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2009年1月の31件の記事

2009年1月31日 (土)

色えんぴつのこころ模様

マスキングテープ『mt』のことを“うふふ”マーケティングに書いていて、気になった色が薄縹(うすはなだ)。元々は露草の花弁から搾り取った汁がべースの色だという。

70726f647563742f3830336166633137643 こんな色どす。 

 日本人は自然のなかからこんな微妙な色をつむぎだし、深縹・中縹・浅縹・白縹などの階調を楽しんだ。今日は雨の止まない縹色の世界。でも春に向かって色鉛筆の新製品が続けて発表されました。

【hmm…なアドバイス310.色えんぴつのこころ模様】
『パイロット・ウォーターカラー』は、ホルダー式の水彩色鉛筆です。
ペン本体の尾栓を回転させることで、芯の出し入れや長さの調節が簡単に
できます。芯を削る手間がいらず、削るたびに本体が短くなることも
ありません。
引用元 

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 水彩色鉛筆とは、描いたあとに水を含ませた小筆で滲ませることで水彩画表現ができるもの。筆で精密なスケッチをするのは手強いけれど、鉛筆で書く要領で描いたあとに、水彩画タッチにするのなら比較的容易。フツーは色鉛筆なので削ったりの手間があるが、パイロットのホルダー&替芯方式なら、経済的だし削る手間要らずだとか。しかも水溶後は耐水性を発揮するという。

Pilot

 色は基本色24種類。ポストカードに絵を書いて、文を添えて手紙を送る中高年も増えているので春先にぴったりの製品。1本157円、リフィルは84円、水筆ペンは525円。12色セット(2,625円)は水筆ペン付きのパレット。発売は2月10日から。もうひとつはなんと500色。

【FELISSIMO 500の色えんぴつ
フェリシモ 500色の色えんぴつ定期予約コレクション20
500色の色。明るい色から、穏やかな色、鮮やかな色、深い色…。
どんどん広がる色のグラデーションから、好きな色を思いのままに。

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フェリシモらしい毎月25色ずつ、20ヶ月間お届けするシステム。どんな色がやってくるのかとても楽しい。にしても、500色すべてに名前があるのがすごい。色彩学や色彩心理学でも有名だった野村順一氏の“色とその色を好きな人の物語”解説がついてくる。

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 25色/1回お届けで1800円、つまり1本72円。けっこう安い。先行予約特典なら60円。おもしろいなと思ったのが、この色鉛筆の楽しみかたの提案。“好きな色鉛筆を飾る” “お守りとして持つ(燃えろよ自分、冷静になれよアタシ)” “ラッピングしてプレゼント” もちろん絵を描いてもいい。500もあるからこそ、微妙な色いろいろな楽しみができる。

【hmm…なアドバイス】
 好きな色、衝撃を受けた色、そして嫌いな色。色には思い出が重なる。

 それは絵画や一枚の写真、好きだった洋服、たった一瞬見かけた自動車、始めて見た海外の街の色、特別なあの日の空や海や地面の色、好きだった女性の口紅。

 自分はどういう生きかたをしたいか。色には生きかたも重なる。

 ルビー色に燃えたい、オーシャンブルーのようにクールでいたい、藤色のように上品さを保ちたい、ピンク色で若さをたもちたい…(野村先生によるとピンクやっぱり萌え系)。

32045988

 ブログのテーマカラーもその人となりを表す。マーケティング・ブレインはがテーマ。血の通った赤、ときに赤面する赤。家計赤字の赤(笑)。今日は以上です。

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2009年1月30日 (金)

ツツヌケSNSもいいけれど。

 今日は書こうと思っていた話題がありましたが、夕刻、盟友tomoyonからメールが飛んできた。

 「ばかっぽい記事を見つけたのでお送りします~。

 何それ?教えてもらったURLをさっそくググると、ふむふむと思いました。切口というか“語りかけ”がおもしろいですが、マーケティング屋としてはフフンとも思いました。

【hmm…なアドバイス309.ツツヌケSNSもいいけれど】
 Sp
 13

今回Qriptでは、人と人との繋がりを強力にサポートするという
目的のもと、従来のSNSの既成概念を取払い、ある意味“ドレスダウン”
された親近感のあるSNSを構築しました。ツツヌケに参加すると、
管理人のおばちゃん(アニメキャラクタ)が、友達を紹介したり、日記に
コメントをしたり、好きなおでんの具を聞いてきたりします。思わず
「あぁ〜、もう、うるさいなぁ」とぼやいてしまう“おせっかい”を焼いて
くれることによって、住人(ユーザー)が幽霊化しない下宿(環境)作りを
提供します。
(長い引用ですが、全文こちらへ

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 大阪のITベンチャーのQript社(クォリティープロダクト〜価値ある製品、の縮め語)が提供する、消費者参加型のSNSです。オモシロなリリースなのでアクセスが殺到したというが、わたしはわりとすんなり入れた。(urlはこちら

【こんな下宿屋です】
ガイド役のおばちゃん、ねえやん、にいやんの言葉を採録。

<おばちゃん>
ツツヌケ荘は、お父ちゃんが残してくれた大事な家なんよ。みんな住んでくれておおきにやで(と優しい管理人のことば)
<娘のひろの>
京都に住んでるおばあちゃんのお店を手伝いに行ってるので、おらん時もありますけど、仲良くして下さいね。
<れいか>
やかましいって私のこと?失礼ねぇ。私に会えると嬉しいわよね? そうよねっ!?
<竜之進>
竜之進です。役者をやってます。
<Hello、ショーです>
日本に留学して日本文化を学んでいます。よろしく。

Chara2  Chara3 どちらも気になる。

【仮入居しました】
 てな感じの大家と入居者ですが、ものは試しで入居者登録しました。登録したばかりですからまだメッセージなぞ来ませんが、たいした個人情報登録もなくできました。嘘書いてもスルーであるのは、他のSNSと一緒です。

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 わたしが「ハハン」と思ったのは大家のおばさんから(何気なく)発せられるコメントです。

「管理人のおばちゃん(アニメキャラクタ)が、友達を紹介したり、
日記にコメントをしたり、好きなおでんの具を聞いてきたりします。
思わず「あぁ〜、もう、うるさいなぁ」とぼやいてしまう“おせっかい”
を焼いてくれることによって、住人(ユーザー)が幽霊化しない下宿
(環境)作りを提供します。
引用元、上同

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 ここで気になるのは個人情報保護でしょう。SNS運営は広告とデータ活用ですから、「家主のおばさんの何気ない質問が、実はリサーチに」というのだと、そこはちゃんと記述すべきでしょう。マーケティングリサーチ的には“あざといな”と思いましたけど。

10_2 大人気です。

【SNSが飽きられているとすれば…】
 今のSNSの実質的な参加率はわかりませんが、身の回りでは飽きている・書かない人も増えたような気がします。SNSの2番手のグリー。昨年の公開時の株式価格は高値で、実は意外でした。今さらのSNSなの?と。auとの連携がさすがと思いましたが、仮説としてSNSが飽きられているとすれば、その理由は何か?

 定着したあとの“飽き”と見るか、
 人間の三日坊主の本性の“怠惰”と見るか、
 他のメディアとの時間の取り合いの末と見るか、

 それによって対策はちがいます。個人的には、文を書くことのむつかしさ&面倒さが重荷だと思う。それは電子デバイスで軽くなった面もあるし(いつでもどこでも画像でも)、重い面(立ち上げ、モバイル)もある。次の展開はそのあたりの読みどころです。

【hmm…なアドバイス】
 今、全員参加のSNSのもっとも必要な分野、それは“政治の民意収集システム

 現政権、経済も労働も厚生も郵政もみんなまずいです。もちろん現政権だけの責任でなく、その数代前から施策の悪さの蓄積が噴出して、それに景気の悪さがダブルパンチなのが今の状況です。「景気が悪い、どうしよう、政策も選挙も大事だ、経済は自律好転を待とう」という姿勢が麻生政権。片やオバマ政権は「今はこれほど危機だ。これが必要だ。そのために犠牲と献身と知恵が必要だ」と言ってます。

 あらゆる価値観が変わらざるを得ない今、みんなが意見をだしあい、良い意見を吸い上げてまとめる仕組みをつくる。どなたか今こそ“政治SNS”を誰か立ち上げてくれませんか?情報発信&共有のシステムが(こんな政府のていたらくの)今こそ国家的に必要です。今日は以上です。

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2009年1月29日 (木)

マスキングテープはアート化した

 今日はビジネスメディア誠で連載する“うふふマーケティング”へのリードです。

ムサい男たちの現場に女子が来た日……マスキングテープはアート化した
従来は工業製品として使われていたマスキングテープ。しかし、
マスキングテープマニアからの提案で、新たにアート用マスキング
テープという需要が掘り起こされたのだ。
続きはこちら

 Mt

【hmm…なアドバイス308.マスキングテープはアート化した】
 mt、マスキングテープが女子の間で相当流行っていると知ったのは、昨年11月か12月くらい、相棒cherryさんからフト聴いたのがきっかけ。最初はフウン、テープを手にしてみるとハハン、cherryさんがいろいろ貼り出すとホホゥと。こりゃおもしろい!身のまわりのグッズにちょいと貼るだけで、見慣れた壁やインテリアが“自分仕様”になる。貼れば貼るほどにくらしがクリエイティブになる。モノ凄い素材だと思いました。

  Dsc00997 Dsc01008  
  この作品は“笑顔のアーティストRIEさん”のもの。わたしたちの大好きな一品です。

 マーケティング論の素材としても、とても貴重な事例。商品に惚れた方々が自ら活動して、メーカーに提案して、新しい価値を生み出して、しかも新製品開発に携わった。大部分は無償なんです。凄いですよ、これは。感動しました。

 オープン系の製品開発(みんなの善意の力をひとつの開発に結集する)はシステムだけかと思ったけれど、ユーザーが意見だけでなく製品コンセプトやパッケージング、販売チャネル構築にまで関わるという事例は多くない。ほんとうのユーザー視点でやりきるのは、その会社に顧客志向の遺伝子がないとできないと思う。

Ca390052002 同社HPより。

 あなたの会社では、ユーザーからのヒントをどう受けとめていますか?それをどう活用していますか?どこまでユーザーの真意を知り抜こうとしますか?そんなことを考えてみるといいと思う。

【BrightBike】
 昨日の自転車の話題に続いて、これいいな!と思った“BrightBike”をご紹介。

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Bright Bike is a Retroreflective Vinyl coated bike. It is like coating
your bike with a big sticker that turns ultra-brite in headlights.
引用元 bright bike 

光反射素材のビニールテープをデコラティブに貼ろう!というムーブメントというか運動です(同じか_笑)。自転車乗りならわかりますが、自動車ドライバーの視覚に自分が入っているかどうか、いつも気になります。ちかちかするライトももちろん良いの光反射素材のビニールテープをデコラティブに貼ろう!ですが、それは後ろの車へのアピール。もっと車輛全体の存在を安価にするには、そして“自分仕様”にするなら、テープを活用するのがいい。

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 小学校、中学校で反射テープをみんなで貼ろう!イベント、おもしろいよね。創造心を出して「ほらカッチョイイだろう!」と貼りあって見せあうと楽しいな。そんなイベント企画をシマノさんに提案しようと思っています。


Bright Bike at Holiday Hackshop. from Michael Mandiberg on Vimeo.

【hmm…なアドバイス】
 たかがテープ、されどテープ。テーブをちぎるだけで自分が“クリエイター気分”になれるんです。そこが凄いと思うんです。それってフツーの男子にはわからないだろなと思う。逆に言えば40代でもそれがわかる自分は変人だろうか(笑)。

 次回のビジネスメディア誠では、カモ井さんの事業を例にして、新時代に自社の競争軸をいかに創り生き残るか、そんなテーマを書きたいなと。

 昨日も某クライアントに話しましたが、この百年に一度の恐慌で、“どこまで覚悟すべきか”、“そこから何をすべきか”。経済のピックアップは意外に早くやってきますが、競争条件は今とは180度違う。その課題整理、課題展開、事業プランを創る必要があります。製造業だけでなく、アウトソーシングが広まりますので、自社のサービス・ポジションをいかに変化させるかがキーポイントでしょう。

 自社の競争軸をどう変えるべきか、そこが生死を分けると思います。今日は以上です。

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2009年1月28日 (水)

自転車ライトレーンを地域づくりコンセプトに

  『首相、施政方針演説 小泉改革路線と一線、小さな政府に疑問符』という演説記事、もうしわけないけれど、本文を読もうという気にさえならない見出しです。とってもKYな政権で暗澹(あんたん)とします。

 首相のその演説の文字数は8,467字。原稿用紙400字詰め20枚に満たない量はコンパクトでいいけれど。一方、しっかり原文も訳文もコピーしました、海の向こうのオバマ氏の就任演説は13,320字。量より質ですが差があまりに歴然として、日本経済のピックアップが(このままでは)遅れると暗澹とします。

【hmm…なアドバイス307.自転車ライトレーンを地域づくりコンセプトに】
 国民へのばらまきのお小遣いなんぞより、今ずっと価値があるのは、メッセージが明確な公共事業投資です。オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策のように、環境に良くて、産業構造をがらりと変える事業が最良である。今さら高速道路や林業道路の建設はNG。環境破壊のダムや原発はNG。では何がいいか?

 自転車乗りとして、ひとつのアイデアだな!と思ったのが“ライト・レーン”。

Lightlane_copyright

One key is that the lane establishes a well defined boundary beyond
the envelope of the bicycle, providing a greater margin of safety
between the car and the cyclist. Yet, only a small fraction of streets
have dedicated bike lanes, and with an installation cost of $5,000 to
$50,000 per mile,
(後略) 引用元

 ひとつの鍵は車道でバイク(自転車)と車の境界線を明確にして、車道での自転車走行をもっと安全にするもの。まだほんの少ししかバイクレーンはないけれど、この“光る自転車レーン”、1マイルあたり5000ドルから5万ドルで可能である。(超訳)

 自転車乗りの間で、最近圧倒的に支持されたのが、この光るバイクレーン・コンセプト。 発案者は米国Altitude Inc.のAlex TeeさんとEvan Gantさん。見積りコストにもかなり幅があるし、コンセプトの中で技術的な説明がほとんどない。自ら発光する材料を用いるのか、反射材料なのか、発電素子を埋め込むのか。まあいろいろな技術可能性があるので、5000ドルから5万ドルという10倍の差を提示したのであろう。

【Altitude Inc.について】
 どんなデザイン・デュオなのか調べたが、所属会社についても彼ら自身についても、限界があった。おそらくこの会社(Altitude Inc.)に属しているのだろうという前提で、その会社の情報を掲載します。間違っていたら削除します。

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 “みんな寝ているとき、つまり闇にあるとき(今のような不況)、わたしたちはあなたを輝かせます”というような意味のコピー。ライトレーンはまさにそのコンセプトですね。

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 この切口、「あなたの会社の次は?」「あなたはマーケットリーダーですか?」「製品開発は理想的?」「どのように理想を現実化してますか?」「わたしたちができること」も参考になります。

【hmm…なアドバイス】
 以前から地方都市では“自転車都市宣言”をして、自転車にやさしい都市づくりを進めるべきだと書いてきました。自転車は環境にやさしく、健康にも抗加齢にも効くし、なにしろヘルシーだし、死亡事故は少ないし、なぜか譲り合い精神を醸成しやすい。

 自転車を都市再生の核に据えて、専用&兼用道路整備、駐輪場整備、レンタルサイクル整備など自転車利用を進める一方で、中心商業の再活性化を自動車ではなく、徒歩とサイクリストの商業街づくりにシフトさせる。自動車利用前提の郊外開発から、人力移動の中心市街地開発にどんどんシフトするべきだと思う。

でも全国津々浦々でそうなる必要はない。起伏がある土地では自転車利用は促進できないし(電動サイクルもいいけど)、平坦かつ都市整備が一段落して、市街地改造の条件が整った地域でやればいいと思うのです。中央政府は電気自動車、地方政府は自転車。どうでしょうか?

【余談その1】
 と、堅い話ばかりではナニなので、こんな良い商品も見つけました!

