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2008年12月 5日 (金)

スコセッシとストーンズからのギフト

 これはスコセッシとストーンズからのギフトだ。

Shinealight  引用元 

 スコセッシからのギフトは、ナマのファン目線だ。“これでどうだい、ギリギリだぜ!”と嘆きつつ、1曲1曲の見せ場を熟知したカメラ&サウンドワーク。映画を撮る側の緊張感をみせてくれる。

 ストーンズからのギフトはもちろん“Keep on rolling ”だ。彼らの年齢はイってしまっているが、そんなことは忘れちまおう。年齢はアイコンだ。スコセッシのアート魂に感応した彼らのステージこそ圧倒的だ。ただ感じてリズムを踏めばいい。それだけで前に進める。

【hmm…なアドバイス264. スコセッシとストーンズからのギフト】
 『Shine A Light』 コンサート映画であり、ストーンズ映画である。映画監督マーティン・スコセッシが、ニューヨークのBeacon Theatreでのローリング・ストーンズのコンサートを収録したフィルムだ。ストーンズ・ファンのあいだでは“4年に一度税金をはらう”と表現される儀式のひとつとして、コンサートではなく映画ですが、公開初日に税金を払ってきました。

 ストーンズ・フェチはあんがいクチコミをせずに、でもリピータブルな習性をもっているので、自己満足でサティスファクションします。マーケティング的に はコアでディープな支払いをするわけですが、わたしが電車遅延で遅れていった某郊外のシアター。ラスト上映のひとつ前の回ですけど、あらら10人くらいの観客でした。キビしい予想はしていましたが、ロックバンドとしての継続性は高くても、日本での映画上演の継続性はヤバい(笑)。

【60代のライブ、圧倒的】
 さてストーンズのライブフェチとしては、69年、73年、76年、80年という4つの音源と比べても、このBeacon Theatreのライブは傑出している。90年以降の生半可なコンサートと比べるのはナンセンスです。

 もちろん、それぞれの音楽ツアーにそれぞれの事情がある。メンバーの調子がイマイチだとか、ドラッグでコンサート中止だとか。そもそもライブ音源を記録されたもの(レコードやCDやDVD)で比較するのは、同一体験でいっしょくたにはできない。

 でもね、ストーンズというグループは、“ライブ(ナマ演奏)”にその良さが際立ち、“ライブ(生き抜くこと)”であることに存在価値がある。彼らのおおよそすべてのブートレグ・ライブも聴き抜いてきたわたしには、この60代のライブの凄さは掛け値無し、圧倒的でした。

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【苦しいときに。】
 思えば、苦しいときにはいつもストーンズに助けられてきました。失恋したときには『Shine A Light』を聴く。とにかくチカラが欲しいときは『Start me up』を。落ち込んだときは『Get off My cloud』で。モヤっとするときは『Just my imagination』。思い出ならもちろん『Memory motel』、踊りたいときは『Brown Sugar』だ。とてもアンカウンタブルな暗い夜を助けてもらった。今さらだがありがとう。

 コンサート収録のために、ミック・ジャガーがひとりで曲選と順位を呻吟するシーンが映画中にあるが、そのキモチをわかるぜ。ストーンズの曲で助けられるのは、実はね、ファンだけではない。彼ら自身もまた助けられてきた

 『Shine A Light』の映画中、昔のインタビューをリワインドするシーンがある。キースとミックがドラッグ使用で逮捕され、独房に壁を隔てて留置されたときのエピソードだ。冷たい独房にミックはめげそうになって、オレ、もうだめだよ・・・などとキースにつぶやいた。すると壁ごしにキースは言った。

“you gonna make it” (お前ならできるよ!)

 それでミックも、“じゃあやろう”と言ったという。ストーンズの歌にはドラッグ使用のようなアディクション(習慣性)があるのだが、毒にも薬にもなるというように、弱まったときにチカラになってくれる。

【バンドっていい】
 ギターのキース・リチャーズとロン・ウッドを語るとき、うまいヘタでは語れない。ストーンズはアートであるので、あの即興的なギターリフをうまいとかヘタで評価するなんて、まったくナンセンスである。

 この映画でもわかるが、ふたりは一曲の中でもリードギターとリズムギターを入れ替えている。それはキメもあるし即興もあるだろう。キースのノリが悪ければ、きっちりロンがリフを差しこんでいるのもわかる。信頼していないとできないことだ。

 「2人ともヘタだが、一緒だと何かがおきる」とキースが語るように、チャーリーのドラムにも叩かれて、ふたりのリフがからみあう。バンドっていいなと思う瞬間だ。

【ボーイなオヤジと可愛いオヤジ】
 最後に、映画の見所のひとつに年の取りかたにふれます。ミック・ジャガーという年のとりかたと、キース・リチャーズという年の取りかたには違いがある。皺の多さや眼もとの強さをみれば、ふたりとも年をとったなあとは思う。でも違う。

 ミックの皺は“老快”であり、キースのそれは“老笑”だ。
 ミックのそれは“ボーイなオヤジ”であり、キースのそれは“可愛いオヤジ”だ。

 だれもが幾つでもツッパりたいし(つまりミックだ)、だれもが年相応に円熟したい(つまりキースだ)。そんなアンビバレントさを感じるのも、今やストーンズの魅力のひとつ。

 日本での初コンサートのとき(91年)、ふたりにインタビューした五木寛之氏は「ミックはナイフのように切れるヤツ」で「キースは誰もが嫌いになれないヤツ」と評した。まさにそのまんま年をとった感じだ。どっちになりたいか、中年男性はムネに手をあてて考えよう。ちなみにわたしは、ミック7割、キース3割くらいで年をとるのが理想だ(笑)。

 27mickjager  引用元

【うふふで終わり】
 いくらでも書けるがもうやめておきます(笑)。ただ映画を観つつ、ひとつマーケティングのヒントも得た。彼らが飽きられないコツ、長く続くコツには、オリジナリティとポピュラリティのバランスがあるのだ。明日はその話題を書きたい。

 余談。2012年のロンドン・オリンピックの開催式に一緒に行こうぜ!というお誘いがtomoyonさんから来たので、それに快諾した。なぜならストーンズが、そのオープニングコンサートにブッキングされているという。そのとき、ほぼ50年やっていることになる。絶句だ。今日は以上です。

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