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2009年3月16日 (月)

欄間とくらしクリエイティブ

 あるオフィスリフォームに関する話しに関わっている。リフォーム案の中である箇所の空調が気になった。壁で覆われていて換気が不十分で湿気がこもらないか。リフォーム工事を担当する会社の方に訊いた。

 わたし「ここの壁は天井まで覆う構造ですか?」
 担当者「いえ、ここは壁にランマが入りますので、こっちの空調で換気や室温調整ができます」
 わたし「ランマ?」
 担当者「壁の上部に空間をつくるものです」
 わたし「どんな漢字を書くんですか?」

一同沈黙(笑)。これがきっかけで調べました。奥が深いものでした。

【hmm…なアドバイス344. 欄間とくらしクリエイティブ】
 ランマ=「欄間」が漢字表現。欄とは“囲み”、間は“間仕切り”という意味。「部屋と部屋の境の天井と鴨居(襖や障子、その他の引き戸を設ける場所の上の部分にある開閉のための溝のこと)の間にある、光や風を採り入れるもの」(引用元)とある。

180pxwoodenpanelusedasadecorativetr  引用元

 遡ること平安時代の寺社建築に見られるというからには、襖や障子や衝立てと同じくらい日本建築と密接な関係がある。電気のない時代、換気や採光の機能を果たし、日本間の陰鬱礼賛な空間づくりにひと役買った存在。伝統工芸的にさまざまな表現(花鳥風月、富士山や箱根連山)があるが、設置する場所による区分(部屋の境、明り入れ、縁側など)、形状による区分(彫刻、埋め込み、組子、節抜、あっぱっぱなど)に分けられる(参考は同HP)。

 “ポストモダンのランマ”とも言うべき、素晴らしい欄間を制作&デザインする会社がある(相棒cherryさんに教えてもらった)。

【タニハタの欄間の美】
遠く飛鳥時代から、年月をかけて磨きぬかれてきた伝統工芸「組子」。
釘を使用しないで木を組み付ける繊細な伝統技術で、タニハタの職人が
組子欄間、和風衝立、間仕切りを製作します。
引用元

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 欄間の産地は富山県や福井県、広島県と言われるが、株式会社タニハタはグッドデザイン賞も受賞する富山の会社。組子(くみこ)にその職人技が光る。板を組み合わせて幾何学紋様を創る。なんかどれも美しくて観惚れてしまひます。

8

 次の画像は“市松模様”の欄間。素材の異なる表情を活かした細密な表現。これはあまりに美術である。サイズは高さ36cm×幅180cm×枠厚3cm。価格は一枚244,375円であるが、価格の価値はある。

Itimatu9

 『三十菱』の組子も美しい。素材はヒバや杉、サワラなどからチョイスできる(15万〜39万円)。同社のブログの記述にもぐっときた。

【買い手と創り手の関係】
 最近、海外からのお問い合わせ・お取り引きが増えています。 
 今月も香港、ドイツ、イタリアなどの国に向けて組子欄間を
 販売いたしました。(中略)
 個人の方・業者の方を問わず、弊社商品を検討される場合
 できるだけその国の運送に関する情報を教えていただけたら
 助かります。
引用元 

 中略した部分には、サイズが大きくなること(複数販売のケースが多いのだろう)、税関だけでなく木製品なので検疫も問題になることがあるので、売り手の労力がかかります、とある。

 売り手がナニを不遜な偉そうに、と思うかもしれない。そういうことではないのだ。昭和30〜40年代に“進歩的なLDK団地”が開発され、プレハブ住宅が生まれ、日本家屋から欄間が消え始めたとき、大工と施主の関係も大きく変化した。施主は大工への家造りを伝えるコミュニケーション能力を失い、大工は家造りの規格ばかりを追うようになった。

 欄間という建築工芸を購入するからには、住まい手もそれを活かす覚悟がいる。ほんらい家造りと家住まいとは、そういう関係があった。

【現代家屋でも廃れきったわけではない】
 ただ現代でも欄間は廃れたわけではなく、マンションリフォームで実現した例もある。NPOエコ住宅リサイクルバンクの助言で、マンションで欄間が実現した。取り壊す実家の建築材を運んで欄間を活かした“マンション内古民家”。

7  古民家

 次は回転式の欄間。ティーエー工房の制作事例で、化粧材+ポリカーボネイトで制作した。価格面だけでなく地震での落下の危険を考慮したものだ。

News061001thumb  回転欄間

【hmm…なアドバイス】
 現代の日本家屋、とくにマンションでは、欄間の位置には鉄骨鉄筋の梁があり、間仕切りの上部は建材ボードで埋まっている。気密性の高い住宅を造る上で仕方ない面もある。

 だがくらしの中に、アートやデザイン、工芸の入る余地をどんどん失わせてきたのが日本合理住宅産業であった。ホルムアルデヒドが健康に害があるのは周知のことだが、住まい手の心の中にもホルムアルデヒドが浸食していないか。くらしにクリエイティティブがどんどん減ってゆく。utteという事業でそれを少しでも食い止めたいと思う。今日は以上です。

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