「2002年のワールドカップ特需”により一時的に息を吹き返した」が、「2003年に再び縮小傾向に・・・」、中食ブームに押され外食にも押し返され、マイナス成長が続いています。大手ではピザハットは業績は良いようですが、それでも危機感はアリアリなはずです。

 少子高齢化でお客さんも高齢化の一途。若い世代が買わないなら、寄席を聴く高齢層にも顧客を広げたい。味での話題づくりも一巡して、原料高もあってこれ以上開発投資を抑えたいし、できるだけ広告宣伝費も削りたい。だから安く手早く企業PRができる落語に目を付けた。このあたりが真相でしょう。ピザハットさん、お目の付け所がよろしいようで。

【hmm・・なアドバイス】
 ピザと言えば熱々のチーズのとろ~り感。宅配となるとそこがちょいとなのでわたしはあまりソソられません。街角のメロンパン屋台車のように「屋台ピザ車」はいかがでしょうか(仙台にナチュラル屋台ピザ ココペリというのがある)。焼きたてとろ~りでシズル。

     02_2_6 車に窯があるようです。

 屋台車でピザだけでなく落語家もデリバリーして一席打つと、そこで集客もできそうです(笑)。お後がよろしいようで~テケテン♪

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2008年1月25日 (金)

“うふふ”マーケティングこぼれ話 スイーツ男が増えるウラの仮説

 わたしは帽子かむりの男ですが、帽子をかむるひとつの理由に「勇気を出せる」ことがあります。帽子はひとつの変装という意味合いもあるからです。たとえば向こう見ずにも伊勢丹のチョコの祭典『サロン・デュ・ショコラ』に男一匹潜入できるという勇気がそれです。

0

 「10人のうち9人はチョコレート好き。そして10人目は嘘をついている」ということば(米国の漫画家ジョンG.トゥリアスさん)を以前ブログに書きました。チョコ嫌いを公言する人、タマにいますが、ほんとうは嘘つきで痩せ(たい)我慢なのでしょう。誰もが好きなのがチョコ。

【女のイベント『サロン・デュ・ショコラ』に潜入!】 
 08年の『サロン・デュ・ショコラ』は1月23日から始まりました。わたしの潜入は昨日、第二日目でした。ハナモクとはいえお給料日前日。入りはどうなのか?と思いきや・・・まったく暑苦しいまでの人いきれでした。90%まではお客さんの女とお店の女と通訳の女(インタビューやらサイン会があったので)、あとの8%は女に連れられた男とチョコ職人の男でした。残りの2%がわたしのような潜入者でした。営業妨害になったとすれば、誠にすみませんでした。
 Photo
 会場見取り図。

 個々のお店をじぃ~と見つめると(やはり)恥ずかしいので、さも「業界人」ありなんの風情であちこち歩き回りました。しかしまぁどれもこれも美味しそうなこと。舌の栄養にはなりませんでしたが目の栄養にはたっぷりとなりました。

Pict0404  ショコラモチーフの展示

【チョコの帽子がありました!】
 フランスを活動拠点とする「ショコラティエ」のジャン=ポール・エヴァン氏、ちょうど氏がお見えだったようで著書にサインをされておりました。

Pict0392 ブレててすみません。

 さすが世界のショコラティエです。展示も販売品もとてもすばらしい。このチョコ帽子を見つけたときは狂喜しました(笑)。さっそく帽子デザイナーの山之井さんに画像をメールしました。帽子だけでなく靴や卵もチョコ一色でした。 

Pict0388 甘い帽子もいいですねぇ。 

Pict0390 Pict0394

【ウラ・バレンタイン=ひとりでコンビニスィーツ】
 通りすがりのチョコ欲しげの男にとっては実に甘すぎるイベントです。女性の熱気ムンムンだけでなく、バレンタインデーの本質的な意味を“男が(まだ)男たることを女性から認めてもらう”と考えてしまうと、だんだん落ち込んできました。あぁなんという疎外感!(笑)。だんだん気持ちが苦くなってきまして、早々に退散しました。

 伊勢丹本館の階段をテクテク降りて、この苦い経験を反すうしました。この催事、お目当てのカレや今のカレにショコラをプレゼントするため。でも彼女らのチョコへのまなざしを見ていると、カレとかあまり関係なさそうなんです。バレンタインデーとは「女性のための、女性自身の、女性に属しているお祭り」という域にまで達したのではないか。

Pict0402  
 エヴァンの隣のパトリック・ロジェ、女、女、また女・・・

 主役は(カレに贈るにせよ)チョコ買いをする自分自身なのではないか。ショコラな女の目の中に果たして男が映っているのだろうか?もらえる男も結局はアクセサリーにすぎないのではないか?

 ましてもらえない“負け組”の男は、義理も人情もなくなったチョコイベントの中で、ひとりでウラ・バレンタインを楽しむしかないわけです。そこで思い当たりました。

 この季節ならではありますが、“がっつりプリン”などのコンビニスィーツこそ、そんな負け組の救世主になってくれるのではないか?ジェンダー・ニュートラルな甘味市場ができたおかげで数多くの男が救われるわけです。あぁよかった!と言っていいのか悪いのか。男のスィーツのウラ仮説を立ててみました。

 「オレは甘いモノ好きの男だ!」
 「甘いモノには国境も性差別もないはずだ!」
 「だから、女のイベントで右往左往する必要もなぁい!」

 ・・・なんか言い訳めいているなぁ(笑)。

【かなりhmm・・なアドバイス】
 1セット10,000円もするチョコレートも出てきたチョコレート・イベント。これはちとやり過ぎではないでしょうか(と、もらえない我が身からブチブチ)。

 むしろ競争率の高いカレへの想いを差別化するなら、ひとつ原点回帰して「恋文」を書くのもいいと思います。手書きの想い。うまく書けない人は恋文代筆屋もあります。恋はほんらい身を焦がして痩せる想いをするものです。甘いものたっぷりで太っちゃうのではなく“痩せるほど甘い妄想にふける”、いかがでしょうか?これもまた佳きことと思うのですが・・・。今日は以上です。

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2008年1月24日 (木)

スイーツ男が増えると、マーケティングが変わる

 今日はビジネスメディア誠に連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

スイーツ男が増えると、マーケティングが変わる
 “甘い男”が増えている。自らおいしいチョコを選んで「自分バレンタイン」、
  コンビニの棚に並ぶのはボリュームたっぷりの「男のデザート」……バブル
  崩壊後のジェンダーニュートラルの流れの中で、マーケティングはどう変わる?

【スーツでスィーツをエコバッグで・・・】
 今回のエッセイのために締め切りの前日の昼下がり、勤め先付近のコンビニめぐりをしました。ファミリーマート、セブン、ローソン、ミニストップ、AMPM、そして生活彩家。時間帯が悪かったせいか、コンビニオリジナルのスィーツは少なくて四苦八苦しました。

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買いあさったコンビニスィーツ               がっつりレアチーズ

 スーツでスィーツをエコバッグで・・・何て変な客なのだろう?とお店の人には思われたでしょうが、それでもエコバッグ片手に4つほど買い込みました。お勤め人の方々、できれば昼のお弁当購入もエコバッグを使いましょう。My箸を持ち歩きましょう。これ脱線でした。

 購入した4つのスィーツを会議室で撮影しました。撮影後の素材は、秘書室のお三方に女もすなるスィーツとしてさしあげました。さすがに女性は“がっつり”を選ばなかった(笑)ので、営業マンOKさんに差し上げたのですが、甘み好きを公言するカレにしても“がっぷり”と胃にもたれたそうで(笑)食べなくてよかった(笑)。

 撮影ではいろいろとアングルを変えたり、位置を変えたりしたのですが(あったまっちゃいました)、ビジネスメディア誠記事のリードのサムネールには採用されませんでした(トホホ)。食品を撮影するのはけっこうむつかしいのですね。“がっつり”ではなく“がっかり”です(嘘です)。

 ここ数日の株下落で“がっくり”されている人も多いでしょう。マーケティングの話はせめておもしろいモノをこころがけます。今日は以上です。

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2008年1月23日 (水)

ナナハンの“原点”に学ぶ復刻商品の力

 よく著名人への“10の質問”というのがあります。「好きな食べ物は?」「生まれ変わったら何になりたい?」「苦手なことは何?」・・・その中にはだいたい「嫌いなものは何?」という質問もある。

 著名人ではないわたしには誰も訊いてくれないので、自問自答したい。「嫌いなものは何?」 ハイ、お答えします。それは「バイクの音」。特に2サイクルエンジンのバイクのピーキーな音・・・耐えがたきを忍び、忍びがたきを耐え・・・てます。この世から抹殺したい

 それなのに今日“バイク”を取り上げるのは“ナナハン”は別格の存在だからだ。

hmm・・なアドバイス12.ナナハンの“原点”に学ぶ復刻商品の力】
 本田技研工業は1月21日、コンパクトなスポーツバイク「エイプ」シリーズから、
 往年の名車「ドリームCB750FOUR」のカラーを再現したスペシャルモデルを
 期間限定販売すると発表した。1月21日から3月9日まで受注を受け付ける。

 引用元 http://plusd.itmedia.co.jp/d-style/articles/0801/21/news051.html#l_ys_cb02.jpg

      250pxhonda_dreamcb750four  Wikiのサイトより(ブルーだ)。

 ナナハンといえばホンダのCBだ。わたしの幼友達のブッチャー(肉屋)もたしかナナハン乗りだ。昭和44年(1969年)発売のドリームバイクだった。ダイナミックなデザイン、精巧な冷却フィン、美しい4本の排気管、メタリックカラーの燃料タンク・・・大型排気量のバイクの革命とまで言われたあのバイクを、カラーリングだけとはいえ再現したのがスポーツバイク「エイブ」である。

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 49ccの「エイプ・50 スペシャル」が27万8250円、99ccの「エイプ・100 スペシャル」が29万4000円。ドリームCB750FOURをイメージしたカラーリングでは50モデルが「キャンディーブレイズオレンジ」(ていうんですね)、100モデルが「パールコーラルリーフブルー」。クロームメッキハンドルなども特注という。ナナハンファンでバイクコレクターなら、きっともう予約しているだろう。

【CB750FOURとは】
 当時385,000円という高価格(なぜなら軽自動車のホンダN360は31万3000円だった)で発売したにもかかわらず大ヒット、後継車を含め78年までの9年間で60万台以上を生産した。『堂々たる風格 驚異のパフォーマンス 超弩級オートバイ遂に登場!ホンダ ドリーム CB750 FOUR』という当時のプレスリリースに偽りはなく、多くの国内外のレースにも勝ち、白バイ=ナナハンであった。

  0494 Cb750four
 プレスリリースから。                 山形勲氏のホンダへの寄稿から。

  当時発売されて間もなかったCB750 FOUR。“なんてかっこいいバイクなんだ”
 と思いました。一目惚れでした。当時住んでいた熊本の二の丸公園でナナハン
 の展示会があり、すぐに見に行きました。

 引用元  http://www.honda.co.jp/HondaKing/no034/

 ホンダバイクファンの細永さんの“ホンダ・キチ・エッセイ”の一部。この方、55年生まれというから(CBの)発表当時は14歳の中学生。でもその気持ち、わかる。バイクに乗らないわたしでも、小学生の頃、田宮模型の1/6スケールのプラモデルでその精巧さに触れました。

   Cb750box4thumb  
  レーサータイプとオリジナルタイプの2つを作った覚えがある。

【エポックメイキングな商品は復刻される】
 エイブの発売であらためて思いました。エポックメイキングな商品はどこかしら色あせない魅力を持つんだなと。自動車なら「ミニ」、椅子ならイームズ(DCMチェア)、万年筆ならモンブラン(マイスターシュテュック)。いずれも商品カテゴリーのデファクトを作りました。

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 「復刻される商品開発」を最初からねらうことなどありえないが、復刻される商品には共通項がある。「普遍的なニーズにハマった」「デザインや機能に流行り廃りを越えたものがある」「みんなが“ああ・・あれね”というイメージを持つ」。

 復刻される商品には“原点”がある。その“原点感覚”があるからこそ、敬われ、慕われ、尊敬されるのである。

【hmm・・なアドバイス】
 原点商品は実は“減点商品”でもある。原点ゆえに模倣や改良をゆるして、改良商品にくらべて劣る点も目立ってゆく。だから比較されれば減点もされます。

 ところが減点されても価値が減じない。“原点のもつ力が色あせない”からなのでしょう。単なるヒット商品では復刻されない理由がわかります。単純なノスタルジーではなく、原点の要素があるからこそ復刻に耐えうる。勉強になりました。今日は以上です。

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2008年1月22日 (火)

旅行パッケージのリ・パッケージング

 1月の連休も終わり、さぁ仕事本番!というさなかで、同僚Cherryさんは有休をとって海外旅行にでかけました。ちょうど航空料金も安くなってのタイミング、うまいなぁ・・と思っていたら、“ほぉ”と思った旅行商品の発表がありました。

Logo    Under_head_01  

【hmm・・なアドバイス 11.旅行パッケージのリ・パッケージング】
 株式会社JTB中国四国とベルリッツ・ジャパン株式会社は、海外旅行者
 向けの語学レッスン提供で協力します。JTB顧客向けの「海外をもっと
 楽しむ外国語会話パッケージ」を、ベルリッツが企画・販売開始します。

 引用元 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=179719&lindID=5

 お客さまの声からの発想というこの企画、「海外をもっと楽しむ外国語会話パッケージ」(JTBの中国四国支店での海外旅行商品購入者を対象)として、旅行前と旅行後の語学受講をワンセットにする。一般の語学コースより25%OFFになるのがお得である。

Mainimgベルリッツのサイトより。 

【事前と事後の課題設定】
 さらに「事前に出される(語学)課題にチャレンジして、帰国後ボーナス・レッスンのプレゼント」というのはフフン♪となっとく。当面対象は英語、スペイン語、中国語の三カ国語。需要を見てJTB全支店に広げるという。

 用意されているプランは「チャーター・コース(2~6名)」と「プライベート・コース(1名)」で、レッスンプランは10レッスン(有効2ヶ月)と30レッスン(有効5ヶ月)。旅行はグループで行くという前提だから、1グループセットで94,500 円という価格が設定されている。 

 そういえば高校の修学旅行がソウルで、トイレの内側のドアに韓国語のあいうえおを書いた紙を張り出したはいいが練習はサッパリ、しかも紙がビリビリになっても、ずぅ~っと張り続ける(元)女子高生もいる。タダなんだからしっかり勉強すりゃいいものを・・。ま、しょせんは修学旅行だから・・・。
 Pict0406  恥ずかしながらこんな感じです(トイレのドア)

【旅行前も旅行なら、旅行後も旅行】

 この企画、とってもすばらしいのですが、せっかく旅行に行っても何も現地の人と話せなかった・・・では、旅行代金以外に何万円も支払って、買い物と物見遊山で終わってしまう。だからできれば「旅程の中で喋らせる」仕掛けも入れてほしい。

 たとえば日本人添乗員が突如急病になって(ヤラセ)、代役にあまり日本語がわからない現地人添乗員をあてがう(これもヤラセ)。ほんとうは喋れるんです(どっきりで)。「値引きグランプリ」を開いて、買い物の値引き率や額を競い合う。何と話して値引いたか発表し合うのもおもしい。現地で即席会話教室を開くような感じです。旅程の中で汗かきながらも何か表現する「汗体験」がいい。

 わたしの汗体験をひとつ。始めての海外旅行はオーストラリアだった。予約もなしに酸っぱい匂いの安ホテルにチェックインしようとして、受付の爺さんにこう言われた。

 「プット ユア ナイム オン!」
 (ナイムって何だろう?)「ナイム、ホワット?」
 すると爺さんは語気を荒げた。「ナイム ヒア!」
 指を差した箇所を見ると「name」とあった。ここはオーストラリアだ。nameをナイム、todayはトゥダイ。ほんとうにそう発音するんだなと感心した。

【旅行のインターバルもパッケージ・ツアーの一部】
 年齢とともに旅行体験ニーズは変わる。若いときはからだの皺取りや、ストレスからの“心のヒダ”伸ばしで、の~んびり、ゆぅ~ったりが旅テーマ。なんにもしなくてもそれが旅。すっきりした顔になって「さぁ仕事、仕事ぉ!」。

 だけど中年以上になれば(失礼だけれども)顔もからだも皺は取れなくなるし、心にできるヒダにも鈍感になる。仕事よりつい残りの人生に気が向く。ところが皺は皺でも“心の皺”はイヤなのである。心は逆にサバサバとして若くありたい。心の刺激をもとめるわけです。

 旅し、出会い、学び、表現し、深めてまた旅をする。旅行するとき以外の時間も“旅行までのインターバル”ととらえてみれば、実にさまざまな旅行企画ができる。そこに目をつけたこのタッグ企画、とても良いと思いました。

Honolulu  
 3月14日からはホノルルフェスティバル

【hmm・・なアドバイス】
 出発前、帰国後の旅行企画ごとにSNSのコミュニティをつくるのもいい。ウェブ上の旅行写真投稿サイト、アルバムサイトもいいだろう。こんな会話をしましたぁ~!という書き込み合いをするとたのしい。

 会話だけでなく、滞在先地域の歴史や著名人の業績、事件などを現地の本や本屋さんから学ぶのもいい。北京で一番大きい書店は古本屋と見間違うかのようなボロさでした。韓国の書店は立派だった。図書文化の違いを感じました。今日は以上です。

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2008年1月21日 (月)

“一回性”という成長の原動力

今日は隔週で書いているぷろこんエッセイからの転載です。
  配信は まぐまぐ と めろんぱん からしています。

 その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること。これを「一回性」と
 いいます。脳には、いつ、どこで訪れるか分からない一回性の体験を、
 大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕たち
 の人生を豊かにつくっていくのです。

 引用元 『脳を活かす勉強法』 PHP出版 茂木健一郎著

           ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 成長の原動力とはなんだろうか?

