air BE-PALの休刊に考えたこと
休まないことのたいへんさ、2年以上休まないブロガーのわたしにも、よ〜くわかります。雑誌『BE-PAL』のウエブマガジン、『air BE-PAL』は1943回も連続していた。雨の日も風の日も、盆暮れも夏休みも、浦和レッズが優勝した日も優勝を逃した日も、刊行されていた。これは凄いことだ。
1943回÷365日=5.32年。新ウエブマガジンとして再出発のため、08年8月31日、休刊した。合掌(誰も死んだわけじゃないけど)。
【hmm…なアドバイス198.air BE-PALの休刊に考えたこと】
わたしは愛読者のひとりでした。とりわけライター佐藤恵菜さんの取り上げるグッズには、心を奪われ、4〜5回もブログで取り上げてきた。
“ゲル入りの自転車クッション”は買いそこねた。“戦利品バッグ”もよかった。“tea tube”に“爪切り付きアーミーナイフ”。佐藤さんの目利き力には平伏しております。昨日取り上げた“ぐるぐる回すLEDライト”も佐藤さん経由なのです!これはBE-PALで買ったのですが、あとでAmazonの方が安く売っていたのを知ってショックだったけれど。
LEDライト、オーダーメイド新聞バッグ。いずれも佐藤さん。いつかお会いしたい。
「八重山産ジャージー牛のアイスクリーム」「オーダーメイド新聞バッグ」など国内の記事も、「フランス版フリマ“ヴィッドグルニエ”」「ボルドーで自転車のんべんだらり旅行」など海外の記事もよかった。
【リーディングからブラウズへの流れ】
インターネットの世界には、無責任で粗悪な情報も溢れかえっています。
受け手に厳しい選択眼が求められる一方で、発信側にはより強い自覚と責任、
技量が必要になっているのではないかと思います。そういう意味で、雑誌の
編集部がインターネット・メディアに関わっていくことは、とても重要なことだ
と信じています。
引用元 air BE-PALの“1943号目のごあいさつ” より
まさにその通りだと思う。ネットの発達で“リーディング(読書)からブラウズ(拾い読み)へ”、活字消費者を決定的に変化させた。わたし自身もそうだが、じっくり読むより、“これ読んだことがある” “知っている”という基準で読み飛ばすことが多い。“受けとめて考える”より“知ればいい”という読者が増えた。ネットによって“巨大な井戸端会議”ができた。
そうした文化論もさることながら、気になるのは“雑誌からネットへの比重変化”の内側である。コスト構成の変化である。
【雑誌の休刊のウラにあること】
雑誌の休刊もそれをウラづける。講談社『現代』は年内休刊。『主婦の友』(主婦の友社 08年5月)、『KING』(講談社 同9月)、『論座』(朝日新聞社 9月)、『PLAYBOY日本版』(集英社 11月)。広告の比重が、紙の雑誌媒体からネットに移るのが主因と言われる。
しかし広告という収入の変化だけでなく、コスト変化こそ注目すべき。雑誌媒体における企画・制作・営業・広告コストと、ネットメディアにおけるそれらとは割合が違う。
端的にいえば、雑誌メディアは企画、制作、営業それぞれに担当が存在している。カメラマンもカメラ助手もいる。印刷所もあれば、物流会社もあり、販売店もある。
ウエブサイトではどうか。わたしも関わりがある某サイトの内側を想像すると、編集+制作は一緒だし、カメラはライターか編集者が撮影し、営業はウエブサイトがしている。印刷物はなく物流費はゼロだ。コスト構成がまるで違うのだ。この流れに紙媒体は舵をきれないからだ。
【旧メディアでも新メディアでも変わらないのは・・・】
余談だが作日取り上げたデイビット・バーンが“音楽ビジネスのコスト”を暴いている。CDの売上配分の今昔だが、アーチストは今も昔もビンボーだと言いたい。アルバムCD(小売価格$15.99)の既存チャネルのコスト構成は次の通り。引用元はb3annex。
ミュージシャン組合 1% $0.16
パッケージ・製造 5% $0.80
出版印税 5% $0.80
小売利益分 5% $0.80
流通コスト 6% $0.96
アーティストロイヤリティ 10% $1.60
レコード会社利益分 11% $1.76
マーケティング・プロモーション費 15% $2.40
レコード会社経費 18% $2.88
小売経費 24% $3.84
計 100% $15.99 (データはWired誌による)
レコード会社は利益+マーケティング+経費=44%、小売は経費+流通コスト+利益=35%、合わせて79%。ところがダウンロード販売でも、アーチストの取り分が上がらないというのが、バーン氏の主張だ。
アーティスト 14% $1.40
iTunes 30% $3.00
レコード会社 56% $5.59
計 100% $9.99
アーチストだけでなく、ライターも似たようなものです。愛の手と仕事を!
【hmm…なアドバイス】
air BE-PALがあらがいきれなかったことは、他のあらゆる雑誌メディアが直面していること。制作側のひとりひとりの役割に変化が求められている。だが急には職能を変えられないジレンマ。air BE-PAL、『BE-PAL』の雑誌媒体と平行でよくやってきた。
ウエブサイト・ポータル、書き手から読み手にまっすぐにつながる“ダイレクト・メディア”という魅力は尽きない。air BE-PALを初め、毎日更新している裏側のご苦労、ちょっと忍ぼうではないか。今日は以上です。
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