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2011年10月21日 (金)

音楽アルバムがアートだった時代に。

スティーブ・ジョブズは「iTunesストアによって音楽を安く聴けるようになった」と言った。その通りだ。すごく感謝している。でも曲のバラ売りと、その結果アルバムジャケットが軽視されるようになったことは納得できない。物心ついた時から「電子でバラ」な音楽を聴く未来の子供たちは、音楽体験が薄っぺらくなるんだろうな。


そう思ったのはロック音楽写真家の死だ。物憂気で、溢れる才能をもてあますような顔のボブ・ディラン。60年代から70年代にかけてディランやジャニス・ジョプリン、そしてジョージ・ハリスンらのアルバムを撮ったBarry Feinsteinが逝った


ディランの立ち姿や濡れた舗道、木の壁は、どれも扁平して風景に塗りこまれるようだ。「だって時代が歪んでいるんだぜ」とでもいうように。


ソフィア・ローレンがハリウッドのチャイニーズ・シアター前で手形を当てた一枚には、この女優の美しさと同時に、強さや意地を感じてならない。映画のカメ ラも撮ったFeinsteinは、音楽家や俳優の才能や精神をワンショットに収める天才だった。ジョージ・ハリスンの『All Things Must Pass』アルバムでも、まさに。


1970年、アルバムの写真制作で英国のハリスン家のそばのFriar Parkに行った。そのとき「1871年に盗まれて行方不明だった石の妖精たちが見つかったが、買わないか」とハリスンに電話があった。それらをハリスンが買ってならべた瞬間、構図が決まった。

30cmLP の時代はもちろん、CDになってもアルバムジャケットは重要なアートだった。だが曲のバラ売りでジャケットが消えた。最初から「1曲だけ」聴くスタイルで は時代の呼吸なんて関係ないさ。音楽だけでなく、読書もゲームもイベントもみんなコマ切れの時代。それでいいのだ。でも結局、CDは売れなくなった。

まあハリスンが歌ったように“All Things Must Pass”、諸行無常、すべては儚い。だからこそ美しい。音楽アルバムがアートだった時代を、彼と一緒に埋葬しよう。

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