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2008年6月17日 (火)

作家の仕事机

 たまにはしっかりした本を読まなきゃ、と思って手にとったのは、ノンフィクション作家野村進さんの『調べる技術・書く技術』。しっかりした本で、ライターとして吸収すべきことがたくさんあります。ときに取材をして書く我が身には、“貴君の猛省をうなが〜す!”という文字が紙背からずんずんとアブリダシになってきて、赤面してしまいました。

 気になった箇所のうちのひとつに“著者野村さんの机”があります。これが実に合理的。昨日のオフィスのフリーアドレスから、机に場所を移します。

【hmm…なアドバイス132.作家の仕事机】
作り方は簡単である。B4サイズの二段型キャビネットを二基購入し、左右に配置して、
その上に厚手の板を橋渡しするように載せるだけだ。

引用元 同書P.47

080617_205001  本写メなので暗くてすみません。

 キャビネットの大きさは、タテ70cm、横45cm、奥行き71cmなので、板もそれに合わせて幅を70cmに切断して二基の上に渡して使用。長さはそのまま六尺(180cm)、厚さは30mm。この机(というか“渡し”)がいいのはシンプルだし、安あがりだし、使い勝手がいいところ。元々は知の巨人、立花隆氏の著書から発想を得たとのこと。

 野村さんは『山根式袋ファイル』で取材記録や資料を整理しており、角形二号(240mm×332mm)封筒をしまいこむには、B4サイズのキャビネットが余裕をもって入れられる。実に合理的な計算である。左側のキャビネットを「今の仕事」、右上は「その次」、右下は「その次」にあてるという、売れっ子の氏ならでは。

 実はわたしも“渡し板方式”の机を使っている。売れっ子ではないので、キャビネットではなく、足は丸太を4本。180cmあればたっぷりだろうと思われるだろうが、さにあらず。平たい場所があれば人はモノを置くのだ。モノが先ではない。机がモノを運んでくる。これを“パーキンソンの机の法則”という(嘘です)。

【英国の作家の書斎を検分】
 ともかく机片付け下手なので、そんな時は先人に学ぼう。英国の作家たちの書斎を紹介するウエブサイトがある。そこからいくつか見てゆこう。

[あなたのに似たデスク?]

0617dahl

 短編作家ロアルト・ダールの書斎はごったごただ。すべてを手の届く範囲でやっつけるのが彼の趣味だったそうだ。足元には寒いときに足を温める寝袋とスツール、右手にはガラクタや鉛筆削り、左手に電話と灰皿。それもこれも、彼が第二次世界大戦で脊椎を痛めたことと関係があるのであろう。

[窓のある部屋に入ると作家になる]

0617_margaret_forster

 伝奇作家マーガレット・フォースターはこのチャーミングな2つの窓のある角部屋に入るとき、妻であることも母であることもおばあちゃんであることも料理人であることも掃除人であることも、全部忘れ去るそうだ。そしてコンピュータを使わず、A4の紙にペンを使って書く。手書きは言葉に注意深くありたいからだそうだ。

[窓には背を向けろ]

0617_fraynroom

 窓には背を向けて書けと文豪サムセット・モームは語ったそうだが、劇作家マイケル・フレインは敬意を込めて横座りである。なぜ背を向けろと言ったのか彼は語っていないが、「外の些事に気をとらわれずに仕事しろ」という意味だろう。だが仕事100%ですっきり機能的なマイケルの書斎の壁には、多くの写真がある。PCの正面にあるのは“百貨店ハロッズの広告”。そこに彼の母が写る。
 母は、彼が小さい頃亡くなり手元に写真がほとんどない。だが仕事の合間にモデルをしていた母の写真が偶然見つかった。1925年3月18日付けのハロッズの広告だった。それがひとつの支えなのだろう。

[うん、これだね。板張り、シンプル。いいな]

Thirlwell

1978年生まれの新進気鋭の作家Adam Thirlwell(まだ翻訳なしだと思う)の部屋にはあこがれた。何しろ整然としていて、シンプルで、不要なモノがなくて、すっきりしていて、板張りで、ランプシェードも素敵だ。ノートPCがぽつん、オリベッティのタイプライター(カノジョからプレゼントされて、タイプ練習に使っている)がじっと。疲れたら(カノジョから失敬した)横ちょのベッドでごろん。真似できそうもないけど。

【hmm…なアドバイス】
 実はテキトーに4つ選んだが、英国の新聞ガーディアン紙のこのサイトには、たっぷり30名ぐらいの紹介がある。ついでに詩人の書斎の写真もある。ひとつずつ見るとじわんとくる。

 強いてマーケティングぽく語る必要もないのだが、机や椅子や棚や本棚や照明を、機能や便利だけを追求して商品開発するのが、なぜ無意味なのかわかると思う。書斎とは創造の場だから。

 作家だから“書かなきゃ”という意識を自分に持たせる工夫がある。必要なモノを手に届く範囲にという身体への思いやりがある。窓からやってくるアイデアを逃さず、受けとめたい。一方で窓に背を向ける固い意思がある。歩きまわったり寝転んだりして、自分をリラックスさせるスペースがある。機能だけぢゃない。“書く”という意思を支援するのが書斎のニーズだ。

 とはいえ、次の究極の書斎(?)も凄い。じっくり見ると劇笑モノ。今日は以上です。

13lh1 半畳くらい。

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