 やりたいという気持ち、その環境に自分をおくこと、継続すること、きっかけ
をチャンスにし、やがて飛び立つ。そんな成長のシナリオを思いうかべれば
「気持ち」「環境」「継続」「きっかけ」「飛び立つ」・・という成長の各段階の
"シーン”があるはず。ポジティブなシーンだけでなく、「挫折」とか「意地」と
いった苦しいシーンも、きっといくつも散りばめられている。

 たとえば、わたしはこうして文章を書き続けています。1年以上前、ブログを
書き始めたきっかけは他愛ないものでした。マーケティングのことをもっと考
えようと思ったときブログという表現を思いつき、同僚のCherryさんに言いまし
た。ちょうどカフェでサボってお茶の飲んでいるときでした。「ボク、ブログを
書こうと思っているんだ」 そのときのシーンはまざまざと覚えています。
Cherryさんが「いいんじゃないですか」と言ったところでそのシーンは終わって
います。

 それが「気持ち」のシーンだとして、「環境」のシーンはブログのテンプレート
に初めてふれて、自分を表現するサイトをつくった場面でしょう。ブログの「継
続」には数多の苦難(おおげさですが)はありました。体調が悪い日、電波が
飛ばないエリアに入るギリギリ10分前のアップ、酸っぱい匂いの安いビジネス
ホテルでのネットワーク設定の苦労・・・いろんなシーンがあります。ウェブ
ポータル・サイトの編集長からメールをいただいて「ウェブサイトに文章を書き
ませんか」というのも「きっかけ」のシーンになりました。

 まだ成長もしていないし、身のまわりを見回してももっとご苦労されている
人はたくさんいるのでおこがましいことを書きました。むしろ読者の心にきっと
多くのシーンがあるはずです。それにおきかえて考えてみてください。

 こうしたシーンは静止画像というよりも場面記憶のフラッシュみたいなもの。
達成した歓喜のシーンもあれば、何気ないけれど引っかかるシーンもある。
何度思いだしても心を削られる残酷なシーンもあるでしょう。

 人間はそうしたシーンの積み重ねで成長するのではないだろうか。シーンが
成長の原動力なのではないか。そんなことを常々考えていました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 なぜあるシーンが心に残っていて、なぜ繰り返し表れるのか、どうして自分
にそこまで干渉してくるのかわからなかったのですが脳科学者の茂木健一郎
さんの著書の中で“一回性”というキーワードに出会って、ヒザを打ちました。

 あるとき一回しか経験できない決定的な経験をする。それがその後の人生
に影響を与える。二度繰り返せないし、一回こっきりだからこそ、脳に深くそ
の体験がきざみこまれる。きざみこまれた体験を自分なりに反すうして、深め
ていく。それに執着するからこそ自分を高めていける。勇気をあたえてくれる。
そこから行動が生まれる、というのが茂木さんの著書『脳を活かす勉強法』の
中の“一回性”のくだりにある主張です。 

 一回性というとポツン、ポツンとコマ切れのシーンがバラバラにあるような感じが
します。でも脳がまったくバラバラのシーンばかり収集してないはずです。ある
起点になった「気持ち」に響くシーンを取捨選択し、収集して整理してくれるのだと
思います。

 整理してもパッチワークのようにバラバラな色合いのままか、ぴったりハメ合わ
せるジグソーパズルのように整然としているか、成長のテーマやその人の性格
にもよるのでしょう。それでもきっと脳は、一度しか起こりえない体験を、ちゃんと
整理してくれるというのです。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 茂木さんの考えかたはすばらしいアプローチですが、「一回しか経験できない
決定的な経験」とは、個人的なものにも聞こえます。グループ活動や組織活動
の中でその経験はどう活かせるのか?

 コンサルタントという仕事から考えてみましょう。クライアントの多くは情報を
共有するとか、成果を共有するとか、情報共有システムへの入力に非常に
抵抗します。その理由を今までわたしは、クライアントの社員が「面倒だから」
「同僚からも上司からもフィードバックもなく入力のモチベーションがあがらな
いから」「わからんちんに伝えても益なし!」といった思いからだと考えていました。

 それはそれで正しいのですが、まだ理由の一部なのでしょう。茂木さんの主張
をもう一度書きます。

 「脳は一回性の体験をきざみこむのをよろこぶ」

 つまり脳は、そもそも他人とのウワベだけの情報共有や追体験をイヤがるもの
なのだというものです。実は脳は情報共有をシブシブやっているのかもしれない。
自分の一回性の体験じゃない、他人の体験をシブシブ読んでいるのかもしれない。
自分のシーンでないことなので、脳が深めて整理することをイヤがっている。
なるほど、どおりで皆さん、情報の共有が進まないワケで・・・。

 情報共有をしましょう、成果をヨコ展開しましょう、そんなマネジメント用語を
したり顔でわたしも話していました。だが脳がよろこばないことをせっせと話して
いたとすれば、進まない理由も納得ができます。

 脳がよろこんでこそ仕事に創造性がやどる。よろこばせる情報共有でないのに
軽々しく「情報共有」とか「ヨコ展開」してください、とは言えないと思いました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 でもこう考えることはできそうです。個人的な一回性の体験は、他人と共有する
のはむつかしい。しかしシーンとシーンをつなぐところ、つまりプロセスは共有できる
のではないか。プロセスはルールでもあり、行動でもあり、共通言語でもある。
プロセスの中での体験として「こんなことがあったよ、すばらしい体験だった」という
共有ができれば、響きあうことはできるのではないか。

 個々のシーンがあって、それをバネにしてプロセス(実行)にうつす。このふたつが
“一回こっきり”の創造的なセットになったとき、人生が豊かになる。“一回性”という
キーワードから響いたことをツラツラ書きました。今日は以上です。

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2008年1月20日 (日)

愛は紋切りで!

 昨日(2007年1月19日)の結婚披露パーティ、実に凝っていました。パーティのインビテーションのチョコレートカードに始まり、当日の受付のローズマリーの香りに圧倒され、手作りハムもシャンパンも美味しく、外れたけどゲーム演出もすばらしく、最後の引き出物にいたるまで“手作り感満載”の一日でした。さすがはCherryさん!と感服。

    Pict0393  
   チョコ型の披露宴のインビテーションカード(by Cherryさん)。

 その準備に追われるさなか、「郷さん、これ楽しいです!」とCherryさんが買ってきたのは『切り紙・もんきりあそび』だった。これが楽しい。たっぷり切り込みました。

51tk6adwoll_aa240_著者 下中菜穂さん

【hmm・・なアドバイス10.愛は紋切りで!】
 始まりは、明治時代の遊びの本。不思議な図形が並んでいるのを見つけた。
 「紋切り型?」江戸時代からある紙切り遊びだという。半信半疑のままやって
 みる。紙を折って図の通りに切り抜く。そっと開くと…。わお!手の中に現れた
 のは「家紋」。もう、そこからは止まらない。

 引用元 http://www.tokyo-gas.co.jp/env/essay/200605/esy1.html

1440_01  この箱に紋切り紙が150枚。

 この一文は東京ガスの環境コラム『かたちの声に耳を澄ませる』。紋切り型をやってみた筆者がハマっていくサマだが、CherryさんもYukaさんもわたしもみんなハマった。何だろう?このおもしろさ。本には江戸時代の家紋に範を得たさまざまな柄の型柄がある。そして和紙は埼玉県小川町の機械漉きを選びぬいて10cm四方の多色。選んだのはウサギ紋です。
 Usagi01_2 Usagi02
 ①原紙(ページ)をコピー          ②和紙を二つ折り、型紙を数カ所のり付け

   Usagi03 Usagi04
 ③カッターでていねいに線を切る     ④すべての線を切ったら開く。

 紋切り柄がひろがる。わぁできた!これが快感。

【型があるから型どおりも、型破りもできる】
 造形作家の下中菜穂さんの発想というか再発見から生まれた。江戸時代から伝わりなぜか忘れられた紋切り遊び。こんなおもしろいことが広まらないなんてもったいないと。下中さんはアシストオンのインタビューでこう語っている。

 型があるので、誰にでも簡単に同じように「かたち」がつくれます。でも、
 型通りに遊ぶうちに、人は必ずそこからはみだしていきたくなるのですね。
 そう、型があるから「型破り」ができる。
 
 引用元 http://www.assiston.co.jp/?item=1440 

1440_09  家紋柄はたくさんある。

【愛は紋切りだ】
 この紋切りの余韻ゆえか、結婚披露パーティのさなか、ふと「愛は紋切りに似ている」と思った。

 結婚披露宴は昔の仲が復活して結婚縁のきっかけも生まれれば、人の幸せな愛を間近にみて、自分の今の愛の状態を比較してしまう場でもあります。現実でもあり夢でもあり、未来でもあり過去でもある。愛はそこでさまざまに交錯する。

 立食のパーティ形式だったのでいろんな愛の話がきけた。A子さん「愛はお互いに欠けたDNAを埋めあうもの(なるほど!そうですね)」。B子さん「相方の仕事、生活力、性格・・・最初と最後はウマが合うのに、肝心な生活力が欠けている(「アナタが埋めてあげればいいのに」「アタシはそう言うの。だけど相方が・・」) 愛は“欠けているものをどうするか”という作業でもあるのだ。

 愛の話を聞いていたら紋切り型を思いだした。愛と紋切り型、よく似ているのです。

 ・紙を二ツや四ツに折り込む (おたがい“片側”からしか見えない
 ・片側から切る (
向こう側まで切れているかわからないまま愛も進む
 ・切っているときは全体像が見えない (
見えるときは別れるとき?
 ・切るのは丹念にしんぼう強くやらないと失敗する (
ヤケはダメ
 ・むつかしい型(愛)もあれば、かんたんな型(愛)もある。 (
まさに
 ・でも愛という型(カタチ)はひとつ (
ウン、きっとそうだ
 ・途中でムリヤリ開こうとすると切れる (
告白も結婚もタイミング次第
 ・広げてみてはじめて全部のかたちがわかる (
ひとりが2人になるか?

 何度か切るとコツがわかるところも愛と似ている。飽きないためには型をはみだしていくのも似ている。さまざまな型(相方)を試せるかどうかは浮気度次第(笑)。

【hmm・・なアドバイス】

 愛に紋切り型のアドバイスはできない。我が力量不足というだけでなく、愛は紋切り型のようにふたりで織りこんで切り込んでゆき、やがて開けていく作業だから。

 悩める人にはせいぜい「どこまで切れていますか?」「切れてないところはどこですか?」「全体の絵は見えていますか?」「もう開けられますか?」と尋ねることぐらいにしよう。

  Pict0387_2  
  料理研究家Cherryさん手作りの引き出物。美味でした。

 今日のブログはCherryさんにささげます。そうそうウサギ紋切り、三枚切りました。まゆさんへ社内便で送りますのでお待ちあれ。

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2008年1月19日 (土)

スーツでツーキニスト ブリヂストンPRESTINO

 ずっと寒かったけれど今日はすっかり晴れました(関東南部地方)。まさに自転車日和なのですが、今日は相棒Cherryさんの名字が変わる披露パーティに出席するので、愛車でのサイクリングはお預けです。

 ざんねんなので代わりに自転車の話題を書きます。ブリヂストンサイクルがぐっとくる自転車を発売しました。なんとスーツで通勤用というサイクル。

【hmm・・なアドバイス9.スーツでツーキニスト ブリヂストンPRESTINO】
 ブリヂストンサイクル株式会社は、地球温暖化等の環境問題や健康を
 意識し、近年盛り上がりを見せる都市部の自転車通勤者向けで、スポー
 ティデザインながら長く愛用できる確かな品質の「PRESTINO(プレス
 ティーノ)」を、1月25日より全国発売します。

 引用元 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=179268&lindID=4

      01 モデルもカッコいい。

 うたい文句は「おとなが気負わず楽しめる自転車通勤」、ずばりスーツで乗ってカッコ良いがコンセプトです。「長く愛用できる確かな品質」「ふつうの服装で様になるスタイル」「メンテナンスに手間がかからないこと」「走りにはそれなりにスピーディであること」。
   0179268_01

 「ロードレーサーでもクロスバイクでもない」とうたわれたスタイルは結構かっこいい。スペックは27インチ、幅の狭いフラットなハンドル、カバンが入る大きめのバスケット、ベルトドライブ、LEDの点灯ランプ(前後とも)で\59,800(8段変速)、\40,800円(3段変速)。

【自転車通勤日記】
 PRESTINOのウェブサイトには「自転車通勤日記」がある。通勤ストーリーのようなもの。混んでいる電車に乗らず、プレスティーノにまたがって世田谷区赤堤の自宅を出発。時刻は0830。山下から渋谷区神南へ向かう(0845)。ここまでたったの15分ですか・・・。

     02

 そして港区乃木坂で信号待ち。0855だぜ、始業まであと5分。六本木のオフィスにはちょうど9時ぴったりの到着!できすぎだなぁ・・・しかも朝礼が無い会社なんだ(ウチにはあります_笑)。赤堤から六本木ならまぁ40分みておけば大丈夫そうだ。 

      03
 引用元 http://www.bscycle.co.jp/root/catalog/prestino/diary.html

 23区内なら暑さと寒さをしのげば距離は十分に通勤圏内(ブリヂストンではおおむね「8km、30分圏内」をツーキニスト対象にしている)。ウェブサイトにGoogleMapをつかった「通勤シミュレーター」もある。これがけっこう軽くサクサク動く。自分の家からやってみました。
 
     0424

 実は母の住む実家です。たった24分でした。わたしの今の住まいではとてもムリです。トホホ。

【サイクリング・シティ宣言をしよう!】
 パリのレンタサイクルや秩父サイクルトレインの話題でも書きましたが、汚い排気ガスをバンバン出す車に別れを告げて、都市内は自転車で移動するのが世界的に流行ってきています。カリフォルニア州Davis(デービス)市は「A Platinum Bike City」として自転車通学・通勤を進めているそうです。

     Davis_ca Bikes

 Bike Law(法律)、ライセンス、地図情報・・・自動車社会のカリフォルニア州にこんな市があるとは。住みたい!と思いました。

 日本の道路行政もこうしたことに同調してもらいたい。地方の都市でも自転車宣言と自転車道路、駐輪場の整備をすればイメージアップになります。道路財源を自転車道路財源に変えれば、大気汚染も減るしメタボリックも減るし、四季にも敏感になって日本を見なおすことにもなります。国会議員さんもせめてあの赤坂宿舎(3LDKで家賃9万2000円!)から国会まで自転車通勤してください。たった10分でしょう。まあムリでしょうが・・・。

【hmm・・なアドバイス】
 自転車通勤=プレステージというのが新しいところ。「自転車で通える距離に住む」だけでなく、「環境や健康まで考えて自転車というチョイスをする」。そんなライフスタイル提案はいい。

 ブリヂストンの主張にひとつだけ難があるとすれば「ヘルメット」。ドロップ型のヘルメット・・・スーツに似合うものが少なそうだ。帽子好きのわたしなら、ハンチング型の帽子感覚デザインのヘルメットをつくります。

 さて恵比寿まで(電車に乗って)披露パーティに出かけます。今日は以上です。

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2008年1月18日 (金)

“うふふ”マーケティングこぼれ話 美ジョガーの教訓

 今日は昨日のビジネスメディア誠連載『Wii Fitが“続く”3つの理由』へのタスキ渡し話です。

 エクササイズやスポーツを3日坊主にせずに続けるコツ、それを“美ジョガーの教訓”から学ぼう。

【美ジョガーの暴挙】
 昨年(07年)10月ごろのある日、同僚のYukaさんがわたしにこう言った。
 「郷さん、わたし今度フルマラソンに挑戦します!」
 「ふ、フル・・・マラソンって・・・42.195km?」
 にこりと彼女はほほえんだ。
 「なぜまた?」
 「何かに挑戦したい気持ちがおさえきれず・・・」
 「あなたならダイエットってことないよね」 とセクハラすれすれの流し目をした。
 「いえそんなこともなくて」 セクハラは見逃してくれた。「でも走ってキレイになります!」 

