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2009年1月 8日 (木)

ノートカバーは屈折心理をカバーする――コクヨ「SYSTEMIC」

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふ”マーケティングへのリードです。

ノートカバーは屈折心理をカバーする――コクヨ「SYSTEMIC」
コクヨのノートカバー「SYSTEMIC(システミック)」を"周回遅れ"で
購入した私。購入を迷った理由を突き詰めていくと、そこには屈折した
感情があった。
続きはこちら→

Pict0048 Systemic とわたしの手。

 新年なのだから“景気の話し”や“日本の明日”のような話しを書ければよいのですが、器でもなく柄でもなく、しょせんマーケティング屋です。それもひねくれ者です。パラダイムが変革する!たいへんだ!と叫ぶよりも、もっと身近なことから消費や消費者の本質を描きたい。そう思って書きました。

 でもカバー商品ってどんな意味があるの?またまた郷さん、ひねくれた話題を!と思われた人もいるでしょう。

【なぜカバーという切り口なのか?】
 カバーのことを市場では“ブランド”や“デザイン”と言ったりするけれど、そのカバーのことを表皮自体から語るのではなく、カバーすることの意味から商品を観ると、あんがい違ったことが見えてくる。それが、わたしのマーケティング・アプローチなんです。

 もうちょい言いますと、たとえばマーケティング教科書や教科書で語る人は、既に世に発売されているビール商品をポジショニングしようとする。味にしろ価格にしろ、コクにしろキレにせよ、今までの商品の特徴をべースに「ポジショニング図」を作りますよね。決して無意味ではないですが、それだとたいていこれまでの商品の後追いでしかない。後追いですから余ったポジションしか発見できない。だから追従商品ばかり生まれるし、ヒット商品の亜流しか生まれない。

“ブランド力”とか“商品機能”という目盛りは、結果説明でしょう。そうではなく、消費者の“これだよね”という隠れた想いや欲望を目盛りにしないと、何も新しくならない。だからカバー自体を論じてもだめ、“カバーする欲望とは何か?”と考える。それを目盛りにすべしと思うのです。

【カバー価格の妥当性】
 カバー価格の妥当性も微妙なテーマです。本体との相対コスト、つまり初期投資価格と使用回数/使用期間で決まるが、実際は屈折した値ごろ感で決まる。136円のノートに1,365円のカバーをする私もいるし、5個300円のティッュを、3,000円のティッシュカバーに入れかえる人もいる。中身はフツーのPCなのに、手作りの木製カバーが数十万円という例もある。

 本体とカバーの価格は決してリニアな直線グラフにはならない。カバー好きが“何に屈折をしているのか”を見定めるのが、カバーに付加価値をつける開発者のミッションでもある。そんなことも思いました。

 買ったから言うわけじゃありませんが、コクヨのSYSTEMICは良くできています。2冊持ち運んでも軽さ・薄さがほど良いし、ツートンカラーの色合いもいい。表のポケットは重宝する。買って損はないし、ノートにステータスを求めてカバーを購入するのではなく、ちょっと機能重視の人にはもってこいだ。

 今回は割と商品のことも書いたつもりですが、商品の紹介文が少なすぎると言われることもあります。もちろん商品紹介はたいせつだし、書こうと思っています。でも究極にはわたしは商品ライターではなく、“マーケティングの探求者”なのです。そこをミスフィットだと思われれば、読者志向を再考しなければなりません。

【日本人のカバー意識】
 余談ですが、カバーについて思ったことを書いておきます。

 そもそも、“カバーする/被う”というのは、日本人の感性の中でも重要なキーワードのひとつだろう。昔から籠(かご)や風呂敷、重箱、着物の重ね、食べ物でも桜餅の桜の葉、素材でも漆、渋柿染め、空間でも簾(すだれ)や暖簾(のれん)の区切りも部屋や空間を被う。どれにもシンプルさと合理性、そして見え隠れさせる美意識がある。日本人のカバーは単なる“隠す”という意味だけではないのです

200pxa_rice_cake_filled_with_sweet_ 引用元

 好著『縮み志向の日本人』には、日本人の“縮む”への多様な感性が生み出した文化や商品がテーマであった。扇子、盆栽、達磨、花道、トランジスタラジオ、パチンコなど、日本人がいかに縮ませるのがうまいか。本書は1984年初校。縮みの代表例である『ウォークマン』が1979年の発売、“縮んで新しい価値を生み出す”工業デザインで、日本が国際舞台で成長する時代だった。

 カバーするのに、縮ませて付加価値をつけてきたのだ。縮み以外にもまだある。

結ぶ(紐や帯をむすぶ、風呂敷をむすぶ)
詰める(折り詰め弁当、寿司詰め)
重ねる(装いの重ね、容器の重ね、色重ね)
慎む(勿体ない/Mottainai、過剰な包みを卑しむ)
 

 こんな美意識が日本人の包む感性にあったはずなのです。その美意識の原点と変化を、いずれ『和のマーケティング』というテーマで一冊本を書きたいと思いました。西洋型のコンセプト・思考ではなく、ジャパネスクな志向からニッポン消費者の姿、その変化を解き明かしてみたい。ライフワークかなあ。

 今日は自分の想いにカバーせず、想いを書きました。後知恵の教科書も議論も嫌いです。今日は以上です。

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