Ts_yuento02 Ts_yuento01

 自転車に乗りながらの携帯プレーヤーのリスニング、絶対NG。でも長い距離を走るときや専用道路なら音楽くらい聴きたい。そんなときに携帯プレーヤーのイヤホンに挿しこんで、ぶら下げると音楽が醸し出される。「YUEN'TO ミュージックバルーン」は3990円。

【余談その2】
 わたしのこのブログをお読みいただいている方々は覚えているはず。あのFirewinder。先日、英国の丘で大量に光らせたイベントが、BBCにも取り上げられました。2分くらいです。


Firewinder - BBC Points West Feature from Firewinder on Vimeo

 日本でも同じように“風の光のイベント”を開くことをわたしは画策中です。不況にめげずにがんばろう!風力で日本を照らそう!ほとんどボランティアですが、実現できるならば、ぜひ「我こそは!」の方々のご協力をと思います。横浜、静岡、そして神戸あたりで実現できればサイコーです。今日は以上です。

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2009年1月27日 (火)

体臭マーケティングのフロンティア

 盟友tomoyonさんのミクシィのカキコに笑った。

 「近くの殿方がくさいよ!なんで?!くさい!たすけて!うぐぐぐ。

 何やら後ろの方に4人も“臭いの”がいるらしい。ご愁傷さまですねん。どなた&どなた&どなた&どなたか、あとで聞いておきますが、何名かはわたしも汁、いや知る人びと。ここで発表できませぬ。体臭訴えセクハラと言われて、逆に名誉毀損の訴訟されてもイヤですから。入室停止の申し立てを穏便に起こすスベを考えよう。

【hmm…なアドバイス306. 体臭マーケティングのフロンティア】
当社、ビューティケア研究所が、20代後半から30代男性特有のニオイに
ついて研究を行ったところ、そのニオイは、(1)加齢臭の原因物質である
ノネナールとは明らかに異なる、脂っぽい独特のニオイであること、
(2)そのニオイを特徴付ける物質は、使い古した食用油臭に似た「ペラル
ゴン酸」であり、カラダから出た皮脂が酸化されることで発生することを
突き止めました。
引用元 

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  ライオンが開発した“30代男性特有の脂っぽいニオイを抑えるPRO TEC STYLEシリーズ”、そのポイントは「30代は加齢臭ではなく“脂臭”である」。30代の匂いの物質は“ペラルゴン酸”、それをどう抑制するかを商品化ポイントにした。パッケージングは、皮脂・汗・汚れをしっかり落とす、デオドラント商品の王道というポジションである。匂いだけにフォーカスしてライオンの豊富なラインナップに組み込む苦労を(ほんのりと)忍ばせた。

 商品展開は2つ。『デオドラントミスト』(入浴後や外出時に発生した皮脂・汗の匂い化を抑える)、『デオドラントソープ』(入浴時の皮脂・汗・汚れをしっかり落としてニオイの発生を防ぐ石けん)。

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【年齢別匂いマーケティングはまだまだ深堀りできそう】
ネナールとは、資生堂が研究の中から発見した親父臭さの原因物資
のことです。ノネナールの発見から加齢とともに発するようになる臭い
「加齢臭」「エイジングノート」という言葉も生まれました。
 引用元 

 興味を惹かれたポイントは“年齢によって分泌する匂いの素”がちがうこと。資生堂さんが突き止めた“不飽和アルデヒドの2-ノネナール”加齢臭なら鼻と耳でハハンですね。あれは(発生源かもしれないわたし自身にとっても)スキではない。30代“ノネナール”と言えるのかもしれません。

 40代のわたしはノネナールで、30代は“ペラルゴン”なのか?年齢的な差別はともあれ、30代ではしなかった匂いが発せられるのが“加齢臭”。とすると30代の加齢臭の主因、やはり食生活だろう。

【hmm…なアドヴァイス】
 ずぅっっっっっと、むかっっっっしぃのことだが、枕もとでこう言われた。「郷さんには独特の匂いがあるけれど、それスキです」。あまりに嬉しかったので、脳のヒダの奥についしまってしまって、こうして反すうしている。

 ふふん。匂いの問題とは、実は“人間関係の圧縮表現”なのだ。

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 ヒダのある和紙。創る和紙職人のハタノさんの作

 「オトーさん、臭いよ」「あなた、匂うわ」と告げられて別れ話があるのかもしれない。ふふんとそうよね、といった三行半。ムスメに感じる“青い匂い”、“ハタチ頃の匂い”もある。「あなたの匂いがスキよ、独特だけど」という迷いをいざなう感覚と紙一重のような気もするけど。

 匂いとは、マーケティングにしろプランニングにしろ、“人間臭いもの”なのだ。そう思ってかからなくちゃならない。だがtomoyonのカキコのコメントにはこうあった。「ファ○リーズ! かけちゃえっ!!」 今日は以上です。

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2009年1月26日 (月)

芸能で受注増を!

 ネットで購入した本『七世市川団蔵』を昨夜始めて開いた。昭和17年の初版本である。お正月に『老人の美しい死について』(朝倉喬司著)のことを書いてから読みたくなって買った本。著者は八世市川団蔵、当時は市川九蔵。戦中から戦後にかけての歌舞伎役者である。読み出すと彼の父をめぐるエピソードの豊富さやおもしろさ、意外な展開、もちろんその偉大さに引き込まれた。

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 そんなことを思って、芸能とビジネスの関係に思いをはせた。

【hmm…なアドヴァイス305.芸能で受注増を!】
ライフネット生命保険株式会社は、本年1月19日より、吉本興業所属のお笑い
芸人、「なかやまきんに君」・「鉄拳」・「もう中学生」の3名を起用し、
インターネット限定のキャンペーン企画『特別コント講座 生命保険』を
OPEN致しました。
引用元 

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 保険をお笑い芸人が説明する!?まあ百貨店でも(客寄せで)落語をやるし、生保とお笑いなら高齢者顧客のフィッシングですかと最初は思った。だがそのサービスを提供する生保会社の名前を見てハハンと思いました。それは“保険を真っ正直に提供する”というライフネット生命保険。その社長の話しをどこかで読んで記憶の片隅にあった。他とはちょっとちがうことをする保険会社と。

【お笑いで生保を説明する力とは…】
 まず“もう中学生”が現れる。彼は学芸会のようなセットで、家族でゆくピクニックを題材に生命保険のことをたくみに説明する。セットがかわいいし、ほのぼの楽しいコントです。

1 2

 次は“鉄拳”。スケッチブックを使い、流している感じが逆にいいかなと。

3 4

 最後は“なかやまきんに君”。左右のムネ筋が見事に動くのが見事。うむむ、あとはちょっと説明調と感じましたが。

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 いずれも吉本の芸人さん。わたしは誰も知らなかった(TV観ませんから、すみません)。生保会社とお笑いのネットアピール、他にないのは新鮮。社長は出口治明さんで、日生で保険業務に精通、やがて高齢化社会が到来すれば生保会社はきっと半分になる。そんな想いから新しい生保の起業につながったという。

「少子高齢化時代が来ることは分かっていたんです。人口が半分になれば生保は
半分になる。生き残るには、業務を多様化するか、海外に出て行くか、ビジネス
モデルの違う競争をするか、それしか展望は開けない。1985年ごろから、常々
そう考えていました」
(出口氏) 引用元

 ライフネット生保の開業日に、最初にかかってきた電話に、社長である出口氏が出たという。いくら新興企業でも生保では社長は電話に出ませんよね。でもここはちがう。そしてとにかく保険商品がわかりやすく説明されている。

 余談だがわたしは旧千代田生命と契約し、それがいつしかAIGとなり、破綻でさらに身売り…。民から集めたお金で不動産や債券投資で焦げ付かせる。合併して有耶無耶にする。償還率が悪くなる。生保を信じた自分をバカだと笑い飛ばせというのでしょうか?

【落語付きのICレコーダー】
 オリンパスの落語の使い方も大胆である。「ICレコーダーにラジオデイズ落語ギャラリー爆笑演芸会版33選を収録」。

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 オリンパスICレコーダー『Voice-TrekG-20 2Gモデル』には最初から33件(古典落語14作、新作落語14作、漫才などの話芸5作)、合計18時間24分の落語コンテンツが収録されている。総メモリー2Gの半分が落語という思いきった商品構成(メモリー構成?)なのである。録音は1GB分ですませて、他はメインユーザーの幸せ(お笑い)で満たすという商品化は意外性がある。

【hmm…なアドヴァイス】
 お笑いや落語や漫才。芸能とビジネスの接点はあんがい深い。

わかりやすさ(説明力)
意外性(気づき)
心のビタミン(なっとくや安心)

 不況でイヤなニュースばかりですが、吉本興行のお笑いをうまく利用し、和らげるだけでなく受注増に結びつけるのもひとつの手である。今日は以上です。

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2009年1月25日 (日)

pdwebデザインコンペ2008にくらしを感じる。

 数日前から“くらし”のことを考えている。くらしの幸せって何だろう?くらしの中の元気の素って何だろう?それをアタマが痛くなるほど考えた。思いついたのは、安心や安全が保たれること、感動や笑いがあること、ヒザ打ちや成長があること、そしてもちろん愛があること。考えた割にはマズローの欲求5段階説みたいで(笑)。

 考え疲れてネットをぶらりとして見つけたのは、くらしのプロダクツ・コンテスト『pdwebデザインコンペ2008』。粒ぞろいエントリー作品が素晴らしい。

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【hmm…なアドバイス304. pdwebデザインコンペ2008にくらしを感じる。】
「pdwebデザインコンペ2008」は、課題も自由、表現方法についてもかなり自由
という取り組みやすいカタチをとり、入門的コンペとしてスタートしました。
結果としては、他のコンペでも優勝もしくはトップを争う人達が多く参加して
くださり、初回でありながら中身の濃いコンペとなりました。
(後略) 
審査委員長 秋田道夫 引用元 

 秋田さんのおっしゃる通り、エントリー全作品をオープンにするという方針はおもしろいし、出品の多くがコンセプトがいい。中身が濃いし実に楽しめました。大賞は下の画像の『No.57 Source』by南政宏さん。わたしもこれはイチオシでした。

57_source1_2  クリック! 

画像をクリックしてください。中央の小さな穴のあいた球体(スフィア)がコックになっている。開けるとその穴から水がしみだして受け皿に溜まり、それが注ぎ口から注がれてくるというもの。コックがいつも清潔さを保つという秀逸な気づき。ハッとしました。

 さすがのデザイン、誰だろう?と思ってお名前をもう一度見ると思いだした。ああ!前にこのブログで取り上げました『レッドアニマルクレヨン』の人だ!いつかお会いしたい。

【ぐっときた作品たち】
 南さんの作品以外、わたしの気になった作品はほとんど賞を逃していた(笑)。でもね、いずれもくらしに密着しています。

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 『No.47 即乾ハンガー』by 竹中隆雄さん。これにはうなっちゃった。見た目がクリーニング屋さんのハンガーですが、その針金の形状を変えて、洗濯モノを早く乾燥させる。風の通り道の計算、採光面の最大化とか、ほんとうですか?と思っちゃいました(笑)。でも主婦は干すとき、落ちないようにとか、ぐいっと曲げたりします。その感覚と密着していて、とても好きです。

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 『No.50 check』by 堀 真寿さん。自立式かつミラー付きのティッシュケースは実用的に欲しいぜ。平面に置くというシキタリを取っ払った発想にも拍手。立てたり横向きに寝かせたり、なるほどね。木製というのも気に入りましたし、ミラー付きは何かと重宝する。utteで商品化したいな。

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 ええと…『No.73 HOUKI Guitar』by 斎藤 嵩さん、これはニヤリと。説明不要ですね。いちおうデザイナーの言葉を引用しますと「子供の頃きっと誰もがやったことある、掃除の時間ホウキを片手に…」。おうおう、やったぜ。三銃士も巌流島の小次郎もね。校庭の竹箒では王貞治の一本足打法ですが、何か?

 わたしからの勝手にアドバイスをひとつ。やっぱ“フェンダー・テレキャスター”のカタチで作ってよ!と。Keith Richardsが5弦オープンGチューニングで弾くヤツです。見本を以下に示します。ストーンズフェチとしてはぜひ意識して製品化されたい。

1c0aca1c  引用元

【hmm…なアドバイス】
 受賞作を見渡してみると、ハハンあり、エコあり、便利あり、科学あり、自演あり。そうか、それがくらしのモノたちのスピリッツなのである。くらしをヴィヴィッドにする要素が何となくわかった。

 もうひとつの気づきは、“アイデアの出しかたは人によってちがう”。水道を見て本質を感じる人、生活を合理にしたい人、不便を便利にしたいと思う人、思い出をカタチにしたい人、いろいろ。何にせよ100件以上のエントリーが楽しいし、商品化の道も開けるかもしれない。いつかutteでも“くらしクリエイターズ・コンテスト(KCC)”を開きたい。今日は以上です。

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2009年1月24日 (土)

Take Action Foundationに感動

 先日相棒Cherryさんに、読売ヴェルディの身売りのことを話していた。彼女はサッカーも野球もそのほかスポーツも「なぁんにも興味なし」と公言している。そんなひとにヴェルディの筆頭株主が読売から塾会社に変わることを、つまびらかに話すわたしはどうかしている。

 だが彼女、「引退した野球選手の、マスターズみたいな試合ならちょっとおもしろそう」とぽつりと言うのだ。ふうん、マサカリ投法の村田兆治、60歳でも球速140km、知ってる?そんなことを話しだすわたしは、やっぱりどうかしている。

【hmm…なアドバイス303.Take Action Foundationに感動】
 そんなところに、中田英寿氏の一般財団法人設立のニュースが。

Logo

サッカー元日本代表の中田英寿氏(32)が22日、都内ホテルで一般
財団法人「TAKE ACTION FOUNDATION」の設立を発表した。
同氏は代表理事を務める。事務局長・上窪政久氏、山梨県甲府市長の
宮島雅展氏も出席した。
引用元 増島スタジアム 

 なぜ財団法人なのか?何をするのか?主旨を表す図を引用します。

4

この財団では、人々が“参加しやすく”、“楽しめ”、それが直接的・間接的な
支援につながっていく誰にとってもプラスとなるような機会を提供して
いきます。その輪を大きくしていくことで、ひとりひとりの行動が地球上の
問題解決に繋がっていくことを目的とします。
引用元

 どうやら財団のまん中にあるのは“サッカーボール”である。

【夢の対戦】
 まず『Life After Football』。引退した一線級の選手を試合に派遣する事業。現在登録は21名、気になるのは次の選手たち。

 下川健一 岐阜県岐阜市 横浜Fマリノス
 名良橋晃 千葉県千葉市 湘南ベルマーレ
 澤登正朗 静岡県富士宮市 清水エスパルス
 名波 浩 静岡県藤枝市 ジュピロ磐田
 山口素弘 群馬県高崎市 横浜FC
 長谷川祥之 京都府宇治市 鹿島アントラーズ
 前園真聖 鹿児島県薩摩川内市 仁川ユナイテッドFC
 中田英寿 山梨県甲府市 ボルトン・ワンダラーズFC

3

 

彼らを試合に派遣してくれるという。条件はふたつ。対戦相手を決めて「試合の主催、運営、チケット販売」する。地方の大学や企業チームやアマチームなど。観客さえ集まるなら高校の名門校でもいいかも。

 こんなメンバーと戦えるなんてである。マスターズ対マスターズの試合はチャリティないしイベントだが、このマッチは選手には貴重な経験となり、地元を活性化するきっかけにもなる。選手リストに出身地と最終所属チームが表記されているのは、“故郷への恩返し”をすることを意味している。まずヒデの故郷の山梨からスタートするという。

【ボールを贈ることの意味】
 もうひとつの条件とは、入場料収入の中からサッカーボール支援への協力すること。彼が“旅”を通じてやってきたことだが、アジア・アフリカのこどもたちにサッカーボールを贈る。

 ボールを贈る意味は何だろうか?たぶんこうかな。ボールが贈られれば、子どもたちは蹴りだす。蹴りだすと楽しい。喧嘩やうっくつしているヒマなぞなくなる。うまくなりたくなる。もちろん健康にもなる。

すると社会に影響が広がる。学校のグラウンドを整備したい。専用のフットボールグラウンドが欲しくなる。試合がしたくなる。運営組織ができる。ひとつのボールから社会が変わるかもしれない。

【お金の遣いかたの見事さ】
 中田氏が設立した『一般財団法人』とは聞き慣れないが、08年12月から公益法人改革に伴って発足した制度。従来の社団法人・財団法人をまとめて、一般財団法人として、そのウチ社会公益性が高い法人のみ“公益社団法人”として税制優遇をする制度。

2 引用元

 これはKSD事件(財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」が業務上横領をした事件)からの反省で、天下りや丸投げで税を払わない法人をシャットアウトしようという主旨。今後5年間の猶予期間を経て、すべての社団法人・財団法人は、一般財団か公益社団にくらがえする(後者は有識者の判断による)。

 いずれにせよ「設立者は300万円以上を拠出する」こととされ、バランスシートをチェックされる。引退後の選手が不動産投資や飲食店経営をするのをよく聞くが、そんな私利ではない中田氏のお金の遣いかた(とたぶん増やしかた)、見事としか言えない。感動しました。

【hmm…なアドバイス】
 中田氏の財団プランに「そんな話しは寝耳に水」「まだ(ウチの)協会に申請がないから4月に(山梨で)試合なんてできないんじゃないの」と言ったのは、日本サッカー協会のトップの理事たちである。 

 私財を供出しての行動に対して、そんな言いかたはちょっとねと思いました。「一緒にやろうよ」というくらいの度量のある発言を聞きたかった。“業界のセクショナリズム”大丈夫ですか?ちなみに日本サッカー協会は財団法人であり、もちろん公益社団法人に移行できるはず。それならフトコロの深さをぜひお願いします。今日は以上です。

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2009年1月23日 (金)

扉をあけると、utteのオフィスはアジア臭かった。

 なんて名作の文の冒頭パクリしてもしようがないですが、昨夜utteの“SOKO”(数日前のブログに用語解説ありますが、Small Office Kitchen Officeの略)にて、生春巻き&タイスキのパーティをしました。アジアの素材、アジアのソース、アジアの人びと(われわれ)。この食材・人肉の混淆で、アジア臭がオフィスに沈殿してしまひました!(笑)。

 そんなパーティの翌日の今日、おふたりのセンス溢れる美しいクリエイターさんのご来訪予定あり。朝から掃除に拭き掃除にファブリース。あららです(笑)。結局おひとりは日程ずらしとなりました。でもデザイン書家のHamojiさんきっと臭かったろうな。その反省をふまえて、今日はゴミ箱と消臭グッズを。
utte=うって=デザイナーズ ショップ&ギャラリー事業

【hmm…なアドバイス302.扉をあけるとutteのオフィスはアジア臭かった】
 アジアの匂いの素は、タイスキソースやホットチリソースだと思われます。その食べ皿、何枚も紙皿を使って、ソースがついたままにオフィス内のゴミ箱に捨てました。たぶんそこからの匂いでしょうねぇ、アジアン・スメル。そんなところにグットなゴミ箱発見!