 きっぱりそう言われると何て答えていいかわからないが、以前ハーフマラソンに挑戦して苦い経験があるという。なのに今度は一気にフルマラソン。無謀というか、暴挙というか、何とかにつける薬なしというか・・・。わたしは半ば呆れた顔をしたのか。

 「暴挙と言われようとなんと言われようとわたしやります」 きっぱりと。 

【美ジョガーはあんがい計画的だった】
 常駐プロジェクトにいる彼女に次に会ったのは11月のある日の夕刻、会議を終え、もう外は真っ暗の時間だった。
 「郷さん、今日はこれから走りにいきます!」 
 「これからって・・・もう夜だよ。どこで走るの?」
 「皇居のまわりを走ります」

 美ジョガーはフルマラソンを走りきるべく仕事を終えた後トレーニングしていた。フルに向かって実に計画的なのだ。これを聞いて週末だけのヨチヨチ走りのわたしは凹んだ。そういえば「アシックスストア銀座」では女性を対象に「Women'sナイトラン」というサービスがあると聞いたことがあった。 

20070801a

 毎週水・金曜の夜、18:30アシックスストア東京を起点に皇居を一周。定員は
 先着10人で参加費は無料(中略) かつ女性限定。

 引用元 http://allabout.co.jp/sports/jogging/closeup/CU20070801A/index.htm

 ランニングにフォーカスしたアシックスストア銀座店では、会員制で美ジョガーを対象にサロン、ロッカールーム、クリニックなどを提供している。そのサービスのひとつが皇居一周の「Women'sナイトラン」である。仕事を終える、皇居を走る、シャワーを浴びる、そして帰宅する。女性には楽しみが多くていいな。

20070801g 20070801h
 写真3点、いずれもAllaboutサイトより。

【そして当日・・・】
 そして美ジョガーYUKAさんは、昨年末12月9日に宮崎県で開催された『第21回国際青島太平洋マラソン大会』にエントリー、“どぎゃんとせんといかん”も走ったコースでフルマラソンを走ってきたのだった。暴挙だと思われつつも完走という快挙をなしとげた。おめでとう!
 Img

  たまには読者サービスで美ジョガーの写真を!と思って本人に所望したのですが、送られてきたのは・・・すみません!伏せ美顔でした(笑)。
 649974748_41 マラソンエントリーの競技場で。

 実は完走するまでには途中“緩走”もあったそうだ。それでも41kmを走り抜くことは大したもの。それもいっしょに伴走してくれた数々のランナーの方々のおかげだと。へたりそうになると彼女に「がんばってYukaさん!」と励まして、伴走してくれたのだった。そのランナーの方々とは、実は彼女のコンサルティング・プロジェクトのお客さまメンバーです。同僚としてブログから御礼申し上げます。

 ちなみに有名な“どぎゃんとせんといかん知事”は、この日はハーフのハーフも走らず「5kmエントリー」だったという。公務ゆえまた宮崎の将来ゆえもあるだろうが、たった5kmは“どぎゃんとせんといかん”ことだと思った。

Photo
 いっしょに走ったメン&ウーメンと美ジョガー(伏せていません!)。

【美ジョガーの教訓】
 Wii Fitを使わなくても運動を続けることはできる。その教訓を美ジョガーの完走から得た。

①自分を駆り立てる場所におく。
高い目標に自分をおいて、やらざるを得ない立場に追い込む。マラソン完走くらいのラディカルさがいい。ひとまわり以上の“年の差婚”を目指すとか、社会を裏切るくらいの目標がいい。

②フィットネス・アイドルをもつ。
「走ってキレイに」なったかどうか初公開の写真で個別にご判断を願います。ますますキレイになったよ♪ キレイになるとは自分の「アイドルに近づく」ことでもある。わたしなら60歳を越えても腹筋が割れるミック・ジャガーに近づきたい。人間、アイドルを持つのはたいせつだ。

③励ましあう。
そして完走の最大の要因だった「励ましあい」。人間はひとりでは生きれない。ジョガーもまたひとりぼっちでは走れないのだ。

 マラソンにかぎらず仕事も同じだ。「駆り立てる」「アイドル」「励ましあう」。この三つがそろえばきっと良い仕事ができる。がんばろう!今日は以上です。

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2008年1月17日 (木)

MacBook Air雑感

 みなさんも記事は読まれたでしょう。わたしもじっくり読みました。MacBook Airの記事。

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 衝撃的な薄さ(最薄部はわずか4mm、最厚部19mm)、インターフェースの少なさ軽さと堅牢さ、iPod touchライクなタッチパッド無線で済ますソフトウエア導入、そして価格、などなど。

 隠れMacファンのわたしに「買いたい!」と思わせたのは間違いないが、HDDモデルで229,800円はちょっと引いた。Panasonic並に高い。USで1799ドルなら、まもなく1ドル=100円だろうから(瞬間風速では間違いない)、18万円ぽっきりせめて20万円なら予約が殺到しただろう(実際どのくらいの予約があるか知らない)。

 価格はともかく、このマシン、近未来のモバイルPCを先取りした。薄さやパッドはともかく、モバイルのかたち、そこが核心である。ワイヤレスですべてを済ますというスタイルだ。通信はもちろんソフトウエア導入も映画もテレビもPod Castingもすべて無線。それがモバイルですよというメッセージだった。

 それを実現するのは、家やオフィスのまん中に「Apple TV」のような「母艦機能」を持つサーバマシンがあって、そこと通信して使う。あるいは街角でネットにフックして母艦につなげる。それがほんらいのモバイルですよ、とAppleは言っている。

 まったくその通り!今のモバイルスタイルは、真のモバイルスタイルではない

 電源持って、マウスひきづって、AirEdge持って、USBメモリ持ち歩いて、エキストラバッテリーを抱えて・・・それってモバイルですか?これがMacBook Airのメッセージ。

 このねらいが日本市場にしっかり伝われば、日本のモバイル市場はもう一度活性化できる。やるなジョブス、そう思った。あとは価格だ。ドルといっしょに下げてくれ。

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Wii Fitが“続く”3つの理由

今日はビジネスメディア誠に週一回連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

 郷好文の“うふふ”マーケティング:Wii Fitが“続く”3つの理由
  “リビングでフィットネス”できるゲーム、「Wii Fit」がヒットしている。Wii Fitの
  ポイントは“飽きずに続けられるコツ”が隠されていることだ。世にフィットネス
 製品はいろいろあるが、任天堂がWii Fitに仕掛けた、ゲームメーカーなら
 ではの視点とは?

 ミズノから発売される「じつは!腹筋くん」がきっかけで、こんなに楽ちんに腹筋を鍛えることができるのに、なぜわたしたちはこんなにもフィットネス怠惰、フィットネス3日坊主なのか?という疑問からスタートした。

 わたし自身はフィットネス道具にはそれほど凝る方ではないですが、家を見ましても、隅っこに邪魔になっているバランスボール、タニタの体脂肪計、スリムストーン、どっかにいったフープ、きっと探せばまだあるエキスパンダー(子どもの頃、大リーグボール養成ギプスごっこしました)やハンドグリップ・・・。あるある、です。きっとどこのご家庭にもころがっていますよね、使われないフィットネス商品。

   02  
 エキスパンダーのバネで遊んだ、なつかしの星飛雄馬ギプス。

 「なまけもの撲滅=お手軽だから継続」という公式は疑ってかからないとダメなのだ。厚生労働省の統計から見ても肥満は増え、メタボリックもいっこうに減らない。

          H05081a01
          H05081a02  
  引用元 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0508-1a.html
 

H05081a11

 H05081a12
   引用元 同

 道具ではない、継続ですよ、といっても道具やサービス(フィットネスクラブ)に身と銭を投じることでがんばろう!というのが現代人。「じつは!職場でも腹筋くん」のチェアでも開発しないとダメなのだろうか。

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2008年1月16日 (水)

トップツアーの北海道・知内町ふるさと体験

 都心にお住まいの皆さんには、知内を「ちない」と読むのか「ちうち」と読むのか・・・そんな知名度かもしれない。“しりうち”と読む(というのは実はわたしも今日知りました_すみません)。函館の南、渡島半島の南西部にある町である。

 この町のふるさと体験ツアーのプレスリリーストップツアー)を見て「ふるさと体験」に惹かれた。

【hmm・・なアドバイス8.トップツアーの北海道・知内町ふるさと体験】
 このツアーは北の海と山々に囲まれて暮らす知内の人々の生活を体験
 し、美味しい地元の料理を味わい、まるで参加されたお客様が知内町の
 町民になったような気分を味わっていただける3日間となっています。
 
 引用元 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=179198&lindID=5

Title

 知内町とは函館から車で約1時間の人口わずか5,500人の町。その町の町民になった気分をあじわえるツアーが売りである。初めて訪れてもなぜかふるさとに帰ったような気分になるという。

【ざっと旅程】
 「知内町3日町民」のふるさと体験ツアーの概要は次の通り。

 2/15(金) 羽田から空路函館。函館市内観光後、知内の民宿やホテルに
      チェックイン。知内町民有志による歓迎夕食会
 2/16(土) うに種苗センターと知内かきの水揚げの見学
     水揚げ後の新鮮な“焼きかき”うまそうです。
     ニラ農家訪問、交流(ニラの特産地ということです)
 2/17(日) 「しりうち カキ・ニラまつり」参加 
     周辺町からも大勢の人がやってくるお祭りとのこと。
     夕刻に空路羽田へ。

01 02 03

 トップツアーによると「日本ではめずらしい外海で育てるかき」で、津軽海峡の冷たく早い海流で育ったかきは身がしまっているという。わかるような気が。お一人様 58,000円なら安い。 

288px_01333svg かなり端っこです。

【体験ツアーはいい!】
 なぜ“町民と触れあう体験”がテーマなのか。ひとつは生の体験を売ること、もうひとつは(とってもあわよくば)移住へいざなうことだろう。

 知内町、美味しいものはたくさんありそうだが、インターネットで調べるかぎり、いわゆる名所旧跡系の観光資源は少ない。青函トンネルの出入り口はあれど、まぁトンネルですし、展望台もあるけれど、津軽海峡の真冬のそれは、荒涼としており長く見て楽しいほどのものではなさそうだ。

 Omonai ずっと向こうは津軽海峡。

 だからふつうなら「美味」「食べ放題」などをテーマにするが、あえて、町民と触れあい、日々の暮らしの見学にフォーカスした。これはとても良いと思う。

【体験ツアーの時代です】
 体験ツアーには「座学(講習)」「見学(解説あり)」「手学(作ったり動いたりで学ぶ)」「足学(歩くいてたどる)」がある。どれもいいが、ポイントは複数の組み合わせである。見学だけでは退屈だから、手を動かして何かを作る。歩くだけだとつまらないから、座学で知識を深める。

 夏休み中の大学のキャンパスを利用したシニア・スクールなるものが米国では流行っている。村田裕之さんの『シニアビジネス 多様性市場で成功する10の鉄則』にはその流行る理由がのっている。 

 ①知的好奇心が似通った人と新たに知り合う機会が得られる
 ②机上の講義だけでなく、実際の体験を通じて生きた学びができる
 ③扱うトピックスが本格的で、本物感がある
 ④高い専門性を持ちつつ、雰囲気づくりが上手な世話役が多い
 ⑤参加者が主体的に関与しやすい仕組みがある
 ⑥活動内容が参加者の体力にちょうどよく、無理がない

 シニアに限らず「これからは体験ツアーの時代」だと私とCherryさんは信じています。やはり手で触り、手で学び、手で考える・・・これが人間の原点です。

【移住はハードルが高い】
 知内町の町サイトにも移住の話がのっている。総務省の(話半分の?)見解では、すでに100万人以上の人が都会と田舎の二居住をしているそうだ。ほんとだろうか?

 田舎に住むのはいいと思う。刺激が欲しければ都会に出ればいいし、ずっと都会にいるのは疲れる。それがわたしもわかるようになってきた。でも(年金も信用できないし)何かでずっと働く必要がある。木こりもよし、漁師もよし、文筆業もよしだが、結構ハードルは高い。だから「現実的な移住解」こそ必要なのだ。そのヒントがこのトップツアーにほのかに漂っている。

【hmm・・なアドバイス】
 もうずぅ~っと前、学生時代、初めて函館を真冬に旅した頃を思いだした。「しばれるぅ~っ」とつぶやきながら外人墓地ハリストス正教会を散策した。冷え切ったからだで民宿に入った。イカソーメンもお刺身も美味しかったが、何よりも民宿のおばさんの温かい歓迎が忘れられない。あれで北海道に惚れました。

 目指そう北海道!田舎で収入のメドを立てるマーケティング、考えてます。今日は以上です。

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2008年1月15日 (火)

座るか、立つか、それがトイレの問題だ。

  わたしは座ります。最初に言っておきます。男性の読者のあなた、どうですか?連休が抜けきらないボケか、もともとボケてるのか、今日は“立つか座るか”がテーマです。

 元はといえば年末に読んだ松下電工の「トイレ使用実態調査」で『座りション約50%』がひっかかっていたからです。わたしは座りますが、男性諸氏は「オレは・・・」と告白をしてから読んでください。

【hmm・・なアドバイス7.座るか、立つか、それがトイレの問題だ。】
 女性には「旦那の小便スタイルは?」男性には「自身の小便スタイルは?」と
 設問を設置したところ、約半数が「座ってしている」と答え、8年前と比べ3倍以上
 に増えていることがわかりました。

 引用元  http://www.mew.co.jp/corp/news/0712/0712-5.htm

  07125a

 99年からの8年間で座り派がしっかり増えている。あなたの周りの男性諸氏も半数は座っているわけです。松下電工では何とか座らせたいのか、この質問を(執念で?)実施し、今回が3回目。調査対象1000名以上というから信用できます。「Panasonic電工」になってもぜひ持続してほしいなと思います。

 けれど、わたしはある同じフロアの男性が、小便器がズラリとならぶトイレなのに、わざわざ大ブースに入って「座らない」ことを知っている。上からのぞいたわけじゃない(それは犯罪だしそっち趣味ないし)。氏のあとのブースに、床上の“テンテン”を目撃したからだ。

【“立ち”の監視役はわたしだけではない】
 この調査、男女別の集計結果がまたおもしろい。女性は53%が「旦那は座ってしている」と思っているのに対し、いつも座っていると回答した男性は3割程度。このギャップをどう読むか。 

  07125b

 「男たるもの会社では立ち、家で座る」と正直に応えたゆえか。だとすると“男たる”が何なのか不明だ。そのあたりをかんがみても30~40%ですから、3人にひとりが座ると見るといい。

【とにかく座ろう、怒られるから】 
 松下の調査に限らず、衛生陶器大手のTOTOの調査でも座りション男が増えているそうだ(ネタ元オリジナルはURLが切れていた)どうも4人に1人だという。さらに昨年TV番組(トリビアの泉)でも類似の調査をとりあげたせいもあって、巷に座り派が増えているのはまちがいない。読者が女性なら、周りの男三人をつかまえて問いただそう。コメント待ってます。

 ちなみにドイツはフランクフルトのある家庭で、こんな標識もあったようで。これ自宅!一般家庭ですよ!

