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2008年9月 4日 (木)

座って触って気持ちいい理由ー「椅子塾展300Chairs」

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングのリードです。

座って触って気持ちいい理由——「椅子塾展300Chairs 
コスト優先の大量生産で生み出された椅子には、消費者にとって大切な
“心地良さ”が欠けていることがある。そんな風潮に反発して、人間の
五体が本当に心地良いと思えるような椅子を作ろうとする職人たちが
いるのだ。 続きはこちらへ

 「自分がデザインした椅子を作るというぜいたく」、椅子塾展のキャッチコピーに惹かれた。椅子とは極めてパーソナルなものじゃないですか。自分仕様の椅子づくり。自分がカタチを考えて、それを自分の手でカタチにしていく。なんて素晴らしいんだろうと思いました。

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   ポスター。          わたしが出席したセミナー当日の様子。

 新宿のOZONで開かれた椅子塾展の「300 Chairs」セミナーで椅子を感じたのが今回の執筆のテーマです。個性的な椅子があれだけ勢ぞろいする展示会は珍しい。お尻と背中のぜいたくな一日でした。

【椅子デザイナーになるなら、ダイニングチェアしかない】
 宮崎椅子製作所は先代の時代から鏡台の椅子づくりをしていた。大手メーカーの下請けの鏡台メーカー。鏡台は分業制で、鏡はこちら、台はあそこ、椅子はこっちで組み合わせて制作して出荷していた。しかしクローゼットが普及して、鏡台が売れなくなった。それが契機になって椅子に生き残りをかけた。

 大量生産の椅子を作っても中国など工賃の安い海外に負けてしまう。第一、大量品を制作するのはおもしろくない、自社の商品を気持ちよく作りたいと宮崎社長は考えた。村澤一晃さん、小泉誠さんという気鋭のデザイナーさんとの出会いが飛躍のきっかけ。

 もうひとつ見逃せないのが、同社はダイニングチェアを制作のメインに据えたこと。これには理由がある。セミナーの中で椅子塾の井上昇さんが断定的に語っていた。

 「椅子デザイナーになるなら、ダイニングチェアしかない」 

 椅子作りといえば、社長の椅子とかロッキングチェアとか、個性的な椅子を想像しがちだが、買われるのはダイニングチェアであり、何よりも4脚とか6脚まとめて売れますよね。日々長い時間座る椅子として、さりげない個性と良さが求められる。地味に見えて奥がとても深いのがダイニングチェア。

 Otoshimonoten2  宮崎椅子製作所のメン・ウイメン 

 塾が一年もかかると知ってちょっと尻込みしたけれど、椅子づくり、とても惹かれた。宮崎椅子の魅力に惚れて、全国から若い人が押し寄せているのもわかる。それも女性が多いというのも細やかさや奥の深さがあるから。粉まみれの過酷な職場でもやりたい気持ち、理解できます。

【椅子づくりの3つの観点】
 セミナーの中で村澤さんが語っていた“椅子デザインの3つの視点”。

一、空間との関係。
二、プロダクトとしての椅子。
三、目をつむって座り、からだが触れる道具

 空間との関係とは、テーブルやインテリア、床材などとの関係。椅子は道具ですから環境と調和が取れていないとならない。

 またプロダクトの椅子とは、素材や加工、コストなどが要素ですが、きっと眼目は“木肌”でしょう。木材は木肌が美しいからこそ好まれる。樹脂は古びると汚いが、木材は古びてこそ美しくなる素材。逆にいえばそういう古びたプロダクトを好む人が買ってくれればいい。使い続けて、自分の色になるのが好きな人に受け入れられればいい。そんなことも語られていた。

 みっつ目の“触れる道具”という切り口で今回のエッセイを書きました。

 人は椅子に座るだけではない。あぐらをかく、足を組む、足を伸ばす、寝こむ、伸びをする。だから椅子のデザインのとき、後ろ姿に気をつけているそうです。それをなぜかな?と考えると、それは椅子のデザインとは椅子が主役ではなく、椅子に座る人が主役だからでしょう。気持ちよく座る人が主役の商品なのです。

【椅子あれこれ】
 椅子は実にさまざまな顔を持つ。街で見かけた椅子を4つほど。外にある椅子は濡れるし、積み重ねられることもあります。

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 座ることを拒否する椅子もあれば、多くの人が、椅子じゃないのに座る椅子もあります。

 Pict0523 Pict0520   

 某オフィスにある椅子は、社長室長の黒っちさんがご自宅から会社に持ちこんだモノ。椅子の話をしているときに何気なく手をつっこんだら、彼の娘のヘアバンドが隙間から出てきた(笑)。椅子はたいせつなモノの“隠し場所”にもなるわけです。
 
 Pict0525 Cherryさんの手。

 クッションとクッションの間に、手を突っ込んだときの感触、自分の昔に触れるようです。椅子にはさまざまな触感があり、触りかたがある。今日は以上です。

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