Designed by Guisset Constance & Cid Gregory, the Tri3 is an
innovative trashcan that provides different cans for different
trash so the users may collect and categorize the garbage as
biodegradable and non-biodegradable.
 引用元

Tri3_eakzz_58 けっこう背が高い。

「 Guisset Constance & Cid Gregoryがデザインした“Tri3”は3種の分別がとてもスタイリッシュかつ合理的にできるのです」(ちょい訳)

Tri34_dxcmn_17621 Tri33_sqg1i_17621

 これ、気に入りました!スモールオフィスにもスモールな台所にもぴったり。タテに積層してブンベツするというコンセプトは、スペース狭小なのに、ゴミ分別多しのニッポンにぴったりです。これいいと思います。

Tri36_fpwwj_17621 13

ぜひutteのオフィスにもこんなゴミ箱が欲しい。われわれのオフィス、IKEAのゴミ箱がひとつ、不燃分別のゴミは“袋”でどさっと運用中(笑)。恥ずかしいなぁ。ケチなわけでなくて、デザインマターゆえ。同じゴミ箱を並べたし、けれどIKEAに行けず。見た目がちがうデザインのゴミ箱をを並べたくない。

【オフィスゴミに向き合う】
 加えてサラリーマンを辞めると(新鮮な?)気づきがあります。

 ここは千代田区のSOKO。ゴミだしは事業所のゴミ専用袋に、排出シールを貼って出します。フツーのオフィスならその代金を込みでやってますから、ゴミを出す・コストがかかる、その意識はないでしょう。つまりサラリーマンは、自分の出すゴミ料金さえ知らないのです。千代田区の場合は45ℓで270円、袋別です。だから貧乏根性丸だしで目・いっぱいに詰めて出します(笑)。

Gomibukuro まさにこんな感じ。

 上に取り上げたスタイリッシュなゴミ箱では、事業所のニーズにサイズが合わない。ゴミ箱の容量や形状は、その国の環境保護レベルを反映している。日本の場合、かなり厳しいので、量も分別も厳密です。

【アジアの匂い】
 SOKOのもうひとつの悩みは“匂い”。窓を開け、掃除機をかけ、テーブルを拭き、ファブリーズを撒き、ディフューザーでアロマをたててもまだ匂う(笑)。

111112897 こんなステンレスで脱臭。

 ドイツ発の『スメルキラー』はどうか?ドイツzielonka(ジロンカ)社の製品。このステンレスが匂いを吸着するという。ためしたことがないのでわからないのが正直なところですが、薬剤タイプよりもからだに良さそうなイメージもある。

 オフィス脱臭には観葉植物の使用、オゾン脱臭などいろいろあるけれど、SOKOで調理なんかしなけりゃいいという結論になりそうですね(笑)。

【hmm…なアドバイス】
 フツーに考えれば、やらんほうがいいわけです。ただSOKOって楽しいし、いろんなプレッシャーが重くなったとき、それをすごくやわらげてくれる効能あり。cherryさん、“料理をすると(仕事とか)すべて忘れられる”というしね。それはわかるね。

食器を使う、水を使う、包丁をつかう、調理をあれこれ考える…食のことを考えることは、美味しく作ろうということだし、人間の生死にかかわること。それは食べる人のことを考えることである。相手の幸せやニーズを考え、人間感情へのセンシビリティを高める。自分の手や感覚と向き合うことでもある。料理と食は人間の幸せの発生源なのである。だからマーケティングの根源なのである。今日は以上です。

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2009年1月22日 (木)

フラット化する消費者ニーズ

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングへのリードです。

フラット化する消費者ニーズ
景気の悪いニュースばかりが流れた年末年始。しかし、景気は循環するもの。
サブプライムローンが問題視されてから3年目の2009年は、景気回復の年と
なるかもしれない。新しい時代に向かうため、消費者のニーズを改めてとらえ
直そう。
続きはこちら。

 コンビニ、ファミレス、百円ショップ、モールなどこれまでの成功モデルを否定するかのように書きました。文字通り読んでもらって「否定できるワケないじゃん!」と思う人もいるでしょうし、もうちょっと(ぜひ)深く読んでもらって「疑問を持つことが、この転換期に必要なんだ!」と感じてくれればなおいいです。賛否両論あってけっこうです。

【“団らんテレビ”ってどんなカタチなんだろう?】
 さて、今日の新聞にも『ソニー、国内TV生産を1工場に集約 正社員2000人超削減 』とありました。過去たった3ヶ月、恐ろしいほどのスピードで需要が急減しています。だからSONYは企業として取るべき方策をスピードを上げてきちんととっている。リストラは必要不可欠です。

 ただ、以前SONYの中鉢社長が「ソニーのテレビはドきれいじゃないとダメ」と日経ビジネスのインタビューでおっしゃられていたのを思いだします。トリニトロンの伝統からそれを実現してきたのがSONY。最近でも有機ELの美しさは衝撃的でした。でもキレイがほんとうに求められている価値なのか?そもそもみんなテレビを観なくなってきたと言われています。電車の中でワンセグで観ていたりするわけだしね。PCでもチューナーで観る。何のためにドきれいが必要なのか?ちと疑問です。

 需要急減に際して、TVはドきれい以外にどんなことが必要なのだろうか?と考えさせられました。

 ふとニュースをナナメ読みすると、何年かぶりで紅白の視聴率があがったそうですし、『天地人』はおもしろそうですし、テレビに視聴者が回帰する兆しもあります。TVはお金がかからないレジャーだから?家庭の絆への回帰現象?ネットが飽きられてきた?そんな疑問もってSONYの撤退記事を読むと、どうもドきれいだけではダメだよね、何か必要だよねTVには、たとえば“団らんテレビ”ってどんなカタチなんだろうと思う。想像をたくましくする。これが大転換期の今、必要な思考姿勢です。

【Free paperも疑え!】
 もうひとつおもしろいニュースがありました。米国テキサス州の美術館『Austin Green Art』で、今『Free paper』と題されたアーティストAnnette Lawrenceさんの個展が開催中。

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With Free Paper, Lawrence explores her concerns about the amount
of paper used in direct mail advertisements.
The paper used in Free Paper was collected over the course of
thirteen months and weighs a total of 265 pounds.
引用元

「毎日送られてくるジャンク郵便、その量を前にしてローレンスさんは何かおかしいんじゃないかと考えた。そこで13ヶ月にわたり集めた265ポンド(約120kg)のメールを5cm刻みにして陳列した」(超意訳です)

 アメリカはジャンクメールが多いとは言われますが、この量たるや。これじゃどんな広告もチラシも目立たないし、読まれていないし、家庭ゴミとしても負担ですね。広告しないと売れないけれど、広告の価値って何だろう?これはいったいどうしたものだろう?そんなことを考えてしまいます。

【自分オリジナルな方法を自分でつくるしかない】
 最後に。フリーペーパーといえば、久しぶりに『R25』を読んだ(1月15日号)。石田衣良さんの“空は、今日も、青いか?”は『セルフヘルプ?』というテーマ。彼はここで自己啓発本のお手軽さにハマるワナを書いている。

 『しかし普通の人間の習性として、目の前に解答がぶらさがっている
  場合、自分の頭ではめったに考えることをしなくなるものだ

 10

 だからカンタンな答えが書いてある本に飛びつくな、自分オリジナルな方法を自分でつくるしかないと。まさにその通り!

 この激動期は、お手軽な自己啓発本の読書や、旧体制の資格勉強では歯がたたない。新しい時代のことを、自分なりにしつこく考えるしかない。自分なりの思想をもてるかもてないか。なんでも安い方がいい、のでは思考がたちどまってしまう。この記事切り取ってノートにはさんでいます。今日は以上です。

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2009年1月21日 (水)

SOKOで料理を!今日も明日も。

 SOKOとは“ソーコー”と発音します。ソウコ(倉庫)でもなく、ソコ(代名詞)でもなく、“底”でもなく(身にしみる)。命名者はウサのMayuさんだったと思う。いやTomoyonさんでした?記憶力はSOTO(相当)減退しているので、ごめんなさい。

 それは“Small Office, Kitchen Office”。オフィスで最低限の調理器具を装備して(保健所のお世話にならないレベル)、ランチをオフィス自炊で!、ときどきは夜の自炊パーティを開くのがソーコー。

【hmm…なアドバイス301. SOKOで料理を!今日も明日も。】
 オバマ大統領の公用車は、銃弾やミサイル?にも耐久する重装備がなされているそうですが、utteのオフィスはIHクッカーと炊飯器で、“がんばれよ!”の炊き出しレベルの調理装備です(水と電気が無ければ竹槍ですよ)。

 

21258010757 51xj9cxyr6l_sl160_ こんなヤツ。

 この2品はcherryさんとわたしでヨドバシで割り勘で買いました。それにcherryさん手持ちのルクレーゼの鍋で、ぽこぽこお米を炊飯器で炊いて、おかずを温めるか炒めるかのランチをしたり。たまにはcherryさんの前夜からの仕込みのポークソテー(という表現でいいですか)など、時には豪華ランチもあれど、面倒だから(特に一人だと)たいていレトルトカレーだったりね

【オフィス・カリーの帝王?】
 で、わたしははからずもレトルトカレーマニアになりました(笑)。それも根がアジア系なのか、インドやタイなどの香りがプンプンのカレーです。ご飯を炊き、レトルト・エスニックを温める。作るときの換気要よりは低レベルですが、そんなレトルトでもutteの小さなオフィスは、アジアン・クック臭に満たされて(笑)。

E025399h_l カリーとツナという組み合わせ。

 浅く広く浅黒く食べ比べたところ、日仏貿易の『アヤム ツナ入りレッドカレー』は、価格対お手軽さでは、トップクラスのタイの香りがしました。アキバの構内にある(元アキバデバート)の売店で、315円だった。お奨めです。

7 ポピュラーな一品。

 次点は…どれももうひとつかな。『タイで食べたタイカレー』も2種ほど試しましたが(280円くらい)、アヤムには劣る。アキバには無印良品があり、そこで買った『キーマカレー』は安いけど(150円くらい)イマイチだった。印はちょっと付けられなかった。わたしにしては珍しく、セブンイレブンのPBのインドカレーも食した。併売するNBと比べてかなり高いのにイマイチだった。レトルトに夢を託すレベルが高すぎるのでしょうか。

4548076914662_m 無印のキーマ。

【アキバで食の満足はむつかしい】
cherryさんの後をついてゆくと旨いものにありつける」という名言をはなったのはMakiさんであった。名言はメモライズするのがわたし。cherryさんは食に通じるだけでなく、料理がうまいし、“食“そのものに深く造詣が深い。そこがちょっとハードルが高い。彼女を満足させるレトルトはもちろん、できあいの総菜はスーパーなんかにはほとんどないだろう。

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 朝ちょいと早めに家を出て、アキバ近くの“業務用スーパーはなまさ”に立ち寄る。業務用の“量”に圧倒されて買えない。近くに大丸ピーコックやワイズマートを見つけたが、もちろん10時からだ。結局SOKOの周りにはコンビニしかない。だからせいぜい、アジアン・レトルトになってしまう。生鮮コンビニやミニスーパー出店の余地がありそうだ。

 SOKOではご飯は炊きたてだし、カレーは温かいしで、レトルトでもかなり幸せ度が高い。11時30分になったら“あ、ご飯研がなきゃ”なのですから、ほのぼのしますよ。アキバで炊飯器をオフィスに持つのはutteくらいかもしれないけれど。

【hmm…なアドバイス】
 オフィスで炊きたてのご飯を食べる。バカじゃないかと言われますか?

 でも、コンビニでマニュアルな対応+無言のチン!のランチを買うよりも、幸せな気分になるし、ご飯を炊く当番制をつくれば、パントリーでお米を研ぐことでリフレッシュできる。おかずはビルの下の総菜屋でもいいでしょ。健康に気をつけて低カロリー料理になるので、メタボリック・チェック、栄養士相談サービスが減るかもしれない。社員同士「あんがい料理上手いじゃない!」と思わぬ一面を発見できたり。

 市場がこんな危機的な時代だからこそ、同じ釜のメシを食ってみてはどうですかオフィス=作業場所ではなく、協働や創造の場所でしょ。みんなで難局を乗り切らなきゃならない。。料理すれば、今までとちがう発想がでるかもしれない。衣食住の中で“食”をテコにしてみるのも、前例がなくておもしろい。

 おっと。明晩はSOKO of utteで“生春巻きパーティ”です。今日は以上です。

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2009年1月20日 (火)

お塩、転がしてくれない?

 'dinning 2015' competitionというデザインコンテストの出品作、これまで2度ほど“マーケティング・ブレイン”で取り上げました。designboomによる未来の食卓をイメージしたカトラリーやお皿や調味料入れや調理用具などなど、愉しいデザインが多かった。

Nnnn  前にご紹介しましたね

 その中のひとつの入賞作に、イズラエルのデザイナーiris zoharさんの“wheel you pass me the salt?” (そこのお塩、転がしてくれない?)がありました。楽しいデザインが米国企業で商品化されたニュースが今日のテーマです。

【hmm…なアドバイス300.お塩、転がしてくれない?】
 楊枝入れなんですよ。でも楽しい!

1toothpickup_648b1

'I'm glad to tell you that my last year entry to 'dinning 2015' competition, the 'toothpick-up' is now in production by fred&friends company. thanks for every thing.' iris  引用元

Copy_108_a  irisさんの元のアイデア。

 「昨年のdinning 2015に応募した作品『toothpick-up』が fred&friends companyで商品化されたんです!ほんとうにお世話になりました!」アイリス、かしこ。よかったですね!

【食卓をコロコロっと走る】
 こういうエスプリグッズが食卓をコロコロっと走るだけで、スモールな幸せになる。スモールな楊枝の幸せ、笑いでもっと大きくなる。それに、“元は丸太だ”という意識を植えこめれば、資源をロスをしないというエコ意識効果もある。デザインコンセプトの大きな力を改めて思う。

1toothpickup_648b2 

・丸太に模して楊枝を届けるエスプリな遊び心。
・毎日の食卓にクリエイティブがある。
・ホスト”のセンスの良さをアピールする。

 毎日のくらしがクリエイティブであるかないか。その家族構成員のデザインマインドをもつかどうか。子孫にも影響しそうですよね。彼女のデザイン、他にも“オニオン花瓶”や“スマイルティッシュ入れ”、“熱々マグ”など。

Onion_vase_1 Tissue_dispenser_1 Heart_mug_1

【fred and friends】
 その商品化を実現したのが米国ロードアイランドの『fred and friends』。どういう会社?とネットを探ると、あるわあるわオモシロいもの。とてもいいモノたくさん。 ABC* COOKIES™

 

Abccookies_648  5butteredup_648

 同社で販売する有名なクッキー型『ABC』。ABC とは“Already Been Chewed”、“噛まれちゃった”んです。足や腕はともかくアタマまでは!と思うけれど。2005年の発売。

 『BUTTERED-UP』も楽しい。トーストしたてのパンにバターを載せて溶かそうとするその瞬間を切り取った。これもとても気に入りました。こっちは2008年。このfred and friendsのサイト、気が利いているし面白いし、utteでもぜひいつか扱いたい。運営者のプロフィール紹介も凝っている。いつ頃の写真なのでしょうか?

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【hmm…なアドバイス】
 楊枝運搬者にしろクッキー型にしろパンにバターにしろ、“エスプリ、笑い、しあわせ”。この三点セットをぎゅっとするデザイン着想がいい。アートマインドたっぷりだけれど、なぜか芸術とまでは言えない。雑貨とは言えるけれど、作者の個性が効いている。わたしとcherryさんが関わるクリエイター支援&作品販売のutte事業でも、こんなバランスでいきたい。

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ビルの谷間のフォーク&スプーンレスト  家のあいだにレスト

 相棒cherryさんのアイデアが元になったカトラリーレスト(スプーン、フォークやナイフのレスト)です。ビルや家の風景の間にカトラリーを置く。陶芸家清水秀輝さんの作品。fred and friendsの商品の楽しさに負けていない。いつもcherryさんの才能に感服しています。今日は以上です。

 ※おっと追伸。“hmmなアドバイス”300回記念。読者への特典です!この“utteのスプーン&フォークレスト”を2個セットご購入でギフトラッピングを無料とします。さらに複数セットのご注文の場合(4セットまで)配送料金を1セット分とします(送付先は1箇所)。本日から09年2月3日までのご購入に限ります。utteサイトでのご注文の備考欄に“マーケティング・ブレイン特典”とお書きください。限定5名さままでとします。ではまた明日。

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2009年1月19日 (月)

Salesforceとオバマ就任式前夜

 どこにも良くある提携だが、とにかくまとまらない提携の代表格が、コンサルタント会社とIT会社の業務連携である。コンサルタントの業務改善案をスムーズにシステム化という趣旨はいいが、イザ!となるとたいていスムーズじゃない。その理由はざっと34個もあるが(嘘数です_笑)、もっとも大きな理由は“人種”が違うのでお互い言語が通じないからだ。

18 某ソフト。

 でもわたしは、会社所属コンサルタントの頃、大株主のHソフト会社と、柄にもなくスムーズにいかせようとして、何度かがんばった。情報共有型の某ソフト担当のハラウタさんがなんとなく感じがいいからだけだった。残念ながら結果ははかばかしくなかった。その“某ソフト“とは“Salesforce”。いわゆるSaaSである。良くできているシステムだなと思った。

【hmm…なアドバイス299.Salesforceとオバマ就任式前夜】

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 Today we begin in earnest the work of making sure that the world
   we leave our children is just a little bit better than the one we
   inhabit today.
引用元 

 「子どもたちが受け継ぐこの世界を、たった今、私たちが過ごして
  いるこの瞬間よりも、ほんの少しだけ、確実に良くするために、
  今日から、真剣に、始めようじゃないか
」 拙訳

 これはObama/オバマ次期米国大統領の Web サイト“Change.gov”の冒頭にある彼のことばである。良いことばだなあと思って、じっくり訳してした。およそ政治家はことばが商売だと思うのに、日本では“言語明瞭&意味不明瞭”とか、ワケのわからないスローガンが飛び交い続ける。だからケネディ演説やオバマ演説のように本にならないし、ベストセラーを飛ばせっこない。

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 おっとテーマは“Salesforce”だ。このCRM/SaaSソフトウェアを用いて、オバマ新政権は就任式の前4日間、民のことばを『citizen's briefing book』に集めた。このソフトウェアではネットにフックする誰もが「アイデアを書き込み、発信することができる。また、他のユーザーが書き込んだ意見の支持率を挙げることもでき、コミュニティメンバーの間で最も支持されたアイデアはリストのトップに表示されるようになる」 引用元

【70,000コメントは読めない】
 09年1月15日から18日夕刻までの公開で7万コメント、50万の投票があったようだ。70,000コメントを読むのはたいへんだ。今は非公表になってしまったカテゴリーごとのカウントの画像、めざとく?わたしはクリップしておいた。

10

 この画像はわたしが日本時間、土曜日(17日)のお昼。この時点で約35,000だから、もう一日半あれば7万は間違いないですね。実はいくつか読もうとしたけれど、怒濤のようなコメントで、さすがにほんの少ししか読めなかった。

 そこはSalesforceのソフトウェア機能、“高得点コメントを上位に載せる”のが効いている。だってひとつ30秒かけてもざっと600時間はかかる。各カテゴリー上位30個くらい読めば、だいたいわかるし、いろんな気づきがあるはず。SaaSの使い方として最もパブリシティ効果があったのではないだろうか。

17  
 「ざっと70,000集まりました」と報道官のMichael Strautmanis氏

【Salesforceなidea】
 そのSalesforce、別にセールスする義理もコミッションもないが、オバマ次期政権に採用されたバージョンは“idea”。

15

 同社のいう“循環型プロセス”とは、もっとも美しいコミュニケーションのカタチである。それは“組織を良くしよう”、“変わらなくてもめげずに主張しよう”、“偉い人がどう言おうと口は開ける”など、条件が整わないと絵に描いたソフトなモチになる。

 経済恐慌という事態だからこそ、これほど発言が集まったとは言える。でもオバマ政権の変革がアピールする理由は、その“聴く姿勢”と“オープンさ”である。聴く姿勢はこのソフト公開、オープンさとは、たとえば就任式翌日(1月21日)にイラク撤退を発表するパフォーマンスである。

 政治とは言葉と行動のパフォーマンスである。ケネディが“Let the word go forth(言葉ありき)”と言ったように、小泉劇場と言われたように。難事にさいして、すべきことを発表し、説得し、実行する。日本国の首相だって、どこかのホテルで飲んでいる場合じゃない。

【hmm…なアドバイス】 
 今この瞬間、日本の多くの企業が“恐慌”状態にあると言われる。ならば今こそ、みんなが声を出すべきではないだろうか?今こそ政府は“目安箱”を設置し、経営陣は“みんなのアイデアに耳をダンボに”すべきじゃないだろうか?