   F0116158_18335070  ダンケ(シェーン)が笑える。
 引用元 http://doitsu.exblog.jp/5679575/

 欧州人が先進的というより、掃除をする女性の発言力が大きいのでしょう。掃除する身になればあたりまえです。

【松下電工は広げ、TOTOは敷いた】
 調査結果を受けて松下電工では調査の上、「便座開口寸法を業界最大の315mm」に広げたそうだ。よくわからなかったが、サイズをタテにもヨコにも広げたのだろう。

   07125d

 ちなみにTOTOではハイドロセラというトイレ専用床材(タイル製)を開発して、敷物を改良して拭く手間を省く方向だ。立つのも仕方ないという態度・・・現実的ではある。

  Check_img2 Raku_benki  

【hmm・・なアドバイス】
 基本的には座ってほしいと思う。その視点からのアドバイスです。

 ①サイズをタテに大きく伸ばす。
 王道の発想。さらに発想を延ばして「前からも洗浄ノズルが出てくる(笑)」・・・嘘ですけど、それなら座るかって人もいそうです(笑)。話題があぶないなぁ。

 ②出入りの方向を変える。
 どの家庭の家も便器にむかって扉を開けて入りますよね。それから後ろ向きになる。おろす、しゃがむ、放つ・・・という動作シナリオ。それが男の小に面倒なら、扉の位置を変えて横ちょから引き戸で入るスタイルにできないでしょうか。歯科医の椅子に座る感じです。まっすぐ進まないぶんだけ座るのでは(もちろん建築スペース制約はある)。

 ③座面にコンビネーションキーを付ける 
 どうしても立ちたければ、3桁のカギを合わせないと座面を上にはねあげられない。オプションでいいかも。

 ④ドイツ人の智恵を“鏡”にする
 ほんとうの「」を便座の裏側に付ける。立ちションをする殿方は、ぐいっと便座を上げる。そこに鏡があるわけです。ご自身を毎回見ることになる。それで止めるか、それでもし続けるか・・・・抑止力になりませんか?あぁ話題があぶない(笑)。連休明けの今日は以上であります。

 
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事業の本質は顧客視点、そこからマーケティングとマネジメントを再構築
 する・・そんなお手伝いをしております。コトの大小はとわず、むしろ小さな事業者さま
 から楽しく相談を受けております。お読み頂くようにヤワい発想ですので、お気軽に
 事業改善、マーケティング改善、ご相談ください。

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2008年1月14日 (月)

切り絵にやどる生命力-切り絵作家 福井利佐さん

 みんなきっと、小学校の図画工作で誰でも一度ぐらい「切り絵」をしたことがあるだろう。カッターで黒い紙を切るあの細かい作業である。どうやって作るかは忘れていたのでチェックしてみた。

 ①絵を描く(好きな写真などでもいい)
  ※どこかで外枠につながるのが基本だが組み合わせもあり。
 ②下絵を色の厚紙(たいていは黒ですね)にあててホチキスで留める。
 ③下絵からカッティングナイフをあて、白い部分を切り抜く。
 ④丹念に、丹念にひたすら切る・・・。
  ※切り絵師には腱鞘炎も多いという(でしょうね)

    1987569085  斎藤隆介氏+滝平二郎氏の絵本。 

 切り絵といえばこの巨匠滝平二郎さんのイメージがある。でも今日のテーマの切り絵には息を飲む繊細さと動感がある。福井利佐さんの切り絵が今日のテーマ。

【hmm・・なアドバイス6.切り絵にやどる生命力-切り絵作家 福井利佐さん】

    Fukuisan_nakashimamika_jacket  桜色舞うころ♪が聞こえてきそう。
   引用元 http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/mikanakashima/

  貝に注目してください。これが福井さんの作品。切り絵というのは普通は平板な感じがするが、彼女の作品は 立体的な切り絵である。さらにダイナミックな動きを感じる。シンガー中島美嘉さんのジャケットの貝。立体的なばかりか、彼女のハスキーな声が貝からさぁ~っと聴こえてきそうだ。

【動き出す切り絵】 

    Ki_ri_ga
    出典 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

 これは福井さんが07年11月に出した作品集の『KIRIGA』の表紙にもなった作品。この横顔の表情の切りとりかた。これが切り絵なのか。キっとする表情、意志のある筋肉が繊細かつ大胆に切りとられている。微細でダイナミックな挙動というアンビバレントな表現がふさわしい、こんな切り絵は始めてみた。福井さんのインタビューを掲載する「SHIFT PEOPLE」では作品をこう書いている。

   グラフィカルで大胆な構図の上にものすごく繊細な線と綿密に計算された
 色彩設定。その絶妙なバランスの上で成立している彼女の作品で切り
 取られている動物や人は、いまにも動き出しそうな躍動感で見る人に迫る。

 引用元 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

      Img_risa_01
   出典 http://www.philspace.com/artist/risa_fukui/index.html

 まさに動き出す切り絵。たった一枚の紙から、どうしてこんなに細かくて繊細で、動的で感情のある切り絵が生まれるのか。今そこからまさに動きそうな動物や、ふとこちらを向きそうな人々の切り絵が所属されるPhilのサイトにいくつかある。ぜひ参照してください。

【切り絵との出会いは自分の得意ワザ】
 福井さんが切り絵に入るきっかけをインタビューで語ってる。

 (前略)顔を線で分解して色彩構成したり、手書きで線をかいたりしていて。
 紙を使うということが身近な状況だったんです。2年生の時に、手法は何でも
 よいから作品を作るという授業があり、普段から紙を使っていたこともあって、
 中学校のときに切り絵が比較的得意だったことを思い出したんです。

 引用元 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

 多摩美術大学のグラフィックデザイン科に在学中のころ、自分の得意技を切り絵に見出した。グラフィックなデザインの技法と、得意だった切り絵が出会ったのがきっかけ。とうぜんこれだけ微細な表現なのだから、ひとつの作品で何十時間もかかるとご自身のブログにもある。疲労蓄積、腱鞘炎になって不思議はない。

   Hukui1108 Hukui1109  
 作業風景の写真(ブログより)普通のカッターマットですね。
 http://artgene.blog.ocn.ne.jp/fukui/2006/07/post_34c1_1.html

【切りとりながら、紙に生命を与える】 
 福井さんの切り絵が気になって週刊文春を立ち読みした。桐野夏生さんの連載小説『ポリティコン』の挿絵(切り絵ですね)は福井さんの作品だから。今週号(2008年1月17日号の椅子に座る人々の後ろ姿と、手のひらと腕)の挿絵をじっと見ていてひとつ気づいたことがあった。

 絵も切り絵も人やモノや風景を「切りとって」作品にする。でも切り絵は、絵と違って「線」だけで対象の線と面を表わしてゆく。どの線、どの面をどのように切りとるか、それを切り絵の中でどんな線に写しかえるか、それは絵で描くのと違う表現力であり創造力がいる。

 切りとりながら、紙に生命を与える。それが切り絵だと思った。素人の直感なのでアテにはならないが。

【hmm・・なアドバイス】
 同じ一枚の紙にも、生命を宿すこともできれば殺すこともできる。最近は紙で書かないけれど原稿も同じ、ブログも同じ。自分なりのオリジナリティとは、対象のどこを見てどう抜き出すか、丹念な作業でそれを殺さないことにつきる。今日は以上です。

   Img6  Fukui_071106_12
  携帯の切り絵デザインも。        ご自身の作品の前で(ブログより)。

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2008年1月13日 (日)

ミシュラン日本観光ガイドの目線

シュラン東京レストランガイドは爆発的に売れた。一時は書店の店頭からも消えたが、最近はAmazonでも中古が出回っている。行ったことのある店なぞないだろうなぁ、買っても★レストランにさえ気軽に行けないんじゃなと思いつつ、買い損ねています。

 そのガイドではなく、もうひとつのミシュランガイド、MICHELIN Japon ─Voyager Pratiqueがテーマです。

【hmm・・なアドバイス5.ミシュラン日本観光ガイドの目線】
 ミシュランが初めて日本を取り上げたガイドブックで、日本を訪れる外国人
 観光客向けに豊かな自然や文化といった日本の魅力を紹介しています。

 引用元 http://www.michelin.co.jp/news/corporat/p1640.htm

    Img461627fb10c69  MICHELIN Japon ─ Voyager Pratique

 日本の観光地の格づけをした『ミシュラン・ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン』。Voyager Pratiqueとは“旅行の便利帳”といった意味。ざんねんながら仏語のみ。07年4月に刊行されたこのミシュランガイド、日本は26ヶ国目だった。そんなものか・・・はともかく、4人のライターが7ヶ月滞在し、観光地や都会を歩きき食べ、半年かけて書きあげた。主な構成。

 ・旅行の期間、予算、スタイルに応じて計画を立てやすいテーマ別の表
 ・旅の見所や土地の名物、ヒントを満載したミシュランマンのコーナー
 ・フリーランスのライターが現地に赴いて選んだ、さまざまな価格帯の
 ホテルとレストランの情報

【観光地の格づけが波紋をひろげた】
 詳細な結果はこちらからどうぞ。 

 観光地:三ツ★は知床国立公園、松島、日光、東京、富士山、高山、京都、奈良、姫路城、上野そして高尾山(!)。ちなみに山で三ツ★は高尾山と富士山のみ。鎌倉は★ふたつ、横浜は★ひとつ。沖縄は★もなく紹介は2ページにとどまる。

 博物館・美術館は飛騨高山美術館(岐阜県高山市) 、京都国立博物館(京都府京都市) 、九州国立博物館(福岡県太宰府市)、そしてミホミュージアム(滋賀県甲賀市信楽町)。ざんねんながらわたしはまだひとつも訪れたことがない。行きたいなあ。地中にうまるミホミュージアム、美しい。飛騨高山美術館のミュージアムスクールも楽しそう。

    Sigarakim01  Profile
  ミホミュージアム               ぬぼでこ美術館

 この観光地の格づけは、東京ミシュランガイドを喧噪を約束したように、また観光業界を狂喜と波紋をひろげたそうだ。

【高尾山は観光ブームに】
 「東京中心部から約50キロ、約50分の八王子近郊にある」「山の斜面には亜熱帯から温帯の木々からなる美しい林が広がっている」「山頂からは東京のすばらしい眺めを楽しむことができ、天候に恵まれれば富士山を臨むことができる」 いずれもミシュランに書いてあるという報道があった(フジサンケイ)。

    Fuji02  高尾山公式ページより。 

    169703 Air BE-PALより。

 新宿から京王線高尾山口までたったの50分。東京近辺にお住まいの人なら1度や2度は訪れたことがある。ミシュラン効果で07年の4月-9月は前年同期比3万5,000人増。Air BE-PALの松美 里瑛子さんのエッセイによると、紅葉の秋のシーズンは人いきれ(!)。山頂が大混雑って・・・先日無くなったヒラリー卿には信じられないでしょうが。

  わたしの高尾山体験といえば、遠足ではモチいった。なぜか大学の呑み会もあった。たしかビヤガーデンだったのだろうが、呑み会で何かに腹を立てたのか、フラれたのか(いつものことだった)、ひとりで(ケーブルカーに乗らずに)歩いて降りてきたのを覚えている。青春の地だ。標高599mだからこそ、東京で山の青春が演じられたのだった。

【自然と触れあうのが好きなフランス人】
 選に漏れ、また★の数が少ないと感じた観光地や施設には激震だった。悲喜こもごもに次期改訂で挽回しようとしているそうだ。だがこれは、「自然と触れあうのが好きなフランス人が書いた」という前提を忘れてはならない。

 「評価は格付けではなくフランス人にとっての興味深さが基準になっている。フランス人には、ハイキングなど自然に親しむ国民性があり、高い関心を持ったのではないか」 (日本ミシュランタイヤ広報部の石井陽子さん) 

 そもそも格づけにはさまざまなものがある。

 「業界専門家の格づけ」 (一般的にはもっとも信頼されるが、ウラはある)
 「有識者の第三者視点の格づけ」 (かなり怪しいが報酬は高い)
 「オタクの一人称の格づけ」 (わたしはこれに一票だ!)
 「一般ピープルの体験からの格づけ」 (ピープルの格づけが必要)
 「外野席の格づけ」 (外野席はそもそもサポーターだからバイアスすべし)
 
【hmm・・なアドバイス】

 ミシュランガイドは言うまでもなく外国人目線の格づけである。日本の地を“まだ壊れていない風景”としてとらえている。だからこそ上野が三ツ★で、お台場がひとつ★なのである。

 そういう目でミシュランガイドを読めば、“メタ日本人”の目線、つまり現代人や東京人に失われた目線を回復できそうな気がする。日本のほんらいの良さ=田舎に目を向けよう。今日は以上です。

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2008年1月12日 (土)

e耳くんで小さな声で耳でしゃべろう!

 世の中には大きな声の人もいれば小さな声の人もいる。営業本部のT女さんはあんなにしゃべる声は小さいのにはっきり聞き取れる。電話をかけているとき、彼女はほんとうにぼそぼそと小さな声で話しているのに・・・。その理由は、どうも発声がいいのではないかという結論にいたったことがある。声のマナー、とても良くて好きです。

 だが誰かとも言わないが、ドでかい声で電話する人もいる。今日のテーマはそんな人にうってつけの「人は耳でも話せる」ということを知った『e耳くん』という商品。

【hmm・・なアドバイス4.e耳くんで小さな声で耳でしゃべろう!
 携帯電話や無線通話が普及し、いつでもどこでも通話が可能である時代となりましたが、製造・土木建築・運輸などの高騒音現場では通話が困難な状況にあります。本製品は、新技術により通話相手に騒音を感じさせないクリアな音声を伝える双方向 防雑音イヤホンマイクです。
引用元 http://jtd.ns-elex.co.jp/e-mimi/gaiyou.html

Emimi  

 いかにも業務用!っと感じの堅い紹介文だが、要は騒音が大きな現場や工場内で、携帯電話に装着したイヤホンマイクとレシーバ装置(有線と無線の2タイプ)とお手持ちの携帯をつなぐことで会話ができる。レシーバはヘルメットに装着したり胸ポケットに入れる。

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 この図のようにイヤーピースには携帯電話の受話音を聞き取る受話機能と、口で発声した声を耳管(じかん)を通じて携帯の送話へ送る機能がある。自分の声はつぶやきでも聞こえるが、ことばの空気振動が耳管を通って内耳に伝わるのだそうだ。ふうん。

【双方向で話せるイヤホン】
 「(前略)1つのスピーカーで同時に流れる相手の声と自分の声を切り分けるのは非常に難しく、これを実現できたのは、イヤフォンマイク用LSIとノイズキャンセル用LSIを三洋さんが開発されたから」。
 引用元http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0712/18/news143.html#l_yo_emimi07.jpg

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 http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0712/18/news143.html

 日鉄エレックスでは従来からトランシーバのようなかたちで双方向通話ができる商品を出していた。だが「はい、どうぞ」・・・「了解しました、どうぞ」・・・「そうですか」のヤリトリでは話しにくいという声があり、三洋電機に双方向通話のできるLSI開発を委託した。

 発声も工事現場の音を遮断して、話す声だけを相手に伝える。それも通話相手が聞く声の音量の1/300の小ささでしゃべっても聞き取れるという。これならみんな声の小さい同僚のTさんになれる。携帯電話で大声でしゃべる人はぜひ装着してもらいたい(安くはないが業務用なので・・有線タイプが4万円、無線タイプは6万円)。発売は2008年4月1日より。

【“ちょっと待って、今電話中”】

 この装置、レシーバがもっと小型化されればiPod shuffleのように襟にちょこんとはめることもできる。いずれ携帯電話の中に収まれば、まさしくイヤホンをしながら独り言をしゃべる人ばかりになるのだろうか。恋人と話している最中、彼が突然ぼそぼそとつぶやきだして・・・。 

「ねえ、あなた。わたしの話、聞いてるの?」
 「ちょっと待って、今電話中だ」 なんて。

 ま、コギャルには友人と話しながらメールを打つヤツもいるので今さらだが。

【hmm・・なアドバイス】
 新たな商品機能で人の動作がかわる。黒い電話器で「モシモシ・・・」なんてポーズはずっと昔に消えたが、腕時計型の電話で「モシモシ・・・」も未来電話ではない。

 この商品、騒音の中で話すことができるというより、耳で聞きながら話せることに感心した。ハンドフリーどころかマウスフリーで、耳でぼそぼそしゃべれるのは通話スタイルを変える可能性がある。骨伝導もそうだが、人のからだと商品の関係、じっと見ればまだ可能性があるのだ。ほら目は口ほどにモノを言うっていうでしょう(違うかしら_笑)。鼻息も荒く・・っていうし。でも鼻でしゃべられるのはちょっと(笑)。今日は以上です。

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2008年1月11日 (金)

“うふふ”マーケティングこぼれ話 擬音語・擬態語はことばのコラーゲン

 今日はビジネスメディア誠連載の『擬音語・擬態語で、グ~ッとマーケティング上手』の与太話しの続きです。

 擬音語・擬態語という“ことばのコラーゲン”が失われると、ことばのハシバシが乾燥する。ことばに木枯らしがふきすさぶ。カサカサになる。やがて「無味乾燥なヒト」になってゆく。まずい・・・ というようなことを書いた。

【擬音・擬態は知的じゃない?】  
 すると同僚のYUKAさんからゼツミョーなツッコミがブログに入った。   

  「擬音語・擬態語が多い人は知的に感じられない」  

 どうも昨日某テレビ番組で「大阪人は擬音が多い」というネタがあったようで。その番組、観てい ないのだが、そう思いますでっしゃろ? そう思いますねん(笑)。たしかに擬音語・擬態語=知的 というより、関西人のノリ、落語家ぽいと思わへんか。  

 だが続けて書いてくれた「ぜひお近くの関西人で潤ってください」というコメントにはちょいとねぇ ・・・とツッコミ返したい。関西人=擬音語多し=耳心地よし=潤える、とは限らない。某知人の関西人には“がっちょ~ん”。ここだけの話です(どこだけか知らんが)。   

06021701  『てなもんや三度笠』知ってますか?    
 “スコーンとドタマかち割ってストローで血吸うたろかーッ”

【擬音も擬態も使いかた次第で知的に】  
 擬音語・擬態語、語いが少ないから音でゴマかすのでは知的ではなく痴呆的。だが擬音も擬 態も知的であったりもする。たとえば詩だ。夭折の詩人中原中也の『サーカス』。

  落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと   
  ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん  
 

