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2009年1月13日 (火)

ああこの椅子に座りたいなあ

 数ある家具の中でも最もベーシックで、最も奥が深いのは椅子である。他の家具はたいていモノを載せたり置いたり仕舞ったりするわけだけれど、椅子は違う。人間を支える。いや受けとめる。いやもっと生産的に、安らぎを与えたり思考させたり発想させたり元気づけたりする。

 椅子には到達点が無く、それだけにやりがいがある。そんなことを思ったのは、秀逸なデザインを観たからでなく、ちとおバカさん(失礼)なデザイン、いや着想レベルのヤツを2つ見たから。

【hmm…なアドバイス295.ああこの椅子に座りたいなあ】
 まずひとつ目ですが“回すベンチ”。イタリアのdesign-magazineで見つけた韓国人デザイナーたちのコンセプト。

Rolling_bench

Don’t you love the days following a rainstorm? The streets seem to
gleam, the air is cleaner, and people are generally in a better mood to
finally see the sun again. The only thing that sucks are all those wet
benches and chairs.
 引用元 

 風雨の翌日からの数日って気持ちいいですよね。ストリートはキラリと、空気は清々しく、ああ太陽が出てきたなあとみんな気持ちがいい。そんな中、あれまと思うのは、まだ濡れちまっているベンチや椅子だぜ。と意訳しました。

Rolling_bench2_2 Rolling_bench22

 おっしゃるとおり。で、デザイナーたちが作ったのはハンドルが付いて、それを回せば乾いた面が出てくる。なぁ〜るほど。でも回した面が乾いているか?比較して綺麗か?いろいろ疑問は湧く。さらに思うのは、ベンチってそもそも何だろう?という疑問符です。

 営業マンが疲れはてて3分休む。ヒマな老人が鳩にエサをやる。孤独な人がコミュニケーションを得る。野球のベンチも“控え”という意味ですが、ベンチってどこかネガティブです。ポジティブな意味づけがベンチはむつかしい。そこが回転ベンチがぐっとこない理由です。

【コンセプトは揺らすべき】
 コンセプトを揺らすなら、たとえばこう投げかけてみたらどうだろうか?

・ベンチは匂う(香るでもいいし、香りを作るでもいい)
・ベンチは光る(太陽光をいっぱい吸って光るとか)
・ベンチは育つ(たとえば生きた樹木でベンチを作る)

 こんなコンセプトなら“自然から力を得るベンチ”とか今までになさそうなコンセプトも作れそう。くるくると座面を回すなんて、利便性だけにアイデアをすくわれることもない。

【揺ら揺らしたくない】
 “バランシング・パワー”と名付けたコンセプト・チェアーも、ちょっと“違うな”と思う。デザイナーはYoon-Hee Kimさん

Balance_chair Balance_chair2 

左右にゆらゆらする座面に座ることで、姿勢が良くなる。う〜ん。要はシーソーに座っているわけです。それでバランスが良くなるという想い、わからなくはない。長時間座り仕事をしていると(わたしはまさにそう)、姿勢は悪くなるし肩は凝るし背骨は曲がるしで良くない。だからさまざまなエルゴノミックチェアが開発されている。

Balance_chair3

 このアイデアは“姿勢工学”に基づいたものではないとデザイナーは言う。それはOKとして、仮にそんな工学に基づいた椅子があったとして、それが受け入れられるか?椅子は果たして“Wii chair”になれるのか?いやなるべきなのか?その質問に答えていないと思う。

【揺ら揺らしてみたい】
 揺ら揺らしそうな椅子ならこういうのがある。filippo ghezzani氏による椅子をぶった切ったデザイン・コンセプト、“cut armchair(切られたアームチェア)”。あれれ、この椅子どうなっているんだろう?という疑問がわき起こる。引用元 

Cut01 Cut02

 この椅子のおもしろいのは、座ったらどんな感触があるのだろう?という妄想が育つところだ。土台があり、そこからの心棒の支えで各パーツを保持するらしい。その強度や軟度など、検討すべきことは多いだろうが、これは“座ってみたい”と思った。デザイン・コンセプトはこんなものだっただろうか。

・人は揺ら揺らしたいから、椅子を切ってみた。

Ch3 アームレスもある。 

【hmm…なアドバイス】
 座れば都、じゃないですが、体が椅子に合わすということもありますよね。でも良い椅子の根本て何なのだろう?と思う。ちょこっと座りたい、ずっと座りたい、集中したい、気分を変えたい、揺らしてもらいたい。いろんなシチュエーション/気持ちで座るわけです。これかなと思うのは;

ああこの椅子に座りたいなあ。

 そう思わせる椅子でしょうか。それは着想・素材・デザイン・構造・仕上がりのシンフォニーかしら。先日訪れた、ある木工家具店には素晴らしい無垢のテーブル天板がたくさん展示してあった。それも素晴らしいが、奥にあった椅子たちの顔がいい。ダイニングも、スツールも、ロッキングも、座ってみたくて。そう思わせるのが何なのか?わたしごときが答えは持たないので、ちと椅子に深く座って考えてみよう。今日は以上です。

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