 今こそSalesforceのようなシステムが日本に必要である。労使対立のデモもいいけれど、もっと冷静にアイデアを集める仕組みが、どうして日本にないのだろうか?今日は以上です。

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2009年1月18日 (日)

zipshapeという木材の発明

 凄い“木材の再発明”なのである。シンプルな発想から、使用領域、応用可能性がとっても広がる。びっくりしました。その素材と家具応用例が、09年1月19日から25日までドイツで開催される『ケルン国際家具見本市』に展示される。

12  ケルン国際家具見本市

 それは『zipshape』と名付けられた材料加工、組み立て工法である。

【hmm…なアドバイス298. zipshapeという木材の発明】
on display at the upcoming cologne fair will be 'zipshape', a series of
cantilevered rocking chairs developed by students from the hamburg
school for timber technology, together with swiss company
schindlersalmer?n. the 'zipshape' research project involved creating
a universal fabrication method where it was possible to join single
curved panels from any plain material without moulds. 
引用元 

Zip2 

来るケルン見本市には、ハンブルグ木工技術学校の学生が制作した、片持ちのロッキングチェアが展示される。材料には『zipshape』、スイスのschindlersalmeron社の開発プロジェクトから生み出された汎用的な組み立て工法が採用される。型不要で、平らな板材をぐいっとカーブさせちゃうのである(訳すときつい口語になる)

Zip3

 構造はギザギザに加工した板材を張り合わせるだけ、というシンプルさ。下図のように2枚のギザギザ加工の木を張り合わせる。その板を“コールド曲げ加工”ができる。どうやら一定のところまでなら手でも曲げられそうだ。

6 13

【加工はどのように?】
 さてその加工の様子がHPに掲載されている。下の画像の上段2枚を見てほしい。CNCルーターで両側からV字のように切り込みを入れ、milling(フライス削り)で落とす。計3回の加工はBach Heiden AG社との協力。

Zip4

 2枚をいかに張り合わすか?面積が大きいため、接着剤が乾いてしまうのが難問だった。それは“ vacuum gluing”、真空接着という技術を持つSchillger AG社と協力。写真の右下だが、カバーされた中で接着剤を塗布する技術と思われる。

 こうして張り合わされた“板”は、「型要らず」「蒸気をかけずに曲げられる」。これは凄いことだ。そのコスト効果はかなり大きい。同社のコストデータや技術データを含むPDFはこちら。大丈夫、英語なのでご興味のある人はダウンロードしてください。

【課題はあるが】
 課題ももちろんある。その1は加工面。板材を丸鋸2回、フライス1回の加工は3度の手間だ。それを一発でやりたい。実は切断切削のプロのアテがあるので提案してみます。彼らなら、そんな加工はきっとお茶の子さいさいだ。

その2は素材面。切削した木材はもったいない。リサイクルするか、パーティクルウッドなどの複合材料の検討もしているという。木材ではなくてもいいとは思うが、たとえばケナフなど自然由来の素材を加工したものを固めて加工するなど、ほんらいの趣旨(ぎざぎざで曲線がでいる)

 Zip1 安楽カーブなチェア

【hmm…なアドバイス】
 この工法の良いところは、木材で曲線・曲面づくりが安価にできること。木の家具は味はあるけど、まっすぐはイヤ、という理由で買わない人もいる。デザイナーにとっても「木は扱いにくい」「曲げるのは高コスト」というイメージがある。そこらを打破出来る素材なるかもしれない。

5  
 開発スポンサーにIKEAの名前あり。いずれ製品化されるのか?

 ナチュラルな味わいを残しつつ“曲げられる”。公共用途では曲線ベンチはもちろん、スマイルカーブのシーソー、丸い筒のような子どもの公園の隠れ家など。日曜大工好きにもすごくウケる。書斎椅子、子ども椅子、曲がった棚板とか。建築のプロにも壁材や天井材、飲食店等のテーブル・椅子など。吸音率が高ければ音楽ホールの壁・天井材にもいい。凄い商材だ。今日は以上です。

++++++++++++++++

14 この着水には感動しました

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2009年1月17日 (土)

SAKURAの春【21】all you can eat Japan 5/7

 豪州ブリスベンのダウンタウンの日本料理店『SAKURA』に漂着したふたりの若い日本人、コバヤシと後藤。SAKURA2号店をめぐって失意と熱意と成長を描く“マーケティング・エンターテイメント”の21回目です。ニッポン食の立食パーティが始まり、オージーたちの歓談が始まりました。ふと見るとミセスTがいない。パーティ企業の玄関先で、コバヤシはミセスTと始めてじっくり話します。
 昨日20回目までの全文掲載はこちらです。

        *************

「他のワーキングホリデーの人たちは、みんな逃げ出すだけ。Tの拳に脅されて消えるか、ほんとうに殴られていなくなるか。でもあなたと後藤さんは立ち向かっているわ。これまでそんなワーホリの人はいなかった」ミセスTは右手で髪をかきあげた。
 「空手ブームが過ぎて道場の経営が思わしくなくなったとき、Tは日本料理をやろうと言い出したの。まだブリスベンにはまともな日本料理店がひとつもなかったから、チャンスだろうと思ったのでしょうね。わたしは賛成しなかったのよ。スポーツ選手がレストランをやるのも、やって失敗するのもありふれているでしょう?それにこんな四季がなくて、暑いところで、日本料理なんてわたしは反対だった」
  わたしは何も言わず聴いていた。

 「凝り性だから日本の知人のツテを頼って学びにも行ったけれど、本格とはいえないわね。しかも彼がやろうとしたのはオーセンティックな日本料理。日本人シェフを雇うのは高いし、チームで動くから結局あきらめたの。しかもこっちで日本の食材コストはとっても高いから、現地のエリート日本人相手になるでしょ。シドニーやメルボルンに比べてここは日本人が少ない。うまくゆかないと思ったの」
 「でもうまくいった」わたしは口をはさんだ。

 「それはね、未開の地で先頭を切るのがTの得意技だったからよ。ひとりでブリスベンにやってきたとき、空手道場はひとつもなかった。だから空手とは何か?を普及させることから始めなきゃならなかった。“Strong enough, Mate?”なんてスローガンをつくって、君は強くなりたくないのか!と打ち出したのね。ちょうど格闘技ブームが追い風になった。道場は繁盛したわ。ブームをあてこんで後からできた道場を蹴落とすため、道場破りのようなこともしたしね」ミセスTは小さく笑った。
 わたしは心の中でうなずいた。

 「Tはコンプレックスをバネにしてきたの」

 彼女は2本目のマールボロに火を点けて、ふぅっと吐き出した。「強くなりたいと思う人ほど、コンプレックスが強いのね」
 わたしはからだの内側でうなずいた。
 「最初は日本の地方都市で小さな道場を支部として開いたの。そこで入門者も集めたけれど、しょせんは本部の支部。本部のブランドで生徒が集まっているだけだ、オレ自身の力じゃない、オレにはもっと何かできるはずだと思っていたの。自分は一番になれる、ならないと気が済まない。それで南半球の空手未開の地にチャレンジしたのね」

Cigarette_smoke

 「SAKURAも同じなの。ブリスベンではまだ本格的な日本料理がなかったから、一番になれるチャンスがあると思った。これが日本料理だと言い切って、突き進めさえすればよかった。運がよかったのよね」
 「待っているだけでは運はやってこない」わたしは、彼女にも自分にも言うでもないセリフを口した。
 「そのとおり。正しいと思ったことをし続けないとダメよ」マールボロの煙の中で彼女が続けた。「でもほんとうに日本料理を現地に広めようとすると、壁があるわ」
 「オージーに日本食は“敷居が高い”と言われました」わたしは言った。
 「そうねえ。SAKURA2号店では日本人相手だけではお客さんが足りない。何とか敷居を低くしてオージーに食べてもらわないとだめね」彼女はわたしを見た。「期待しているのよ、あなたたちに」

         ******************** 

 わたしたちはケータリングの会場にもどった。味噌スープを振る舞いながら、日本食を楽しむオージーたちを見ていた。SAKURA2号店では見かけたことがないオージーたちの表情がある。Raw Fishが嫌いな人は巻き寿司を食べ、バラマンディのローストでお箸の使い方を学び、茶碗蒸しの具をスプーンですくい、しげしげと見つめる。味噌汁をスープスプーンで飲む人がいるのに閉口したが、まあそれもいいかなと思った。彼らにとってはスープなのだ。

 彼らは日本食を自分たちなりに楽しんでいる。それが幸せな顔の素だ。

 会場から皿や什器を積み込んだMr.Tの運転するCommodoreワゴンに揺られ、わたしは“何かがやってきそうな”胸騒ぎを覚えていた。ゆっくりと今日あったことを考えた。車の窓の外の夜空を眺めた。スコールの雨風は空一面の雲をすっかり吹き飛ばして、星のキラキラした灯りが道を照らしていた。

Mvc00350  引用元 

 “こんな雨が降るなら、お弁当にでもすればよかったわね”
 ミセスTのことばを思いだした。

 「手でつかんで食べていいのか?」とあるオージーが訊いた。
 わたしは「No worries」とカジュアルな豪州英語で返した。
 
 「食べる順序はどうなんだ?」別のオージーが訊いた。
 わたしはこう応えた。「食べたいものを食べるのでいいんです」
 
 ミセスTは言った。 
 「Tはコンプレックスをバネにしてきたの」

 まぶたを閉じると、未熟な箸さばきで、小皿からこぼれ落ちた寿司ボールが思い起こされた。オージーには日本食へコンプレックスがあるんだ。どう食べたらいいかわからない、どう口に入れたらいいかわからない。そこを気づかせてあげて、自由にさせればいいのだ。どうやらランチのアイデアの尻尾をつかんだ。

(続く)

         ******************** 

 今日の回に出てくる“Mate”ですが、親しみを込めて“おまえ”とか“なぁ”というような、オーストラリア独特の言い回しです。今や古めかしい言い方で、あまり口にする人はいないでしょう。わたしが放浪していたずっと昔、『XXXX』というビールのCMのソングがありました。その歌は今でもしっかり覚えています。

250pxxxxx_2 Make it four X, Mate!

 しっかりがんばらなきゃ。今日は以上です。

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2009年1月16日 (金)

SAKURAの春【20】all you can eat Japan 4/7

 豪州ブリスベンのダウンタウンの日本料理店『SAKURA』に漂着したふたりの若い日本人、コバヤシと後藤。今日はSAKURA2号店をめぐって失意と熱意と成長を描く“マーケティング・エンターテイメント”の20回目です。前回は立食パーティの始まりのところまででした。16回目までの全文掲載はこちらです。

        *************

 ビールやワインでの乾杯が終わり、手にお皿を持つ人びとが入れ替わり立ち替わり、寿司や刺身の盛り合わせに群がった。箸が手につかず、お寿司を取れなくて“Ouchi!”などと聴こえてくる。

 Sushi
引用元

 わたしは寿司をお箸でつかめないオージーの代わりに、手で皿に分けてあげた。もちろんまな板に布巾という演出をいれながらだ。オージーたちは「Thanks」と言い、わたしは「No worries」とカジュアルな豪州英語で返した。
 
 「手でつかんで食べていいのか?」あるオージーが訊いてきた。
 「OK。箸でも手でもどちらでもいい」わたしは指で寿司つまむ格好をして、それを小皿の醤油を入れた小皿にとんとんとドリップさせる仕草をした。「醤油はNot so much。箸が使えるなら手を汚さなくてすみます」
 そのオージーは言われた通りの仕草でツナを取り上げて口に入れてニッコリした。見ていた回りの人びとがなるほど言うようにうなずいて、真似をした。食べ方がわかるサラダばかり盛りつけている人も見える。
 「わたしも箸がつかえないんだが」申しわけなさそうにあるオージーは言う。
 「No worries。ナイフとフォークでもかまわない」とわたしが答えた。
 お箸にトライしていた女性社員のお皿から、“寿司ボール”(にぎり)が落ちた。どっと笑いが起きて、彼女は残念そうに首を振って微笑んだ。
 
 「食べる順序はどうなんだ?」別のオージーが訊いた。
 わたしは“今日のような料理では”と前置きをしつつ、まずサラダボールの前に行き“salada”、そして刺身の皿の前に行き“entrée”、それから“Sushi”というように説明をした。こう付け加えた。

 「食べたいものから食べるのでいいんです」

 異国の日本料理、異国の人びとなのだから、楽しんでもらえればそれが一番だから。作法をうるさく言わなくてもいいじゃないか。オージーたちはわさびも見よう見まねで刺身につけて、Oh!という声を出している。そんな声が聞こえてくるのが楽しかった。

 01

 お箸も取り皿も瞬く間に減っていき、刺身も寿司もあっという間に減ってゆく。素人に毛がはえたようはワーキングホリデーのシェフの作ったものにこんなに喜んでくれるのだ。わたしはひそかに胸を撫で下ろした。

 ふと見回すとミセスTはどこにもいない。Mr.Tに置いてけぼりにされた時は彼女と一緒か、と思ったが、いないとなると寂しくなる。ダウンアンダーに流れ着いたた少数民族の同朋の心だろうか。会場の部屋を出て、エントランスの前を通り過ぎた。ガラスのドアの向こうには、さっきのスコールが嘘のように晴れ渡り、オレンジ色の夕焼けが広がっていた。わたしはドアを開けて外の風を感じた。スコール後の湿気に満ちた空気が顔にあたった。心地よかった。

        *************

 エントランスの外にミセスTがいた。ベンチに腰掛けて足を組み、ゆったりとマールボロから煙を吐く。美人のアンニュイなタバコほど絵になるものはない。

 「ごくろうさま」 こちらを見ずにミセスTは言った。
 「いいえ」わたしも彼女の方を見ずに、雨上がりの空にたなびく、オレンジ色の綿菓子のような薄い雲を見上げて、う〜んと伸びをした。
 ミセスTは灰皿にマールボロを押し付けて消して言った。「しっかりやってね」
 わたしは彼女の顔を見返した。「何のことですか?」
 「ちょっと見直しているのよ」ベンチに腰掛けるミセスTは調理着の両足の伸びをした。
(続く)

  Imgp5409
引用元 

        *************

 今宵は前の勤め先の会社での仕事経由で知り合えた方々と懇談していました。いずれもべースはコンサルタントの方々で、今の大不況について、それがいつ終わるか、その後何が起きるか、そのとき何をしているべきか、そんな話しをしました。

 いろいろな話しの中からひとつ挙げると、“コンサルティング”という仕事。もう成果がわからないコントラクト形態は成り立たない。なぜならこれから暫く、メーカーであればワークシェアリング、ライン稼働停止が続く。それを見通し、そのあとのビジネスモデル改革まで、一貫させた指導力が求められる。だから契約コンサルタントがやるべきことはひとつ。“チェンジ”の成果の約束です。サラリーマンのコンサルタントではそんな約束がしきれないわけです。サラリーマン・コンサルティング会社となぜコントラクトを求めるのか?ここにもパラダイム変化が訪れます。今日は以上です。

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2009年1月15日 (木)

漆塗りPCに“用の美”の極みを見た

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングへのリードです。

漆塗りPCに“用の美”の極みを見た
“一品物”にこだわって、漆塗りの高級PCを制作した台湾人がいた。
その男の名前は梁育倫。大量生産に背を向けて、職人手作りのPCを
制作した彼の思いを聞いてみた。
引用元

Dsc00797 良い顔してます。

 ビジネスメディア誠のエッセイで日本以外のアジアの方を取り上げるのは、たしか2度目です。もうひとりは台湾の女性デザイナーさん。お会いしたart PC Ryouの梁さん、バイタリティ溢れる方ですが、本土(中国)の方々のような“押し込みの強さ”よりも、洗練された雰囲気のある方です。いつになく長時間お邪魔してあれこれ話しこんでしまいました。ありがとうございました。

【hmm…なアドバイス297.漆塗りPCに“用の美”の極みを見た】
 おかげで漆塗りのコンピュータをたっぷり拝見&堪能しました。個人的に和物が好きなのもありますけど、良かったなあ。実は事前に常盤台の木香屋にお忍びで?現品のひとつをチェックしていました。木の顔がいいなあと思いました。

 さて彼が漆のPCに触れるとき、“手袋”をはめたのにはびっくり。でも販売前で世界でたったひとつ、しかも熟練の漆職人の技で、ほんらいPricelessですから当たりまえです。その美しさ、色の深さ、わたしごときのデジイチ・ヤロウに写させるのは謀反です(笑)。

Dsc00811 木箱入り。

 そうそう、記事の中で書き落としましたが、梁さんのPC、出力がデジタルTVでもできるのです。I/Oに出力端子が装備されていて、大迫力の50インチくらいの画面でPCのパフォーマンスチェックをしていました。このあたりの設計思想はなるほどですね。

【ネットブックの大流行のわたしの見込み違い】
 わたしの流行予想はときどきは外れるけれど、2008年にズバリ外れたのは、ネットブック/Netbookの大躍進。安いだけでネットにつなぐためくらいの安売り・割り切り・売り切りのネットブックが、なぜ必要なのか?なぜあんなちっちゃなキーボードで“思考”ができるのか?ハナハダ疑問で売れないと思った。スマン、外れました。

 Appleが見送ったのは正解だと思ったし、Sonyが追随するのはヒンシュクだった。でもVAIO type Pは存在感を示した良い感じなのいい。あとHPのヴィヴィアン・タムの芍薬デザインはぐらっとくる。結局CPUも弱いネットブック、セカンダリーでもわたしは買わないだろうな。安い包丁が切れないけれど、まあいいかというのと似ていませんか?