 わたしはココロが弱くなると読むのは高村光太郎の『』(WORDでわざわざタテ書きで筆写したファイ ルあり)。     

  牛の眼は聖者の眼だ   
  牛は自然をその通りにぢつと見る   
  見つめる   
  きよろきよろときよろつかない

 短歌・俳句・川柳でもまた擬音・擬態は重要な役割をになう。そのあたりのことは、山口仲美さんの名著『犬は「びよ」と鳴いていた』をお読みください。読みやすく深く理解できます。  

【擬音・擬態が多いわけ】  
 「ギャフンと言わせてやる」は何がギャフンなのか?という疑問を投げかけているのは情報考学 の橋本大也さん。してやられたときにギャアといってもギャフンというのか?ギャはいいとしても、 フンは何か。よくわからないが、そこに音を創作する知的さを感じる。  

 日本語の擬音・擬態の多さは脳の音の受け止め方の違いだという。次の一文は伊勢雅臣氏の「国際派日 本人養成講座」より。   

  西洋人は虫の音を機械音や雑音と同様に音楽脳で処理するのに対し、日本
  人は言語脳で受けとめる、ということが、角田教授の実験であきらかになった。   
  日本人は虫の音を「虫の声」として聞いているということになる。

 音楽脳=右脳で、音や機械音を処理する。言語脳=左脳で、声として音を処理する。西洋人 はリ~ンリ~ンの虫の声を「」として処理し、日本人は「」として処理するというのだ。声として 処理するから、豊かな表現で擬音・擬態出てくる。へぇ~・・なるほど。

【知的な擬音語・擬態語を学ぶために】  
 さらに。わたしの仕事上の師匠Yさんのエピソード。地方都市へ師匠と通ったことがあった。そ の道すがらの機上でYさん、めずらしく何かヘッドホンで聴いている。  

  「何聴いているんですか?」とわたし。  
  ヘッドホンをはずして「落語だよ」  
  「ほぉ・・・落語ですか」  
  「オレはね、最近志ん生のCDも買ったんだよ」  
  「ええ!10枚ぐらいのセットモノの落語のCDですか?」 
 

41yg0gft2tl_aa240_    

 その先輩、もともと普通ではなくハズれた発想・生き方をする人であるが、その人にして“アタマ を柔らかくしないとダメだ”というのだ。そのときはフフン・・・と聴きながしたが、自分の堅い文章を 読んでフト思いだした。   

 パチン(箸を割る)、おさきにぃ!ズルズルズルっ(蕎麦をすする)、うぅぅぅ・・・んめえ!と人の仕草、ココロの機微を擬音で表すうまさは落語の特徴。観察して脳で処理して擬音・擬態で さらりと言う。脳トレにもってこいですね。今日は以上です。

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2008年1月10日 (木)

擬音語・擬態語で、グ~ッとマーケティング上手に

 今日はビジネスメディア誠で連載する『“うふふ”マーケティング』へのスイっとリードです。

擬音語・擬態語で、グ~ッとマーケティング上手に
 これを読んでいるマーケッターのあなた。商品紹介を書くとき、どんな風に
 その魅力を訴えているだろうか? 理路整然とした説明より、美麗な言葉の
 羅列より、もっと素朴で直接的な手が有効なことがある。誰かに話しかける
 ように擬音語・擬態語を使ってみるのだ。
 
 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0801/10/news063.html

 ニッポンほど擬態語・擬音語が豊かな国はないといわれる。

 擬音語がはみ出す漫画はいざしらず、テレビも映画も家庭ドラマも愛の物語もアドベンチャーも擬音や擬態のオンパレード。携帯メールは擬音や擬態の辞書ばかり年々豊富になっていく。コギャルのしゃべる言葉から擬音語と擬態語を抜いたら、たぶん会話にはならない。

 批判しているわけじゃないんです。まったく逆。擬音語と擬態語は「ことばのコラーゲン」、たいせつだと思う。

 今回のエッセイのきっかけは、新年を迎えるにあたって、自分の心の掃除をしていたら、「わたしには擬音語・擬態語が少ない!」とい発見があったのだ。これまで書いたものを見渡すと、擬音語はともかく擬態語がなかなか見つからない。これは“うふふ”じゃないじゃないか!ヤバイと。

 擬音語・擬態語が少ないのはことばから“コラーゲン”が失われたような状態だ。水分の少ない堅い漢字や、水分を必要とする形容詞をつなぐには、つるつるヌルヌルのコラーゲンが必要。乾燥してコラーゲン不足になると、文章もまた関節炎になり、読んでも文にすべりがなくなる。コラーゲンがあってこそ文章は「口に出してリズムが気持ちよい」。擬音語や擬態語は気持ちよくさせるのにはぴったりなのである。

 文章がカサカサになると読者をもかゆくさせてしまう。そうならないよう、明日もまた与太話を。今日は以上です。

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2008年1月 9日 (水)

海自 自慢のレシピ公開で信頼回復

 読売新聞のサイトに、「海自の自慢レシピ、HPで公開…2年かけて200品を紹介」という記事があった。これはウケました。2008年1月1日からHPを全面リニューアルしたそうだが、その目玉がレシピなのである。

 旧海軍以来の伝統を誇るカレーライスなど海上自衛隊の自慢料理のレシピが、
 この年明けから、海自のホームページ(HP)で公開されている。

 引用元 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080105ic05.htm

【hmm・・なアドバイス 3.海自 自慢のレシピ公開で信頼回復】
 なんといっても海軍と言えばカレーのようで、1月1日にアップされたのは『ひびきカレー』。提供部隊は音響測定艦「ひびき」

Ph_main 濃い色。

 最初ににんにくとしょうがを入れて香りが出たら、牛肉を入れ次いで黒こしょうと玉葱という順序である。カレールーとカレー粉、デミグラにグレービーソース、赤ワイン、このあたりが隠し味だろうか。 

01 裏技。

 さらに『ジョーさんの裏技伝授コーナー』もある。「焼肉のたれ」「お好みソース」「チーズ」「白桃缶(!)」「カルピス(!!)」  皿に(洒落です)コクが足りない場合は、餅のみじん切りを入れて弱火で煮込むそうだ。ほぉ・・・参考になりました。

【潜水艦「あさしお」の唐チリボンバーは気になる】
 唐チリボンバー(ボンバーって爆撃ですよね)の提供部隊は潜水艦「あさしお」である。

Ph_main_2 見た目は辛そう。

 鶏肉を卸し(文章ママ)ニンニク・卸し生姜に漬け込んでおいて揚げる。調味料(水、砂糖、醤油、ケチャップ、酢、豆板醤)のソースでからめる。豆板醤が唐チリ部分だろうか。レシピは毎週火曜と金曜にアップされる予定。詳しくはサイトを参照。
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/index.html

【海軍割烹術参考書】
 原典は『海軍割烹術参考書』。市販もされているこの本、旧海軍のカレイライスレシピはこうだ(誰も読まんだろうが_笑)。 

  カレイライス
  材料牛肉(鶏肉)人参、玉葱、馬鈴薯、鹽「カレイ粉」麥粉、米
  初メ米ヲ洗イ置キ牛肉(鶏肉)玉葱、人参、馬鈴薯ヲ四角ニ恰モ賽ノ目ノ如ク
  細カク切リ別ニ「フライパン」ニ「ヘット」ヲ布キ麥粉ヲ入レ狐色クライニ煎リ
  「カレイ粉」ヲ入レ「スープ」ニテ薄トロヽノ如ク溶シ之レニ前ニ切リ置キシ肉
  野菜ヲ少シク煎リテ入レ(馬鈴薯ハ人参玉葱ノ殆ド煮エタルトキ入ル可シ)
  弱火ニ掛ケ煮込ミ置キ先ノ米ヲ「スープ」ニテ炊キ之レヲ皿ニ盛リ前ノ煮込ミ
  シモノニ鹽ニテ味ヲ付ケ飯ニ掛ケテ供卓ス此時漬物類即チ「チャツネ」ヲ
  付ケテ出スモノトス

  引用元 http://www.mod.go.jp/msdf/fourmss/kaigunkarei.html

 HPには主要装備品というページもあり、ひょっとしたら護衛艦や潜水艦のキッチン画像が載っているかと期待したが・・・そこは武器のオンパレードだった(笑)。

Harpoon  艦対艦誘導弾ハープーン、熱そう。

【柔らかく煮込まれた海自のHP】
 海自のHP、思い切って柔らかく煮込まれた。こんなにやわらかくて戦時にだいじょうぶか?と思われるが、きっかけはイージス艦の問題だろう。海上幕僚長のご挨拶で、吉川榮治海将は「・・・損なわれました海上自衛隊に対する信頼を回復するため、全隊員一丸となって初心に返り、国民の皆様からの温かい御理解と御支援にお応えすることができるよう・・・」と伝える。

 世間をさらに騒がす防衛省の贈賄問題もある。航空自衛隊、陸上自衛隊のHPは堅く兵器ぽいので、海軍の柔らかさがキワ立っている。あの不祥事の重厚長大企業よりもやわらかい。

【hmm・・なアドバイス】
 組織の信頼回復。どうやるかで組織の品格が問われる。

 あの雪印では社員の謝罪広告があった。『2002年3月、雪印。私たちが犯してきた、悪質な行為の数々。本当に申し訳ございません・・・』 悪いのは経営陣や一部のトップとして、社員は被害者という顔をすることもできる。でも組織である限り責任を分担しよう、そういう姿勢だった。

 信頼回復は続けてこそナンボ。海自ではHP上での幕僚長の謝罪だけでなく、レシピの公開、そして2年にわたる100回の連載という、やわらかい策を提供しつつ自分たちの組織にお仕置きした。海自の調理担当だけのお仕置きではなく、海自の職員も週二回のレシピ公開のたびに反省をする機会がある。そういうねらいだろう。正直言ってなかなかやるな幕僚長と感心した。

02

 ブログもまた続けてナンボ。続けて信頼構築になってるか?このブログ。自問して自答せず今日は以上です。

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2008年1月 8日 (火)

分別臭くなく、ふくらんで、雑誌を読めるゴミ箱

 今日はほんとうはある商品について書こうと思ったのだが、Cherryさんにその商品を言ってみたら「あ~それ知ってる、知ってる・・・」と軽くイナされた。たしかに昨年からある商品だから、今さらどこまでトンがったことが書けるか・・・。でちょっと凹んで、一晩寝かそうと思った。

 凹んだ気持ちでオフィスを見回すと、ひたすら経理資料をシュレッダーかけている人がいた。

 「たいへんだね。こんなにあって・・・」とわたし。
 「ええ・・・もうたくさんあって」とシュレッダーをかける人。
 「コンサル本部にはまだヤギがいないからね」

We_do_not_have_a_goat_yet

 これは昔パワポでつくった「自分のゴミは自分で」ポスター。ヤギではなく“捨てるのが楽しくなる”ゴミ箱をテーマに。

【hmm・・なアドバイス 2.分別臭くなく、ふくらんで、雑誌を読めるゴミ箱】
 まずスタイリッシュな分別ゴミ箱から。

 ゴミ袋で最大4種類まで分別が出来るゴミ箱です。このゴミ箱の大きな特徴の一つは、使う人がセッティングするビニール袋によって、都合のいいように仕切ることができるという点。
引用元 http://stylestore.allabout.co.jp/mojo/ProductInfo/sku/BJ017-45-5000-A147/ 

  Bj017455000a147_use2  Bj017455000a147_main

 最大の特徴はゴミ箱の仕切りにある。仕切り版を最大3枚入れることで四分別に対応するところだ。20~45リットルぐらいの袋をセットして、お住まいの自治体のゴミ収集にあわせることができる。中に容器がなく、ゴミ量にあわせて好きな仕切りにできるところ、四角いかぶせで見た目がとても綺麗にカバーできるスタイリッシュさが秀逸。

   Bj017455000a147_use3

 デザイナーの塚田直人さんが思ったのはきっと「分別臭いのはイヤ」だったのだろう。ほいっ!とゴミを投げると隣の仕切りに入る恐れはある(笑)。HANGER DUST (W)11,000円(税込み)。

【ゴミってたまると嫌ですが・・・】
 次にはたくさん入るとふくらんでくれるゴミ箱。スウェーデンの美女四人組Frontのデザイン。

Materia_bin_3

 The collection is inspired by common every day objects. We are interested in the story an object tells about itself and how it relates to objects that have been produced before.
引用元 http://www.frontdesign.se/newsupdate_materia.htm
 (このコレクションは(他にハンガーやフックがある)、ありふれた日用品から触発されてつくりました。モノが語ってくるその物語自体に興味をもって、今まではどうデザインされてたんだろう、と思いをはせました)

   9

 彼女たちが感じたゴミ箱の物語とは、「(ゴミ一杯で)太るのってイヤ!」だったと思う。女性ならずとも男性もそうです。

【臭いからゴミ箱にフタをするのではなくて・・・】
 3つ目はSnowtone Wastebasketと名付けられたデザイン。

   Snowton

 wastebasket the bin can be sealed by a ordinary magazine. useful for people who like to read on the toilet.
引用元  http://www.snowtone.com/pages/dustbin.html
(雑誌でフタされるゴミ箱。トイレで雑誌を読む人御用達)

 雑誌がのっかるように窪みがあるだけのシンプルなデザイン。デザイナーは東京を拠点とするStephen Hauserさん。

【捨てることを捨てる】
 塚田直人さんはブログに「ダストボックスをインテリアとして考え、よく見える目立つ場所に置きたいのです」と書いていたが、ゴミ箱に光をつまり“捨てるという機能を捨てる”ところからの発想がある。

 塚田さんの仕切り板だけの分別ゴミ箱は、分別臭い生活感を捨てた。分別って面倒・・・から分別って楽しいに変えようというデザインである。

 Frontのデザインは“ゴミ箱って一杯になるとイヤね”という自分の感覚をじっとみつめて、むしろ一杯になることを楽しみ変えようという発想。

 雑誌を載せるデザインは、ゴミ箱に足を載せてエラそうにするのは下品。考え疲れしたな・・・とゴミ箱に向かって“考える人のポーズ”をつくれる。ミカンでも食べながら雑誌で気分転換♪雑誌の流し読みができる。

【hmmなアドバイス】
 フトわたしも文章づくりでゴミ箱をあさっていることに気づいた。文章書いてはパラグラフの中で、またセンテンスの中で、単語ごとに・・・書いては捨て、書いては動かし、変化させている。文を書くときはみんなそうしているでしょう。

 捨てるということには実は“いろいろな機微”がある。分別というルールもあればポイッとが入ったぁという快感もある。捨てちまったモノに思いもはせることもある。捨てきるまでにはいろいろあるのだ。

 結局、自分の姿をすなおに見て、心の声を聞き取るということなのだろう。今日は以上です。

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2008年1月 7日 (月)

『宮若生活』 広報の“耳”

 今日は隔週で書くぷろこんエッセイからの転載です。ご購読いただけるか方は
 こちらからお願いします。 まぐまぐ メロンパン

 かおりさんは取材中、こんな言葉をかけてくれた。
 「人口三万人の宮若市なら、飲酒運転をゼロにできるかもしれない。
 子どもたちが安心して生活できるまちにしてください。そして、
 全国から目標となるまちになってください」。

 『宮若生活 2007年12月号』 福岡県宮若市の広報誌より

         @@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 

 まっすぐな広報誌なのである。

 宮若―聞き慣れない名前は市町村合併のネーミングゆえだが、元は炭坑の町
にして今はトヨタの町、福岡県下人口3万人ちょっとの宮若市の広報に感動した。
まっすぐな思い、ひろい視野、そして問題提起がほとばしっている。28ページだて
の冊子を、ひとりの担当者が取材・調査・撮影・編集までの制作して、それがしか
も兼務らしいのにもびっくりした。雑誌の『天然生活』にタイトルもデザインも似て
いるが、それは追求しまい。

11

 07年11月号の表紙は“靴”。クレジットにこうある。「この靴は、飲酒事故に巻き
込まれ命を落とした人が愛用していたもので、遺族のご厚意により撮影させてい
ただきました」

 2~3ページでは「飲酒運転加害者が語る 贖いの日々」と題された、業務上過失
致死とひき逃げで懲役服役中の加害者の手記。なまなましい。少しのつもりがい
つのまにか3時間、一瞬の居眠りで歩行者をひき逃走・・・。4~5ページは「アルコ
ール依存の先にあるもの」。自動車を走る凶器にかえる飲酒運転の血中濃度と
酒量と酔いの状態を医師のインタビューで解説。

 6~7ページでは、宮若警察署長に話を聞く。9月からの道交法改正では運転者
に「呑ました人」も「まあいっしょに帰ろうや」も罰則がある。気をつけなきゃ。8~9
ページでは、トヨタの町らしく自動車部品製造企業の社長に話しを聞く。「誇りある
仕事を凶器にしないでほしい」。アルコール検出でエンジンがかからない装置も
あるが、人はロボットじゃないんだから、意志をもって飲酒運転をやめてほしいと
訴える。

