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2008年7月 3日 (木)

みずみずしさと純粋思考の野帳スケッチ

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングへのリードです。

みずみずしさと純粋思考の野帳スケッチ
取材がきっかけで「野帳」にハマッてしまった。野帳とはフィールドノートの
ことで、本来は測量技師などに作られたもの。初めは真似をして使い出し、
ネタや仕事の思いつきをこのノートに書き留めているうちに、野帳の魅力に
気付いた。それは……?
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 今週のビジネスメディア誠の連載テーマは久々の文具。でも新製品ではない。原型となった商品が(コクヨで)発売されたのが1961年というから、もう半世紀も前のもの。たかが野外で使う手帳なのだが、オリジナルの強さなのか、とてもしっくりくるのでとりあげてみたくなった。

Pict0165 変哲もない手帳ですが。

【人それぞれの“”あり】
 一昨日、通勤電車の中で吊り輪につかまり、フト目を落とすと、前に座る男性が緑色の薄い手帳を開いている。コクヨの“野帳”だ。おお、実はかなり多くのファンがいるんだな。40才くらいの彼は何を書いているのか?首を伸ばしてみると、どうやらグラフや式のようなものが見える。資格のテキストブックも持っていたから、お勉強に使っているのである。そんな使い方もありなのだ。

 フツーの手帳と野帳は違う。野帳は観察記録帳だから単なる白紙のメモだ。だがいわゆるメモ帳とはサイズが一回り大きい。しかもハードカバー。どうやらその道のプロが使う野帳、どんな使用がされているのか?ネットを探り野帳の達人を探し出すと数名の人が見つかり、お二人から快諾を得た。柴さん、MUGIさん、ありがとうございました

 ご返信はいただけなかったが、旅行企画の仕事で野帳を使用するというプロもいた。資料整理の達人は“時系列収集資料のメモ”に野帳を活用していた。ボーイスカウトの団長さんも愛用されているようだ(連絡しそびれた)。都会の野景、ファッションをスケッチしている『東京ストリートスケッチ 流行採集フィールドノート』からも返信はいただけなかったが、まさに都会の野帳使いである。

 “分野”という言葉通り、“”は分かれているのだ。それぞれの野のプロに野帳は愛されている。

【野帳のペンシル】
 野帳の達人の柴さん、あれだけの緻密さを誇る野帳の書き手である。当然筆記具にも凝っている。一本のペンで書こうとして何を選ぶか。野外は濡れることもあるので、シャープペンがいい。書き間違えもあるので消しゴム付きがいい。今は製造中止になったぺんてるの『ゴムデール』をメーカーに問い合わせて確保したそうだ。MUGIさんもまたシャープペンシル。雨に濡れてもにじまないからだ。野では筆記具には共通項がある。

Gomdaleb02 080703_192501
 柴さんの執念?のゴムデール。         わたしの一押しFAXペン。

 手持ちのシャーペンの中で、同じぺんてる、同じく製造中止の『FAXペン』はもっとも書きやすいシャープペンだ。20年以上前の製品。0.7mmという微妙なシャープもイケている。今どきの筆記具の凝った持ち手や機能はまったくないが、バランスのとれた名品である。その素朴さが野帳と似ている

【仕事のメモの3つのジャンルとは】
 わたしの今年の手帳システム。COATED GmbHのスリム手帳にハンディメモをはさんで、“発想”を書き留める。普段の打ち合わせはB5ノート(jordi labanda)。この2つが基本だ。そこに野帳が割り込んできたのだ。

 仕事のメモのジャンルは、次の3つに集約される。

A.スケジュール
B.打ち合わせ
C.発想

 あらゆる文具人(文具凝り性の人)は、この3つをめぐり分離/独立の歴史をきざんできた。AとCを組み合わせてBを単独にする。AとBを組み合わせてCはメモ帳を使う。今年わたしは2つにしてシメシメと思っていた。ところが野帳=発想、スケジュール=スリム手帳、打ち合わせ=B5と“国土が3つに分断”されてしまった。わずか半年で組み替えだ。こりゃ困った。

080703_152203 文具のユーゴスラビア状態。

【システム手帳には(やはり)なじめない】
 上記のABCをひとつにする文具人の御用達アイテムが“システム手帳”である。わたしはズボラなので、昔はよく使っていたのに、どうもそれになじめなくなった。なぜなのか?どうも“自在にできる”ということがかえって束縛につながっているのではないか?と思い当たった。

 スケジュールを入れ替える、メモをジャンル別に整理する、打ち合わせとメモが一緒になる・・・整理が整理を呼び、一冊の手帳がどんどん複雑になる。リフィルの入れ替えで、時系列まで自在にあやつることができる。という錯覚におちいる。

【人生は時系列にすぎない】
 でも、人生ってそんなに複雑系だろうか?仕事も勉強も愛も裏切りも、たいていは時系列で起きている。野に出れば春夏秋冬があり、春分・秋分があり、大晦日があり正月がやってくる。入れ替えしてもたかが知れている。

 野帳の不滅さ、時系列で出来事を書き留めておく、その自然体ゆえなのである。

  余談。いかにわたしが“たかがメモ魔、されどメモ魔”であるか、その証拠の一部をお見せします。次の写真は過去数年の“発想メモ帳”の保存箱。

Pict0172_2 ぎっしり。

 これを見ると“発想をどう書き留めるか”、苦労&工夫をしてきたんだなと思う。逆に言えば決定的な文具はなかった。野帳がこの箱にずらりと並ぶのだろうか?そんなほのかな予感はある。今日は以上です。

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