  Dsc00807

【ネットブック大流行の反動】
 ネットブックの流行の前から、日本のパソコンハード業界は空洞化していた。正確に言えばモノつくり面の空洞化。パナソニックとKOUZIRO以外に国内で製造をしている会社はありませんよね?VAIO type Pにしても台湾のQuanta Computer(広達電脳)、東芝やNECは中国、DELLもかつてのマレーシアから中国。

 携帯電話市場が、内向きでガラパゴスと言われてそれでいいのか?言われていますが、モノづくりの面からは独自性を保っていると思います。だがパソコンはモノづくりはすでに海外、設計ノウハウさえ集積する場も限られてきた。こんなことでいいのか?そう思っていたところに梁さんのPC。共感を覚えたのはそんな背景もあります。

Dsc00833 漆のマウスも美しい!

【hmm…なアドバイス】
 さてこの世界大不況、みなさん何を感じていますか?

 強欲な金融会社や事業会社が引き起こしたのに、なぜみんながそれに巻き添えになるのか?そんな想いも正直あります。でもどこかでわたしたちも浮ついていたのかもしれません。短期的な効率主義・儲け主義を追求するかぎり、またこのクラッシュの繰り返しになりそうです。

 そのためにはひとりひとりが、仕事人生のパラダイムシフトをはかることだと思います。消費行動も、不要な作り手主導の付加価値は不要、もっと商品がほんらいそなえる価値を突き詰めているモノを見極めよう、それを買おう、使おう。そんな消費者になりたいと思います。

 ネットブックが売り逃げとは言いませんが、見方を変えれば資金の運用回転を早める上で好商材と見れなくもない。経済活動、もっとゆっくりしようよ。仕事パラダイムシフトをしましょう。そうしないともっと深い不況にはまりそう。次の誠の連載では商売のパラダイムシフトについて書いてみたい。今日は以上です。

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2009年1月14日 (水)

monacca 2009 コレクションから想うこと。

 わたしがutte クリエイターズ ショップ&ギャラリーの仕事で、ダイレクトメール案をねじりハチマキ?しつつ考えていると、横チョに座る相棒cherryさんが、「へぇ〜っ」と声を上げるので、ナヌ?と彼女のPC画面を見た。

4

フェリシモでも“モナッカ/monacca”を取り扱っていました。このブログで丸2年前に一度取り上げたことがありました。フェリシモでの販売は定番品のようですが、わたしはモナッカが限定コレクションを出しているのを知ってました。先行受注するようです。

【hmm…なアドバイス296.monacca 2009 コレクションから想うこと。】
These new products have been designed especially for this
exhibition. If you place an order for these items by 10 February,
2009 , we guarantee delivery around the beginning of April, 2009.
We will decide whether or not to produce these items on a regular
basis depending on their popularity at the exhibition.
引用元

Postman_p Postman_b

 展示会向けに創られた新製品をご紹介、欲しい方はオーダーも受け付けます!09年2月10日までにご注文ください。お届けは4月の上旬までにしっかりと。人気が出れば定番品になるかも(超訳です、あしからず)。まず上の2点の画像は『postman』です。このショルダーには惹かれますね。今までのモナッカとはひと味違うフォルムが見えます。よぉく見ると下部が広がっていますよね。これはショルダーバッグが下にモノが沈殿する特性を受けとめたデザインでしょう。

Maruta Maruta_o

 カジュアルにもセミフォーマルにもいけそうな『maruta』。カラーも渋くてガーリー卒業、オバン未満の女性にウケそうです。

Ishikoro_p Name_card_case

 上の左の『ishikoro』も好きです。ここまでくると従来のモナッカのイメージさえも壊す感じで、素晴らしい。20歳の女性が持ってまったく違和感ないかな。

 実は年末に、assist Onさんから某デザイナーさんのオレンジ色のトートバッグを買ってしまいまして、今バッグは買う予定はないのです。ごめんなさい。でもこれいい!と思ったのが名刺入れ。今使っている和紙の名刺入れ(日本橋の榛原)が壊れたらこれにしたい。

【背景、想いはassist Onのサイトへ】
 このモナッカのデザインの軌跡は、モナッカを以前から取り扱うassist Onに詳しい。カーデザインもされていた島村卓実さんが高知県の馬路村の林業再生に深く関わって、モナッカを創った。杉の間伐材を前にどうしようか?と思いつめて貧するのではなく、スライスしてそれを積層加工する技術を開発していた。それがべースにあって、島村さんも木のチカラに予て興味をもっていた。そんな想いと想いの出会いがあった。ぜひassist Onのロングインタビューをお読みください。

 製品やデザイナー紹介のつまびらかなこと、しっかりした文章、良い写真。どのデザイナーズグッズ販売サイトよりもassist Onが気になる。

【どこにも似た課題がある】
 日本全国、どの林業でも同じ課題を抱えています。外洋材や集成材、プレファブに押されて需要がない。なければ切れない。切れないと枝が増える。日光が入らない。木の育成が途絶える。ますます木の価値が下がる。費用のアテがないばかりに、植林放置地さえ多い。

 国内林業の再生をどうするか。利用のあてのない間伐材をどう活用するか。馬路村でも同じ課題を抱えていました。そこに島村さんがひょんなことから関わって、その技術のおもしろさや可能性に惚れて、バッグとして製品デザインを引き受けよう、それが始まりでした。

5

【hmm…なアドバイス】
 モナッカを観て思うのは、地方再生でありがちな3つの“ミゾ”を埋めていること。そこが素晴らしい。

・杉の間伐材と加工のミゾ:積層の杉を薄く成形する加工技術
・伝統工芸とデザイナー・グッズのミゾ:都会人に受容されるデザイン
・自治体と地元産業振興のミゾ:エコアスという株式会社化=収益法人化

 デザイナーやデザイン作品、そしてデザインビジネスの宿命とは、ミゾを埋めることでもある。デザイナーの自己表現と市場ニーズのミゾ。個性的なデザインと大衆的なデザインというミゾ。デザイナーの本業と副業のミゾ、というか理想と現実ですね(笑)。

 ミゾを何で埋めるか。敷居をいかに低くするか。モナッカの事例は参考になる。今日は以上です。

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2009年1月13日 (火)

ああこの椅子に座りたいなあ

 数ある家具の中でも最もベーシックで、最も奥が深いのは椅子である。他の家具はたいていモノを載せたり置いたり仕舞ったりするわけだけれど、椅子は違う。人間を支える。いや受けとめる。いやもっと生産的に、安らぎを与えたり思考させたり発想させたり元気づけたりする。

 椅子には到達点が無く、それだけにやりがいがある。そんなことを思ったのは、秀逸なデザインを観たからでなく、ちとおバカさん(失礼)なデザイン、いや着想レベルのヤツを2つ見たから。

【hmm…なアドバイス295.ああこの椅子に座りたいなあ】
 まずひとつ目ですが“回すベンチ”。イタリアのdesign-magazineで見つけた韓国人デザイナーたちのコンセプト。

Rolling_bench

Don’t you love the days following a rainstorm? The streets seem to
gleam, the air is cleaner, and people are generally in a better mood to
finally see the sun again. The only thing that sucks are all those wet
benches and chairs.
 引用元 

 風雨の翌日からの数日って気持ちいいですよね。ストリートはキラリと、空気は清々しく、ああ太陽が出てきたなあとみんな気持ちがいい。そんな中、あれまと思うのは、まだ濡れちまっているベンチや椅子だぜ。と意訳しました。

Rolling_bench2_2 Rolling_bench22

 おっしゃるとおり。で、デザイナーたちが作ったのはハンドルが付いて、それを回せば乾いた面が出てくる。なぁ〜るほど。でも回した面が乾いているか?比較して綺麗か?いろいろ疑問は湧く。さらに思うのは、ベンチってそもそも何だろう?という疑問符です。

 営業マンが疲れはてて3分休む。ヒマな老人が鳩にエサをやる。孤独な人がコミュニケーションを得る。野球のベンチも“控え”という意味ですが、ベンチってどこかネガティブです。ポジティブな意味づけがベンチはむつかしい。そこが回転ベンチがぐっとこない理由です。

【コンセプトは揺らすべき】
 コンセプトを揺らすなら、たとえばこう投げかけてみたらどうだろうか?

・ベンチは匂う(香るでもいいし、香りを作るでもいい)
・ベンチは光る(太陽光をいっぱい吸って光るとか)
・ベンチは育つ(たとえば生きた樹木でベンチを作る)

 こんなコンセプトなら“自然から力を得るベンチ”とか今までになさそうなコンセプトも作れそう。くるくると座面を回すなんて、利便性だけにアイデアをすくわれることもない。

【揺ら揺らしたくない】
 “バランシング・パワー”と名付けたコンセプト・チェアーも、ちょっと“違うな”と思う。デザイナーはYoon-Hee Kimさん

Balance_chair Balance_chair2 

左右にゆらゆらする座面に座ることで、姿勢が良くなる。う〜ん。要はシーソーに座っているわけです。それでバランスが良くなるという想い、わからなくはない。長時間座り仕事をしていると(わたしはまさにそう)、姿勢は悪くなるし肩は凝るし背骨は曲がるしで良くない。だからさまざまなエルゴノミックチェアが開発されている。

Balance_chair3

 このアイデアは“姿勢工学”に基づいたものではないとデザイナーは言う。それはOKとして、仮にそんな工学に基づいた椅子があったとして、それが受け入れられるか?椅子は果たして“Wii chair”になれるのか?いやなるべきなのか?その質問に答えていないと思う。

【揺ら揺らしてみたい】
 揺ら揺らしそうな椅子ならこういうのがある。filippo ghezzani氏による椅子をぶった切ったデザイン・コンセプト、“cut armchair(切られたアームチェア)”。あれれ、この椅子どうなっているんだろう?という疑問がわき起こる。引用元 

Cut01 Cut02

 この椅子のおもしろいのは、座ったらどんな感触があるのだろう?という妄想が育つところだ。土台があり、そこからの心棒の支えで各パーツを保持するらしい。その強度や軟度など、検討すべきことは多いだろうが、これは“座ってみたい”と思った。デザイン・コンセプトはこんなものだっただろうか。

・人は揺ら揺らしたいから、椅子を切ってみた。

Ch3 アームレスもある。 

【hmm…なアドバイス】
 座れば都、じゃないですが、体が椅子に合わすということもありますよね。でも良い椅子の根本て何なのだろう?と思う。ちょこっと座りたい、ずっと座りたい、集中したい、気分を変えたい、揺らしてもらいたい。いろんなシチュエーション/気持ちで座るわけです。これかなと思うのは;

ああこの椅子に座りたいなあ。

 そう思わせる椅子でしょうか。それは着想・素材・デザイン・構造・仕上がりのシンフォニーかしら。先日訪れた、ある木工家具店には素晴らしい無垢のテーブル天板がたくさん展示してあった。それも素晴らしいが、奥にあった椅子たちの顔がいい。ダイニングも、スツールも、ロッキングも、座ってみたくて。そう思わせるのが何なのか?わたしごときが答えは持たないので、ちと椅子に深く座って考えてみよう。今日は以上です。

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2009年1月12日 (月)

グッド・デザイニング,ベトナム!/Good Designing, Vietnum!

 不況のせいなのかヒマだと言うYukaさんたちをutteのオフィスに招いて、新年会をやろうという話しがあります。utteにはIHと炊飯器があるので、何かしらできるのです。そういえば12月にTomoyonさんとパエリア・パーティをしたあと、部屋からタマネギの匂いが2週間ほどとれなかった(笑)。

 それに懲りずにチゲ鍋という案もあるね、とわたしが言えば、生春巻きがいいじゃないか!という声がMayuさんとcherryさんからあり。で、Allaboutの“失敗しない生春巻きの作り方”を読んでいるうちに、ベトナム人学生のデザインを見つけて惹かれました。 

Haru01 Haru13_2 フム。

【hmm…なアドバイス294.グッド・デザイニング,ベトナム!】
Truong Minh Nhat's Capella is a lightweight, compact electric
bike that folds into a backpack. Truong sourced the parts from
local manufacturers, convincing several of them to make the
bespoke components demanded by his design.
 引用元

Minh1

Ho Chi Minh City Universityの建築学部の学生Truong Minh Nhatさんは、Capellaと名付けた、バックパックにも入るコンパクト電気自転車をデザインした。プロトタイプを作るために地元の製造会社にあたり、デザインに合わせて特注の部品を作るように説得した。

 Thanh Nien Dailyの記事によれば、彼は「たったひとつだけ作るのでいいんだ、それも高いコストで言いと言っているのに、メーカーはどこもすごく渋った」。彼のデザイン・スペックとねらいは次の通り

・最高時速30km
・2時間充電で12km走行可能
・混雑するベトタムでも折りたたみ可能
・生産時重量はおよそ10kgを目標に

Minh2 なるほど軽そう。

 前輪が片持ちなところは足回りに強度が必要だし、ホイールはアルミかカーボンか。何よりバッテリーの小型化がハードルかもしれない。だがカッコいいです。

【Nhatさんの熱意】
 このバイクのアイデアを練るのに半年かけたそうです。インスピレーションはギリシャ悲劇の“ユニコーン”から。なるほど、次のフォールディングしたデザイン図はそんな感じも伝わってきます。ターゲットはティーンエイジャー。だからスタイリッシュはマスト。

卒論だからデッドラインがある。制作は間に合わせなくてはならない。ところが間近になってもまだまだ終わらない。部品を複数メーカーに発注していて、それぞれ30kmも離れている。毎日あっちの工場、こっちの工場と行ったり来たりで、時間ばかりが過ぎる。

Minh3_2  折りたたんだ図

 デッドラインの2日前、バラバラの部品群の前でNhatさんは途方にくれた。そこでそれぞれの工場から技術者を家に呼んで一緒に組み立てた。彼は両日2時間しか眠らず、締め切りの2時間前になんとか“提出”した。当然卒論は高得点だった。凄いヤツだ。

【ベトナムは賢い】
 わたしは料理だけでなく、行ったことないのですが、ベトナムに好イメージがあります。

 もう10年以上前ですが、米国滞在時の始めに、ベトナム人たちと一緒に英会話を学んだことがあります。LAの某高校施設をつかって、夜間に実用的な英会話をタダで教えてくれるクラスがありました。先生は英語の元教師、たぶんボランティアでしょう。生徒の何割かはベトナム人は“boat people”、つまり難民でした。それ以外には不法滞在のメキシコ人ですが、彼らも陽気でいいヤツらでした。その中でわたしはたったひとりの日本人。

 その授業を通じてベトナム人たちを見て2つ思ったことがあります。ひとつはベトナム語の発音は英語とまるで違うので、ベトナム・ネイティブには英語がむつかしいこと。もうひとつは、彼らは頭脳明晰で、秀才ばかりだった。これならいずれ米国ネイティブになれば、難民二世は米国社会で頭角を表すと確信しました。

【hmm…なアドバイス】
 ベトナムに行きたしども行ったことはないのですが、タイやインドネシアのようにバイクで混んでいるだとすれば排ガスが出ないバイクが普及するといいな。夢があります。

 生春巻きとフォーの美味と、Nhatさんのデザインと努力に敬意を表して、今日のブログではベトナム語のHPにもあたりました。さっぱり読めませんが(笑)、英語のサイトに出回ってない一点も含めて、3つの写真の出典はベトナム語のサイトから。

 パナソニックさんやその傘下の三洋電機さん、これを現地生産できませんか? 大型バイクの川重さん、“不況でモトGP撤退”という記事もありましたが、レースで節約する年間40億円のうち1億円を、このベトナムの電気自転車に投資するのはどうでしょうか?環境にも貢献し地域産業にもプラス、デザイナー支援事業でもある。今日は以上です。

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2009年1月11日 (日)

CESから、もうひとつぐっときたやつを。

 今日は最近iPhoneを購入した吉岡編集長ビジネスメディア誠)へのトリビュート。いえいえ、iPhoneを持つ人なら誰にもウケる3つのガジェットですよ。最初に書いておきますが、3つ目がmostぐっときます!1つ目と2つ目は「あ、これ知ってるね」だったら、3つ目に飛んでください。そいつぐっときたやつです。

【hmm…なアドバイス293.CESから、もうひとつぐっときたやつを。】
 でも最初のこれもシックです。ズームのないiPhoneのカメラをマクロ撮影や魚眼レンズにしちゃう“ディタッチャブル(取り外し可能)”なレンズ

789_iphone_t_mobile_g1_htc_phone_wi 789_iphone_t_mobile_g1_htc_phone__2 

 まず本体にレンズを取り付けるマウントを付ける(粘着テープのようです)。それにマグネットでスーパーマクロレンズと0.67倍のワイドレンズを取り付けることができる。次のサンプル写真くらいになるそうです。もちろんiPhone以外の携帯やカメラにも取り付け可能。USBfever$16.99 で販売中。

6 左がレンズ付き。

【アコースティック・アンプ】
 ふたつ目もウケました。iPhoneにはちっちゃな内蔵スピーカーが搭載されていて、吉岡さんの同僚のBiz IDの鷹木さんに聴かせてもらったことがあります。あんがい響く。でも小さい。その音をなんとアコースティックにアンプリファイアーしちゃうのが『Acoustic Amplifier for iPhone』。

Aircurve_1  

 ポリカーボイトのドックにiPhoneを挿しこむ。音楽をかけると、ドックがその音響構造を経て音を増幅する。電源なし。導管だけで増幅するのだ。コードはiPhoneの充電用のコードを接続しているから。DVICEのスタッフがCES会場でドック無しで聴くと喧噪でかき消される音楽も、ドック経由だとLoud & Clearだという。19.99ドルですから買ってみて損はない。

Aircurve_2

【nPower PEG】
 そして3つ目はkinetic energy(運動エネルギー)の携帯発電装置『nPower PEG(Personal Energy Generator)』。これウケました。

Npowerpeg 引用元

 ドイツ軍の手榴弾のような(古いナ)このグリーンの筒を上下に動かすだけで発電パワーが起きる。それをiPhone、iPod、Blackberry、デジカメなどにつなぎ充電しながら使うこともできる。これは凄い!

