刑事コロンボ死す
Lieutenant Columbo死す。正確には警部補コロンボ、日本では『刑事コロンボ』、ピーター・フォーク/Peter Falk氏。合掌。
Columbo's famous catchphrase "Just one more thing" – which often preceded him cornering a murderer or criminal with an inescapable line of questioning – is known to millions worldwide. 引用元
コロンボの有名なキャッチフレーズ「もうひとつあるんですが」そのフレーズを前置きしておいて、殺人者ないしは犯罪者を質問攻めでコーナーに追いつめて行くー世界中何百万人に知られたものだ。
“Just one more thing” といって、魔法のように商品説明するスティーブ・ジョブスは、ひょっとしたらコロンボファンだったのだろうか?彼より先にこのフレーズを広めたのはコロンボだった。
ぼくはコロンボに同時代で触れた。最初のシリーズがNHKで放映されたのは1972年、『構想の死角/Murder by the Book』が最初に観た作品だった。犯人役はジャック・キャシディ(青春スターだったデイビット・キャシディの父)、作家の役だった。監督はスティーブン・スピルバーグ。
内容はすっかり忘れていたが、こちらのサイトによればフランクリン(キャシディ)は推理作家コンビのフェリスからコンビ解消の通達を受けた。文才がなく渉外を勤めていたフランクリンはフェリスを殺害する。エラリー・クイーン(男性ふたりのコンビ推理小説作家)を彷彿させる筋立てである。そうそう“倒叙物”という言葉を知ったのもコロンボから。
視聴者はあらかじめ真犯人を知っているので、視聴者の興味は「犯人と視聴者は一体何を見落としていたのか」や「コロンボがどうやって尻尾をつかんで犯人を追い詰めるか」「犯人側の心理に重ねる緊張や焦り」などの心理に向けられる。引用元
ジワジワと犯人を陥落させる推理ゲーム。個性的な刑事だった。よれよれのレインコート、ポンコツのプジョー、飼い犬の名前は“ドッグ”(笑)。
そういえばエラリー・クイーンの推理小説“国名シリーズ”には『読者への挑戦』があった。探偵エラリーがいかに犯人を追いつめるか、読み進める前に推理してくださいというページ。コロンボも同じで、じわじわと視聴者を囲い込むのが楽しかった。
他の回では『黒のエチュード/Etude in Black』ジョン・カサベテスが渋かった。『溶ける糸/A Stitch in Crime』はトリックが面白かった。レナード・ニモイが出ていた。『別れのワイン/Any Old Port in a Storm』ではワインを海岸に捨てるシーンがもの悲しかった。『白鳥の歌/Swan Song』ではカントリー歌手のジョニー・キャッシュ/Johnny Cashが歌手の犯人役で出演。演技に自信がない彼は自叙伝でこう書いているそうだ。
"Peter Falk was good to me. I wasn't at all confident about handling a dramatic role, and every day he helped me in all kinds of little ways." 引用元 「ピーター・フォークはよくしてくれた。ドラマの役柄を演じる自信がなく私に、毎日彼は何から何まで助けてくれた」
当時『警部マクロード』と交互でシリーズ放映していたが、ドン臭いマクロードが退屈で、コロンボを待望したものだ。ハマったぼくは二見書房のコロンボ本も全巻読破した。
彼は俳優になりたてのころ、エージェントに「君は俳優にはなれない、その目じゃね」と言われた。小さい頃に患った病気で“義眼”だったからだ。そんな彼は高校時代運動が得意で、野球をやっていた時のことだ。三塁まで滑り込んだとき、塁審が「アウト!」と宣告した。するとピーター・フォークは義眼を外し、塁審に渡して、こう言った。
「“You’ll do better with this,”(君はこれをはめて審判をしろよ)」
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