 10~11ページは、8年前に飲酒運転で二女を失った福岡県前原市の大庭さんの
インタビュー。夜中に三時間以上をかけたそうだ。“静かに、そしてかみ締めるよう
に放つ一言を聞き漏らすまいとうなずく自分がそこにいました” この広報誌の制
作担当の林さん、「取材を終えて」でそう書いている。
          

         @@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 

 反響が大きかった11月号を受けた12月号では、あの博多湾の追突転落事故で
幼い三人の子どもを失った大上夫妻のインタビューを2ページにわたり掲載した。
「・・・全国から目標となるまちになってください」は、このときの大上かおりさんの
ことばである。加害者は飲酒運転だった。

 『宮若生活』のこの広報特集のきっかけは“身内の犯罪”。07年9月に宮若市の
教職員(小学教頭)が飲酒運転で当て逃げをし、市役所に抗議の電話やメールが
殺到した。『庁内には腫れ物に触りたくない雰囲気もあったが「広報だからといい
ことばかり取り上げてはダメ」と上司を説得した
』。それがこの2号で15ページの
特集になった。福岡の大上さんの三人のこどもの命を奪ったのは、ごぞんじの
とおり、福岡市職員である。

 わたしの住む市の広報とは比べられない。市名は出さんが悪口は書きたい。
ウチのは“お知らせ誌”。「議案が出され、質問がありました」「人口流入が何人
で、流出が何人」「みなさんの1票をたいせつに」・・・こんなの、誰が読むんだろう?
読ませるために作っていますか?気合いゼロで予算はいくらですか?行事の紹
介欄にも言いたい。役所がらみ行事ばかり掲載するのはおかしい。それでは市の
メディアではなく“市役所メディア”だよ。

         @@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 

市の広報誌は何を広報するのだろうか。『宮若生活』のエッセンスは「まっすぐ
な思い」「
ひろい視野」「問題提起」の三つだろう。

 “まっすぐ”とは身内がらみもグリグリすること。組織に文句を言うのは勇気を
まっすぐ出さないとできない。“ひろさ”とは加害者・被害者・警察所長・医師・自
動車部品会社の社長までひろげて、飲酒運転のテーマを語る視点だ。

 余談ですが町は日々変化する。久しぶりに駅まで違う道を通ったら「Curves
のフランチャイズがあった。米国発の女性オンリー、1回30分のエクササイズ・
チェーンだ。我が町にもあった。興味津々なのだが女じゃないので、ざんねん。

 広報担当者は市役所を出て街を歩こう。小さな変化がたくさんある。市の“室内
運動施設”(マシン・エクササイズ)がなぜ閑古鳥なのか、その理由もわかるし、
市の施設のアマさの問題提起をしてもいいではないか。「健康づくりからだづくり
始めませんか」なんて特集じゃ、ぜんぜん体脂肪減になりませんよ。

 市民と市をむすぶ点にあるのは“問題提起”だ。 

 06年12月号の『宮若生活』の特集は「もしもトヨタがなかったら」。自動車の町、
宮若の現在と将来、地域と産業の関係をかんがえて、広報誌の総務大臣賞を
受賞した。

 地方のどの市でも町でも、このままではどんどん衰退するという現実がある。
税源の移転なんて小手先ではいずれボロがでるのはミエミエである。だから
「ウチの市や町はどうするか」、問題を提起して市民の声を聴く。聴いたことを
また伝える。体験やアイデアを交換する。だからこそ07年10月号の『宮若生活』
の表紙は、「耳がでっかくなっちゃった」。パーティグッズのジャンボ耳をつけた
人の耳がでっかい。「広報」は「広聴」でもなくちゃ。

10  友人から借りて撮影という説明文は笑えた。

          @@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 

 企業の広報も『宮若生活』に見習いたい。

 メーカーやゼネコンの技報によくあるのは、「広報誌=PRの場」である。営業
ツールとして持ち運びたいのもわかるが、商品パンフレットでなぜだめなのか。
大企業にありがちな、文化路線や環境路線の広報誌。それも広報の役割の
ひとつだが、問題提起がアタリサワリなさすぎる。

 投資家も読むなら、良くても悪くても投資リターンの実績や自社の業界の変化
をまじめに語るのもいい。“偽”や“汚”ばやりだから、自業界での汚れた部分を
切りとって、「ウチはやらない」宣言や「あれば開示する」姿勢を示すと顧客の
信頼をかえって強めるはずだ。社長の趣味以外に語ることはある。

 そう考えると、実は広報には組織内部に向けたメッセージ機能がある。タテマ
エばかりの広報誌なら、ウチはタテマエの組織なんだなと。ホンネがあれば、
「ウチもまずい」とホンネで言えるんだなと。

 コンプライアンス、内部統制、内部通報・・・強権発動はいろいろ出そろったが、
“企業広報”というメディアがホンネを語るのは、組織を怨念でブツブツさせない
策だと思う。

 今日は以上です。

 亡くなった同僚の伊達さんは、わたしのこのエッセイを、均等割り付けという小技で両端をそろえて
読むという、手間と価値が釣り合わないことをしていたと聞いたことがあります。それが彼の命の一部
を縮めたとはいえないけどひょっとしたらそんな積みかさねがいけなかったかもしれないと、今日の一
文はなるべくそろえました。今回のエッセイを彼にささげてしばし黙祷
・・・・(揃えてまして_笑)・・・・・。

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2008年1月 6日 (日)

自分の後ろにあることを書く

 今日気になったのは次の言葉である。

自分の後ろにあることを書く

 著名なプロダクトデザイナーの秋田道夫さんのブログからひろった。そのくだり。

 自分の前にあることも自分の横にあることも抜きにして、自分の後にある
  自らのデザインについてその背景もふくめてきちんと書いて行こうとして書い
 たのがはじめて手がけたソファーINCLINEのコンセプトに関する記事でした。

 秋田道夫さんブログより 

【hmm・・なアドバイス 1.自分の後ろにあることを書く】
 秋田さんはその日のブログで、それまでブログでどんなことを書いてきたか振り返った。すると、他人のデザインしたものや、人の商品のことを書いていた。そんなことをしても仕方ないんじゃないか。「買ったけどどうだった・・・はやめよう」「自分だったらどうするか・・・に立脚したものの考え方」から抜けだそう。

 「他のデザインについては極力批評も批判も書かない」というスタンスに変えようと考えた。平たく言えば“批判や批評する立場にないから書かない”その替わりに“自分のことを書こう”である。 

 「その通り!」と読み飛ばそうとしたのだが、“勝手にアドバイス”を日々書く身の上にはサザ波が起きた。批判・批評よりも、紹介し応援するのがわたしのブログではある(と取りつくろった)。でも秋田さんの思いはよくわかる。

 そこで秋田さんの言う“自分の後ろにあること”とは何か考えた。秋田さんのデザインしたソファ『INCLINE』にそのヒントがあった。

【INCLINEソファの目線】

 ソファINCLINEには、購入する人や座る人だけでなく、掃除する人にも目配りがある。 

Chn11_rpt530_incline_tablecrank Incline_tablecrank_img02
 AIDEC MODERNより。 

 目配りが表れているのが脚。六本木ヒルズの家主から注文を受けたこのソファの特徴は脚にある。脚部分がINCLINE(インクライン=傾き)しているので、見た感じも上向きな感じがある。座りやすそうだなと思わせ、座ってから立ち上がりもしやすく(傾きのつくるくぼみにカカトが入る)、しかもモップや掃除機を入れやすい。

 このソファのデザイン、氏は“後ろ姿”から考えたそうだ。

  普通(なにが普通かわかりませんが)デザイナーはソファーを正面から描く
  のでしょうね。わたしはなぜだか「後ろ姿」から入ったのです。それはきっと
  置かれる場所のイメージが強く影響しています。会社のおおきなロビーに
  置かれた時、人が最初に感じるのは「背中」ではないかと思ったのです。

  秋田道夫さんブログより 

1haigo Chn11_rpt530_akita03_2
 秋田さんのブログより。  

【ブログの三つのポジション】
 世の中のブログにはおよそ三つ視点があると思う。

  ① 今日何を食べたブログ
  ② 商品評価ブログ
  ③ 自分自身ブログ

 ①はヤバイ。食欲も続かないしネタ詰まりになるので、おおかたのブロガーは食品以外の商品評価をするようになる。わたしもそう(笑)。それが②ですね。自分の意見を書くものの、どこかで「みんなはどう思うだろう・・」という思いも見え隠れする。

Photo_2

 そこから一歩下がって、後ろから素直にモノゴトをながめる。それが③のポジション。椅子を座る人から考えるとか、置かれる場所から眺めるとか、掃除する人の姿勢になってかがみこむとか。自分がどうしたか、どう感じたかを書くことになる。

 INCLINEの椅子のようにちょっと目線を傾ける。それが“後ろ”から書くコツだと思った。

【“hmm・・なアドバイス”にタイトルを変更しよう】
 マーケティングのブログなので商品評価はします。でもなるべく“後ろから見て、“ん~”と考えよう。だからブログのタイトルを“hmm・・”にしてみよう(Cherryさんの発案でした)。考えこみすぎて書けないときは“Zzz・・・”になります(笑)。今日は以上です。

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2008年1月 5日 (土)

SAKURAの春 和食ナイト 5.Taste of オフクロ

 2008年1月1日から書き出した『SAKURAの春』の物語の5回目です。

 

 日本料理教室、トライしてみる価値はある。料理教室の名前を
“Washoku Night”というネーミングでチラシを作った。教室での料理
メニューについては“激論”があった。わたしは天ぷらや寿司など
誰でも知っている日本食がいいと言った。麗朱はあんがい変化球で
酢の物や和え物という渋い提案をした。後藤のBeef Bowl(牛丼)案
は興味深いがすぐに却下された。日本通のワンダが議論をひきとった。
 
 「オッフクロの味にしましょう。」
 「お袋、ね」 後藤がイントネーションを正した。
 「Taste of オフクロ。肉じゃがと茶碗蒸しはどうですか?」
 肉じゃがと茶碗蒸しは両方ともディナー・メニューにある。日本の家
庭料理として代表的だ。じゃがいもと肉という素朴さ、卵の蒸し椀と
いう日本的なテイスト。おもしろそうだと全員が一致した。

 通常営業に支障をきたさないように、お店のお休みの平日の夕方を
選んだ。手書きのチラシをコピーして、ランチタイムに配った。

   +++++++++++++++++++++++++
    A Night of Authentic Japanese Cooking Class
    Wouldn't you like to learn Japanese Home Cooking
    with experienced Japanese chef? 
   You can EAT &TAKE-AWAY your cooking at the class.
 
   本格的日本料理教室の一夜。
   経験豊かな日本人シェフと日本の家庭料理をつくりませんか?
   作った料理はその場で食べるかお持ち帰りもできます。
   +++++++++++++++++++++++++

 メニューは肉じゃがと茶碗蒸し。仕事帰りの人をねらって時間は
夕方5時半からとした。4人限定でひとり30ドル。材料や道具は店で
用意し、エプロンだけ持ってきてもらうことにした。
 
 反応はすぐにあった。チラシを配った翌日に一人、その翌日に
二人、3日目に二人から電話があり、一人に断りを入れたほどだ。
手応えありだ。日本料理を作りたい人はいるのだ。わたしは誰にも
見えないところでガッツポーズをした。

          ***************************

 「テーブルを付けよう。テーブルクロスを二枚重ねてかけて」後藤
が言った。休日だがワンダ、麗朱も集まった。シェフ役はわたしが
つとめる。英語がわからないときはワンダが助ける。そのワンダと
麗朱は調理の支援、後藤は厨房で蒸し器の係だ。

 手洗いのボウル、野菜をひたすボウルを準備し、皮むき器、ナイフ、
フキン、まな板など備品を総動員した。やがてお客さま、いや生徒が
やってきた。女性4人、30代から40代だろう。さて料理教室だ。

 「それではRestaurant SAKURAのWashoku Night料理教室を始
めます。今夜、日本の母の味をつくっていだきます。メニューは
Niku-Jaga/肉じゃが、それからChawan-Mushi/茶碗蒸しです。
どちらも日本の家庭料理で、日本では家庭でも調理していもの
です」 ワンダが“開会”宣言をした。
 「料理のあとはみなさんで試食しましょう」
 参加者の女性のひとりが質問した。
 「テイカウェイ/Take awayもできるんですよね?」 
 「ハイ、いいですよ。お持ち帰りできる味になればいいですね」
 笑いがおきた。

          ***************************

 まず肉じゃがだ。“じゃがいもの皮をPeel(剥いて)ください・・・皮
むき器でもナイフでもどちらでもOK・・・Pieces(乱切り)にして・・・・
Soak in water(水にさらして)。にんじんもカットします。糸こんにゃく
(itokonyaku/noodle style konyaku)・・・切りにくいですか?・・・・
タマネギをくし形に(in half two times)・・・ビーフは3cmくらい。これ
で準備は完了です”

 鍋でそれぞれ炒めてもらう。火が強かったり弱かったり、まだおっ
かなびっくりの人もいる。“今日は店でSoup(だし汁)を用意しました”
後藤が用意しただし汁を加えてもらう。“だし汁から灰汁を取ってくだ
さい(skim scum)・・・いかがですか?”

 Niku_jaga
 出典 http://www.bob-an.com/

 醤油、砂糖、みりん、酒で味付けをし合う。こんな味かしら?と聞か
れて味をみると、まあ計量どおりだから悪くはない。Good!と親指を
突きだすと、“親指Good”がみんなに伝わった。和気あいあいの料理
教室になった。

 茶碗蒸しはそれぞれ2人前ずつ作る。日本の茶碗も蒸すという調理
方法も興味しんしん。卵とだし汁を混ぜるのも漉すのも初めての体験。
鶏やエビの生の材料をそのまま入れるのもおもしろいという声が上
がった。器に入れた茶碗蒸しの容器を、厨房までそれぞれが運び、
そろったところで後藤の用意する蒸し器に並べる。

 「Steam 10 to 12 minutes」 後藤が告げた。
 「できたかどうかどうやってわかるんですか?」生徒が訊いた。
 後藤は竹串を一本出して「by this(これで)」と言うと、生徒の顔に
疑問符が広がった。疑問こそ教室の醍醐味である。

 Chawan_mushi
 出典 http://www.bob-an.com/

          ***************************

 肉じゃがに仕上げのグリーンピースを入れ、蒸し上がった茶碗蒸し
を前に試食会だ。
 「いかがですか?」ワンダがみなさんに訊くと、ひとりは親指を突き
だして笑った。「日本料理はいかがですか?」
 「ヘルシー!」
 「お醤油の味が好きです」
 「日本の家庭料理にずっと興味があって、今日は楽しかった」
 おおむね好評だ。ほっと胸をなでおろした。
 「Taste of Ohukuro、母の味ということばを覚えましょう!」ワンダが
改善されたイントネーションで言った。
 
 今日の料理のレシピを配った。それを読んでひとりの生徒が言った。
 「家にはすべての調味料はないし、蒸し器もないんです。なかなか
日本料理を作るのはむつかしいですね」 
 「そうね。日本料理が食べたくなったらここで料理して、お持ち帰りが
できればいいわね」 別の女性も同調した。「昼間は働いているので、
料理を学びながら夜のご飯もできちゃうといいわ」

 みんながうなずいた。お持ち帰りにニーズがあるのはわかった。だが
容器には問題があった。茶碗蒸しは今回は容器ごとお持ち帰りして
もらって、いずれ返却してもらうことにしたが、肉じゃがはスチロールの
容器にいれた。それはチャイニーズ・テイカウェイの紙の容器のように
味気なかった。

 Takeaway
          ***************************

 料理教室を終えたあと、4人でお茶を淹れて反省会をした。

 メニューについて。肉じゃが、茶碗蒸しは良いが、もっと主食のてん
ぷらやちらし寿司もいいかもしれない。味噌スープもほしかったな。
素材にオーストラリアの食材をつかって日本料理ができればなおいい
という意見もあった。

 生徒。ランチ時のPRだから、今回のは全員がワーキング・ウーマン
だった。PRの仕方を変えれば家庭の主婦も集められそうだ。
 
 「とすると、お持ち帰りできる料理教室、Japanese Take awayと
Cooking Classということになるね」わたしは話をまとめようとした。
 「う~ん・・・商売になるのかなぁ」後藤がつぶやく。
 「でもそうしたらたくさんの人に来てもらわなきゃ」麗朱も言う。
 確かに単価が落ちるのは問題だ。だがこのままでは店をたたむしか
ないのだ。「レストランにこだわるより、日本を伝えることにこだわろう」
とわたしは言った。

 後藤がひらめいた。「じゃあ、その日の料理教室でつくるメニューを
店でも作って売るのはどうだろう?指導しながらわれわれもメニュー
を作る。同じものを作るなら、教えながらでもできるんじゃないかな。
それをお持ち帰りとして、生徒にも店頭でも売る」 
 「そうね。それを店内で食べてもらってもいいのね」 麗朱も言った。
 「Cooking Class & Delicatessen(デリ)みたいなものね」ワンダも
うなずいた。

 アイデアをまとめよう。“夜はテーブル席と料理教室が半分半分”
“テイカウェイできる料理教室を毎日開く” “気軽に1時間ぐらいで調理
して持ち帰れるメニュー” “同じメニューを店のお持ち帰りとして別に
作って販売する” “ひんぱんに来れるように会員制とする”

 「Double-income(共働き)の家にも、主婦にもよさそうね」ワンダが
言った。その通りだろう。だがこの案を、Mr.Tにどうやってぶつければ
いいのだろうか?