7 engadget

 わざわざ手で振らずに、ぶら下げて1時間ほど歩くと。80%までチャージされる。階段を上がるとき人は200ワットを費やす。nPower PEGとiPhoneをUSBケーブルで接続し、そこから2.5ワットほどチャージさせていただく。つまりたった1.25%で電子でバイスのチャージができるのだ。

 開発元は米国クリーブランドのTremont Electric社。2006年にAaron LeMieux氏が自宅の地下室で開発を始めてから1年後、最初のパテントを申請。試作開発、テストを繰り返して2009年CESで発表。技術面を詳しく知りたい人はこちらへ。

Kinetic11009 引用元

 注目の価格は6ヶ月以内に149ドルで発売するそうだ(Oh Gizmo)。注文が殺到すればもっと安くするそうだ。軍隊にはうってつけだし、旅人や巡礼者にもいい。カヤック乗りや佐川急便などの大口需要がとれれば、もっと安くなるだろう。しかし日本の通勤電車の満員パワーで、みんなが発電している構図はちと怖い(笑)。

【hmm…なアドバイス】
 不況のあおりで今年のCESは静か、なんて報道もあった。でも薄いディスプレイをみんなで並んで写真を撮るくらいなら、nPower PEGのような発明をきちんと取り上げるべきですよ。目がないのだろうか? engadgetでの取り上げかた自体、興味半分のような感じで不快だった(動画のURLは非公開だし)。 同誌(同サイト)の記事の動画も変なので、書かれたコメントも変なのである。メディアの浅はかさで、せっかくの発明が影響を受ける。ぞっとした。反省してほしい(英語で書いてないけど)。今日は以上です。

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2009年1月10日 (土)

CESから、ぐっときたのを2つほど。

CES/Computer Electronics Show は09年1月11日まで開催中。不況で盛り上がりに欠くそうですが、そこで発表されたSony 『Vaio P』はぎゅっとサイズ、こだわったCPU、精緻な解像度もいい。ネジが見えないというデザインにもSonyらしさがもどってきた。10万円という価格はお買い得でしょう。 

9 ガーネットレッドが好き。

 他にもいくつか気になったものがあるが、“遊びと学習系”をひとつずつとりあげます。

【hmm…なアドバイス292.CESから、ぐっときたのを2つほど。】
 玩具メーカーMattelの『Mattel Mind Flex』をやると頭が痛くなるらしいが、やってみたい。

Mattelmindflex2320080108600 引用元 

 動画嫌いのCherryさんも、短いからこれは観てほしいな。1分20秒ちょいだからさ。ゲーム盤からジェットエアが出て、それで丸いボールを浮かせる。文字盤のように周りをぐるっと囲んでいるラインにある、ひとつの穴からエアが出ている。そのボールの高低のコントロールを、脳からの“シータ波”でやるわけ。念動?情動?うんと、何ていうかわからないけど。


CES 2009: Mind Flex mind-controlled toy game from Ars Technica on Vimeo

おでこにヘッドセットをつけた男の耳たぶに注目。このヘッドセットには脳からのシータ波をとらえるセンサーが付いている(耳たぶかららしい)。集中力を高めてシータ波をたくさん出せると、ボールはより高く浮くという。

Mattelmindflex15 7
 引用元                     引用元 上記画像

 動画のオジさんは最初の方はかなり苦しんでいたが、ようやくコツをつかんで、ボールをフーブに通らせることができた。高さをマインドでコントロールして、ボールを吹き出す口はダイヤルで動かす。シータ波とは瞑想状態になったときに発生する脳波で、4-7ヘルツの間で変動するそうです。おそらくそれをセンシングしている。あ〜やってみたい!秋に80ドルで発売予定。

【USBデジタル顕微鏡もいい】
 ふたつ目はUSBのデジタル顕微鏡『USB Digital Microscope with 8 LEDs 』。

Usb_digital_microscope_brando 引用元

USBにつないで観ることができる顕微鏡だ。10倍から200倍までの拡大スコープが可能で、手にデバイスを持ち、観たいものに近づけて焦点を合わせるだけ。LEDライトで対象を照らして、PCの画面上でライブで見ることできる。もちろん保存もできる。頭髪の状態やお肌の状態を観ながら「お手入れしてませんねぇ」なんて営業トークもできますな。

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 引用元 

 化粧品コーナー店頭のお肌のチェックだけでなく、ネイリストもネイルの仕上がり、宝石やストーンの傷チェック、漆やペイントの塗装面のチェックなど応用がきく。もちろん昆虫や花などの学習にもいい。数あるUSB活用グッズの中でも、使用シーンがわかりやすく広がりますね。学校に1台ずつでも相当売れる。このサイトでは75ドルだが35ユーロで販売するところもある

【hmm…なアドバイス】
 CESでの新製品、やっぱり多いのはPC。LenovoにDELLやMouseやAusus、数百ドルの安価なNetbookが目立つ。不況になると安価なものが売れるのは仕方がないけれど、CPUチップセットも、画像解像度の制約も、ちっちゃなキーボードも、みんな同じのNetbook、どうして新製品と言えるのだろうか?今までにない驚きがないとだめ。Vaio Pにはそれを感じた。

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 引用元                  引用元 

 Vaio Pは女性のお尻から、初代iPodはジョブスのジーンズのコインポケットから。Appleを意識していますよね。今日は以上です。

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2009年1月 9日 (金)

SAKURAの春【19】all you can eat Japan 3/7

  豪州ブリスベンのダウンタウンの日本料理店『SAKURA』に漂着したふたりの若い日本人、コバヤシと後藤。SAKURA2号店をめぐって失意と熱意と成長を描く“マーケティング・エンターテイメント”。一昨日の【18】に続いて18回目です。16回目までの全文掲載はこちら

        *************

Holdencommodorewagon7 Holden Commodore 引用元 

わたしはSAKURA本店の裏の出入口に出た。そこにはオージーの国民車とも言われるHolden Commodore(ホールデン・コモドア)の5ドアワゴンが駐まっている。Mr.Tがケータリングの運搬用にレンタルしてきた車だ。ラップをかけた大皿料理や料理を入れたコンテナを荷室に積め込んでゆく。料理を取り分けるトングやカトラリー類、普通のオージーには使うのがむつかしいお箸も持ってゆく。ずんどうに入れたお味噌汁はこぼれてはまずいので、助手席に載せてわたしが両手両足で抱え込んでゆくことになった。

 CommodoreはミセスTを後部座席に乗せて、Mr.Tの運転でゆっくりと走り出した。Holdenはオーストラリアの唯一の自動車メーカー。オーストラリアに国産自動車メーカーがあるとは意外であったが、性能でもフィニッシュでも、日本車に遜色ない出来である。わたしの乗っている老いたFiat125とは違うスムーズな走りだ。日本料理をオーストラリア車で運ぶ。両国の友好のあかしのような演出ではないだろうか。

Google_street_view_20090107 引用元 google street view 20090107

100mも走らないうちにウィンドウシールドの向こうにグレイの雲が広がってきた。そして大粒の水滴がぶつかりだした。痛いくらいに水と物体がぶつかる音が聴こえてくる。そしてスコールになった。ワイパーが雨水をかきあげた瞬間だけ小さな視界がひらける。だが滝のように流れる水流に景色がはばまれてしまう。Mr.Tは“しようがねえな”と舌打ちをしてゆっくりと走らせた。スコールはたいてい20分もしないうちに通り過ぎるから、プルオーバー(停車)してやり過ごしてもいい。

 わたしはクィーズランドの内陸部にドライブしたときのことを思いだした。海岸線とはまったくちがう自然の荒さが体験できる。スコールははっきりと竜巻に見える。竜巻はゆっくり動いてゆく。それはどうみてもこちらに近づいてくるのだ。竜巻の渦中に入り、飛ばされればオーストラリアの大地が瞬間でも見渡せるのだろうか?上までいってすんなり降りれるなら、一度昇ってみたいものだ。

Photo_8  引用元 

くわえて足元にも“自然”がたくさんある。内陸部の道路の舗装状態は、良い部分と悪い部分が極端にちがう。一車線道路ばかりで、両方向ですれ違いはできない。日本でいえばちょっと幅広い農道が幹道となっている“センターラインがない道路”という感じだ。お互い譲り合って走るのが礼儀だ。日本と同じ左側通行の国、はみだした左側のタイヤは、路肩のグラベル(未舗装)道路に足(タイヤ)を取られやすい。

 だからオーストラリアの車は左側から壊れると言われる。中古車の多くは左側のタイヤやサスペンションが摩耗するのだ。奇妙なことである。まるで人間味があるがゆえに、道を譲り続けて、人生のメインストリートを偏った歩きかたをしてしまった人のようでないか。そんなに譲らなくてもいいのにと第三者は言うけれど、彼/彼女にしてみれば、譲ることに使命を感じているのかもしれない。

 そんな妄想にふけっているうちにフト我に返ると、Mr.Tは前方をじっとにらみつけて走っていた。ハンドルを抱えるという表現が正しい。さもないと水流で前が見えないから。開始時間に間に合わせるように、しかも料理を損なわないように、普段ふんぞり返って高級車を運転するMr.Tの姿からは思いも付かない慎重な運転だ。

      ******************** 

ケータリング先の会社に到着した。平屋建てのビジネスコンプレックス、駐車場は外だ。濡れて運び込むしかない。自分は濡れても料理をびしょびしょにするわけにはゆかない。Mr.Tは車をバックで巧みに会社のエントランスに近よせた。

 「こんな雨になるなら、お弁当にでもすればよかったわね」ミセスTがため息まじりに言った。確かにそうだと思った。車のドアを開けると滝のようなスコールなのだ。ひるんだ。だが行くしかない。

 「コバヤシ!Hurry up!腰で運べ、腰で!」Mr.Tが怒鳴る。

 わたしは30人分たっぷりの味噌スープの入ったずんどうをよろめきながら運ぶ。とても腰でなんか持ち上がるものか。プレジャーボートの錨といい、ずんどうといい、南半球を持ち揚げるかのような重労働ばかりだ。だがスコールの滝の合間から見えるMr.Tの姿は、怒鳴るだけではなく、自らも手際よく大皿や番重を運び込んでいる。さすがに空手家は動きは早い。感心している場合じゃない。

 息を切らせてすべての料理を会場となる大会議室に運び込んだ。頭のねじりハチマキをとり絞ると、濯いでもないのに水がしたたった。わたしだけでなく、Mr.TもミセスTも息をきらせる中で宴の準備は終わった。これでお役ごめんだろう。SAKURA2号店にもどろうとして、わたしはMr.TとミセスTに声をかけた。

 「どうせヒマだろう。あっちは後藤にまかせて、お前はここで味噌汁をよそうくらいサービスをしろ」

 ヒマであるのは事実だがそういう言い方をされなくてもと思う。だがわたしはひとりでディナーをこなす後藤の姿を思い浮かべて、感謝した。Mr.TはわたしとミセスTを会場に残して、本店にもどった。頃合いを見て迎えに来るというのだからいいだろう。

ミセスTとふたりきりになる。まるで好きになれないバアヤと「一緒にいて待っててね」と、ママにおいてけぼりを食らった子どものように寂しくなった。ほどなくパーティが始まろうとした。

080218a21 引用元  

「Oh!SUSHI!」
「Raw Fish, I love it!」
 
 マグロ、サーモン、海老、巻き寿司。これでもかというほど大きなネタをのせた寿司を前に、立食パーティにやってきた参加者たちが口々に言う。食べる前から“これは何?”と興味津々の面もちのオージーたちだった。もちろん彼らのうち何割かは日本食を食べたことはあるだろう。だが寿司にせよ刺身にせよ、当地の人には安くない。たとえラーメン一杯作るのも、遠く日本を離れればかなり原価がかかる。価格もイメージも、まだまだ敷居が高い。
(続く)

        ******************** 

 今回の掲載分は雨のシーンですが、ちょうど今日も雨でした。関東地方では激しいというより、ひたすら冷たい雨でした。不況ゆえに寮さえ追われ、路上生活をする人には、どんな理由があるにせよ、冷たすぎる雨だと思いました。彼らは負けたから、というのは寂しすぎるし、自分がいつ負けるかわからないのを、心底思ったことがない人には、負けるとか負けそうになるというリアルな感情はわかない。今の首相を筆頭に、多くの政治家や官僚に、徹底して欠けているのは、そういうリアルな感情である。だからこそダメだと思う。

 もちろん「勝ち残ろう!」という人生観が後退し、「負けすぎなければいい」という人生満足が蔓延しているのも問題。ひとりひとり、生き方のパラダイムが問われているというのはそんな背景もある。ちょっとビパークすれば風雨が過ぎるだろう、という想いでやり過ごせればいいけれど。今日は以上です。

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2009年1月 8日 (木)

ノートカバーは屈折心理をカバーする――コクヨ「SYSTEMIC」

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングへのリードです。

ノートカバーは屈折心理をカバーする――コクヨ「SYSTEMIC」
コクヨのノートカバー「SYSTEMIC(システミック)」を"周回遅れ"で
購入した私。購入を迷った理由を突き詰めていくと、そこには屈折した
感情があった。
続きはこちら→

Pict0048 Systemic とわたしの手。

 新年なのだから“景気の話し”や“日本の明日”のような話しを書ければよいのですが、器でもなく柄でもなく、しょせんマーケティング屋です。それもひねくれ者です。パラダイムが変革する!たいへんだ!と叫ぶよりも、もっと身近なことから消費や消費者の本質を描きたい。そう思って書きました。

 でもカバー商品ってどんな意味があるの?またまた郷さん、ひねくれた話題を!と思われた人もいるでしょう。

【なぜカバーという切り口なのか?】
 カバーのことを市場では“ブランド”や“デザイン”と言ったりするけれど、そのカバーのことを表皮自体から語るのではなく、カバーすることの意味から商品を観ると、あんがい違ったことが見えてくる。それが、わたしのマーケティング・アプローチなんです。

 もうちょい言いますと、たとえばマーケティング教科書や教科書で語る人は、既に世に発売されているビール商品をポジショニングしようとする。味にしろ価格にしろ、コクにしろキレにせよ、今までの商品の特徴をべースに「ポジショニング図」を作りますよね。決して無意味ではないですが、それだとたいていこれまでの商品の後追いでしかない。後追いですから余ったポジションしか発見できない。だから追従商品ばかり生まれるし、ヒット商品の亜流しか生まれない。

“ブランド力”とか“商品機能”という目盛りは、結果説明でしょう。そうではなく、消費者の“これだよね”という隠れた想いや欲望を目盛りにしないと、何も新しくならない。だからカバー自体を論じてもだめ、“カバーする欲望とは何か?”と考える。それを目盛りにすべしと思うのです。

【カバー価格の妥当性】
 カバー価格の妥当性も微妙なテーマです。本体との相対コスト、つまり初期投資価格と使用回数/使用期間で決まるが、実際は屈折した値ごろ感で決まる。136円のノートに1,365円のカバーをする私もいるし、5個300円のティッュを、3,000円のティッシュカバーに入れかえる人もいる。中身はフツーのPCなのに、手作りの木製カバーが数十万円という例もある。

 本体とカバーの価格は決してリニアな直線グラフにはならない。カバー好きが“何に屈折をしているのか”を見定めるのが、カバーに付加価値をつける開発者のミッションでもある。そんなことも思いました。

 買ったから言うわけじゃありませんが、コクヨのSYSTEMICは良くできています。2冊持ち運んでも軽さ・薄さがほど良いし、ツートンカラーの色合いもいい。表のポケットは重宝する。買って損はないし、ノートにステータスを求めてカバーを購入するのではなく、ちょっと機能重視の人にはもってこいだ。

 今回は割と商品のことも書いたつもりですが、商品の紹介文が少なすぎると言われることもあります。もちろん商品紹介はたいせつだし、書こうと思っています。でも究極にはわたしは商品ライターではなく、“マーケティングの探求者”なのです。そこをミスフィットだと思われれば、読者志向を再考しなければなりません。

【日本人のカバー意識】
 余談ですが、カバーについて思ったことを書いておきます。

 そもそも、“カバーする/被う”というのは、日本人の感性の中でも重要なキーワードのひとつだろう。昔から籠(かご)や風呂敷、重箱、着物の重ね、食べ物でも桜餅の桜の葉、素材でも漆、渋柿染め、空間でも簾(すだれ)や暖簾(のれん)の区切りも部屋や空間を被う。どれにもシンプルさと合理性、そして見え隠れさせる美意識がある。日本人のカバーは単なる“隠す”という意味だけではないのです

200pxa_rice_cake_filled_with_sweet_ 引用元

 好著『縮み志向の日本人』には、日本人の“縮む”への多様な感性が生み出した文化や商品がテーマであった。扇子、盆栽、達磨、花道、トランジスタラジオ、パチンコなど、日本人がいかに縮ませるのがうまいか。本書は1984年初校。縮みの代表例である『ウォークマン』が1979年の発売、“縮んで新しい価値を生み出す”工業デザインで、日本が国際舞台で成長する時代だった。

 カバーするのに、縮ませて付加価値をつけてきたのだ。縮み以外にもまだある。

結ぶ(紐や帯をむすぶ、風呂敷をむすぶ)
詰める(折り詰め弁当、寿司詰め)
重ねる(装いの重ね、容器の重ね、色重ね)
慎む(勿体ない/Mottainai、過剰な包みを卑しむ)
 

