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2009年2月20日 (金)

自動車を創り直す。

 GM本体のそれの前触れになるのであろうか?GM傘下のSaab/サーブが経営破綻した。Saabといえば航空機由来の独特のエアダイナミックフォルムで、根強いファンのいるブランドである。左はオールディーズな雰囲気が美しい1958年製の『92b』。

1958saab92b 001

 右の画像は『サーブ9-4Xバイオパワー・コンセプト』。09年1月の米国国際自動車ショーでのコンセプト展示。バイオエタノール85%、ガソリン15%のエコ車を開発中なのだが、そこに行き着く前に倒れた。

【hmm…なアドバイス325. 自動車を創り直す。】
 今期赤字ないしトントンとしても、トヨタ・ホンダが生き残るだろうな、と思わせるのはどちらもハイブリッドやロボットを通じて“自動車を創り直す”努力をしているからだ。だが米国の2社(GM、クライスラー)はそれができなかった。一方、タイヤメーカー仏ミシュランの『e-wheel』開発はおもしろい。

Michelin_1

Using Michelin's Active Wheel Technology, this new device puts
two electric wheels inside the hub -- one for motive power, one for
active suspension -- a design that negates the need for gearboxes,
drive shafts, and conventional suspension assemblies.
引用元

ミシュランのアクティブ・ホイール・テクノロジーを用いて、タイヤのハブ内に2つのモーターを配し、ひとつはタイヤ駆動へ、もうひとつはアクティブサスペンション制御に使う。ギアボックスもドライブシャフトも従来型サスも不要になる。

4つのタイヤ+稼働ユニットを車体に付ければ、電気自動車ができあがり!かんたんにいえばそういうコンセプト。車を軽量化するというより、車を抜本的に考え直す開発である。ミシュランは部品製造のValeo社と共同で、この技術を始めとした“車を創り直す”技術発表をするという。

 実現すればどうなるかー自動車産業は“パソコン業界と同じになる”。台湾のメーカーに仕様を出して、日本のブランドで売る、そういう構図を思い浮かべよう。デザインや安全性には“組み立てメーカー”の思想が入るだろうが、車体下部はみんな同じ電気自動車。つまりデザイナー集団でも自動車メーカーとなれる、だって組み合わせればいいから。そういう変化がありうる。

【MITのサスとMINIの電気】
 もうひとつMITでのサスペンションの研究開発がおもしろい。サスペンションで発電をするそうだ。

7

 道路のバンプ(凹凸)を走るたびに上下動で発電をするシステムだ。なぁるほど、走れば走るほど発電ができるのだ。これは賢い。開発した学生によれば「車の走行時のエネルギー放出を知りたかった」、そんな意識から始まったそうだ。普通のガソリン車のバッテリーへの電力供給もOKだが、やはり電気自動車の“燃費改善”がメインになるだろう。

20090216212  

 以前このブログでも取り上げた電気自動車MINI−E。そのオーナーになるには、割高なリース料金を支払うこと以外に、調査に親密に協力し、3ヶ月ないし3,000マイルごとにチェックアップを受けるなど厳密な条件をクリアしなくてはならない。それでも予約は殺到して、配車が遅れるという盛況ぶりである。

 人気の理由はMINIという車自体の存在感が、電気自動車にぴったりというイメージもあるけれど、それだけでなく、半世紀同じモチーフを保った車が、再び電気自動車で生き返るという物語にみんなが共感するからである。

【hmm…なアドバイス】
 3つ事例を挙げたが、いずれも“自動車を創り直す”可能性を秘めている。自動車を創り直すとは、従来の研究開発やエンジニアリング、作り方や調達先を変えること。いやそれだけではなく、企業を作り直すことに等しい。環境変化に鈍くて、過去の遺影で生きている組織にはそれはできない。

 コンサルタントとしての多少の経験から言わせてもらえば、自社を創り直すことは、環境変化に柔軟で、リセットできる組織にしかできない。企業規模の大小ではなく“社内の起業自由度の大小”なのである。それがあなたの会社でできますか?

 組織単位だけでなく、会社を変える改革プロジェクトに参加する人が、自分自身を創り直すことができますか?それまでのキャリアの7割を捨てることができますか?そういう問いかけがコアにある。持って生まれた感性だけでできることは少ない。多くても30代で枯渇する。捨てることができないと、今のような激動の時代は乗り越えられない。得るために捨てる勇気をもとう。今日は以上です。

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コメント

おお、パラダイムシフトですね。
興味深いです。

投稿: よし@リーダシップ | 2012年8月17日 (金) 02時55分

evianさま
コメントありがとうございました!
確かにそのとおりですね。既存のメーカーだからこそできることがあるはずです。それにモジュールだけでは車にはならないのも事実。トータル性能の高い車の魅力づくり、エンジニアリング技術提供こそ、日本のお家芸のひとつです。
ただ気になるのは消費者の変化ですね。車好き/車キチが消滅、今や車を熱く語る層がレアものになりつつあります。車は道具で、燃費と走りがそこそこよければいい。内装は車というより、インテリアデザイン感覚で考えるだけ。
そんな変化を車体メーカーも用品メーカーもわかっていて、今までの商品開発が不発だし、従来の価値観ではもはや売れない実情があります。
この構造不況と石油資源の不安定さによって、車の価値観変化が加速化されていく、その中でモジュール開発は部品メーカーの生き残り策のひとつだと思います。
コメント、ありがとうございました。うれしかったです。

投稿: 郷/marketing-ichirinsya | 2009年2月22日 (日) 16時00分

はじめまして。
興味深い記事でした。
新技術とデザインがあれば誰でもメーカーになれる、というのが電気自動車紹介の際によく見られる論調なのですが、自動車の価値やブランドを決める「乗り味」を決定するには自動車メーカーならではの経験や歴史という物が必要となると思います。
新興メーカーがどんなに素晴らしいデザインであっても最新のモジュール/コンポーネントを使用していてもそれを自動車という製品としてまとめあげるのはかなり難しいので、既存メーカーはそのノウハウを提供するエンジニアリング・コンサルティング企業として生き残る可能性が高いであろうという所も考察してみてはいかがでしょうか?現にロータスはそうやって生き残ってます。
長文失礼しました。

投稿: evian | 2009年2月22日 (日) 14時14分

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