          *****************************

 今回の話はここまで。筆者は毎日楽しんで書いたコバヤシの物語。
いかがでしたか?思い起こせばワーキングホリディ制度は1980年から
オーストラリアを皮切りに始まりました。わたしはその第一期生でした。
その記憶をたどりつつ、味付けしつつ・・・お読みいただきありがとうござ
いました。本年もよろしく。

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2008年1月 4日 (金)

SAKURAの春 和食ナイト 4.たまにはダイドロコに入りたい

 2008年1月1日から書き出した『SAKURAの春』の物語の4回目です。

 終業後、いつものように売上の棒と客数を折れ線をグラフにして、いつも
のように"拳の日曜日”までの日数を数えた。付けはがししてバカになった
セロテープを替え、食器棚に貼りなおした。棒と折れ線はトレンドは落ちな
いように必死にこらえているようにも見えるし、これから落ちる前触れの
ようにも見える。遠目で見れば、地球温暖化でこわれていく地球のように、
実はトレンドははっきりしているのだろう。

 店の灯りを消すと、窓から月光が差しこんだ。格子窓の四角形が店の
床に間のびして映った。月明かりと窓の位置のせいで、床の窓は台形に
見える。明かりしだいで物事は違うかたちに見えるだけで、もともとはひと
つのかたちなのだ。

 扉に鍵をかけて店を後にする。そうだ、先日のおかゆ以来、モーリィに
会っていない。レントを支払うか。もう風邪も治っているだろう。

          *************************** 

 1階平屋建てのアパートは、カギがかかっていたことがない入口扉が
ある。高床式ゆえ階段を数段のぼる。扉を開けると廊下だ。両側に部屋が
つらなり、廊下の先には裏庭がある。突き当たりには扉もいつも開け放
たれ、そのまま裏庭にゆける。どん詰まりの右側がアパートの管理人
モーリィの部屋だ。廊下側の窓からは灯りが漏れている。
 
 「モーリィ」 わたしはノックをした。
 すぐに「誰だね?」という声が聞こえた。わたしはレントを払いにきたと
告げるとドアがあいた。
 「やあ・・・コバヤシ」 
 「気分はどう?」 
 「よくなった、よくなった。もう大丈夫さ」 
 モーリィの口からは元気のあかしであるアルコール臭がただよっていた。
この調子ならもう大丈夫だ。わたしは家賃の代金を出した。モーリィは
ぼそぼそと「レシート・・・」とつぶやいて部屋のテーブルにむかった。

 Beer  BeerといえばFour X

 「レシートだ」 モーリィはすでに皺のあるヨコ長の紙片を突きだした。
 わたしは青いボールペンで書かれた数字をたしかめた。
 「モーリィ、間違っているぞ」 レントの金額は正しいが、日付が違う。
3月“3”と書くべきところが、震える数字で“4”となっている。3月を飛ばして
4月分を支払うことになってしまう。「レントは3月分だ」
 「そうか・・・3月分か。間違えた」そういってモーリィはヒヒヒと笑った。笑
うと昔歯があった場所が見えた。ボールペンで波打つ線を引き、“3”と
改めた紙をよこした。
 1ヶ月分損した気分になったが、どうせ4月にここにいるとは限らない。
あるいはモーリィの感謝のしるしだったのもかもしれない。いつも貧乏
くじの引き続けなのか。「おやすみ」と言ってわたしは自室に入った。
 
          *************************** 

 翌日も昨日の繰り返しだった。ランチにはお客が入るが、夜にはぱった
りと客足がとだえた。勝負のついた夜8時過ぎ、わたしは店の裏口から
出て、ショッピング・モールに出た。

 隣の商業施設の一角にある“チャイニーズ・テイカウェイ”の店の前に
は車が停まっている。クンパオチキンやスパイシービーフといった料理を
紙箱に入れるテイカウェイ、お持ち帰りだ。ここは郊外立地だから、家路
につく車が立ち寄っておかずとして買ってゆく。だからレストランは素通り
されてしまう不利があった。

 店の厨房にもどると、後藤はネギの青い葉の部分を細かくタテヨコに
切り刻んでいる。ヒマなのだ。そこにワンダがいておしゃべりをしていた。

 「コバヤシさん」
 「何?」
 「ワタシもたまにはダイドロコに入りたいです」 ワンダが日本語で言う。
 思わずヒマだから?と訊くとそうではないという。
 「このあいだ、わたしは家でアゲダッシを作りました」
 「アゲダッシって・・・揚げ出し豆腐?」 
 「そうです、それです。揚げ出し豆腐」 日本語を学ぶワンダは、こうして
発音をたしかめて日々うまくなっていく。「豆腐をPushして、水分をとります。
小麦粉につけます。それからタマゴをつけます。Deep fryします(揚げる)」
 「すごいね」わたしは感心した。
 「コロモと豆腐が離れなかった?」後藤が訊いた。
 「そうなんです。何ていうか・・・Apartしてしまいました」
 「ぐちょぐちょになった?」
 「ぐちょ・・・というんですか。きっとそれです」 
 「水分をちゃんときらないとだめなんだ」と後藤コーチが言う。
 「それに油の温度もむつかしいよ」わたしも続いた。
 「日本料理、作るの楽しいです。だからダイドコロに入りたいです」

 Sdscn2093
 こちらから借りました
 http://koto-koto.blog.ocn.ne.jp/macrobi_cafe/2007/01/112_e5c6.html

 そのときひらめた。わたしは叫んでいた。「そうか、わかったぞ!」
 「何が?」と後藤が言った。
 「ディナー対策だよ。日本の料理をオーストラリア人に教えるのはどう
だろうか?お客さんは食べにくるんじゃなくて作りにくるんだ。日本料理を
教える料理教室にするんだ」
 「でもここはレストランだろう?」後藤は訝しんだ。
 「ワンダの気持ちがわかるんだ。このあいだオレは、アパートの管理人
が風邪を引いて、ヤツのためにポリッジを作ってやったんだ」
 「おかゆ、ですね」ワンダが翻訳した。
 「そう。麦のおかゆを作った。そのとき思ったんだ。外国の料理を外国
の台所に入って作るのがとても新鮮だなと。日本に興味をもつ人もきっと
同じで、日本を知るために料理を作ってみたい人もいると思う」
 「なるほどね・・・」後藤も思案しだした。
 「毎晩料理教室でなくてもいい。たとえば週一回は料理教室にして、
日本の料理を教えながらSAKURAのファンをつくるのは“日本の伝道”
になるんじゃないだろうか」
 「わたしは一番ダシになります!」ワンダが言った。
 「一番デシだよ、ワンダ」後藤が笑った。「だけど・・・それで売上が増え
るかなあ」後藤は怪しむように言った。
 「そういわれるとちょっと心配だな。生徒を増やしても、お客さんになる
まで時間がかかりそうだし・・・」わたしも弱気になった。
 
 そこへもうひとりのウェイトレスの麗朱が来た。「何を話しているの?」
たったひと組とはいえ、ひとりでお客さんを相手をしていて怒っていた。
 「麗朱、こういうアイデアがあるんだけど」 わたしはかいつまんで話し
てみた。麗朱はふんふんと聞いていた。
 「どぉ思う?」
 「おもしろいと思う。でも・・・」
 「でも?」
 「このお店でどうやって教室するの?調理場に入れないでしょ?」
  
 確かに厨房は狭い。ここに入ってはムリだろう。
 「客席で教えるのはどうかな?」 客席を見ながらわたしが言った。
 水道の蛇口は客席にも一箇所ある。壁際の隅にあるから水は引けな
いが、使えないことはない。教えることは限られるが。
 「手洗いはフィンガーボウルを用意して、あとはそこの流しを使おう」
後藤が案を出した。「テーブルを寄せればなんとかなりそう」
 「過熱する調理なら、電熱器も用意しないと」麗朱も言う。
 「海苔巻きや寿司なら、巻いたり握ったりだけだし。まずご飯を研ぐ。
炊けるまでの時間で、ネタを準備する。そのウチにご飯が炊ける。寿司
飯をつくって握る」とわたし。 
 「寿司を握るのはむつかしいよ」後藤が異議をとなえる。
 「そうだな」
 「その場で食べるのと、あるいはテイカウェイできるのがいいです」と
ワンダが言った。
 「なぜ?」
 「普通の家庭には日本の調味料も、日本のCooker(料理道具)もあり
ません。だから日本料理を覚えても家ではつくれません」
 「なるほど。作るのは楽しみで、その場で食べれればいいんだ」と後藤。
 「作るのは日本人シェフがコーチだから安心だ」とわたし。
 「コバヤシさんのコーチングで、わたしのアゲダッシにならなければ
いいですけど」とワンダが言って笑いを誘った。みなで笑ったのは久し
ぶりだった。

 4回目、以上です。お読みいただきありがとうございます。

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2008年1月 3日 (木)

SAKURAの春 和食ナイト 3.ニッポンの容器

 2008年1月1日から書き出した『SAKURAの春』の物語の3回目です。

 釣りでへとへとになった休み明けのランチは盛況だった。満席の状態
が続いた。1.5回転以上の客数だろうか。おかげでぎりぎりの数でまわす
幕の内弁当容器もフル回転だ。洗って拭いてはブュッフェ用に配って、
すぐお客さま自身に盛りつけをしてもらう。

 主菜、副菜、お新香、俵握り・・・と写真メニューで盛り付け場所を示す
幕の内ブュッフェ。最近はリピーターが増えてきたせいか、写真メニュー
をみないで思い思いによそる人も多くなった。ランチが好調だというのは
日本食の食べかたも根付いてきた証拠だ。

 「ボクが経営者なら昼間だけのお店にするね」 後藤は鍋の水をザブン
とシンクに流しながら言った。「盛り付けのおかずは減ってきたら作れば
いいから原価割れないし。第一、ディナーやっても昼と同じ売上だから」 
 「そうだな」 わたしはまな板を洗いながら言った。「麗朱とワンダには
“おひとつイカガデショウカ?”なんてことばを覚えてもらってゲイシャ・
ガールになってもらおうか」
 「いいけど照明は思いっきり暗くしたほうがいいと思うよ」後藤が笑う。
 
 「コバヤシさん、ちょっと」 洗い場に入って幕の内容器を洗っていた
ウェイトレスのワンダが言った。彼女は日本語を学ぶ学生でもある。変な
ことを日本語では言えない。
 「ワンダ、今のは冗談だぜ」
 「そのことではありません、マックノウチ・バクスが壊れたんです!」
 「ええ!」 後藤と二人でワンダの持つ幕の内弁当に駆け寄った。見ると
器の底にヒビが数カ所入っている。使い込みすぎたのだった。
 「ちょっとヤバイね。これだと汁モノは漏れるよ」 後藤が検分をした。
 「他のボックスはどうだ?」
 「ランチが終わったら、バクスをチェックします」 ワンダが言った。

          *************************** 

 28571

 ひとつひとつ裏返してチェックした。どうやらヒビの破損はひとつだけの
ようだ。ほっとした。壊れたのは日本料理店KOTOの店長堀田からの
好意で借りている容器だった。今や幕の内弁当箱はランチの生命線で
あり、われわれ全員の雇用の生命線でもある。ブュッフェスタイルを初め
てそろそろ1ヶ月、ずっと使い続ければ傷みもする。

 「借り物に傷をつけてしまった。堀田さんにあやまらないと」
 「それより、ひとつ壊れてもギリギリの数で運用しているんだから、大
打撃だよ。スペアを持っておかないとダメだね」後藤が言う。 
 そのとおりだ。ランチは順調だから容器を日本に注文してもらうことも
できるはずだ。だがMr.Tに相談すれば、ニヤリと口だけで笑い、眼で威嚇
されるだけだろう。“夜の売上はどうなんだ?” やぶ蛇だ。

 わたしたちはまたひとつ問題をかかえた。
 
          *************************** 
 
 幕の内容器をひとつひとつていねいに拭いて片付けをしていると、「こん
にちは!」という明るい声が店の入口から聞こえた。KOTOでウェイトレスと
して働く恵子だ。店での着物姿の彼女と違ってジーンズ姿もまたまぶしい。

 
Pict0194

 「ここに来てくれるのは初めてですね」 わたしは手を拭いてむかえた。 
 
「学校が今日はないのでちょっと来てみようかなと思いまして」 彼女の
手にJapanese Noodle Fairの“のぼり”で作った巾着袋があった。
 
 お弁当箱が壊れたことを恵子に話した。
 「それとなく堀田さんに言っておきますよ」と彼女は笑った。「でもランチは
お客さんが増えてよかったですね」
 「なんていっても売上は夜より上ですから」後藤は余計なことを言う。
 「あら、それはたいへん。飲食店って忙しくないのが一番つらいですよね」
 そうなのだ。ヒマはつらい。みんなで店内を磨いているなんて言えない。
わたしは話をランチにもどした。
 「ランチの良さは、“なんとなく日本の良さ”にひたれるところでしょう。
幕の内弁当容器のうんちく、盛りつけの楽しさ、日本食ってこんなものなん
だというのが、なんとなくわかる」
 「そうよね。昔の人は“うつわは料理のきもの”と言ったそうですし」
 「うつわは料理のきものか。良い言葉だね」後藤があいづちを打った。
 わたしもうなずいた。だがきものと言えば、恵子さんの着物姿こそ素敵だ。
口に出すことではなかったが。
 
           *************************** 

 「巾着袋、その後はどうなの?」 後藤は恵子の巾着袋に触れた。「これ
ってホント、のぼりには見えないよね」
 KOTOの店で使っていた“のぼり”でリサイクルした巾着袋は、彼女と学校
の友人が手分けをして縫った。日本を紹介するイベント、ジャパンウィーク
で好評だったせいもあり、その後別のイベントでもリサイクル素材を活かし
たバッグづくりをするという。
 「このあいだ街で、これを持っている人を見かけたんです」 恵子は目を
輝かせて言った。
 「へぇー、いいよね、そういうのって。自分の作ったモノが知らない人に使
われるなんて」と後藤。
 「そうなんです、やったぁ!とガッツポーズしちゃいました」恵子はほほえん
だ。「コバヤシさんが“のぼりでバッグを作ろう!”ってひらめてくれたから、
できたことです」
 「幕の内弁当箱も巾着袋も、どっちも日本の入れ物の魅力だから」 こそ
ばゆいのでもっともらしいことを言った。

           *************************** 

 「入れ物といえば」 恵子は巾着袋を開いた。「ジャパンウィークでブース
に来てくれた人の中に、こんな人がいたんです」 巾着袋の中から一枚の
名刺を取り出した。
 わたしは名刺の肩書きを読み上げた。「ウッドクラフト・デザイナー、これ
民芸品か何か?」 
 「いえそうじゃなくて、日常で使う木製の食器を作るアトリエを持っている
らしいんです」
 「ボウルとか、皿とか?」 後藤が訊いた。
 恵子はうなずいた。「ボクはユーカリの木に生命を吹き込んでいるんだ、
普通なら捨てられてしまう木をつかって食器づくりをしている、だからひとつ
として同じものはない、それがすばらしいんだって」
 「ふうん。廃材か・・・。どおりでひとつずつ手作りの巾着袋に興味を持つ
わけだ。でも木の食器って、まるで“和”だね。」と後藤が言った。
 わたしもばくぜんと同じことを考えていた。“弁当箱を木で作るのもおも
しろいかもしれない”と。

 3回目、以上です。お読みいただきありがとうございます。

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2008年1月 2日 (水)

SAKURAの春 和食ナイト 2.こわれない生きかたを求めて

 昨日(2008年1月1日)から書き出した『SAKURAの春』の物語の続編
です。
          ***************************

 「来月も売上がもどらなかったら、コバヤシ、お前を殴る」

 Mr.Tのこの言葉に殴られてから2ヶ月だ。SAKURA2号店の売上はもどら
ないままだ。黒字になるにはまだ数字が小さい。寸止めではない実戦
空手でブームをつくった極深館の有段者にして、海外での空手伝道者と
いう冒険家がMr.Tである。ワーキングホリデーのフラついた若者二人を
ぶちのめすなど、空手の練習の組手ほどでもない。