 こんな美意識が日本人の包む感性にあったはずなのです。その美意識の原点と変化を、いずれ『和のマーケティング』というテーマで一冊本を書きたいと思いました。西洋型のコンセプト・思考ではなく、ジャパネスクな志向からニッポン消費者の姿、その変化を解き明かしてみたい。ライフワークかなあ。

 今日は自分の想いにカバーせず、想いを書きました。後知恵の教科書も議論も嫌いです。今日は以上です。

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2009年1月 7日 (水)

SAKURAの春【18】all you can eat Japan 2/7

 オーストラリア ブリスベンのダウンタウンの日本料理店『SAKURA』に漂着したふたりの若い日本人、コバヤシと後藤。SAKURA2号店をめぐって失意と熱意と成長を描く“マーケティング・エンターテイメント”。昨日の【17】に続いて18回目です。16回目までの全文掲載はこちら

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 ミセスTは鼻歌を歌いながら、冷蔵庫をパタンパタンと開けては閉め、次々に材料をとりだしていった。皮肉なことばは気に障るが、彼女は異国の地での日本女性少なさゆえの“おまけ”はなく、かなりの美人である。格闘家が美人好みなのか、美人が格闘家を好きになるのか。戦いを挑む男を好む女には美人が多い。格闘と美は、惹き合うのが世の常なのか。美醜の組み合わせが生まれるのは、強いことも勝利、美しいことも勝利という、格闘家特有の優越意識が響き合うからだろうか。

 調理着に包まれたミセスT。長い黒髪と色白の肌のコントラスト。キリっと仕立て上げた眉と切れ長の眼の位置どりの絶妙さ。長過ぎず高過ぎずの鼻梁、締まった鼻翼は上品な味わいがあり、紅い唇はいや応なく色白さを目立たせている。中年にさしかかりつつも、多くの女性の中でいぜん勝ち上がる美しさがある。そんな女性が日本から遠く離れた南半球の調理場で、なぜ働いているのだろうか。生活には苦労をしていないとはいえ、空手道場経営が傾いて、海外の地での“名士夫人”としてのステータスにも狂いが生じたはずだ。その運命を楽しんでいるのか、あるいは悲しんでいるのか。美しい仮面の下をのぞいてみたいと思った。

 「そういえばコバヤシさん」彼女は冷凍庫から魚の切り身を出しながら声をかけた。
 「何でしょうか」
 「Tは売上がもどらなかったら殴るって言ったそうだけど」冷凍食材を解凍するためにラップをパリパリと開けた。「なんであなたは逃げないの?」
 「さあ、なぜでしょうか」ストレートな問いにはあいまいに答えるしかないのだ。
 「さっと逃げちゃえばいいのに。でもつかまったらこんな切り身になっちゃうわよねぇ」魚の切り身をつかんでコツコツとテーブルを叩いた。「期待しているわ。コバヤシさんの切り身なんて、ちっとも美味しくなそうだし」
 彼女はそう言うとケラケラと笑いながら、また冷凍庫の扉をパタンパタンと開けて食材探しにかかった。わたしはうつむいて、研ぎ水の中の米を手のひらで一度握りしめた。

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引用元 

 「バラマンディ、幾つあるかしら」ステンレスのテーブルに並べたのは、ラップした切り身の食材のバラマンディだった。オーストラリアの北岸で穫れる、大きなものは2mにも達する白身魚だ。亜熱帯の海で棲息するこの魚、日本人も満足する繊細な味である。オーブンでローストして焼き魚の一品がメニューのひとつだ。疑似的な日本料理としては文句がない。
 「25枚か。ちょっと足りないけど、大きめの切り身を分けちゃいましょうね。ほうれん草とレモンのソースでいいわね」
 わたしは野菜庫にかけつけて、ほうれん草とレモンを数えた。どちらも計画どおりの量があるようだ。

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引用元 

 わたしは魚のロースト、寿司ネタと刺身の仕込み、それが終わったら味噌汁の具材にとかかった。ミセスTはサラダ、茶碗蒸しと味噌汁とそして、ふたりでコンビネーションよく仕込みが続いた。ことばが少ないが動きがある厨房。至福の時間だった。

          
******************** 
 
 「コバヤシよ、腕がナマっていただろう。ちょうどいいトレーニングになったよな」

 ピクリとして振り向くと、いつのまにかMr.Tがいた。背後をつかれた。口元には笑みをただよわせているが、例によって目は笑っていない。近づきざまに肩をぽんと叩かれた。痛かった。彼なりの感謝の表現ではあるのだろう。

 「だんだん寿司らしいカタチをつくれるようになったじゃないか。上等、上等」

 Mr.Tはわたしがつくった寿司を、頭をかしげて側面からもチェックした。まったく嫌らしいレストラン・ファイターだ。

 そろそろケータリング搬入の準備にかからないとならない。準備ができた料理にラップを二重三重にかけた。茶碗蒸しは番重(ばんじゅう=料理を運搬する容器)に入れた。取り皿や箸、ナイフとフォーク、カセットコンロなどはすでにMr.Tが会場に運んでいた。あとは料理を運べばいい。(続く)

  Holdencommodorewagon7
 Holden Commodore 引用元 

       
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 絵だけ載せて説明無しでした。Holdenとはオーストラリア唯一の自動車メーカーです。
GMのノックダウンの車に乗ったことがありますが、シュアなハンドリングだったなと記憶しています。

 さて相棒cherryさんに(こっぴどく?)怒られますが、今日はutteのオフィスで仕事してました。怒られる理由は“休日出勤”。utteは7日までお休みなんです。でも3足のワラジをつっかけるわたしは(=コンサルタント+モノ書き+準(純?)起業家)、すんなり休めなくて。ごめんなさい。

 今朝からビジネスメディア誠の原稿を入稿、utteのクリエイター登録準備、で早々と帰ろうと思えば、新しく登録していただくクリエイターさんから連絡が入り、サイト原稿調整&連絡文書づくり。明日来るまでcherryさん、“地ならし”しておきやしたぜ(笑)。今日は以上です。

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2009年1月 6日 (火)

SAKURAの春【17】all you can eat Japan 1/7

 ブリスベンのダウンタウンの日本料理店『SAKURA』に漂着したふたりの若い日本人、コバヤシと後藤。SAKURA2号店をめぐって失意と熱意と成長を描く“マーケティング・エンターテイメント物語”。その17回目です。あらすじは次のとおりです。

 新規に出店したSAKURA2号店の業績が上がらず、元空手道場主・日本料理店オーナーのMr.Tから“コバヤシ、お前を殴る”と言われた。コバヤシと後藤は競合店のKOTOを訪れて、その堀田店長から「SAKURA2号店とは何ですか?」と訊かれた。ありたいお客さまを集めて“フリーランチ”インタビューも行うが、再生へのヒントはまだ見いだせない。ダウンアンダーのオーストラリアの地で、コバヤシと後藤の真の自立への冒険は続く。前回の16回目までの掲載はこちら

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SAKURAの春【17】 all you can eat Japan 1/7 

 ランチの終わりの頃、電話が鳴った。鳴る音にどこか人に有無を言わせない、傍若無人な響きがあった。受話器を取ったワンダがこちらを見て目配せをした。案の定、Mr.Tからだった。わたしはため息を深くついた。店舗の業績が伸びず、“コバヤシ、お前を殴る”と言われてから、まだ2週間と経っていない。いや彼にはたった2週間でも長過ぎるのだろう。

 相手が闘い始めの呼吸さえ整えていないとき、構えるか構えないかのうちに叩きのめすのがMr.Tと言われた。先手必勝のコンタクト空手で養ってきた闘争本能がある。にらみつけて怯えさせることで、自分に有利な間合いをたもつ。オレはいつでも襲いかかれるぞという構えを見せて、恐怖で人を縛り付ける。まるで逃亡を許さない監禁者だ。

 わたしは償いきれない罪を犯した懺悔者が、神父に“聖書に手をおきなさい”とぴしゃりと言われたかのように受話器に触れた。ドスの利いた空手家の声がやってきた。

 「コバヤシ、こっちへ来い。どうせそっちはドヒマだろう」

 殴られるわけではなさそうだった。SAKURA本店のシェフの要であるKIMさんの体調がすぐれない。ランチは何とかこなしたが、午後はとても働ける体調ではなく帰宅したいという。マレーシアから移民した彼のオーストラリアン・ワイフが、きっと何かワガママを言っているに違いない。割を食うのがわたしであった。

 ディナーの仕込みは手当がついているが、間が悪いことにケータリングの注文が入っていた。日系の会社に日本料理を届けるご依頼だ。寿司に刺身に焼き魚に茶碗蒸しに…。スキがあるから仕事を押し込まれるとも言えるが、手伝えというのは頼りにされた。ひととおりこなせるワーホリ崩れのわたしも戦力なのだ。構えさえ悪くなければ、奇襲にも対処はできる。

 わたしはSAKURA2号店のランチの後片付けを後藤にまかせて、アタマにはちまき、上下は調理着のかっこうのまま我が老いたFiatに乗りこんだ。道場破りにあった師範の道場に助っ人にいくような気分だ。イグニッションを回すと、珍しく一発でエンジンが回りだした。ブリスベンのダウンタウンに向かうウィンドウシールドから見える亜熱帯の空は、ゆっくりとグレイの雲が出てきていた。どうやらスコールがありそうだ。

Sofitel_19  引用元 

SAKURA本店の入口、ランチの終わりを示す“Closed”の札がかかっていた。ストリートに面したビルの2階にある店舗まで、薄暗い階段を駆け上がり、ホールへのエントランスへ向かった。レジの奥にある小さな事務スペースに、たいていMr.Tは陣取る。今は扉が半開きにない暗い部屋である。どうやら出かけているらしい。

 半ばほっと、半ば拍子抜けしたわたしは、厨房に入った。SAKURA2号店よりもたっぷりとしたスペースだ。洗い場、サラダ場、仕込み・調理までセクションが分かれている。ここに比べるとSAKURA2号店は家庭のキッチンに毛が生えたようなものだ。そもそも調理するメニューに限界もある。言い訳にはならないが。ケータリングの注文書を探して宴会帳をめくった。すると後ろから声がかかった。

 「おはよう、コバヤシさん」Mr.Tの奥さんミセスTだった。「ごくろうさま。Tもいないし、今日はたまには気分転換ね。でもね、あっちお店の貧乏神は連れてこないでちょうだい」

 口では微笑みながら、ぴしゃりとしたあいさつだ。口が悪いのはいつものことだが、決してそれに慣れたことはない。空手家の奥さんだから言葉尻にもチョップが効くのだろうか。わたしは口の中で“おはようございます”の言葉をこねた。

 「XXXコーポレーションて日系の会社さんだったのね。知らなかったわ」ケータリング先の会社の名前を挙げて、彼女は手にしていた注文書を広げた。「新しい日本人ボスの就任祝いだそうよ。会議のあと、部下のオージーたちと日本食を食べて“同じ釜のメシ”かしらね。だからメニューは刺身に寿司にお蕎麦に茶碗蒸しに味噌スープ、ニッポンてんこもり。これで満足して日本通になってくれるのだから、ラクよね〜」

 Mr.Tは30人前を準備するケータリング食の搬入前に、病欠のKimさんの代役で、会場となる会社の大会議室で準備をしている。ケータリングといってもほとんど店で調理を済ませて、大皿に並べた料理を搬入すれば終わりだ。立食パーティ形式で勝手に食べてもらう。刺身を盛り付け、寿司を握り、焼き魚をならべ、茶碗蒸しや味噌スープをふるまい、蕎麦でしめる。調理を済ませて搬入すればおわり。材料を仕込みさえすれば、皮肉とも拳ともおさらばできる。わたしは寿司用のライスを研ぐ準備にかかった。(続く)

Taimei0104001thumb  引用元

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 今日は板橋区方面に出向いて、utteのクリエイター・ハンティングと、ビジネスメディア誠の取材の下調べをしました。例によって方向音痴が炸裂しまして、かなり道に迷って、環七をはさんであっちこっちと歩きました。良い運動になりました(負け惜しみ)。

 ところが、大通りをはさんで、街の有り様や家の造りにはずいぶんと格差があるなと思いました。片や大邸宅がずらり。片や廃墟のようなスラムさえある。格差は資本主義の下では当たりまえですが、その町の自治体も大借金を抱えている。今の政治家や公僕に、こんな日本の舵さばきをする深い思想があるのでしょうか?今日のニュース、『平成廿“十”一年問題』でも暗澹となりました。明日もSAKURAの春の続編です。今日は以上です。

200901055830551l  筆さばきはうまいのに、二重の廿(ニジュウ)では…。

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2009年1月 5日 (月)

新生Apple

 『CES/Consumer Electronics Show』はラスベガスで09年1月8日から開催。先行して行われる『Macworld Conference & Expo』はサンフランシスコで、現地時間の本日つまり4日から、日本時間では5日の午前2時からなので、これをアップした10時過ぎからだと、あと4時間で開幕。

Stevejobsmacworld2008speech2  引用元 

 だが今年からはもう彼の姿を見ることはできないApple自身さえもう参加しない。最後の基調講演は、1月6日午前9時(現地時間)から行われるが、そこで彼の姿はない。その病状からもう永遠に姿を見れないという“確実な筋の噂”さえ読んだ。今日は書き貯めた『SAKURAの春』をアップしようかと思ったけれど、CESとMacworldにちなんでひと言。

【hmm…なアドバイス291.新生Apple】
 CESを前に、たくさんの家電やPCや用品などの新製品情報があふれている。ざっと読んだだけだけど、大きく薄くなる液晶テレビより、成熟したかに見えたPCの方がおもしろい。

Tam 特定のPCを欲しいと思ったことはなかった。

いよいよVivienne Tam/ヴィヴィアン・タムの『Mini 1000 Vivienne Tam Edition』が発売される(in米国)。紅(あか)の抑制された艶やかさがいい。その桔梗のあでやかさがいい。開いたキーボードが紅で埋め尽くされているのがいい。前に詳細に書いたブログはこちら

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 画像引用元            トートとスカーフのおまけもあり(有料)

このデザインでノートPCが今までと異なる価値を持つようになる。スペックなんてどうでもいい。このPCならそこそこのプロセッサとメモリでいい。しょせんわたしごときの使用シーンではスタンダードでよいしね。オナゴもすなるVivienne Tam PC、オトコはダメですか?

【レノボのラインナップ】
もうひとつ気になったのがレノボの大攻勢。野心的な大画面PCも発表し、普及価格/サイズ帯への戦略ノート、もちろんNet bookへの気配りも抜かりない(利益が出ないので、積極的ではないはず)。

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小画面を開くことができる『W700ds』は、ペンタブレットを装備して、ノートPCですべての作業をコンプリートしてしまおう!という商品だろうか。デザインは(正直)アグリーだが。『A600』のAll in oneもすごい。野心的であることは認めざるを得ない。このチャレンジ精神は凄いと思う。

ハードウェアとして、かつてのIBMのブランド力だけで生き残れないのは自明。フラッグシップ的なX300、普及型の『Y series』(新製品)、おさえ商品のネットブック『S10 netbook』など薄くしたり独自性を高めたり安くしたり。前のIBMの展開とはかなり違いを感じています。

【Mac、迷走時代へ?】
対照的にAppleからのニュースは、とてもdisappointing(失望)。

9 to 5 Macでは、ユニボディを採用した新しい「17インチMacBook Pro」は、
現行モデルよりも駆動時間が長い超薄型のバッテリパックを搭載し、
このバッテリパックはiPodyaiPhoneなどと同じく取り外しできないように
なっているようだと伝えています。
引用元

電池を取り外せなくても寿命まで使えばいいでしょ。しかも(あまり売れないからだろうが)発売したばかりの13インチアルミMacを値下げするという(噂)。おまけに販売継続をしたポリカーボネイトのホワイトマックはやめるという(噂)。なぜそんながっかりさせるようなニュースしかないのか、なんてタイミングが悪くて歯切れの悪いニュースだろうか。それが問題だ。

安かろうのnetbookを否定したことは間違ってないが、対抗策がない。デザインでもアルミ素材で前のデザインを踏襲しただけだ。フルラインのウィン陣営に勝てる展開が見えない。ジョブスというカリスマがdimになり、Appleの“今”と“これから”はかなりヤバい・・・そう結論づけるしかない。

 081031imacandkitty01 猫も好きなiMac

【hmm…なアドバイス】
でもね、まだまだやることはある。HPのヴィヴィアン・タム・バージョンより美しいPCを創る(Sonyが“P”として出すけど)、大画面で美しいプロ用PCを創る(サムソンもレノボもやりますが)、Office 07の操作性の低さと保存形式の悪さを解消する(ビジネス慣習なんてクソくらえがMacです)。

いや、どれもこれも違うんだ。Appleのような純粋な事業の成り立ち、そして伝説、受け継がれた伝統を持つ会社への処方せんは、実はかなりシンプル。原点がしっかりしているのだから。George Colony氏が2004年に書いていたことを挙げたい。

Macintoshは、オープンでも、業界標準でも、業界公認でもない。
ただ、とにかく「良い」のである。

ジョブスは唯我独尊で自分の「良い」をつらぬいたからこそ第二期Macを築いた。希有の天才の「良い」が受けとめられたとは言える。でも、彼のしでかしたような、これほどに大きな「良い」はとてもムリなので、小さな「良い」を持ちたいと思う。そこが大なるスタートだ。今日は以上です。

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2009年1月 4日 (日)

老人の美しい死に接して

 旧友の内田さんから年末に送られてきた本2冊、先日“ウォーター・ビジネス”のことは書いた。実はもう一冊の『老人の美しい死について』(朝倉喬司著)の方がある意味ぐっときた。正確に言えば、この本の最初の章の老人の死、歌舞伎役者市川団蔵(八世)の自死つまり自殺に姿勢を正された。

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 “人生の終末に、あえて自ら死を選んだ三人の老人”という帯文句があるが、市川団蔵の“あえて”にはさまざまな意味、想いがあった。年明けてウダウダしていましたが、これを読んでようやく新年らしい気持ちになりました。

【hmm…なアドバイス290.老人の美しい死に接して】
当夜の相客は17人、老人は入口近くに小さく体を縮めるようにして横に
なったものだった。とっさに加藤(引用者:同船のボーイ)は上甲板に
走り出た。折から雨。甲板の後部に、特二船室用のスリッパが並び、濡れ
っぱなしになっていた。
引用元 同著P23

