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2011年10月31日 (月)

捨てられていたSONYのラジカセを抱きしめて

ぼくとcherryさんの運営するギャラリー アートマルシェ神田のそばの店の店頭に、ずっと気になっていたものがあった。古ぼけたひと抱えもあるラジカセ。4つスピーカーを備え、イコライザーのレバーがいっぱい。まだ死なんぞと言っているようで、ずっと気になっていた。


 
その店舗はオーディオショップ。アキバが秋葉原だった頃、音響製品の町が秋葉原だった。それがメイドとAKBとフィギュアの町になり、オーディオ店は次々 と移転や閉鎖となった。この店も今月いっぱいで閉店。スピーカーやキャビネットなど投げ売りの中、このラジカセがぽつんとあった。

「あのう…これ、売ってますか?」おずおずと店の人に訊いた。
「ジャンクですからね。持っていっていいですよ」

ぼくは欣喜雀躍してハンドルをつかんだ。ずしんと重たい。ギャラリーはそこから150mほどだが、一回休んだ。だがこれこそがラジカセ。ロゴはSONY、型式はCFS-D7。往年(1979年発売)の名機中の名機である。

操 作機構にフェザータッチのロジカルコントロールシステムを採用し、メカニカルな感覚でまとめられた当時の高級機。コントロールパネルは収納可能なシールド パネル構造で、デジタルチューナー・クロックタイマー機能を持つ液晶ディスプレイとドルビーNRシステムを当時初めて内蔵しました。スピーカーの存在を主 張した従来のモデルと差別化を図るかのように、パンチングのウーファー、グリル状のツイーターなど革新的なスタイリングとなっています。引用元=SONY

このトップのメカの精巧な造り、泣けてきます。SONYはこんな素晴しい装置を出していたんです。ぼくは中学生の頃(1970年代前半)SONYのCF- 1980を買って、ずいぶん録音やエアチェックをして、洋楽を聴いた。あれも名機だったが、“サー”と呼ばれたCFS-D7の迫力には到底及ばない。

CRC で丁寧に各部を拭いてゆく。パタン・ポンのカセット操作部は問題なく開く。だがカセット収納部のレバーがきかない。やや手動で開けると、磁気ヘッドやロー ラーはそれほどくたびれていない。ラジオのチューナー部は作動が怪しい。イコライザー部は汚れているがしっかりしている。見た目は飾りのパーツが一カ所喪 失しているだけで、アンテナも極めて綺麗だ。

さっぱりしたところで、いよいよ電源を入れる。点かなくても展示用に大事にしてやるぞ。そうつぶやきながら、ラジオのスイッチを入れる。すると!FMが聴こえてきた!かなりクリアです。AMのチューニングは甘いし、グリルでは目視で選択箇所が見えないけど、いいよそんなの。問題はカセットが動くのか?



テストテープは『Still Life』by Rolling Stones、1981年のコンサート。テープよりこのメカの方が古いんだ(笑)。フェザータッチのPLAYボタンを押すと…おおお!痺れた、“A列車で行こう”のイントロが聴こえてきました〜!動きます立派に。パーツ取り用のジャンクを仕入れればレストアできそうです。

でも、ただ泣けてきました。音がすごく良いわけじゃない。今どきの可聴域だけを聴かせるiPodの方がいいでしょう。でも音は「良いだけ」じゃない。

途切れ途切れのラジオのエアチェック、雨が降るLP、それも音楽。音にはその時代の音がある。その時代の音質があり、時代が出すBGMがある。情感も合わせてオーディオなのだ。その音を出すラジカセという存在が凛々しい。

しかし1979年といえば初代ウォークマンが発売された年である。SONYがもっとも輝いていた時代。今のSONYはいったい何だろう。ねえ、こういう絶対的なものを、つくってくれませんか。

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