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2011年6月19日 (日)

父にうちわを贈れば、日本が日本人を取りもどせる。

日本で“父とうちわ”が結びついていたのは、いつの頃までだろうか。

障子をすとん開ける。縁側に腰掛けて庭にサンダルで降りる。お日様を見上げて蝉しぐれを浴びる。今日も暑い一日だ。首には手拭い、手には竹骨の無地うちわ。コップに入れたビールが旨い。落ちる汗も夏の風物詩だ。

今 や障子も縁側も庭もなくなった。サッシを開けてベランダに出ようものなら「虫が入るから網戸を締めてね!」と家人から言われ、そそくさと網戸を閉めて缶 ビールをごくり。蝉はマンションから見下ろす木々にへばりついている。うちわといえば…“けいおん”や“初音ミク”の柄、樹脂製がオチだ。

高度成長期、団地の出現以来、あの父の姿は、うちわと共になくなった。そんな気がする。

 

ハイカラで昭和な父を取りもどすにはこのうちわ。東海道日永宿の「日永うちわ」は三重県の伝統工芸品。お伊勢参りの土産物だという。日経トレンディの記事によれば『虫よけうちわ』が人気で、青森ヒバオイルを染み込ませて蚊を寄せ付けない。ヒバも香しい。2100円から。



岐阜から雁皮紙を貼り合わせた『水うちわ』が涼しい。ニスを塗って透き通る姿は風も涼しくなりそうだ。雁皮紙って何だろう?昭和な匂いがすると思えば、あの(といっても大方の人は知らんだろうが)ガリ版のコリコリ書く紙。あの半透明でくしゃくしゃっとなっちまう紙にニスを塗ると、こんなうちわになるなんて。ひと夏500本ほど作るそうだ

3.11の震災以来、“応援買い”が根付いた2011年の日本。USA mujiストアから『Recycled Paper Fan - Energy and Power』は、1品販売ごとに20円を寄付にまわす。価格は3.75ドル(約300円)。“Energy and Power”は人気・一気・呑気・冷気など気力とパワーを、 "Power"では馬力・人力・魅力・迫力・筋力など“力”を。さて夏の被災地にはどちらが似合うか。



日本の無印では見当たらないので、USAのオンラインか、マンハッタンのmuji stores、そしてJFK airport店で買うのでありんす。日本の無印オンラインでは手拭いのみなのが残念。

父 にうちわを贈るのは、父が日本の父らしくなるだけではない。多湿の夏の日本を過ごす人間が日本人らしくなることでもある。父がうちわをパタパタすれば、 クーラーはもちろん扇風機さえ要らず、消費電力が減る。父達の世代が昔の日本に戻ろうとすれば、その子の世代もそれにならい、10年も経てば、省エネなん て言葉はなくなる。

父にうちわを贈れば、日本が日本人を取りもどせる。ぼくはそれを願う。

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