歌舞伎役者の市川団蔵は明治15年(1882年)に七世団蔵の次男として生まれ、2歳から舞台を踏んだ。名脇役として舞台をかさね、昭和18年(1943年)に八世を襲名。昭和41年(1966年)芸術選奨を受賞。同年「八代目団蔵舞台生活八十二年引退披露」をつとめ、四国八十八カ所遍路の旅の帰途、船上から身投げをした。身の回りをきちんと整理し、四国の遍路参りも終えて、誰に迷惑もかけることなく。

当時のマスコミからは「寂しい花道」「冷たい歌舞伎界にイヤ気」と書かれたそうだが、八世を識る人びとは、その死に強烈な想いを観た。そのときから40年以上が経つ。本書は団蔵の死の胸の内を明かそうとして書かれた。著者の朝倉さんはこう書く。

団蔵の自殺は、つまりは、もはや過去に置き去りにされるしかなくなった、
この「質」を秘かに胸に抱いてのものだったのではないか。
(同著P39)

“質”とは、明治時代の歌舞伎が実現していた何かだという。

【芸のために】
ひとつは明治の歌舞伎役者は、芸に命を捧げたこと。

父七世は明治の歌舞伎役者として傑出した存在だった。子の八世を二歳で舞台を踏ませるが、教えることはしない。突き放すか叱るかだけだった。踊りがなっていないと言っては、子を真冬の庭木に逆さ吊りをするような教えかたであった。しかも舞台が悪ければ、途中で降板もありという厳しさ。今どきの芸以外のニュースばかりが目立つ若手役者を、甘やかすような風潮のカケラもない。

それに応えた子の八世の想いも深かった。どうやら「自分が天性、巧い役者ではない」ことに気づき、それがゆえの精進に励んだ。だが身の本分を知るゆえか、主役を張るような輝きを見せることなく、脇に徹する芸にとどまる。だから芸術選奨受賞に際して、自分は「何でもない人間ですよ」と言い賞金をあっさり寄付した。芸に厳しく己に厳しかった。

【著書『七世市川団蔵』】
芸への精進の凄さのエピソードで気になったのは、八世の著書『七世市川団蔵』だ。

70726f647563742f3344534330353130342  画像は1966年の改訂版 引用元 

これは八世の父の芸の事蹟を“思いだして書いた”400ページの著書。七世は1911年に没しているので、2歳の舞台から25年に渡る“観察記録”だ。これを戦時中の1942年に刊行した。この著書のおかげで八世の事蹟が広く世に遺ることになった。なにしろ書きあげるのに10年をかけた。厳しかった父への畏敬とともに、芸への求道心が書かせたものだろう。これは読んでみようと思っている。

当書の中にあると思われる、七世の明治23年のエピソードも気になった。演目が『佐倉』(義民の木内宗吾が、暴政に苦しむ人々のために将軍徳川家綱に直訴したという伝説)に決まったとき、宗吾の歴史を調べて役づくりをするため、わざわざ人力車で佐倉まで出かけた。調査の上、台本を1/3も書き換えた。力を入れて演じるとまったく客入りが悪い。そこで宗吾の碑に願をかけると、翌日からドドドと大入りになったという。

05 歌舞伎座08年上演より。(“佐倉義民伝”)

【時代とともに自分を葬る潔さ】
七世の父に似て、八世もまた大劇場(歌舞伎座)でやるよりも、観客と舞台が一体となった新富座、観音劇場など“芝居小屋”に好んで出た。格式を重んじる市川家内の確執もあったというが、大劇場だけが芝居じゃないという想いを生涯をつらぬく。歌舞伎の観客や演じ手の質の低下への憂いも背景にあったようだ。

だが彼の死は、そうしたことへの抗議の死ではなさそうだ。八世は芸を極め、その極めた芸はある深さに到達し、その深さを“わかる時代”が過ぎ去ったので潔く死んでいった。時代の終わりに自分の芸を葬った。そう感じた。

【おわりに】
ご興味を惹かれた人はぜひ本書をお読みください。団蔵以外の2人の老人の死も、また団蔵の死に通底する感触があります。本の紹介にさえならない拙いブログになってしまった。ごめんなさい。

最後に、コルドーニの宮島惠一氏が1972年に書かれた一文の中から一行を引用します。これは七世のことばで、「手前」は八世のことです。

そして叱るときには、「おれの腕を洋小刀で削ると金貨が出る。手前の腕は
世間並の血だけしか出めェ」といったという。

芸(あるいは仕事に生きること)の前に謙虚になることを忘れずに、精進することを誓いつつ、せめてまだ書いていない年賀状をこれから書きます。今日は以上です。

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2009年1月 3日 (土)

3つのメモからのメモ

 みなさんは年明けはいつから働きますか?次週月曜日からだとすると、あとお休みは2日しかありません。あっと言う間に終わったなあ休み。わたしの仕事初めの日程はあいまいですが、さっき手帳を見て“休み中にやること”リストを見ました。6つあってそのうち4つくらいまではなんとか、という感じです。

 休みから仕事へのスイッチは、手帳でありメモ帳であり。そろそろ仕事モード、ということで今日は最近おもしろいなと感じたメモ商品を3つ

【hmm…なアドバイス289.3つのメモからのメモ】
ナカバヤシ株式会社は、メモのように使える、大きめのふせん紙(75×75mm)
と同じサイズのホワイトボード仕様の「メモボード」を、「アイデアプラス」
シリーズの第2弾として12月下旬より全国で販売します。
引用元

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 旧年12月に発売されたばかりの『メモボード』は、数行のメモを書ける便利な75mm角のポストイットサイズのメモを、ホワイトボードにしちゃったというエコで便利な商品。両面タイプは、片面に電話対応やTO DO Lists、行動予定の3タイプが印字されていて、ウラ面は自由記入の無地になっている。片面タイプは無地記入でウラにマグネットが付いているので、冷蔵庫やマグネットボードに張り付けることができる。

 黄、赤、緑の合計3枚セットで483円と609円(いずれも税込み)。厚さは5mmあるので、無くなすこともないし、スタッキングもできる。エコでもあるしゴミも削減する。ボードマーカーで書かなければならないところがちょっと、ですが“あったらいいな”という商品。こういう発想の商品、好きです。

【KNOCK KNOCKのポストイット】
 ふたつ目はわたしの好きな文具店&通販の原宿フライハイトで見つけたTO DO Lists。アメリカのデザインステーショナリーブランド『KNOCK KNOCK』の「ポストイット」セットです。

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 これが洒落ているのは“期限が6つある”ところ。そのチェックのコメントがいいの。

・緑のTODAYはもっとも大きい88×88mm。ASAP(たった今)/今日中/明日でも/できねえよこんなの(Commitments are tough)というのは、チェックしてメモをボスにバックするのだろうか?(笑)
・SOON(茶)もER(比較級)、ISH(頃合いを見て)、EST(最上級)
・SOMEDAYはいつかねと青で、黄緑のNOW、後でねのLATER、そしてなぜかNEVER(やらんぞ)の付箋紙まで(笑)。

 各百枚入りで価格は2,730円(税込)と安くないけれど、ユーモアのわかるボスにギフト好適です。在庫は僅少のようですからお早めに。訳さないけれど米国KNOCK KNOCKのサイトにはオモシロいパッドがいっぱい。

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【ミドリのREダイヤメモ】
 3つ目は1961年から発売するロングセラー文具のトリビュート。ミドリのポケットサイズメモ『ダイヤメモ』をリ・デザインした『REダイヤメモ』。

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 誰もが一度は使ったことがあるダイヤメモでしょう。わたしも数回購入しました。なんと1961年生まれだったんですね。その商品をもじった4種のメモを2009年1月13日から販売する。メモをめくるといろんが柄がでてくる。『つなげてワニ柄』『インポケット柄』『名作柄』『レシピ柄』など、使用シーン別に限定商品を発売する。サイズはMサイズのH123×W76×D5mm。価格は210円(税込み)。

5  引用元

 ちょっとした工夫だが、アイデアを書き留めるメモ帳には、遊び心が救いになる。アイデアで勝負する人にはそれがわかる。

【hmm…なアドバイス】
 たかがメモ、されどメモ、多くのコミュニケーションがある。“正確なコミュニケーション”がひとつ。でも“ゆるいコミュニケーション”もできる。さらに“用途に応じたコミュニケーション”もある。

 「メモは消耗品だから」というメモ用紙的なコチコチの考えにカウンターパンチは、ナカバヤシ。メモは四角四面の伝達ばかりじゃないという気づきは、KNOCK KNOCKから。メモ用紙にデザインが入っているだけで、アイデアが出そうな気がするのはダイヤメモの“RE”から。特定の誰かに伝える、不特定の誰かに伝える、自分に伝える。相手先によってもずいぶん開発バラエティが広がる。メモのようなごく日常の商品にも、切口はたくさんある。これメモしておこう。今日は以上です。

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2009年1月 2日 (金)

ニューヨークのストリートランプ

 風力発電ランプの“Firewinder”、羽根が風で回るとLEDランプが輝く。日本にたったひとつ、わたしの手元にある。元旦の昨日、思いつきがあり、Firewinderのパブリシティ策を考えた。開発元(英国)にメールを打ってみた。ポシャるかもしれませんが何事もトライあるのみ。近いうちにFirewinderの“輸入代行”も受け付けたい。商売はしないので定価より安めに頒布できそうです。ご期待ください。

Visual_concept02 風速別光りかた。

 てなことで、これからはLEDだ!と思っていたら、とっても美的なストリートランプあり。ニューヨークで設置が進む“合理の美”に包まれたLEDランプ。

【hmm・・・なアドバイス288.ニューヨークのストリートランプ】
The NYC Department of Transportation worked in cooperation with
the Office for Visual Interaction to design the lamps, which will take
advantage of over 100 LEDs each. The LEDs are arrayed in a four-point
lighting solution that can be customized to cast a variety of footprints,
and tailored for streets or parks or other locations. 
引用元DVICE 

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 ニューヨーク市交通局は照明デザイナーのOVIと協力して、1基に100個のLEDランプを利用するストリートランプのデザインを行った。4つの(集束)ポイントから広範囲を照らせるので、道路、駐車場などさまざまなロケーションに使用ができる、とある。スタイリッシュなランプの美しさがまずポイントだ。

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 ニューヨークにあるすべての街灯は約30万本だそうで、LEDに置き換えると25〜30%の電力削減になり、従来のナトリウムランプの寿命2.4万時間に対して、5万〜7万時間と2倍から3倍の寿命となる。2〜3年で元が取れるという試算もある。

 集束ポイントも4つとは限らず、2つや3つでもOKで、カーブなど局所を照らしたり、階段を照らしたりなど、要するに場所によりフレキシブルな照明デザインが可能。ニューヨーク市内には約30万本の街灯があり、このすべてをリプレイスするということではなく、景観重視のエリアから順次このタイプに変更していくとのこと。このくだりの参照元はこちら

【構造が美しい】
 またOVIは照明デザイナーで、ランプの構造や設置面のデザインはThomas Phifer and Partnersが担当した。そちらのサイトにある美しい構造の画像をいくつか(無断で)掲載してしまう。ごめんなさい。でも、なんといってもこのランプの美しいデザイン、構造にあるからだ。

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 上図のようにライトだけ、ライトと信号併用も可能である。ライトの先端部とその上からの図にはシンプルで張りのある美しいデザインが見える。

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 ポールデザインは断面図のように“パーツ挿しこみ”のくぼみがついている。金具を挿しこんで、必要なパーツをつなぐという方式だ。同時にポールに強度をもたせることも実現している。上右は見た目のポールデザイン。

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 もうひとつ感心したのが“照明の根元”。パタンパタンと組み立てられるようなデザイン。とっても合理性がある。照明デザイナーは効率的に照らすLEDランプデザインを担当、構造デザイナーが施工性まで考慮したデザインを担当した。

【デザイン・マネジメントがある】
 ニューヨークのストリートランプには“デザイン・マネジメント”がある。

・1基の可照範囲の広さを可変にして、使用領域を拡張
・レゴのようなパーツの組み合わせで、さまざまな道路条件へ適合
・パーツ化による施工が容易で、かつ補修・交換も容易
・個々のパーツの新開発が可能(パーツの交換で全体の長寿命化)

 意匠(外面デザイン)、構造、施工、補修まで一体で検討された好事例である。

【hmm・・・なアドバイス】
 ストリートランプは公共の道具であるのだから、デザインにマネジメントがあるのは当たりまえ、と思うだろうか?う〜ん、点字ブロックでさえ日本には統一基準がないそうだ。恐ろしき事実。横断歩道橋など最たる例で、道路条件に合わせてほぼ一品ごとのデザイン。1基13億円もかけて設置する大分市の場合もある。

2008_122653791881  国道442号に設置。

 昭和40年代の老朽歩道橋は、今や使われず撤去事例ばかり。撤去はせずとも横断歩道をつけるところばかりだ。高齢者にやさしくない、というサモアリナン理由が語られるが、そんなことより、歩道橋ほど“美的じゃない”存在はないことを考えてほしい。歩道橋側を歩く歩行者だけでなく、居住者や店舗はみんなその圧迫感を嫌がっている。階段下がゴミ捨て場になることを恨んでいる。道のデザインとしてとてもよろしくない。自治体はもっと都市デザインセンスを磨いてほしい。今日は以上です。

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2009年1月 1日 (木)

ウォーター・ビジネス/モード・バーロウ

 年末に編集者で旧友の内田さんから送られてきた2冊の本。“金融恐慌”のことも“株式の千載一隅のチャンス”のことも書いていないが、読み出してどちらも年末年始にふさわしい本かなと思った。

3  『ウォーター・ビジネス』 作品社

 執筆者Maude Barlowさんはカナダの評論家でありアクティヴィスト。『「水」戦争の世紀』(集英社新書)の翻訳もある彼女の最新刊。人のからだの60%は水。人が生きる上で欠かせないのが水。『ウォーター・ビジネス』から次の時代の動きがいくつか見えてきた。

【hmm・・・なアドバイス287.ウォーター・ビジネス/モード・バーロウ】
人は飲用や料理、衛生用などで毎日およそ50リットルを必要としている。北米の
人びとは、水を毎日平均で600ℓ近く使用している。アフリカでは、その量は平均
で6リットルである。北側の国々の新生児は、南側の国々の新生児の40〜70倍の
水量を消費している。
(同書 P23)

St330002  本書より。

南北問題とは“水の問題”でもある。著者は「失われる淡水」「汚染される表層水」「枯渇する地下水」そして「干上がる地球」という事実をあげつつ、“水に関することのわれわれの見方”を次々に覆してゆく。

【大きなダムは大きな温室効果ガスを、淡水化は有毒な塩水も放出する】
 見方を覆す事例を挙げよう。「大きなダムは大量の温暖化ガスを排出することで、淡水資源にとってもっても深刻な脅威の一つである地球温暖化を促進する」(P43)。水力発電ダムが、同量のエネルギーを生産する天然ガス工場よりも、はるかに多くの温室効果ガスを排出するという推測である。

 また海水の淡水化とは、海水から塩分を除去し飲用可能水をつくる技術で。シンガポールやアラブ諸国など、水不足に悩む国には福音の技術であり、わたしたち一般の人は“日本の膜技術が他国の水のためになっていいね”と思う。だが淡水化技術はとても高価で富裕な国以外は投資できない。淡水化に伴って温室効果ガスの排出量も増加し、さらに淡水化プラントから海中に排出されるのは、海洋の生態系を破壊する“有毒な高濃度塩水”だという。

 公共事業の民営化も良いことばかりではない。水道の民営化(企業による運営)が高料金や独占につながることを指摘するくだりでは、公共事業とは何なのだろうか?と考えさせられた。

【企業がリサイクルした水の所有権は誰にあるのか?】
 「ボトルウォーター産業は、地球環境をもっとも汚染している産業の一つでありながら、もっとも規制が行われていない産業の一つでもある」(P141)

 水を販売するPET容器。原油やフタル酢酸からつくられ、生産地から国境を越えて遠く輸出され、その過程でたっぷりCO2を発生させる。う〜ん、そのとおりですね。われわれはその1ℓ300円もする“高価な水”を何気なく飲んでいる。ウチはけっこう安いのを買いますが(そういう問題ではなさそうですが)。

 せめてボトルウォーターをなるべく買わないようにしよう。これは実践しています。でも、政府が水資源保護に本腰を入れるなら、“フードマイレッジ”だけでなく“ウォーターマイレッジ指標”もつくるべきだとを思った。

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日本海学の『世界各国の人口とひとり当たり水消費量』のグラフをみると、米国、カナダ、イタリア、そして日本は第4位である。少ないとはいえない。日本は全国で834億立方メートル(国土交通省より)。

【水は戦略資源でもある】
 中国のチベット統治のねらいが実は“水にある”というのも卓見。10億人が生きるための水資源を確保するため、国境の外部から水資源を確保しようと動いている。それがチベット。チベットからは10の水源で毎年6000億立方メートルの淡水がアジア諸国(中国、インド、ネパール、パキスタン、バングラディッシュ、ベトナムなど)に流れている。だからこそ中国はチベットを虎視眈々とねらっているというのだ。

2  彼女は語り部だ。youtube 

ウォーターファンドのくだりも興味深い。今の市場下落では04年頃相当の運用成績を残していたようだが、今どきはどれも元本3〜4割減がフツーだ。長期的にみると原油よりも水という声も大きいそうだ。

【hmm・・・なアドバイス】
 本書の網羅性は、水の政治とビジネスを考えたい人には好適である。内田さんはずっとグローバリゼーションをテーマに本を出してきた。グローバリゼーションの問題とは、政治や経済の駆け引きだけではなく、資源・消費・労働・環境・知識・差別・戦争・革命と間口は広い。彼の出版意欲の源泉はジャンルを横断することだと思い当たった。

 また“ビジネス論理”と“公共使命”のバランスが、今こそ重要課題だ。大不況下で、公共投資型政府志向が強まる中、論点にすべきである。理想的には、“パブリックサーバント”はもっと大きな視点をもって、“アースサーバント/the earth servant”、地球に仕えるという視点を持つべきだ。正月ぽい大きな締めくくりだ(自画自賛_笑)。今日は以上です。

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