ギターのギブソン/GibsonへのFBI家宅捜索
画像引用元 Keith Rechards on Gibson ES-355's
ギ ブソンといえばギターの代名詞、老舗だ。著名なギタリストでお世話にならない人はいない。Keith Richardsはもちろん、Elvis PresleyもJohn LennonもEric ClaptonもJeff BeckもMick TaylorもRonnie WoodもSheryl CrowもThe EdgeもTak Matsumoto(B’z)も、もちろんLes Paulも使ってきた。詳しくはこちらを。
エボニーとは黒檀で、家具や仏壇にも使われているが、生育は遅く育ちは悪い。日経の記事(翻訳記事)ではクロっぽく匂わせているが、いろいろ調べるとそうとも言えない。
まず法律違反はThe Lacey Actという1900年に立法された法律で、最初は猟鳥くらいだった対象が何度も修正を経て、今では野生の動物はもちろん植物や木材まで対象となった。2008年の修正で伐木搬出(logging)も違反対象となった。法律では“a documented chain(公正な輸出を証明する書類)”を求める。2009年に政権交替後、ギブソンは一度家宅捜索を受けた。その時はマダガスカルのエボニーの不法流通の疑い。今度の家宅捜索はインドのエボニーである。
まず事実として、どちらのケースでも訴訟を起こされていない。逆にギブソン社はどちらのケースでも提訴している。社長のJuszkiewicz氏は8月下旬、記者会見に応じて違法はないと明言した。(動画は英語でちと長い)
Juszkiewicz issued a statement saying the government contends "the use of wood from India that is not finished by Indian workers is illegal, not because of U.S. law, but because it is the Justice Department's interpretation of a law in India." 引用元=www.science20.com
「政府はインドの労働者によって加工が終わっていないインドからの木材の使用は違法であるというが、ただし米国法の違反ではなく、米国司法省によるインドの法律解釈なのである」と社長は声明で述べた。
や やこしいのだが、まず書類は揃っている。インド政府はカットされたエボニー輸出は禁止しているが、ベニヤ加工品は認めている。FBIはギブソンが米国内で ベニヤ加工したと嫌疑をかけている。ギブソンでは何十年も同じ方法で輸入しているのにだ。この法律は国内法だけでなく、輸入元の法律で裁くという妙なとこ ろがある。
伐採が進んで貴重な資源が枯渇する恐れがあるなら、全面的に禁止すべき。なのに加工が外地ならOKというのは変だ。さらにそれでは米国内の加工産業も技術も廃れるのではないだろうか?
なおかつ問題は対象木材楽器が、この法律施行の前に製造された証明書がなければ、税関で没収される可能性があるという。それじゃあ誰もギターを持ち出せない。演奏旅行ができない。税関士が、どのギタリストが何年モノのヴィンテージギターを使ってるくらいの通ならいいのだけど(笑)。
問題はギターだけでなくヴァイオリン、ピアノ、フルートなどにも及ぶ。少なくとも施行前のものは一切お咎め無しにしてお墨付きを与えてほしい。ただし施行後は、厳格な管理を国際法の下、統一解釈で運用できるようにしたい。FTAとかTPPとか、こういう時のためにあるのじゃないのだろうか。
情報源:
Gibson Guitars And The Lacey Act Misused
Guitar Frets: Environmental Enforcement Leaves Musicians in Fear
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