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2008年1月14日 (月)

切り絵にやどる生命力-切り絵作家 福井利佐さん

 みんなきっと、小学校の図画工作で誰でも一度ぐらい「切り絵」をしたことがあるだろう。カッターで黒い紙を切るあの細かい作業である。どうやって作るかは忘れていたのでチェックしてみた。

 ①絵を描く(好きな写真などでもいい)
  ※どこかで外枠につながるのが基本だが組み合わせもあり。
 ②下絵を色の厚紙(たいていは黒ですね)にあててホチキスで留める。
 ③下絵からカッティングナイフをあて、白い部分を切り抜く。
 ④丹念に、丹念にひたすら切る・・・。
  ※切り絵師には腱鞘炎も多いという(でしょうね)

    1987569085  斎藤隆介氏+滝平二郎氏の絵本。 

 切り絵といえばこの巨匠滝平二郎さんのイメージがある。でも今日のテーマの切り絵には息を飲む繊細さと動感がある。福井利佐さんの切り絵が今日のテーマ。

【hmm・・なアドバイス6.切り絵にやどる生命力-切り絵作家 福井利佐さん】

    Fukuisan_nakashimamika_jacket  桜色舞うころ♪が聞こえてきそう。
   引用元 http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/mikanakashima/

  貝に注目してください。これが福井さんの作品。切り絵というのは普通は平板な感じがするが、彼女の作品は 立体的な切り絵である。さらにダイナミックな動きを感じる。シンガー中島美嘉さんのジャケットの貝。立体的なばかりか、彼女のハスキーな声が貝からさぁ~っと聴こえてきそうだ。

【動き出す切り絵】 

    Ki_ri_ga
    出典 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

 これは福井さんが07年11月に出した作品集の『KIRIGA』の表紙にもなった作品。この横顔の表情の切りとりかた。これが切り絵なのか。キっとする表情、意志のある筋肉が繊細かつ大胆に切りとられている。微細でダイナミックな挙動というアンビバレントな表現がふさわしい、こんな切り絵は始めてみた。福井さんのインタビューを掲載する「SHIFT PEOPLE」では作品をこう書いている。

   グラフィカルで大胆な構図の上にものすごく繊細な線と綿密に計算された
 色彩設定。その絶妙なバランスの上で成立している彼女の作品で切り
 取られている動物や人は、いまにも動き出しそうな躍動感で見る人に迫る。

 引用元 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

      Img_risa_01
   出典 http://www.philspace.com/artist/risa_fukui/index.html

 まさに動き出す切り絵。たった一枚の紙から、どうしてこんなに細かくて繊細で、動的で感情のある切り絵が生まれるのか。今そこからまさに動きそうな動物や、ふとこちらを向きそうな人々の切り絵が所属されるPhilのサイトにいくつかある。ぜひ参照してください。

【切り絵との出会いは自分の得意ワザ】
 福井さんが切り絵に入るきっかけをインタビューで語ってる。

 (前略)顔を線で分解して色彩構成したり、手書きで線をかいたりしていて。
 紙を使うということが身近な状況だったんです。2年生の時に、手法は何でも
 よいから作品を作るという授業があり、普段から紙を使っていたこともあって、
 中学校のときに切り絵が比較的得意だったことを思い出したんです。

 引用元 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/12/risa_fukui.html

 多摩美術大学のグラフィックデザイン科に在学中のころ、自分の得意技を切り絵に見出した。グラフィックなデザインの技法と、得意だった切り絵が出会ったのがきっかけ。とうぜんこれだけ微細な表現なのだから、ひとつの作品で何十時間もかかるとご自身のブログにもある。疲労蓄積、腱鞘炎になって不思議はない。

   Hukui1108 Hukui1109  
 作業風景の写真(ブログより)普通のカッターマットですね。
 http://artgene.blog.ocn.ne.jp/fukui/2006/07/post_34c1_1.html

【切りとりながら、紙に生命を与える】 
 福井さんの切り絵が気になって週刊文春を立ち読みした。桐野夏生さんの連載小説『ポリティコン』の挿絵(切り絵ですね)は福井さんの作品だから。今週号(2008年1月17日号の椅子に座る人々の後ろ姿と、手のひらと腕)の挿絵をじっと見ていてひとつ気づいたことがあった。

 絵も切り絵も人やモノや風景を「切りとって」作品にする。でも切り絵は、絵と違って「線」だけで対象の線と面を表わしてゆく。どの線、どの面をどのように切りとるか、それを切り絵の中でどんな線に写しかえるか、それは絵で描くのと違う表現力であり創造力がいる。

 切りとりながら、紙に生命を与える。それが切り絵だと思った。素人の直感なのでアテにはならないが。

【hmm・・なアドバイス】
 同じ一枚の紙にも、生命を宿すこともできれば殺すこともできる。最近は紙で書かないけれど原稿も同じ、ブログも同じ。自分なりのオリジナリティとは、対象のどこを見てどう抜き出すか、丹念な作業でそれを殺さないことにつきる。今日は以上です。

   Img6  Fukui_071106_12
  携帯の切り絵デザインも。        ご自身の作品の前で(ブログより)。

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