 電話が鳴りMr.Tの“おい、コバヤシ!”という一声が聞こえた。いよいよか
と思えば別の命令だった。それもまたボディブローではあった。
 
 「コバヤシ、明日出るぞ。準備しておけ。後藤にも伝えておけ」

 Mr.Tは普段から「ハイ!」という答えしか用意されない会話をするが、これ
もそのひとつだ。「出るぞ」とは“海”で、ブリスベンのハーバーに彼が泊める
釣り用のプレジャーボートから海洋に出ることだ。「準備」とはお前らも来い
という命令だった。

 成功者のあかしである“プレジャーボート”は抜け目なく会社保有だ。その
ボートで釣りに出るのがMr.Tの楽しみだった。グレートバリアリーフにプライ
ベートのプレジャーボート。ゴージャスな海遊びのはずなのに・・・苦痛な
のだ。それは船に積む魚群探知機のためだった。
 
 Photo

          *************************** 

 翌日Mr.Tの命令に従って、スニーカー、タオル、日焼け止め、そして作業
用の手袋を後部座席に放り込んで、途中で後藤をひろい、フィアットでハー
バーに向った。

 「せっかくの休みなのに・・・よりによってMr.Tと釣りとはねぇ・・・」後藤は
この期に及んでもまだブツクサ言う。
 「殴られるよりマシだろう?」
 「いや殴られた方がマシですよ。いい加減日本に帰ろうかなと最近思って
います」
 「いずれそうなるさ」
 美しい海ともおさらば。Mr.Tともおさらば。南の日本食ともおさらば。旅は
いつか終わるのだから・・・。

 後藤は愚痴を続けた。「Mr.Tの店のために働きに来たわけじゃないし」
 「じゃ、何のために来たんだ?」
 「探しに来たんですよ」
 「何を?」
 「安住の地を」
 「嘘だろ、ホントは女の子でも探しにきたんだろう?」
 「それもあるけど、たしかに」後藤は笑った。「ここはこわれてないから」
 「こわれていない?」
 「こわれていない場所で、こわされずに働き、こわれずに生きる」
 後藤はよどみなく言った。
 「気の利いたセリフだな。誰かの言葉か?」半ばからかって言った。後藤
は続けた。
 「きっとみんな、だからオーストラリアに来るんじゃないですか。日本が
嫌いだとか、働くのが嫌だということじゃなくて、自分がこわれていくのが
嫌なんだと思う。まだ地球上で、こわれていない地に行きたい。大人から
見ればそれは“逃避だ”って言われるけれど、逃げているわけじゃなくて、
つかまりたくない。つかまるとこわされる。そんな恐怖心があるから、日本
を出るんじゃないだろうか」

 “たまには気の利いたことを言うな”とわたしは思った。こわれてゆくのは
なんだろうか。社会、自然、景色、生活、健康、人間関係、そして心・・・。
海外に出てきたのは、立ち向かってもこわれるスピードの方が速いから
かもしれない。つかまらないようにひたすら走る。自分がどれだけこわれ
てしまったか、知ることも恐いのだ。つかまらないために南の地に来たの
に、今Mr.Tという影におびえている。

          *************************** 

 「よぉ~し、コバヤシ、後藤、移動するぞ!」 Mr.Tの言葉が青い海に
響き渡った。海と空手で黒くなったMr.Tは魚を追いかけるのに夢中だ。

 けっして上背はない。170cmそこそこの身体ながら、鍛え抜いた足腰、
太い首、ナイフも刺さりそうにない二の腕、ごつごつの指、空手家その
ものだ。口髭には笑みをただよわせても、相手がどう出てくるかいつも
観察している眼光は決して笑うことがない。健全な精神、健全な肉体に
やどるというが、拳を頂点にした肉体改造で、相手を威圧するオーラも
拳のように暴力的なのがMr.Tだ。

 「ハイ!」 われわれは海のしぶきを浴びて言った。

 返事はするものの、もうこれで3度目の移動だ。腕はしびれ、ヒザは
ガクガクしてきた。魚群探知機で魚の群れを探しては釣り糸を垂らす。
魚がかからない。また探知機を見る。群れが離れるのを確認する。離
れた群れを追って船を移動させる。そのときがわたしと後藤の出番だ。
 
 手足をふんばって錨(いかり)をあげるのだ。釣りにわたしと後藤が
必要なのはそのためだ。上げ下げ役だ。

 「ま、ま・・る・・で・・・地球をあげるようだ」 歯をくいしばる。海中の錨を
あげるのは、海水で満ちたバスタブを人力であげるようなものだ。

 「腰で引け、腰で引くんだ!」 Mr.Tから激が飛ぶが、相手は地球だ。
そうやすやすと引けない。海水を含んだロープは冷たくて硬い。「ハァ、
アァ、アァ!」と言葉にならない合いの手を二人で入れて、ようやく錨を
甲板にあげる。プレジャー(快楽)のカケラもないボート遊びだ。

           *************************** 

 プレジャーボートは、たしかに成功のあかしではあった。10名ほどは
乗れそうなボートには後部に2箇所のフィッシング席があり、デッキ下部
にはサロンスペース、ベッドにもなる革張りソファ、ワインクーラー、キャ
ビネット、化粧室、ギャレー(流し)、運転席のシートも革張りだ。そして
魚群探知器があり、なぜか錨の巻き揚げ用のウィンチだけがない。
嫌がらせとしか思えなかった。

 「“太陽がいっぱい”って映画、あったよな」わたしは息をきらして言った。
 「あの・・・アランドロンの映画?」後藤も息はみだれていた。
 Mr.Tが釣り糸を垂れる後尾からは、船首に座り込んだわれわれまでは
距離があり波の音で聞きとられる心配はない。  
 「そうだ。ヨットで富豪を殺して、そいつになりすまして金持ちになるって
話だ」
 「もうちょっと北に上ればグレートバリアリーフだし」
 「殺っちゃうか」わたしは日焼けで痛くなった腕をさすった。「殴られなく
てすむしな」
 「こわれなくてすむしね」 後藤は珊瑚礁の宝庫と言われる青い海を
みつめながら言った。

 ここにはまだこわれていない海がある。Mr.Tにこわされないうちに脱出
するか。だがどこへ行けばいいというのか?
 
Photo_2
          *************************** 

 その日の釣りの成果はゼロではなかったが、わたしと後藤が失った
カロリーに見合うほどではなかった。ひとつわかったのは、魚の群れを
追って漁場を探すのはしょせんは後追いだ。エンジン音とガソリンの
匂いを海にまきちらす文明物がやってくれば、魚は本能的に逃げる。
追えば追うほど魚は逃げる。それをまた追う。こうして自然をこわす
“不自然な営み”を人間はしているのだ。

 SAKURA2号店のことに思いをはせた。もっと自然体で考えなくては
だめなんだ。追っていけばいくほど逃げていく。追うのではなく寄って
きてもらわなくてはならない。魚も後藤もわたしも、逃げる者の気持ちは
みな似ているのだった。

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2008年1月 1日 (火)

SAKURAの春 和食ナイト 1.南国のおかゆ

 さて2008年の始まりは青年コバヤシのオーストラリア奮闘記『SAKURA
の春
』の続編です。体験にもとづくフィクションですが、わたし流の表現では
“マーケティング・エンターテイメント” お屠蘇や駅伝の合間にお読みください。
まず過去3回掲載のあらすじ。[3回分はこちら]

【SAKURAの春 プロローグ】 【2007年1月1日~5日掲載】
 ワーキングホリディでオーストラリア ブリスベンに居ついたコバヤシは、
元空手道場主のMr.Tの経営する日本料理店『SAKURA』で働いていた。
料理店の経営は順調で、郊外に『SAKURA2号店』を出店し、店長にコバ
ヤシをすえた。ところが日本の大企業資本の『KOTO』の出店もあって、
2号店の来店客は減少。Mr.Tからはこのままなら「お前を殴る」と告げられ、
コバヤシは「仮想顧客」と会食会をひらいた。そこで得られたキーワード
は「日本の伝道」だった。

【SAKURAの春 桜のつぼみ】 【2007年1月29日~2月2日掲載】
 「伝道」というキーワードを具体化させる答えが見つからないままMr.Tの
メルセデスに乗せられ、コバヤシは殴られるのを覚悟した。到着した先は
Mr.Tが初めて空手道場を開いた倉庫。Mr.Tは「SAKURA2号店は俺の失
敗だ」と話した。建て直しを模索する中で、ランチ調理の支援に来たMr.T
の奧さんのひと言、「バラマンディ、いくつある?」がきっかけに。この言葉
をてがかりに日替わりブッフェスタイルを思いついた。幕の内弁当容器で、
ご飯、おかずをセルフで盛りつけるスタイルがヒットした。

【SAKURAの春 巾着袋のニッポン】 【2007年11月16日~18日掲載】
 だがディナー対策に妙薬がない。考え事をしながらコバヤシは包丁で
指にケガをした。店を休むあいだにKOTOのウェイトレス恵子と共に、日本
をアピールする「ジャパンウィーク」イベントの出し物を考えた。コバヤシ
はKOTOの駐車場かかげられた「Japanese Noodle Fair」の“のぼり”を
リサイクルする巾着バッグを提案。イベントで大好評を得た。

1.南国のおかゆ

 ディナータイムの後片付けも終わり、わたしは指先に巻いた傷テープ
を外した。外すと指が呼吸し始めた。包丁でそいだ左手の人さし指の爪
はまだへこんでいるが再生途上なのは明らかだ。人の身体の再生力に
感心する。

 だが店の再生はまだ。今夜もまた不入りだった。35席のSAKURA
2号店は今夜も満席にならないどころか、半分の席さえやっとだ。ウェイ
トレスの麗朱もワンダも、もう店の中に磨くところは残っていないという
くらい磨きあげた。古今東西、ヒマな店ほど掃除をする。ヒマゆえに
掃除をするのか、掃除をしだすとヒマになるのか。掃除よりも、いっそ
歌でも歌ってもらうか。台湾人の麗朱とオージーのワンダによる“ニッポ
ンの歌声料理店”―ミスマッチがあんがいいけるかもしれない。

 「じゃあコバヤシさん、失礼します」 調理の相棒の後藤から声をかけ
られて妄想はそこまでに。
 「ああ・・・」 わたしは何かを言いかけた。だが後藤はかすかに唇の端
をあげてそれを制した。わたしも唇のかたちだけでこたえて手を振った。
言葉は必要ない。ほんとうに困ったときの言葉は事態を複雑にするだけ
の道具なのだ。
 
 ひとりになったわたしは、厨房の食器棚に貼った紙を外して、日課と
なった作業を始めた。日ごとのランチとディナーの売上合計と客数を
棒グラフと折れ線にする。ランチをブッフェ・スタイルにして以来客数は
増加した。売上も伸びた。だがしょせんはランチ、単価が安い割に手間
もコストも掛かる。この店の規模ではディナー次第である。売上は低落
傾向に歯止めがかかったとはいえ、黒字には遠い。

 グラフの横軸をのばし、3週間後の日曜日まで日付を入れた。そこに
“拳”の絵を描いた。Mr.Tに殴られる日。自分の拳で頬をなでた。ランチ
のヒットのおかげでMr.Tから猶予を得たとはいえ、その日曜日まで今の
調子なら連続4ヶ月の赤字だ。ジ・エンド。サヨナラ、ブリスベン。

 Bac064_aerial_brisbane  蛇行するブリスベンリバー

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 夜11時過ぎ。愛車である老フィアットでアパートに帰る。まだ熱気の
残る南国ブリスベンの夜気を吸い込みすぎたのか、フィアットは喉ごし
の悪い排気音をひびかせる。どうも快調ではない。もう少しでアパート
だから、がんばれとつぶやいた。 

 レント(家賃)の安さでアパートを選ぶと、隣人は選べない。左隣に
は離婚した元夫の独り者。失業中か、単に働く意欲がないのか・・・
両方だろう。はす向かいはヤク中毒の若者だ。とろんとした眼で見つ
められたことは二度や三度ではない。何をしているのか、何もして
いないのか知らない。右隣は住み込み管理人のモーリィだ。彼は
アル中だ。モーリィがファーストネームかラストネームか知らない。
ただの呑んだくれの管理人である。

 ふと、あとひと月になりそうなレントが未払いないのを思いだした。
まだ彼が起きているようなら払ってしまおう。アルコール効果で震える
文字でレシートの日付と金額を書いてもらおう。ミスがないか確認
するのは良き間借り人のつとめである。彼の残りの人生はビールに
流されてゆくだけだ。流されるのが許される国、それがオーストラリア。

          ***************************

 管理人モーリィの部屋には灯りがついていた。
 「モーリィ?」 すでに泥酔かと思いながらノックした。
 応えがない。もう一度ノックをした。「モーリィ、いるのか?」

 部屋の中でスリッパの擦れる音が聞こえた。案の定・・・ベロベロだ。
支払いは明日にするか・・・。ギィと扉が引かれた。ところが引いたドア
の隙間には誰の姿も見えない。

 「モーリィ・・・?」
 「uu・・・mm・・・」という呻きが聞こえて、ドアの隙間に頭が上下する
のが見えた。まるでニワトリのように頭を上げ下げするのはモーリィだ。
喉と口をおさえて、ひどい咳き込みようだ。毛布をまとっているので、
寝ていたのだろう。
 「モーリィ、風邪ひいたのか?」 わたしは扉の残りをあけて中に
足を踏みいれた。
 「大丈夫だ・・・」とモーリィはゴホォ、ゴホォ・・・の咳の合間に言葉を
ついだ。
 「寝ていろ。起こしてすまなかった」 わたしはモーリィの骨ばった
背中をベッドの方に押した。「ずいぶん悪そうだな」
 「呑めば・・・大丈夫・・・なのだが・・・」と言いかけて咳き込むところ
みると、数年ぶりにしらふなのだろう。
 「ビールは健康にもよいはずだが・・・」
 モーリィの顔の皺の中で、歯が見えた。笑ったつもりだった。 

 「今日、何か食べたか」 わたしは彼を寝かせ、薄い毛布を掛けな
がら訊いた。
 答えは咳だった。咳が収まってようやく言った。「・・・いや」
 「何か食べれそうか?」
 「u・・・・mm・・・」 
 喜怒哀楽の言葉や愛の言葉は、言語の壁をこえて万国共通である。
食欲のないときのうなりは万国共通で“気持ちが悪い”である。

 どうせいつもビールしか食べない男だ。食べ物は何もないだろう。
見捨てるのも夢見が悪いので台所に入った。日本の間取りでいえば
広めの1DKだ。テーブルもない台所には流しと電熱台と冷蔵庫、食品
や皿をしまうカップボードがひとつ。あとは空の“Four X”(ビール)ケース
の山また山・・・。

 冷蔵庫を開けてもダースほどのビール缶以外には、日付タグの無い
小麦パン、すでに異臭さえ放たないチーズ、危険な匂いがしそうな
ミルク。カップボードには砂糖、塩、ソース、オート麦、そして意外に
新しそうなリンゴとバナナがあった。風邪の来襲にそなえてフルーツを
買ってきたのだろう。合わせて何ができるのか。モーリィの側に戻り
フルーツを食べるか?と訊いた。答えはこうだった。

 「porridge・・・」 

          ***************************

 ポリッジ。わたしの英語の“心の引き出し”の中をごそごそして、よう
やく出てきた日本語は“おかゆ”である。いわゆるオートミールだ。
あの茶色の麦でおかゆが作れるのか。わたしはモーリィに待っていろ
と言って台所で鍋を探した。オート麦の袋の裏側にはポリッジのレシピ
が載っていた。
 
 Combine rolled oats 120g and 3 cups water  
  in a saucepan

 片手鍋にオート麦と3倍量の水を入れて煮る。シンプルだ。日本の
おかゆと同じ製法と言えそうだが、茶色の麦を水でふくらませるのは
南半球の異国情緒がある。
 
 Add graded apple for last 2 minutes of cooking.
  Stir in milk.

 火からあげる2分前にすったリンゴを入れる。ビタミンCと消化を助ける
ためだろう。カップボードには“おろし”と”ナイフ”があった。おろしという
よりも英語のGraderというのがぴったりの変な板だった。だがおろす
機能は十分だ。皮をむかずに丸ごとひとつリンゴすりおろす。冷蔵庫の
ミルク・・・危険な匂いだと思ったが、煮る分には大丈夫そうだ。

 top with banana slices.

 麦のおかゆを白いプラスティック・ボウルにあけ、斜めにスライスした
バナナをのせる。できあがり。ボウルにスプーンを添えてモーリィに渡した。
あーんしてやるほどの仲ではない。ゆっくりと食べろと言ってわたしは
自室に帰った。

 隣人の部屋の台所作業と南国のおかゆ。南半球の住人の台所で料理
するのは初めてだ。素材も器具もレシピも違い、どこか新鮮だった。

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年の初めのマーケティング・エンターテイメント、お読みいただき
ありがとうございました。コバヤシの物語は5回ほど続きます。
本年もよろしくお願いします。

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