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2009年3月 8日 (日)

雑誌ルネッサンスを願って。

 先日ビジネスメディア誠の土肥さんと、ある企業のプレス発表に同行させていただきました。久々なのでお茶を呑みまして、そのときの話題のひとつが“雑誌”でした。彼曰く、休刊相次ぐ雑誌業界、誠でも“雑誌を盛り上げよう”というテーマでエッセイを求めているとのこと。

 この不況下、紙メディア対Webメディアなんて呑気なことは言っていられませんよね。共倒れしそうなくらい広告収入は激減しています。だからこそ紙も電子もなくメディア業界を盛りたてよう!という企画ですが・・・

【hmm…なアドバイス337.雑誌ルネッサンスを願って】
 アート・オブ・リビングの騎手の雑誌『エスクァイア日本版』さえ休刊だという。ああ、なんということですか。雑誌がらみでこんな寂しいニュースはなかった。なんとも悲しかった。

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読者の皆様へ
 ライフスタイル・マガジンの先駆けとして1987年に創刊し、以来22年
 にわたり、ご愛読いただいてまいりました『エスクァイア日本版』を、
 2009年5月23日発売号をもちまして、諸般の事情により休刊させていただく
 こととなりました。
引用元 

 ここ数年買ってなくてごめんなさい。最愛の雑誌だった。90年代ずぅっと耽読していました。脳と心に響く読み物や記事、インプレッシブな写真、アートよりもアートな広告、エスプリに満ちた全ページ。10年以上購読してアート・オブ・リビングのスピリッツをたっぷり養いました。わたしの美的感性(たいしたもんじゃないけど)の何割かはこの雑誌からつむぎだされています。

【1933年創刊号の価値】
 しかもあろうことに、同誌のバックナンバーを引越のたびに捨てていた。他のザツ誌と一緒にしちゃってごめんなさい。手元に残るのは“スペシャルイシュー”つまり別冊が数冊だけです。『世界を変えた1冊の、雑誌』の創刊号を復刊した日本版の表紙。

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 その副題は大げさぢゃない。大恐慌の余韻バリバリの1933年に創刊されました。今よりよほどひどい不景気だったはずです。その中で男性のファッションやアートやリビングの世界をテーマにする。世界を変えるという気概がなければ、絶対にできない。その復刻の日本版、1989年発行とあるのでちょうど20年前。内容をいくつか紹介しよう。

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 創刊号はとにかく書き手が凄い。ヘミングウェイのショート読み物は“釣り”がテーマ。ドス・パソスダシール・ハメット、そしてゴルフの球聖ボビー・ジョーンズ。完全復刻版と銘打たれた日本版イシュー、ほんとうにきらびやかな内容でした。

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 おまけですが、これは同誌の別冊号『アート・オブ・リビング』からの1ページ。このJ・F・ケネディの写真がなんとなく心に残っています。

【復刊活動に署名しよう】
 3月下旬発売の5月号から数えて3号で休刊。「休刊までの3号は、従来にも増して内容に磨きをかけて、永久保存版となるような特大企画」だそうですから、買います。また“復活コミッティ”に署名もしました。

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エスクァイア日本版』復刊コミッティがつくらました。わたしは署名しました。同誌を愛する人はもちろん、一度別れたけど復縁しようかなという人、ぜひ署名を!

【雑誌休刊トレンドのゆくえ】
 この雑誌休刊トレンドはどこまで続くのだろうか。わたしは会社勤めをやめ、定期収入が無くなった身分なので、雑誌は日経ビジネスだけ、まさに税金だと思って購読している。だがフツーの人びとの生活には、まだまだ雑誌が組み込まれているはず。

 しかし“雑誌を読むシーン”が激減しているなと思う。通勤電車の中、雑誌ではなくDSのカバーを広げる人びとの増加。本屋やコンビニで立ち読みの減少。手書きの家計簿よりもネットの家計簿をつける主婦。雑誌のトピックスからでなく、ウェブのトピから弾む会話。雑誌が読まれない現象、そこかしこに。課題を3つに分類してみた。

【3ツの課題】
1)制作課題
 構造改革を誌面で押しても、自ら実践できない業界体質。ま、これは他の業界でも同じですがね。でもエンドの読者に売れないのに、“広告が取れないからダメ”と課題をすり替えてきたことは罪が深い。組織としても、プロセス改革とか情報共有とか、一般の産業界で取り組まれていることに対して、奥手というか鈍いというか拒否モードさえあるような気がする。かなり遅れているというのがわたしの印象。

2)マーケティング課題
 90年代の角川流の“メディアミックス”以来、乱暴な言い方をすれば、ときめきのあるメディアミックスは業界には起きなかった。オマケを付けて販売アフィフリエイト的な連動するとか、ウェブと合同サイトを立てるなど、壁破りの企画はあった。でも文芸やアートを媒体にして、マーケティングを結びつけて、消費者が“快感だぁ”というのは少なくなった。企画が無いというより冒険が少ないのではないだろうか。

3)消費者の意識変化の課題
 雑誌がタダになったのは痛い。フリーペーパーの功罪。わたしは『metro minutes』が好きだが、でも有料なら払わないかもしれない。これはまずい。しかもラーメン屋でも床屋でも、雑誌が置いてある確率は低くなった。店舗運営を節約しているのならフリペでいいと思うのだが、タダでも雑誌需要が減退したとすれば、これは一大事だ。

【hmm…なアドバイス】
 雑誌ルネッサンス、どうしたらいいのだろうか?

 それは(ありきたりだが)何年経っても色あせない価値のある記事、だと思う。エスクァイアの1933年版の価値があり続けるのはそれがあるからだ。たとえタダのmetro minutesでも、深い印象を刻んでくれる藤原新也氏の連載記事は、残すべき価値がある。何度も読みたい。『銀座百景』の向田邦子さんのエッセイが不滅であるように。今日は以上です。

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