音楽を創り続けたレス・ポール氏死去
キース・リチャーズは言った。「あんたは俺に最高のオモチャをくれたぜ」
レス・ポールギター、レスポートサックじゃないよ(笑)。不謹慎ですね。1939年にエレキギターの原型のひとつ“The Log”を発明し、それをベースにギブソン・レスポール・モデルとして1952年から発売した“エレキギターの生みの親”であり、演奏の多重録音技術を開発したサウンドクリエイターでもあり、そしてギター演奏家として50枚のシングルと35枚のアルバム、5度にわたるグラミー賞受賞し、死ぬ直前まで20数年間、毎週コンサートを続けたというギターの神様。レス・ポール/Les Paul氏、享年94才。冒頭のキースのことばは映画『レス・ポールの伝説』の中のひとこま。合掌。
【hmm…なアドバイス469.音楽を創り続けたレス・ポール氏死去】
商業的には必ずしも爆発的に売れなかったと言われるレス・ポールギターだが、数知れぬギタリストに愛された。ポール・マッカートニーしかり、ジミー・ペイジしかり、スラッシュしかり、ジェフ・ベックしかり、鮎川誠しかり、そしてキースしかり。ウダウダ言うよりも演奏を聴いて祈ろう。ギタリストのチェット・アトキンスがちょいと登場する「chet atkins & les paul」。素晴しい演奏。
ああなんてことだ。ギターが弾けないなんて!ギターの代名詞が亡くなり癪に障ったのは、楽器音痴の自分。少しでもギターが弾けるようになりたいな。だが彼が93才の時のインタビューではこう語る。
レス・ポール:まずは楽しむということ、自分を幸せにすることだね。(中略)どれくらい上手くなれるかは、どれぐらい耳がよいかとリズムが良いかによると思うよ。その2つが無ければ、趣味にとどめておいた方がいいね(笑)。おっとじゃあ自分のためにやろうかな(笑)。引用元
【楽器だけにとどまらない功績】
引用したレス・ポール氏のことばは、映画の東京公開に寄せてのもの。その中でもっとも気になったことが次のくだり。許諾を得ていませんが、引用させてください。
── 今、一番興味を持っていることは?
レス・ポール:現在、多くのプロジェクトを進めている。どれも音楽のためだけのものではないよ。作曲もするし、アレンジもするし、バンドでリハーサルして演奏もする。それと共に、楽器のデザインもする。新しい音、新しい形、新しいフィーリングを作り出すんだ。世の中が変わっていくから、自分もそれに合わせて変わって行かなきゃね。技術の進歩について行かなければならない。今、自分にとっては補聴器がとっても大きな問題だ。ストラディバリウスを演奏していたとしても補聴器を通すと缶詰を開けているような音に聞こえるんだよ。最悪の音だ、でも補聴器なしでは聴くことはできないから補聴器は必要になる。そういった補聴器を使っている人に演奏を綺麗な音で届けるために、現在は多くの時間を補聴器の改善に費やしているよ。いままでそれがなされていなかったからね。
彼は“テイク”も創造した。「このテイクを使おう」という個別のトラック。多重録音を彼が始めたのが1948年のこと、まだ磁気テープ前の時代で、最初はアセテートのテープだったという。多くの楽器をオーバーダビングする技術の源泉にも彼がいる。
【数えきれない人類への貢献】
こうした彼のサウンド・クリエーション、世界中にどのくらいの影響を与えたかというと、とても数えられない。彼のギターを愛したミュージシャンはたくさんだし、そのアルバムを買った人はもっとたくさんいるし、聴かれた回数はもっともっとたくさんなので、延べ数十億人いやきっと数百億人の幸せを創造したとも言える。ノーベル賞に“音楽賞”があったら間違いなく受賞していた。
彼の創造は演奏だけにとどまらない。楽器だけにとどまらない。サウンド装置にもとどまらず、楽器を聴く耳にまで及んだ。それに思い当たり、思わず背筋を伸ばした。ギブソン・レスポールとは、音楽界だけでなく社会を変えるものだった。
【hmm…なアドバイス】
たとえば、わたしは書くことにこだわる。テーマやタイトルはもちろん、文章とか単語とか表現とか字面とか色とか、いちおうこだわっている。こだわっているとはいえ、文章を書くことだけの中だ。
それを書くということだけでなく、書く道具(ペンやPCやマウスやキーボードや音声入力装置…)や、読む道具(眼や紙や液晶パネルやライトや眼鏡やコンタクトや点字や読み上げ装置…)にまで広げられるだろうか?もともと書くことに経験や絶対の自信がなければ、広げようもないのですが。
何でもいい。自分のこだわっていることをこだわりぬきつつ、ふっと大きな視点を持ってみよう。こだわりを広げてみよう。予想外に可能性が広がるかもしれない。レス・ポール氏からの教訓です。今日は以上です。
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