« 日本にジャブラーニはやってくるだろうか? | トップページ | ディスクには文化もアートも詰まっている。 »

2009年12月 6日 (日)

リアル9

 今日はutteの仕事で仕事場に出かけようと思っていた。天気もよかったし、あるデザイナーのインタビューを8割がた仕上げたら出かけようと。だが朝8時から 初めて、予想外に時間がかかった。下調べが不足していた咎で、インタビューメモの単語を洗いなおした。考えを突き詰めた。ようやく8合目だと思ったらもう夕方4時前だった。外に出るのはジョギングだけになった。

Photo

 書くことには誠実になりたい。でもたった2,500字に7時間以上かける効率の悪さ。あとの見直しも含めるとそれ以上かかっている。それでも、書けなく て連載を飛ばすほど自分を追いつめる井上雄彦氏より、何百倍も楽してる。娘が何気なくわたしの机に置いていった『リアル9』から勇気をもらうのが今日の テーマである。

【hmm…なアドバイス563.リアル9】
 1年ぶりの9巻目の単行本は、連載49回目から54回目までの6回分。『リアル』は不遇の若者たちのバスケットをめぐる再生物語。9巻では車いすのバスケットボールはほとんど出てこない。その代わりに、4人の登場人物の変わろうとして苦闘する姿が、凝縮されている。

 ドロップアウトしてコートから遠ざかっていた野宮は、いきなりプロのトライアウトを受けるという暴挙を目指す。半身不随の“元”プロレスラーの白鳥は、3ヶ月で歩くと宣言する。オタクの花咲は地味にがんばり続ける。そして心を開きつつある高橋は“目標”がない自分にいらつく。ぐっときたことばを引用しよう。

【他人を受け入れる】
 「等身大の自分を受け入れた人間だけが、他人を受け入れることができる」(49話)

 3人のリハビリを扱う医師のことばだ。強さとは自分を受け入れること。今の自分を直視すること。自分ができることとできないことがわからないうちは、相手を見ているようで見ていない。わかれば相手が見えてくるし、どう力を出しあえばいいかも見えてくる。

【ゴールとモチベーション】
 「ポイントガード 野宮朋美!プロになります!」(49話) 

15
画像引用元 (以下同じ)

 (元)レスラーの白鳥は可能性を信じて「歩くぞ、再びリングに上がるぞ」と宣言する。落ちこぼれの野宮が「プロになる」と宣言し、大学のチームの練習に参加する。いずれも暴挙である。だが目標だけが行動を管理することができる。最近それを忘れがちのわたしは、行動から目標を見つけようとしている。おい逆だ、そう言い聞かせた。

 余談。『社員のモチベーションはあげるな』という売らんかなタイトルの本があるけれど、モチベーションと効率を関連づけるのは変だ。スタートする、持続する、めげない。それがモチベーションだと思う。

【化学反応】
 「化学反応ーーそれを俺はお客さんに見せたいんだ」(51話)

 花形選手のひとりよがりのプレーを嘆いて、プロチームの監督が言うことば。化学反応とは、違う武器を持った人たちが集まって起こること。それはどんな瞬間に起きるのだろうか?バスケではポイントガード次第。

 よくある悪循環はこうだ。キラーパスを出す。受け損ねる。出し手は受け手にイライラする。受け手は出し手をののしる。反発しあう。キラーパスがコンビネーションを殺しあう。

よく「相手の動きを見ろ!」と言うけれど、むしろ、まず味方の動きこそ見ろ、なのだ。良いポイントガードとは、ドリブルがうまくてパスを出す視野が広い。だから味方のプレーの良さを引き出し、PGという役割、“ポイントをガイドする”ことができる。 

味方の動きに化学反応が起きてこそ、相手を圧倒することができる。味方の前に敵ばかり研究してもしようがない。日常の仕事やプロジェクトでも、まったく同じことが言えそうだ。

【何だってする】
 「どうってことねえ。何だってする。これで生きていけるなら」(51話)

 バスケットボールを抱えて横たわり、夜空を眺める野宮のことば。誰でもそれで生きていけるならいいとは思うけれど、ほんとうに「何だってする」人は多くない。何らかの理由(習慣、弱音、怠惰、言い訳)をつけて、何だっては、していない。自分を追いつめる、重いことばだ。

【自分は誰だ?】
 「俺はプロレスラーだぜ」(51話)

14

 “プロレスラーは普通の人とは違うんだ”と自分を鼓舞する白鳥のことば。原点、存在理由。それがあるから貫ける。自分は誰なのか?原点の自分と今の自分がどれだけ重なりあっているか?うーん、これも重い。

【元の自分】
 「水中浮遊することによって、内臓も、もとの位置にもどる」(53話)

 水泳トレーニングは障害者の機能回復には一番と語る原医師。リハビリで彼らを水の中に突き落とす。水中で内臓が元の位置に戻るーそれは偏って生きてきた人たちにとって、もとにもどるのは大きな苦痛、という比喩に聴こえる。変わらない、元のままでいる、というのはたいへんなことなのだ。

【3年後の自分へのメール】
 「俺はどこへ向かえばいいのか」(54話) 

18

 高橋は心の苦しさを携帯メールで、自分にメールする。“3年後の自分へのメール”。ちょっともの哀しいエピソード。ふと思う。3年前の自分と今の自分、どちらが誇れるだろうか? 3年後と今の自分、どちらが誇れるだろうか? これは、どうなっていたいのか、という自分への問いかけなのだ。

 リアルに生きるヒントが『リアル9』には満ちている。今日は以上です。

++++++++++++++++++++++++++++++

【utte ウッテリエブログ更新】 吉岡徳仁氏のウィンドウディスプレイ

|

« 日本にジャブラーニはやってくるだろうか? | トップページ | ディスクには文化もアートも詰まっている。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158074/32516099

この記事へのトラックバック一覧です: リアル9:

» アバクロ ダウン [アバクロ ダウン]
アバクロのダウンについての情報です。 [続きを読む]

受信: 2009年12月12日 (土) 14時41分

« 日本にジャブラーニはやってくるだろうか? | トップページ | ディスクには文化もアートも詰まっている。 »